TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

大捜査網

1965年、大映東京、長谷川公之+石松愛弘脚本、村山三男監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

警視庁

警官たちの射撃練習風景

タイトル

職務質問の仕方の授業風景

警察学校寄宿舎1号館

同室内に集まる警官の卵たちは、夜の時間を雑談でくつろいでいたが、そんな中、本田英夫(本郷功次郎)だけは、一人机に向かい勉強していた。

辻洋一(丸井太郎)が、夜食の金を出し合うあみだくじに誘っても、本田だけは興味がなさそうで、辻が買って来た焼き芋を勧めても、食べたくないと拒否する始末。

成績は優秀なのに、人付き合いが極端に悪い本田の事を、同室の江藤俊介(藤巻潤)は、常々苦々しく思っていた。

本田は毎晩、望郷台と呼ばれる屋上に上ると、そこに書かれた「秋田」と言う県名を見ながら「佐久間さん、今日も無事帰りました。立派な警官になるため頑張ります」と、一人誓うのだった。

ある日の講義は、津川警部(宇津井健)による愚連隊らによる暴力行為に関するものだったが、それを聞く江藤の瞳は輝いていた。

津川警部こそ、江藤が目標と感じた人物だったからだ。

その津川警部は、講義の後、本田を呼びつけると、川島高校の竹内の教え子だったそうだが、奴から面倒見てくれと連絡があったと伝えた後。君が警官を希望した理由は何かと聞いて来る。

本田が、特に理由はないと答えると、高校時代は不良の仲間だったそうだが…と津川警部が話しているのを、柱の陰から、こっそり江藤が聞いていた。

とある日曜日、江藤の妹節子(姿美千子)が、兄の洗濯物を持って寄宿舎を訪ねて来るが、今、肝心の江藤はいないと本田から教えられがっかりする。

住み込みで洋裁店で働いている節子は、自分たちの父親も田舎で警官をやっているのだと教える。

兄を待つ間、本田と卓球をして時間をつぶしていた節子の所に、辻と共に江藤が帰って来る。

節子の事が好きな辻は喜ぶが、江藤は節子に、本田とは付き合うなと釘を刺すのだった。

その後、学生運動デモの制止に向かった辻は、学生からプラカードで頭部を殴られ、流血して入院してしまう。

その日、寄宿舎に戻った教習生たちは皆憤慨していた。

同年代同士なのに、立場が違うと言うだけでこんな目に遭うなんてと言う義憤からだった。

その場で、江藤は、入院した辻のために見舞金のカンパを集め始めるが、またしても本田一人だけが金を出そうとしない。

さすがに江藤は、本田の態度をなじるが、本田は金を持っていないんだと言いながら、ポケットから数十円しかない小銭を出してみせる。

堪忍袋の緒が切れた江藤は、そんなに友情のかけらもないような奴は出て行けと本田に迫り、殴り合いを始める。

そこに現れて「警官が暴力をふるってどうするんだ!」と二人を止めたのは、病院から抜け出して来た辻だった。

辻は、今日の出来事で、始めて、法令に基づき、職務に邁進する警察官精神と言うものが分かったような気がすると言いだす。

今までは、警察学校は腰掛けのつもりで、その内別の仕事を見つけて、夜間学校に行くつもりだったが、今日こそ、本気で警官になろうと思ったと言うのだった。

辻、本田、江藤ら744期教習生の卒業式が行われる。

その優等賞受賞代表をして、本田が表彰状を受け取る。

卒業後、辻、本田、江藤ら三人はそろって城南警察署の警邏に配属される。

さっそく街に出た本田は、チンピラたちに囲まれている家で娘らしき少女木下富子(十和田翠)を見つけ、ラーメン店の出前の仕事を紹介してやる。

やがて、城南署に、あの津川警部が、刑事防犯課長として赴任して来る。

一方、同じく警邏中だった江藤は、酒屋の主人(村上不二夫)は、小指の入った瓶をちらつかせるチンピラから、何か脅されていたので、中に入って事情を聞こうとするが、主人は、何も話そうとしなかった。

