1975年、香港、ホウ・メンホア監督作品。
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清朝の雍正帝は弾圧の限りを尽くしたため、江南地域の漢民族は決起するが、それら抵抗組織も次々に殺して行ったために、民衆からの不満がつのっていた。
その圧政を憂えた忠臣チェン、ユアンの2大臣は、雍正帝を諌める上申書を提出する。
それを読んだ雍正帝は、自分が過ちを認める事など出来ぬと怒り、その二人の大臣の処刑を、配下のシン・カンに命じるが、それを横で聞いていたチャン侍従は、あの二人は忠君として民衆に人望があるので、処刑すると雍正帝の評判が落ちる可能性がある。むしろ、秘かに暗殺する方が良いのでは?と進言する。
それを聞いた雍正帝は、シン・カンに、証拠を残さぬように2大臣を秘かに暗殺するよう命ずるのだった。
無理な勅命に悩んだシン・カンは、町に出て暗殺の方法を考えていたが、大道芸人たちが操るコマや皿回しを見ている内に、一つの殺人兵器のアイデアを思い付く。
完成した武器は「血滴子」と呼ばれ、鉄の帽子のつばの部分に回転ノコギリのような刃がついた形状だった。
鎖の先についたその帽子状のものを、目指す相手の頭に投げてかぶせると、つばの部分が一瞬の内に首の所まで下がり、その内側に仕込まれたナイフ状の歯がすぼまり、相手の首を切断してしまうと言う恐ろしい殺人兵器だった。
その後、暗殺の事を聞かれたシンは、今は大臣たちも用心しているので、機会をうかがっている所だと雍正帝に伝え、自分が考案した武器「血滴子」の威力を犬を相手にして披露する。
その威力を見た雍正帝は驚くが、逆に、その武器で自分を暗殺するつもりではないかと、シン・カンの頭を踏み付けながら、お前を今から三品の将軍に任ずるので、十二人の部下を選んで、その「血滴子」の訓練を始めろと命ずる。
ただちにシンは十二人の部下を集結させると、雍正帝に絶対服従する誓いをたてる。
さっそく、その日から、木製人形を相手の血滴子の訓練が始まる。
いきなり木像の首をもぎ取る事に成功したのは、マー・トン(チェン・クアンタイ)とリンの二人だけだったが、その直後、チャン侍従が練習場に現れ、マーとリンに雍正帝からの褒美として金子を与えたので、今練習をはじめたばかりなのに、一体どうやって雍正帝は二人の成功を知ったのか分からないシンや他の部下たちは驚き恐れる。
実は、雍正帝は城郭の上から望遠鏡で、練習の様子を眺めていたのだった。
その日の午前中の練習が終わり、入浴して汗を流す事になったメンバーたちは、この練習の為に、宮中に長期間閉じ込められるのはかなわないなどと愚痴をこぼしあう。
その後も、吊り輪や棒登りの練習が続けられるが、際立った技量を見せたのは、マーの弟シェ・ティエンフー(ワン・ユー)だった。
その夜、自室に戻って来たシェは、そこに見知らぬ女が待っている事に気付き驚くが、その色香に耐え切れず抱いてしまう。
すると、その女の胸には蒼い竜の刺青が彫ってあるので宮中の女官と分かり、思わずシェは身を引いてしまう。
彼女はワンジュと言い、今日のシェの練習に対する褒美として雍正帝から命ぜられてやって来たので、これからは、あなたの身の回りの事を全てやる事になると打ち明ける。
あまりの意外な話に驚くと言うよりも恐れを感じたシェは、そのまま兄のマーの部屋に駆け込むと、雍正帝のすごさを打ち明け、今夜は一晩ここで語り明かさせてくれと頼むのだった。
翌日からも練習は続いたが、練習開始から三ヶ月が過ぎた今、メンバーの中でも群を抜いた技量を発揮したのはマーだった。
練習場にやった来た雍正帝は目をかけたマーに言葉をかけ、同時にシン・カンには、相手が武器を持っていた場合はどうすると聞く。
するとシン・カンは、血滴子は回転しているため、相手がどんな武器を持っていようと打ち破る事ができると説明し、マーに剣を持って立つように命じると、自ら血滴子を投げ、その刀を打ち砕いてみせるのだった。
