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刑事物語 知り過ぎた奴は殺す

1960年、日活、宮田達男脚本、柳川武夫監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

午後1時20分、東和銀行にやって来た山田一夫を名乗る一人の男が、千円で口座を作ってくれと受付の行員(早野輝)に依頼する。

ソファに腰掛け、通帳が出来るのを待っているかに見えた男は、実は、奥の店長席で、多額の札束を受け取っている野口産業の社長、野口正彦(長尾敏三郎)の様子を凝視していた。

札束を受け取った野口が銀行を出ると、その男も後をつけ、通帳が出来上がったと山田一夫の名を行員が呼びかけても、誰も受付に近づいて来なかった。

その銀行の前で靴磨きをしていた元さんこと田中元一(土方弘)は、銀行の前を出発した野口の車をじっと見つめていた。

運転していた野口は、突如後部座席に男が起き上がったのをバックミラーで見て驚く。

後部座席の男は助手席に乗り移ると、運転していた野口の腹に銃を撃ち込むと、自分がハンドルをさばいて、近くの路肩に車を止める。

タイトル

撃った野口を助手席に倒し、自分の上着をその上にかけた男は、自分がハンドルを握り運転を始めるが、その後、ハンドルさばきをミスり、自転車をはねてしまう。

その後、男が運転する車は、轢き逃げ現場に向かう救急車とすれ違う。

その轢き逃げ現場に検証のためにやって来たのは、佐藤源造刑事(益田喜頓)

目撃者の話で、逃走した車のバックナンバーが判明する。

葬式の行列とすれ違った男の車は、山奥に入り込むと、滝の側に、そこにサングラス姿の一人の男が待っていた。

関谷(森塚敏)と呼ばれたその男は、助手席で倒れていた死体を覗き込むと、何だ、やっちまったのかとつぶやくと、運転席にいた須田二郎(上野山功一)に降りろと命じ、自分が運転席に乗り込むと、車を死体ごと崖下に落とす。

須田は、関谷にピストルと、バッグの中に入っていた金の一部を渡す。

二人は山を越えた所に向かうと、眼下に広がるダムで待っていた車の女に関谷が「ヤッホー」と声をかける。

山を下りながら関谷は「我々は女とダム見学に来た事にする」と須田に念を押すと、車で待っていた女には、友達と会ったと須田を紹介して車に乗せると、一緒に出発する。

所轄署に戻って来た源造は、戸田部長刑事(山田禅二)に、車の持ち主は野口産業の野口正彦だったと報告する。

すると高木刑事(花村典克)が、その野口は、10時半に銀行を出た後行方不明になっており、秘書から捜索願が出ていると言う。

そこに電話が鳴り、受話器を取った源造は、相手は西多摩署であり、崖下に墜落した車から死体が発見されたとの報告を受け、ただちに西多摩の現場に向かう事になる。

その後、野口の秘書、福本君江(香月美奈子)に、野口は後頭部を撃たれていたと報告に着たのは、本庁の部長刑事で、源造の息子、佐藤保郎(青山恭二)だった。

君江は、野口社長は、大阪支社からの送金600万円を受け取るため、東和銀行に行ったと説明する。

金は全部5000円札で、金を入れるバッグは自分が持たせたとも言う。

一方、東和銀行の行員から、山田一夫名義の通帳を作った男がいなくなったと言う話を聞いた源造は、その男のモンタージュを作る協力を頼む。

翌日、電車で妻ミネ(若原初子)と息子アキラ(松岡高史)と共に仕事先に向かう田中は、600万円が強奪されたと言う朝刊の記事をじっと見つめ、俺たちが600万円稼ぐには、競輪か競馬しかないと愚痴っていた。

東和銀行の前に着いた田中は、材料を仕入れて来ると妻に言い残し、そのまま場外馬券売場にやって来ると、朝から自動販売の酒を飲み始める。

その後、落ちている外れ馬券などを物色していた田中は、偶然、昔一緒に工場を首になった須田に出会ったので、昨日、銀行の前で、あんたが車の鍵を開け、後ろの席に乗り移るのを見たと声をかける。

須田は、田中を近くの飲み屋に連れて行くと、生ビールを振る舞いながら、競馬も止めたいし、足も洗いたいので、少しまとまった金が欲しいと言う田中の話を聞き、今夜10時、木場のビルの屋上に来てくれと言う。

