2008年、「大決戦!超ウルトラ8兄弟」製作委員会、長谷川圭一脚本、八木毅監督作品。
※この作品は新作ですが、最後まで詳細にストーリーを書いていますので、御注意下さい。コメントはページ下です。
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横浜…
昔昔、誰もが未来を憧れていた頃…
そんな時代から、この物語は始まります…(と、石坂浩二のナレーション)
昭和41年、7月10日の日曜日、一緒に遊んでいた子供マドカ ダイゴ、アスカ シン、高山我夢の三人は、駄菓子屋にラムネを買いに寄った時、店のおじさん(二瓶正也)に時間を聞くと、6時過ぎだと言うので、慌てて帰ろうとする。
7時からテレビで「ウルトラマン」と言う新番組が始まると言うのだ。
ダイゴの家にやって来た三人は、一緒に夕食のカレーを食べながら、母親がスイッチを入れてくれた「タケダアワー ウルトラマン」第一話「ウルトラ作戦第一号」を夢中になって見始める。
その後、あっという間に数日が過ぎ、彼等は、赤い靴を履いた不思議な少女に出会う。
その少女と一緒に遊ぶようになった三人だったが、夕方になり、一番星を見つけたダイゴが、将来は宇宙飛行士になりたいと願いをかけると、アスカは野球選手、我夢は科学者になりたいとそれぞれの夢を願う。
少女にも、何か願いごとをするように勧めたダイゴだったが、その後、彼女の願いと少女の記憶は消えてしまい、少年らは夢を忘れ、皆、平凡な大人になって行った。
市の観光課職員になっていたダイゴ(長野博)は、その日も遅刻しそうになり、自転車を必死にこいで急いでいた。
町で顔なじみの、自転車屋のハヤタ(黒部進)、レストランのモロボシ ダン(森次晃嗣)、自動車修理工郷秀樹(団時朗)、パン屋の北斗星司(高峰圭二)などに挨拶をしながら、会社へ急ぐ。
ウルトラマンのいない世界…(と、再び石坂浩二のナレーション)
あなたの目はあなたの身体を離れ、この不思議な世界に入って行くのです…
役所に到着したダイゴは、部屋にいる同僚達が皆、窓の空を見ている事に気付く。
同じ頃、横浜球場でボールボーイをやっていたアスカ(つるの剛史)、横浜マリタイムミュージアムで学芸員になっていた我夢(吉岡毅志)も空を見上げていた。
レインボーブリッジの上空に、蜃気楼が見えていたのだ。
ハヤタの娘で、レポーターをやっているレナ(吉本多香美)が、その様子をテレビで報告する。
ダイゴは、その時、ウルトラ8兄弟が出現する幻影を見る。
タイトル
ダイゴは、ウルトラマンメビウスのピンチを前にして、ウルトラマンに変身するハヤタ、ダン、郷、北斗らの姿を見た後、現実に戻る。
蜃気楼は翌日消え、あっという間に数日が過ぎる。
観光課の仕事に戻ったダイゴだったが、その後も、捌くのように荒廃した横浜の幻影を見るなど不思議な体験は続いており、久々に会った恋人のレナから、最近、ぼーっとして疲れているみたいと指摘される。
モロボシダンとその妻アンヌ(ひし見ゆり子)がやっている店「サンアロハ」に集まったダイゴは、アスカと我夢に、夢の話を打ち明けるが、二人とも、目の前にいるダンやハヤタ達が、ウルトラマンに変身するなどと言う話には呆れるだけだった。
別の日、ダイゴは、突如目の前に出現した怪獣と戦う未知のウルトラマンの姿を目撃し、思わず応援してしまう。
すると、そのウルトラマンメビウスが怪獣を倒した直後、ダイゴの背後に、見かけぬユニフォームを着た青年が立ち、「あなたですか?今、僕を応援してくれたのは?」と問いかけて来る。
その青年はヒビノミライ(五十嵐隼士)だったが、もちろん、ダイゴが知るはずもなかった。
テレビでは、蜃気楼現象などについて、SF作家の万城目淳(佐原健二)が解説をしていた。
その後、港に集まったアスカと我夢は、自分も同じ夢を見たとダイゴに打ち明ける。
ダイゴは、我夢が昔言っていた「多次元宇宙論」が関係あるのではないかと推理するが、アスカは、おれたちがヒーローな訳ないじゃないかと笑う。
しかし、ダイゴはその後も、一人でいる時、あの赤い靴を履いた少女の幻影を見るのだった。
彼女は、自分に何を思い出させようとしているのか?ダイゴは自問自答する。
ある日、「サンアロハ」にダイゴやアスカ、我夢が集まっていると、今日はあの日だと、ダンとアンヌが意味ありげに笑い、そこに、ハヤタとアキコ(桜井浩子)夫妻、郷、アキ(榊原るみ)夫妻、北斗、夕子(星光子)がやってくる。
