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博徒七人

1966年、東映京都、笠原和夫脚本、小沢茂弘監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

沖の島の近くの港町。

小田原で殺された万清親分の仇を討つために、宿敵、片目の柏木半次郎(鶴田浩二)を待ち伏せていたのは、背中に墓石が彫ってあるやくざの男とその仲間。

しかし、半次郎は、あっさり突きかかって来た二人を倒し、相手が落としたドスを2本拾い上げる。

その半次郎に拳銃を突き付けて来たのは、片腕の鉄砲松(藤山寛美)、どうやら殺された二人の助っ人らしい。

鉄砲松は、半次郎がくわえていたタバコを撃ち落としてみせるが、それに顔色一つ変えなかった半次郎を見て、折り入って相談があると言い出す。

度胸に惚れたので、兄弟分の盃をやらんかと言うのである。

半次郎の度胸と、自分の頭の良さで、どえらい事をやらないかと誘い掛けて来るが、半次郎は、盃ごとは一切やらないと拒絶する。

それを聞いた鉄砲松、後へは引けぬと、五分の勝負行こうか?と花札を投げ付ける。

その頃、片足で名古屋弁の一貫(山本麟一)と盲目の按摩で博多弁の猪の勝(待田京介)は、飲み放題の酒をたらふく飲んだ後、店の女から、二人にお願いがあると厄介ごとを頼み込まれ、困っていた。

一方、宿に上がり込んだ半次郎と鉄砲松も、お澄(桜町弘子)と言う女から、沖の島の井戸政一家が、借金の落とし前を付けに来るので、自分の用心棒になってくれないかと、しなだれかかられていた。

しかし、半次郎が妙な色気より金を要求すると、お澄は、金は持ってないのでと言いながら、母親の形見の指輪を差し出すと、明日の朝、又来る。仕事として割切っていると言い残して帰る。

半次郎は鉄砲松に、先ほど殺した相手から拾い上げたドスを見せ、こいつらの供養をしてやりたいと言う。

ドスの一本には、「沖の島 岩蔵」の名が彫ってあったのだ。

そこに、ついさっき話に出たばかりの、井戸政の辰と名乗る男が入って来て、二人の力を借りたい、4〜5日、沖の島へ渡るつもりはないかと聞いて来る。

鉄砲松は、50円出すと言う辰の誘いに、自分は金に興味がないのでと断わるが、半次郎はその話に乗る事にする。

辰が帰って行った後、鉄砲松は、形見の指輪を売る訳には行かないので、自分はお澄の話に乗ると言い出す。

翌朝、船着き場に出向いた半次郎は、一足先に到着していた鉄砲松と出会う。

お澄との約束は止めたのだと言い、井戸政組の三寸留(汐路章)と、ちょっと言い争いになる。

船には、「井戸政石材会社」と名前が入っていたが、そこにドクトル(西村章)も乗り込む。

その船には、あの一貫と勝も乗り込んでおり、二人とも用心棒を引き受けたのだと言うが、互いに罵りあっている。

そんな連中に呆れたように、ドクトルが、お前ら、殺し屋だろうが!と毒づく。

ドクトルが言うには、すでに、6人が島に渡ったが、兵隊安の手にかかって、皆、墓に入ったらしい。

しかし、口が滑り過ぎたと感じたのか、すぐに、嘘やとごまかすドクトル。

やがて、沖の島が見えて来る。

その頃、ドクトルの話に出て来た兵隊安(大木実)は、石兼の山に忍び込み、ダイナマイトを仕掛けている井戸政の子分三人を見つけ、叩きのめしていた。

一方、井戸政(金子信雄)本人は、ライバル関係にある石兼(佐々木孝丸)の事務所にやって来て、そちらの山を売れと説得に来ていた。

そこへ、兵隊安が帰って来て、お前の所の三人、忘れるなと嫌味を言う。

井戸政は、そのまま帰る事にするが、島に到着した半次郎は、井戸政組から虐められているドクトルを助けた代わりに、岩蔵と言う男を知らないかと尋ねるが、ドクトルは知るもんか!ヤクザなんてと吐き捨てて立ち去る。

