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遥かな時代の階段を

The Stairway to the Distant Past

1995年、フォーライフレコード+映像探偵社、天願大介脚本、林海象脚本+監督作品。

※この作品はミステリ要素があり、後半、意外な展開が待ち受けていますが、最後まで詳細なストーリーを書いていますので、ご注意ください。コメントはページ下です。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

横浜にある日劇名画座に一台の車が横付けし、中から、外国人風の婦人(フランソワーズ・モレシャン)が降り立つ。

映画館の二階に上がろうとするのを見とがめた、もぎりのおばちゃん晝間あさ(千石規子)は、入場料を払えと要求。

自分は二階の探偵時事務所に用事なだけと戸惑う山手婦人だったが、あさが頑として料金を要求するので、仕方なく、券売機で入場券を買って、二階に上がる。

二階の事務所内では、濱マイク(永瀬正敏)が、極度の金欠状態にある事を焦っていた。

そこに入って来た婦人は、マリを探して欲しいと切り出す。

マイクは、うれしさを押し殺して、1日5万で、必要経費は別になると条件を提示するが、婦人はそれで良いと言いながら、二日前からいなくなったと云うマリの写真を差し出す。

それを見たマイクは愕然とする。

娘の事だとばかり思い込んでいたのだが、写真に写っていたマリとは犬の事だったのだ。

それでも、金が欲しいマイクは、捕虫網を持ち映画館を出発しようとするが、先ほどの依頼人がすごい指輪をしていた事から、金持ちだと見抜いていたあさは、時価数億円するダイヤをを盗まれたと話すマイクに、どうせ、あんたに頼むくらいだから、ペットの創作くらいでしょうと見抜く。

マイクは、黙って自動車に乗って、映画館を後にする。

マイクの夢は、二人暮らしで、今、高校二年の妹茜(大嶺美香)を、自分が稼いで大学に行かせてやる事だった。

ところが、そんなマイクの車の前を塞いだのが、借金をしている村瀬と手下の車だった。

村瀬は、マイクの車に「差押え」の札を貼ると、その場からレッカーで移動させ始める。

村瀬は、抗議しながら追いかけて来るマイクに、黄色い自転車を一台落としてやる。

マイクは、捕虫網を持ち自転車にまたがると、探偵を嘗めんなよ!と、空しく叫ぶのだった。

タイトル

春爛漫、サクラに囲まれた川を一艘の小舟が上って来る。

そこに乗っているのは、妖し気な中年女性リリー(鰐淵晴子)だった。

リリーは、岸に上がる際、船頭にキスをし、「劇場にいらしてね」と誘う。

船頭は、「変わんないな〜…、あの人は…」と呆れる。

その後、岩崎屋酒店に立ち寄ったリリーは、昼間から数敗酒を飲み干すと、さっさと出て行くが、その後ろ姿を見かけたのが、ちょうど店に戻って来た岩崎(梶原善)で、「まさか?そんな事はないよな…」と首を傾げる。

その頃、マイクは公園で、それらしき犬を見つけ、捕虫網で確保してみたが、写真と照らし合わせると、全くの別犬と判明、がっかりしている所に、偶然、茜がやって来て声をかけたのでビックリするのだった。

茜はこれから、友達の柴田京子(山本京子)の家に遊びに行くだと云う。

妹を宜しくと挨拶をしたマイクは、その京子が抱いている犬こそ、探し求めていたマリだと知り、自分が持ち主に返しておいてやると言葉巧みに預るのだった。

妹たちを別れたマイクは、町中に貼られている「神野勝」の選挙ポスターを面白くなさそうに蹴り飛ばす。

神野勝とはヤクザだったからだ。

その神野の選挙事務所では、子分の山口(塚本晋也)と松田(松田圭司)が、川の利権に手を付けないのはどうしてかと神野を問いつめていた。

神野は、川は白い男のものであり、戦後、警察もヤクザも手をつけられない。

川に手をつけると火傷をすると説明するが、宝の流れる川だと考えている二人の子分は、神野が政治家を目指すようになり弱気になったと嘆く。

神野は、選挙は金の為だと説得しようとするが、二人の子分は納得していなかった。

その頃、スナック「幸子」に来ていた茜は、京子の母親柴田幸子(白川和子)にごちそうを振る舞われていた。

幸子は、茜に両親がいない事を知ると、これからは自分が母親になってやるから、毎日ここに来なさいと優しい言葉をかけてくれる。

そんな幸子に京子は、なぜ自分をお嬢様学校などに行かせているのかと抗議するが、それを聞いていた茜は、自分も同じお嬢様学校に通っているが、それは兄を喜ばせる為だと割り切って答える。