ある日、本田は、自分が紹介した木下富子に、金を持ち逃げされたと、ラーメン屋の女将から苦情を持ち込まれ、愕然としていた。

当初、木下富子は真面目に働いているように見えたからだった。

裏切られた気持ちで、本田は必死に街を捜し歩くが、杳として木下富子の姿は見つけられなかった。

やがて、署に戻って来た本田は、刑事に連れて来られた木下富子を見て驚く。

何と、男をホテルに誘い、別の男と連れ立って金をせびる、いわゆる「美人局」をやっていたと言うのだ。

そんな本田を呼んだ津川課長は、君は補導係ではないと厳しく注意する。

又別の日、パチンコ店のガラス戸に、チンピラたちが石を投げつけて破壊したので、駆けつけて来た本田は、被害届を出すように説得する。

しかし、店主は、昔あいつらの仲間だったので、もうかかわり合いたくないのだと拒否する。

それでも必死に説得し、ようやく本田は、店主から被害届を出してもらう事にする。

ところが、ある晩、警邏中の辻が、血を流して倒れていた男を発見する。

それは、あのパチンコ屋の主人だった。

店主は病院に運び込まれ、妻は本田に、これはあんたのせいだ。こんな事になるのなら、昔の仲間たちと付き合いさせていた方が良かったと責める。

またしても本田を呼び出した津川課長は、せっかく更正しようとした一市民の気持ちを、君は踏みにじってしまったのだと叱りつけるのだった。

責任を感じた本田は、犯人を捕まえてみせますと答えるが、それは刑事の仕事だと、重ねて怒鳴られる。

ある日、そんな本田、江藤、辻は、津川課長の家に呼ばれ、すき焼きをごちそうになる。

津川は、妻の英子(藤村志保)が座を外した時、彼女には子供が出来たんだと、うれしそうに三人の部下たちに教えるのだった。

その津川課長、署では、今後、管内の暴力団捜査を徹底すると部下たちに言い渡していた。

彼らの資金源は、コールガールと賭博と思われると説明する。

酒屋の主人が賭博をしていると目を付けていた江藤は、主人を尾行し、とある料亭に入り込んだのを確認すると、さっそく署に連絡する。

しかし、津川課長ら刑事が踏み込むが、収穫はゼロだった。

自分の情報に自信を持っていた江藤は、情報が漏れるなんておかしいと疑念を感じ始めてた。

その直後、一人道を歩いていた津川の妻、英子が、後ろから走って来たバイクの男に身体を押されると言う嫌がらせを受ける。

そんな軽はずみな事をした弟分のサブこと水島三郎(高見国一)を、兄貴分の山野慶太(千波丈太郎)は叱りつける。

サブは胸を病んでおり、時々咳き込んでいたが、ある日、町中で苦しみだしたので、それを介抱していた山野の姿を目撃した本田は声をかける。

彼らは、高校時代、つるんで悪さをしていた仲間だったのだ。

高2の時中退した山野は、今、関東商事と言う会社に勤めていると言うが、サブが、以前、家出娘だった木下富子にからんでいた一人だった事を覚えていた本田は、山野も愚連隊と絡んでいるのではないかと疑問を持つ。

山野の方も、かつての不良仲間だった本田が、今警察官になっている事に驚いていた。

山野が勤めている関東商事と言うのは、本田が想像した通り、暴力団だった。

社長の立花(神田隆)は、最近、警察の捜査がきつくなって、なかなか博打の客が取れないとこぼす部下に、やるだけやって様子を見ろと命じていた。

その頃、津川課長は、酒屋の主人を呼び出して、博打の事を聞き出そうとしていたが、主人は頑として口を割ろうとしない。

一方、警邏中の本田は、木下富子が見知らぬ男と一緒にタクシーに乗り込み、サブがその近くで金勘定しているのを見かける。

また、美人局をやっていたのだ。

本田は、サブを尾行し、彼が関東商事に入って行くのを確認する。

ある夜、一人帰宅途中だった津川課長は、物陰に潜んでいる不審者に気づくと、不審尋問を始めるが、突如、刃物を抜いた男に突いて来られる。

その直後、津川課長を襲撃した犯人が、身体連行中に逃亡、東洋公園方面に逃げ込んだと言う指令が一斉に飛ぶ。

警邏中だった江藤は、東洋公園内に潜んでいた犯人らしき男を発見し、銃を取り出して威嚇射撃をするが、相手も発砲して来たので、やむなく撃ち返すと、相手の腹に命中、そのまま犯人は死亡してしまう。

