2008年、アメリカ映画、アルフレッド・ガフ+マイルズ・ミラー脚本、ロブ・コーエン監督作品。
※この作品は新作ですが、最後まで詳細にストーリーを書いていますので、御注意下さい。コメントはページ下です。
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西暦208年、中国。
戦乱の最中、強大な力を持った皇帝を恐れた諸侯は刺客を差し向け、暗殺を計る。
しかし、寝所で寝ていた皇帝(ジェット・リー)は、襲って来た刺客に気付き目覚めると、逆に、その刺客を刺し殺し、ただちに、刺客を放った諸侯に対して攻め入る命令を下すのだった。
皇帝は、大勢の人間を使って、万里の長城を建設したが、その途中、怪我をしたり、病気になったものは、容赦なく、長城の下に生き埋めにしてしまった。
そんな力を誇った皇帝も、老いだけは避けられなかった。
ツイ・ユアンと言う霊媒師が不老不死の呪文を知っていると言う噂を聞いたミン将軍は、彼女の元を訪ねるが、彼女は想像していたようなうさん臭い女とは違い、美しい女性だった。
ミン将軍は、不老不死の呪文が書かれた古書があると彼女が言う場所に一緒に出向き、その古文書を発見するが、その場で二人は愛しあう事になる。
その古文書をツイ・ユアン(ミシェル・ヨー)から受け取った皇帝は、彼女に外を見るように命ずる。
そこには、4頭の牛に手足を繋がれたミン将軍が横たわっており、皇帝はツイ・ユアンに、もしお前が自分の妃になるなら、あのミンを助けてやると耳元に囁く。
しかし、ツイ・ユアンが拒否すると、彼女はその場で突き殺され、ミン将軍も引裂の刑に処せられる。
その直後、皇帝の左目から泥の涙のようなものが流れ出したかと思うと、全身が泥のようになり、その身体は燃え上がる。
城の庭に立ち並んでいた大勢の兵士達も、同じように、泥になって行った。
ツイ・ユアンが、サンスクリット語で彼等に呪をかけたからだった。
1946年、英国。
リック・オコーネル(ブレンダン・フレーザー)は、戦後、冒険家を引退し、今は悠々自適の生活を送っていた。
この日も、川に鱒釣りに来ていたが、竿を川に投ずる事さえ上手く行かず、苛立ったリックは、今後使わないと自ら封じていた拳銃を取り出すと、川に向かって発砲し出す。
豪邸に戻って来たリックは、魚を執事に渡しながら、妻のエヴリン(マリア・ベロ)の姿を探すが、ミイラとの戦いを書いてベストセラー作家になっていたエヴリンは、講演会に出かけていると教えられる。
その夜、帰宅して来たエヴリンは、リックが釣って来たと言う鱒を使った料理を食べかけるが、中から弾丸が出て来てしまう。
中国、寧夏。
父親同様、考古学者になった息子アレックス・オコーネル(ルーク・フォード)は、中国で、巨大な皇帝の像を発掘しかけていた。
その現場に、盟友で、発掘の手伝いをしてくれていたロジャー・ウィルソンが戻って来る。
一方、エヴリンは、その夜、新作の原稿を書こうと書斎で頑張っていたが、少しもアイデアが浮かばないので、リックの元へ行くと、寝具に着替えて甘えかかるが、もうリックはすっかり椅子の中で寝入っていた。
中国の遺跡の入り口を発見したアレックスは、その中にウィルソンらと共に入って行く。
そこで、70年前に発掘したまま行方不明になっていたC・ベンブリッジの遺体を発見する。
その奥には、大勢の兵士をかたどった兵馬傭が立ち並んでいた。
その奥にあるはずの皇帝像に向かいかけたアレックスたちだったが、突如、墓荒らしを防ぐ仕掛けが作動し、仲間を数人失ってしまう。
それでも、ウィルソンの言葉に勇気づけられ、前に進んだアレックスは、風水の羅針盤を見つける。
その中央部分の凹みに水を注ぐと、羅針盤の仕掛けが動きだし、アレックスは、開いた床の下に落ちてしまう。
すると、そのアレックスに黒装束の忍者が襲い掛かる。
戦っている内に、相手の覆面が取れ、中から現れたのは若い女の顔だった。
