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魔犬ライナー 0011変身せよ

1972年、東映、笹川ひろし原案、辻真先脚本、田宮武監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

ハイウエイを走る一台のエアカー。

車内のアナウンスが、間もなく東海道メガロポリス富士シティ団地に到着すると発声し、運転席の運単者は眠りから醒める。

自動操縦なのだった。

しかし、次の瞬間、警報アラームが鳴り出し、外を見ると、黄昏の空に大量の流星が降り注いでいるのが見える。

所変って、富士山頂気象観測所。

勤務5年のベテラン所員が、建物の外に出て、空の様子を観察し出すが、その背後に無気味な影が近づく。

建物に残り、地上と電話連絡をしていた所員にも、無気味な影がドアを開けて襲いかかる。

所員が床に落とした受話器に、無気味な影の一部が接触すると、その受話器は溶けてしまうのだった。

タイトル

富士シティ団地A-16-7の外の公園で遊んでいるのは、いつの間にか当地に住み着いた母犬クイーンとその三匹の子犬エース、ジャック、ジョーカー。

それを上の道路から見守る少年ツトム(声-里見京子)は、近づいて来た近所の悪ガキ共から、ツトムの父親である林博士(声-山内雅人)が唱える「宇宙人存在説」が学会で否定されたニュースを聞かされからかわれると、思わず喧嘩をしてしまう。

その際、公園に落ちたノートブックが鼻の頭に落ちて来たジョーカーは、痛がり、逃げ出す拍子に、木にぶつかってその際、顔にカマキリが付いている事に気付きと、恐怖のあまり、気絶してしまう。

そんなジョーカーの臆病振りを励ますツトム。

夕方、研究所から帰宅して来た林博士は、自宅が騒がしいのでいぶかしげに思い部屋に入ると、ツトムが野良犬たちを連れ込んでいる事を知る。

その時、どこからともなく光がテーブルに降り注ぐと、そこに、不思議な形のサボテンの花が生えた結晶鉢が出現する。

博士がそれを不思議がっていると、いきなりクイーンがそのサボテンの花をくわえ、窓ガラスを破って外に飛び出してしまう。

三匹の子犬たちもその後を追い、犬たちは林の奥にかけ去ってしまったので、ツトムはビックリして「ドロボー!」と叫ぶと追い掛けようとする。

それを止めた林博士は、残った結晶体の鉢植えを地球の物質ではないと教える。

その直後、林の奥で大爆発が起きる。

林博士は、あれは宇宙人が送って来た破壊装置だったんだと明かすが、ツトムは、命を賭けて自分達を守ってくれた犬を「ドロボー」呼ばわりした事を後悔しており、謝るために捜しに行こうとする。

しかし、博士は、あの大爆発では、皆助かっていないと言い聞かすのだった。

その直後、富士山が300年に近い沈黙を破って、突如大噴火を始し、メガロポリスは多大な被害を被ってしまう。

林博士は、いよいよ宇宙人たちが自分の口をふさぐために攻撃をしかけてきたので、それを防ぐ準備を始めなければならぬが、今度のツトムの誕生日には素晴らしいプレゼントをあげると約束して、研究所に出かけて行く。

