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七人の刑事 女を探がせ

1963年、松竹、高橋治+成田孝雄脚本、高橋治監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

葛西橋から500m下流付近の荒川で、鴨撃ちが、17、8才くらいの女性の絞殺死体を発見したと言う連絡が入る。

ただちに、警視庁一課七号の七人が現場に急行した。

川縁に残っているタイヤの跡をゴミ屋のもの、足跡の類いは夕べの雨で残っていないと警官が、赤木主任(堀雄二)に報告する。

死体の近くには、靴が片方落ちており、死体を供養したような花が添えられていた。

捜査は、周辺の聞き込み、ガイシャの身元の割り出し、そして靴の所有者の発見の三方向から進められる事になる。

久保田刑事(天田俊明)は、ガイシャの下着に数字が書いてあるのは、何か共同生活をしていたと言う事ではないかと指摘する。

聞き込みの結果、近所にあった感化院「光明女子学園」が夕べ11時、漏電で全焼したと言う事を知った杉山刑事(菅原謙二)と小西刑事(美川洋一郎)は、そこの女生徒たちが避難した寺を訪れる。

担任が言うには、富田アキ子、川森りゅう子(香山美子)、宮本カオル(中村晃子)、安本富士子(青山ミチ)の四人が逃げ出し、加納ハナエ(十朱幸代)と言う娘も逃げたが、この子だけはどうにか見つけて連れ帰って来たと言う。

学籍簿が、夕べの火事で焼失してしまったと言いながらも、担任の証言から、荒川で発見された死体は、逃げ出した一人で千葉の野田出身、富田アキ子だと言う事が分かった。

仲間内ではリーダー格だったが、障害を持っており、すぐに凶暴になるのだと担任が説明すると、好奇心で杉山刑事に近づいて来た他の女学生たちが、川森りゅう子はズベ公、安本富士子はハーフ、宮本カオルは売春婦だと、面白そうに教える。

ただ一人連れ戻されたと言う加納ハナエに会ってみた杉山刑事は、いきなり、前に好きだった人に似ていると、彼女から先制攻撃される。

その元カレは、貧乏だったので、ヤクに手を出してしまい、横浜で外国人に撃たれたのだと言う。

さらに、彼女のパパは、満州で中将だったが、ロシアで銃殺されてしまった。

自分は、一人貨物列車で国に帰ろうとしていた母親が、列車の中で産み落としたのだとも。

そのとき、流れ星が落ちたので、母親は彼女の事を運命の子だと、小さな頃から言っていたなどと、ハナエはべらべら一人でしゃべりまくる。

一方、小西刑事の方も、女生徒たちから、おじさん扱いされていた。

そんな小西の元に戻って来た杉山は、ここにこれ以上いてもらちがあかないので、区役所に行きましょうと寺を後にする。

その頃、南刑事(佐藤英夫)と中島刑事(城所英夫)は、靴の所有者探しを続けていたが、一向に手がかりにぶつからず、半ば諦めかけていた。

本部では、感化院から逃げ出した女の子が事件を見ている可能性が高い事、事件現場の近くで、色の濃い乗用車が通ったとの報告があった事から、事件に関係している可能性が高く、葛西橋から四ツ木橋辺りを聞き込んでくれと赤木主任が指示を出していた。

沢田部長刑事(芦田伸介)と久保田刑事には、富田の実家へ行ってもらったと言う。

沢田と久保田は、農家をやっているアキ子の父親亀太郎(加藤嘉)と母親とめ(中村美代子)に会い、話を聞いていた。

とめは、アキ子は、この近辺のゴルフ場建設にやって来ていた作業員5、6人にレイプされたと悔しげに打ち明ける。

あんなものを作らせるために田畑を売る奴が悪い!と、とめは声を荒げる。

その頃、本部の赤木主任は、カオルの居場所を知っているから杉山刑事を寄越して欲しいとハナエから電話を受ける。

しかしやって来たのは、ハンサムな杉山ではなく、鶏のガラみたいな風貌の中島刑事だったので、ハナエはがっかりするが、浅草でヨーヨーを買ってもらったり、ボウリングをしたり、パフェを食べたりと、一日中、中島を連れ回す。