その日は、夫人達が趣味でやる「フラダンスの会」の日だと分かり、女性陣が先に向かった後、夫達に混じり、ダイゴ達も同行する事になるが、その途中、ハヤタからレナとの事はどうなっていると聞かれる。
もちろん、結婚の事だった。
ダイゴははっきりした返事ができなかった。
その頃、横浜の某所にマント姿の無気味な影が現れ、竜巻きが発生する。
その竜巻きが襲ったトラックが暴走を始め、歩いていたダイゴ達の近くにいた小学生の列に向かって来る。
その時、北斗が、素早い動きでトラックの運転席に乗り込み、ハンドルを握って停車させると、ダンは道路上に出てしまった乳母車を、ハヤタと郷は、それぞれ、子供達をかばっていた。
みんな、いつもののんきそうなおじさんとは明かに動きが違っていた。
その様子を呆然と見つめていたダイゴは、あの夢は本当の事だったのかも知れないと考えはじめる。
その後、フラダンス会場に集まり、アキコ、アンヌ、アキ、夕子の四人のフラダンスを楽しんだダイゴだったが、先ほど空想した事を、やっぱりそんな事ないかと否定してしまう。
翌日、赤れんが付近を外国人相手にガイドしていた時、突然ダイゴは不思議な感覚に襲われ、気がついてみると、周囲に自分以外の人間が誰もいなくなっているではないか!
その直後、赤れんがの背後から怪獣が出現する。
その怪獣は、遠い昔、テレビの「ウルトラマン」で観た事があるゲスラに似ていた。
夢なら早く醒めてくれと願うダイゴだったが、さらに先日見かけたウルトラマンメビウスが出現し、怪獣と戦いはじめる。
ダイゴは、昔観た「ウルトラマン」を思い出し、ゲスラの弱点が背ビレであるとメビウスに教える。
その声を聞いたメビウスは、キングゲスラの背ビレを取った後、光線で倒す。
ダイゴはそれを見て大喜びするが、そこに人間体に戻ったミライが出現し、ダイゴのアドバイスに感謝して来る。
ミライは、ここは自分のいる世界とは違っており、謎の異変を察知しパトロールしていたら、赤い靴の少女像の前で赤い靴を履いた少女と出会い、彼女から「ある世界が侵略者の手によって狙われている。7人の勇者達を目覚めさせて、その侵略者を倒さなければいけないと告げられたのだと言う。
それを聞いたダイゴは、心当たりがあると、ミライを連れて、ハヤタの自転車屋に向かう。
すると、案の定、ハヤタの姿を見たミライは、「ハヤタ兄さん」と親し気に近付く。
しかし、ハヤタの方は、ミライに見覚えがないようで、気味悪がっているので、慌てたダイゴは、次に「サンアロハ」の店にミライを連れて行く。
すると、ここでも、「セブン兄さん」とダンに呼び掛け、坂田自動車修理工場では、「流星号」を完成させようと、設計図を前にしていた郷を「ジャック兄さん、新マン、帰りマン兄さん!」と呼び掛け、一緒にいた一人娘のメグ(松本 恵)を呆れさせてしまう。
パン屋に入ったミライは、ウルトラリングをした北斗と夕子の姿を見るなり、「エース兄さん!ウルトラタッチです」と呼び掛け、北斗と夕子を面喰らわせる始末。
その場は一旦、外に連れ出したダイゴが、あの4人は勇敢なウルトラ兄弟だと力説するミライに、いつか思い出すと思う。自分達がウルトラマンだと言う事を…と慰めると、ミライは「GIG」と答え、それが自分達の了解と言う意味だと教える。
その時、横浜港に黒い渦巻きが発生、突如、キングパンドンが出現する。
ミライは、きっと、何者かが怪獣を誘き寄せているのですとダイゴに伝える。
ミライは、メビウスに変身し、キングパンドンと戦いはじめる。
この「巨人と怪獣の戦い」の様子はテレビでも報道され、店の前から見つめるハヤタは、何が起こっているんだ?といぶかしむ。
アスカがリョウ(斉藤りさ)と共に避難を余儀無くされた横浜球場も、キングパンドンの光線で破壊される。
メモリアルパークにいた我夢も、アッコこと敦子(橋本愛)と共に逃げる。
ちょうど買い物に出かけていたアキは、逃げる群集の中で転んだ老人(西條康彦)を助けようとした時、頭上から、倒壊したビルの破片が落下して来る。
何とかキングパンドンを倒したメビウスは、地上で見ていたダイゴに親指を立ててみせる。
しかし、その時、メビウスの身体の周囲にシールドのようなものが発生し、円柱状のカプセルに封じ込められたメビウスは苦しみはじめる。
その直後、黒い竜巻きが町中に発生したかと思うと、そこからヒッポリト星人が出現すして「かかったな、メビウス、きさまは生きたまま死ね!」と言い放つと、メビウスの身体はブロンズ像と化し、横浜港に落下する。
