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100発100中 黄金の眼

1968年、東宝、都筑道夫+小川英脚本、福田純脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

ベイルートの山崖を、必死に逃げる日本人男(堺左千夫)

スタッフロール

逃げる男の後ろから、ヘリが近づく。

ヘリに乗っていた黒川(土屋嘉男)は、窓からロープのついた碇を投げ下ろし、逃げる男に迫る。

ヘリから吊り下がった碇は、崖っぷちに追い詰められた男の背中を貫き、そのまま男の死骸はヘリに吊り上げられて飛び去って行く。

タイトル

凶暴そうな犬が控えているとある部屋で、謎のボスから、殺した男が探していたブツを持っていなかった失態を追求されているのは黒川だった。

ボスは、東京にあった金密輸のシンジケートをメチャメチャにしたのも黒川の責任だと責める。

汗を拭きながら、黒川は、殺した男はブツを誰かに渡したに違いなく、まだそれはベイルートから外ヘ出ていないはずだと必死に弁解する。

ボスはさらに、男の死骸をホテルの屋上に落下させてしまったため、ベイルート警察が事件を追いはじめただけではなく、君を追って日本からも敏腕刑事が来ていると黒川を怯えさすのだった。

警視庁の手塚刑事(佐藤允)は、とあるホテルの一室を訪ね、日本人が泊まっているはずだとボーイに聞くが、今外出中だと言われる。

その頃、アンドリュー星野(宝田明)は、ベイルート市内の射的場で、動く的をことごとく撃ち抜いていた。

その近くの道では、一人の混血の女の子(桜井万里)が、怪しげな外国人男性の背後から忍び寄り、小枝を銃に見立てて背中に押し付けていたが、男は待合せの彼女が来ると、そんな少女のいたずらには気付かず、すぐに立ち去ってしまったので、少女はがっかりする。

しかし、その後、射的場で全部の的を撃ち抜き、呆れた様子の店主から、熊野大きなヌイグルミをせしめた星野の姿を発見する。

店を出たところで、その少女に気付いた星野は、今もらったばかりのヌイグルミを少女にプレゼントする。

そんな星野の様子を、群集の中から花束を持って見ていたのが黒川。

星野はその後、高価そうなカフスボタンを物色していたが、ママへのお土産だと言うと、相手をしていた店主は呆れてしまう。

黒川は、偶然通りかかった日本人女性に頼みがあると近づく。

その後、星野に「あなた、殺し屋じゃない?」と声をかけて来たのは、先ほどの少女だった。

少女が言うには、パパを殺した人を殺して欲しいらしい。

パパは、お金持ちの運転手をしていたと言う話を聞いた星野は、ホテルの屋上に死体が落下した事件の事だと気付く。

少女は、でもお金はこれだけしか持ってないと、パパが死んだ朝渡してくれたと言う1ドル銀貨を出してみせるのだった。

警察に頼めば?と言う星野のアドバイスには、パパは黒い日本人を怖がっていたので、話せないのだと言う。

そこに、先ほど、黒川から花束を預かった女斎藤ミツコ(沢知美)が入って来る。

星野は、その花束には爆弾が仕掛けられていると気付き、危ないと叫んで外に飛び出すが、それを待っていたかのように、怪しい現地人二人に両脇を取られ、銃を突き付けられてしまう。

しかし、その直後、星野はばったり顔なじみの手塚刑事と出くわし、彼が同行していたベイルート警察のカシム警部(ジャラール・アーメット)も紹介されたので、難を逃れる事になる。

その後、謎のボスは、またもや失敗した黒川を責め、仲間のハッサン(桐野洋雄)と、ロンドンから呼び寄せたと言う謎の美女ルビー(前田美波里)を紹介する。

ルビーは、星野と手塚は、2年前、フィリピンで起きた事件で協力した仲らしく、星野と言うのは、インタポールの腕利きらしいと報告した後、ナイフ投げの特技をさり気なく披露するのだった。

