1969年、東映京都、横山光輝原作、井上勝脚本、倉田準二監督作品。
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眼鏡をかけると君たちも忍者の仲間入りをするよ。忍者の世界に突入だ!
合図はこれ! 赤い仮面!
タイトル
豊臣秀吉が、まだ木下藤吉郎と名乗っていた頃、琵琶湖の南に、金目教と名のる怪しげな新興宗教が興り、信じぬ者には祟りがあると恐れられた。
藤吉郎は、その秘密を暴くため、秘かに乱波(らっぱ)を当地に放っていた。
霞谷の奥深く、村人の信者たちの前で祈祷をしていた甲賀幻妖斎(天津敏)は、棍棒の先をたいまつの火にかざし、火をつけると、それを天空高く放り投げた。
すると、闇の中から、巨大な石像「金目様」が出現する。
その金目様の目が大きく見開かれ、金色の瞳が現れたのを見た幻妖斎は、この中に、金目様を信じぬ者がいる。見よ!金目様の仏罰を!と叫ぶ。
すると、金目様の目から光がほとばしり、その光に照らされた二三人の信者は身体が動けなくなってしまい、そこへ、金目様が片手に握っていた石鎚が落下して、押しつぶされてしまう。
そのものたちこそ、信者に紛れ込んでいた乱波だった。
乱波からの連絡が途絶えた事を案じた木下藤吉郎(大辻伺郎)は、横山城の天守閣の中で軍師竹中半兵衛(里見浩太朗)に相談するが、半兵衛はすでに、飛騨の忍者を呼ぶため火玉を打ち出したと言う。
何の事かと藤吉郎が戸惑っていると、天守閣の中に、突如、シャボン玉のようなものが出現し、その中から赤い仮面を付けた若い忍者飛騨の赤影(坂口徹)と、子供の忍者青影(金子吉延)が出現し、金目教を探り、乱波を救出するのですね?と半兵衛に問うので、藤吉郎が驚いていると、我らは人の心を見る事が出来ると赤影が答え、そのまま、青影と共に外へ飛び出して行く。
旅人に化けて霞谷近くに来ていた青影は、敵に捕まり、相棒はどこかと問いつめられていた。
何の事か分からないととぼける青影だったが、乱波から奪った「貝殻こだま」で、全てお見通しだと追求される。
その時、赤影が登場する。
青影は分身の術で敵の目を欺き、赤影の方は、棍棒を振り回す鬼念坊(芦田鉄雄)と戦い始める。
赤影は、眼鏡をかけるよう観客に呼びかける。
赤影から斬られた鬼念坊は、草むらに倒れて、黒い影だけが残るが、その跡を調べた赤影は、血が落ちている事に気づき、その後を追う事にする。
血は、とある五重塔の所まで続いていた。
しかし、その塔の上で待っていたのは、蝦蟇法師(近江雄二郎)だった。
血の痕は、赤影をおびき寄せるための罠で、鬼念坊はとっくに仲間が連れて行ったと言う。
赤影の周囲に突如出現する忍者たち。
赤影は、彼らと戦いながら、大きくジャンプすると、塔のてっぺんの九輪の所に横に吸い付く。
横のお堂の屋根に飛び移った蝦蟇法師は、「忍法蝦蟇変化!」と叫ぶ。
すると、口から火を噴く巨大な千年蝦蟇が出現する。
赤影は、大蝦蟇の背中に飛び乗ると、刀で皮膚を刺すが、一向に効かない様子の蝦蟇は、五重塔を倒してしまう。
「勇気のある子は眼鏡をかけて!」と赤影が観客に呼びかける。
千年蝦蟇は手強かったが、橋の所で赤影が爆弾を投げると、橋が破壊され、千年蝦蟇は谷底に墜落して死んでしまう。
赤影は、青影の姿が見えない事に気づく。
青影は、霞谷の悪童子(大城泰)に捕まっていた。
甲賀幻妖斎は、その子を使って、赤影を誘い出せと命ずる。
青影を探しまわっていた赤影は、自分の名を呼ぶ声に立ち止まる。
その声が言う方向に目をやると、確かに沼の上に浮かぶ小舟に、青影が縛られて乗せられているではないか。
その船には、火薬が仕掛けられており、今しも火縄が燃えていると言う。
青影は、罠です。来ないで下さい!と叫ぶが、赤影は、細い鉄糸を小舟に引っ掛けると、その上を綱渡りの要領で渡り、小舟に近づこうとする。
すると、沼の中に潜んでいた忍者たちが飛び出して攻撃を仕掛けて来る。
さらに、空から落ちて来た爆弾で、沼の表面が燃え始めたではないか。
爆弾を落としていたのは、忍び凧に乗った悪童子だった。
しかし、次の瞬間、悪童子が凧に身体を縛っていた紐の一部が切断され、悪童子は落ちそうになる。
近くに、「影」の文字が書かれた別の大凧が出現したのだ。
それに乗っていたのは、赤影、青影と同じく、飛騨の忍者白影(牧冬吉)だった。
赤影は、この援軍の登場もあり、急いで鉄糸を渡りきると、小舟の中に置かれた爆弾を沼に捨てる。
次の瞬間、沼の中で大爆発が起きる。
空の上では、白影と悪童子が凧合戦をしていたが、悪童子の方が振り落とされてしまう。