ストリップ小屋「黄金劇場」では「伝説の踊り子」リリーが踊っていたが、それをかぶり突きで観ていた3人のサングラス姿の男たちは、間違いない!こりゃあ、ヤバい事になると呟き合っていた。

その頃、マイクは、久しぶりの収入を得たので、上機嫌で銭湯に入り、各種の風呂や飲料を並べて、飲もうとしていた。

そこに駆け込んで来たのだ、先ほど「黄金劇場」にいた三人組北村(阿南健治)、近藤(近藤芳正)、岩崎たちで、リリーが帰って来たとマイクに教える。

マイクはそれを聞くと、逆上して風呂を飛び出ようとするが、今、騒ぐと茜ちゃんにバレると、三人の友人たちはマイクを押さえつける。

夕方、マイクは黄金劇場のリリーを外に呼び出す。

リリーは、マイクを見ると喜んで、茜にも会いたいと言い出すが、あんたは死んだ事になっているとマイクは拒絶する。

あんたは俺たちを捨てたんだと吐き出したマイクの頬を叩いたリリーは、あれには深い事情があったの。自分は来月までここにいるからとマイクに伝える。

パチンコをしていた山口と松田は、白の男の首を取って、神野のシマも全部頂こうと相談し合っていた。

そうした二人の様子を、しっかり監視ビデオが写していた事を彼らは気づかなかった。

二人は、白い男の居場所を知ろうと、船暮らしの男を痛めつけるが、男は、白い男に殺されると言い、吐こうとしない。

仕方がないので、男を射殺して川に死体を投げ込むが、そこに大勢の男たちが近づいて来て二人を取り囲む。

赤いジャケットを着た杉本(杉本哲太)は、二人を匕首で刺す。

松田は即死するが、半死半生になった山口は、お前は生きていなければいかない。伝説を伝えなければならないからだと杉本に云われる。

杉本が、指示を仰ぐように白い男の方を見ると、白い男は、神野はその二人を今破門したようだと教え、自らの額を指差す。

杉本は、分かったと云うように、焼きごてを山口の額に押し付けるのだった。

松田の遺体発見現場に出向いた伊勢佐木署捜査四課の中山刑事(麿赤児)は、署に戻って来ると、どうして捜査が出来ないのか。白い男を潰すチャンスじゃないかと上司に詰め寄るが、あの川は我々の管轄ではない。勝手な捜査は君の命取りになると上司にいなされただけだった。

茜は、マイクと外食中、突然「お母さんってどんな人だった?」と聞いて来る。

マイクは、きれいな人だったけど、自分も小さかったので、良く覚えていないと返事をごまかす。

そこに、突然、中山刑事が乱入して来て、マイクを外に連れ出すと、四丁目の川沿いにあるスナック「幸子」のママは、泥棒の常習犯なのだが、証拠が掴めない。何とか、流したものをどこに運んでいるか調べろと高飛車に命令する。

マイクは、何で俺が?と抵抗するが、お前の事務所にシャブがあるとたれ込みの電話があった事にしてやろうかなどと脅して来た中山刑事は、ただとは云わない、仕事の依頼だと言いながら、村瀬から取り戻して来た車のキーをマイクに渡す。