星野、手塚らと共に、少女の父親の墓参りにやって来たミツコは、同じく同行して来たカシム警部に、日本で開催されるラリーに出場したいので、早く解放してくれと頼んでいた。

一方、少女から銀貨を受取った星野は、1ドルでも客は客…と、独り言を呟いていたが、バカンスで当地を訪れただけだと説明する彼に、君は「ママ」と言う組織の一員なのだろう?まさか、金の密輸に関係していないだろうな?と、手塚が怪んでいる聞いて来るので、はぐらかしてその場を立ち去ろうとする。

その時、崖の向こうから、乳母車を押す黒衣をまとった女性がゾロゾロと近づいて来るのを発見する。

この近くに保育園などないはずだが…と怪しんでいると、突如、その乳母車の中から機関銃が出現し、崖の上から一斉に、女に化けた男たちが銃撃を始める。

星野と手塚は、持っていた拳銃で応戦を始める。

敵は、手榴弾も投げて来る。

星野は、撃たれて崖から落下した敵の機関銃を奪い取ると、それを空中に投付け、近くにいた手塚にも同じようにしろと目で合図をすると同時に、それを目掛けて拳銃を撃つと、機関銃は空中で暴発をはじめ、崖上の敵を次々と撃ち殺して行く。

ベイルート警察に戻って来た手塚は、観光客と言いながら、こんなすごい銃を持っており、あんなすごい射撃の技を使えるのは何故だ?パリから黒川を消しに来たのではないか?と星野を尋問する。

さらに、あの斎藤ミツコと言う女は、ラスベガスでちょっと唄っていた事もあるらしいが、ラリー好きなチンピラ歌手に過ぎないとも教える。

そこへ、当のミツコが入って来て、良いスポンサーを探して、一緒に日本のラリーに出てみないかと星野を誘うのだった。

カシム警部は、先ほどの襲撃犯たちは、密輸グループの連中だったと手塚や星野に教える。

そんな署内に、ユーロピアンエクスプレスの記者を名乗るルビーがやって来て、ルポを書きたいので取材に応じてくれと、星野の写真をいきなりにも撮影しはじめる。

星野は、ルビーのカメラを払い落とすと、中のネガフイルムを取り出してしまう。

ホテルに戻って来た星野は、ドアの下から漏れる部屋の明かりに動きを察知したので、用心深くドアを開けると見せ掛けて、ドアの隙間に潜んでいたボーイを叩き付ける。

激しく格闘し、鏡にその顔を叩き付けた星野は、気絶したかに見えたボーイを抱き起こして口を割らそうとするが、すでにボーイは自ら口の中に仕掛けられていた毒を飲んで死亡していた。

その直後、手塚刑事から電話が入り、変装した黒川が日本に飛び立ったと報告して来る。

機上の黒川は、度重なる失敗の結果、運び屋に格下げされており、日本にいるハッサンの兄と組んで、シンジケートの建て直すよう命ぜられたボスの言葉を、いまいましそうに思い出していた。

その頃、当のボスは、ルビーとハッサンにも、日本へ向いサマンタゴールドを奪い返せと命じて去らせた後、ペットのシンバッドと言う犬に向って、あの二人に任せておけるかな?と自問自答していた。

ミツコ、星野、手塚が同乗した日本行き旅客機の機内には、ハッサンとルビーも乗り込んでいた。

日本に到着し、ミツコとホテルの同部屋に落ち着いた星野は、先にバスルームに行ったミツコが、いきなり悲鳴を挙げて抱きついて来たので、何事かと様子を見に行くと、バスタブの中に横たわったハッサンの死体を発見する。

その胸にはナイフが突き刺さり、死後間もないようだった。

すぐさま警察へ電話しようとするミツコを、この状況では真先に俺が疑われると止めた星野だったが、ミツコは、逆に、自己PRのチャンスだと思うから、あなただけ逃げてと言い出す。

