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嗚呼!!花の応援団

1976年、日活、どおくまんプロ原作、田中陽造脚本、曾根中生監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

南河内大学応援団の部室では、親衛隊上級生による下級生へのしごきが続いていた。

その親衛隊の一年生、富山一美 (香田修)は、愛媛出身ながら、どこの大学にも入れなかった為、仕方なく南河内大学に入学したのだが、同じ一年生の北口(深見博)と共に、その日は、濡れた大団旗を干すように命じられ、河原の土手に出かけていた。

二人は、別称「なんか大」「ナンパ大」と呼ばれるほどの南河内大学に入学後のクラブ勧誘の日、トルコ風呂研究会でもないかなどと冷やかし半分で校内を歩いていた所を、応援団の副団長に捕まり、半ば強制的に入部させられたのだった。

次に日から、二人にとっては地獄の日々が始まる。

びっしりと決められた応援団の日程スケジュール通りに、しごきまくられる毎日だったからだ。

応援団の中で、一年生は「ゴミ」と呼ばれていた。二年生が「奴隷」、三年生が「人間」、四年生は「神」であった。

そんなしごきをしている部室に、キセルをくわえ、顔に斜めの傷がある学ラン大男が入って来る。

三年生で親衛隊長の青田赤道(今井均)だった。

赤道は、アルサロの女に手を出して、追いかけられていると云いながら、窓を開けて逃げようとしていたが、その外は川だった。

赤道は金槌だったのだ。

そこに乱入して来たのは、日本刀を持ち、制服をぼろぼろにされた交通課の婦人警官今田幾代(伊佐山ひろ子)だった。

彼女は、隣部屋にあった大団旗をまとい身体を隠すと、窓際にいた赤道を逮捕すると息巻きながら、飛びかかって行ったので、二人はそのまま、外の川に落ちてしまう。

今、富山と川口が大団旗を干さなければいけなくなったのは、その時、婦人警官の身体と一緒に大団旗が川に落ちたせいだった。

しかし、南河内大学は運動部が弱すぎ、応援団の出る幕はないに等しかった。

応援団一年生の必需品その一「マッチ」(タイトルロール始まる)

これは、先輩がタバコを取り出すと、すぐに火をつけてやる為だった。

必需品その二「靴べら」

これは、先輩が靴を履く時、すぐ差し込んでやるため。

靴べらを忘れたときは、自分の指を靴べら代わりに靴の中に差し込まなければならなかった。

必需品その三「ハンカチ」

これは、もちろん、先輩が鼻をかむ時、素早くさし出す為だが、うっかり自分の彼女のキスマークが付いたハンカチを副団長に差し出した一年生は、その女を紹介しろと無理強いされてしまうはめになる。

ある日、部室の中で、富山が北口に、南河内大学に入るため、受験勉強はどのくらいしたのかと聞くと、一本指をあげて来たので、「一年か!」と富山が驚くと、「一週間」だと平然と答える北口。

しかし、前田と云う同級生は、もっとすごくて、分数や足し算引き算すらまともに出来ないらしいと云う北口。

富山が、大学生がさすがにそんな事はないだろうと呆れていると、そこに、当の前田が入って来る。

試しに、富山が黒板に分数の足し算を書いて解いてみろと云うと、チョークを持った前田は、うちの学生から喧嘩を吹きかけられた浪速大が殴り込みに来るらしいので、今、幹部たちが作戦会議を開いていると報告しながら、黒板の問題に頭をかしげる。

その言葉通り、食堂で、応援団四年生の幹部たちが、一体誰が浪速大に喧嘩をふっかけたのかと相談し合っていた。

考えられる男は一人しかいなかった。

三年生の青田赤道だ。

浪速大は、今日明日中にも攻め込んで来るとの情報があり、幹部連中はビビってしまい、赤道を探して来いと後輩たちに命ずる。

富山と北口もそれに続こうとしたが、田舎者のお前たちには大阪の町は分からないだろうから、二人は裏口からの奇襲に供えて見張っていろと命じられる。

びびりながら裏口に向かった二人は、やって来る浪速大とはどういう相手なのかと話し合うが、去年、京南大の20人を病院送りにしたらしいと聞き、さらにビビる。

数時間後、赤道を探しに行っていた後輩連中が部室に戻って来て、どこにもいなかったと幹部たちに報告していたが、その頃、暗くなった裏口では、自動車が一台乗り付け、そこからマスクをした学ラン姿の大男が降り立ったので、見張っていた二人は腰を抜かしてしまう。

