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地球が静止する日

2008年、アメリカ映画、ライン・ダグラス・ピアソン+デヴィッド・スカルパ脚本、 スコット・デリクソン監督作品。

※この作品は、比較的新作ですが、最後まで詳細にストーリーを書いていますので、ご注意ください。

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1928年、インド、カラコルム山脈。

雪山に登っていた一人の探検家が、雪の中に光る不思議な球体を見つけ、その表面に張っていた氷をピッケルで少し削ってみると、球体は光を増した。

気絶していた探検家が目を覚ますと、球体はもう消え失せていたが、右手の手袋の甲の部分が四角く穴がいているので、脱いでみると、右手の甲の一部が光っていた。

現在、プリンストン大学。

地球外生物を教えているヘレン・ベンソン博士(ジェニファー・コネリー)は、授業終了後、仲間から教授会に出ないのか?と誘われるが、家が大変なので帰ると断る。

自宅では、一人息子のジェイコブが、ベッドの上でパソコンゲームに興じていた。

ヘレンはジェイコブの継母であり、実の両親とも早く亡くしているジェイコブは、頑にヘレンの事を母親と認めようとせず、彼女を「ヘレン」としか呼ぼうとしなかった。

そんなジェイコブに手を焼きながらも、夕食の準備をしていたヘレンは、電話を受け、自分の名前と住所を確認されたので肯定すると、すぐ側まで来ているので同行して欲しいと、電話の相手が言ったかと思うと、すぐに、ドアにノックが聞こえる。

怖々ドアを開けてみると、そこには、警官らしき男たちの姿があった。

訳が分からないヘレンだったが、とにかく相手が急いでいるようなので、ジェイコブを近所のイザベルに頼むと、自分はパトカーに乗り込む。

パトカーは、道路封鎖された道を猛スピードで空港に向かう。

そこに待ち受けていた輸送ヘリに乗り込んだヘレンは、自分と同じように集められた男たちが大勢乗っている事に気づく。

彼らは、自分たちは科学者であり、それぞれの専門も多岐に渡っていると自己紹介し合う。

過去、軍事訓練として、このような経験をした事があると言う科学者もいたが、そんな彼も、今回は「ごっこ」じゃないと断言する。

やがて、彼らを乗せたヘリは、ニュージャージー、リンウッド、軍事訓練基地に到着する。

そこでは、カメラ、ケイタイの類いは全部預ると、通達がされていたので、思わずヘレンはケイタイを隠してしまう。

ヘレンは、知り合いのマイケル・グラニエ博士(ジョン・ハム)と出会い、彼が自分を名簿に乗せ、ここへ呼び出した事を知る。

ヘレンら集められた科学者たちは、スペースガード計画で発見された、秒速3万キロで太陽系に接近している道の物体が、間もなく、地球と衝突するコースをたどっていると教えられる。

迎撃ミサイルの準備もしているが、衝突まで後78分しかなく、どんな準備も間に合わないようだった。

トイレに入ったヘレンは、ジェイコブにケイタイから電話を入れ、地下室に逃げ込むように頼むが、ジェイコブは興味なさそうに電話を切ってしまう。

その直後ドアがノックされ、女性兵士が、ケイタイですか?と言いながら、哀しそうに手を差し出して来る。

ヘリに乗ったヘレンらは、摩天楼で付近で、謎の物体の衝突に供えていたが、突如、迎撃ミサイルは中止になったと知らされる。

さらに、衝突予定時間になっても、衝撃がない。

何と、謎の物体は、スピードを緩めていると云う。

巨大な謎の物体は、セントラルパークへ着地する。

科学者たちは、ただちに近くに着陸したヘリから降り立ち、球体に接近する。

さらに、軍隊や警察もやって来て、球体を取り囲む。

球体の光の中から、何やら人影らしき姿が現れ、ヘレンに手を差し伸べて来たので、ヘレンも思わず手を伸ばしかけるが、その時、一発銃声が響き、光の中にいた灰色の人影から噴き出した血液らしきものが、ヘレンの防護服に降りかかる。

