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怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス

1972年、円谷プロ、千東北男脚本、飯島敏宏監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

ある晴れた日に…

BCB-TV主催「ビックリ発明大ショック」の収録が屋外で行われている。

見物客である太郎(矢崎友紀)と仲間の子供たちが「腹ぺこ怪獣ダイゴロウのために」と書かれたプラカードを掲げて応援しているのは、おかしな翼付きの自転車で出場したおじさん(犬塚弘)だった。

司会者(人見きよし)から、これは何かと聞かれたおじさんは「エアロバイク」と答える。

もし優勝して賞金200万円を獲得したら何に使いますかと言う司会者の質問に、おじさんは「ダイゴロウのために…」と答える。

そのダイゴロウと言うのは、とある島で飼育されている子供の怪獣の事だった。

ダイゴロウは、大きな食器を砂浜において、口に手を当てる仕草をしている。

食事をねだるジェスチャーだった。

しかし、飼育係の斉藤(小坂一也)は、予算の関係で、今日から食事の量を減らすしかないんだと申し訳なさそうに言いながら、食器に食べ物を入れ始める。

とにかく、ダイゴロウはでっかくなりすぎたのである。

砂浜には、ダイゴロウ用の巨大なトイレも作られていたが、蜘蛛の巣が張っている様子を見ると、それを使うようにしつけるのは失敗したらしい。

テレビの司会者が「一発大勝負と行きましょう!」とおじさんに声をかけ、女の子がフラッグを振って、エアロバイクにまたがったおじさんがスタートをする。

タイトル

「1分間飛び続けると、賞金200万円!」と司会者が絶叫するが、村の中を走り回っていたおじさんのエアロバイクは、蒸気機関車と並走している途中エンスト、さらに、お寺の門を通り抜けた所で大爆発を起こし、空中に飛び上がったのはおじさんだけだった。

木に引っかかったおじさんの所に駆けつけて来た子供たちはがっかり。

即刻入院したおじさんのベッドの横で見舞っていたのは、太郎とおじさんの姪の好子(天地総子)

そんな太郎が、好子が明日又お見合いだとおじさんに教えると、好子は怒りだす。

これまでの見合いが失敗し続けて来たのは、情けない生活を続けているおじさんのせいだと思っているからだった。

そこに、見慣れぬ太った男がやって来たかと思うと、馴れ馴れしくおじさんに話しかけると、ギブスで固められたおじさんの身体を無遠慮に動かして元気づける。

さらにその男は、好子をおじさんの女房と間違えてしゃべりかけて来たので、好子は面食らうが、途中で、カーテンで仕切られた隣のベッドに寝ていた八五郎(三角八郎)の親友鬼沢熊五郎(三波伸介)の早とちりだったと分かる。