何とか北口だけがその場を逃げ出し、幹部連中に報告に行く。

幹部たちは、ビビりまくるが、敵が一人だけと聞いて、何とか気を持ち直しかけるが、相手は日本刀を持っていると聞くと、又ビビって、後輩たちを引き連れ裏門に向かう。

そこには、腰を抜かして動けなくなった富山がいたので、相手はどこに行ったと聞くと、便所だと云う。

なおもビビりながら、後輩を従え便所に行ってみると、誰やら大便所に入っている様子。

勇気を振り絞って、副団長が声をかけると、大便所の中から、疣痔がうずく!チョンワチョンワ!と、何やら聞き覚えのあるフレーズが聞こえて来る。

案の定、大便所から出て来てマスクを取った大男は青田赤道だった。

停学中の身ながら、浪速大が攻めて来ると聞いて、助っ人として来てやったのだと云う。

そんな赤道は、富山と北口に一緒に付いて来いと声をかけると、これから先手を打ちに行くと大学を後にする。

赤道は、ジョニ黒をラッパ飲みしながら車を運転しているので、後部座席に乗らされた富山と北口はビビりまくる。

その字土砂の天井部分には、大木を縦に縛り付けていたので、そのまま、浪速大応援部の部室に車ごと突っ込んで行くが、中はもぬけの殻だった。

その頃、南河内大学の応援団の部室では、飛び込んで来た浪速大の応援団たちに、幹部連中も後輩たちも全員、めっためたに叩きのめされていた。

翌朝、いつものように、大団旗を河原に虫干しに行かされた富山と北口だけが、無傷のままだった。

土手に大団旗を広げ、その両脇に寝転がった二人は、上の道を、女子運動部員が走り抜けて行くのを見上げながら、悶々としていた。

その時、近くの草むらから、女の喘ぎ越えが聞こえて来るではないか。

たまらなくなり、その声の方に這って行った二人が目にしたのは、先日の婦人警官今田幾代にのしかかっている青田赤道の姿だった。

そんな二人の様子に見とれている最中、上の道を走り抜けたトラックの助手席から投げ捨てられたタバコが、広げられていた大団旗の上にぽとんと落ちた。

戻って来た富山と北口は、大団旗の中央部分に焦げた穴が開いているのに気づき、これが先輩たちに知られたら殺されるとパニクる。

そんな二人を尻目に、事を終えた婦人警官今田幾代が、「夏はご用心」など口ずさみながら、チャリで帰って行った後、赤道が姿を現し、急に眠くなったと云うと、その場に崩れてそのまま寝てしまう。

その口元には、いつものようにキセルがくわえられていた。

赤道は、寝ながらタバコを吸っていたのだ。

その様子を見ていた富山と北口は妙案を思いつく。

二人して、寝入っていた赤道の身体を抱え、広げた大団旗の真ん中に横たえると、「大変や!」と大声を上げ始めたのだった。

その声に目を開けた赤道は、二人が指差す方を観て慌てる。

ちょうど、自分がくわえていたキセルの近くの旗が、焦げて穴が開いていたからだ。

すっかり、自分がやってしまったと思い込んだ赤道は、二人の一年生を連れて部室に戻ると、四年生たちに謝る。

しかし、謝ったくらいですむ話ではなかった。

幹部たちから、オトシマエをつけろと迫られた赤道は、腹に指したドスを引き抜くと、腹を斬って詫びると言い出す。

富山と北口は、さすがに自責の念に駆られ、自分たちのせいだと赤道を止めようとするが、例え、後輩のせいだとしても、責任は親衛隊長である自分が取ると、赤道は、本当に腹にドスを突き立ててしまう。