その頃、リックとエブリン夫婦の屋敷を訪れた外務省の役人は、「シャングリラの眼」と言う巨大なブルーダイヤモンドを上海に返還したいので、その役目を請け負ってくれないかと相談されていた。
最初は、もう、冒険からは引退したと誇示していた二人だったが、そのダイヤモンドを眼にすると、気持ちが動き、上海には、兄のジョナサンがナイトクラブを開いているので、ちょうど良いので会いに行ってみようと承諾する。
1947年 上海
クラブ「イムホテップ」では、エジプト風のショーが行われていた。
その店に、今や、皇帝のミイラを掘り起こした事で有名になったアレックスが遊びに来る。
そのアレックスが、カジノの方に入って行くのを見送ったジョナサン(ジョン・ハナー)は、あろう事か、妹のエヴリンとリック夫婦までやって来た事に気付き、驚く。
リックの事を話している時、当のリックが、カジノの部屋から男に殴られ飛び出して来る。
どうやら、酔ったアレックスが女に手を出したようだ。
その様子を観たリックは、殴った相手が、飛行機野郎のマッド・ドッグと分かり、旧交をあたためる。
しかし、殴られたアレックスの方は、自分が大学をさぼって遊んでいる所を観られたバツが悪さのためか、父親たちとの仲が最近疎遠になっていたためか、不機嫌なまま店を飛び出して行く。
リックとエヴリンは、自分達はいつの間にか、愛するものを失っていたようだと寂しく話し合う。
一方、ヤン将軍の基地では、偵察に向かっていた部下の女が、オコーネル夫妻が上海に到着したと、ヤン将軍(アンソニー・ウォン)に報告していた。
大勢の部下達を前に、ヤン将軍は、今こそ、偉大なる皇帝を蘇らせると演説をする。
翌晩、アレックスは、両親を伴い、自分が発掘した皇帝像を安置したある博物館に案内する。
そこには、いつの間にか、あの時の女忍者も忍び込んでいた。
皇帝の馬車像を垣間見たリックは、アレックスの偉業を誉めるが、アレックスは何故か素直になれない。
やがて、博物館にやって来てロジャー・ウィルソンは、リックと再会を喜びあうと共に、「シャングリアの眼」を受け取る。
しかし、その直後、あろう事か、ウィルソンが銃を取り出し、オコーネル夫婦に向けると、今受け取った「シャングリアの眼」を、突然現れたヤン将軍に渡したではないか。
将軍が言うには、このダイヤの中には「不死の泉の水」が入っていると言い、エヴリンに、像に刻まれた文字を読むようと強要する。
銃を突き付けられているので仕方なく、「汚れなき血の一滴で開く」と、エヴリンは文字を解読する。
一方、リックの方は、ウィルソンから石棺の蓋を開けさせられていた。
その頃、展示室の裏手に行っていたアレックスは、両親のピンチにも気付かず、潜り込んでいた女忍者リン(イザベラ・リョン)から、その事を教えられる。
エヴリンは指の先を傷つけられ、その血が「シャングリアの眼」の上に一滴滴ると、ダイヤは開き、水を入れた器のように変形うる。
その水を、ミイラの皇帝にかけようと将軍が近付いた時、二階から様子をうかがっていたアレックスとリンが、ウィルソンと将軍に飛びかかり、そのショックで、ダイヤの中の水がこぼれてしまう。
リンは素早く、棺に眠っていたミイラの心臓部を刀で突き刺が、それは皇帝ではない事に気付く。
その時、馬の像と皇帝像が突然蘇る。
ヤン将軍は、その蘇った馬車に飛び乗ると、安全な場所へと皇帝に話し掛け、馬車は博物館から外へ走り出す。
その際、もう用なしになったウィルソンは、ヤン将軍によって首を跳ねられる。
アレックスとリンは、走り出した馬車の下の車輪軸に掴まる。
路上に飛び出し暴走する皇帝の馬車は、ジョナサンが店の前に停めていた高級車の車体を、通りすがりに大きく傷つけてしまう。
リックとエブリンは、その馬車を自動車で追い掛けるが、途中で、ジョナサンも乗せる。
その車に積んであった巨大なミサイル型爆竹を発射するが、先行する馬車を停める事はできなかった。
