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制服の乙女たち

1955年、東宝、京中太郎+北田一郎脚本、青柳信雄監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

平和学園の音楽教室で、一人の女学生が、ニラミ先生とあだ名を付けられている南先生(岡村文子)のピアノ伴奏で、スコットランド民謡「アニー・ローリー」を唄っている。

この学園校長峯村鶴代(吉川満子)の娘で、歌が得意な二年生で、成績が学年一番と云う優等生峯村知子、通称トンちゃん(雪村いづみ)だった。

授業が終わり、中庭に出た知子は、寄宿舎のクラスメイトで、3年生の成績一番を誇る三宅京子(青山京子)と、キャッチボールをしようとグラブを手渡す。

しかし、指導係のガマ先生(森川信)に見つかり、優等生同士、しかも女性が野球をやるなどダメだよと注意され、グラブを没収されてしまう。

その頃、校長室では、重要な会議が行われていた。

学園の後援者でもある藤原財団の御曹司、藤原秀也が、間もなく留学先から帰国すると云う事で、その花嫁候補を学園内から選出しようと云う会議だった。

財閥と縁が出来れば、今後の学園の発展に大きな期待が出来ると云う計算からだった。

ホワイトリストと呼ばれる成績優秀者6人の名前が記された名簿の確認が行われていたが、当然ながら、三宅京子、峯村知子両名の名前も記されていた。

その時、校長室の窓ガラスが割れ、ボールが飛び込んで来る。

そのいたずら者が、三宅京子、峯村知子両名と分かったので、二人は後で校長室に来るよう呼び出される。

この二人は知らなかったが、藤原財閥の御曹司の花嫁候補が学園内から選ばれており、最有力候補は三宅京子、峯村知子両名の競り合いらしいと云う事や、藤原秀也と云う人物は今、ロンドンで動物学の研究をしていると言う噂は、学園中で知られていた。

寄宿舎に戻って来た二人だったが、知子は寄宿舎内の音楽部へ、京子は外出すると出かけてしまう。

知子は、音楽部で出迎えた他の女子部員たちから花嫁候補の事をうらやましがられるが、全く興味がなさそうに得意の喉を披露する。

一方、京子は外の練習場で黙々と柔道の練習に励んでいた。

夜、寄宿舎の委員長である京子がいないので、代わりに副委員長が、学校からの通達を渡されたと云いながらみんなに読み始める。

その内容は、それまで自由奔放が校風だったが、これからはもっと日本女性らしい淑徳円満な生徒を育成するため、寄宿舎には舎監を置き、門限も設けると云うものであった。

それを聞いた知子ら女生徒たちは、学校は自治会の独立性を認めないのかと憤慨し、こんな大切な時に、委員長の京子さんはどこに行ったのかと困惑する。

その頃、当の京子は、叔父で銀座で寿司屋をやっている三宅正吉(藤原釜足)に店で、寿司をつまんでいた。

正吉は、学校での花嫁候補の話を知っているらしく、何とか京子を当選させてみせると選挙のように息巻き、知子と同じく興味がない京子を呆れされる。

夜中、寄宿舎に戻って来た京子は、二階の部屋から知子が降ろしておいてくれた縄梯子を登って、部屋にたどり着く。

これがいつのも彼女たちの約束事であり、京子は土産に持って来た寿司を、礼の意味も込めて知子に手渡すのだった。

知子は、学校の気風が変わるらしい事を京子に告げると、祖母にこの事を知らせるため手紙を書いたと教える。

翌日、仲良しで近所の郵便局の息子、三ちゃんこと菅野三郎(江原達怡)に、借りていた探偵小説の返却を兼ね、手紙を渡しに行った知子は、大人たちが勝手に、藤原家の花嫁候補選びなどをしている事を馬鹿にし合う。

その日、知子の両親峯村大造(十朱久雄)と鶴代は、藤原家を訪問していた。

出迎えた藤原金作(小川虎之助)と妻雅江(一の宮あつ子)は、二人に、羽田に帰国する息子の秀也は、大袈裟な出迎えをしないでくれと連絡して来たので、自粛してくれと頼むが、峯村夫婦はそう云う訳にはいかないと抵抗する。

