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1961年、熊井啓脚本、西河克己監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

山口県、徳山市

5年前元射撃オリンピック候補でもあった山口県警本部岩佐忍(二谷英明)は、久々に、妹望月昌子(岩崎加根子)が住む団地にやって来る。

突然の訪問に驚いた昌子は、急に夏休みが取れて、十日間くらい休めると言う兄を歓迎する。

昌子の一人息子一郎は、久々に見た叔父の姿や彼が持って来たライフルを珍しがり、あれこれ尋ねて来る。

やがて、夫の望月達郎(木浦佑三)も帰って来て、一緒に夕食が始まると、馴染みの電気屋、坂口和夫(杉山俊夫)がやって来て、昌子に最新型の日立冷蔵庫を勧める。

そのまま家に上がり込んだ和夫は、一郎から岩佐が刑事だと聞くと、一瞬ぎくりとするが、すぐにギターを弾きながら唄を歌い始める。

その時、和夫が落とした手帳に、きれいな女性の写真が挟み込まれていた事に気づいた昌子は、恋人なのかと言いながら、慌てる和夫に返す。

和夫は、そんな昌子ら家族の幸せそうな姿を見て、ちょっとうらやましがる。

翌日、近くの海に家族そろって海水浴に出かけた昌子は、子供の頃、この海で溺れかけた所を兄さんから助けてもらったと思い出す。

そんな中、達郎は、ガラスの破片で足を切ったと言う。

岩佐は、その海水浴場で、ばったり地元紙中国民報の社会部記者岸本昭造(郷鍈治)と出会う。

岸本は、岩佐が県警本部を辞めたそうだなと話しかけて来るが、岩佐は、その事は妹に言うなと釘を刺す。

あれから5年になる…とつぶやいた岩佐の言葉を聞いた岸本は、まさか?と驚く。

岩国市の錦帯橋にやって来た岩佐は、橋を撮影していたフリーのカメラマン檀捷夫(小高雄二)に声をかけられる。

以前、カメラを盗まれた時、岩佐の世話になった男だったが、その時、戻って来たカメラの中に入っていた、宇部炭坑の写真の一枚がコンテストに入賞して、世に名を知られるようになったと壇は感謝し、今度は萩に行く予定だと伝える。

団地の広場で、子供たちと野球遊びをしていた岩佐は、子供が打った球が、とある部屋の窓ガラスを割って中に飛び込んだので、それをもらいに行く。

その部屋の中には、男が二人潜んでおり、向いの棟の妹の部屋を監視していた。

その後、猟銃を下げて街に出た岩佐は、又、壇に会い、それはライフルでしょう、昔、自分も以前、銃砲店で仕事をしていた事があるのだと話しかけて来る。

ちょうど夕立が降って来たので、壇を誘って喫茶店に入った岩佐は、妹夫婦が新婚旅行に出かけた先のホテルで、殺人事件に遭遇して目撃者になったのだと打ち明け話を始める。

事件は、東洋系外国人(二木草之助)が射殺されると言う事件だった。

ちょうど岩佐にとっても、刑事になって始めての大きな事件だったと言う事もあり、出世欲にも狩られ、旅行中だった昌子に、犯人に関する目撃証言を教えるよう強要した。

しかし昌子は、昨日脅迫電話があったと言い、自分たちにも、言いたくない事は言わない権利があるはずだと拒絶する。

岩佐は、自分が信じられないのか?警察が君たちの安全は必ず守るからと必死に説得したが、結局、昌子から聞き出した情報から、東京から流れて来た志村と言う男を逮捕したが、用心棒役の浅見と言う男の方は取り逃がしたのだが、最近、奴らの手したらしいものたちがうろつき始めたので、嫌な気がすると言う。

