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チャウ・シンチーの
ゴーストハッスル

1990年、香港、ラウ・シーユー監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

路上に並ぶ、先祖供養の火送りの中、札束に見立てた紙を燃やしているチャン警部(スタンリー・フォン)の姿を呆れたように見ているのは、同僚で親戚関係でもあるピウ警部(トン・ピョウ)だった。

近づいて紙切れを確かめると、一枚に5000万元と書かれてある。

チャン警部が言うには、あの世で霊が金に困らないためにやっているそうだが、これだけ高額が手に入れば、霊も不自由はしまいとピウは皮肉る。

その時、事件発生の知らせが入り、二人はパトカーに乗り込むと、とある工場に入り込む。

しかし、連絡があったその場所に人の気配はせず、念入りに中を捜査しようと踏み込むピウを他所に、チャン警部は用事があるからとさっさとパトカーで帰ってしまう。

一人になったピウは、天井に動く光の漏れを確認、その光源を探すため、部屋を区切っている板壁をよじ登ってみると、その向こう側には、数人の男たちが窃盗を働いている所だった。

ピウは発砲し、銃撃戦になるが、やがて相手の一人に捕まってしまい、外で待機していた賊のボスらしき男がやって来ると、ピウをそのまま羽交い締めにし拳銃を奪うと、ピウの頭部に押し付け、発砲する。

その頃、帰りかけていたチャンは、やはりピウの事が気になって現場に戻って来ると、突然、車の上にピウの死体が落ちて来る。

その頃、気がついたピウは、自分が先頃処刑されたチャウセスク大統領とマルコス大統領の間に立っている事に気付く。

どうやらここは、死者を天国か地獄かへ振り分ける霊界の裁判所のようだった。

ピウは、下界の新聞で、自分が汚職を恥じて自殺した事になっている事を知り愕然とするのと同時に、裁判長に、自分は殺されたのだから、犯人を探すまで下界に戻してくれと訴えるが相手にされない。

その時、ピウは、ポケットの中に入れていた札束に気付く。

先ほど、チャン警部から手に入れた札が本物に変化していたのだ。

すぐに、その金を裁判長に渡すと、現金なもので、ころりと態度を変えた相手は、二つの紋様をピウに見せながら、一方の印を身体に持つものはお前の救世主となり、もう一つの痣を身体に持つものこそ、お前を陥れた天敵なので、下界に降りたら、自分で救世主を見つけて天敵を捜せと教えてくれる。

下界の警察訓練学校。

身体検査を受けるため、他の新人たちと椅子に並んで腰掛けていたシン(チャウ・シンチー)は、自分が持たされている番号が1番だと気付く。

どうやら、検査する医者は乱暴な黒人医者が担当する1番から、美人女医が担当する3番まで三人いるらしく、何とかシンは3番の札を手に入れようと考え、3番の札を持った隣の二人を相手にトランプの賭けを持ちかけ、シャッフルしはじめるが、担当教官からしっかり見られていたため、結局、不正は成功せず、元のままの3番の医者から呼ばれる事になる。

医者からパンツを脱ぐように命じられたシンは、映画を観ている観客の目を気にしてか、あれこれ自分の下半身を隠す小道具を周囲に置くと、おもむろにパンツを脱ぐが、その尻には、霊界の裁判長が示した救世主の紋様の痣があった。

それを見たピウの霊は喜び、医者がシンに乱暴をしようとすると、霊力で逆に、その医者を病院送りにしてしまう。

シンは、麻薬取締課に拝命され、その部屋に向うと、上司であるチャン警部が一人でエロ本を見るのに夢中になっていた。

部屋の棚に写真が飾ってあるので、誰かと聞くと、チャン警部は死んだ元相棒の写真だと言う。

シンは、その写真に写っているピオが、微笑んだように見えた。

その後、チャン警部と一緒にトイレに行くが、掃除中の婆さんに邪魔をされる。

怒ったチャンは、その婆さんを叱り飛ばそうとするが、近くにいた同僚から、あれは100年生きて来た処女だから、下手に手を出すと後が怖いと脅される。

その後、武器担当の婦警の元へやって来たチャンは、シンに拳銃を渡すように頼むが、ピオの霊は、シンが受取るはずだった銃と、遺留品として置いてあった自分の拳銃をすり替えてしまう。