「もうこの世界に邪魔者はいない。人類は滅亡の時を迎えたのだ!」とヒッポリト星人は笑う。
ダイゴは、郷の奥さんアキが怪我をして入院したと聞き、病院に駆け付ける。
娘メグと共に病室でアキに付き添っていた郷は、助けてやれなかった自分を責めていた。
独り、外に出たダイゴは、「教えてくれ、メビウス!僕はどうしたら良いんだ!」と問いかけるが、その時、霧の中から、あの赤い靴を履いた少女が姿を現す。
君は誰だ?と問いかけるダイゴに、やっぱり忘れてしまったの?だから、私は、この世界から消えてしまう。みんながウルトラマンを忘れてしまったら、この世界はなくなってしまうと哀し気に少女は答える。
ダイゴは、何を思い出したら良い!君は誰なんだ?ともどかし気に答えていたダイゴだったが、その時何かを思い出す。
ダイゴは、アスカとガムを呼び出すと、少女から伝えられたメッセージを打ち明ける。
さらに、レナと会い、少女の事を話すが、レナは、自分の父親がウルトラマンであるなど全く呆れて信じられない様子。
レナは、あの時は自分から夢に背を向けた癖に…と、かつて宇宙飛行士を目指していたのに挫折して、町に残る事にしたダイゴの事を責める。
その言葉を聞いたダイゴは、夢に踏み切れなかった自分の弱さを何かのせいにしてきた。ずっと、僕は逃げてきた…と反省し、でも、今の僕は頑張るしかないんだ。僕にしか伝えられないから…と言い残し、レナの元を去る。
ダンや北斗から見舞っていた、アキが入院している病院に地震が発生し、横浜に、さらに二匹の怪獣が出現する。
テレビでは、藤宮教授(高野八誠)が、かつて天才科学者がいたことを話していた。
日本丸の船上にアッコと共にいた我夢は、自分は天才と言う重荷から逃げたのだと打ち明け、いつか、この巨大船を大空に飛ばしてみたいと話す。
ラジオ放送局のディレクター(影丸茂樹)は、レナにニュース原稿を読むように急かしていたが、レナは3分間だけ時間をくれと迫る。
防衛隊のジェット機が怪獣を攻撃しはじめる。
横浜球場に残っていたアスカは、避難勧告が出ていると呼びに来たリョウに、自分はここに残ると言い出す。
アスカは、かつて、甲子園の決勝戦のマウンドにいた事を打ち明けはじめる。
最終回に満塁にしてしまい、自分の失投から押し出しで負けてしまったと言いながら、あの頃は、自分一人で試合をやっていたと呟く。
だから、未練ついでに、ここで死ぬつもり?と責めるリョウ。
アキの病室に詰めていた郷は、メグにラジオをつけるよう頼む。
すると、災害情報の時間のはずなのに、レナが個人的に訴えているメッセージが聞こえて来る。
希望は捨てないで下さい。守るべき人、守るべき未来を伝えて下さい、一番自分の思いを伝えたい人に…。その時、思い出すかも知れません、本当の自分が…
その放送を聞いたダイゴは、ありがとう、レナ…と感謝する。
横浜市内では、仮設テントに次々と被害者が運び込まれて来る。
夕子と娘(紫子)も、自分達も手伝わせて下さいと、医者(風見しんご)の元に名乗り出て来る。
横浜の町は夜になっていた。
横浜市長は、諦めるな、最後まで市民を守る。それが我々の仕事だ!と職員達に檄を飛ばしていた。
ヒッポリト星人は「絶望しろ、人間共…」とあざ笑う。
逃げ遅れていた市民達を誘導するダイゴ。
その頃、アスカもリョウに、俺、行って来る。ダイゴが言っていた。俺がウルトラマンになれるかも知れないってと言い残し、球場を出かける。
見送るリョウは、必ず、帰ってきてねと願う。
我夢もアッコに、行って来る。答えを探しに…。僕は死なないし、この世を終わらせもしないと言い残し、出かける。
人間に未来はない。滅びろと叫ぶヒッポリト星人。
ハヤタ、ダン、北斗が集結し、ウルトラマンを信じる心が、みんなのまなざしがあったから…、君たちはウルトラマンを信じていたと呟く。
ダイゴは走っていた。
その心に、かつて、一番星に願っていた赤い靴を履いた少女の声が蘇る。
みんなの心にウルトラマンの姿が輝いていますように…
この世界がピンチになったら、きっとあなたがウルトラマンになって助けてくれる?と自分に問いかけていた声が…
少年だったダイゴは、はっきりうんと答えていたではないか。
やっと、思い出してくれたのね。あの時の思い出を…と、少女が呟く。
ダイゴは今はっきり分かっていた。
7人の戦士の最後の一人とは、自分の事だったのだと。
この世界を、僕が守る!