廊下に出ようとすると、すでに怪しげな見張りが二人うろついている。

15分経ったら警察を呼ぶからとミツコに促され、星野は仕方なく、ホテルの窓から隣の部屋へ脱出しようとする。

窓の下を覗いてみた星野は、あまりの高さに冷や汗が出、ポケットからハンケチを取り出すが、その際、一緒に1ドル銀貨を落とした事には気付かず、後からそれを拾ったミツコは、ちゃっかり自分のものにしてしまう。

隣の部屋の窓にたどり着いた星野は、その窓が空いている事に気付き、一安心するが、次の瞬間、どこからともなく銃弾が飛んで来て、星野は、隣の部屋に転がるように落ちる。

その部屋で待っていたのは、銃を構えたルビーだった。

持っていた銃を取り上げられた星野は、隣の死体は君の仕業か?と問いかけるが、ルビーは知らないと返事をし、今、星野を狙撃したのも自分ではないと言う。

その時、ドアをノックする音が聞こえたので、星野は、ルビーに命じられるまま、衣装ダンスの中に身を潜める。

入って来たのは、ハッサンの兄(桐野洋雄-二役)だった。

一緒に来日したハッサンの弟とは、羽田で別れたとルビーが説明すると、会いたいので、連絡するように伝えてくれと告げて、兄は立ち去る。

タンスから出された星野は、トルコ風呂は今や世界中で有名になったが、タンス風呂ははじめてだと洒落てみせるが、その時、隣のミツコが廊下に出て、死体があると騒ぎはじめる。

ルビーは今度はバスルームに入るよう星野に命じ、自分は外出する。

星野は、度胸を決め、そのままバスタブの中に入り込むと眠る事にする。

気がついたら夜になっており、帰って来たルビーは、ハッサンの弟を殺したのは黒川に違いないと言う。

その黒川は、ホテルのボーイに化け、指輪型盗聴器で、ルビーの部屋の中の様子を廊下から聞き取ろうとしていた。

バスルームのルビーは、国際保険協会が探し求めているサマンタゴールドについて話ながら、星野のトランクを用心深く開けてみる。

すると、そのトランクの秘密の仕掛けが外れ、中に銃弾などが隠されている事が判明。

開き直った星野とルビーは、互いにCIAやプレスの人間ではない事を打ち明けあう。

星野がうっかり、サマンタゴールドなど知らないし、少女から1ドル受取っただけと洩らしたのを聞いたルビーは、サマンタゴールドは合金で表面をくるまれ、銀貨に見せ掛けているらしいと教える。

その時、又しても、狙撃の銃弾が飛んで来る。

黒川か?と疑う星野だったが、ルビーは、星野にはこんな射撃の腕はなく、相手はベイルートか?と洩らす。

窓に近づき、外の様子をうかがっていた星野は、いつの間にか、ルビーの姿も部屋から消えている事に気付く。

どうやら、ルビーは抜け駆けをするらしいと星野は勘付くのだった。

第三回東京-箱根間エコノミックラリー会場にやって来たルビーは、斎藤ミツコが乗った車の番号を知らないかと係員に聞くが、知らないと言われる。

そこにやって来た星野は、38号車と教え、ついでに、サマンタゴールドの紹介が載ったパンフレットもルビーに渡すと、自分は、ルビーが乗って来た車にさっさと乗り込むと、一人で走り去る。

ルビーが、弁当泥棒〜と追って来たのに気付いた星野は、車に積み込んであったフランスパンを外に放り出す。

それを拾ったルビーの前に現れたのは、手塚刑事だった。

ルビーは、その手塚の腕を取ると、先回りよと走りはじめる。

手塚とルビーは、ロマンスカー特急「さがみ」で箱根に向い、車中、星野からもらったパンフレットの内容から、サマンタゴールドと言うのは、スペインで反乱を起こした領主が作った金貨だが、発行枚数が極端に少なかったので、今や、日本円にして10億8000万もの価値がついており、ベイルートに住んでいたアラブの大金持ちが持っていたのが盗まれたと言う事を知る。