感心した雍正帝は帰りがけ、シェに夕べはどうしたと問いかけるが、シェは恐縮して土下座をするだけ。
そんな初心なシェを楽しむかのように、今後も可愛がってやれと言葉を残して去る。
それを聞いていた仲間たちは何の事かとシェに問いかけるが、シェは何も答えない。
そうしたマー兄弟への雍正帝の贔屓振りを快く思っていなかったのは、メンバーの一人クンことシー・ショアンクンだった。
そんなクンがある日、練習場へやって来ると、一人、目隠しをしたまま練習をしていたマーの手が滑り、血滴子が危うく自分に当りそうになる。
目隠しを取ったマーは、すぐに謝罪するが、逆上したクンは、マーが胸につけていた玉仏の飾りを引きちぎると、それを地面に踏み付ける。
それを見たマーも怒り、二人は殴り合いになりかけるが、そこにやって来たシン・カンが止め、訳を尋ねる。
マーは、母親の形見の玉仏を侮辱されたので…と頭を下げる。
一方、クンの方は、謝罪もせずにその場を去ってゆく。
その夜、メンバーの宿舎からクンが抜け出そうとするので、見とがめたシンが誰何をすると、財布を忘れたので訓練場へ戻ってみると言う。
しかし、クンが向った先は、雍正帝の元だった。
雍正帝の謁見の許可を得たクンは、マー・トンが謀反を起こそうとしているとデタラメな報告をする。
しかし、雍正帝はマーの技量に期待をかけているだけに、その密告を怪しみ、確かな証拠を持って来いと追い返す。
時が過ぎ、メンバーたちは、塀越しに血滴子を投げ入れ、目標物にかぶせるまでに腕を上げていた。
それを望遠鏡で確認した雍正帝は、暗殺団の技量が成熟した事を悟り、最初の勅命を出す。
シン・カンが受取った名前は、最初に予定していた大臣の一人「チェン・リエ」だった。
その夜、屋根伝いにチェンの屋敷に近づいた暗殺団は、物音に怪んで窓を開けたチェンの首を血滴子で切断する。
続いて、もう一人の大臣ユアンも血滴子の餌食となる。
しかし、この忠君と誉れが高かった大臣二人の暗殺を実行した事にメンバー内の一部で動揺が走る。
何故、あんな立派な人物を暗殺せねばならぬのか、雍正帝の気持ちが出来ないのだった。
一方、暗殺の成功を率直に喜ぶメンバーたちも多く、その連中は、出世しそうなシン・カンの事を義父様と持ち上げはじめる。
次の勅命に書かれていた名前は、やはり高名なシー大臣だった。
その夜も、同じように暗殺に向ったメンバーだったが、マーの弟シェが突然、「人殺しなど出来ない。雍正帝の殺し屋などにはなれない」と屋根の上で喚き出し、危うく、帰宅途中だったシー大臣一向に気付かれそうになる。
思わず、弟に飛びつくと、その口をふさいだマーだったが、そのマーにシンから実行せよとの合図が下る。
やむなくマーは、血滴子でシーを暗殺する。
その夜のシェの言動は、即刻、クンによって雍正帝に密告された。
その直後、勅命を受けたシンは、クンを呼出す。
寝所に戻り、すでに夫婦となっていたワンジュと添い寝していたシェは、どこからともなく飛んで来た血滴子によって、二人とも首を切断されてしまう。
翌朝、弟が殺害された事を知ったマーは、一体誰が弟を殺したのかとメンバーたちの前に怒り狂う。
すると、シンが自分がやったと名乗り出る。
何故、妻まで殺したのかと聞くと、それは自分がやったとクンが名乗る。
何故、仲間を殺す必要があるのかと問いかけるマーに、シンは勅命であり、このメンバーを結成した時の誓いを忘れたか?雍正帝に逆らえば、一族は皆殺しになるのだと冷静に切り返す。
クンたちが部屋を出て行き、力なく机に座ったマーに、横に座ったルオが、お茶を注いでやる振りをしながら、「逃げろ」と水で机に記す。
その後、シンは新たな勅命を受ける。
その夜、宿舎を抜け出ようとしていたマーは、クンが見張っている事に気付き、身動きが出来なくなる。
すると、ルオが突然外出したので、クンはそちらの様子を見に行ったので、マーはその隙に宿舎を抜け出す。
ルオは囮となって、外の水浴び場所で身体を洗っていただけだった。