井戸政の家に案内された半次郎たちが、部屋で休んでいると、いきなり襖が明き、井戸政の子分たちが殴り込んで来る。

半次郎たちが応戦しようとすると、そこに井戸政が入って来て、いたずらだ、気にせんでくれと取りなす。

どうやら、用心棒たちの腕試しをしたようだった。

井戸政は子分の常吉(関山耕司)に、島の飲み屋「突撃亭」に用心棒たちを連れて行き、遊ばせるように命ずる。

飲み屋では、一貫と勝が花札をしはじめ、勝った方が、酌をしていた店の女加代(松尾嘉代)を抱こうと勝手な約束、そこへ鉄砲松も加えてくれと参加して来る。

そんな連中を他所に、加代は、半次郎に助けを求めるように寄り添うので、一貫たちはいきり立つ始末。

そこへ、ドクトルがふらりとやって来て、岩蔵を一度手術した事があると半次郎に告げて、その実家に連れて行ってやる。

岩蔵の実家は貧しい暮らし振りのようで、娘が出て来て、岩蔵は、自分に子供を産ませた後、島を出て行ってしまった。今、その子供は、岩蔵の兄に育てられていると言う。

その兄、銀蔵(遠藤辰雄)を玄関に呼んでもらった半次郎は、弟、岩蔵のドスと金を渡し、これで供養をしてもらいたいと申し出るが、誰があんなバカ供養するか!と取りつく島もない。

家屋敷まで売り払い、自分や子供のミツ子をこんな生活に追い込んだのはあいつのおかげだと言う。

心の底から、ヤクザものを嫌っている様子だった。

そこを後にした半次郎は、偶然、井戸政の子分たち三人を、軍刀で斬っている現場に出くわす。

その時、今出て来たばかりの岩蔵の実家が大爆発を起こす。

半次郎は、焼けている家の中に飛び込み、ミツ子を救出する。

兵隊安の元にやって来た石兼は、爆発で民家が三軒焼けたと報告する。

兵隊安は、トロッコ道も壊されると返答する。

そこにやって来たのがお澄で、役所で山の採掘権を調べて来た後、用心棒を探したのだが…と言う。

彼女は、石兼の娘だったのだ。

兵隊安は、お澄の指に指輪がない事に気付き、片目の男に会った事を打ち明ける。

診療所で、ミツ子の治療をしていたドクトルから、半次郎は石兼側の用心棒だと聞かされた銀蔵は、今度は素直に渡された金を素直に受取る。

半次郎はようやく、この島に来た甲斐があったと安心する。

その後、半次郎はお澄と出会うが、お澄は、用意して来た金を支払い、預けていた指輪を返してくれと言う。

しかし、その指輪は、いつの間にか、飲み屋の加代の指にはまっていた。

鉄砲松が、加代に求婚しながら、自分の母親の形見と偽って、、勝手に贈っていたのだ。

そこにやって来た半次郎、加代の指輪を見るや、鉄砲松を外に呼出し、今、お澄に会って来たと話す。

そこに、井戸政の子分が、親分が呼んでいるとやって来る。

井戸政は、石兼が石材会社を勝手に作って俺の所にもちょっかいを出して来た。その用心棒をやっている兵隊安を倒して欲しいと、これまでの経緯を説明し、仕事を依頼するが、鉄砲松や一貫、勝も断わるので、支度金の他にこれを渡すと、札束を目の前の積み上げる。

さすがに、それを見た一貫と勝は、互いに手を組んで、儲けは山分けにしようと、外でこっそり打ち明けあっていたが、それを盗み聞いていた鉄砲松も、3人でやろうと乗って来るが、そこに抜け駆けか?と言いながら、半次郎が近づいて来る。