誰が発砲したかは分からなかったが、軍隊も警官たちも攻撃するなと制する。

灰色の人影が倒れた直後、その背後から、巨大なロボットのようなものが出現し、周囲のパトカーのライトや機械類などが一斉に止まってしまう。

武器を持っていた兵隊たちも皆苦しみ始めるが、しばらくすると、元の状態に戻る。

科学者たちは、倒れた灰色の宇宙人の身体を手術室に運び込み、緊急手術を始める。

驚いた事に、灰色の表皮の中には、人間そっくりの宇宙人が入っていた。

弾丸摘出の手術は成功し、保護フードの中に眠っていた人間型宇宙人が目を覚まし、パニック状態になったので、思わずヘレンが駆けつけ、あなたを助けるから怖がらないでと話しかけてみるが、彼女の顔を見つめ返している宇宙人も、「君たちを助ける。怖がるな」と答える。

それを聞いていた科学者たちは、ヘレンの言葉をおうむ返しに言っているだけだと解釈する。

セントラルパーク事件は世界中に報道され、あちこちでパニック状態が起きていた。

国防長官レジーナ・ジャクソン(キャシー・ベイツ)は、飛来した謎の球体が、アメリカ軍の防衛システムを全て突破していた事に危機感を募らせていた。

イケガワ博士(ヒロ・カナガワ)は、宇宙人のDNAを解析し、脳と身体、表皮部分は三つの別のDNAから成り立っていたとレジーナに報告する。

表皮と思われていたのは、バイオ工学を使った宇宙服だったのだ。

地球に適合する為、身体に人間のDNAが使われているのは、過去に地球に来て採取した可能性があると云う。

レジーナは、水を求めている宇宙人を始めて見て、彼が地球の言葉を話す事に驚く。

クラトゥ(キアヌ・リーヴス)と名乗った宇宙人は、人間の身体に適応するのに時間がかかるとヘレンに話す。

前はどんな姿だったのかとヘレンが聞くと、言えば、君が怖がるとクラトゥは言う。

地球へは何しに来たのかと尋ねると、文明を代表して来たので、この近くに世界の代表が集まる場所があるはずだから、そこで話したいと云うが、それを側で聞いていたレジーナは、それは無理よ、自分が聞くと話に加わる。

私のたちの星に何しに来たのかとレジーナが再度聞くと、君たちの星?それは違うとクラトゥは否定する。

らちがあかないと感じたレジーナは、クラトゥの部屋からはなれた所で、ヘレンに彼らの目的を探るよう命ずる。

ヘレンは、自白剤の代わりにこっそり生理食塩水を持ち出し、それをクラトゥに注射する。

クラトゥは、自分を守ろうとしたロボットは、私を攻撃されると自動的に起動するようになっていると教える。

その後、車いすに乗せられたクラトゥは、自白室に連れ込まれ、嘘発見器を装着される。

質問者は、地球が攻撃の危機にあるのか?と問いかけるが、その途端、嘘発見器のモニターの波形は変形し、質問者は電撃を受けたように反り返る。

そんな質問者にクラトゥは逆に、この基地への進入路と暗証番号、質問者が着ている服のサイズを聞き出す。

クラトゥはさらに、周囲にいるガードマンたちの一を察知すると、彼らが耳に付けているレシーバーを通し、パワーを送り込むと、全員倒してしまう。

そして、質問係が来ていたスーツを着込んだクラトゥは、基地を抜け出すのだった。

クラトゥの逃走を知ったレジーナは、彼を脱獄犯だとして指名手配するよう、緊急配備を発する。

ペンシルベニアのニューアーク駅に到着したクラトゥは、全線ストップしている状況を知ると、構内の自動販売機を操作し、サンドウィッチを取り出すと、それを食べながら、構内にある巨大テレビジョンで、大騒ぎになっている世界情勢の映像を眺めていた。

しかし、体調の異変に気づいたクラトゥは、洗面所に向かうが、右胸の手術跡から出血していた。

クラトゥはその場に昏倒してしまう。

自宅に戻っていたヘレンは、警察からいきなり電話を受け、あなたの患者さんがいると伝えて来る。

ヘレンは自分は医者ではないがと当惑するが、ここにいる人があなたの薬を待っていると聞くと、クラトゥの事だと察し、すぐにジェイコブを連れ、彼が収容されていた警察署に向かい再会を果たす。