宿舎に戻って来たクンは、マーが逃げ出した事を知り召集のドラを打鳴らす。
シンはただちに他のメンバーたちに追跡を命ずる。
だが、城の衛兵たちや、仲間たちの追撃を振払い、マーは場外への脱出に成功するのだった。
翌朝、町の至る所に、マーの人相書きが貼られていた。
そんな中、町民に化けたマーは、とある食堂に入って食事を始める。
路上では、政治風刺の歌と踊りをやっている若い娘の姿があった。
その店に、暗殺団の二人が入って来る。
身の危険を感じたマーだったが、そこに女芸人が見料を受取りに入って来たので、自分の前に来たその女に過分な金を払うと、目で、後ろの二人組の事をそれとなく知らせ、何の事か分からず立ち尽くす女の身体を盾にして、自分は外に抜け出す。
しかし、その一瞬前に、マーの姿に気付いた仲間二人は、すぐさま後を追い、路地でマーの姿を発見する。
三人はその場で戦いはじめるが、その様子を見た女芸人は、マーの姿が人目を引かないように、わざと表で唄いはじめ、人々の注目を自分の方に集めはじめる。
マーは、仲間の血滴子の刃で胸を切り裂かれるが、何とか二人を倒す。
人目を遠ざけてくれた女芸人に礼を言い、立ち去ろうとしたマーだったが、胸の傷がかなりな深手であった為、思わず気絶しかかる。
気がつくと、女芸人に助けられ、町外れの廃屋の中に寝かされていた。
医者を呼びに行こうとする女芸人を、身元が分かるからと止めるマー。
翌朝、何とかマーの体力は回復していた。
女芸人は、マートンの事は人相書きを見てお尋ね者である知っているらしかったが、昨日の二人の素性を聞こうとするとマーが答えないので、そのお返しとばかり自分の名前も教えようとしなかった。
マーは、女が家もない流しの芸人だと知ると、金は持っているので、一緒に都を逃げないかと持ちかける。
しかし、その金を見た女は、雍正帝の印が押してある金など使えば、たちまち怪しまれてしまうと驚く。
マーは、その言葉を聞き、自分は農作業もできるので、これからは金はいらないと言いながら、持っていた金子を全て近くの川に投げ込んでしまう。
女は、農作業なら自分もできると喜ぶのだった。
マーの行方がつかめぬまま2年の月日が過ぎた頃、シン・カンは雍正帝からの勅命として、メンバー全員に平民に変装して、二人一組となって町に潜入し、マーを生け捕りにするよう伝える。
ただし、後で一人でも戻らなければ全員処刑だと、メンバーたちの逃亡を防ぐ釘を刺す事も忘れなかった。
シンはクンと組み、町に出るが、なかなかマーの手がかりはつかめない。
そうした中、二人に声をかけたのが、占師だった。
試しにと、シンが相手に言われるがまま、自分の名前と生年月日を書いてみせると、探し人はなかなか見つかり難いと占師は言う。
さらに詳しい事を調べるため、文字を一つ選んでくれと言うので、並んだ木札の一つを選ぶと、そこに書かれていたのは「皀」と言う文字だった。
それを見た占師は、これは不吉な文字で、あなたには命の危険があると言う。
さすがにシンとマーは信じず、そのまま見料も払わず席を立ってしまう。
その頃、マーは農民として畑仕事をしていた。
そこに茶を持って来たのは、すでにマーの妻となり、妊っていた元女芸人ユイピンだった。
その夜、寝ていたユイピンは急に来るしみ出す、陣痛が起きたのだ。
慌てて産婆を迎えに行ったマーだったが、その姿を、捜査中の暗殺団メンバー二人に目撃されてしまう。
産婆を連れて自宅に戻ったマーだったが、外で湯を沸かしている時に、尾行して来たかつての仲間二人と対峙する事になる。
家の中では、ユイピンが出産の呻き声をあげていたが、外では三人の男たちによる壮絶な戦いが始まっていた。
マーは、相手の血滴子を奪うと、それを使って二人の仲間を殺害してしまう。
そして、無事、男の子を産んだばかりのユイピンに、すぐにこの場を引っ越すよう伝えるのだった。
暗殺団のメンバーの首なし死体が見つかった事を知ったシンは、直ちに山東省の県庁を訪れ、その詳細を聞く。