その後、同じく岩佐が昌子の元にいる訳を知った岸本は、近々出所して来る志村が、必ずしも、お礼参りをするとは限らないと慰めていた。

岩佐は、今団地の方に、本部と所轄から、刑事が来て張り込んでいるが、警察は犯罪予防としては無力だと言う事を教える。

志村が、刑務所から出て来るのは明日だった。

翌日、繁華街でぽん引きをしていた篠田(高品格)は、サングラス姿の男に声をかけるが、それが出所して来た社長の志村(浜田寅彦)と気付き、慌てて部屋に案内する。

志村は篠田に、教えた通りの事をやっているだろうな?と念を押すと、浅見の近況を尋ねる。

仕事が忙しいそうで、今日は来なかったが、明日来ると言っていたと篠田が答えると、すぐに呼び出せと志村は怒る。

さっそく電話を入れてみるが、売春斡旋をやっていた浅見(内田良平)の事務所では、鳴り続ける電話に、わざと誰も出なかった。

浅見は、明日引き上げるから、女たちを全員売り払えと子分たちに命じる。

翌日,時間通りに浅見がやって来た事を知った志村は、隙がねえ奴は嫌いだとつぶやく。

志村は、和夫を連れていた。

志村は、今団地には、5名の刑事がいる事を聞いた上で、望月夫婦襲撃は明日が良いだろうと提案する。

しかし、それを聞いた浅見は、少し考えさせてくれと答え、あんたも年なんだから、温泉にでも行って休んでいてくれと勧める。

志村は、何か良い手でもあるのかと聞いて来る。

翌日、浅見らは、町中の店に銃弾を撃ち込んだ後、荷台に二台の冷蔵庫が乗せた和夫の電気会社の軽トラックを篠田に運転させ、全員、電気店の制服を着て団地にやって来る。

部屋から表の様子を監視していた刑事たちも、馴染みの電気店のトラックだけに、何も怪しまなかった。

そこに、今、町中で外国人が撃たれたと言う報告が入り、応援のため、見張りの刑事の内、二人が団地を離れる事になる。

さらに、電気店の制服を着た一人が団地内の公衆電話に入り、望月家に電話をすると、今、一郎が保育園の前で車にはねられたとの知らせたので、岩佐が刑事一人を連れ、出向く事にする。

かくして、見張っている刑事が二人だけになった所で、和夫らは、持って来た冷蔵庫の梱包を担いで、望月家を訪れる。

応対に出た昌子は、冷蔵庫が二つあるのを不思議がるが、和夫は、一つはお隣に持って来たのだと言う。

その頃、車でひまわり幼稚園に駆けつけて来た岩佐は、そこで一郎が普通にお遊戯をして遊んでいるのを発見、おびき出された事を知る。

昌子は、拳銃を持って部屋に乱入して来た、制服姿の浅見の姿を見て驚く。

隣の棟の部屋から、昌子の部屋の様子を見ていた刑事も、一瞬の隙を付かれ、侵入者がある事を見過ごしてしまう。

浅見から殴り飛ばされた望月達郎は、転んでラジオにぶつかり、その拍子に音楽がかかるが、その音を聞いた隣の棟の刑事たちも、異常には気づかなかった。

達郎は、浅見から隠しているものを出せと迫られても、自分は何も知らないと必死に抵抗するが、結局、浅見から撃たれてしまう。

その銃声に気づき、刑事たちが隣の棟から飛び出したのと、車で帰って来た岩佐たちが昌子の部屋の前に駆けつけたのはほぼ同時だった。

しかし、ドアの内側には二台の冷蔵庫が置かれ、それが邪魔をしてなかなか中に入れない。

何とか、全員の力でドアを押し開け、中に入り込んだ岩佐だったが、そこには、撃たれて重傷を負った望月達郎と、既に撃たれて事切れていた妹の昌子の死体を発見する。

部屋の中に犯人たちの姿はなかった。

一足先に逃亡を図った浅見らは、篠田が移動させていた軽トラに乗り込むと、団地から走り出すが、それに気づいて追って来た刑事が、自らも撃たれながらも、運転する篠田の背中に銃弾を命中させる。

