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社長千一夜

1967年、東宝、笠原良三脚本、松林宗恵監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

庄司観光会社の社長庄司(森繁久彌)は、箱根に建てた会員制マンションの一室で目覚め、ベランダから見える周囲の山並の景色に満足していた。

東京から二時間で来られるこんな風光明美な場所に、さらに会員制マンションを作れば、会費を今より10万上げて、50万にしても売れるだろうと、上機嫌で、一緒に連れて来ていた妻の邦子(久慈あさみ)に話し掛ける。

ところが、朝食を久しぶりに手作りで作ってくれていた妻の邦子は、何故か朝から機嫌が悪い。

こんな所に来てまで、夫が仕事の話ばかりする事に苛立っているだけでなく、最近、とみに庄司が夫らしい事をしてくれなくなった事に対する不満が溜っている様子。

そんな様子を察した庄司は、触らぬ神に祟りなしとばかり、すでに二人とも孫を持つ身なんだから…と、ごまかす事にする。

今日は孫の幼稚園の参観日だと言う邦子を車に同乗させ、会社に出勤した庄司は、臨時秘書の大野由起子(原恵子)から、開発部長の木村(小林桂樹)が、すぐにでも会議を開きたがっていると聞かされ、すぐにその席に出席する。

先日、社長の代理で、九州、天草五橋の開通式に出席して来たと言う木村は、自ら撮影して来た五橋の風景を見せながら、東京オリンピック後、外国人観光客が減って来ているので、今度は来る大阪万博を見込んで、これまで未開発だった九州にレジャー施設を作り、一大国際観光ルートを作る計画はどうだろうかと提案する。

8mm映写中は退屈して居眠りをしていた庄司だったが、計画そのものには興味を示し、健闘しようじゃないかと答えるが、脇で聞いていた金子常務(加藤大介)は、熊本の方には、岡さんの経営する地元の会社がいるし、資金調達の事を考えても、わが社の進出は難しいのではないかと苦言を呈する。

しかし、庄司は、岡さんなら良く知っている間柄だし、資金調達は自分の腕でどうとでもなるからと、木村を応援する気配。

その頃、孫の幼稚園に来ていた邦子は、木村の妻で、その息子のヒロシが同じ幼稚園に通っている澄江(司葉子)と会話をかわしていた。

元気がない邦子に訳を尋ねた澄江は、彼女が自分の老いを感じ気落ちしている事を知ると、大岡越前が母親に、女の情慾はいくつまで続くのかと尋ねたエピソードを紹介し、灰になるまで続くと答えたのだと教えると、夫婦生活も老け込んだらお終いなので、いくつになっても寝室のマナーなどにも努力が必要とアドバイスする。

その夜、自社提供のテレビドラマ「妻は哀しからずや」を自宅で観ていた庄司は、風呂上がりの邦子から、それは再放送なので、自分は去年全部観てしまったと聞かされる。

そんな邦子が、派手なピンクのネグリジェを着ている事に驚いた庄司が、今頃、娘のお古なんか着て…と呆れると、邦子は、これはお古ではなく、今日銀座で自分で見立ててて買って来たのだと言う。

しかし、庄司はつい、いくらネグリジェが新しくても中身が再放送じゃ…と口走ってしまったものだから、それを聞いた邦子は、怒って布団を被ってヒスを起こしてしまうのだった。

次の日曜日、金井の家を訪ねた邦子は、正式な社長秘書が決まっていないのは何かと不安だから、早くしっかりした人物を決めて、庄司の身辺をしっかり監視して欲しいと願い出る。

翌週、明日から札幌に出張するのだが、例の九州観光ルートの資金調達の方はどうなっているかと木村が聞きに来たので、庄司は、あまりはかどっていないと答える。

そこに、家内が一人の若者を連れてやって来て、今度、社長秘書にした小川次郎(黒沢年男)だと紹介する。

今年、満26だと言うその青年は、朝鮮焼肉やニラやにんにくが大好きと言うだけあって、大声で挨拶する口の臭さに庄司は閉口してしまう。

その後、秘書室に案内された小川は、大野由起子から仕事の引継をしてもらっていたが、その途中で、8年間社長秘書をやっていた先輩の木村がやって来て、今日、あれこれアドバイスしたいから、自宅へ来いと誘う。

その夜、木村家にやって来た小川は、明日、札幌へ出張するので、そこそこで切り上げたい先輩の気持ちも理解できず、遠慮もなく酒を飲み続け、もっと人情の機微と言うのを理解しろと、遠回しで帰れと催促する木村の言葉に対しても、自分は独身なので、夫婦の事は良く分からない。自分には大野由起子と言う片思いの相手がいるのだが、まだ告白も出来ないのだと打ち明ける始末。

それを聞いた澄江は、早く告白しないと、あんな美人は誰かに取られてしまうわよと脅かすのだった。

翌朝、出社して、その由起子と会った小川だったが、やはり挨拶以上の事は言い出せなかった。

社長に呼ばれた小川が、その日の予定を聞いてメモしていた所に、大阪支社の飛田(三木のり平)が金井と共にやって来る。

飛田は、今、大阪の自社ホテルのスイートルームに滞在中のブラジルのコーヒー王、ペケロ・ドス・荒木と言う大富豪が、祖父の遺言で、熊本にホテルを作りたいらしいのだが、その協力者を探していると言うので、一晩考えて、それはうちの社長しかいないと気付き馳せ参じたと言うではないか。