雨の日、公園を見に行ったツトムは、クイーン、エース、ジャック、ジョーカーの名を呼び、独り涙するのだった。

ある日、宇宙科学研究所の林博士から、自宅にいたツトムの元へテレビ電話がかかって来る。

誕生日おめでとうと言う林博士は、庭を見てごらんとモニターの中からツトムに呼び掛ける。

怪訝に思いながら庭先を見ていたツトムは、犬の鳴き声とともに、死んだはずの4匹の犬が飛び込んで来るのを見て驚く。

クイーンは、ヘルメットをくわえて、ツトムの元に駆け寄って来る。

モニターの中の博士が説明するには、犬たちの生き残っていた脳を使って、サイボーグ犬に改良したらしい。

母犬クイーンは、頭部が超高速ドリルに変型し、他の犬たちのエネルギー源にもなっていると言う。

エースは両目が武器になっており、左目はスタラルトスコープ、放射線アイ、熱線追跡カメラ、右目はプラズマガンになっている。

ジャックは、口からジェットガスを噴射する事ができる。

ジョーカーは、プラスチック皮膚で、どんなものにでも変身する事ができると言うのだ。

そうした説明をテレビ電話の前でしていた林博士の背後に、無気味な影が近づく。

モニターに写った父親が、宇宙人らしきものの触手に首を締められているのを見たツトムは驚くが、林博士は、苦しげな口調で「ヘルメットをかぶれ!」と伝えて来る。

ツトムがその通りにすると、どこからともなく、「命令をどうぞ!」と言う女性の声が聞こえて来る。

それは、側で吼えているクイーンが発する言葉を翻訳したものだった。

ツトムは直ちに、宇宙科学研究所へ向うよう命ずる。

すると、4匹の犬たちはロボット体型に変身し、ツトムを乗せたクイーンは研究所へ飛ぶ。

研究所では、林博士が傷だらけになって倒れていた。

駆け付けたツトムに気付くと、これは宇宙人を捜す絶好のチャンスだから、すぐに後を追えと言う。

宇宙人を捕まえれば、パパの言葉が正しかった事が証明できると言うのだ。

そして、林博士は、「ライナーゴー!」と叫ぶ。

すると、四体のサイボーグ犬は、飛行メカに変身し合体したかと思うと、ライナー号に変化するのだった。

操縦席に乗り込んだツトムに、電子頭脳で判断できなくなった時は赤いランプが付くが、その時には自分で操縦をするようにとクイーンの声が説明をする。

レーダーには、西北15kmに異変を探知。

異常物体は河口湖に接近をしていたので、そちらに急行する事にする。

謎の物体は、マクロドンと言うクワガタの形をした、巨大なロボット戦闘艇だった。

その頭部が切り離されると、強力な角で橋を破壊した後、再び身体と合体して、湖底に沈んで行く。

マクロドンの中には宇宙の寄生虫と呼ばれるデビル星人が乗り込んでいた。

闘争本能に長け、感情に乏しいデビル星人は、宇宙で新しい星を見つけると、その先住民を殺し、乗っ取ってしまう宇宙人だった。

そして、そのボスはゴルゴスと言った。

ライナー号の接近に気付いたマクロドンは襲いかかって来るが、ツトムの「第2戦闘体型!」と言う命令と共に、四体の飛行メカに分離、火炎攻撃でマクロドンを河口湖に墜落させる。

湖面で待っていたのは、クジラに変身したジョーカーで、黒焦げになり動けなくなったマクロドンの機体を潮で吹き上げる。

ところが、その潮の噴出口に魚が詰まってしまい、潮が出なくなる。

ツトムは、エースに、マクロドンの内部の透視を命ずるが、中は空洞だった。

敵の隠れ家は近くに違いないと感じたツトムは、噴火を続けて聳える富士山だと直感し、その内部透視をエースに頼む。

さすがのエースも、富士山全体の透視となるとエネルギーを膨大に使うので、必死になって頑張る。

すると、富士山の地下に、巨大な基地があり、それを拡大してみると、その基地から吹き出した炎が山頂から吹き出していた事が分かり、噴火は偽物だと分かる。

ツトムは「ライナ〜GO!」と叫ぶ、再びライナー号を合体させると、富士山の中腹部分に到着し、中に侵入出来そうな空洞を見つけると、「第3戦闘体型!」と叫び、4体のサイボーグ犬の形に戻す。

見張りとして、クイーンをその場に遺すと、ジョーカーに変身を頼む。

すると、ジョーカーは太った馬の姿に変身する。

エースやジャックが、そんな格好じゃ、地下に降り難いと文句を言うと、ジョーカーはすかさず羽を生やし、ペガサスの姿に変身するのだった。

ツトムが跨がると、おどけたジョーカーは、ペガサスの顔をマリリンモンローみたいに変型し、ツトムにウインクをしてみせるのだった。

ジャックの口から発射するジェットガスで土を掘りながら、ツトムと犬たちは地下に進行して行く。

やがて、ツトムらは、巨大なコンピューターが安置してあった部屋に出る。

ジャックに破壊を命じると、ジャックはジェットガスでコンピューターを溶かしはじめる。

その時、何者かが近づいて来る気配がしたので、ツトムたちは隠れ場所を捜すが、良い場所が見つからず焦る。

すると、ジョーカーが、2号仮面ライダーの変身ポーズを真似て、巨大コンピューターに化け、その中に隠れるよう勧める。

やがて、コンピュータールームに、デビル星人の一団と、巨大なカマキリ型戦闘艇マンデラスが入って来たので、カマキリが苦手なジョーカーは震えだし、やがて変身が解けてしまう。