そんな二人の前に、ハッサンの兄と子分(伊吹徹)らが現れ、背広のポケットには言っているピストルを押し付けながら二人を脅し付け、金貨を寄越せと迫って来る。

ハッサンの兄は、ルビーが組織を裏切ったと思っているようだったが、ルビーはしらをきる。

その頃、斎藤ミツコが乗った38号車は順調にルートを走っていた。

いつの間にかペンダントにした1ドル銀貨を胸に下げて運転する彼女の同乗者は、スポンサーになってくれた男だったが、それは変装した黒川だった。

「さがみ」車中のルビーは、トイレに行かせてくれと席を立ち、列車が駅に停まり、発車しかけた一瞬の隙に、まんまと見張り役の子分の目を盗んでホームに逃げ出してしまう。

そのルビーが、道路に出て停めた車は、何と言う偶然か、星野が運転して来た彼女の車だった。

その車に乗ったルビーは、黒川がミツコの車に乗っているので、自分に協力してもらいたいと星野に頼む。

その頃、ミツコの乗った車の運転を交代していた黒川は、窓を締切って熱いのでダテかけていた。

エコノミーラリーとは、どれだけ燃費を抑えて走るかの勝負であり、窓を開けると、空気抵抗で燃費を消費するとの、ミツコの作戦のせいだった。

第三通過点である箱根小湧園を通り過ぎた38号車だったが、そのすぐ後を、星野とルビーの車が追い、その後を、ハッサンらが乗った車が追い掛けていた。

やがて、変装を取った黒川は、ミツコに銃を突き付けると、道を右にそれるように命ずる。

その時はじめて、ミツコは同乗者が、ベイルートで自分に花束を運ばせた相手だった事に気付く。

ミツコの38号車の後を追い、星野、ルビーの車も右折して、山道の中に入り込むが、その後を追って来たハッサンたちの車から銃撃を受ける。

ルビーは、何を思ったか、缶ビールの栓を抜き、それを窓から後ろに放り出すと大爆発する。

缶ビール型爆弾だったのだ。

その爆発を避け、ハンドルを切ったハッサンたちの車は崖を滑り落ち、先行していた38号車と衝突、38号車は、そのショックで大木に正面衝突してしまい、助手席に座っていた黒川は気絶してしまう。

その隙に、ミツコは車を降りる。

これで、ラリーの夢ははかなくも消え去ってしまった事を悟ったのだ。

一方、ハッサンたちの車は、崖下に落下してしまう。

木にぶつかり停まっていた38号車を発見したルビーと星野は、車内で気絶している黒川だけを発見するが、その時、座席に引っ掛かっていた1ドルペンダントを、ルビーは素早く奪ってしまう。

星野が黒川を揺り起こしたその時、ハッサンたちの仲間の銃撃を受ける。

星野は拳銃で、ルビーは残っていた缶ビール型爆弾を投げて応戦するが、やがて缶ビールが切れてしまう。

その隙に、黒川は現場を逃げ出していた。

武器を失い、窮地に追い込まれた星野とルビーだったが、その時、どこからともなく飛んで来た銃弾で、近づいていた敵が倒れるのを見る。

墜落する車から、一瞬早く飛び下り、崖に生えた木に捕まって助かった手塚警部だった。

ハッサンの仲間たちは逃げ出し、手塚、星野、ルビーは再会を喜びあうが、いつの間にか黒川が逃げ出していた事に気付く。

崖から見下ろすと、ちょうど長い橋を渡ろうとする黒川の姿が見えたので、星野は自慢の射撃で黒川の動きを止め、「帰り道はそっちじゃない」と叫ぶ。

ボスの命令で仕方なくやったんだと命乞いをする黒川に、少女の父親に言え、チャンスを与えてやると、冷たく言い放ち、弾倉に一発だけ弾を残した星野は銃口を黒川に向ける。

その様子を見ていた手塚刑事は、さすがに警察の立場として止めろと制止するが、ルビーがその頭を殴り、気絶させてしまう。

黒川は橋を逃げ出すが、星野の銃弾は、まごう事なく黒川を撃ち抜き、黒川の体は欄干から川に落ちて行く。

その後、ミツコはとあるホテルのクラブで唄っていた。

盲目のアメリカの大富豪ストンフェラー(アンドリュー・ヒューズ)と言う、思わぬ大スポンサーが現れたからだった。

そのミツコの楽屋では、1ドル銀貨を、生き残ったハッサンの兄が必死に探し回っていた。

同じホテルの一室で、ミツコの曲に合わせて踊っていたのは星野とルビー。

ルームサービスが料理を持って来たので、怪しまず部屋の中に入れた星野だったが、その料理の中には眠りがスが仕込まれており、ボーイがふたを開けた瞬間、二人は倒れてしまう。