新聞には、大食い怪獣ダイゴロウの記事が掲載されていた。

島では、飼育係の斉藤が、環境衛生局から派遣されて来た鈴木(小林昭二)に、ダイゴロウのえさ代を何とかして欲しいと訴えていた。

鈴木は、ダイゴロウの成長を止めるのがいちばんと主張する。

それを聞いた斉藤は、こいつも好き好んでここに住んでいる訳じゃない。あれからもう6年になる…とダイゴロウとの出会いを思い出すのだった。

原子力潜水艦が海中で爆発事故を起こした事がきっかけとなり、深海深く眠っていたダイゴロウの母親怪獣が目覚め、日本に上陸してしまう。

防衛隊のミサイルが、炎を吐いて暴れ回る母親怪獣の頭部に命中、母親は死んでしまう。

母親は子供怪獣を残しており、それはダイゴロウと名付けられて、それまで動物園で子牛やヤギの飼育をしていた斉藤が育てる役に任じられてしまう。

しかし、それから島でダイゴロウと暮らすはめになった斉藤は、彼女を連れて来てデートをしても、常にダイゴロウが付いて来るので、彼女は怒って去ってしまった。

現実に戻った斉藤や鈴木の前で、ダイゴロウの大きなお腹がグウと鳴ったので、鈴木は当てつけがましいと怒る。

「ダイゴロウを救え!」と、何とか退院したおじさんと太郎たちは、宣伝カーの上で街行く人たち相手に演説を始める。

しかし、聞かされていた民衆は、そんな怪獣のためになぜ力を貸さねばならないのかと文句を言い出す。

それを一緒に聞いていた熊五郎は怒りだし、自分も宣伝カーの上によじ上ると、民衆を叱り始める。

民衆も収まらず、結局、宣伝カーを降りた熊五郎は民衆と大げんかを始めてしまう。

とうとう宣伝カーの周囲には誰もいなくなってしまう。

自分のせいでこんな事になったと反省した熊五郎は、俺はダメな男だとおじさんや太郎に謝る。

しかし、おじさんの方も、いまだに親の臑をかじっている自分もダメな人間なのだと慰めるのだった。

感激した熊五郎は、今日限り、好物の酒を断って、その浮いた金をダイゴロウのえさ代に回すと言い出すと、自らの左手の小指に布切れを巻き付けて、忘れないように誓うのだった。

島の浜辺では、ダイゴロウが亡き母親を偲んでいるのか、一人寂しくうろついていたが、その時、流れ星が遠くの海中に落下して発光するのが見えた。

太郎たちは、大人たちに、ダイゴロウのための募金活動を始める。

団地から出勤するため出て来たサラリーマン(砂塚秀夫)の前に募金箱を突きつけるが、サラリーマンは無視して通り過ぎようとするので、たまたま近くにいた若い女性(田坂郁)が、社長さんと男をおだて、自らもお札を取り出す。

ところが、子供たちが「ありがとう、おばさん」と言ったためにへそを曲げた女性は硬貨だけ募金箱に入れる。

子供たちから「社長さん」と呼ばれたサラリーマンは、仕方なく募金しようとするが、気がつくと、団地中から大勢の子供たちが全員募金箱を持って集まって来たので逃げ出してしまう。

その後、太郎は友達の外国人の子供(スタンリー・フルニス )と二人で、発明おじさんの家に行く。

おじさんは、自ら門を開け、二人を招き入れる。

その庭先にある犬小屋には、機会仕掛けの犬が吠えているし、噴水の巡りには、おもちゃの楽団が演奏をしていた。

家の中も、外同様、機会仕掛けだらけだった。

おじさんは、二人の子供を前に「200万円か…」とつぶやきながら、新しい発明のアイデアを考え始める。

やがておじさんは「そうだ!魔法の靴だ!」と叫ぶと、部屋の中にもう一人の出現した
もう一人のおじさんん、赤い靴を履くように命じる。

その赤い靴を履いたもう一人のおじさんは、家の外に出ると、早足でぐんぐん他の人や車を追い抜いていく。

さらに、床を蹴って飛んでみろ、その靴は軽いんだ!と叫ぶおじさんだったが、「もう飛ぶのは止めて!」と言う好子の声で現実に呼び戻される。

好子は、子供たちにご飯だと言いに来たのだった。

その頃、仕事帰りで商店街を帰って来ていた熊五郎は、馴染みの焼き鳥屋に入ると、酒を注文する。

主人(若宮大佑)が酒をコップになみなみと注ぎ始めた所で、小指に巻いた布切れに気づいた熊五郎は、禁酒の誓いを思い出すと、コップに手をつけずにそそくさと店を出て行く。

新聞に、ダイゴロウの成長を止める「アンチグロウ」と言う薬を飲ませる事になったと報じられる。

そんなある日、好子は、おじさんの家に新しい見合い相手江田(小松政夫)を連れて来るが、おじさんが奇妙なベルトで無様に宙づりになっている姿を見ると「バカバカ」と叫んで出て行ってしまう。