隠れているのが見破られそうになったツトムは、外を見張っていたクイーンにSOSの指令を出す。

クイーンは直ちに、頭部をドリルに変身させると、土中に侵入、地下水の鉱脈を破壊して、コンピュータールームに大水を発声させると、潜水救命艇に変身したジョーカーの中にいたツトムたちと共に脱出する。

その後、マンデラスは湖から浮上する。

ツトムはそれには気付かず、研究所の父親の元へ戻る。

椅子に座っていた林博士に駆け寄ったツトムだったが、博士はもはや体力の限界だったようで、その場に倒れ込んでしまう。

そして、苦しい息の中から、ハンドホーミング銃をツトムに手渡すと、ミサイルはクイーンの中にある。敵の本拠地は別にある。戦いはこれから始まるのだ。パパはいつもツトムと一緒に戦う…と言いながら、静かに息を引取るのだった。

ツトムは、必死に涙を堪えながら、宇宙人を全滅させるまでは泣かないと誓うのだった。

マンデラスは、月に向っていた。

そこに、惑星ロケット、デビル星本体があったのだ。

ゴルゴスが指令を出すと、光子ロケットが推進し、惑星ロケットは発進する。

その後、地球上のテレビでは、デビル星人たちから送られて来た「死」と言う文字を、一斉に報道していた。

やがて、日本上空にマンデラスが飛来する。

マンデラスが発するスーパーソニックナイフで、超特急が走る高架橋が破壊され、その羽から発せられたレインボーレイで、攻撃に来たジェット機を切断してしまう。

やがて、東京タワー上空にやって来たマンデラスの鎌の部分が開くと、そこから無数のダニ型小型ロボットダニンガ−が東京タワーに降り注ぎ、あらゆるものを腐らせる能力で破壊してしまう。

デビル星からは、隕石砲も地球に発射されていたが、その大半は、大気圏で燃えつきてしまい、地球まで到達するものは少なかった。

しかし、デビル星の最終兵器は、月そのものだったが、まだ誰もその事には気付いていなかった。

研究所の庭で待っていたジョーカーは、カマキリを見つけると、自分の苦手意識をなくそうと、必死に恐怖心と戦っていた。

その頃、宇宙服を着込んだツトムは、「ライナーGO!」の指令を出し、宇宙へ向う事にする。

デビル星に対する、地球軍の攻撃は24時間後に迫っていたのだ。

デビル星の最終兵器「ムーンボム」とは、月に仕掛けた爆弾で月を破壊し、バラバラになったその破片を、地球上に降り注がせると言うものだった。

デビル星には、ボスのゴルゴスしか乗る事が出来ない指令カプセルが設置してあった。

そんな月に、何故か、戦闘艇としては使用済みのはずのマクロドンが近づいて来る。

デビル星の基地に降り立つと、デビル星人たちが取り囲むが、突如、マクロドンの中から、ライナー号が飛び出して来る。

マクロドンは接近用のカモフラージュだったのだ。

操縦席のツトムは、まだ、自分に操縦をさせてくれないのかとクイーンに聞くが、まだだと言われる。

そこにマンデラスが出現する。

ツトムは「第3戦闘体型!」と叫び、4体のサイボーグ犬の形に分離する。

宇宙服姿のツトムも、父親からもらったハンドホーミング銃でロケットを発射するが、マンデラスの体内に吸収されてしまう。

ジョーカーは矢に変身する。

その頃、地球では、全地球軍が発進していた。

彼らが乗るのは、スペースシャトル「ダイナソア」!

