1948年、三幸映画社、仁間七呂画、オーフジ・ノブロー(大藤信郎)監督作品。
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歌に合わせて、小姓風の子供と、町人風の頭(額)の長い男が一緒に旅をしている。
とある山道に来た町人が石に躓いたので、思わずその石を足で蹴り飛ばすと、その小石は、近くの草むらの中にいた小熊の頭に当り、コブをこしらえた小熊は泣きながら家に帰っていく。
小姓は、そんな事は知らず、困っていた蛙を助けたりしていた。
そんな事には全く気付いていない長い頭の町人は、先を歩いていた小姓に、疲れたと不平を言い、身体に紐を結わえて引っ張ってもらう横柄さ。
小熊が泣きながら帰って来たのを見た母熊は、子守唄など唄ってあやそうとする。
その頃、身体を紐で繋いだ小姓と長い頭の町人は、一緒に山を這い登っていた。
その様子を岩陰から覗いていた小熊は、母熊に、あの二人がやったんだと教える。
その時、長い頭の町人は、紐が外れ、山の下に滑り落ちてしまう。
その町人が水が欲しいと言うので、小姓は仕方なく、川に水を汲みに行く事にする。
すると、そこに母熊が出現する。
それを見た町民は、慌てて木に登り難を逃れる。
小姓は、崖にかかった橋を渡るが、何とその橋だと思ったものは、大蛇だった。
熊は、崖の向こう岸を手繰り寄せてしまう。
川の流れの中の岩伝いに小姓が逃げようとすると、その岩と思っていたものは、亀の背中だった。
あれやこれやで、熊から逃げ続けた小姓は、危うく崖から落ちそうになりかかる。
すると、先ほど助けた蛙が、「恭平さん、熊は死んだ振りをすると食べないらしいですよ」と教えてくれる。
小姓は、すぐさま地面に横になり死んだ振りをする。
近づいて来た母熊は、横たわっている小姓を怪んで、足の裏をくすぐってみたりする。
そこに小熊が駆け寄って来て、食べさせて〜と甘えるが、母熊は、死んだものなんか食べるとポンポンを壊すから、生きたものを探しに生きましょうと言い、小熊を肩車すると、その場を去って行く。
難を逃れた事を知った長い頭の町人が木から降りて来て、恭平ちゃん良かったねと近づいて来るが、小姓は、友達が危険な時、見捨てる奴などと一緒に旅は出来ないよと言い、さっさと一人で歩き始める。
その後を、長い頭の町人が泣きながら付いて行くのだった。
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今になお、大藤信郎賞と言う権威あるアニメ賞に名前を残す大藤信郎のアニメ。
一見、杉浦茂のキャラクターにも似た、かなりデフォルメされた人間キャラクター二人に、熊や蛙などの動物キャらが絡む短編。
リアルタッチの影絵技法で有名な「くじら」などとは全く違った画風で、タイトルで作者の名前に気付かなければ、別人の作品と見間違うほどの内容。
ちょっとバタ臭いキャラクターと、時代劇風の設定が面白い。
恭平ちゃんと呼ばれている小姓風の子供が、花吹雪が舞散る中、歌に合わせて歩いている様などは、和風とも西洋風とも付かない、ちょっとシュールで独特な印象を受けたりする。
熊が、崖の向こう岸を手で手繰り寄せたりなどと言うナンセンス表現も楽しい。
テンポなどはやはり時代を感じさせ、のんびりした感じだが、全体としては「友達」の意味を考えさせたりもする、幼児向けの楽しい作品になっていると思う。
