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大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE

2009年、円谷プロダクション、岡部淳也+樫原辰郎+小林雄次脚本、坂本浩一監督作品。

※この作品は新作ですが、最後まで詳細にストーリーを書いていますので、ご注意ください。コメントはページ下です。

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宇宙の中を追跡し合う青と赤の光。

とある惑星上に実体化した二つの光はそれぞれ、ベムラーとメビウスだった。

メビウスは、メビュームシュートを放ち、ベムラーを倒した後、宇宙空間のワープゾーンの中に消え去る。

時は未来…

未知の惑星探査のため宇宙を進むZAP SPACYの宇宙船・スペースペンドラゴンに乗るレイことレイモン(南翔太)は、レイブラッド星人の子孫でありレイオニクス戦士だった。

彼は、ヒュウガこと日向浩(小西博之)、ハルナこと榛名ジュン(上良早紀)、クマノこと熊野正彦(俊藤光利)、オキこと隠岐恒一(八戸亮)たちと共に宇宙の旅を続けていた。

M78星雲…、ウルトラの星…、光の国には、ウルトラスペースポートやウルトラコロセウムなどがあった。

今、そのウルトラコロセウムの中では、タロウが教官として、トレーニングしている多くの新人たちの指導をしていた。

そんなウルトラの星の宇宙警備隊本部にメビウスが帰還したので、出迎えたゾフィーが「ご苦労だった」とねぎらう。

この所マイナスエネルギーが増えて来ていると、メビウスが報告したので、ウルトラマンが「あいつを呼び戻すか?」と提案するが、ゾフィーは「まだ早い」と否定する。

ウルトラの父と母がそこにやって来て、みんなに油断するなと警告する。

宇宙の果てに浮かぶ宇宙牢獄…

そこにやって来た見慣れぬウルトラマンに、監視のウルトラマン二名が警戒する。

目の鋭い見慣れぬウルトラマンは、ザラブ星人が変身した姿だった。

ザラブ星人は、監視役二人を倒すと、牢獄を開け、中に入れられていた囚人ベリアルを外に出す。

ザラブ星人、外に出て来たベリアルに向かい、「私と一緒に、宇宙を支配しよう」と誘いながら、炎の谷から掘り出して来てやったと云うギガバトルナイザーを手渡す。

すると、ベリアルは、いきなり受け取ったギガバトルナイザーでザラブ星人を倒すと、「確かに本物だな」と喜ぶ。

そこに、異常を察知したウルトラマンタロウ以下、訓練生たちが飛んで来る。

ウルトラの星では、ウルトラの父たちが、タロウからの緊急ウルトラサインを見て、ベリアルの狙いはウルトラスパークタワーだと気づく。

その頃、宇宙牢獄のトレンチの中では、ベリアルとタロウらが戦っていた。

タロウは、ストリウム光線を放つが、ギガバトルナイザーには通用せず、そのままベリアルに捕まると、ウルトラの星のウルトラタワーへと一緒に連れて来られる。

ウルトラマングレートやユリアン、ウルトラマンベス、ひかり、メビウスなどが立ちはだかり、ベリアルを阻止しようとするが、歯が立たない。

先輩格のウルトラマンとセブンも応戦するが、力負けしてしまう。

プラズマスパーク・エネルギーコアの残された光が消えたら、この星は滅びてしまう。

ウルトラマンたちは必死だった。

消えかけたプラズマスパーク・エネルギーコアに向かったタロウは、自らの身体を炎と化して、最後の光を守ろうとするが、その身体は凍り付いてしまう。

メビウスが、援助を呼ぼうと提案し、マンとセブンは、レイブラッド星人なら力になってくれるかも知れないと助言する。

宇宙船・スペースペンドラゴンに、突如、船内にムサシ(杉浦太陽)が出現し、惑星デント似向かって欲しいと通信を送る。

デントに降り立ったハルナは、レイに、地球とはこんな所なのだと説明していたが、そこに隕石が落下し、そこからザラガスが出現する。

レイは変身し、バトルナイザーをオンにし、ゴモラを召還する。

しかし、ザラガスは、攻撃を受ければ受けるほど強くなると云う厄介な相手だった。

ゴモラとの戦いを観ていたヒュウガが、一瞬の隙を突くしかないと判断し、メンバーたちにペンドラゴンに乗り込むよう指示を出すと、直ちに出撃して、ファイバーミサイルを発射し、ゴモラを援護する。