路地裏で半死半生状態だった山口の元にやって来た神野は、お前が俺を嫌いでも構わん。俺たちが出会ったときの事を想い出せ。今度は俺が助けてやると伝える。

その夜から、マイクは「幸子」のママの様子を偵察し始める。

ママ幸子は、その夜、京子と、まだ幼い妹、雅子(宮地雅子)の待つアパートに一人帰って行く。

その様子を遠くから監視していたマイクは、自分の幼い頃の事を想い出していた。

赤ん坊だった茜をおんぶし、リリーの踊る劇場の外で一人で遊んでいたときの事だ。

そこにやって来た白い服の男(岡田英次)は、マイクの名前を尋ねると、ケーキを渡し、これをママに渡してくれと札束を包んだ紙を手渡して帰る。

金を手渡されたリリーは、翌日、動物園に行こうかと幼いマイクに話しかけたが、翌日、置き手紙を置いて姿を消した。

現在、黄金劇場の楽屋にいたリリーは、客からの差し入れだと、一輪の花と箱を受け取る。

リリーは外で白い男と再会すると、どこかに連れてってとねだる。

白い男は、リリーをダンスホールに連れて行き一緒に踊りながら、15年苦労させたなと謝る。

しかし、リリーは、もういいの…と許すのだった。

幸子はある夜、盗みに入る。

そこから持ち出した盗品は、とあるマンションの部屋に持ち込まれると、そのベランダから、裏の川を近づいて来た船の上に落とされた。

その様子を監視していたマイクは、水上バイクで船の背後から接近し秘かに乗り込むと、中に置かれていた木箱をこじ開けて中を確認してみる。

中には、銃や麻薬が詰め込まれていた。

マイクは、ここは宝の山だと驚きながらも、コンパクトカメラで証拠写真を撮影するが、その直後、船員に見つかり、慌てて水上バイクで逃げ出す。

しかし、船員が緊急を知らせる笛を吹き鳴らしたので、同じく水上バイクに乗った敵が二人、マイクを追跡して来る。

必死に逃げるマイクだったが、敵は水中銃を発射して来たので、マイクは川の中に転げ落ちてしまう。

山下公園にやって来ていた白い男は、横浜が変わってしまっただろうとリリーに問いかけていた。

リリーは、今の横浜も好きと答えるが、白い男は、好きになれん。もうすぐ、俺の居場所もなくなってしまうさと呟く。

あの頃、誰もが闇の中にいた…と、白い男は戦後を振り返る。

そんな白い男に、リリーは、寝ようと誘いかけ、お前は変わらないなと白い男を呆れさせる。

翌朝、星野(南原清隆)は、自分の車の中にいたマイクに気づくと、貸した水上バイクはどうしたと聞く。

マイクは、白い男の事を知っているかと聞くが、星野は、めちゃくちゃヤバいよと「答えるだけ。

マイクは、夕べ撮った証拠フィルムが、濡れて全部パーになった事を嘆く。

その日、スナック「幸子」にやって来た杉本は、コップの水に何やら薬を大量に投ずるとかき混ぜ始めながら、夕べ、俺たちの船に何者かが忍び込んだ。お前たちの娘は、我々が面倒見ると冷たく言い放つ。

殺されると直感した幸子は、私のミスだと云うの?仲間じゃないと反抗するが、杉本は、そうだ、お前のミスだと云うと、コップの水を幸子の口に押し当てる。

中山刑事は、マイクの事務所に電話を入れるが不在だった。

公衆電話から出ようとした中山は、杉本が待ち受けていた事に気づき、一緒に人影のない場所へ連れて行かれる。

杉本は、中山が各所に多額の借金をしている事、地下賭博場に情報を漏らしている事、ヤクザに接待させている事などを突きつけると、我々がその借金を全て用立てするし、今後、あんたが署長になるのもバックアップしてやると申し出て、船の中で撮影した人物の名前を教えてくれと迫る。