ダイゴの手に、スパークレンスが出現し、彼はウルトラマンティガに変身する。
駆け付けてきたアスカとガムは、その姿を見て、あれはダイゴだと悟る。
ダイゴは今、できる事を精一杯やっている。僕達もやるんだ!
しかし、その時、ティガの身体の周囲にシールドが発生する。
ヒッポリト星人は、お前もブロンズ像になるのだと嘲る。
アスカと我夢は、かつて自分がウルトラマンだった時の事を思い出す。
待ってろ!ダイゴ!と我夢、今行くぜ!ダイゴ!とアスカ。
二人は、ウルトラマンガイアとダイナに変身し、窮地に立っていたティガのシールドを破壊して救い出す。
ティガは、二人とも、必ず来てくれると信じていたと感激する。
その様子を地上で見守っていたハヤタ、ダン、北斗の元に、病院から郷が駆け付けて来る。
あの3人が戦っているんですね。この世界を守るために…
二大怪獣とヒッポリト星人と戦うティガ、ダイナ、ガイアの三ウルトラマンは、全員、敵を粉砕し、地上でそれを見ていた群集は喝采をあげる。
しかし、その直後、「恐れろ…、喜ぶな、恐れろ!」と無気味な声が響く。
やがて、横浜市内のあちこちから光の帯が出現、それが集結すると、今まで倒された怪獣達が合体した巨大獣が出現する。
誰もが、ウルトラマンの勝利を信じていた。おれたちは、その声を聞いて戦っていた…と、地上で見守っていたハヤタ達は呟く。
そこに、アキコとアンヌがやってきて、かつて彼等がウルトラマンとして戦っていた時の事を思い出させる。
愛する人を守るために…と郷秀樹。
この世を守るために…と北斗星司。
さあ、我々も行こう!と誘うハヤタの声に応え、全員が一斉に変身する。
地上で見守っていた群集は、新たに出現した4人のウルトラ兄弟に狂喜する。
4人のウルトラマンが放つ光線が、ブロンズ化していたメビウスに集中すし、復活したメビウスが兄弟達に感謝する。
8人のウルトラマンが揃い、冷凍光線で、海と横浜ベイブリッジを破壊しはじめた合体怪獣に立ち向かう。
宇宙へ向かった合体怪獣を追い掛ける8人のウルトラマンは、セブンが放ったアイスラッガーに光線を集中させる。
すると、アイスラッガーはいくつにも分離し、合体怪獣に襲い掛かる。
さらに8兄弟達が、光線を浴びせると、合体怪獣は破壊する。
地上で喜ぶ群集達。
しかし、マント姿の無気味な影は「我々は消えはせん。何度でも怪獣を呼び寄せる。すべての平行世界からウルトラマンを抹殺してみせる」と呟く。
しかし、それを聞いたティガは、「無駄だ!どんな絶望の中でも、希望の光が消える事はない!」と言いながら、影に光線を浴びせかける。
すると、影は「消えんぞ…」と言いながら消滅する。
狂喜する横浜市長と市民達。
翌朝、病院で眠っていたアキが目覚める。
人間体に戻った8人が、それぞれの恋人達の元に帰って来る。
ダイゴは、出迎えてくれたレナに、レナが僕の事を信じてくれたから、みんな大切な事を思い出せたんだと感謝する。
そんな中、「さようなら、別の世界の兄弟達…、又、あいましょう」と言いながら、消え去って行くミライに向かって、ダイゴは答える「GIG」…と。
僕達は、忘れていたものを思い出した。
その後、アスカは、ベイスターズに入団し直し、ヒビキ監督(木之元亮)の元、チームを優勝に導く。
ダイゴは宇宙パイロットの資格を取得しレナと結婚式をあげる。
我夢は、光子エンジンを完成させ、それを日本丸に装備し、宇宙を飛ぶ帆船を完成させる。
ダイゴとレナの間に生まれた娘は、ハネジローと遊んでいる時、赤い靴を履いた少女に出会う。
娘は少女と一緒に、一番星を見つけていた。