完全にだまされたと感じた中島だったが、最後に大桟橋にカオルはいるはずと連れて来る。

すると、確かに、海を眺めている宮本カオルがいたが、ハナエの方はいつの間にか姿を消してしまう。

本部に連れて来られたカオルは、明らかに知的ハンデがある子のようだった。

答えたのは、火事の後、アキ子と一緒に逃げた事と、現場に人がいたと言う事だけだった。

その人が、男か女だったかも分からないと言い、最後には怯えてしまうカオル。

その様子を見た小西刑事は、この子は犯人を見ているのではないかと推測する。

赤木主任は、現場に供えてあった花を見せて、これを残したのは君たちじゃないのか?と聞くが、やはりカオルは首を振るだけだった。

沢田部長刑事は、花を供えたのは、りゅう子と富士子じゃないかと指摘する。

そこに、靴を探っていた南刑事と中島刑事から電話が入り、靴を売った相手は、米田無線と言う会社に勤める須田順吉だと判明したとの報告が入る。

須田は、3月15日以来欠勤しているのだと言う。

赤木は、令状を取って、下宿を探ってみる決意をする。

下宿の大家は、須田は三日間戻っていないと言う。

部屋の中で、未現像のフィルムと「バー夜の星」と印刷されたマッチを見つける。

さっそく、フィルムを現像してみると、そこには、須田と見知らぬ女がどこかに旅行した時に撮ったらしい写真が多数あった。

その様子を見た南刑事は、この二人は出来上がっていると指摘する。

沢田部長刑事は、さっそく須田の写真を富田アキ子の両親に見せに行くが、夫婦とも全く知らないと言う。

そこに、ふらりと現れたのは加納ハナエだった。

彼女は、自分は富田アキ子の友達だと自己紹介すると、ご焼香をさせて欲しいなどと殊勝な事を言って両親を安心させるが、その後に、生前、彼女には少々お金をご用立てしていた…と言い出す。

それを側で聞いていた沢田は苦笑いをし、警察手帳を差し出しながら、君は加納ハナエ君だね。中島刑事が一日振り回されたと言うのも分かるよと近づいて来る。

「バー夜の星」にやって来た中島と南刑事は、バーテンに警察手帳を出して、マダムはいないかと聞くが、いないと言うし、須田と一緒に写っている女の写真を見せても、知らないとけんもほろろの扱い。

そこに、小西刑事と杉山刑事が、客を装って入って来る。

囮役の中島と南刑事が先に帰ると、奥に隠れていたママ(関千恵子)が出て来る。

ママは、小西と杉山の席に座ると、帰った南らの事を当てつけながら、毛虫と刑事は大嫌いだと言い放つ。

一緒に座っていたホステスたちは、先ほど南が見せた写真の女を知っていたらしく、ママのライバルだったけど、今は玉の輿に乗った女と言う。

それを聞いていた両刑事は、自分たちも彼女が写った写真を取り出すと、それはこの女の事だねと刑事である事を明かし、ママたちを唖然とさせる。

写真の女は、バーのホステスから外務省局長夫人に収まった高野雪子(高千穂ひづる)だと判明した。

本部に戻って来た杉山刑事は、ハナエが会いたがっていると言われ、渋々、南刑事を伴い、彼女が待つ部屋に出向く。

ハナエは、いきなり、杉山に接吻してくれと抱きついて来る。

南刑事は、困りきる杉山を尻目に、「俺、見てないよ」ととぼけてみせる。

そんなハナエが言うには、仲間内にアキ子を殺す子なんていないらしい。

赤木主任は、ハナエの証言を元に、現場に女の子たちが集まろうとしたと推理する。

久保田刑事は、アキ子には殺される理由がない事を指摘、それを聞いた赤木主任は、何かを目撃したか?と読む。

しかし、逃げ遅れるとしたら、ハンデがあるカオルしかいないはず。

殺されたアキ子はリーダー格だったと言う事は、責任感から現場に戻った可能性がある。

靴の片方が残っていたと言う事は、車で逃げた事が考えられるが、須田は免許を持っていなかった。

つまり、須田に関係した事件に、アキ子ら娘が関わっていた可能性が高く、局長夫人の線を調べる必要があると言う結論になる。

沢田部長刑事と中島刑事は、早速、雪子に会いに行き、須田との関係を聞くと、一度結婚を申し込まれた事があるが、すでに、こちらとの縁談が進んでいた事もあり断ったのだと言う。