しかし赤道、ヒジョーに痛いのよ、医者を呼んでくれと弱音を吐くが、その直後、良い事思いついたと言い出す。

富山と北口は、赤道が書いた果たし状を持って、浪速大の応援部に乗り込んで行く。

安達ヶ原で決戦をしようと云う内容だった。

浪速大の応援団長は、面白いと承諾する。

しかし、南河内大学の幹部たちは、安達ヶ原に出向いてもまだビビっていた。

用意したトラックに乗り込み、やって来た浪速大に突っ込んで行くが、すぐに水たまりにハマってしまい身動きが取れなくなる始末。

形勢有利なまま谷間に突き進んで来た浪速大の連中に向かい、崖上で待機していた赤道は「糞かけ」作戦に出る。

これにはさすがの南河内大学の幹部たちも浪速大の連中もひるんでしまう。

これに乗じて、崖を降りて来た赤道は敵の団長に組み付き、顔面に噛み付いて勝利をおさめる。

後日、南河内大学に大団旗を奪われた浪速大との手打ち式が行われた。

あっさり大団旗を返されると思っていた浪速大応援団長は、自分たちの大団旗も怪我を負ったので、その修理費と部員たちの治療費を払えと云う赤道の要求に度肝を抜かれるが、もう一度勝負しようか?と赤道から迫られると、黙って従うしかなかった。

浪速大から、治療費をせしめた赤道は、後輩たちを引き連れ、ミナミのキャバレーでホステスを独り占めにして泥酔していたが、チンピラに因縁を付けられたので思わず投げ飛ばしてしまう。

そんなある日、南河内大学の野球部が、三部リーグの決勝戦に勝ち進んでしまうと云う珍事が起き、応援団の幹部たちは青ざめていた。

巨大な大団旗を持てるのは、停学中の青田赤道しかおらず、他に持てそうな人間が内部にいなかったからだ。

そんな相談中の部室に呼ばれた、二年生の小林(野崎英則)は、常日頃から靴磨きが得意だと云う事で、その日も、先輩たち全員の靴磨きを命じられる。

小林は、日頃から、上からも下からも突き上げられる一番つらい二年生の立場に苦悩しており、その日も泣きながら、靴を磨き始めるが、やがて、幹部の一人から煙草を刈って来てくれと頼まれる。

金は?と聞くと、ただの紙に「1000円」とその場で書き、応援団のはんこを押したものを渡し、これで買って来い、ツリも忘れるなと命じられる。

唖然となりながらも、その紙切れを持ち、タバコを買いに行く小林の姿を、富山と北口は途中で目撃していた。

小林は,タバコ屋でハイライト二個を買い、例の紙を差し出すが、タバコ屋の主人(長弘)に怒鳴られただけだった。

小林の事が心配になった富山と北口が、その後、部室を覗きに行くと、案の定、小林が一人で靴磨きを続けている。

ノイローゼ状態になった小林は、持参した精神安定剤を大量に飲むが、逆効果が現れ、興奮状態に陥って、暴れ始める。

そこに、幹部たちが戻って来たので、急に静かになった小林だったが、自腹で買って来たタバコを渡すと、ツリまでも要求されたので、泣く泣く自分の金を渡すしかなかった。

幹部たちが部屋を出て行くと、さすがに堪忍袋の緒が切れた小林は、部屋に置かれていた幹部用のジョニ黒をラッパ飲みし始める。

さすがに、その様子を見ていた富山と北口は怖くなり逃げ出してしまう。

そこに、幹部たちが戻って来て、ジョニ黒が全部空になっている事に気づく。

すると、泥酔してソファーに寝ていた小林が起き上がり、幹部たちを「能無しゴリラ」「白豚」「ピーナツもやし」などと呼び始め、あげくの果てに、バットを振り回し暴れ始めるのだった。

その後、幹部たちは、後輩たち全員を河原に集め、大団旗を持たせてみるが、やはり誰一人持ち上げる事が出来ない。

そこに、酔いも覚め、靴を全部磨き終わった小林がやって来て、自分に持たせてみてくれないかと申し出る。

幹部たちは、小林の意気込みを感じ、持たせてみる事にするが、結果は、小林が腰の骨を折ると云う事態に。

救急車を呼ぶよう命じられた後輩たちだったが、その時、富山が、もう一度、自分に大団旗を持たせてくれと申し出る。

再度チャレンジさせてみると、ふらつきながらも、何とか持ち上げた富山が、野球部決勝戦でも、大団旗を持つ役目を仰せつかる。

しかし、当日、見物にやって来た応援団OBの剛田(龍虎=放駒)は、一年坊主に大団旗を持たせよって…と、幹部のふがいなさに呆れる。

その試合には、青田赤道も、自分の代わりに,後輩の富山が大団旗を持つ事になった事を知り、心配して、一人見物に来ていた。

そこに、故郷の実家にいるはずの新子(宮下順子)がやって来たので、赤道は驚いてしまう。

下宿の方に行ってみたら、ここにいると云うので来てみたと云うお新さんこと新子は、赤道の父親(安部徹)の妾として、赤道が中学生の頃から実家に居着いていた女性で、赤道の初体験の相手でもあったので、世の中で赤道が頭が上がらない、唯一の相手だった。