一方熊五郎は、高層ビルの工事現場で休息中、酒を持った女性が写っている巨大看板の写真が動き出したかと思うと、飛び出して自分に酒を勧めるように見えたので、あわてて足を滑らせ、鉄骨にぶら下がる。

…と言う悪夢で夜中飛び起きて、その姿のままいびきをかいていた。

島に届いたアンチグロウの薬を前にした斉藤は、それをえさに混ぜる事がどうしても出来ず、泣き出してしまう。

仕方ないので、鈴木が自ら薬をえさに混ぜ、ダイゴロウに食べさせようとするが、そのえさを口に持っていきかけたダイゴロウは、本能的に吐き出してしまう。

しかし、鈴木がさらに勧めると、覚悟したかのように口に入れ始める。

その姿を見た斉藤は、ダイゴロウが自分の運命を受け止めた不憫さに、思わず抱きついて泣きだし、ダイゴロウも又、涙を流すのだった。

その報道を新聞で読んだ熊五郎も又、家で泣いていた。

そこへ一升瓶を下げた八五郎が退院して来たと訪ねて来る。

熊五郎の妻、うめ子(瞳麗子)が、最近うちの亭主の様子がおかしい。あれほど好きだった酒も飲まなくなったと言う話を聞いた八五郎は、ここの所の天候異常のせいだろうと答える。

その会話を聞いていた熊五郎は、新聞を突きつけ、怒りだすと、自分の貯めていた招き猫型貯金箱を持って来るが、中には小銭の音しか聞こえない事に気づく。

事情を知らないうめ子が、その金で、派手な自分用の服を購入していた事を知ると、又激怒し、やけを起こすと、八五郎の持って来た一升瓶を飲みだす。

しかし、それは酒ではなく、うめ子の美容のためにと持って来た、竜の子温泉の湯だったと分かると、さらに逆上、八五郎を追い返してしまう。

テレビの「ビックリ発明大ショック」の収録が再び始まり、おじさんは「瞬間雨降りミサイル」で再挑戦する事になる。

司会者は、全く信用していないようだったが、ミサイル発射後3分以内に雨が降り出せば成功したと見なし、賞金200万を出すと説明し、スイッチが入れられる。

司会者は、スタッフから傘を受け取るが、到底、雨が降るとは信じていない様子。

ところが、ミサイルが撃ち上がってしばらくすると、雪が降り始める。

雨ではなく雪だったが、それでも一応成功と判断され、おじさんはめでたく賞金を手にする事になったが、近くに落下していたミサイルを発見したおじさんは、この雪は自分のミサイルのせいではないと気づき、太郎と慌ててミサイルを土に埋めてしまうのだった。

番組収録が終了した後、司会者はおじさんに、やむんでしょうね?と念を押して帰る。

気がつくと、土からあのミサイルが又顔をのぞかせ、水をちょっぴり吹き出していた。

ダイゴロウがいる島にも雪が降っていた。

分室に帰って来た鈴木は、斉藤ら飼育係に、ダイゴロウが自分の顔を見てウーウーと奇妙な声をあげていると報告する。

それを聞いた斉藤は、それはおそらく空のことを言っているのではないかと推測を述べるが、その瞬間、大きな雷鳴と共に、天候が荒れ始める。

ダイゴロウは、水際で不審な動きを始める。

猟銃を手にした斉藤と鈴木が、そんなダイゴロウの側に走って来る。

鈴木は、ダイゴロウの様子を見て、天候のせいで狂ってしまい、凶暴性を帯びたんだ。直ちに麻酔銃を持って来いと、他の飼育係に命じるが、斉藤は銃を構えず、ダイゴロウの目線が海の方向である事に気づく。

