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バクダット姫[最長版]

1948年、三幸映画社、若林敏郎原作、芦田宏昌脚本、芦田巌監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

アラビア砂漠一と言われたバグダッドと言う都があった。

その都を司るバグダッド王は、広い領土と権力を合わせ持ち、民衆の信任を得ていたが、ただ一つの悩みは、娘の婿が見つからない事だった。

どのような見合い話を持って行っても断わられて来た王は、その日も、新しい見合い相手の写真を持って、姫の部屋の様子をうかがいに行く。

美しい姫は、部屋の中で一人で唄っていた。

すると、庭の花が、その歌声に誘われるように開いて行く。

王は、部屋の中に入り、そんな姫に見合い写真を見せる。

武力に優れ、野心に溢れたモンゴール王子の写真であった。

モンゴール王子は、飛んでいる蠅を一瞬にして真っ二つに斬るほどの剣の腕を持ち、アラビア一のじゃじゃ馬さえもすぐに乗りこなす技術を持っていた。

そんな馬に乗って砂漠に出てみた王子は、4頭のライオンの群れに遭遇するが、少しも恐れず、大きなくしゃみの勢いで、ライオンたちを吹き飛ばすほどの胆力を持っていた。

そんな説明を聞いていたペットのオウムは、心配げに姫の顔を見やる。

相変わらず、反応がない事に気付いた王は、さらに大食漢で知られるペルシャ王子の写真を取り出してみせる。

大富豪のペルシャ王子は、美食家、健啖家としても知られる一方、大きな宝の箱を二つも所有していた。

人は、自分の事を金の亡者と陰口を叩いたりするが、金がなくて何ができる?と言いながら、ペルシャ王子は、金撒き祭りじゃ!と叫びながら、民衆に向って金をばらまきはじめる。