一方、試合の方は、保道大学が優勢で進んで行くが、大団旗を支えている富山は、体力、気力の限界に来ていた。

新子は、家を出されて来たと云う。

赤道の父親から、嫁に行けと、再婚相手を紹介されたのだと云うのだ。

試合は、9回2アウトまで進んでいたが、どうした事か、南河内大学の野球部が、一塁と二塁に進塁してしまい、終了時間が延びてしまう。

大団旗を支えていた富山は、もはや気絶しかかっていたが、車いすに乗った小林が自分を応援に来た事を知り、必死に耐え抜く。

すると、南河内大学のバターがホームランを放ち、逆転勝ちを成し遂げるのだった。

この試合で、最後まで大団旗を支え通した富山は、一躍男を上げる。

その日、その富山を中心とした応援団一年生は、得意げに繁華街を練り歩いていたが、チンピラたちにからまれている初江(水原ゆう紀)と云う一人の若い女性を見かけ、助けてやる。

一方、赤道は、新子と共に、鉄板焼き屋で向かい合っていた。

赤道は、まだ、新子が嫁に行く事に納得しかねているようだった。

そして、自分が童貞を新子に捧げた日の事を思い出していた。

スパルタ教育の父親から、剣道でしごかれまくっていた中学生時代の赤道は、ある日、近くの林の中で、表面に新子と女性器の絵を彫り込んだ木を抱きしめ自慰をし始める。

その時、たまたま近くを通りかかった新子は、足下まで飛んで来た赤道の熱い体液に気づき、赤道の自分への気持ちを知ると、その場で赤道を草むらに誘い込むと、自らの身体を差し出すのだった。

その時の気持ちがわき上がったのか、鉄板焼き屋の赤道は、思わず、新子に抱きつこうとするが、新子は、ボンとはあの時限りと、神様に誓ったのだと言い、拒絶する。

その後、一人で歩いていた富山は、さっき助けてやったあの初江と再会し、二人で町をぶらつくが、初江は大阪に家出して来たので、家などないし、今では身体を売る店に売られてのだと身の上話をする。

そこに、先日の愚連隊が仲間を連れて現れ、富山を袋だたきにし始める。

しかし、ちょうどその場にやって来たのが、新子との事でむしゃくしゃしていた赤道だった。

赤道は、愚連隊相手に大暴れを始め、又、悪さをしてしまった。お新さん、叱らんといて…と呟くのだった。

気絶していた富山が目を覚ますと、そこは初江の店だった。

初江は、自らの身体を富山に差し出す事で、助けてもらった礼をしようとするが、富山は狼狽する。

しかし、結局は、初江の云うがままになるのだった。

赤道の様子は、後輩たちの目から見ても明らかにおかしくなっていた。

停学が解かれた赤道が部室でエロ雑誌を読んでも、興奮していない様子。

そこに、新子から電話が入り、結婚は諦め、一人旅に出る事にした。ついては、明日午後5時「上方」と云う旅館で待っていますと云う連絡だった。

喜んだ赤道だったが、そこにOBの剛田と幹部たちがやって来て、明日は、大学対抗駅伝があるので、大団旗を終日持ってくれと依頼する。

しかし、それを聞いた赤道は、それでは、明日、新子に会えないと知り、親衛隊隊長を辞めると口にするが、停学を解除してもらうため、学校に頭を下げたと云う剛田から頼まれては、断れなくなってしまう。