ゴモラは、顔の角で、ザラガスの腹を突き上げてとどめを刺し倒す事が出来た。

その時、メビウスが出現し、光となって、レイを連れ去って行く。

光の中で、ヒビノミライ(五十嵐隼士)の姿に変身したメビウスは、レイオニクスがベリアルに力を与えたと教え、あなたの力が必要なので貸して欲しいとレイに頼む。

レイブラッド星人は、かつて怪獣使いだったはずと未来が言うと、レイブラッド星は滅びたとレイが答える。

ミライは、M78青雲の27万年前の姿を見せる。

ウルトラの国の人々は、その頃まだ人間の姿をしていた。

しかし、太陽爆破の危機が迫ったため、太陽に代わる新たなエネルギー源として、プラズマスパークタワーを科学者たちが建造した結果、その光を浴びたウルトラの人々は、ウルトラマンへと変身したのだった。

力の誘惑に負けたベリアルは、そのプラズマスパークのパワーを独り占めしようとした為、光の国から追放されたのだが、そのベリアルに出会ったレイブラッド星人が、100体の怪獣を操る力を持つギガバトルナイザーを与えたため、再びベリアルは光の国へ戻って来た。

ウルトラの父ケンと母は、必死にプラズマスパークを守ろうとべリアルと戦ったが、その時、ウルトラマンキングが出現し、ベリアルを宇宙牢獄に封印すると共に、ギガバトルナイザーは炎の谷に封印したのだった。