やがて、海が爆発したかと思うと、水しぶきが立ち上る。

そのれは、鯨のように潮を背中から噴きながら出現した見た事もない巨大怪獣だった。

その顔には氷が張り付いていた。

空が晴れて来たのを見た鈴木は、あの怪獣が雪を降らしていたのだと気づく。

斉藤も、ずいぶん冷たそうな怪獣だなとつぶやく。

島に接近した新怪獣とダイゴロウは水際で戦い始めるが、空中飛び蹴りを見せたダイゴロウは、難なく相手から身をかわされ、海に墜落してしまう。

それを見ていた鈴木は、ダメな奴だと落胆するが、斉藤は、腹が減っているからですよ。我々のために必死に戦っているじゃないですか!と弁護するのだった。

新怪獣の顔の角が発光したかと思うと、身体にしがみついていたダイゴロウは、感電したかのように硬直し、そのまま海の中に倒れ込む。

斉藤は、そんなダイゴロウの名を叫びながら、浜辺に駆け寄るのだった。

間もなく、島に、ダイゴロウ用の食料を積み込んだトラック数台を乗せたフェリーが到着する。

トラックには、おじさんや太郎だけではなく、熊五郎とうめ子夫婦、八五郎も乗り込んでいた。

砂浜に倒れたまま動かないダイゴロウと対面した熊五郎は、あの新怪獣は、あの後、臨海工業地帯を破壊した後どこかに姿を消したと言いながら、医者はいないのかとわめく。

すると、島に一人しかいないと言う獣医(浜村純)が出て来て、馬用の注射をしてみたが、身体が大きすぎて効かない。もうダイゴロウはダメだと言い放つ。

それを聞いた熊五郎は、涙ながらに、持って来た蜂蜜の缶を持って、ダイゴロウの顔によじ上ると、「すまねえ、俺たちがふがいないばっかりに…、せめて死に水を取らせてくれ」と言いながら、ダイゴロウの口に蜂蜜を流し込み始める。

すると、開いたままの状態だったダイゴロウの口が動きだし、熊五郎はその口の中に落ちてしまう。

口の中から救出された熊五郎は、分室の畳の部屋に寝かされ、鈴木から礼を言われる事になる。

死んだとばかり思っていたダイゴロウ、実は、のどに新怪獣の皮膚のかけらが引っかかっており、それを取ったら息を吹き返したので、それを見つけるきっかけを作ったあなたは大手柄だと言うのだった。

それを聞いた熊五郎は、自分が口の喉ちんこの所に挟まっていたかけらを抜いてやったと皆に自慢するが、聞いていたうめ子は、救出された時、あんたは目を回していたはずとからかう。

東京で分析してもらった所、あのかけらには、地球上に存在しない物質が含まれていたと鈴木は説明する。

それを聞いた太郎は、あれは隕石怪獣だと言い出し、斉藤は、漁師が以前見たと言う隕石の話とも符合すると納得するのだった。

その話を聞いていたおじさんは、空気は人間が吸うためだけにあるのではなく、宇宙から地球に飛来する隕石などを燃やして防いでくれる役目もしているのだよと太郎に教える。

その空気も、最近は人間が使い過ぎたせいか、隕石の落下率も増えて来ているとも。

それを聞いた太郎は、あの怪獣をやっつけるには、核弾頭ミサイルを撃ち込めば良いと言う。

しかしおじさんは、原爆を使うと海が汚染されてしまうと反対する。

その会話を聞いていた熊五郎は、ちょっと待てと言い出す。

一発で海が汚染されてしまうのはダメだけど、工場の排水で少しづつ汚染させるのは良いのか?と正論を言い出したかと思うと、俺が爆弾持って怪獣に体当たりしてやると息巻いたものだから、皆大騒ぎになる。