その後、シンが持つ事になるピオの拳銃の銃身の中にピオは入り込み、シンと行動を共にする事になる。

さっそく、チャン警部の車に同乗し、町に乗り出したシンに与えられた最初の指令は、風俗店に潜入している婦人警官とコンタクトを取る事。

婦警の特長は網タイツをはいている事、合い言葉は「今から」だと教えられ、単独で風俗店に乗り込んだシンだったが、店で紹介された売春婦たちは、全員網タイツをはいていたので、仕方なく彼女たち全部を部屋に呼ぶ事に。

寝室でシンは、合い言葉の「今から」と口に出すと、売春婦たちは全員「今から、ベトナム移民を…」と口を揃えて言い出す。

彼女たちは全員、ベトナムからの移民だったのだ。

その頃、本物の婦警二人は、トイレから待合室に帰って来ていたが、他のメンバーが全員いなくなっているのを不思議がる。

部屋から出ようとしたシンは、支配人から止められ、料金を請求されそうになったので、自分は大学生で、百合学部の研究の為来ただけだとごまかす。

しかし、支配人は、だったら学生証を見せろと迫る。

シンが、常時携帯する事はないのでと言い訳すると、支配人と売春婦たちは全員学生証を出してみせ、自分達は社会学部の学生だと自己紹介する。

その時、待合室にいた婦警がシンを助けようとヤクザたちと戦いはじめるが、シンに支配人が拳銃を突き付けたので、彼女たちも抵抗を止め、捕まってしまう。

その時出現したピオの霊は、仕方なさそうに霊力で支配人が持っていた銃の銃口を自在に曲げてみせた為、支配人が発砲した弾は、皆、仲間たちに当ってしまい、全員倒れてしまう。

そこに、チャン警部が駆け付けて来て、倒れているヤクザたちを見て唖然とする。

チャン警部は、自宅で祖霊をあがめる習慣があった。

祖霊の像に願いをかけると、チャンの腕は伸び、壁に這っていたゴキブリを捕まえてトイレに流す事も、座ったままでできる。

そんなチャンは、一人娘のユイに危険が迫っていると言うお告げを聞き、ちょうど出かけるユイに注意するよう言葉をかける。

そのユイは、ちょうど警察の寮に引っ越して来たシンとすれ違う。

シンは、通り過ぎたユイに一目惚れし、彼女がはいていた長いスカートがめくれないかと、冗談で口から空気を吹く真似をすると、驚いた事に、突風にあおられたように、ユイのユカートはまくれ、下着が見えてしまう。

驚いたシンは、持っていた荷物を落としてしまうが、そこに近づいて来たユイは、シンの汚れたブリーフを親切に拾って渡してくれるのだった。

シンが入る部屋は、前任者がいたためか散らかり放題だった。

呆れたシンが片付けはじめると、何故か、部屋はまた元の状態に戻ってしまう。

気がつくと、棚に写真立てが置いてあり、そこに写っているのは、チャン警部の部屋で見たのと同じピウの姿だった。

この部屋は、ピウの部屋だったのだ。

自殺者の部屋と知り、嫌な気がしたシンだったが、突如、そのピウが姿を現し、生前自分が愛用していた揺りいすに腰掛けたので、驚いたシンは、その部屋から逃げ出そうとドアを飛び出すが、何故か又同じ部屋に戻って来てしまう。

何度繰り替えしても同じ事が起きるので、根負けしたシンは、こわごわピウの話を聞く事にする。

ピウは、お前は私にとって救世主だとあの世で聞いた。先日、風俗の店でお前を助けたのは自分だが、自分を殺した真犯人探しを手伝ってくれないかと頼むが、シンが、とてもそんな事は出来ないと、断わってしまったので、仕方なく、その場は姿を消す事にする。