写真を見せると、一昨々年、須田と共に城ヶ島に行った時のもので、それ以来会っていないと雪子夫人は答える。

屋敷を後にした沢田部長刑事は、雪子が、あまりにも落ち着きすぎていると疑問を口にする。

そして、須田が撮った写真をもう一度良く観た沢田は、その風景に写った看板に注目する。

そこには、ビクターのステレオ型テレビ300型と言う製品名が書かれてあったが、それはつい最近売り出されたものではないかと気づいたのだ。

さっそく、メーカーに確認しに行くと、確かにその製品は、昨年の夏に売り出されたもので、それ以前に看板が出ている事はないと言う。

その報告を受けた赤木主任は、雪子は何かを知っているなとつぶやく。

沢田部長刑事も証拠が欲しいと感じていた。

赤木主任は、須田のアパートで見つかった手帳に書かれた電話番号を調べるしかないと言い出し、すぐに、小西刑事が電話帳を持って来る。

人海戦術で、手帳に書かれた電話番号の相手を片っ端から調べて行く事にする。

その一つは、料亭の番号で、須田は女連れで来た事があると言う。

だが、その後は、どれも雪子に結びつく番号ではなかった。

諦めかけた刑事たちだったが、まだ、相手が出ない番号がいくつか残されていた。

電話局から、その不在電話の場所と持ち主が判明したと、赤木に連絡が入る。

笹島マンションの幸田五郎と言う人物だと言う。

そのマンションに出向いてみると、管理人は、幸田は3月15日の10時過ぎ、ガス代を払ってくれたと言う。

さっそく、幸田の部屋が調べられ、室内から、男女二人の寝間着と須田と雪子の二人の指紋が検出されたので、ここが、二人の逢引用の部屋だった事が分かる。

久保田刑事は、濃い緑色のフォードが駐車場にあったとの証言を聞き込んで来る。

赤木主任は、暖炉の側の壁に少量付いていたしみを科研のルミノール反王で調べさせる。

それはまさしく、人血だった。

浴室からもルミノール反応があり、須田はこの部屋で殺された可能性が強まる。

赤木主任は、雪子夫人に尾行をつけてみる事にするが、一連の犯行は、女一人で出来るものではなく、局長のアリバイも調べてみる事にする。

翌日、再度、雪子夫人を訪ねた沢田部長刑事が、3月15日の夜のアリバイを聞くと、恥ずかしい話だが、友人たちと朝3時まで、賭け麻雀をしていたと言うではないか。

須田との事を隠していたのは、金も取られていたので、誰にも知られたくなかったと答える雪子。

そんな雪子夫人が乗った車を、南刑事らが乗った車が追跡する。

雪子は、とある男と会って話を始める。

その会話を盗み聞こうと、近づく南刑事と久保田刑事。

しかし、二人の会話は断片的にしか聞き取れないし、あまり近づくと、こちらの事を気づかれてしまう。

南刑事は運転手の吉村もその場に呼んで来ると、自分らの代わりに雪子らに近づかせるのだった。

二人は,明らかに、須田の事を話し合っていた。

男は、後二日の辛抱だと雪子に語りかけていた。

その男の正体は村松洋一郎(田村高廣)、雪子の実兄だと分かる。

雪子の夫の局長には、五日間、九州に行っていたと言う確たるアリバイがあった。

赤木は、村松と言う、始めて怪しい人物が浮かび上がって来た事に手応えを感じていた。

赤木は、まず車の線を洗う事を指示するが、雪子と兄が交わしていた、後二日と言う言葉が気にかかっていた。

麹町署の交通係と称し、村松に会った南刑事と久保田刑事は、轢き逃げ事件の参考のため、お持ちの自動車を見せて欲しいと願い出るが、村松が彼らが連れて来た修理場では、その車が洗浄作業中だった。