それを聞きながら、オウムは、いくら姫に見合いを勧めてみても、姫には他に好きな人がいるのですと説明する。

それは、緑の国のアーメット王子と言った。

かつて、馬に跨がり旅をしていたアーメット王子は、バグダッドに到着した時、南国の風に吹かれて、馬上で眠りこけていた。

そんな王子を乗せた馬は、バグダッド王の城の中庭に彷徨い込むと、王子を池の中に落としてしまう。

それをベランダから目撃していた姫とオウムは、思わずおかしくて笑い出す。

アーメットの方は、そんな姫の美しさに一目惚れし、庭に咲いていたバラを一輪取ると、それをベランダの姫に投げるのだった。

バラの花の中からキューピッドが出現する。

その話を聞いた王は、持っていた見合い写真を捨て、予言者の元へと向う。

姫にとって、一番ふさわしい婿を占ってもらうためだった。

予言者は、世にも希なる魔力を秘めると言う象牙の小箱を持ち帰ったものこそ、婿にふさわしいと予言する。

ただし、その小箱を手に入れるまでには、三つの難関が待ち受けていると言うのだ。

暗雲の中から悪魔が飛び出して来て、木の廻りで踊る様子。

恐竜が火を吹く様子。

その話を聞いたモンゴール王子とペルシャ王子は、すぐさま小箱を手に入れる旅に出発することに同意する。

しかし、アーメット王子だけは、のんびりと構え、「♪金や力じゃままならぬ〜」とバグダッド城の中で唄いはじめる始末。

そんなアーメット王子の影と、血気に逸るモンゴール王子の影が巨大化して戦ったりする。

かくして、まず、モンゴール王子率いる部隊とペルシャ王子率いる部隊が出発する。

それを見ていた、アーメットの馬とオウムは心配する。

その頃、姫の部屋で別れを惜しんでいたアーメット王子は、ベランダから外に飛び下りると、その下に駆け付けて来た馬に跨がって、ようやく出発するのだった。

先立っていたモンゴール王子の一行の前に、突如、暗雲の渦巻きが発生し、そこから多数の悪魔が現れる。

しかしモングール王子は怯まず、悪魔たちにに対して槍を投付け、突撃を開始する。

悪魔たちは、そんなモンゴール王子を念力で空中に浮かばせたり、馬を転ばせたりし、最後には、部隊全体を遠くまで吹き飛ばしてしまう。

モンゴール王子の一行は、後からやって来ていたペルシャ王子の一行の上に墜落する。

モンゴール王子は、そこで作戦を転換し、ペルシャ王子を脅しつけ、仲間に引き入れると、二つの部隊をまとめて、バグダッドへ向って転進しはじめる。

武力で、バグダッドの国と姫を、一挙に強奪する事にしたのである。

そんな相談をしていた二人の部隊を飛び越えて、前進したのがアーメット王子。

もちろん、モンゴールの企みなど気付くはずもない。

やがて、アーメット王子は、立ちふさがっていた巨大な悪魔にぶつかり、気が付くと6人の悪魔たちに取り囲まれていた。

悪魔たちが、王子をからかうように周囲を踊り始めたので、アーメットはそこから逃げ出そうとするが、石に躓いて転んでしまい、又、火の玉に囲まれてしまう。

地面はひび割れ、その下から地獄の炎が吹き出して来る。

やがて、その炎に取り巻かれた一本の道ができたので、アーメット王子はそこを走る。

すると、さらに炎の渦巻きが出現、巨大な恐竜が出現する。

アーメット王子は、その恐竜の頭に飛び乗ると、そこでバイオリンを奏ではじめる。

すると、凶暴だった恐竜はにわかにうっとりと聞き惚れはじめる。

やがて、王子の目の前に祠が見えて来る。

その祠の中に安置された仏像の手に象牙の小箱があるではないか。

ついに、アーメット王子は、目指す魔力を持った小箱を発見したのだ。

アーメットが、その小箱を開けてみると、中にバグダッドの様子が映し出される。

姫の待つバグダッドの都では、戻って来たモンゴール王子が、ペルシャ王子の部隊も併合して、一気に城攻めを開始していたのだった。

バグダッド王は捕らわれ、柱に縛られ、姫は泣いていた。

それを見たアーメット王子は、これは一大事と叫ぶ。

すると、小箱の中から一頭の天馬が出現する。

アーメット王子が跨がった天馬は、雲海を飛び越え、一路、バグダッドを目指す。

その頃、バグダッド城では、モンゴールが部下から、敵は全員、武装解除したと報告を受けていた。

モンゴールは、縛られた王に降伏を迫り、姫にも自分との結婚を命ずる。

アーメット王子の乗った天馬は、バグダッドに近づいていたが、モンゴールは、言う事を聞こうとしない姫を、可愛さあまって憎さ百倍と言いながら、窓際に追い詰めていた。

バグダッド城の上空に差し掛かったアーメット王子は、持って来た小箱の中から、粉のようなものを地上に撒きはじめる。

すると、その粉のようなものは、一つ一つ兵隊の姿になり、地上に降り立つ。

魔法の軍隊の出現だった。

地上にいたモンゴール、ペルシャ混合軍は、空から降り立って来るこの魔法の軍隊に対し、一斉に弓を射て対抗するが、魔法の軍隊は無傷のまま、地上軍に襲いかかる。

地上軍はさすがにたまらず、城の中に逃げ込む。

中庭に、姫を追い詰めていたモンゴールの前に、アーメットがやって来る。

二人は剣を交えあい、その様はさながら竜虎の戦い。

一方、城に逃げ込もうとしていたモンゴール軍は、全員お堀に落ちてしまう。

姫は、捕縛を解いた王に、城下の魔法の兵の戦い振りを見せる。

アーメット王子は、何時の間にか室内で戦っていたモンゴール王子を、窓から突き落としてしまう。

モンゴールは川に落ち、そのまま下流に流されて行ってしまう。

ウエディングマーチが鳴り渡り、バグダッド城の中では、アーメット王子と姫の婚礼が始まる。

二人は、天馬に跨がると、そのまま空中に飛び上がり、月の世界に旅立つのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

以前にも、この作品は観た覚えがあるのだが、今回は「最長版」と言う事で、部分部分、見覚えのないシーンもあったように思う。

アラビアンナイト風のキャラクターで、「かぐや姫」の話を再現したかのような雰囲気になっている。

48分と言う上映時間であるから、それなりに見ごたえのある作品になっている。

主人公のアーメットが、欲望に無頓着風なのんきなキャラクターになっている所が楽しい。

ヒロインの姫は、どことなくベティ・ブープ風。

全体的に、海外アニメでも観ているようなバタ臭さがある。

音楽を担当しているのは、服部良一である。