その頃、曲を唄い終わったミツコの元にやって来たストンフェラーが、君に聞きたい事があると親しげに話し掛けて来る。

バスルームで気がついた星野は、ハッサンが用意したプラスチックギブスで体をぐるぐる巻きにされている途中である事に気付く。

プラスチックギプスとは、水に濡れた包帯状のものを体に巻いて乾かすと、どんどん収縮して固まり、セメントのようになってしまうと言う代物だった。

ギシギシと、乾きはじめたプラスチックギプスが星野の体を締め付けはじめる。

ハッサンは、面白そうにプラスチックギプスを星野の首まで巻き付けると、バスルームを出て行ってしまう。

そんな事とは知らず、星野の部屋を訪れて来た手塚刑事は、様子がおかしい事に気付くと、針金でドアを開け、中に入る。

バスルームから物音が聞こえたので、ドアを開けた手塚は、そこでギプスに締め付けられ、口にテープを貼られた星野を発見する。

ルビーの姿が見えないが、ホテルの周囲は警戒中なので出た様子はないと言いながら、手塚は星野の口のテープを剥がしてやると、星野は、ただちにバスタブに水を張り、自分の体をその中に入れてくれと頼む。

その頃、ミツコとルビーは、ストンフェラーとハッサン兄らに拉致され、ホテルの地下駐車場の柱に二人揃って縛り付けられていた。

ミツコの荷物の中に、1ドル銀貨がなかったと報告したハッサン兄は、車のライターを二人の身体に近づけ、その在り処を白状させようとし始める。

一方、星野の身体にへばりついたプラスチックギプスを取り除くため、バスタブの中で、手塚刑事は悪戦苦闘の最中だった。

ようやくギプスを外し終え、推理で地下駐車場だろうとやって来た手塚と星野は、ドアの隙間から、二人の女性がピンチである事を発見すると、そこに置いてあったシャンパンの束を地下駐車場に蹴りつける。

ハッサン兄やストンフェラーの所まで転がって行ったシャンパンの栓に向って、手塚と星野が銃を発車すると、瓶の口から噴射したシャンパンが、ハッサンの仲間たちを襲う。

その隙に、二人の女性に近づいた手塚は、縛られていた綱を斬ってやる。

それを拳銃で掩護する星野とハッサン一味の銃撃戦が始まる。

ルビーも、先ほど脱がされた自分のブーツの中から、ナイフを取り出すと、投げて応戦に加わる。

その隙に、ストンフェラーは車に乗り込み逃走を計ったので、星野も後を手塚に任せると、自分は近くの車に乗り後を追跡しはじめる。

ストンフェラーは、集音器で星野が追って来る事を知ると、ライフルを取り出し、ワンポイントスコープの代わりに特殊な集音器を取り付けると、運転手に命じ、車を人気のない工事現場に停めさせる。

運転手を先に降ろしたストンフェラーは、彼の後ろから付いて行くと見せ掛け、運転手の足を狙い得って、自分は近くに身を隠すのだった。

遅れてやって来た星野は、車を降りると、苦しんでいる運転手の側に駆け寄り、ストンフェラーは目が見えなかったのではないかと聞く。

運転手が言うには、確かに目が不自由なのだが、集音器を付けたライフルで、自由に射撃ができるらしい。

運転手が息絶えた後、無気味な静寂が工事現場を支配する。

ストンフェラーは、ちょっとした星野の物音を聞き付け、正確にライフルを撃ち込んで来る。

星野は、近くにあった鉄板に気付くと、石を投げて相手の気をそらした隙に身体を移動させ、その鉄板を手にすると、それを盾代わりにして、じりじりとストンフェラーの方に近づきはじめる。