ミライの説明を聞いたレイは、仲間たちを守るため、この宇宙を守るため、自分を光の国に連れて行ってくれと頼む。

グレイブゲイト…

怪獣墓場にやって来たベリアルは、光の国から奪って来たプラズマパワーのエネルギーコアを、地面に突き立てると「俺の怪獣軍団の復活だ!」と叫ぶ。

その頃、すっかり氷の世界と化した光の国に到着したミライとレイは、突如出現したドラゴ、ベムスター、サラマンドラに襲撃される。

ベリアルに加勢するシャプレー星人が操っているらしい。

ミライはシャプレー星人と戦い始めるが、シャプレー星人は光線銃でレイを狙う。

レイは、氷の割れ目に落ちかけてしまう。

ミライは、光線銃のエネルギーが切れてしまったため、素手でシャプレー星人と戦わざるを得なくなる。

ミライは、メビウスに変身しようとするが、メビウスブレスが凍り付き、使えなくなる。

その時、突如現れた謎の男が「行け!ウインダム、アギラー、ミクラス!」と叫ぶと、三体の怪獣が出現し、ドラゴ、ベムスター、サラマンドラと戦い始める。

氷の割れ目に落ちかけていたレイを救出したのは、モロボシダン(森次晃嗣)であった。

次の瞬間、シャプレー星人を撃って倒したのは、ハヤタ(黒部進)だった。

敵怪獣にとどめを指した三体のカプセル怪獣は、ダンの元に戻る。

レイに自分たちの名前を名乗ったダンとハヤタは、今は変身出来ないのだと説明する。

そして、レイとミライを連れ、ダンとハヤタはタワーに向かう。

ミライは、今こそ、彼を呼ぶべきです!とダンに訴える。

K76星…

ウルトラマンレオが、プロテクターギアを着けた相手と戦っていた。

相手は、こんなギアを付けてたって、負ける俺じゃねえ!と元気満々。

そんな二人の戦いを、離れた山頂に立ったウルトラマンキングとアストラが見守っていた。

ウルトラの国では、ダンが「奴はレオに修行に預けている」とミライに答えていた。

彼も、ベリアル同様、力に憧れ、タワーにあるプラズマエネルギーを得ようとしていたのだと、ハヤタが過去の事件を教える。

その時、法を破った彼を制止したセブンは、ウルトラ戦士になる資格がないとして、彼を光の国から追放したのだった。

その時、ブラックキングが出現し、彼らの進路を妨害する。

レイは、バトルナイザーで、ゴモラを召還し戦わせる。

その間、ミライ、ダン、ハヤタの三人は、タワーの中に入り込む。

タワーの中では、ウルトラの父と母、そして最後の光を守り抜いたタロウが凍り付いてた。

生きていたシャプレー星人と戦うダンは、相手を倒した後、ハヤタとミライに「ウルトラ念力だ!」と声をかける。

三人はそれぞれのウルトラ念力を合体させ、タロウの胸元にパワーを集中させる。

すると、タロウの身体が元に戻り始め、彼が守っていた最後の光も明るさを増した。

よみがえったタロウは、三人に向かって、頼んだぞと声をかける。

その時、ハヤタのフラッシュビーム、ダンのウルトラアイ、ミライのメビウスブレスが復活していた。

三人はその場で変身し、エネルギーコアを奪い返すため、怪獣墓場へと飛び立つ。

レイも又、メビウスの手のひらに乗り、同行するのだった。

怪獣墓場に到着した四人は、ベリアルに対峙し、レイは、俺は地球のレイオニクスだと名乗る。

すると、興味を持ったのか、バリアルはレイに向かい、きれいごとを言うな!お前は、レイブラッドの恥さらしだとののしる。

そんな中、エネルギーコアの光を浴び、力を復活させた百体の怪獣たちが次々と復活して来る。

レイは、ゴモラとリトラを召還させると、怪獣軍団に立ち向かわせる。

メビウス、セブン、マンらも怪獣たちの群れに飛び込んで戦い始める。

その頃、ネオマキシマムドライブを使って航行中だった宇宙船ペンドラゴンは、突如、謎のUFOらしき物体の攻撃を受けていた。

それは、宇宙龍ナースだった。

ヒュウガはミサイルを発射して応戦するが、ナースに機体に巻き付かれてしまう。

その時、機内に、ゼットン星人が出現、やがり、ベリアルの仲間として、ナースを操って攻撃して来たらしい。

しかし、その背後に、さらなる人物が出現!それはアスカ・シン(つるの剛士)だった。

ゼットン星人を倒したアスカは、レイがピンチになっているとクルーたちに教え、ダイナに変身して外に出現するとナースをも倒し、ペンドラゴンを怪獣墓場へと誘う。

その頃、レイは、レイ・ダイズに変身して戦っている最中で、マグマ星人やナックル星人を次々と倒していた。

ゴモラとリトラも怪獣たちと戦っていた。

そうしたレイの様子を見ていたベリアルは、俺の部下にならないか?レイブラッドの遺伝に逆らうなと誘いかけて来る。

しかし、その言葉に抵抗していたレイは、徐々に自分の怒りの本能を押さえきれなくなって行く。

暴走したレイの姿を目にしたベリアルは、ウルトラマンたちを倒せと命ずる。

レイに操られていたゴモラも、興奮したバーニング状態で、ウルトラマンたちに立ち向かって行く。

ベリアルは、レイの暴走を、愉快そうに高みの見物し始める。

そこに、ダイナとペンドラゴンが到着、ダイナはベリアルに立ち向かい、一方、ヒュウガたちは、興奮して暴走状態にあるレイを発見、ペンドラゴンから降りると、レイに落ち着くよう、必死に説得する。