杉山刑事は、又、ハナエに話を聞きに行くが、りゅう子がオールドミスの担任から、黒いオーバーを盗んだと言う話を聞かされる。

そのオーバーの特長を詳しく聞くと、アストラカンだと分かる。

その報告を受けた赤木主任は、質屋にアストラカンのオーバーを持って来たものがいないかどうか捜させる。

そこへ、村松が、外務省へパスポートの申請に出向いたとの報告が、南、久保田領刑事より入る。

出発は、明日の17時だと言う。

さらに、申請されたベトナム、ギリシャ、イタリアなどの訪問国は、逃亡犯捜査の手が及ばない国ばかりだと分かる。

村松が後二日の辛抱と言っていた言葉の意味するものはこれだったのだ。

赤木主任は、アリバイから責めるしかないと判断するが、杉山刑事は間に合わないと焦る。

赤木主任は、追い込まれたら操作の基本に戻るしかない。相手は一筋縄ではいかない。本当に村松がやっていたとしたら、奴にはアリバイがないはずだと杉山を諌める。

沢田部長刑事は、相手は一課七号に挑戦して来たんだ。受けて立つしかないだろうとつぶやく。

早速、村松に、3月15日のアリバイを尋ねに行くと、セントラルホールに「史上最大の作戦」と言う映画を観に行って、その後はアパートに帰って来たと言う。

本部に戻って来た沢田部長刑事は、アリバイはないと言う事だと報告する。

すでに、夜の9時、村松が日本を飛び立つまで、後20時間しかなかった。

その頃、川森りゅう子は坂本潤(園田明弘)と言う男の部屋に転がり込んでいたが、外から戻ってみると安木富士子の姿がないのに気づく。

少し遅れて戻って来た富士子が、バーで唄うと金をくれると言われたので、唄って来たと言うので、酒目当ての潤吉の入れ知恵と知ったりゅう子は、寝ていた潤吉に水を浴びせかけると、富士子を連れて部屋を出て行く。

翌日、最後の予防注射をしに出かけた村松の様子を尾行していた南刑事は、同行した久保田刑事に、何とかして村松の車のトランクを調べたいと漏らす。

その後、床屋で髭を剃り始めた村松の車が駐車違反地域に停まっている事に気づいた南刑事は、これだと叫ぶ。

早速、レッカー移動し、トランクの中の指紋採取を始めるが、そこに村松がやってきて、交通係がこんな事までするのかと皮肉を言う。

本部では、そんな南刑事の行き過ぎた行動に憮然とする赤木主任に、杉山刑事は弁護しながら、自分も村松のバーの借金を五件かき集めてきたと報告していた。

そんな杉山に対し、赤木主任は、俺は怒っているんじゃない。ありがたいと思っているんだと答える。

沢田部長刑事は、もう一度村松に会って、言いたい事があると言い出す。

座敷に村松を呼び出した沢田は、自分たちが追っているのは二人の被害者がいる殺人事件なのだと打ち明け、あなたがやった行動は、妹さんを守るためだったのか、それとも、妹さんの夫のコネで手に入れた自分自身の今の地位を守るためだったのかと詰め寄る。

あなたは逃げ追うせたとしても、一生殺人と言う罪を背負って行く事になるが、妹さんの方は、賭け麻雀と言うアリバイで、ぬくぬくと守られているのだと説明する。

その後、村松は、妹雪子の元を訪れ、何故、自分だけアリバイを用意していたのかと聞き、もし俺が、外国へ行かないと言ったらどうすると問いつめる。

雪子は、私たちは破滅するだけよと答える。

村松は、俺は、お前の亭主、高野とのコネがなくなる事を恐れたんだと打ち明ける。

屋敷を出ようとした村松は、玄関先に、沢田部長刑事と杉山刑事が待っていたのに気づく。

沢田から何しにここへ来たのかと聞かれた村松は、別れに来ただけだと答える。

赤木主任が沢田から電話で報告を受けたのは11時35分だった。

そこに、りゅう子の男らしき千葉県浦安の坂本潤なる人物が、小岩の質屋にアストラカンのオーバーをいれた事が分かったとの知らせが入る。

さっそく刑事たちは、坂本確保のため現地に飛ぶ。

川に浮かぶ船の上を逃げ回る坂本を何とか捉えた刑事たちは、富士子とりゅう子は、番町の山並とか言う家に行ったようだと坂本から聞かされる。

その頃、りゅう子は富士子を連れ、山並なる家の妻と対峙していた。

富士子が、この家の主人に、いつも希望を持っているんだよ。いつか必ず、生きていて良かったと思う事あるからと優しい言葉をかけられ、抱かれたので、金を出して欲しいと脅していたのだ。

妻は、二度と来ないと約束してくれるならと言う条件付きで5万円を差し出すが、それを黙って見ていた富士子は、自分は全部忘れる。金はいらない。もうここへは来ないとつぶやく。