すると、礼を言いながら田中はすぐに立ち去り、その代わりに関谷が横に座る。

銀行の前で靴を磨き始めた田中の元に、源蔵がやって来てモンタージュを見せる。

それは、須田にそっくりだったが、田中は知らないととぼける。

しかし、その時のおどおどした田中の不審な様子を、源造は見逃さなかった。

本部に戻った源造は、待ち受けていた本庁の小松警部(松下達夫)と金子刑事(宮崎準)、そして息子の保郎を部長刑事から紹介される。

源造は、さっそく、一人気になる男がいると報告し、又勘ですかと、保郎からからかわれる。

しかし、その夜、田中を尾行して来た佐藤親子は、田中が無人のビルの側面の階段を上り始めたのを目撃する。

屋上にやって来た田中は、須田さんと呼びかけるが、佐藤親子は、その様子をしっかり監視していた。

そこに須田が現れ、金は、そこのネオンのトランスの下に隠してあると田中を連れて行くと、いきなり田中の身体をトランスに押し付け感電させようとしたので、保郎が駆けつけ、須田と格闘を始める。

須田は階段を下り逃げたので、保郎もその後を追う。

須田は、川に浮かんだ丸木の上を走り、やがて、川に飛び込んでしまう。

一方、源造は、現場に須田が落として行ったマッチを拾い上げると、殺されかけて呆然としていた田中をしっかり確保していた。

しかし、その様子を物陰からしっかり目撃していた男がいた。

関谷だった。

所轄に連れて来られた田中は、呼び出された女房のミネからも説教をされる事になる。

田中が言うには、須田とは、昔同じ工場に努めていたが、工場の品物を盗んで一緒に首になった仲らしい。

その須田が、事件当日、東和銀行の前に停めてあった野口の車の鍵を開け、仲に乗り込んだのを目撃した事も田中は打ち明けていた。

同じく、署に呼ばれていた福本君江は、須田と言う男に心当たりはないと答え帰って行くが、源造は、あの秘書と野口社長の特殊関係を調べた方が良いのではと進言する。

その後、ホテルにやって来た君江は、ホテルマンから、連れは出かけたと聞き部屋に入ると、帰りる準備をするが、背後に隠れていた関谷の姿を三面鏡の仲に発見し驚く。

ここには来ないでくれって言ったはずよと、君江は不快感を表すが、関谷は、二郎がヤバくなったと伝えると、君江のバッグから、二郎の手紙を勝手に取り出すと、その場で読み始める。