自分の車に乗せ、取りあえず、その場から走り出したヘレンは、あなたは、私たちの敵なのかと聞くが、自分は地球の味方だとクラトゥは答えながら、ヘレンが持て来た薬を、右胸に塗る。

すると、そのクラトゥの傷は、見る間に治癒して行く。

その頃、軍は、セントラルパークに立っていたロボットを破壊するため、無人偵察機を二機飛ばしていた。

しかし、そこから発射したミサイルは、ロボットのモノアイから発射された光線で瞬時に破壊され、無線操縦していた偵察機も又、ロボットに操られ、地上に激突して大破してしまう。

ヘレンの車の後部座席に乗っていたジェイコブは、セントラルパークに飛来した宇宙人は殺した方が良いと、パパなら殺したはずと、前の席にいる二人に話しかけていた。

もちろん、まだジェイコブは、クラトゥの事を知らなかった。

逃げるべき?戦うべき?と、ジェイコブから聞かれたクラトゥは、両方ダメだ。無駄だと答える。

クラトゥが指定したマクドナルドの前に車を停めたヘレンは、ジェイコブがトイレに行っている間に、ジェイコブの父親は軍隊で技師をやっていたが中東に派遣された時死亡した事、その彼の前の妻は、ジェイコブを生んですぐに死んでしまった事などをクラトゥに教えていた。

しばらくすると、中国人の若者と老人が店の前に来て、その老人の方が、クラトゥが待っていた相手らしかった。

クラトゥは、店の中で、老人と中国語で話し始める。

その間、ヘレンとジェイコブ、中国人の若者は、離れた別のテーブルで待っていた。

彼の仲間なのかとヘレンが若者に聞くが、若者は何も知らない様子。

老人は、人間は破壊的なだけで、哀しいのは、自分らの運命を知っている事だとクラトゥに教える。

それを聞いたクラトゥは、では出発の準備をしようと答えるが、老人が自分は地球に残ると言い出したので、今、人間は破壊的なだけだと云ったではないかと不思議がる。

70年間住んで来て、今はここがわしの家だ。人間には、別の面もある。わしは今、人間として生まれて来て良かったと思っている。晩年になって考えが変わったと老人は続ける。

その頃、軍は、まだロボット捕獲作戦を懲りずに続行していた。

収容パネルで三方からロボットを包囲し、梱包してしまう事に成功すると、それを別の施設に輸送する。

中国人と別れたクラトゥは、ヘレンの車で森の中に入って行くと、一人車を降りどこかへ姿を消してしまう。

その間、車で待っていたジェイコブは、あの人は誰かと聞くので、ヘレンは友達と答えるしかなかった。

とは言え、彼の行動が気になるヘレンは自分も車を降り、こっそり、彼が向かった方へ行くと、そこには池があり、その水面から小さめの光る球体が浮かび上がる所だった。

向こう岸にいたクラトゥが何か念じており、池の中にいた生物たちは、一斉にその中に入って行く。

その頃、地球上の各地では、同じような小さめの球体が出現していた。

レジーナは、モニターでその様子を見ていたが、その球体の中に蠢く姿が、イカやタコだと知って驚く。

車に一人取り残されていたジェイコブは、自分も車を降りると、勝手に歩いて帰りかけるが、森の中に光を観て立ち止まる。

世界中の球体が光を放ちながら飛び立ち始める。

今では、セントラルパークに飛来した巨大な球体だけが残っていた。

車の所に戻って来たクラトゥとヘレンは、戻って来たジェイコブを車に乗せると、この星は死にかけている。人類が殺したのだ。地球を人類から救うのだ。人類が死滅すれば地球は助かる。決断は下されたと、クラトゥはヘレンに伝える。