和夫は、荷台に乗り損なっていた所を、追って来た刑事たちに確保される。

岩佐と吉野刑事(阪井幸一朗)は、車で軽トラを追いかける。

運転していた篠原は、負傷して長く持ちそうになかったので、浅見に運転席から放り出されてしまう。

結局、浅見らの乗った軽トラックは逃げ延びてしまう。

街は七夕祭りでにぎわっていたが、中国日報の社会部では、志村兼吉が動いており、一課長が動いたとの情報を岸本が得ていた。

浅見らは萩に逃げ込んだと読んだ岸本は岩佐に連絡する。

デスクの須山(木島一郎)は、今回の事件の背後には、何か大きなものがあると読んでいた。

連絡を受けた岩佐は、山口県警の近くで岸本と合流すると、通用門から出て来る真壁剛刑事(井上昭文)ら捜索隊の姿を確認する。

真壁刑事らが訪れたのは、野本(榎木兵衛)と言う男の家だったが、野本は、捜索隊の姿を見て、一瞬早く家を逃げ出す。

野本家に近づいていた岩佐らは、又奇妙な事に、壇と再会する。

その時、銃声が聞こえたので、岩佐らもその音のした方へ駆けつけると、ゴルフのクラブを持ったまま裏の林に逃げ込もうとした野本が、捜索隊に捕まった所だった。

さらに、山奥に向かった捜索隊は、五人の男に遭遇し、道を尋ねられたので教えたら、殴られたと言う木こりに会う。

さらに山に入り込んだ捜索隊だったが、周囲が暗くなり始めたので、その日の追跡を諦める事にする。

しかし岩佐は、この山を越えられたら浅見らは船で海に逃げ出すの違いないと一人追跡を強行しようとするが、同行した壇は、明るくなるまで待った方が良いのではないかと忠告する。

結局、山中で火を起こし、休憩する事にした岩佐と壇だったが、自分は三人兄弟だと壇が話すと、岩佐は死んだ昌子と二人兄妹だったと告白する。

終戦の前の年、防空壕が埋まり、昌子が生き埋めになった時、誰も助けてくれる人がいなかったので、自分が一晩中、掘り続けて助けた。

その時、この妹を幸せにしてやりたいと願ったと岩佐は話す。

小学生の頃、昌子は昔の怪我がぶり返し、歩けなくなった事があったが、その時も自分が毎日背負って、病院通いしたと言う。

そんな昌子が、これから幸せになるって時に、奴らが現れ、僕から昌子を奪って行ったのです…と、岩佐は無念さをにじませる。

その時、少し先の方に、光の中に浮かび上がる人影が見えたので、思わず岩佐はライフルを構えるが、その時、壇が、カメラのフラッシュを焚こうしているのに気づき、思わず、何をする!と突き飛ばすと、岩佐は人影の方を追う。

しかし、結局、逃げ遅れた一人だけを掴まえただけだった。

山口県警本部では、岸本が、沢口や遠山(滝恵一)と言った、志村の子分たちの写真を示しながら、事件の概要を確認し合っていた。

志村たちは、野本夫婦を利用して、東京からトラック部隊を使って持ち込んで来た色々な物品を、船で外国に売りさばくと言う密売をやっていたのだった。

掴まえられ、事情聴取をされていた野本は、5年前の事件は、志村と浅見が東洋系外国人の金をパクりに行って、相手から撃ってこられたので、応戦して射殺したとされているが、実は、相手が持っていたはずの6000万が、警察が踏み込んだ時には消え失せていたのだと打ち明ける。

金をパクったとすれば、目撃者の望月夫婦しか考えられず、志村たちも、その金を取り戻すまでは、山口からでないと断定する。

入院している望月達郎に、岩佐と共に話を聞きに行った真壁刑事だったが、達郎は、何も答えようとしない。

岩佐は部屋の外に出されるが、廊下には、噂を聞きつけた新聞記者たちが待ち受けていた。

しかし、結局、真壁刑事たちは収穫なく帰る。

一人病室に戻った岩佐は、達郎に真相を話すように説得する。

達郎は、昌子!と叫ぶと泣き出す。

5年前、隣の部屋の東洋系外国人を射殺した志村と浅見が逃げ去った後、こわごわ階段辺りまで覗きに出た昌子を先に部屋に戻して、自分も戻ろうとしていた達郎は、ふと隣の部屋が開いているのに気づき、ついふらふらとその中に入ってしまう。