ダイゴ、アスカ、我夢の三人は、それぞれの愛する人たちと共に、日本丸に乗り込むと、まだ見ぬM78星雲、通称「ウルトラの星」を目指して、横浜を出発する事になる。
大勢の市民、そして、ヒビキ監督、サワイ・ソウイチロウ国連事務総長(川地民夫)らに見送られ、日本丸は空中に浮遊して、宇宙に向い飛びはじめる。
それに随行するのは、ヴィートルに乗ったハヤタ、アキコ夫妻、ウルトラホーク1号に乗ったダン、アンヌ夫妻、マットアローに乗った郷、アキ夫妻、タックファルコンに乗った北斗、夕子夫妻達だった。
ダイゴは、レナや同乗者達にこう叫ぶ。
「行こう!ウルトラの星へ!」
一斉にワープする宇宙船達。
▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼
劇場版ウルトラマンシリーズ最新作。
シリーズとしては平均的な出来だと思えるが、基本設定に無理があり過ぎ。
あくまでも、同窓会的なイベントムービーと分かってはいても、最初に「ウルトラマンがいない世界」と説明しておきながら、最後には「ウルトラマンがいた事を忘れていた(実は存在した)世界」になってしまっていたり、一見、本作は、他の作品と切り離した特別の設定のように見えて、実は、前回の「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」の続編っぽい部分もあり、何だか、はっきりしないチグハグな世界になっている。
例えば、劇中、少年時代のダイゴ、アスカ、我夢の三人が「初代ウルトラマン」のテレビ放送を観ているのは、「昭和41年(1966年)、7月10日の日曜日」と、はっきり日めくり暦で紹介している。
そして、大人になった彼等が暮らしているのは、どう見ても、現在2008年の横浜。
…と言う事は、劇中でも42年経過をしている訳で、ダイゴ達は50才くらいになっていないとおかしい。
劇中の歴史は、現実の時間経過とは別と言う事なのか?
あくまでもファンタジーだから…と言う事なのだろうが、そうなると、制作者側が狙っているターゲット世代と、実際に劇場に来ている客層に微妙なずれが出て来るような気がする。
初期ウルトラマンを子供の頃観ていた世代は、今、40〜50代前半くらいだろう。
そして、ティガ、ダイナ、ガイアら、平成初期ウルトラマン三部作を観ていた子供達は、今、せいぜい、高校生〜小学生くらいだと思われるが、この両世代は、ほとんど劇場にはいない。
実際に観に来ているのは、30代くらいの親と小学生くらいの世代がメイン。
この親子世代にとって、昭和40年頃は懐かしいものでも何でもないはずだし、親は働き盛りで、まだ「夢や希望を失っているとは、とても思えない世代」だし、子供も同様。
そんな世代に向けて、昭和レトロや「夢を失うな」などと言うメッセージは、ちょっと的外れのように感じる。
とにかく今回のウルトラマンは、全体的に懐古趣味ばかりが目立ち、出て来る台詞は臭さ100%
さあ泣けと言わんばかりのしつこい演出の連続で、後半へきえきさせられる。
郷秀樹と坂田兄妹の連動エピソードや、 北斗と共にエースリングをしている夕子の姿などには、オールドファンは喜ぶかも知れないが、今の子供達には通じるのだろうか?
さらに、ウルトラマンがたくさん出て来るので仕方がないとは言え、ラストの展開も、ここ数年の映画版は、毎回同じような(戦隊もののような)パターンの繰り返しで、大味と言うか何と言うか…
かつては、本当に、子供達の夢と憧れの対象だったウルトラマンが、今では、昔にしか興味を示さなくなった、精神的に老いた世代の感傷の対象に成り下がったようで、観ていて、何だか、一抹の寂しさを覚えないでもない。