病院のベッドで、その犯人の顔を写真で確認した津川課長は、自分が以前逮捕し、刑期五年で出所して来たばかりの金沢伝吉だと見抜く。

個人的な仕返しではなく、誰かの差し金だろうと推理した津川課長だったが、返す返すも、その金沢を死亡させてしまった事を悔やんでいた。

江藤は、足を狙ったつもりが、弾が跳ね返ってしまい…と言い訳をするが、津川課長は言い訳はするなと叱りつける。

その頃、本田も又、津川課長を襲った金沢の写真を、呼びつけた山野に見せて、関東商事と言う会社は何をやっているのか?サブは客に女を取り持っているようだが、鬼気分のお前なら良く知っているのではないかと問いただすが、山野は、お前、やけに警官面するようになったじゃないかと言い残し、さっさと帰ってしまう。

一方、江藤は、犯人に対する拳銃の使い方に関して査問委員会に呼び出され、射撃の腕は優秀なはずなのにおかしいじゃないかと詰問されていた。

そこに、病院から抜け出て来た津川課長がやって来て、公園の砂利山の中から、江藤が撃ったと言う威嚇射撃の弾を発見したと報告し、彼は人柄人物共に優秀なので、寛大なご処置をお願いしたいと願い出る。

その津川課長の心配りを目の当たりにした江藤は、心から感激するのだった。

退院した津川刑事は、刑事たちを集めると、湿り気を帯びると緑色に変色すると言うマラカイトグリーンと言う特殊染料の事を説明し始める。

銀行に協力してもらい、この染料を札に塗っておけば、それを手にした人間の指は緑色に染まり、洗っても落ちないので、博打をしている人間をあぶり出すにはうってつけだと言うのだ。

新たに刑事課に配属された本田が、何をすれば良いのかと尋ねると、野崎刑事と組ませると津川課長は指示を出す。

その後、線路脇で変死体が発見され、その指先は緑色に染まっていた。

睡眠薬の瓶を所持していた所から、自殺ではないかと疑われた。

酒屋の主人も呼び出されたが、想像通り、その指先は緑色に染まっていた。

津川課長と本田らが厳しく追及すると、とうとう主人は、博打はなかなか止められない。足の悪い男に誘われてやったと白状する。

その頃、関東商事の立花は、ダイヤの取引をしたいが、先方の言い値が2000万とあって、今それだけの金がないので、何とか金を作れと山野や部下たちに命じていた。

本田は、クラブ「スカーレット」と言う店に客を装い入り込むと、マダム相手に、「5万であんたの貞操を勝負しないか」などと、いかにも賭け事が好きなように、わざと周囲に見せる素振りをしていた。

それに目をつけた足の悪い男が話しかけて来る。

酒屋の主人の言う通りだった。

近くに賭場がある風に話しかけて来た男に、今持ち合わせがないので、向島の自宅に取りに戻る間、ちょっと待っていてくれと男に言い残し、外に出た本田は、津川課長に電話で手入れを要請する。

津川課長は、無理をするなと応ずると、すぐさま刑事たちを現場に向かわせる。

その後、足の悪い男と再会した本田は、時間稼ぎのために、酒が飲みたくなったと、半ば強引に一件のトリスバー「いづみ」に寄ると、酔った振りをして歩みを遅め、男に連れて行かれるまま「旭荘」と言う旅館に到着する。

その「旭荘」に、上野は、自分が仕切っているコールガールの富子を捜しに来るが、そこのベッドに寝ていたのは、賭博を仕切っていた男が、勝手に連れ込んだ同じく組のコールガールのアケミだった。

商品に手を出すなと上野は怒るが、相手も後に引かない。

怒りのまま、出口に向かい階段を降りかけた上野は、ちょうど、足の悪い男に客として連れて来られた本田と顔を合わす。

本田の方も、上野に出会い驚くが、何故か上野は黙ったままその場を立ち去ってしまう。

外から、本田の行動を張っていた野崎刑事は、11時3分前、旭荘に本田が入ったと津川課長に報告する。

二階に上がった本田の顔を見たサブは、警察だと正体を見抜いてしまう。

しかし、その時、刑事たちが乱入して来て、一斉にサブたちは逮捕されてしまう。

謙虚に協力した辻は、お手柄だなと本田を誉めるが、江藤は、捕まえたのは小者ばかりだと、刑事になった本田を皮肉る。

賭場に手入れを食らった事を知った立花は、まさか、札に情報を漏らしている奴がいるんじゃないかと部下たちを疑う。

山野は、子分の一人が以前勤めていた川沿いの宝機械と言う会社の給料日が今度の土曜日で、その金庫を破れば、2、3000万くらいの金は入っている。金庫破りにはうってつけの人物も知っていると立花に提案していたが、その時、本田から山野個人へ電話が入り、呼び出しを食らう。