富士子とりゅう子が山並家を出た所で、駆けつけて来た南刑事と小西刑事が確保し、築地署に連行すると、ただちに事件当夜の事を聞く。

あの夜、逃げ出した娘たちは現場に集合したが、夜中の2時半頃、海の方から上がって来る男をアキ子と富士子が見かけ、アキ子の方が捕まってしまったのだと言う。

それを聞いた赤木主任は、現場に行ってみようと言い出す。

中島刑事と沢田部長刑事は、いよいよアパートを出発する村松に会いに行くが、村松は、車はいらなくなったので、羽田で待っている者に売る事にしたと言い、出発する。

赤木主任は、事件当夜見かけたと言う男の写真を富士子に選ばせていた。

富士子が選んだのは、村松の写真だった。

シャベルを持った刑事たちは、荒川の現場に到着すると、連れて来た富士子らに、男を観た位置を聞き、そこを掘り始める。

羽田に向かう村松を車で追っていた久保田刑事は、死体が発見されたら、直ちに村松を緊急逮捕するよう連絡を受ける。

現場を掘り起こしていた南刑事らは、なかなか須田の死体が見つからないので焦り始める。

村松の車は浜離宮を過ぎたとの報告が入る。

尾行車に乗っていた沢田部長刑事は、大丈夫、死体はあるよと、自らに言い聞かせる。

今あるのは、皆、状況証拠ばかりだった。

アキ子の死体発見場所までやって来た赤木主任は、何故、殺されたアキ子は、ここまで引きずって来られたのかと疑問を口にする。

その意味を汲んだ南刑事は、ここを掘ってみましょうか?と言いながら、その近くを掘り始める。

やがて、死体が発見される。

羽田空港のすぐ側で連絡を受けた沢田らは、村松の車の前に出て、停車させる。

羽田空港には、兄を見送るため、雪子が夫の高野と共に来ていた。

そこにやって来た沢田、久保田、中島らは、村松が今逮捕されたと知らせる。

雪子は、何故、それを私に?と無関係を装って問い返すが、沢田部長刑事は、それは、あなたが一番ご存知なのじゃないですか?いずれ又、お目にかかる事になると思いますと言いながら、立ち去る。

夫の高野は、何の事だと妻に問いかけるが、雪子は黙って、前方を見つめるだけだった。

光明女子学園に富士子とりゅう子を連れて来た杉山刑事は、又、ハナエから抱きつかれる。

娘たちに見送られながら、杉山と共に帰りかけた小西刑事は、途中でふと足を止めると、手を振っていた富士子を呼び寄せると、いつも希望を持っているんだよ。いつか必ず、生きていて良かったと思う事あるから…と言葉をかける。

それを聞いた富士子は、良いんだよおじさん、そんなおいしい事言ってくれなくても、ちゃんと分かっているからと答えるのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

往年のテレビ人気ドラマの映画化の第二弾。

練り上げられた脚本に加え、十朱幸代、香山美子、青山ミチ、中村晃子ら当時の新人女優たちの斬新な演技に、高千穂ひづる、田村高廣、加藤嘉ら中堅所の安定感のある演技が加わり、緊迫感のある捜査ドラマに仕上がっている。

前半は、問題少女たちに手こずる刑事たちの姿を淡々と捉え、容疑者が絞られた後半は一転して、タイムリミットものになる。

杉山刑事に付きまとい、嘘ばかり付いているお調子娘を演じている十朱幸代や、前作での元気のよいラーメン屋の女店員役とは打って変わり、知的ハンデがある少女を演じている中村晃子が印象的。

事件の事を話す雪子と村松との会話が、劇中で聞き耳を立てている南刑事ら同様、観ている観客にも、聞き取れそうで聞き取れないようになっているもどかしい演出や、千葉の掘割での小舟上の逮捕劇をロングで捉えたショットなども秀逸。

映画用として、それなりに力を入れて作っている最近のテレビドラマの映画版と違い、当時のテレビドラマの映画版は、あくまでもテレビ人気に便乗したプログラムピクチャー用の企画レベルのものが少なくなく、凡庸なものも多いのだが、本作は珍しく、出来が良い方だと思う。

タイアップとして、森永乳業とビクターが参加しており、「森永コーラス」(カルピスの類似品)を買うともらえるヨーヨーなどが出て来るのが懐かしい。