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スターシップ・トゥルーパーズ3

2008年、アメリカ、エド・ニューマイヤー脚本+監督作品。

※この作品は新作ですが、最後まで詳細にストーリーを書いていますので、御注意下さい。コメントはページ下です。

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地球連邦放送…

毎日、新種のバグが出現しているロク・サン星での新兵器と言えば「シャベル」!

これで個人個人防空壕を掘って、爆弾バグから身を防ぐのだ!

エノロ・フィド提督(アマンダ・ドノホー)は、反戦主義者達に死刑を言い渡した。

サイキックである総司令官オマー・アノーキ(スティーブン・ホーガン)が得意の歌を披露した。 「♪今日は、死に日和!」

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ロク・サン星軍事援助指令部

爆弾バグが飛来し、その爆風で、兵隊が持っていたシャベルが、別の兵士の背中に突き刺さってしまう。

その後処理をしていたジョニー・リコ大佐(キャスパー・ヴァン・ディーン)は、この前線基地に、オマー・アノーキ総司令官が来るかも知れないとマニオン中尉に伝える。

アノーキ総司令官の大ファンであるマニオン中尉は驚くと共に、サインをもらっても良いかなどと、ミーハーな所を見せる。

それは規律違反だと言いながらも、リコは旧友であるディックス・ハウザー将軍(ボリス・コジョー)から、この情報を得たのだと説明する。

やがて、着陸艇が到着し、まずはディックス・ハウザー将軍が降り立ち、出迎えたリコを「惑星Pの英雄」とからかいながら握手する。

続いて降りて来たローラ・ベック艦長(ジョリーン・ブラロック)は、リコの元恋人だったので、キスを交わすが、その事を知らされていなかったディックス・ハウザー将軍は、ちょっと複雑な顔になる。