翌日、ビルから飛び下りそうな自殺者がいると言う現場に出かける車の中で、シンはチャン警部に霊の存在を信じるかと聞いて呆れられる。

現場に到着したチャン警部は、先に屋上へ向うが、昨日の事が気になって仕方ないシンは、現場にいた警官までにも霊の事を聞いてみる。

屋上から飛び降りようとしていたのはベトナムからの移民の男だった。

チャン警部は何とか自殺を思いとどまるよう説得するが、ベトナム人は香港人など信用しないと聞く耳を持たない。

そこに遅れてやって来たシンは、そんなベトナム人の態度に切れ、死にたければ勝手に死ねと言い出す始末。

あげくの果てに、自分の方が足を滑らせ、屋上階に落っこちる。

部屋に戻って来たシンは、覚悟を決め、写真のピオに向って協力すると言う。

すると、又出現したピウは、お前には好きなユイをものにし、出世させてやるから、真犯人を見つけてくれと言う。

ユイはタレント稼業をやっており、その日は牛乳製菓のチョコレートのCF撮りをやっていた。

そこに車でやって来たシンに、助手席に乗っていたピウは、思いきって彼女に告白しろとバラを出してやる。

しかし、気の弱いシンは、そのバラを持って撮影現場に近づくが、バラを手渡したのはユイではなく、牛の方だった。

そんな所へ、スポンサーである牛乳製菓の社長タン・レイヤンが車で乗り込んで来る。

タンは、ユイの事が気に入っているらしく、花束を渡そうとするが、ユイが仕事中だと断わると、すぐさま監督に向って撮影を止めろと命令する。

そして、監督たちスタッフが立ち去った後、又ユイに迫りはじめたので、その様子を助手席から見ていたピウは、シンに助けてやれと勧める。

生来臆病なシンは、こわごわ社長とその取り巻きたちに近づき、ユイが嫌がっているじゃないかと止めるが、逆に取り巻きたちによって叩きのめされてしまう。

シンは、助手席に座っているピオに何とか助けてくれと叫ぶが、ピウは知らん顔。

社長たちが帰った後、何故助けてくれなかったんだと助手席のピウに文句を言いはじめたシンだったが、そんなシンを心配して、ユイが近づいて来る。

ピウのキューピット作戦は大成功だったのだ。

後日、港でのデートが決まり、浮き浮きして待つシン。

当然、ピウの霊も同行している。

ユイがやって来たので、二人はベンチに腰掛け、シンはユイの身体に近づこうとするが、ズボンの両ポケットの中の拳銃が当るとユイが文句を言うので、一丁は車の中に起き、助手席のピウに見張りを頼むシン。

その後、とある麻薬取り引き現場ではないかと疑われる場所に、チャン警部と共にやって来たシンは、チャン警部が別方向に向った後、独り置いてあったライトバンの荷物を何気なく調べてみると、そこに麻薬が入っているではないか!

おまけに、気付いた組織の連中が刃物を構えて近づいていた。

拳銃を取り出したシンだったが、弾は六発しかないのに対し、敵は10人近く。とても全員は撃てないので、逆に刃物で襲われる恐れがある。

しかし、組織の連中たちもビビっているのか、互いに牽制しあうばかり。

建物の中でそうした様子に気付いた組織の兄貴分は、先に逃げ出してしまう有り様。

出現したピウの霊は、とにかく撃てとシンに命じる。

半信半疑でシンが発砲すると、飛び出した弾は、組織の連中全員の足を貫通して行く。

それを建物の影で目撃した組織のボス、タン・レイヤンは、危険を感じ逃げてしまう。

チャン警部が戻って来たのは、その直後だったが、組織の全員が倒れているのを見てビックリする。

その報告のため署に戻ったチャン警部は、女性上司に、その手柄を自分一人でやった事として報告しはじめ、シンは部屋の外に追い出されてしまう。

そこに出現したピウは、シンの為に、チャン警部に女難を与える呪文をかける。

すると突然、女性上司が服を脱ぎはじめ、チャン警部を誘いはじめる。

その様子を、全面ガラス張りの壁越しに発見したシンや、他の部下たちは興味深げに事の経緯を見守りはじめる。

チャン警部は、訳も分からず、女性上司に調子を合わせていたが、その内、突然、我に帰った女性上司は、自らの露な姿に気付き、チャン警部に襲われたと言い出す。

チャン警部は必死に、そちらから誘いがあったので…と言い訳するが、外に出て、部下たちに事の次第を上司が問いただすと、シンはチャン警部の方が押し倒したと証言するし、他の部下たちも全員、言葉を濁したので、結局、チャン警部が襲いかかった事になってしまう。