半次郎は、鉄砲松が、謝礼金で加代の身請けをするつもりなのを見抜いていた。

そして、半次郎は、この仕事は自分にやらせて欲しいと言い出す。

軍刀を持った兵隊安の元にやって来た半次郎は、罪のない人を傷つけるなと警告する。

二人は対決するが、それを止めたのは、ライフルを構えたお澄だった。

兵隊安は、自分の負けだと認めるが、お澄が言うには、石帳場を乗っ取ろうとしているのは、井戸政の方なのであり、こちらに採掘権があるのは役所でも認めている。

自分達の力になってくれないかと、聞かされた半次郎は、きれいにカタ付けて来ると二人に言い、井戸政の元に戻る。

井戸政の元に帰って来た半次郎は、カタを付けて来たので、金を渡せと報告する。

鉄砲松らもやって来たので、兵隊安は、もう二度と乱暴はしないと男の約束をしたと半次郎が言うと、そんなカタの付け方では金は渡されんと井戸政は怒り出す。

その時、目の前に積んでいた札束に、勝が吹いた含み針が突き刺さる。

半次郎は、自分は義理を果たしたので抜けるが、この三人は残しておくと言い、鉄砲松に、良く井戸政一家の動きを見張っておくように命じて、その場を去る。

その後、行き場所を失った半次郎が向った先は、ドクトルの家だった。

ドクトルは、迷惑そうな顔をしながらも、半次郎が骨のある奴だと分かり、居候を許す事になる。

その後も、石切り場では、井戸政一家が口が不自由な人夫、五郎(山城新伍)がミスをしたと、過酷な仕打ちをしていた。

それを止めようと、謝るのは、五郎の実の兄で、元ばくち打ちの弥吉(小松方正)だった。

それを犯行を解釈した井戸政の子分たちが、五郎に自分達とさしで勝負をしろと言い出したので、弥吉は後悔する。

五郎は、得意の鎖鎌で戦いはじめる。

その頃、井戸政から金を受取った鉄砲松は、加代の所に駆け付け、その金300円を渡した後、一貫と勝に金を渡して来ると去ろうとするので、加代は心から感謝するのだった。

だが、身請け金としては、後25円足りなかった。

そこに、三寸留が呼びに来る。

人夫たちは、タコ部屋に押し込められていた。

弥吉と五郎は、このままでは死にきれない。何とか、死に花を咲かせたいと相談しあい、そのタコ部屋から脱出する。

その前に立ちふさがったのが、井戸政一家から命じられてやって来た用心棒三人。

五郎は、一貫を鎖鎌で転ばせる。

弥吉が、大ジャンプをすると、鉄砲松が鉄砲を撃つ。

しかし、そこにやって来た井戸政は、逃げようとした兄弟が、思いのほか強いのを知ると、自分に命預けてくれと言い出した後、常吉に、二人を放してやるよう命ずるのだった。

かよが石兼の指輪をしており、半次郎がドクトルの所にいるとの報告を三寸留から受けた井戸政は、用心棒として残っていた三人をお払い箱にし、代わりに、弥吉と五郎兄弟を雇う事にする。

いきなり宿無しになった一貫と勝は、軒下で雨宿りをする事になるが、鉄砲松はかよの所で酒を飲んでいた。

そんなかよの店に彼女がはめている指輪を取りに来た留は、ドクトルに手紙を渡しに行けば、借金の25円を棒引きにしてやると申し出るのだった。

半次郎、ミツ子、銀蔵、ドクトルたちが、岩蔵の墓参りをしていたその頃、かよから奪い取った指輪を手にした井戸政は、兵隊安に会いに行き、その指輪を見せると、これは、石兼の娘から、半次郎が結婚すると女郎屋でもらったものだそうだと嘘を付いて、相手の嫉妬心を煽った上で、今後、お前とお澄で、石切り場を仕切ったらどうかと甘い誘いを持ちかけていた。

それを聞いた安は、こいつのケリは俺がつけると言い、白馬に跨がると半次郎に会いに行こうとする。

それを見たお澄が、どこに行くのかと聞くと、半次郎と勝負しに行く、負けたくないと答えた後、井戸政から預かった指輪を渡しながら、あいつに惚れてたんですね。自分はお嬢さんを取られたくないと言うなり走り出す。