何故なら、ローラは今や、彼の恋人だったからだ。

さらに、総司令官オマー・アノーキが降り立ち、テレビカメラや出迎えが来ている事を知ると、誰か情報を漏らしたな?と笑う。

そして、感激しているマニオン中尉が、総司令官の案内役を勤める事になる。

マニオン中尉は、総司令官をモニターの所に案内すると、バグの侵入を防いでいる柵の様子を見せる。

酒場にディックス・ハウザー将軍とローラを案内して来たリコだったが、そこには軍人に反感を持っている植民星の農民がおり、彼等を露骨に挑発して来る。

その頃、マニオン中尉は、兵士達からサインをせがまれていた総司令官の姿を見失っていた。

酒場では、リコ、ハウザー、ローラが、久々の再会を乾杯で祝していたが、ハウザーは、リコとローラが、学生時代の思い出話に花を咲かせているのが面白くない様子。

やがて、店内のテレビで、地球の反戦主義者達が首吊りの処刑を受ける様が実況されはじめる。

店内にいた兵士達も農民たちもかたずを飲んで見守る中、処刑は執り行われる。

それを観た農民は、軍人達のごう慢さに、今に天罰が下るぞ!と怒り出す。

それを聞いたハウザーは、リコに逮捕するよう命ずるが、さすがにリコは動けない。

やがて、農民はハウザーに殴り掛かって来る。

手出しをするなと言われた部下達だったが、ハウザーは一方的に殴られるだけ。

その身体を支えたリコを、命令を聞かなかった罪として捕らえろとハウザーは、他の兵士達に命ずる。

その時、酒場の電気が消え、電子システムが停止した事が判明する。

バグは、電気が止まった柵を壊し、基地内に侵入して来る。

援護要請の連絡を受けたリコは、逮捕しろと言い続けているハウザーを殴って、外に飛び出すと、バグたちに立ち向かう。

そこに、総司令官を見失ったとマニオン中尉が報告に来る。

しかし、そのオマー・アノーキ総司令官は、ハウザーが見つけていた。

怪我を負っているのか、ふらついているアノーキ総司令官を抱え、ハウザーは、周囲の兵士達にガードさせながら、着陸艇のある門までやって来る。

何とか着陸艇に連れ込んで、ドクターの診察を受けさせた所、アノーキ総司令官はショック状態だと言う。

着陸艇は、ただちに発進する事にするが、ハウザー将軍は、ここに残りたいと言い出す。

ローラ艦長は、恋人のその言葉に動揺するが、アノーキ総司令官は行って、運命を見つけろとハウザーに告げる。

ローラは、愛していると一言残し、艇を出発させる。

その後、ハウザーは、爆弾ボムの爆発で気絶してしまう。

塹壕に入っていたリコ達は、巨大バグ、スコーピオンの攻撃を受け、グレネードで反撃する。

総指令艦を伴い、無事、指令艦に戻ったローラは、ただちにワープ航法に入るよう命ずる。

アノーキ総司令官の部屋で話をしていたローラだったが、突然、船内が衝撃を受ける。

外部からなんらかの攻撃を受け、ワープ航法が外れたのだ。

指令艦は、リアクターの攻撃を受けていた。

ローラ艦長は、海兵隊員たちに着陸艇に乗り込むよう指示を出すが、自分は、たまたま近くにいた客室係や医者、コックなどと共に、アノーキ総司令官を脱出ポッドに乗せるので精一杯だった。