その時、一台のパトカーが近づいて来る。

指名手配の男がいる事に気づいたようだった。

警官は、子供に降りるように言い、ヘレンと共に自分の方に来るように命ずると、十を突きつけながら、クラトゥに車に手をつくよう命じながら応援を呼ぶ。

クラトゥは「痛みは一瞬だ」と言いながら、ヘレンの車に手をつくと、急にその車がバックし、警官をパトカーとの間に挟んで倒してしまう。

それを目の当たりにしたジェイコブは「人殺し!」と叫ぶ。

クラトゥは、倒れた警官に近づくと、パトカーに片手を起き、赤色灯などを発光させると、もう片方を警官の頭に添える。

すると、警官はけいれんを起こして生き返る。

その行為を目撃したヘレンは、「人類を殺す気なのに、今は助けた」と、クラトゥの変化に気づくと、本当の指導者の所に案内させてと申し出る。

その頃、レジーナは、先ほど全世界から飛び立って行った球体は「方舟」だったのだと気づく。

次に起こるのは「洪水」しかなかった。

ヘレンはクラトゥを、カール・バーンハート博士(ジョン・クリーズ)の家に連れて行く。

居間にある黒板に書いてあった難解な数式を一目見たクラトゥは、「惜しい、間違っている」と言いながら、正解の数式を書き始める。

黙って黒板に近づき、クラトゥと一緒に自分の数式を書き始めたのがバーンハート博士だった。

彼はクラトゥの書いた数式を見ると、「本当に出来るのか!」と感動し、新聞に載っていた「セントラルパークの球体」の写真を見つめる。

目の前にいるクラトゥの正体に気づいたのだ。

一方、クラトゥの方は、部屋に流れていたバッハの曲を聴き「美しい」と呟いていた。

しかしその頃、バーモント州の秘密基地に運び込まれていた巨大ロボットは、「ゴート」と名付けられ、分解されかけていたが、地球のいかなる工具を持ってしても、瑕一つつける事は出来なかった。

バーンハート博士の家で一人テレビを観ていたジェイコブは、指名手配されているクラトゥの写真を見る。

居間では、絶滅しかけたので進化したと自分たちの事を説明するクラトゥに人類も危機にさらされるときっと変化するはずだからチャンスを与えてくれと、ヘレンが懸命に説得し続けていた。

その時、三機のヘリが接近して来る音を聞き、クラトゥとジェイコブを連れ、外に逃げ出す。

しかし、ジェイコブは、接近して来たヘリに手を振り、位置を知らせようとする。

電話で、この場所を密告したのはジェイコブだったのだ。

次の瞬間、ヘリから軍人が落下して来て、あっという間に、ヘレンを確保してヘリに上げる。

クラトゥは、残りの二機を念力で落下させる。

森の中を逃げこんだジェイコブは、古びた橋の所でクラトゥに追いつかれたので「殺さないで!」と怯えるが、その時、足下の橋が崩れて川に落ちそうになる。

しかし、その手をクラトゥはしっかり握って助ける。

ジェイコブはすっかり怯え、家まで送ってと訴える。

クラトゥは、しばらく黙っていたが、やがて、こっちだと先を歩き始める。

その頃、ゴートを収容した部屋の中では、防護服を着た一人の修理人が、壊れたダイヤモンドドリルの修理をしていたが、気がつかないうちに、工具の柄の部分が溶けかかっていた。

微細なゴキブリ状の生物となったゴートの一部が、その工具に付着しており、それが休息に分解増殖を始め、工具を溶かしていたのだ。

やがて、修理人の防護服も溶け始める事に司令室の軍人たちは気づく。

さらに、ゴートの身体が、粒子状に分解変化し始める。

司令室で観察していた政府関係者は危険を感じ、逃げ出そうとするが、既に機密保持のため、部屋は施錠されており、誰も逃げ出せない状態になっていた。

雲霞のような状態になった粒子ゴートは、司令室の窓を溶かし、部屋に侵入して来る。

秘密基地の外で待機していた軍たちは、基地から粒子状の黒雲が流れだすと、一斉にに攻撃を始めるが、あっという間に、雲霞状の雲に飲み込まれ、武器も軍人も消え去ってしまう。

クイン大将は、この事態を、レジーな国防長官に報告する。

敵は巨大化し、そこら中に散らばったと。

フィラデルフィアを走っていたトラックが、雲霞状の粒子に飲み込まれ消滅していた。

レジーナは、確保していたヘレンの元へやって来ると、私は大統領に従うけど、あなたは行きなさいと、子供の元へ返してやる。

その頃、無人の山小屋にやって来ていたジェイコブは、電話をかけようとするが壊れている。

しかし、クラトゥがちょっといじっただけで通じたので、ヘレンを呼び出し、あそこで会えるよと伝える。

その後、ヒッチハイクでトラックの荷台に乗せてもらったクラトゥとジェイコブは、ジェイコブの父親が眠る墓に到着する。

父親の墓の前にクラトゥを連れて来たジェイコブは、警官を生き返らせたように、父親も生き返らせてとせがむが、クラトゥは、本当の死と言うものはどういうものか、ただ別のものに姿を変えるだけだと云うだけだった。