小遣い銭として札束を握らされた中山刑事は、あっさりマイクの名前を教える。

白い男の配下たちは、その後、岩崎、北村、近藤らの店にやって来ては、マイクの居場所が分かったら教えろと言い残して行く。

マイクの仲間たちは、このままではマイクが殺されると怯える。

そんな事を知らないマイクは、横浜の町を歩いていたが、突然、日本刀を振り回すチンドン屋に化けた殺し屋たちに襲撃される。

逃げ回るうちに、何とか、知り合いのじいさんに身を隠させてもらい、窮地を脱するマイク。

横浜市内の川に幸子の遺体が上がり、現場に駆けつけた京子と雅子は泣いていた。

中山刑事は、酔って川に転落した事故だろうと二人に説明するが、京子は、母は酒を飲めなかったと反論する。

幸子が殺された事を新聞記事で知ったマイクは、宍戸ジョー(宍戸錠)と星野と出会っていた。

ジョーは、茜は安全な場所に匿ったので、お前もすぐに横浜から逃げろと勧める。

しかし、幸子の死を自分のせいだと思い込んだマイクは、白い男の情報を聞く。

ジョーは、自分が駆け出しの警官だった頃、一度だけ会った事があると話し始める。

奴には戸籍がなく、戦死したはずの男が復員兵として戻って来たのだと言う。

川は戦前からヤクザのものだったが、そのヤクザを一夜にして叩き潰してしまい、その後、GHQと取引して、川の利権を手に入れたらしい。奴が生きているうちは、誰も川に果てを出せないのだとも云う。

しかし、マイクは、俺は俺のやり方でオトシマエを付けると言い張る。

それを聞いていた星野は、とばっちりはご免だが、お前がやりたい事は止めないとマイクを見送る。

満身創痍状態の山口は、神野の事務所で土下座をしていた。

神野は、お前の事は弟のように思っているし、そんな弟をこんな目に遭わせた奴は許せないが、今選挙中なので、戦争出来ないのが悔しい。ハマ中の笑い者だなどと白々しく話しかけるが、山口は、俺が白い男の首を取ります。俺は破門されているので、俺だけの問題ですと答えると、上機嫌になる。

リリーは、子供の頃から、マイクが良くうずくまっていたビルの屋上にやって来て、案の定、そこにいたマイクに会う。

早く、横浜から逃げろと云うリリーは、なぜ、ママが帰って来たと思う?とマイクに問いかけ、あんたたちの顔を見たくなっただけではなく、あんたのパパの顔も見たくなったのだと言い出す。

それを聞いたマイクは衝撃を受け、どういう事かと詰め寄る。

リリーは、あの人とあんたを会わせたくない。あんたのパパは白い男よと告げる。

その夜、マイクは街娼の立つ町に出向くと、伝説の娼婦メリー(坂本スミ子)に会い、白い男の居場所を尋ねる。

メリーは、あんた死ぬよ。それを聞いた男はみんな死んじまったと忠告するが、どうしても会わなくちゃならないんだとマイクが説得すると、黙って彼をある場所へ案内する。

そこは、ネッカチーフを巻いた少女がハーモニカを吹き、歪んだ針の大きな時計があり、終戦後を思わせる人影が、あたかも時間が止まったのように立ち並ぶ不思議な路地裏の先にあった。

「ここからは一人でお行き」とマイクに告げたメリーは、生きて帰ったら、私を買って頂戴、それが私に対するお礼よと言い残し一人立ち去る。

建物の中に入ったマイクは、そこに待ち受けていた杉本に重を突きつけるが、杉本の方も待っていたようで、あっさり白い男の所に案内してくれる。

白い男は、待っていたぞ、坊主とマイクを迎えると、なぜ、ハマから逃げなかったと聞いて来る。

銃を白い男に突きつけながら、マイクは、てめえはサイテーだ!なぜ女を殺した!と詰め寄る。

白い男は、「川の掟だから」と冷たく答える。

「薄汚ぇ銭の為だろう!」とマイクが責めると、「生き延びる為さ」と白い男は答える。

「娘がいたんだぞ!」とさらにマイクが詰め寄ると、「それがどうした、生きるってのはそんな生易しい事じゃない」と白い男はいなす。

「死ぬのが早いのは、まず粋がった奴、続いて理想を持った奴、そして生命力を持った奴の順、最後まで生き残るのは、弱くて臆病で卑劣な奴だ」と白い男は続け、マイクに近づくと、その手にした銃をあっさり奪い取ると、「これはこうやって使うんだ」と言いざま、いきなり発砲して来る。