しかし、レイは、彼を押さえようとするクルーたちを弾き飛ばしてしまう。

ヒュウガは、そんなレイに対し、「いい加減に、目を覚ますんだ!」と言いざま殴りつける。

その途端、レイは、元の人間体に戻り、ようやく、目の前にいるボスに気づく。

一方、セブンは、ベリアルの攻撃をかばおうとして、前身に痛手を負ってしまい、その場に倒れ込む。

それを見たベリアルは、セブンにとどめを刺すように怪獣たちに命ずる。

セブンは、最後の力を振り絞り、アイスラッガーで応戦するが、そのアイスラッガーを、宇宙のワープゾーンに向け投げた直後、その場に倒れ込んでしまう。

K76星では、プロテクターをつけたウルトラマンらしき人物が訓練を続けていたが、その最中、突如崩れて来た崖の下にいたピグモンを救おうと、自らの身体でかばう。

それを見たウルトラマンキングとアストラが近づいて来て、セブンもあの時、今のお前と同じ事をしたのだと話しかける。

力は、誰かを助ける為に使うものだと云う事を諭したのだった。

その時、宇宙の彼方から飛んで来たアイスラッガーが、地面に突き刺さる。

それを見たキングは、ベリアルが復活し、墓場で暴れている、セブンは息子であるお前を待っているのだ。行け!ウルトラマンゼロと、プロテクターを着けた人物に告げる。

キングの言葉に驚いたウルトラマンゼロだったが、プロテクターが外れ、その場から、父セブンを救うため飛び去って行く。

怪獣墓場で倒れていたセブンを助け出したゼロ。

その姿を久々に見たセブンは、「立派になったな…」と言葉を掛け、そのまま息絶える。

ゼロは、そのセブンの胸の上に静かにアイスラッガーを置くと立ち上がり、「ウルトラマンゼロ、セブンの息子だ!」と名乗りを上げる。

そして、ダブルアイスラッガーを駆使して戦い始める。

ベリアルは、今度は俺様が相手だ!と、ゼロの前に立ちふさがる。

そこに、レオとアストラも駆けつけ、一刻も早く、エネルギーコアを光の国へ戻すんだ!と告げる。

そうした中、倒されたと思っていた怪獣たちとベリアルは合体して、巨大合体怪獣が出現する。

ゴモラとレオとアストラは、そのの合体怪獣を相手に戦い始めるが、相手はあまりに強かった。

その様子を見ていたレイは、地面に刺さっていたギガバトルナイザーと自分が持っているバトルナイザーは共鳴出来るのではないかと気づき、バトルナイザーを目がバトルナイザーに向けかざすと、合体怪獣の中の個々の怪獣たちが苦しみ始める。

それを見たレオは、「ゼロ、お前がやるのだ!」と声をかける。

ゼロは、プラズマエネルギーを全身に受けると、二本のアイスラッガーを合体させ、新たな武器を作ると、レオ、アストラ、ダイナ、メビウスたちも、一斉に合体怪獣に立ち向かい始める。

ウルトラマンも必殺の八つ裂き光輪を放つ。

そのウルトラマンたちの一斉攻撃でひるんだ合体怪獣の頭頂部に向かったゼロは、新しい武器で、ベリアルの身体を切り裂く。

ベリアルは、俺は不死身だ!と叫びながらも、合体怪獣は爆発、木っ端みじんに粉砕してしまう。

同時に、ギガバトルナイザーも破壊される。

その様子を見ていたウルトラマンキングは力強く頷くのだった。

その後、エネルギーコアを持って、ゼロとウルトラマンたちは光の国へと戻る。

ペンドラゴンに乗ったZAP SPACYのクルーたちも、はじめて光の国へ降り立って感激する。

その面々をスペースポートで出迎えたハヤタは、人間には、この中の世界の光は強すぎるので、このバリアから中へは入れないと注意しながらも、改めて、レイの今回の協力に感謝する。

ミライも、レイと強く握手する。

そんなZAP SPACYを、アスカが途中まで送って行ってやると云う。

死んだと思っていたセブンも、光の国に戻っていた。

セブンはゼロに、「さすが、俺の息子だ」と話しかけ、ゼロも「親父!」と感激して互いに抱き合う。

エネルギーコアが戻った事で、光の国は復活し、大勢のウルトラマンを前に、ウルトラマンキングが演説を始める。

一方、死んだはずだったベリアルの目が、とある惑星の上で光り始めていた…

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

地球が全く登場しない、ウルトラの国を中心としたウルトラマンストーリー。

全編、背景はマットアートのように見えるCGであり、その前で、着ぐるみウルトラマンたちがアクションを披露する形となっている。

過去のエピソードをベースにしたアイデアが満載なので、オールドウルトラファンにとっては、マニア的に楽しめる展開になっているし、アクションの連続なので飽きる事はない。

ただ、話は直線的で、ふくらみがない事もあり、ゲーム映像を観ているような印象がないではなく、特に大きなサスペンスも驚きも感動もない。

やはり、人間ドラマがないと言うのが一番のポイントだろう。

セブンとゼロの関係など、いかにもありふれた「親子関係のパロディ」にしか見えないし、幼児向けとしてならともかく、大人が満足するような見応え感はない。

この種の特撮ものの特長なのだが、一方で、オールドファンを喜ばそうとする「マニアネタ」を用いながら、もう片方では「ステレオタイプな幼児向けメッセージとか単純なドラマ」を繰り返している。

その辺のミスマッチ感に、どの程度、今の客層が共感するかが興行的な結果に繋がって来ると思うのだが、この作品に関する限り、幼児層はあまり感心がなかったようである。

やはり、新作ウルトラマンのテレビ放映がないせいが大きいのだろう。

一本の作品としては、それなりに良くまとまっている気がするし、従来のミニチュア破壊パターンとは違う見せ方をしていると云う点は評価出来るが、この新しい世界感が、さらに観続けていたいと云うほど魅力的かと云うと、ちょっと首を傾げたくもなる。

ラストなどは、続編を臭わすような終わり方だが、はたして、この世界感のシリーズ化は新たな展開をして行けるのだろうか?