失望したジェイコブは、クラトゥを遠ざけると、父親の墓の前で一人泣き始める。

そこにやって来てジェイコブを抱きしめたのは、マイケルの車で送ってもらって来たヘレンだった。

ジェイコブは、「パパは僕を一人ぽっちにした」と泣いていた。

ヘレンはきつく抱きしめながら、パパはいつもあなたの中にいるのよと言い聞かせ、寂しいの?と問いかける。

ヘレンが、ごめんと謝ると、ジェイコブも、僕もごめんと謝り返す。

二人が抱き合う姿を離れた所から見つめていたクラトゥは、ゆっくり二人に近づくと、人類には別の面がある、今はそう感じると伝える。

そんな彼らにも、遠くを飛ぶ粒子の雲が見えた。

ヘレンは「止められる?」と聞くが、クラトゥは「人類が変わらない限り無理だ」との返事。

ヘレンはなおも、「チャンスを与えて!」と頼む。

その頃、レジーナは、大統領と電話で連絡をしていたが、やがて、「分かりました。仰せの通りに」と言いながら電話を切っていた。

ヘレンたちは、マイケルが運転する車でセントラルパークに向かっていたが、途中、軍の検問がある事に気づく。

クラトゥは突破してくれと頼み、マイケルはそうするが、しばらく後を追跡していた軍の車は、媼との司令を受け、停まってしまう。

セントラルパークの巨大球体に接近していたマイケルの車だったが、その時突然、大爆発が起こる。

軍がミサイル攻撃をしたのだった。

マイケルの車は吹き飛ばされ、運転していたマイケルは死亡してしまう。

かろうじて助かったヘレン、ジェイコブ、クラトゥの三人は、横転した車から脱出すると、球体に近づこうとするが、すでに公園は、雲霞状の雲に覆われていた。

やがて、ジェイコブが鼻血を出し、「ママ」とはじめてヘレンに呼びかけると、その場に倒れる。

粒子状の機械が体内に入ったのだ。

ヘレンの身体にも既に侵入したらしい。

クラトゥはそんな二人の手を両手で握ると、二人の体内に入っていた粒子機械がクラトィの体内に逆流して行く。

クラトゥは「教授は正しかった。ピンチになったら、人類は変化する」と言いざま、雲霞の雲の中に飛び込むと、そのまま球体まで突き進んで手を触れる。

世界中の空を飛び回っていた雲霞は急に消え失せるが、それと同時に、世界中の機械や電気が一斉に停止してしまう。

窓から外の様子を見ていたレジーナは、腕時計も8時6分で止まってしまった事に気づく。

セントラルパークの巨大球体は、空に向かって飛び立って行った。

それを見送りながら、ヘレンと手をつないだジェイコブは「あの人が帰って行くんだ」と呟く。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「地球の静止する日」(1951)のリメイク作品。

前作の大まかなイメージは踏襲しながらも、細部はかなりアレンジしてある。

元々、オリジナル版も、メッセージ色の強いSFながら、特に派手な見せ場もなく、ラストのオチの意外性が特長だったくらいの内容なので、今回の作品も、近年のエフェクト映画としてはかなり地味な印象になっている。

ゴートが、無数のマイクロゴキブリ状の集合体となって、地球を破壊しようとする辺りがエフェクト的な見せ場だが、特に斬新なインパクト感はない。

エフェクト効果としては、光る球体表現がきれいなくらいか。

地球は人類だけのものではないと云ったエコテーマや、ヘレンとジェイコブの仲直りの展開は、かなりありふれた印象だし、終止、無表情に行動するクラトゥ役のキアヌも、マトリックス風で新鮮味は薄い。

それでも、ハリウッド娯楽映画としては平均的な出来と云った感じだろうか?

キャシー・ベイツにはすぐに気がついたのに、後でキャスティングを調べるまで、ヒロインがジェニファー・コネリーだったと気づかなかったのには、自分でも驚いた。