疾走する馬車の下から這い上がったアレックスは、馬に飛び移るが、覚醒途中の皇帝は怒り、馬も暴れ、アレックスが掴まっていた馬の首が取れてしまう。
一方、こちらも荷車の上に這い上がったリンは、将軍に撃たれ、馬車から落ち掛かるが、アレックスに助けられる。
将軍は、二人が乗った馬車の荷車部分を切り離してしまう。
結局、ヤン将軍が乗った皇帝の馬車は逃げられてしまい、オコーネル一家とリンは、「イムホテップ」の店に戻って来る。
リンは、自分は、皇帝を倒す龍剣を受け継ぐ家系のもので、皇帝が不死の泉の水を飲むような事になれば、もう手がつけられなくなるのだと教える。
その不死の泉は、シャングリアにあると言うので、さっそくマッド・ドッグに頼み、彼等は全員、飛行機に乗せてもらい、ヒマラヤ山中に飛ぶ。
一方、ヤン将軍から、ダイヤが不老不死の泉の場所を教えてくれると教えられた皇帝は、そのダイヤを掴むと、炎と化す。
ヤン将軍の飛行機は、シャングリラの近くの山中に降り立つ。
先に、シャングリラの近くの山中に降り立っていたオコーネル一家は、ヤン将軍と皇帝の到着を阻止するため、銃器をそろえて待ち構えていた。
ここに聳え立つ黄金の塔の天辺に、ダイヤを置かせないためだった。
やがて、ヤン将軍の一行が近付き、両者の間で銃撃戦が始まる。
アレックスは、バスーカを発射するが、ヤン将軍の一味はどんどん接近して来る。
ジョナサンは、最悪の場合、黄金の塔自体を爆破するため、ダイナマイトを準備していたが、火がなかなか導火線に着火せず、失敗に終わる。
形勢不利と見て取ったリンは、「リン ウーチ ナンジャロ〜」と雪の中に向かって叫ぶ。
アレックスに迫ったヤン将軍に、突如、白い巨体が襲い掛かる。
リンが呼び寄せた三匹のイエティだった。
イエティたちは、ヤン将軍の配下達に次々に襲い掛かる。
その隙に、ようやくジョナサンはダイアナイトの導火線に着火できる。
しかし、そこに皇帝が近付いて来ると、導火線の火を踏み消し、ダイヤを持って黄金の塔をよじ登りはじめる。
それを見たリックも、塔の反対側から必死によじ登る。
しかし、一歩、皇帝の方が先に頂上に到着し、持っていたダイヤをその突端にはめると、ダイヤから青い光がレーザー光のようにある方向を向け走る。
皇帝は、下にいたアレックスに向かって刀を投げ付けるが、それを受けたのは、息子をかばってその身体に飛びついたリックの方だった。
その直後、近くの山頂で雪崩が発生、黄金の塔の方に迫って来る。
皇帝は、念力で雪崩を防ぐが、イエティたちはアレックスやリンたちの身体をかばうように抱えて埋もれてしまう。
やがて、雪崩がおさまり、イエティが雪をはね除けて姿を現す。
その身体に囲われていたリンや、エヴリン、アレックスたちも無事だったが、皇帝の刀が刺さったリックの命は尽きかけようとしていた。
リンは、シャングリラの中にある不死の泉に付ければ、助かる可能性があると教え、重傷のリックの身体を、一刻も早くシャングリラの中に運ぶ事にする。
イエティに手伝ってもらい、リンが教えてくれたシャングリラの入り口に辿り着いた一行、その中には、リンの母親が待っていた。
その母親とは、皇帝に呪をかけたあの霊媒師ツイ・ユアンであった。
事情を娘から聞かされたツイは、不死の泉から汲んで来た水を、リックの傷口にかけてやる。
一方、あの雪崩にも関わらず、皇帝もヤン将軍も助かっていた。
ツイは、アレックスたちに、リンの父親は皇帝に殺されたのだと教える。
それを聞いたアレックスは唖然とする。何故ならそれは2000年も昔の出来事のはずだからであった。
リンは一体、今、何歳になるのかと分からなかった。
そんなアレックスは、リックが目覚めたと教えられ、側に行くと、傷が癒えたリックと、しっかり抱き合うのだった。
これまでの互いのわだかまりが消え失せた瞬間だった。
それを、母親のエヴリンも嬉しそうに見つめる。