あなたとは二度と会いたくないと言う君江に、あんたを弄んだ社長はもういない。肝心の良い人まで邪魔になって来たんじゃないだろなと君江に迫る関谷。

君江は、「まさか、二郎さんを?止めてちょうだい、お願い!」と訴える。

源造は、翌日、拾ったマッチに印刷してあった「SLドライブクラブ」と言うレンタカーショップに向かう。

須田の写真を見せると、女店員は、一昨日、男友達と一緒に、あのオープンカーに乗って、夜の8時頃戻って来たと説明する。

君江は、源造と高木刑事が張っていた須田の下宿にやって来る。

車で後をつけると、下宿のおばさんが君江に、「須田は多摩川の遊園地で待っている。さっき、関谷さんも訪ねて来た」と教えていた。

遊園地で待っていた須田の元にやって来た関谷は、一緒にジェットコースターに乗るよう脅す。

君江と、その後を追って来た源造たちは、遊園地内で必死に須田の行方を捜していたが、その間、ジェットコースターがトンネルを通過する際、関谷は須田を射殺してしまう。

ジェットコースターが到着し、一番後部座席に座っていた須田が死んでいるのを発見した客は悲鳴を上げる。

騒ぎを聞きつけた君江と源造たちは、ジェットコースター乗り場でに駆けつけるが、すでに関谷の姿は消えていた。

本部に戻った源造たちは、自分たちがいながら、須田を死なせてしまった詫びをするが、小松警部は、不可抗力だと慰め、このままでは君江も危ないと言う。

それを聞いた源造は、須田、君江…と、事件を知っているものが消されるのだとすると、次は…と考える。

田中は、一人屋台で飲んでいた。

その横の暗がりに潜んでいた関谷が拳銃を取り出した時、女房のミネと息子のアキラが迎えに来たので,襲撃は中止する。

一方、アパートに帰る君江を付けていた佐藤親子はドアに近づく。

部屋の中では、服を脱ぎ、ベッドの入ろうとした君江が、ベッドに隠れていた関谷に驚いていた。

君江は、二郎さんを返して!と叫ぶが、関谷は、後、靴磨きを殺せば、立証人がいなくなると笑いながら、君江に挑みかかると、どうしても嫌なら、金を全部頂くと言う。

しかし、君江は、あれは、二郎さんと私との夢だったと言いながら抵抗する。

関谷は、そんなに好きなのなら、添わせてやっても良いと善いながら、君江に拳銃を突きつけて来る。

その時、入り口から、保郎が入って来て、関谷に飛びかかるが、関谷はガラス戸を破って裏に逃げ出す。

源造は、君江を本部に連れて行く事にする。

その後、ナイトクラブで接客中だったホステス、ミサ子(南風夕子)は、同僚から声をかけられ、楽屋裏の控え室に戻ると、そこに、顔に怪我をした関谷が隠れていた。

驚いて傷の手当を始めたミサ子だったが、その店に、佐藤親子がやって来る。

二人は別々の客を装い、二台の電話に前でミサ子の名前を伝え合う。

その後、保郎はミサ子を指名し呼び出すと、一緒に踊り始めるが、その時、ミサ子のドレスに少量の血痕が付着しているのを見逃さなかった。

保郎は、警察手帳を出しながら、関谷が来ているだろう。あいつは殺人容疑者なんだと聞く。

迷ったミサ子は、呼んで来ると楽屋裏に向かうと、関谷にサツが来たと告げるが、その部屋の二つの戸口には、ついて来ていた佐藤親子がそれぞれ立ち塞がっていた。

関谷は、銃をミサ子に突きつけ人質にすると、そのまま外に連れ出す。

その直後、三発銃声が響くと、胸を打たれたミサ子が倒れ込んで来る。

関谷は、タクシーを拾うと銀座方向に逃亡したので、緊急手配が発せられる。

やがて、橋のたもとに停まっていたタクシーから、射殺された運転手の遺体が発見される。

関谷は、この川の近辺に逃げ込んだと思われ、至急、一斉捜査が始まる。

源造は、偉い事になったと保郎に語りかける。

そこに、戸田部長刑事も駆けつけて来て捜査に加わる。

近辺の小屋を当たっていた警官の一人が、潜んでいた関谷に撃たれて倒れるが、必死に警笛を吹き鳴らす。

関谷は川に飛び込むと、無人のボートに乗り込むと、大川に向かい逃走を始める。

それを巡視艇に乗った保郎が追いかけ始める。

少し遅れて、源造と高木刑事、戸田部長刑事が乗った巡視艇も並走して来る。

関谷は追って来る巡視艇に向かい発砲して来る。

高木刑事や源造も撃ち返す。

関谷は被弾するが、なおも銃撃して来たので、源造が足を撃たれてしまう。

関谷は、煙を出し始めたボートを川の支流へ寄せると、一人ボートを捨て、芦原に逃げようとするが、源造が、完全にお前を包囲したと叫ぶと、さすがに観念して手を挙げる。

保郎は、ロープを関谷に投げ与えると、船に引き上げてやる。

後日、東和銀行の前に車で乗り付けた佐藤親子は、靴台に靴を乗せたアキラ相手に、楽しそうに働いている田中夫婦の姿を見る。

磨いてもらいましょうかと保郎が誘うが、まだ片足に包帯を巻いていた源造は、磨くのは次にしようと言い、そのまま車を走らせるのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

刑事物語シリーズの第七話で、上映時間55分の中編作品。

今回は、強盗事件の仲間割れを巡る事件に、佐藤親子が挑むと言うもの。

第六話「小さな目撃者」に出ていた可愛らしい男の子、松岡高史が、また靴磨きの息子役で登場している。

この頃になると、物語の展開も堂に入った感じで、安定感が感じられる。

源造は、今回、世田谷近辺の署に勤めているらしい。

それにしても、この時代の娯楽作品には、必ずと言って良いほどナイトクラブが登場する。

セットの作りおきもあったのだろうが、当時の大人向けのサービスとして定番設定だったのかも知れない。