平和学園では、髪はパーマが当てられていないか、スカートは膝上5cmまでなど、毎日厳しい身体検査が実施されるようになり、寄宿舎の舎監として南先生が泊まり込むようになる。

4月27日、羽田には、平和学園の生徒全員が教師たちに引率されて出迎えにやって来る。

しかし、その中に、三宅京子の姿だけがいない事に南先生は気づき、慌てる。

その羽田に到着しかけていたプロペラ機の中では、藤原秀也(石原忠=佐原健二)が隣の席に座っていた先輩で新聞記者をしている菅野康介(小林桂樹)に、派手な歓迎が苦手なので、今日一日だけ、先輩が自分に成り代わって芝居をしてくれと頼み込んでいた。

その代わりに、今日一日は何でも自分の言う事を聞くとの秀也の交換条件を確認した菅野は、芝居をする約束をし、飛行機が到着すると、財閥の御曹司らしいポーズをとりながらタラップを降りる。

待ち構えていた執事山田(沢村いき雄)は面食らうが、秀也から耳打ちされ、仕方なく、出迎えた女生徒たちにもみくちゃにされていた菅野をぼっちゃまと呼びかけ、自動車に乗せるが、先に乗っていた秀也と一緒に車が走りはじめてしまったので、置いてきぼりにされた山田は、慌てて追いかける。

菅野の希望で、久しぶりの日本の味を味わいたいと、秀也と共に寿司屋に入った所、そこは偶然、正吉の店で、京子も中で握っていた。

秀也が菅野の事を藤原と呼びかけたのを聞いた正吉は、すぐに、藤原財閥のおぼっちゃまではないかと尋ね、菅野が認めたので、すっかりうれしくなり、隣に立った京子の売り込みを始める。

京子は成績優秀で、パリでピアノの勉強をしている雪江と言う姉が一人いると聞いた菅野は、ちょっと意外そうな顔をする。

しかし、羽田への出迎えにも行かなかった京子は、傲慢そうな態度を取る菅野の事に目もくれず、頼まれた寿司にわさびをたっぷり塗り込む始末。

一方、東朝新聞の記者の菅野と名乗った本物の秀也には、初対面から好感を抱いた京子だった。

菅野から東京見物に連れて行ってくれないかと誘われた京子は、最初は断っていたが、どこにでもついて行くと云う相手を見て、いつもの道場へ案内すると、柔道の相手をさせる。

菅野も秀也も、京子にあっさり投げ飛ばされ降参する。

その夜も遅く寄宿舎に戻った京子は、既に締まっていた門をよじ上り中に入ると、いつものように降ろされていた縄梯子を使って二階の部屋に戻る。

待っていた知子は、ニラミ先生が怒っていた事や、今日出迎えた藤原秀也なる人物は少し頭が足りないんじゃないかと悪口を言うのだった。

翌朝、門に残った足跡を見つけられた京子は、南先生に呼び出され、ブラックリストに載せると脅かされる。

その事を知った知子は、横暴だと両親がいる校長室に抗議に行くが、相手にされないので、それなら私も勝手にボーイフレンドを作ると云い残し立ち去るのだった。

ある日、秀也は、平和学園の寄宿舎に京子を訪ねて来る。

ちょうど、音楽部で唄を歌っていた知子は、二人が建物の下で出会った所を目撃すると、テープレコーダーのマイクをそっと壁伝いに降ろし、壁際で会話している二人の声を録音する。

その録音テープを三ちゃんに聞かせに云った知子は、この男は不良じゃないかと相談する。

探偵小説に夢中な三ちゃんは、京子に今後何か手紙でも来るような事があったら報告するように命ずる。

想像通り、ある日、京子にはがきが届き、そこには、明日3時、明治神宮絵画館前に来て下さいと書かれていたのを盗み見た知子は、翌日、三ちゃんと一緒に尾行をしてみる事にする。