そこへ、皇帝とヤン将軍がやって来て、皇帝はついに、不死の泉に頭をつける。
すると、にわかに変身して三つ首龍になると、リンをさらって空に飛び立って行く。
それを追おうとするアレックスたちの近くに、マッド・ドッグが飛行機を飛ばして来る。
ツイは、皇帝とその軍隊を、万里の長城より向こうにやってはいけない。自分は万里の長城の下に埋められている数多くの死者達を蘇せて、皇帝軍に立ち向かわせると言いながら、龍剣を自ら背負うと、一緒に飛行機に乗り込む。
三つ首龍は、発掘された兵馬傭の所に飛来すると、皇帝の姿に戻り、蘇れ!と、兵士達の像に向かって叫ぶ。
すると、兵達は、元の人間たちの姿に戻る。
その兵士達の大軍を目にした皇帝は、今の時代の人間どもの自由をすべて破壊すると宣言する。
その頃、万里の長城付近に到着したツイは、呪文を唱え、地下に埋められていた死者達を蘇らせる。
蘇った死者たちは、同じく蘇った皇帝軍と戦いはじめる。
その様子を観た皇帝は、ツイの仕業だと気付く。
ヤンの配下に化けて潜入したアレックスも、戦いに加わる。
ツイの姿を見つけた皇帝は、ツイと戦う。
しかし、皇帝の力は強く、ツイの龍剣を弾き飛ばしてしまう。
ツイは、斬り掛かって来た皇帝の刃を、真剣白羽取りの要領で両手で挟むが、これ以上持ちこたえきれないと悟ると、素早く、皇帝の腰に下げられていた小刀を抜くと、自ら、皇帝の刃に身体をぶつける。
そんな中、マッド・ドッグの飛行機が二機飛来し、それに乗って来たジョナサンが、上空から皇帝軍に対し、機銃掃射を浴びせる。
すると、怒った皇帝は、新たな魔物の姿に変身し、飛行機の一機をたたき落としてしまう。
アレックスとリンも、皇帝軍を攻撃する。
その内、エヴリンとリンは母親ツイが倒れているのを発見、ツイは、皇帝から奪った小刀を示しながら、これで、皇帝の心臓を…と言いながら、息絶える。
その小刀を拾ったエヴリンは、リンに手渡す。
ヤン将軍は、ジープでリックを追っていたが、その様子を飛行機から観ていたジョナサンは、爆弾をヤン将軍御ジープ目掛けて投下する。
皇帝は、強力な魔力で、万里の長城から蘇った死人達の動きを封じようとするが、その背後から迫ったリック。
一方、エヴリンは、地下の皇帝の間で、ヤン将軍に襲い掛かられていた。
しかし、戦う内に、将軍は、巨大水車に挟まれ絶命してしまう。
リックとアレックスも皇帝に迫る。
やがて、リックとアレックスは、皇帝の前後を挟む形となり、互いに持った半分に折れた剣で、前後から突き刺すと、ちょうど皇帝の心臓部で、折れた剣は一体化し、皇帝は崩れ去って行く。
その瞬間、外で戦っていた皇帝軍も万里の長城の死者達も、瞬時に土と化す。
上海のクラブで、踊るアレックスとリン、リックとエヴリンを残し、独り、ジョナサンだけは、こんな恐ろしい土地はごめんだとばかり、タクシーに乗って逃げ去るのだった。
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「ハムナプトラ」シリーズの第3弾。
「インディ・ジョーンズ」風の連続活劇と、VFXの連続で描く荒唐無稽な怪奇アクションアドヴェンチャーだが、さすがに3作目では、主に、成長した息子が活躍する展開になっている。
エヴリン役も交代しているため、全体的にレギュラー陣の印象が弱くなっている。
それでも、この作品のメインとなるVFXスペクタクルは今回も満載で、それなりに楽しめる出来になっている。
監督が、前2作のスティーヴン・ソマーズとは替わった事もあり、若干、ばかばかしさ、薄っぺらさの質が、微妙に変化している感じはするが、基本的な荒唐無稽さは同じ。
大半がVFX絡みの出演で、本格的なアクションの見せ場は少ないジェット・リーとミシェル・ヨーだが、もう両人の年齢を考えると、無理からぬ事かも知れない。
あくまでも「コミック感覚」で楽しむ類いの作品だろう。