その部屋の床には、広げられたトランクの中に大量の札束が詰まっていた。

隣から昌子に呼びかけられた達郎は、ついその札束の一つ10万円をポケットにねじ込むと、自分の部屋に戻ったのだと言う。

その時の、たった10万円のために昌子を殺してしまったと悔やむ達郎は、こんな自分を警察に突き出してくれと岩佐に訴えるのだった。

しかし、岩佐は、自分はその話を信じるが、警察に説明しても深みに入り込むだけだ。これは俺がやると、達郎に告げる。

自分の私物を整理始めた岩佐に、岸本は、刑事が嫌になったかと聞く。

その時、岩佐は、壇がコンクールで受賞した時の宇部炭坑の写真を発見し、それをじっくり見つめているうちに、電気屋として望月家に出入りしていた坂口和夫が写っている事に気づく。

すぐさま宇部に向かい、坂口の実家を訪ねた岩佐だったが、出て来た妹の伸子(松尾嘉代)は、炭坑不況になって和夫兄さんは家を出て行ったので、捷夫兄さんが捜している所で、今、捷夫兄さんは広島に行っていると言う。

捷夫と言う人は何をしている人なのかと聞くと、錦帯橋の写真が載った新聞を持って来て、カメラマンをやっていると言うではないか。

壇こそ、和夫の実兄だったのだ。

昨日来たと言う武夫が残していたマッチに書かれた「美人座」と言う店にやって来た岩佐と岸本は、そこで唄っていたクラブ歌手杉子(松原智恵子)が、今日でこの店を去るのだとホステスから教えられる。

そこにやって来た壇は、岩佐らの姿を見ると、自分は隠れたまま、こっそり杉子を呼び出す。

杉子に会った壇は、あの事件の仲間になった和夫は、大金を持って君に会いに来るつもりなんだ。あいつは昔から君の事が好きだったんだと教える。

昔、君を写真のモデルをしていた自分と君との事を、あいつは誤解したんだと壇は説明するが、杉子は、自分はあなたを愛していたのだと答える。

今の和夫は生きる望みをなくしているので,君が助けてやってくれと言う壇に、あなたは、自分の事しか考えない人なのね。私には、和夫さんが家を出て行った気持ちがわかるような気がすると杉子は覚めたように言うのだった。

その後、和夫に会いに行った壇は、杉ちゃんが駅で待っているから、一緒に東京に逃げろと説得する。

しかし、そんな兄弟の事を、近くの家に忍び込んだ浅見は、遠山にライフルで狙わせていた。

人質にしたその家の妻にピアノを弾かせ、岩佐がやって来て、ピアノの音が止んだら撃てと命じるが、ブルッた遠山は撃てないと言う。

そんな兄弟の元に、岩佐が近づいて来る。

浅見は、ライフルを取り上げると、自分で岩佐に狙いを付ける。

岩佐の姿を見た和夫は、俺は見張り役のはずだった。志村に恩義があるんだ。どうしようもなかったんだと許しを請う。

その時、妻の弾くピアノの音が止む。

和夫は、危ない!と言いながら、岩佐の身体を押しのける。

浅見が放った銃弾は、壇の左足を貫通する。

銃撃に失敗したと気づいた浅見らは、近くの川に繋いであったボートに乗り込み逃亡する。

岩佐も追おうとするが、他のボートは壊れていた。

和夫は、その間、足を撃たれた兄の壇を抱えながら、あの山を越えれば街だと言いながら、必死に逃げていた。

しかし、そこに追いついて来た岩佐を見つけた和夫は、地面の割れ目に隠れ、岩佐を襲撃する。

岩佐は、そんな和夫を殴りつける。

その岩佐の足にすがりつき、弟を許してやってくれと頼む壇。

三人は、くんずほぐれず戦い続ける。

とうとう和夫は、6000万を奪ったのは俺だと告白する。

5年前、和夫は志村に命令されるまま、先に東洋系外国人の部屋に忍び込んでおり、望月が10万円パクって部屋を出た後、残りの金を自分が全部持ち出し、それをそっくり志村に渡したと言う。

志村は、金を独り占めするために、6000万を奪ったのを望月夫婦のせいにしたのであり、自分や浅見たちも、団地で刑事たちに殺されるのが、志村にとっては一番都合が良かったはずだとも。

昌子を撃ったのは誰だと岩佐が問いつめると、浅見がやったと和夫は答える。

和夫は、力つき、地面に倒れた壇を連れて又歩き出そうとするが、もう限界を感じた壇は、杉ちゃんの事を好きなのなら、俺をここに置いて行ってくれ。まともに生きるんだと頼む。