おじさんは、斉藤に会釈して分室を出て行く。

次の日から、鈴木はダイゴロウに大量のえさを与え始める。

それを呆れてみていた斉藤は、おだてに乗るんじゃないぞとダイゴロウに声をかけるのだった。

何とか腹一杯に食えるようになったダイゴロウは、張り切って空手のまねをしてみせたりするのだった。

その頃、大星獣は…

工場地帯を又破壊していた。

島では、獣医や鈴木たちが、核使用をするべきか否かで議論していた。

獣医は、そんな事をして海や空気を汚染してしまったら、もうこの地球に人間が住めなくなってしまうと嘆く。

斉藤は、しかし人間は、過去知恵を出して何度ものピンチを乗り越えて来たと答えるのだった。

その明くる日…

ダイゴロウの近くの崖の上に登ったおじさんは、ダイゴロウに、両腕を上に上げて力を入れて…と、何やら指導を始める。

その言う通り手を動かして力んでみせるダイゴロウだったが、うなり声を出すだけ。

傍らで様子を見ていた鈴木たちは、やっぱりダイゴロウはダメだとあきらめ顔。

しかし、斉藤は、まだ子供なんだから、母親と同じ事は出来ないと弁護する。

しかし、何度か同じ動きを繰り返すうちに、ダイゴロウの口から巨大な炎が飛び出し、おじさんの立っていた崖を破壊、おじさんは落下するが、ダイゴロウの片手で無事キャッチされていた。

それを下で見ていた熊五郎たちは安堵して喜ぶ。

そこへ、島野漁師二人が、大星獣がいたぞー!と叫びながら走って来る。

どうやら島の反対側近くにいるらしい。

おじさんは、自らゴリアスと名付けた大星獣をやっつける作戦として、放電する角にカバーをかぶせて防ぐ方法を伝授し始める。

それを聞いていた熊五郎や八五郎は尻込みするが、うめ子に尻を押される形で、その役を受け持つ事になる。

カバーを持ったおじさん、八五郎、熊五郎の三人は、ボートで島の裏側に接近する。

一方、おじさんが合図の狼煙を上げたら、角にカバーをかけた合図だから、その時に出発するんだと、斉藤がダイゴロウに教えていた。

島の裏手に上陸し、岩場に上陸したおじさんは、狼煙を上げる準備のため崖を登る。

残された熊五郎と八五郎は、ゴリアスの居場所を探していたが、やがて岩場だと思って自分たちが立っている場所こそ、ゴリアスの尻尾の上だった事に気づく。

さらに、ゴリアスの上半身がのろしの準備をしているおじさんの背後に迫っている事に気づき、下から声をかけるが、おじさんには意味が分からないらしい。

何度か声をかけているうちに、ふと背後を見やったおじさんは、目の前にゴリアスの顔が接近している事にようやく気づき、慌てて、スイッチの上に腰を落としてしまう。

その瞬間、狼煙が撃ち上がってしまったので、斉藤たちは合図だと思い込み、ダイゴロウを出発させてしまう。

一方、おじさん、熊五郎、八五郎の三人は、いつの間にかゴリアスの背中にしがみついて、海の中をダイゴロウのいる方向に接近していた。

おじさんは、こいつのエネルギーは空気なので、エネルギーを使うと周囲の空気が冷却するのだとのんびり解説していた。

一方、近づいて来たゴリアスに気づいた太郎は、その角にカバーがかかっていない事に気づく。

このままでは、又ダイゴロウが放電でやられてしまう!