絵画館前で待っていた秀也と会った京子は、いきなりかけっこを始めたり、ベンチの背もたれの方からひらりと飛び越えたりと、スポーツ万能選手である癖をつい出してしまう。

逆に、秀也の方は、京子が怖がる虫の学術的な説明を、うれしそうに始める始末。

そうした二人の様子を、尾行していた知子と三ちゃんは、怪訝そうに観察していたが、二人のラブシーンを三ちゃんが期待していると知った知子は、怒って帰ってしまう。

その後、秀也と京子は、正吉の寿司屋で寿司を食べるが、正吉は、秀也の事を新聞記者だと思っていたので、結婚相手には不安定な職業は良くないなどと、それとなく京子へ嫌みを言うが、京子は気にせず、あなたは好きよとはっきり言ってしまう。

喜んだ秀也は、これからも手紙を出して良いかと聞き、京子から承諾を得る。

その後、秀也からの何通もの手紙が届くようになるが、ある夜、その手紙を寄宿舎の部屋で読んでいた京子に、電話が入ったとの知らせが来る。

舎監の南先生の横にある電話を取ると、意外な事に、それはパリに行っていた姉が帰国したと云う連絡だった。

これから泊っている帝都ホテルに会いに来ないかと云う誘いだったが、それを南先生に申し出ると、今から出かけたのでは、帰るのが門限に間に合わないし、ホテルに外泊するなんてとんでもないと断られてしまう。

どうやら、南先生は、姉からの電話を、最近頻繁に手紙を寄越す不良からのものだと疑っているらしかった。

部屋に戻って来た京子から訳を聞いた知子は、「だんぜん、レジスタンスだわ!」と憤り、京子は勝手に姉のいる帝都ホテルへと向かう。

一方、知子の方は三ちゃんを誘って、夜の学園に忍び込み、ブラックリストを盗み出す事にする。

見回りのガマ先生の目をかいくぐり、校長室に忍び込んだ二人は、目的のブラックリストを見つける。

しかし、校長室の中で蠢く懐中電灯の明かりに気づいたガマ先生が、怖々中を覗き込んで来たので、とっさに二人は肩車をしてシーツをかぶり、幽霊と見間違えたガマ先生が気絶した隙に逃亡する。

しかし、気絶して倒れたガマ先生はすぐに発見され、舎監の南先生も呼び出され、駆けつけて来た校長たちは善後策を練る。

南先生は、寄宿舎からいなくなった京子が犯人に違いないと校長に報告する。

そんな騒ぎは知るはずもない京子は、再会した姉の雪江(河内桃子)の部屋で、ギターを弾いていた。

それに合わせて雪江が唄を歌う。

その頃、寄宿舎の京子の部屋は、南先生らの手によって家捜しされ、大量の秀也からの手紙が発見される。

差出人として手紙に書かれていた菅野康介とはいかなる人物なのかと、峯村大造は首を傾げる。

ホテルでは、雪江が、実はパリである人と婚約をしたのだが、自分が人気商売だけに秘密にしていたが、その人に会いたさが募り帰国したのだと京子に打ち明けていた。

姉の話を喜んで聞いていた京子だったが、その相手と云うのが、東朝新聞で、もうすぐ部長に昇進するらしい菅野康介だと聞くと、にわかに表情をこわばらせ、やがて泣き出してしまう。

翌日、寄宿舎に戻り、夕べの騒ぎを知子から聞いた京子だったが、もう自分にとっては学校などどうでも良いのだと落ち込む。

その姿を見た知子は、自分に苦しんでいる理由を教えてくれと頼むが、京子は何も語らず、信用されていないと感じた知子も又、悔しさで泣き出してしまう。

平和学園の職員会議で三宅京子の退学が採択される。

学校に呼び出され、その事を告げられた正吉と雪江は愕然とするが、京子が不良と付き合っている証拠物件として校長から差し出された手紙の差出人を確認した雪江はさらに驚愕してしまう。

寄宿舎に向かい、知子から京子が外にいると聞いた雪江は、京子の元に行くと、あなたがあの人の事を本当に愛しているのなら、私は喜んで身を引くし、婚約解消すると告げる。

しかし、頑になった京子は、嘘つきの菅野さんなんか嫌いと言い残し、その場を逃げ出すのだった。

一方、知子は、両親の所に抗議に行く。

その時、何気なく父親の大造が出してみせた藤原秀也の写真を見た知子は固まってしまう。

そこに写っている青年は、京子と付き合っている、あの菅野康介なる不良ではないか!