死体が発見された家の主はマーと言ったが、すでにいなくなったと聞かされたシンは、まだ遠くまで逃げ切れないはずだと判断し、全兵力をこの山東省に集結させるよう伝令を出す。
その頃、雍正帝の元に戻って来ていたクンは、シン・カンに謀反の恐れがあると言いながら「皀」と書かれた文書を証拠として差し出していた。
クンは、その暗号文字は不吉で、その内、雍正帝に命の危険があると書かれていると言葉を濁しながら説明するが、クンの野心に気付いていた雍正帝は、お前は出世の為なら、義父、義兄弟までも陥れるつもりかと激怒し、処刑を命じかけるが、クンは証人がいると必死に叫ぶ。
その証人とは、あの占師だった。
城に連れてこられて拷問にかけられた占師は、訳も分からないまま、クンの言う事を裏付ける文書に証人として署名をする事になる。
その頃、よちよち歩きができるようになったわが子シャオサンを外で遊ばせていたユイピンは、二頭の馬が近づいて来るのに気付き、慌ててわが子を抱きかかえる。
その一頭の馬から降り立った男は、ユイピンに近づき詫びるが、驚いて泣いていたシャオトウの胸に付けられた玉仏の飾りに気付き、慌てて引きちぎると、その場を立ち去る。
同行していたシン・カンに気付かせないためだったが、飾りを盗まれた事に気付いたユイピンは、すぐに夫のマーの所へ知らせに行く。
自宅に戻ったマーは、シャオサン用に自宅の柱に飾っていた風車を見て血滴子を連想し、自分達の暗殺が間近になった事を悟り、怯えるのだった。
その夜、旅籠に泊まったルオは、一人で奪い取って来た玉仏を見ながら、かつての義兄弟マーの事を心配していたが、その不審な様子に気付いたシンは、襖に指で穴を開け、ルオがマーの玉仏をいつの間にか持っていた事に気付く。
そこに都からクンが戻って来たので、シンは一緒に酒を飲もうと誘う。
そこでシンは、マーの親友であるルオを見張れとクンに命じる。
しかしクンは、宿の人払いを命じると、勅命を持って来たとシンに見せる。
そこに書かれていた自分の名前を見て、シンは驚愕する。
シンは誰かからか陥れられたと叫ぶが、「もう遅い、お前の一家は皆殺しになった」とあざ笑うクンが、その密告者本人だと気付く。
シンとクンは、その場で戦いはじめるが、体力的に不利を悟ったシンは宿を抜け出すと町に逃げ込む。
しかし、屋根の上で探していたクンに見つかると、血滴子で首を切断されてしまう。
そのシンの遺体に集まって来た仲間たちは驚愕するが、クンは、これからは自分がシンと同じ立場になったと伝える。
後日、ルオは一人でこっそりマーの家を訪ねるが、クンに尾行されていたとは気付かなかった。
ルオは、赤ん坊から奪った玉仏をマーに返し、旧交を暖め直そうと持ちかけるが、マーは、お尋ね者の俺と酒を酌み交わせば、お前も裏切者になるぞと釘を刺しながらも歓迎する。
二人が酒を飲みはじめた直後、窓の外から唸り音が響いて来て、とっさに身を避けたマーだったが、血滴子の餌食になったのはルオの方だった。
マーは、とっさに、ルオが持っていた血滴子を手に取る。
クンは家の中に飛び込んで来て、マーと戦いはじめるが、その時、シャオサンを抱いたユイピンが姿を出してしまい、クンはシャオサンを奪い取ると家を逃げ出す。
驚いたユイピンが「人さらいよ!」と叫ぶと、声を聞き付けて来た村人たちが、クンの前に立ちはだかり、形勢不利を悟ったクンはシャオサンをその場に残し逃げて行く。
マーは、すぐに追っ手が来るので、ここも引き払おうとユイピンをせかす。
シャオサンを連れ、近くの廃屋に逃げ込んだマーとユイピンだったが、追って来た暗殺団は、その家に火をつけるぞと脅す。
逃げ切れぬと判断したマーは、妻と赤ん坊を別方向に逃す事にし、三日後に会おうと約束する。
その時、もし自分が戻らなければ、今後はお前一人でシャオサンを育ててくれと言うのだ。
やがて、廃屋に火が放たれ、シャオサンを抱いたユイピンは、林の中に逃げ込み、マーは別方向に逃げ、追って来た暗殺団と戦う。
マーは手強く、生き残った一人が、何とかクンの元に駆け付けると、自分以外は全員殺された事を報告する。