やがて、その中から、小型ロケットが多数発射されるのだった。

ツトムや子犬たちは、マンデラスの攻撃を止めていなかったが、なかなか効果が上がらない。

ドリルに変身して体当たりしたクイーンも、エネルギーがゼロになってしまい倒れてしまう。

ツトムは、デビル星人たちが接近して来たので、エースに、エネルギータンクを捜すように命ずる。

ジャックが壁を溶かすと、そこにデビル星のエネルギータンクらしきものを発見するが、もう、子犬たちにもエネルギーが残っていなかった。

ジョーカーは最後の力を振り絞って、レッカー車の形に変身すると、クイーンの体を磁石でくっつけ、そのエネルギータンクの所まで、必死に登って行こうとする。

もうジョーカーは、カマキリ型マンデラスを恐れたりはしていなかった。

ツトムは、一人でハンドホーミング銃を撃ち続けていた。

「ムーンボム」爆破スイッチを押すと、爆破まで後10分しか残されていなかった。

そこへ、カタツムリ型戦闘艇エスカルゴンが新たに出現して来る。

何とか、エネルギータンクの所まで、母親クイーンを連れて来たジョーカーは、すぐにエネルギーをクイーンの体内に注入する。

とうとう「ムーンボム」のスイッチが押され、月の爆発まで後9分!

月の表面から、デビル星が離脱する。

ジョーカーは、太ったペガサスに変身すると、ツトムを背中に乗せ飛び上がる。

やがて、エスカルゴンは、その皮膚が脆弱な事が分かると、ドリルになったクイーンが、ずたずたに切り裂いて行く。

すると、エスカルゴンは、なめくじのように溶けてしまうのだった。

ツトムから、今回の働きを誉められたジョーカーは、赤くなって、つい後ろにあったメカに体をぶつけてしまう。

実はそれは、デビル星のコントローラーだったので、デビル星の動きが止まってしまった。

月から安全圏までの脱出が不可能と分かったゴルゴスは、自分だけ指令カプセルに乗り込むと、デビル星からの脱出を計る。

それを見たツトムは「ライナーGO!」と叫び、ライナー号を合体させると、操縦席に乗り込み、追跡を開始する。

月のクレーターの隙間を複雑な動きをしながら逃げ回る指令カプセルを追う内に、ライナー号操縦席の電子頭脳の能力範囲を超えた赤ランプが転倒する。

コンソールから操縦桿がせり出して来たので、それをしっかり握りしめたツトムは、「良し!後は僕がやる」と叫ぶと、操縦を始める。

透視能力を使って、逃げる指令カプセルの内部を調べてみると、中にタイムスイッチがあり、残り時間は、後50秒しかない事が分かる。

逃げ回っていた指令カプセルは、やがて操縦を過ったのか、岩と岩の間に挟まり動きが取れなくなってしまう。

それを見たツトムは、ライナー号で体当たりして行く。

3分の1秒を残して、タイムスイッチは止まった。

残っていたデビル星人たちは、みな溶け出してしまう。

ツトムは地球を守ったのだ。

「パパ、僕やったよ…、見てくれたね」地球を見上げながらそう呟くツトム。

地球に帰還途中だったライナー号は、近づいて来る全地球軍の小型ロケットの大軍と出会う。

ライナー号からロケット隊へ、後の処理を託したツトムは、地球へと戻るのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼


「超人・バロム1」「変身忍者・嵐」「仮面ライダー対じごく大使」「国松さまのお通りだい」「魔法使いチャッピー」などと一緒に、東映まんがまつりの一本として公開された、上映時間50分の中編作品。

「キャシャーン」の「フレンダ−」の原型、笹川ひろし氏原作「魔犬五郎」をアニメ映画化したもの。

何にでも変身できる子犬のジョーカーの声は曽我町子。

同じく彼女が声をやっていた「サイボーグ009」の007グレート・ブリテンと同じ、コメディリリーフ的な役割のキャラクターで、劇中、2号ライダーの変身ポーズを披露したりする所から、変身ブーム真っ最中の作品と分かる。

作品中、ヒロインはおろか、女性キャラがほとんど登場しない(雨の日、公園で死んだ犬たちを思い出していたツトムとすれ違う赤い傘の女性通行人くらい)と言う、典型的な60年代少年マンガのイメージで、話はかなり直線的。

ナレーション(小林修)が、ほとんど状況を説明してばかりで、異常に話の展開が早いのも特長。

全体的に詰め込み過ぎ、急ぎ過ぎの観は否めず、やや大味な印象がないではないが、まんがまつりの一本としては十分に楽しめる内容だったと思う。