その写真を借り受けた知子は、すぐさま三ちゃんの所へ相談に行き、取りあえず、東朝新聞の菅野康介なる人物の身辺調査をするべきであると云う結論に達する。

知子は、これまでの経緯を書き記した分厚い手紙を、祖母に送る事にする。

地方に建つ幼児たち対象の青葉保育園に手紙は届いた。

それを読んだ知子の祖母、峯村白鳥(東山千栄子)は、自分が作った学園が危険な状況にある事を知る。

東朝新聞の菅野康介の所には、その日も秀也が遊びに来ていたが、そこに、面会人があると菅野が呼ばれる。

部屋を出てみると、そこに待っていたのは雪江だった。

一昨日帰って来たと言う雪江に驚いた菅野だったが、取りあえず、近くの喫茶店に誘う。

その直後、新聞社にやって来たのが知子と三ちゃん。

彼女たちは、ちょうど帰りかけた秀也を発見、その正体を確認してみる為に、柱の影から、二人がそれぞれ「菅野さん」「藤原さん」と違う名前で呼びかけてみる。

しかし、相手はどちらの名前にも反応したので、思い切って対面した二人は、相手の本当の正体を尋ねる。

秀也は、知子らに、自分は藤原秀也である事を打ち明ける。

その頃、喫茶店では、名前を取り替えていたいたずらの事を知った雪江が、安心して菅野と談笑していた。

知子から、自分の事が原因で、京子が退学された事を知った秀也は、自分自身が学校に行き説明すると伝える。

明くる日、平和学園の校長室を訪れた藤原金作、雅江は、秀也の結婚相手は三宅京子に決めたと報告する。

それを聞いた校長峯村鶴代、大造夫婦は狼狽し、彼女は退学させた身だから…と抵抗する。

そこにやって来たのが、鶴代の母親で、平和学園の創立者峯村白鳥だった。

彼女は、鶴代と大造が結婚する時も、駆け落ちするのしないのと大騒ぎだった事を忘れたのですか?と諭す。

昔は女性は太陽だった。教育には愛情が必要ですとこんこんと言って聞かした後、ブラックリストを知子に頼んで盗ませたのは自分であると白状する。

今、京子はどこに?と聞く白鳥に対し、保護者の元に戻したと答えた校長夫婦だったが、連れ戻そうと全員で学校を出てみると、そこにやって来た正吉と雪江と鉢合わせになり、京子が家出をしたと聞かされる。

京子からのハガキの消印を頼りに、彼女が泊まっているホテルを突き止めた一行は、すぐさま会いに出かける。

京子は、やって来た雪江から本物の菅野康介と藤原秀也を紹介されると、呆然としてしまう。

白鳥先生は、そんな秀也と京子にボートにでも乗っていらっしゃいと追い出す。

京子の幸せそうな姿を見た知子は、白鳥おばあちゃんに、実は自分にも、三ちゃんと云うボーイフレンドがいる事を打ち明けると、マンボの歌を明るく歌い始めるのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

一見、雪村いづみの方が主演か?と思いきや、実は、京子役の青山京子の方がメインの音楽学園ドラマ。

この時代の青山京子は、まるまるとした顔つきにぽっちゃり体型で、お世辞にも美人系ではないが、屈託のない少女を演じている。

雪村いづみは、劇中時々眼鏡をかけたり、ちょっと三枚目半みたいな雰囲気の妹分的存在として登場している。

若い佐原健二が、まだ石原忠を名乗っていた時代の作品である。

話としては、典型的な昔風の少女向けロマンス。

「東京物語」などで知られる東山千栄子が、物語後半、ゲストのように堂々と登場して来るのが見物