着陸艇と脱出ポッドは、燃え盛る指令艦から離脱すると、一番間近の惑星に落ちて行く。

ロク・サン惑星は、地球郡の敗戦で終わった。

リコは、命令違反の罪で、アラモ・ベイの営巣に収容されていた。

さらに、地球では、反戦運動に火がついていた。

テレビでは、アノーキ総司令官が演説を行っていたが、実はそれは、エノロ・フィド提督が3D映像キャプチャーで演じる虚構の映像だった。

アノーキ総司令官は、ローラ艦長らと共に、すでに死亡した事になっており、その事を隠ぺいするためだった。

その偽装放送に立ち会ったハウザーは、テラン作戦本部の自室に戻る。

そんなハウザーの元に、ラム中尉がやって来て、SMUからの救援信号を受信したと報告に来る。

総指令官を含む5名が生存しているとの報告なのだが、上層部からは無視しろと言われたと言うのだ。

その命令書の署名は、エノロ・フィド提督だった。

その頃、ローラや総指令官たちが乗った脱出ポッドは、アラクニド隔離地帯の海岸に着陸していた。

ローラは、何度も救援信号を送り続けるが、応答はない。

その内、コックのジンゴが、遠くにバグの姿を認める。

そんな中、女性客室係のホリーが、神に祈りはじめたので、現実派のローラは叱りつける。

それに対し、機付長が諍いを注意したりで、メンバー達の空気がぎくしゃくし始めるが、総指令官は神はいると発言する。

ローラは、ここにいるのは危険だから、100km先に不時着したはずの着陸艇に向かうと言い出す。

その頃、アラモ・ベイ営巣では、リコが絞首刑になりかけていた。

他の二人と共に、床が落ち、一瞬首が締まるかに思えたリコだったが、何故か、彼の綱だけ切れて、リコは下に落ちてしまう。

そこに待ち受けていたのは、ハウザー将軍だった。

ハウザーは、事態が飲み込めず驚く執行人に、口外を禁止する。

ハウザーはリコを処刑場から連れ出すと、君は記録上死んだ事になったので、頼みたい事があると言い出す。

アラクニド隔離地帯では、総指令官以下、5人の生存者達が、砂漠地帯をえんえんと歩いていた。

その様子を、時々地中から姿を現すバグ達が見守っていた。

ローラ達も、双眼鏡で16匹のバグを確認していたが、何故、バグ達が襲って来ないか計りかねていた。

言い知れぬ恐怖にかられたホリーは、歩きながら賛美歌を歌いはじめる。

その頃、リコは、全地球軍戦艦が集結する「連邦艦隊の聖域」と呼ばれる空域の宇宙ステーションに連れて来られていた。

この場所の位置は総指令官にも知らされていないほどの超極秘情報なのだが、ローラは知っており、その情報をバグは狙っている恐れがあるとハウザー将軍はリコに説明する。

エノロ・フィド提督はアノーキ総司令官を助ける気がないので、君を含め7人で、総指令官とローラを助けに行って欲しいと言うのだ。

それを聞いたリコは、どうせ援護もなく、死にに行くのだったら、そのメンバーの人選は自分に決めさせろとハウザーに詰め寄る。

ハウザーは、そんなリコに、マローダーと言う、完成したばかりの新兵器を見せる。

砂漠を歩くローラは、ドクター・ウィッグスに、総指令官の様子がおかしくはないかと尋ねる。

すると、ドクター・ウィッグスは、以前、自分は神に会ったと、総指令官から電話があった事を打ち明ける。

その夜の野宿で食事を取る時も、総指令官とホリーは、祈りの言葉を唱えはじめる。

そんな雰囲気に嫌気がさしたローラは、一人離れたところで監視役を勤める事にするが、間もなく地震が起こり、バグが地面の下から姿を現す。

メンバー達が固まっていた地面には大きな亀裂が走り、ドクター・ウィッグスが裂け目に落ちてしまう。

そこにはバグが待ち構えていた。

ジンゴも亀裂に落ちかけるが、何とか仲間達に引き上げられる。

しかし、ドクター・ウィッグスの姿はもうどこにもなかった。

その頃、リコは、自ら選出した6人の部下に、アラクニド遠隔地への出撃命令を出していた。

ハウザー将軍は、ラム中尉に連絡を取ろうとするが、すでに彼女が転属している事を知り、詳しく調べて観ると、何と、処刑リストに入っているではないか!

怒ったハウザーは、エノロ・フィド提督へ抗議に出かける。

しかし、フィド提督は冷静に、アノーキ総司令官は、間もなく、英雄として死ぬ事になっていると告げる。

その直後の、連邦ニュースでは、テロにより、アノーキ総司令官が戦死したと偽造されたニュースが流される。

反戦主義者のエルモ・ゴニフが、その犯人として指名手配を受ける。

アラクニド隔離地帯にいたローラは、泣き言を言うばかりで、ローラの指示に従おうとしないコックのジンゴを殴りつけていた。

しかし、ジンゴは、ローラの指示は間違っており、あの海岸の脱出ポッドの所で待つべきだった。自分は一人でも戻ると言い出すが、後ろにバグが出現、ジンゴに向かって来る。

ジンゴは、近くに立っていた砂の塔のような中に身を隠すが、その塔は、バグの爪に砂がかぶっていたもので、ジンゴは、蟻地獄のようなその巨大バグの触手に捕まれ、地中に引きづり込まれてしまう。

それを見たアノーキ総司令官は、彼は神に召されたと冷静に言い、ホリーに対しては、君の声は神に聞こえている。自分には、神の声が聞こえると、ますます怪し気な言動をし始める。

リコと6人の部下達は、全員裸になり、マローダーに同化させるため、バイオスキャン装置にかけられる。

アラモ・ベイ秘密研究所のハウザー将軍は、フィド提督から、アキーノ総指令官は、ここに捕らえてあった頭脳バグと長くつき合っているうちに、影響を受けた形跡があると説明する。

その後、頭脳バグが収容されているエリア6にハウザー将軍は連れて来られる。

そこで見せられた、過去のアキーノ総指令官と頭脳バグの接触記録映像には、ヒモコルタルに従うと、意味不明な言葉を呟いているアキーノ総指令官の姿が残っていた。

驚いた事に、アキーノ総指令官は、頭脳バグに対し、ロク・サン惑星を明け渡すとまで明言しているではないか!

柵に流れていた電流を止めたのは、アキーノ総指令官本人だったのだ!

フィド提督は、アキーノ総指令官は、バグのスパイなのだと言い切る。

その時、捕らえられていた頭脳バグが、強力なテレパシー攻撃をかけて来たので、看守、フィド提督、ハウザー達は、強烈な頭痛に襲われる。

ハウザーは、思わず機銃を撃ちまくり、頭脳バグを撃ち殺す。

かろうじて助かったフィド提督は、バグ達には何か企みがあるに違いなく、宗教は何かの罠だとハウザーに言う。

アラクニド隔離地帯では、客室係のホリーが、もうローラの言う事は聞かないとブル機付長に告げ、ブルの方は、そんなホリーに求婚するのだった。

それに対し、ホリーは、神を受け入れる事ができるのならと承諾する。

彼等一行は、ようやく着陸艇のある場所に到着するが、砂の柱が林立するその光景を見たアキーノ総指令官はベヒモコルタル!最高の神!と叫ぶので、それを聞いたローラやホリーは、奇妙な神の名に不信感をつのらせるのだった。