山野と外で出会った本田は、コールガールをやっているはずだと追及するが、そうした二人の様子を、怪しんだ江藤が監視していた。

本田は,自分たちが高校時代、さんざん世話になった駐在の佐久間さんの「どんなに貧しくても、苦労していても、お天道様が拝めれば良いんだ」と言う言葉を忘れたのかと、山野に迫っていた。

しかし、山野は、そんなもの忘れてしまったと言い捨て、帰ってしまう。

署に戻って、柔道場で江藤に出会った本田は、お前、山野に情報を売っているな?とあらぬ言いがかりをつけられる。

自分が刑事になったのをひがんでいるんだろうと受け取った本田は、その場で江藤と乱取りを始めるが、それは喧嘩のように激しいものだった。

その後、本田は、山野とは、高2の時まで兄弟みたいに付き合っていた仲なのだと打ち明ける。

二人は、佐久間(見明凡太朗)と言う駐在に良く世話になっていたのだが、ある日、その佐久間さんの制止を聞かず、他校の不良たちと喧嘩を始めたので、応援を呼びに行った佐久間さんは、トラックに轢かれて亡くなってしまった。

その時始めて、自分は本当に佐久間さんの恩を感じ、後悔した。

その時以来、自分は佐久間さんのような警官になろうと決心し、罪滅ぼしのつもりで、毎月、今は一人暮らしになった佐久間さんの奥さんに仕送りを続けているのだと、これまで付き合いが悪かった理由も説明するのだった。

それを聞いた江藤は、自分の誤解を悟り、その場で素直に謝罪する。

君は良い奴だ。実は今度、永続勤務功績賞を受けた父親が上京するので、君を紹介したいとまで江藤は言ってくれる。

その夜、サブは、金庫破りらと共に、宝キカイに忍び込み、守衛を射殺して、金庫を開けようとしていた。

撃たれた二人の守衛のうち、まだ息があった一人は、必死に電話の所まで手を伸ばし、110番を回すが、そこで事切れてしまう。

異常を察知した司令部では、砂場町の宝キカイと言う会社で何かあったらしいとの連絡を、移動中のパトカーに送る。

現場に急行した辻と江藤は、逃げる三人を発見、追跡した江藤は、賊の一人に飛びかかり、もみ合うが、相手に三発撃たれてしまう。

江藤が倒れたのに気づいた辻は、さらに逃亡したその賊を背後から射殺する。

一方、宝キカイの金庫室を調べにやって来ていた津川課長は、その床に、血痰が吐かれている事を知り、賊の一人は胸を病んでいると読む。

本部に戻って来た津川課長や本田は、病院から戻って来た辻から、撃たれた江藤が今亡くなったと聞く。

辻から、江藤は拳銃を取り出したのだが、撃てないままだったと聞いた津川課長は、この前の事件が尾を引いていたのかと悔やむが、本田は、奴は突き指をしていて撃てなかったのだと説明する。

江藤の遺体と対面した本田や津川課長だったが、そこに江藤の妹節子と、上京して来た父親の幸太郎(宮口精二)がやって来る。

幸太郎は、犯人を捕まえる事なく死んだ息子の事を叱り始める。

それを聞いた節子は怒り、本田も憮然とする。

その後、金庫破りの現場に落ちていた血痕の血液型がAB型だったと知った本田は、直接関東商事に乗り込むと、山野に、サブはどこだと詰問する。

しかし、そこに立花が入って来たので、本田は一旦引き下がる事にする。

本田が帰った後、立花は山野に、サブにたれ込ませろと命ずる。

罪は死んだ谷村におっ被せれば、サブは未成年だし、すぐ釈放されると言うのだ。

山野は、きちんとサブに弁護士を付けてくれるかと、立花に確認する。

その頃、警察に自首して出たサブのたれ込みから、金庫破りの常習者森田省吾が捕まるが、森田は耳が不自由で、言葉がしゃべれないと言う事が分かる。

その夜、警官の殉職者が奉られている弥生廟に、一人やって来た江藤の父親、幸太郎は、今日、自分がもらった35年勤務功績賞の表彰状を差し出しながら、お前を失ってしまった今、自分は何を生き甲斐に生きて行けば良いのかと泣き崩れる。

翌日、立花にだまされ、弟分のサブに弁護士がつかなかった事を知った山野は、何もかもサツにばらすぞと立花に迫り、電話に手を伸ばすが、その場で他の子分に刺され、立花からも拳銃で撃たれてしまう。