やがて、地上に降りて来た白影に、どうしてここに来たのと青影が聞くと、一人で飛騨に残っていたのでは、気がもめるばかりだからと白影は説明する。
こうして三人そろった飛騨忍者たちは、一路、霞谷に向かうが、近くの神社に出現した甲賀幻妖斎が、その後ろ姿を忌々しそうにを睨みつけていた。
赤影、青影、白影の三人は、船で川を下っていた。
やがて、白影が操っていた竿が動かなくなる。
川の真ん中で停まった船目がけ、川岸の草むらに潜んでいた忍者が大筒を発射し、船は木っ端みじんに破壊される。
飛騨忍者たちのとどめを刺そうと、水蜘蛛を使い、破壊された船に近づいた忍者たちは、逆に全員、水上で大爆発してしまう。
敵にしてやられたと感じた傀儡甚内(波多野博)は、急いで仲間の忍者たちの元に戻るが、声をかけても、草むらに立って待っていた忍者たちは誰も返事をしない。
おかしいと思い、一人の肩に触ると、その忍者は死んでおりばったり倒れてしまう。
周囲に立っていた忍者たちも同様だった。
全員、立ったまま死んでいたのだ。
驚いて周囲を見回す傀儡甚内は、木の上から聞こえて来る笑い声に気づいて見上げる。
高い枝の上に乗ってこちらを見下ろしていたのは赤影だった。
次の瞬間、飛び降りる赤影と、飛び上がる傀儡甚内が交差し、木々の間で戦ううちに、赤影の投げた蜘蛛の糸に、傀儡甚内は絡めとられてしまう。
傀儡甚内は舌を噛んで死のうとするが、一瞬早く首を押さえ、それを止めた赤影は、金目の所に案内してくれと命ずるのだった。
行者姿に身をやつし霞谷に向かっていた赤影たち三人は、横山城の竹中半兵衛が放った鳩の通信文で、堺から運ばせていた鉄砲隊が途中で妨害されたと知る。
白影は、自分は、その鉄砲隊の護衛に向かうと言い出し、大凧を瞬時に組み立てると、その場から飛び立って行く。
その後、赤影は、竹中半兵衛への返信を鳩にくくり付け放つが、その鳩の飛ぶ様子を小型望遠鏡で観察していた青影は、飛び立った直後の鳩が、何者かに落とされたのを見たので、様子を見るため、その場所へ一人走って行く。
やがて、林の中の一軒堂の前にたどり着いた青影は、お堂の中から現れた甲賀幻妖斎に、鉄砲隊の護衛に向かったのは白影か、今、鳩の通信文を読ませてもらったと言う。
そして、お前らを一人一人にしてやっつけてやると不気味に笑うと、お堂の中に姿を消す。
それを追って、お堂の中に青影が飛び込むと、もうそこには甲賀幻妖斎の姿はなく、お堂は分解して、いつの間にか、檻の中に青影は閉じ込められていた。
そこに、鉄砲をかまえた忍者軍団が近づき、青影を射殺しようと身構える。
次の瞬間、林の中の竹が次々と切断され、忍者たちは倒れて行く。
赤影が駆けつけたのだった。
助けてもらった青影は、金目教の教祖は、我々を一人一人にしてやっつけると言っていたと赤影に教える。
その頃、堺から鉄砲を運ぶ輸送隊の上空に到達した白影は、上空から声をかけるが、輸送隊の護衛たちは、いきなりその白影目がけて発砲し始める。
誤解するな!味方だ!と白影は慌てるが、鉄砲隊の攻撃は止まない。
それもそのはず、鉄砲を運んでいた護衛は、全員、金目教の配下に乗っ取られていたのだった。
護衛の頭領は、朧一貫(阿波地大輔)と正体を明かず。
敵と分かった白影は、凧の上から爆弾を投下するが、「忍法おぼろ交し」で、ことごとくはねつけられてしまう。
しかし、次の瞬間、朧一貫の近くで爆発が起きる。
その爆弾を投げたのは、白影の身を案じて駈け参じた青影だった。
援軍が来たのを知った朧一貫は、近くの崖に逃げ込み、凧から地上に降り立った白影もその後を追う。
しかし、大きな鉄下駄を脱いだ朧一貫の足は想像以上に早く、あっという間に崖の頂上まで登りきってしまった。
崖の途中で疲れた白影が降りて来い!と怒鳴ると、上にいた朧一貫は、脱いだ鉄下駄の緒の部分を引っ張っていた。
すると、下駄の裏から、巨大な刃がにょっきり飛び出して来る。
白影は、観客に向かい「そろそろ眼鏡をかけた方が良いのではないかな?」と呼びかける。
「忍法はげたか!」と叫んだ朧一貫は、両手に持った鉄下駄を羽ばたかせながら崖を飛び降りる。
下駄から生えた半円形の刃が白影を襲う。
地上に降りた朧一貫は、又、下駄を持った両手を羽ばたかせ、崖の上まで飛び上がる。
それを数度繰り返すが、白影が投げた手裏剣に当たると、朧一貫の身体はぺらぺらの紙切れになってしまう。
配下の霞谷七人衆が全て倒された甲賀幻妖斎は、霞谷の奥で祈祷を続けながら、「金目様の怒り、見せてくれようぞ!」と叫ぶ。
すると、巨大な石像の金目像の座像が起き上がったではないか!