留から手紙を預かったかよは、ドクトルの診療所にやって来るが、誰もいない。

そこに、墓参りから戻って来たドクトル、ミツ子、半次郎が現れたので、かよは、ドクトルに手紙を渡す。

その手紙には「突撃亭で待つ 安」と書かれてあった。

その突撃亭に、兵隊安は到着していた。

こちらも、井戸政から、そこに半次郎がいると聞かされていたからだった。

しかし、そこにいたのは鉄砲松だった。

松と戦い、相手に怪我を追わせた兵隊安は、半次郎に岬の山で待っていると言えと言い残して去って行く。

そこにやって来た半次郎に、松は、兵隊安にやられたと伝える。

そこにいた常吉からも、この始末はどうしてくれると詰め寄られた半次郎は、兵隊安の待つ岬の山に向い、どうして約束を破った?と安に問いかけながらドスを抜く。

二人は戦うが、半次郎が安の首を斬って、勝負は決着する。

お澄さんを取られたくなかった。お嬢さんはお前に惚れていたんだ。指輪で分かったと呟く安の身体を抱える半次郎。

その側では、自分がしでかした行動の結果に後悔したかよが、松と一緒になりたいばっかりに…と泣いていた。

瀕死の安は、石兼の親分が危ないと半次郎に託す。

その頃、石兼の家の近くにやって来ていた井戸政は、弥吉と五郎、そして連れて来た子分たちに、抜かりのないように念を押していた。

半次郎は、兵隊安の遺品となった軍刀を、お澄に渡す。

一方、石兼邸に侵入する弥吉と五郎。

石兼邸に近づいた半次郎は、中から猟銃の発砲音を聞き、中に駆け込むと、すでに石兼は息絶えていた。

屋敷の中で半次郎の姿を見た弥吉は、房州一家の?と聞いて来る。

二人は昔の顔なじみだったのである。

そんな屋敷内に、外からダイナマイトが投げ込まれて来る。

井戸政は、最初から弥吉兄弟を殺すつもりだったのだ。

必死に逃げる三人だったが、五郎が足をやられ、息も絶え絶えとなる。

弥吉は、自分達が取った行動を半次郎に謝罪するが、そんな中、五郎は死んでしまう。

屋敷を逃れ、兵隊安を埋めた場所に軍刀を立てていたお澄の元へやって来た半次郎は、兵隊安はあんたに惚れていたと教える。

お澄は、指輪を安の眠る土の中に埋めてやるのだった。

それを見た半次郎は、それで兵隊安も浮かばれるだろう。俺は親方の仇を取って来る。それがせめてもの俺の罪滅ぼしだ…と言い残し、その場を立ち去る。

その頃、石兼の石切り場を占拠した井戸政は、子分たちに、相手はまだ生きているから油断するなと言い聞かせていた。

井戸政が石兼の石切り場を取ったとドクトルから聞かされた鉄砲松は、怪我を押して半次郎を捜しに行く事にし、かよに腹帯を巻かせる。

半次郎と同じ場所で死にたいと言うのだ。

その後、帰りに船に乗ろうとしていた一貫と勝は、かよから松が殴り込みに行ったと聞かされ、自分達も加勢に行く決意をする。

やがて、井戸政が支配する石切り場に、半次郎がやって来る。

さらに、鉄砲松と、一貫、勝、そして弥吉もやって来る。

形勢不利と見た井戸政は逃げ出すが、その子分たちは猟銃を撃って来る。

鉄砲松は拳銃で応戦し、子分たちを倒す。

一方、勝は、足の悪い一貫を肩車して背負うと、一貫が目の代わりをして、二人一緒に戦い始める。

半次郎は三寸留を倒す。

そんな中、弥吉は銃撃に倒れてしまう。

その騒ぎを知った島の警察は、本土に救援の電報を打電する。

同じく、騒ぎを聞いたドクトルは、ミツ子に忙しくなるぞと呟いていた。

水際に、井戸政を追い詰めた半次郎。その様子を松は見ていた。

井戸政は海の中に落ちていた杙を拾うと、それで半次郎に向って来るが、半次郎は、それを斬って、井戸政を刺し殺す。

そこに、鉄砲松、一貫、勝が駆け付けて来る。

見ると、沖合いから、警官隊が乗った船が近づいて来るではないか。

半次郎、鉄砲松、一貫、勝は、近くの船に乗り込むと、さっさと島を後にする。

それを砂浜から見送るお澄は、彼らに「ありがとう」と感謝の言葉を投げかけるのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

登場する主要な仁侠たちが、全員、身体的ハンデを持っていると言う突拍子もない設定の物語。

一見、陰湿そうな展開になるのでは?と想像されがちだが、実際に観てみると、からっとした明解な活劇になっている。

仁侠ものと言うより、むしろ、子供向けの戦隊ものや、近年のアメコミヒーローもののような印象に近いと言った方が良いだろう。

実際、小松方正の動きなど、ワイヤーを使った人間離れした動きを見せるし、一貫を背負う勝の姿など、完全にロボットの合体技である。

特技を持ったヒーローたちが集結して、個々のハンデを克服しながら敵を倒す…と言うパターンは、荒唐無稽ながらも分かりやすく、子供から大人まで理解できるシンプルな面白さと痛快さを兼ね備えている。

何よりも、ハンデを背負った登場人物たちが、皆、底抜けに明るい性格に描かれている事が成功の秘訣だと思う。

ライバルになる兵隊安だけ、ちょっと屈折した性格に描かれているが、それでも、観客が感情移入しやすい豪快な好人物という風に描かれているので、全体的に嫌味がない。

博多弁をしゃべり、ひょうきんなキャラクターを演じている待田京介や、一切ギャグを言わず、シリアスな演技に徹している山城新伍などが、この時代としてはちょっと珍しいと思える以外は、大体、いつものイメージ通りの役柄を演じている。

「お尋ね者七人」と言う続編まで作られたと言う事からも明らかなように、本作は公開当時、大好評だったらしい。

確かに、今観ても、その面白さは全く色褪せていないと思う。