マーは、畑の大根をかじり餓えを凌ぎながら逃げ続けていたが、水を飲もうと近づいた井戸の所で、近所の女から立ち去るよう怒鳴られ、雨も降り出して来たので、落ちていたボロ傘を借りて立ち去る。
その後、マーは、拾った傘を見ている内に、血滴子に対抗する武器を考案する。
翌日、町の鍛冶屋に出向き、傘の芯の部分だけを強化したような道具をこしらえてもらう事にする。
その鍛冶屋の主人は、昼食時、近くの食堂に出かけたところで、マーの人相書きを見つけ驚く。
その様子を見ていたのが、食堂で食事中だった暗殺団の二人で、自宅に戻る鍛冶屋の主人をつけ、自ら武器を作っていたマーを発見する。
マーも、二人の気配に気付くと、武器を持って店を飛び出す。
町中で尾行者を探していたマーに、屋根の上で待ち伏せしていた暗殺団が放つ血滴子が飛んで来る。
マーは、とっさに、作ったばかりの傘状武器でその血滴子を受け止めると、傘を開く要領で、逆に跳ね返してしまう。
その血滴子は、投げた暗殺者の胸に突き刺さり、相手は絶命する。
もう一人の暗殺者が投じた血滴子にも、同じ要領で反撃しようとしたマーだったが、まだ武器の強度が足りなかったため、血滴子を受けとめた瞬間、壊れてしまう。
マーは、暗殺者が乗っていた鍛冶屋の屋根の柱を体当たりで崩すと、熱した鉄杙を手に取り、地面に落ちて来た相手に突き刺してしとめる。
その騒ぎを聞き付け駆け付けて来たクンは、自宅を破壊され嘆き悲しんでいた鍛冶屋の主人から、マーの逃げた方向を聞き出す。
マーは、海辺の崖っぷちに逃げ込んでいた。
追っ手は、クンを含め三人だけになっていた。
マーは、まずスンを血滴子で殺害すると、さらに身を隠す。
さらに、もう一人も血滴子で始末する。
ついに、クン一人だけとなり、互いに対面した二人は、血滴子を同時に投げる。
二つの血滴子は空中で激突し、両方とも破壊する。
クンは、ナイフを取り出し迫って来る。
マーは、近くに落ちていた暗殺者の血滴子をとっさに拾い上げると、それでクンのナイフを防ぎ、最後には、クンの頭に血滴子をかぶせて、首を切断してしまう。
首を失ったクンの死体は、崖から海に落下して行く。
待合せ場所で待っていたユイピンの元へ、マーが戻って来て、二人は又新たな住処を求め、旅を始めるのだった。
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タランティー監督作品「キル・ビル」の中で、GOGO夕張こと栗山千明が振り回していた武器の元ネタと言われる「片腕カンフー対空とぶギロチン」(1975)のさらに原点と言われる時代劇。
冒頭部の、空飛ぶギロチン「血滴子」発明とそれを操る暗殺団誕生秘話の件は大変興味深く描かれているが、いよいよ暗殺団が活躍しはじめると、何やら、どこかで観たような既視感が濃厚になる。
明らかに、日本の忍者映画なのだ。
主人公のマーは、刀を忍者のように逆手持ちにして使っていたりで、特に「忍びの者」などに代表される大映映画の雰囲気に似ている。
陰影の使い方、音楽などもそっくりで、当時の香港映画が、大映作品などの日本映画を良く研究していた事が伝わって来る。
暗殺組織から逃げて、庶民に紛れて平凡に生きようとする主人公マーは、さしずめ、日本で言うならば、市川雷蔵扮する石川五右衛門であり、彼の妻になるユイピンは藤村志保あたりの雰囲気だろうか?
もちろんストーリー自体はオリジナルで、展開自体は良くあるパターンながら、メインとなる「血滴子」のアイデアが面白く、最後まで飽きずに楽しめる娯楽アクションになっている。
「北京原人の逆襲」や「液体人間オイルマン」と同じ監督で、本作でもエロやゲテモノ趣味は若干あるものの、むしろ普通のアクション映画として良くまとまっており、娯楽映画としてはなかなかの出来だと思う。
主役を含め、演じている役者たちが総じて、特に美形とか個性的と言うほどでもなく、平凡な印象を受ける人物ばかりと言う点が、ちょっと弱い所かも知れない。