その様子を盗み見していたのは、たまたま会社に立ち寄った木下富子だった。

彼女は恐怖に奮え、警察に向かう。

一方、立花らは、他の子分に、山野の死体の処分を言い残すと、自分たちはダイヤモンドの取引場所へと車で向かう事にする。

木下富子から事件を知った津川課長らは、山野が殺された事をサブに教え、立花たちらの目的地を知らないかと問いつめる。

愕然としたサブは、取引の船が来る銚子だとぶちまける。

直ちに前車に指令が飛ぶと同時に、本田も、辻が運転するパトカーで立花らの車を追う事にする。

立花らが乗った63年型セドリックは、京葉道路に入ったとの報告が入る。

津川課長はヘリに乗り、上空から車を追う。

逃走車から銃撃が始まり、直後に迫っていたパトカーの運転手が撃たれ、パトカーは橋から転落する。

太田たちが乗った警視708は山を迂回したため、その後応答に答えなくなるが、やがて、逃走車の後方180mにぴったりつけた事が判明する。

津川課長は、ヘリから発煙筒を投下し、逃走車の視界を奪う。

逃走車は、ハンドルを切り損ない崖から転落してしまう。

立花らは、間一髪、車から脱出していたが、駆けつけて来た本田の射撃で、銃を取り落としてしまい、その場で逮捕されてしまう。

ヘリから降りて来た津川課長は、初仕事をやり終えた辻と本田に感想を聞く。

辻は腹が減ったと言い、本田は、やっと自分の道が見えて来た気がすると答える。

後日、競技場で、警察創立90周年記念行事が盛大に執り行われる中、一人客席で見ていた節子に、近づいて来た津川課長が、お父さんも来ているから行ってあげなさいと声をかける。

節子に再会した幸太郎は、俊介もあの人たちと一緒に立派に生きているぞとグラウンドを指差す。

そこには、亡き江藤俊介の遺影を抱いて行進する本田ら新人警察官の姿があった。

節子は、父親の本当の気持ちを察し、その腕にそっと手を添えるのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

一言で言えば、警察の全面協力を受けた警察PR映画だと思う。

警察学校で、男が茶道や華道まで習っている珍しい映像や、本物を使用しているのではないかと思われる卒業式や記念行事などの映像なども観る事が出来る。

今回観たフィルムは、かなり状態が悪く、途中で何カ所も、ぶつぶつと飛んでいるような印象だったので、完全版を観たとは言い難いとは思うが、それでもドラマ自体は平凡な印象で、警官たちの捜査の苦労の一端を示すための一例と言う印象しか残らなかった。

昔、老警官に受けた恩を返すために警官を目指す太田、父親と同じく警官を目指す江藤、彼らの手本とも言うべき存在の津川捜査防犯課長…と言う、主要三人のキャラクターが、皆まじめで一徹な熱血漢で好人物と言う、判で押したようなキャラクターである事も魅力を減じている要因だと思う。

太田の事を途中まで誤解しており、執拗にいがみ合う江藤の存在も、わざとらしいし、いかにも古くさいライバル設定だと思う。

全体的に男中心のドラマ展開になっているためか、女性陣の印象は全般的に弱く、藤村志保なども印象に残り難いのだが、冒頭から後半まで何度も登場し、物語的にも重要なポジションにあると思われる山野の情婦木下富子の印象が弱いのはどうかと思う。

最初に登場した家出娘が、その後、サブと組んで美人局をやっていたり、山野の情婦になっているらしき転落の部分が今ひとつ分かり難いのだ。

冒頭部分で、もっと彼女のキャラクターや表情などをしっかり捉えていた方が良かったのではないかと思えるが、この辺は、ひょっとして、今回観たフィルムでは一部カットされていたのかも知れない。

後半登場する江藤の父親役、宮口精二も、いかにも「お涙頂戴」のためにだけ出て来たような印象で頂けない。

余談だが、後半の追跡劇で、辻の運転するパトカーに、太田と一緒に同乗している刑事は、この作品と同じ1965年、テレビの「ザ・ガードマン」に、宇津井健、藤巻潤らと一緒に出演していた中条静夫だと思う。

白黒である事と、編集で短く使用されている所から、結構見過ごされやすいのではないかと思われるが、追跡劇で橋や崖から車が落ちるシーンは、「大怪獣ガメラ」でも有名な築地米三郎の手になるミニチュア特撮が使用されている。