そして、チャンスをやろう、長い因縁があるからと云いながら、白い男は、銃の弾丸を一旦抜くと、一発だけ込め直し、互いにこれを撃ち合おうと言い出す。

マイクは怖じ気づき、何もかも気に入らねえと叫ぶし、側で話を聞いていた杉本も止めようとするが、白い男は、もし俺が死んでも、この男には手を出すなと命ずる。

天井に向けて、一発テスト発射した後、再び、一個の弾丸を混めた銃を手にした白い男は、俺からで良いかな?といいながら、引き金を引く。

弾は出なかった。

通津手中を手渡されたマイクが、おずおずと引き金を引くが、やはり弾は出ない。

俺たちの運は五分五分らしいなとあざ笑いながら、又、銃を手にした白い男は、マイクの顔目がけ、引き金を引くが、又しても弾は出なかった。

二度目に銃を受け取ったマイクが、白い男に額に銃を向けた時、背後から駆け寄って来た男が、白い男の背中にドスを突き出す。

山口だと気づいた杉本は、ただちに山口を羽交い締めにすると、自らのドスで滅多刺しにするが、白い男は、イスの上に呆然と腰を降ろしていた。

すぎに医者を呼ぼうとした杉本だったが、白い男に無駄な事はするなと制せられる。

坊主、銃を撃ってみろと白い男から云われたマイクが、銃を発射してみると、今度は発砲した。

勝負はお前の勝ちだと白い男は云い、子分たちにその場から連れ出すよう命ずる。

しかし、マイクは必死に、一つだけ聞かせろ!あんた、俺の親父なのか?と問いかける。

それを聞いた白い男は笑いながら、リリーがそう言ったのか?お前の母ちゃんは良い女だぜと答えると、廻りのみんなを下がらせる。

白い男は杉本に、俺を川に流せと命ずる。

外に連れ出されたマイクは、大きな声で叫んでいた。

杉本は、白い男の身体を小舟に座らせると、煙草を口にくわえさせてやる。

舫綱が切られ、白い男を乗せた小舟は川を下り始める。

「流されて…、次も地獄か…」そうつぶやいた直後、白い男の手からタバコが転げ落ち、白い男は息絶える。

小舟はいつの間にか、夜が開け始めた横浜の海に流れだしていた。

マイクが、茜とケーキを食べていた。

茜が云うには、京子はバイトをしながら、自分と同じ大学を目指し始めたらしい。

そこへ突然、宍戸ジョーがリリーを連れて来る。

茜は、リリーの事をジョーの知り合いだと思い込んでいるらしく、マイクがいない間にすでにリリーと会った事があるらしい。

リリーはマイクに「初めまして」と話しかけて来る。

茜は、リリーは今日の夜、金沢に帰るので、野毛山動物園に一緒に行く約束をしたのだと言う。

ジョーも、今日は日曜日だし天気も良いので一緒に言って来いとマイクにも勧めるが、マイクは仕事があるからと必死に断って事務所を後にする。

その後、リリーと茜は動物園に出かけ、リリー手作りの弁当を食べるが、その様子を、マイクは遠くから見つめていた。

やがて、リリーは、駅まで見送りに来た茜に「さよなら」を云うと、電車に乗って横浜を後にする。

その列車の通る橋の上で、マイクは一人見送っていた。

寂し気に一人帰る茜に追いついたマイクは、何か言いたげな妹に対し、「そう言えば、お前、最近、ケツでかくなったな」などと冗談を言い、逃げ出すのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「我が人生最悪の時」(1994)に次ぐ「私立探偵濱マイクシリーズ」の第2弾

濱マイクと茜兄妹の過去が明かされる内容になっている。

「ノンちゃん雲に乗る」の鰐淵晴子がストリッパー役と云うのも貴重。

「悪魔が来りて笛を吹く」などでも、妖艶なベッドシーンを披露していたが、愛らしいノンちゃんを知っているこちらとしては複雑な思いがある。

ストーリー的には、かなり分かりやすい構図だろう。

警察もヤクザも手が出せない黒幕が横浜の川を牛耳っており、それに探偵マイクが立ち向かうと云うシンプルな展開。

低予算ながら、川での水上バイクのチェイスなど、アクションの見せ場も用意されている。

白い男がいる場所までの通り道が、シュールな処理になっている所も面白い。

岡田英次扮する白い男の存在自体を、現実の黒幕風に描くのではなく、最後まで、象徴的で思わせぶりな存在として描こうとする事で、マイクと父親の関係も、100%はっきりさせたくないと云う作者の狙いもあるのだろう。

アクションものとしてみてしまうと、最後のまとめ方はやや小さくまとめてしまった感がないでもないが、それなりに余韻もあるし、低予算娯楽映画としては悪くないのではないだろうか。