ゴリアスの背中に乗った三人は、何とかカバーを角にかぶせようと手に取るが、次の瞬間、ゴリアスの角が放電を始めたので、三人は空中には時期飛ばされてしまう。

ところが、ラッキーな事に、パラシュートのように広がったカバーに捕まった三人は、ゴリアスの角の上に落下する。

気絶していた八五郎に気合いを入れ、三人は何とか角にカバーを固定すると、海に飛び込む。

ただ一人泳げないおじさんは、持っていた浮き袋に空気を入れ、それを持って飛び込むのだった。

接近したゴリアスとダイゴロウは戦い始める。

しかし、ゴリアスは邪魔な角のカバーを自ら取ってしまう。

ダイゴロウは、練習の成果を見せ、巨大な炎をその角に浴びせかける。

すると、ゴリアスはあっさり倒れてしまうのだった。

おじさんは浮き袋の空気が抜け始めた事に気づきパニックになる。

先に砂浜についていた八五郎が、それに気づいた救出に飛び込むが、気がつくと、おじさん、立てる浅さだった。

海辺で待っていたうめ子と熊五郎は感動の抱擁をしようと互いに走りよるが、少しずれて、熊五郎は砂浜に顔を突っ込んで倒れる。

そしてエピロオグ…、後始末の事です。

ロケットに結わえられたゴリアスは、宇宙へと打ち上げられる。

無事支度に戻った熊五郎は、うめ子から、小指の布を外してもらい、八五郎と三人で、久々にジョッキのビールを飲み干すのだった。

おじさんはと言えば、又、あの機会仕掛けの自宅に戻っていたが、そこにウエディングドレス姿の良子が、結婚相手らしき男を伴いやって来る。

その姿に気づいたおじさんは、おめでとう!出来たら自分も式に出席したいんだけど…と恐縮するが、それを聞いた良子は結構ですと拒絶してさっさと帰ろうとするが、門扉にベールがひっかかってしまう。

おじさんは、庭の機会仕掛けのスイッチを入れるが、いきなり故障してしまい、庭のおもやたちは、めちゃくちゃになってしまうのだった。

おわり

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

円谷プロ10周年記念作品と銘打たれてる。

「ウルトラQ」や「ウルトラマン」など、初期シリーズには時々あった、ほのぼのとした子供向けの「怪獣ファンタジー、メルヘン」と言った感じの作品で、ストーリーそのものはそれなりに良く出来ていると思う。

メッセージ性を強調した部分が70年代らしいと言えば言えるかもしれない。

ただ、この手の「子供向けファンタジー」が、当の子供たちに歓迎されるかと言うと微妙な所で、これをタイトルから「怪獣対決もの」と期待して観ていた子供には、かなり物足りなかったのではないか。

不細工なダイゴロウの方は、まだブースカ系統のユーモアキャラと何とか納得したとしても、対決するゴリアスの魅力が今ひとつ不足しているように感じる。

前足のひじから先がボクシングのグローブを意識した作りになっているためか、長過ぎてきちんと人の手が入っていない状態になっているため、指先も動かず、立ち上がってボクシングのまねをしてみせるのがせめてものご愛嬌と言った感じ。

ひょっとすると、対するダイゴロウを子供に見せるため無理に大きく作ったためか、全体的に着ぐるみが中の人間とフィットしておらず、ブカブカした印象で、いかにも動けない「置物状態」に近く、結局、角からの放電と言う、後の「ゴジラVSシリーズ」みたいな見せ方をするしかない。

また、おそらく「カバ」をモデルにしているのではないかと思われるダイゴロウの方も、「キモカワイイ」などと言う特殊なキャラ感覚が普及して来た今と違い、当時としてはかなり冒険と言うか、一般的な子供の好みを無視したデザインだったのではないか。

とは言え、ミニチュアを手前に置き、遠方で小さく怪獣が動いていると言う、ミニチュアを省略しながらも遠近感を強調したウルトラ独特な構図はここでも健在だし、スローモーションで怪獣の動きに巨大感を持たせる古典的な手法なども効果的に使用しており、テレビ的な工夫と映画的な工夫が上手く併用されている。

中野稔氏の手になる合成技術もすばらしく(劇中に「中野光学」のミニチュア看板がシャレで出て来る)、マットラインがほとんど目立たないのがすごい。

本編では、何より、三波伸介演ずる鳶職、鬼沢熊五郎のキャラクターが楽しい。

ジャック・タチの「ぼくのおじさん」を連想させる犬塚弘演ずる「発明おじさん」より主役と言った感じである。

正直、怪獣映画としての主役ダイゴロウに魅力を感じるかどうかで、観る人のこの作品に対する評価は大きく違ってくると思うが、大人になって、人間の方のドラマを中心に観てみると、それなりに楽しかった事は確かである。