落ち込んで帰宅したチャン警部に、待っていたユイが恋人を紹介したいと言う。

複雑な気持ちで、その恋人の登場を待った警部だったが、やって来たのがシンと知り愕然とする。

ちょっとユイが席を立った後、チャン警部はシンを殴ろうとつかみ掛かるが、そこにユイが戻って来たので、二人は振り上げた手をごまかすために、互いの身体を親しげに叩きあうような真似をする。

三人で食事をしようと言う事になり、食卓にユイ自家製の豆板醤を取り出すと、ちょっとシンが苦手そうな顔をしたので、それに気付いたチャン警部は、無理矢理豆板醤をシンに食べさせようとする。

シンも、何とか食べまいとごまかすが、ユイが豆板醤好きだと知ると、強引に食べてみせる。

その頃、麻薬組織のボス、タン・レイヤンは、日頃崇拝している馴染みの法師から、金属製の護符を授けられていた。

一方、自室に戻ったシンの前に姿を現したピウは、ユイは自分の姪に当るので、なかなか本気で恋愛にまで持って行き難いと説明していた。

しかし、ユイとの関係を今以上に進展させたいと焦っていたシンは、そのピウが消えようと後ろを向いた時、ピウの服の下から覗いていた護符を盗み取ってしまう。

その頃、チャン警部の方は、自宅で愛人と時間を過ごしていた。

呪文で伸ばした手を、その愛人の方へ近づけた時、シンが訪ねて来る。

シンは、恋の呪文をかけようと指を伸ばしたまま入って来るが、肝心のユイは外出中で、ちょうど帰りかけた愛人に指がぶつかり、曲った指先は何と自分に向いてしまう。

恋の呪文にかかったのは、シン自身で、彼が最初に見た相手はチャン警部だったので、愛人が帰った後、シンはチャン警部に色目を使いはじめる。

そこに帰って来たのがユイで、まとわりついて来るシンを気味悪がったチャン警部から、こいつはホモだと言われたユイは、シンを殴ってしまう。

元に戻ったシンは、ピウの霊に出会った事、そのピウの霊はいつも銃の中にいる事なと、これまでの経緯を説明しようとするが、霊の存在を信じないチャン親子は信じようとしない。

困ったシンは、トイレに入り拳銃を取り出すと、ハンガーを便器の上に跨がせ、その上に拳銃を置くと、小便をかけながら、ピウに出て来てくれと祈る。

その独り言をトイレの外で聞いていたチャン警部は怪んで、トイレのドアを開け、その時、便器に落ちた拳銃に気付かず便器の水を流してしまう。

さすがに、便器の中に吸い込まれそうになった拳銃の中からピウが出現する。

その姿を見たチャン警部はびっくりするが、その後ろから覗いたユイは気絶してしまう。

その後、ピウはシンに、恋の手伝いはしてやったんだから、今度は俺を殺した犯人探しを手伝ってくれと頼む。犯人の特長は強いわきがだと言う。

わきがだけの手がかりでは探しようもないのだが、仕方なく、シンは、町中に出て、男たちの腋をさり気なく臭う真似をし始め、気味悪がられる。

何か手がかりが見つかるかも知れないと、ピウが殺された現場へ出かけてみたシンは、高い衝立によじ登ってみると、はたしてその裏側に、麻薬を扱っている三人の男の姿を発見する。