ストンフェラーは、銃弾が鉄板に弾かれながら近づく音に気付くと、形勢不利を悟り、自らも後退しようとするが、目が不自由なため、足を板に挟まれ後ろに倒れると身動きが出来なくなる。

そこに近づいた星野は、一発は少女の分、もう一発はその父親の分と言いながら、二発銃弾を発射する。

かくして、ベイルートの謎のボス、ストンフェラーは死ぬ。

ホテルの自室に戻った星野は、身体検査を済ませたので、もう自分が1ドル銀貨を持っていない事が証明出来たはずと得意げなルビーと、食事を取ろうとしていた。

しかし、星野がすばやくルビーの髪の毛の上に乗ったウィッグを剥ぎ取ると、そこに1ドル銀貨が隠されていた。

星野が、ルビーの正体は国際保険協会の調査員なのだろうと指摘すると、ルビーは答えず、10億円の価値があるこの銀貨を二人で山分けしないかと言いながら、銀貨をジュージューと音を当てて熱せられたステーキの鉄板の上に置いてみる。

すると、銀貨の表面をコーティングしていた合金が見る見る溶け出し、そこには輝くサマンタゴールドが姿を現す。

そこへパリのママから電話が入り、それに出た星野は、今回の報酬は、1ドルだけだったと報告し、男声のママの喚き散らす受話器を、面白そうにテーブルに置くと、ルビーと抱き合いキスをするのだった。

そこへ、手塚刑事とミツコが訪ねて来るが、ノックしても返事がない。

その頃、星野とルビーは、車に乗って高速道路をひた走っていた。

金貨の売り値の半分を手に入れたら何に使うかと聞かれた星野が、ラスベガスへでもくり出すかと答えると、質問したルビーも、断然、私も行かなくっちゃと答える。

かくして、二人を乗せた飛行機はアメリカ目指して飛び立つのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

陽気な殺し屋を主人公にした宝田明主演の痛快アクション「100発100中」(1965)の続編。

007のブームに触発され誕生したと思われる娯楽アクションながら、その主人公の陽性なキャラクターは「ルパン三世」に影響を与えたらしい。

始終、お気楽でC調な口調で軽薄な男と思わせ、実は凄腕の拳銃の使い手と言う主人公に、一癖も二癖もありそうなグラマラスな美女が絡む展開は、スパイアクションと言うより、正に「ルパン三世」の世界そのもの。

ベイルートと日本と言う国際的なスケール、全編に渡りちりばめられたアイデアの数々…と、一件面白そうだが、低予算もあって、ユーモアもアクションも、今一つ弾まない仕上がりになっている。

弾まないもう一つの原因は、ヒロインが前作の浜美枝から、前田美波里と沢知美の二人になった事もあると思う。

謎の美女ルビーとちょっと頭が弱そうなミツコの二人のキャラクターは、007などにも登場する典型的な通俗ヒロイン像だが、今回、ルビー役の前田美波里が担当しそうなお色気(水着シーン)をミツコ役の沢知美が受け持ってしまったため、両者とも若干印象を弱めてしまったような感じがしてならない。

特に、沢知美の方のインパクトの弱さが惜しい。

クライマックスの舞台を日本に持って来た点も、盛り上がりに欠ける所。

せっかく、スケールを感じさせる海外から始まっておきながら、最後の戦いが、馴染んだ通勤電車の音が聞こえる、その辺の工事現場では、夢も薄れよう。

所詮、続編は初作を超えられないと言うイメージがあった時代の、典型的な続編パターンだと思う。

佐藤允の、この時代特有の類型的なキャラクターも、どうにかならなかったものかと感じたりもする。

ただし、黒幕のボスの設定などはなかなか面白い。

全般的に平板と言う印象で、もう少し演出の工夫を加えれば、B級映画として、もっと面白くなった作品に思えてならない。