今後は、和夫を頼むとつぶやく壇に、どうしてもっと早く、和夫の事を言わなかったのかと岩佐が聞くと、萩の山の中で言おうと思ったが、あんたの妹さんの話を聞いてしまうと言えなかったと壇は答える。

壇は和夫に、子供の頃、良く海で魚を穫り、それを弁当のおかずにしたな…。もっと二人で話したかった…とつぶやくと、息絶える。

岩佐が悲しむ和夫に志村の居場所を聞くと、湯田温泉だと言う。

その湯田温泉では、志村と合流した浅見が銃を突きつけていた。

アパート襲撃の時、望月夫婦の態度を見た時から、浅見は6000万を取ったのは志村の仕業と気づいていたと言う。

志村は観念し、山分けではどうだと持ちかけて来る。

岩佐と刑事たちは、志村たちを追って、秋吉台、秋芳洞にやって来ていた。

洞窟内に入り込んだ岩佐は、物音に気づき、独自に穴の中を進み始め、岸本もその後に続く。

そこでは、浅見に銃を突きつけられた志村が、昔埋めた金の場所まで案内し、その場所を掘り起こしていた。

浅見は、志村が掘り出した札束を見て、これは偽札だと言い出す。

長年、洞窟からしみ出したシュウ酸水に浸かっていたため、札が変色したのだと言いながら、浅見は、呆然とした間抜け面で札束を見つめる志村と自分の愚かしさを笑い出す。

その時、近づいてきた岩佐に気づいた浅見が撃ってた弾が、岸本の足を傷つけてしてしまう。

浅見と志村は、洞窟を抜け出し、発破が仕掛けられている造成地へと走り出る。

係員の制止も聞かず、切り崩した崖を登り始めた浅見は、先に発破係のいる場所まで登り着くと、銃で脅して工事人たちを遠ざけ、自ら発破のスイッチを入れる。

ダイナマイトの大爆発が起こり、刑事たちが駆けつけると、岩佐は大型作業車の下に身を隠しており無事だったが、志村は岩の瓦礫の下敷きになって死亡していた。

浅見は、崖の途中の平地に置いてあったトラックに乗り込むと逃走する。

その後を追った岩佐は、地獄台付近で乗り捨てられていたトラックを発見する。

浅見は、無数の岩の背後に隠れて、近づいて来る岩佐を銃で狙っていた。

やがて、二人は互いに銃撃戦となるが、先に弾切れになった岩佐は、左手を撃ち抜かれて、岩の陰に倒れてしまう。

しかし、近づいて来た浅見に岩佐は飛びかかると、浅見が落とした銃を拾い上げ、この拳銃だ!これで妹を殺したんだとつぶやきながら、それを浅見に突きつける。

しかし、岩佐は、二発方向違いの方へ発砲した後、浅見を殴りつける。

そこに、刑事や警官隊が近づいて来る。

岩佐は心の中で、昌子、やっと終わったよ。お前が死んだときは泣けなかったが、今度の事件で、俺の本当の仕事が分かったような気がする。昌子、さようなら…とつぶやいていた。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

殺された妹への復讐に燃える刑事と、一人の女を巡り仲違いした弟を想う兄との、二組の兄弟愛が絡み合う追跡サスペンスアクション。

「ダンプガイ」こと二谷英明が主役を演じているが、オールロケを山口県で行っていたり、後のテレビドラマ「西部警察」での刑事役でもお馴染みの、井上昭文や高品格が登場している事もあってか、どことなく「西部警察」を連想させるようなドラマ展開になっている。

巨費を投じた今風のハリウッド大作のようなド派手さはないものの、和製サスペンスアクション映画としては、なかなかの力作だと思う。

「八つ墓村」(1977)でも有名になった秋芳洞をはじめ、全体的に地方色が上手く生かされている。

なかなか頭も切れる、冷酷な悪役を演じている内田良平は、参謀格の子分としてはそれなりに魅力的なのだが、アクション映画の敵役としては、ちょっと迫力不足かも知れない。

歌手を演じている松原智恵子の歌うシーンは吹き替えだろう。