金目像は、吊り橋を渡り、谷から逃れようとしていた村人たちの中の娘、楓(恵とも子)を掴む。
村人たちの逃走を護衛していた赤影は、白影と青影に向かって「八方崩しだ!」と告げる。
その赤影は、吊り橋の上に戻りながら、独特のポーズをしながら分身の術を使う。
そして、空に飛び上がると、袖口から金目像に向かい、ロケット砲を発射し始める。
その間、白影と青影は、同じく袖カバーを外し、そこから火薬を周囲の地面に撒き始める。
ロケット弾攻撃にひるんだのか、金目像は、右手に握っていた楓を離してしまう。
落下する楓は、空を飛ぶ赤影によって抱きとめられた。
甲賀幻妖斎は、最後の甲賀忍法を念ずる。
すると、にわかに地震が起こり岩肌が崩れ、空も猛烈な雷雨となる。
しかし、赤影の逆転の術で、落下していた岩は、逆回転するかのように、崖の上にいた甲賀幻妖斎の上に飛び上がって落ちる。
その下敷きになった甲賀幻妖斎は、息絶える。
赤影は、金目像のとどめを刺す為に、白影たちが撒いた火薬目がけて爆弾を投じ、金目像の足下は大爆発を起こして崩れる。
その雪崩と共に、金目像も谷底に落下し、二度と動かなくなってしまう。
画面に一人登場した赤影は、観客に向かって、突然パンチを三発繰り出す。
そして「今ビックリしなかった人は、忍者のテストに合格だ!」と笑顔で言うのだった。
▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼
往年のテレビの人気特撮時代劇の映画版。
基本的には、第一部「金目教編」を編集したものに、新たに新撮した3D部分を加えた形になっている。
3D部分は、赤影や白影が劇中で「青と赤のセロファンが左右に付いている特殊眼鏡」をかけるよう呼びかけ、赤い仮面が大写しになるので、子供でも分かようになっているが、粒子が粗く16mmで撮影していたと思われるテレビオリジナル版と、35mmで撮られたと思われる新撮部分は、明らかに画質が違うので、大人であれば、すぐに気がつく。
棍棒を振り回す鬼念坊と草むらで戦うシーン。
蝦蟇法師が操る千年蝦蟇と戦うシーン。
朧一貫が「忍法はげたか」で白影を攻撃するシーン。
…などが3D処理になっているが、スクリーンで眼鏡をかけてみても、正直、3D効果はほとんど感じられない。
そのシーンは眼鏡を取ると、赤と青の色がだぶっているように見え、見難いので困ってしまう。
中でも3D効果が感じられたと思うのは「忍法はげたか」のシーンだろうか?
皮肉な事に、一番立体的に感じられたのは、最後に、赤影が観客に向かいパンチを三度繰り出す所。
広角レンズか何か使用しているのか、この最後のシーンは、眼鏡を使わず、裸眼で観ているのに、一番赤影のパンチが飛び出して見えた。
物語自体は、テレビの編集版なので、ちぐはぐな部分も多いが、凧が飛ぶシーンにヘリコプターやセスナ機の音がかぶっていたり、奇想天外な衣装やアクションの連続は、今観ても驚くほど奇想天外で面白い。
さらに、お馴染みの「忍者マーチ」が5分に一度くらいの割合で流れるので、子供でなくとも,ノリノリの気分になる事請け合い。
甲賀幻妖斎を演ずる天津敏の、迫力ある存在感も不滅である。