飛び下りたシンは、その三人の男たちと戦い、ピウも霊力を使い、シンを助けてやる。

その時、シンは別の男から捕まってしまう。

その男のわきがは強かった。組織のボス、タン・レイヤンだった。

ピウは、その男こそ自分を殺した犯人と気付くが、タンは、ピウの霊力で自分が逆に撃たれそうになると必死に逃げ出し、シンから発砲されても無傷で去ってしまう。

タンが銃弾で倒れなかったのは、法師から授かって身につけていた金属製の護符に弾が当ったからだった。

法師の元に戻って来たタンから話を聞いた法師は、敵の後ろには霊がいると気付く。

その頃、自宅で祖師に祈っていたチャン警部は、私の仇をとってくれと願をかける。

すると、突然、祖師が実体化し、チャン警部にピウの力を封ずるお札を渡す。

その祖師だと思っていた人物が、実は敵の法師の変そうだったとは、チャン警部も気付かなかった。

そのチャン警部、デートに出かけようとするシンから、銃など持ち歩くのは不粋だとアドバイスする不利をして、ピウが入った拳銃を預かる。

その後、その拳銃の銃身に、祖師からもらったお札を丸めて詰めてしまうのだった。

チャン警部が去った後、その拳銃の銃身から、シャボン玉のようなものがふくれ出すと、その中にピウの霊は吸い込まれてしまう。

そのピウの霊は法師の元に飛び、透明な柩の中に封じ込められてしまう。

その頃、ピウとデートを楽しんでいたシンは、突然、麻薬組織の男たちが現れたので、ピウを呼出そうとするが、ピウは現れず、シンは相手からボコボコに殴られる。

ユイが警官を呼んでくれたので、その場は何とか助かるが、家に戻ったシンは、拳銃に向ってピウに文句を言うが何の返事もない。

チャン警部は、申し訳なさそうに、お札を銃身に詰め込んだと説明するが、そのお札を取り出しても、ピウが出て来る気配がない。

その時、チャン警部は、祖師像から発せられた本当の祖師のメッセージを自らの口から発しはじめる。

祖師の霊が憑り付いたのだ。

チャン警部は、まんまと祖師に化けた法師に利用された事、ピウの霊は、今、法師に捕まり、柩に封じ込められている事、そして、法師の精霊の術に勝つには聖水が必要だと言う事などを祖師はチャン警部の口を借りて語る。

その聖水の作り方を今からシンの背中に書くと言い、チャン警部に憑り付いた祖師は、上半身を裸にさせたシンの背中に筆を走らせはじめる。

しかし、あまりのくすぐったさに耐え切れず、シンは、背中を掻いてしまい、掻かれた文字の一部が不鮮明になってしまう。

それでも、正気に戻ったチャン警部が必死に解読すると、聖水に必要なのは猫のフンと処女の小水、そして導師の屁と読めた。

さっそく料理を作りはじめたチャン警部。

飼い猫に食べさせ、フンを取ろうと言う作戦だったが、肝心の猫は出された手料理に見向きもしない。

それを見ていたシンは、猫が安心するように、まず自分が食べてみせると言い、チャン警部が作った手料理を全部平らげてしまう。

その甲斐あってか、猫は残された魚の骨などしゃぶりはじめるが、警部が、この料理には下剤を入れておいたのに…と言う言葉を聞いたシンは、慌ててトイレに駆け込む。

便器に跨がったシンは、突然ドアが開けられたので怒るが、チャン警部は、猫に見せて排便を促すためだと言う。

続いて、処女の小水を取る計画をたてたチャン警部は、警察の「100才の処女」として有名な掃除のおばさんに大量のコーラを飲ませる。

やがて、そのおばさんが女子トイレに入ったので、後を追おうとした警部は、おばさんから追い出されてしまう。

さて、そのおばさん、個室の下に覗いている男物のスニーカーに気付き、ここにも痴漢がいるとドアを開けると、中で座っていたのはシンだったが、その首がころりと落ちてしまう。