救命艇に入ってみると、搭乗していた海兵隊員三名は、空気もれのため窒息死していた。

救命艇の電源を入れ、救援要請の無線をローラがしてみた所、かろうじて、応答の声が返って来る。

その時、大きな地震が起こり、一人、表で監視役になっていたホリーは、着陸艇の周囲に林立していた砂山が崩れ、中から巨大バグの触手が現れたのを目撃する。

そこにブル機付長が助けに来るが、ホリーを着陸艇に入れた直後、バグの触手に足を突き刺され、そのまま空中に跳ね上げられてしまう。

ローラは、すぐに着陸艇を出発しようとするが、それをアキーノ総指令官が邪魔をし、その直後、バグの触手が、着陸艇をまっぷたつに切断してしまう。

やがて、砂の下から、巨大バグが姿を現す。

その触手の先には、すでに死んだジンゴ、ドクター・ウィッグス、ブル機付長が突き刺さっていた。

それらの死体の口を通じて、バグは、我々と一体になれ、そうすれば我々の知識を与えてやると、人間の言葉で語りはじめる。

アキーノは、ローラを捕まえ、彼女が聖域の場所を知っているとバグに伝え、さらにホリーも捕まえる。

バグは、我々の知識を与えてやる。お前の計画を教えろと言うと、いきなりアキーノ総指令官の身体を背後から触手で突き刺し、巨大な口の中に飲み込んでしまう。

それを見たホリーは、ローラに対し、一緒に祈るようにすすめる。

さすがに、どうしようもなくなったローラは、ホリーと一緒に神に祈りはじめる。

すると、その声に応じたかのように、天空から七つの光が降臨して来る。

着陸して来たのは、リコと部下達が乗ったマローダーだった。

リコは、向かって来たバグの大軍を見て、耐えられるだけ耐えろと、部下達に指令を出す。

そして、バグの大軍に、マローダー7体が飲み込まれた瞬間、攻撃を命ずる。

マローダーは、強烈な火器を発射し、バグ達を一瞬のうちに殲滅しはじめる。

ローラとホリーは、一心に祈り続けていた。

やがて、バグ達を一掃したマローダーから降り立ったリコが、ローラの元に歩み寄ると、家に帰ろうと声をかける。

指令艦に戻ったローラは、待ち受けていたフィド提督から、この艦の操縦を任せると命じられる。

そして、最強の破壊兵器Qボムを惑星に向け発射させる。

ハウザーはリコに対し、君は将軍になると伝えると、ローラと船窓の前で抱擁し、その場でプロポーズすると、ローラは教会で結婚式をしたいと申し出る。

二人がキスを交わすと、その背後では、Qボムが惑星に衝突し、大爆発を起こす。

地球連邦ニュース

アキーノ総指令官は、我々に歌を残してくれたと追悼する。

ホリーは、宗教家になっていた。

反戦主義者のエルモ・ゴニフは、公開処刑される。

ハウザー将軍とローラ艦長は、教会で結婚式を挙げるのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「スターシップ・トゥルーパーズ」シリーズの3作目。

大作として作られた1作目に対し、2作目、3作目はかなり低予算で作られているため、この3作目は本国ではDVDスルー、日本だけでの劇場公開らしい。

2作目は低予算だけに、一種の密室サスペンスのようなこじんまりとしたドラマに徹していたが、この3作目は、低予算でありながらも、雰囲気だけは1作目のスケール感に戻そうとしているため、技術面ではかなりちゃちさが目立つ出来になっている。

とは言え、中盤、兵士ではない人間を含む5人だけの脱出行に絞り、怪し気な宗教なども織りまぜたドラマはやや類型的な展開ながら、それなりにまとまっている。

相変わらず、いかにも好戦的な部分を皮肉ったブラック・ジョーク的な描写等はさらに磨きがかかっている。

今回、宗教に対する描き方等にも、一見、懐疑的転じて肯定した結末のように見えて、実は皮肉っているようにも見えたりする所が興味深い。

モンスター映画としては、頭脳バグ等、1作目に登場した強烈なバグ等が再び登場している所等は嬉しいが、その他には、これと言ってインパクトのある新種が登場しないのが、ちょっと物足りない気もする。

ラストに登場するバグは、ちょっと新鮮味に欠け、魅力不足。

マローダ−も、この種のパワード・スーツアニメ先進国である日本の見なれた目からすると、デザインも活躍の仕方も凡庸な印象しか受けない。