翌日、大学対抗駅伝が始まり、赤道は、大団旗を通過地点ごとで持ち上げるはめになる。

途中は、トラックで移動し先行していたが、第三地点を過ぎた辺りで、団長たちは、その移動用トラックのタイヤをパンクするよう仕掛け、赤道を困らせようと企んでいた。

案の定、第四地点に向かっていたトラックはパンクを起こし、予備のタイヤも全部、空気が抜かれていると富山たちが気づく。

それを知った赤道は慌てず、全員で、大団旗や太鼓を走って運んで、ランナーたちを先行しようと言い出す。

別の車で移動していた幹部たちは、走って次の地点に現れた後輩たちをあざ笑っていた。

赤道と親衛隊たちは、体力の限界に近づいていたが、応援団に命を捧げている以上、ここで死んでも良いのだと云う赤道の言葉に励まされ、その後も必死に山を登って行く。

その頃、旅館「上方」の一室では、新子がやって来ぬ赤道を待ちくたびれていた。

駅伝の方は、毎度弱い南河内大学のアンカー前のランナーが力つき、道に倒れ込んでいた。

これでは、世間の笑い者になると焦った剛田は、急遽、赤道に最終ランナーになってくれと頼む。

では、大団旗は誰が?と云う団長に、剛田は、お前は、顔が赤道に似ているから、お前が持つんだと言い出し、マジックで、団長の顔に、斜めの傷と口ひげ、もみあげなどを書き始める。

一方、車の中でランナーのユニフォームに着替えた赤道は、たすきを受け取ると、最終ランナーとしては知り始める。

赤道のスピードは超人的で、あっという間に、先行していた他の大学の先週たちをごぼう抜きして行く。

とうとう、その勢いでゴールまで切ってしまい、万年最下位チームだった南河内大学が優勝してしまうが、赤道は、ゴールを過ぎてもそのまま、旅館「上方」目がけは知り続ける。

「お新さ〜ん!」と叫びながら…

しかし、到着した「上方」の部屋には、「さようなら 新子」と書かれた置き手紙が机に置かれているだけだった。

その置き手紙にしたたる水滴は赤道の涙か汗か?

やおら、赤道は暴れ出し、その部屋を壊し始める。

その夜は、剛田が後輩たちを飲みに連れて行ってくれ、酔いつぶれた赤道を剛田が背負って帰っていたが、その途中、富山が一人で帰ると言い出す。

剛田は、そこで、解散と云う事にし、富山、北口、前田の三人は、初江の店の前に来る。

しかし、初江は二階で客を取っている所だと云われたので、外に立っていると、二階の窓から姿を現した初江が、自分は親のすねかじりの金などで買える女ではないと、急に冷たい態度を取ったので、富山は唖然となる。

北口は、ここは俺らのようなものが来る所ではないと富山を連れ帰ろうとしたが、富山はそこを動こうとはせず、窓を閉め、客の対手をし始めた二階の初江に対し、応援をし始める。

「フレー!フレー!初江!」

それで、北口たちも、声を合わせる事にする。

「頑張れ頑張れ!初江!」

その下から聞こえて来る声を、布団の上で客に組しかれた初江は、暗い目で聞いていた。

失恋した赤道が大団旗を翻すのを先頭に、応援団立ち全員は、道路を静々と行進続けていた。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「週刊漫画アクション」で人気だったコミックの実写映画化。

映画版を観る限り、いわゆる痛快な「不良系アクション」や「ハチャメチャ系のギャグマンガ」と云うよりも、軍隊の新兵イジメのような素材に近い、一種のペーソス映画のような印象を受ける。

主人公たる青田赤道が大暴れをするかと云うとそうでもなく、いつも停学を食らっているので、ドラマの所々に登場する狂言回しと云った感じ。

赤道と新子の関係は、過去の「悪太郎」などを連想させる、田舎の坊ちゃんと云った印象で、そう云った設定は古風と云うか、ちょっと古めかしく感じないでもない。

宮下順子や水原ゆう紀、ほんのちょっと登場する安倍徹以外は、ほとんど無名の新人しか登場しないこの見るからに低予算映画は、どう贔屓目で観たとしても、いかにも添え物映画レベル以上のものではなく、当時ヒットして、三作もシリーズが続いたと云う事がにわかに信じられない気がする。

たえずキセルを口にくわえている赤道は、アフレコでセリフをはめているのではないか?

劇中に登場する「山の上の大学シーン」は、当時出来たばかりの、多摩美八王子校舎である。