それを見たおばさんは、恐怖でその場で失禁しはじめるが、それを個室の中にいたシンはちゃっかりビーカーにキャッチするのだった。

転げ落ちた首はもちろん作り物だったのである。

最後の屁を採取するため、チャン警部自らが、チューブの付いた特別製のズボンをはき、大量にイモやマメなどを食べる。

そして息むと、ズボンは噴出した大量のガスでパンパンに膨らみ、とうとう爆発してしまう。

しかし、気絶したかに見えたシンは、口の中に輩出されたガスをためていたので、無事採取に成功する。

実験室で、手に入れた三つの物質を混ぜて抽出したチャン警部とシンは、蒼く透明な聖水の合成に成功したかに見えた。

法師の隠れ家にやって来たチャン警部とシンは、そこに置いてあった透明な柩に聖水を振り掛けるが、ピウは現れない。

そこに、本物の柩を抱えたタンと法師が姿を現す。

罠だったのだ。

しかし、シンは慌てず、銃を発砲する。

その銃は、念のために用意していた聖水入りの水鉄砲で、発射された聖水は、法師と持っていた柩にかかる。

法師の顔はただれたようになり、ピウの霊は姿を現すが、何故か元気がない。

チャン警部は、さっそく、持って来たおもちゃの剣で戦いはじめ、剣に護符を突き刺すと、それで法師の霊力を弱めながら戦うが、所詮おもちゃだったため、法師を突き刺したと思ったら、刃の部分が引っ込んでしまっていた。

仕方がないので、手を伸ばし戦いはじめるチャン警部だが、法師の霊力は凄まじく、吹き飛ばされた鉄板の下敷きになってしまい、長く伸びた手は絡まってしまう。

シンは、以前盗んでいた護符をピウに返すが、ピウは霊力がなくなったと言うだけ。

シンは、法師が出現させた火の玉攻撃を、サッカーの要領で蹴り返す。

鉄板の下敷きになって身動きが出来ないチャン警部は、何故、聖水が効かないのかと不思議がる。

何か、阻止が書き残した文字を読む時、見落としがあったに違いないと気付いたチャン警部は、それが「童貞の小水」だった事に気付く。

すると、それを聞いたシンが、それならここにあると、自らのスニーカーを脱ぐと、そこに小便をしだす。

チャン警部は、その時はじめて、シンが童貞だった事を知るのだった。

シンは、スニーカーにためた小水をピウにかける。

法師は、霊力で部屋全体を壊しはじめるが、チャン警部に覆いかぶさっていた鉄板に乗ったピウが、法師に体当たりすると、法師の身体は吹き飛ばされ、背後の魔像に激突する。

そこへ現れたタンは、ユイを羽交い締めにして、その頭に拳銃を突き付けていた。

その直後、シンは迷わず発砲し、その弾はユイのスカートを貫通すると、タンの股間に命中する。

思わず、ユイを離したタンに、シンの銃弾が続けざまに命中する。

これでようやく天国に戻れると、チャン警部とシンに礼を言いながら、ピウの姿は消えて行く。

霊界への道を選ぶ裁判所に戻って来たピウだったが、裁判官は天国は今、移民で一杯なので、今お前をやる訳には行かないがどうする?と、又、賄賂を要求するような素振り。

しかし、今回ばかりは金がないと、ピウが立ち往生していると、そこにHDLと書かれた宅配トラックがやって来て、そこから降りて来たシンとチャン警部が、大量の札束が入った箱を出してみせる。

二人の友情を喜んだピウは、飯でも喰って行ってくれと二人を誘うが、それを聞いた二人は、ここの飯を喰ってしまったら、二度と下界に戻れなくなると、笑いながら逃げ出すのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

若きチャウ・シンチー主演のファンタジーコメディ。

お馴染みの下ネタも、この頃から満載である。

ファンタジーとしては、霊が下界に戻って来ると言うアイデアの他に、チャン警部が、祖師の霊力で腕が伸びたりすると言う別の非現実要素も唐突に混ざって来るため、何でも有りの世界になってしまっており、ファンタジー独特の緊張感に欠ける恨みがある。

又、下界に出現したピウが、観客だけに見えているのか、シンだけに見えているのか、他の人間にも見えているのかと言った区分けも、シーンごとにはっきりしていないので、観ている方としてはやや混乱する部分がある。

又、前半部は、ピウが、シンの恋の手助けをしてやると言うラブコメ要素で進んで行くため、コメディとしてもサスペンスとしても、やや中途半端な印象がある事も否めない。

取りあえず、あれこれ要素が詰まった他愛無いファンタジー娯楽映画と思っていれば、それなりに楽しめる作品ではある。

ラスト、人質に取られた女性のスカート越しに、背後の敵を撃ち抜くと言うアイデアは「ロボコップ」(1987)から頂いたものだろう。