九州開発の資金源で困っていた庄司は、渡りに船の話なので、すぐに自分も大阪に飛んで、その人物と会うと言うので、飛田は一足先に帰る事にする。

さっそく、小川に飛行機の手配を頼み、金井のたっての頼みと言う事もあって、嫌々ながら、その小川も同伴で大阪に飛んだ庄司だったが、自社ホテルに到着して、約束の8時半になっても、当のペケロ・ドス・荒木は来ないし、飛田にも連絡が付かないので、小川に外出すると言い残して、馴染みのキャバレー「アカプルコ」へ出かける事にする。

アカプルコでは、銀座の「エスポ」にいた事から馴染みだったママの鈴子(新珠三千代)と再会し、彼女から、もう自分は32になったけど、30までに浮気をしようと誘ってくれていたあなたとは、とうとう御縁がなかった。今は仕事を投げ出して、どこか遠くに行きたいなどと、ちょっとノイローゼ気味を装おった浮気の誘いを投げかけられる。

その直後、踊りながら、今夜家に来ない?とまで、耳元で囁かれた庄司が張り切らないはずもなく、すっかり御満悦の状態だったが、そこに水を挿すように現れたのが、外出したペケロを探し回っていたと言う飛田と、強引に聞かれたため、仕方なくこの場所を教えていた小川だった。

ところが驚いた事に、バンドの演奏をバックにステージで唄いはじめた奇妙な男を何気なく観た飛田が、あれがペケロ・ドス・荒木本人だと言うではないか!

唄い終わったペケロ・ドス・荒木(フランキー堺)に言葉をかけた飛田は、庄司のいる席に案内する。

鈴子との浮気はダメになったが、偶然にも出会えたペケロが、ホテル建設には2000万ドル、当時のレートで約70億円用意していると聞くと、すっかり仕事の話に夢中になり、自分達と一緒に、視察旅行に行かないかと誘うのだった。

それでも鈴子は、トイレに立った庄司に近づくと、今夜二人きりになりたいなどと甘えて来て、仕事で九州に向うと言う庄司に、自分も付いて行きたいなどと言う。

翌日、大分空港に到着した庄司、ペケロ、飛田、小川一行は、別府杉乃井ホテルの吉田支配人の出迎えを受ける。

ホテルに向う途中、宴会までまだ時間があるので、海女がイルカに餌を与える水族館見物にペケロを連れて行かないかと車を泊めた飛田だったが、その場を通り過ぎる三人づれの娘の姿を目に留めたペケロは、彼女たちが向った高崎山の猿を見に行きたいと言い出す。

仕方なく、ペケロに付いて行く事にした一行だったが、猿山で再会した三人娘たちを知っていた杉乃井ホテルの吉田支配人から、彼女たちは地元の芸者だと聞く。

どうやらペケロは、その内のはる美(藤あきみ)と言う娘に一目惚れをしたらしかったので、庄司は飛田に、今夜ホテルの方にはる美を呼ぶように命じる。

ホテルに到着し、ジャングル温泉で故郷を思い出し上機嫌のペケロは、宴会に席に付くが、なかなかお目当てのはる美は来ない。

独り、先に酔って上機嫌の飛田に、手配はきちんとしたのかと耳打ちする庄司だったが、ほどなく、着物姿になったはる美が到着して、ペケロの隣に座り相手をし始める。

ペケロの反対側に座っていた芸者(塩沢とき)も、何かとペケロに話し掛けようとするが、はる美に夢中なペケロからは全く相手にされず、独りやけ酒を飲む始末。

すっかり、上機嫌になり独りはしゃぎ始めたペケロの相手に飽きていた庄司は、部屋の電話が鳴ったので出てみると、それは大阪からやって来た鈴子がバーで待っているとの知らせだった。

いそいそとバーに出向き、鈴子との再会を喜んでいた庄司だったが、又、間が悪くそこにやって来たのは飛田だった。

何でも、大阪支社の副支配人から電話が入り、帰る用事が出来たので…と言うではないか。

しかし、もうこの時間では飛行機も取れないので…と、本人は帰りたくなさそうな気配。

それなら電車を乗り継いででも帰りなさいと庄司から言われた飛田は、しぶしぶと言った感じで、それでは、ペケロの事はお願いしますと言い残して帰る。

部屋に戻った庄司は、まだペケロに付き合っていた小川に電話を入れ、ペケロを部屋に引取らせて、その後はる美に言い含めて…と伝えるが、小川は遠回しな言い方が理解できないと言うので、人情の機微を理解しろと言い聞かすのだった。

その直後、部屋に鈴子がやって来て、いよいよ良いムードになったところで、又ノックをする音。

誰かと出てみると、部屋に入って来たのははる美ではないか。

小川が勘違いして、ペケロではなく、自分の部屋に寄越したのだ。

はる美も、先客がいる事を知るとふくれて帰ってしまうし、鈴子の方も白けてしまい、さっさと自室に帰ってしまったので、独り取り残された庄司はくさる。

翌朝、一人で寝ていた庄司は、小川の電話で叩き起こされる。

何でも、今まで起きていたペケロが、今から、はる美とオープンカーに乗って、ドライブに行きたいと言っていると言うのだ。

仕方なく、同行する事にした庄司と小川だったが、運転するペケロは、助手席のはる美の事しか頭にないらしく、向った鶴見岳でホテルの候補地を見せようとする庄司たちの言葉など、全く聞いていない様子。

途中、レイクサイドホテルが見渡せる場所に来た時、はる美とのツーショットを写真に撮ってくれと頼まれた小川と共に車を降りた庄司は、何とか二人のムードを高めようと、歌など側で唄いはじめるが、全く相手にされないどころか、いつの間にか車に乗り込んだペケロとはる美は、小川と庄司をその場に置き去りにして走り去ってしまう。

慌てた小川は、後ろから近づいて来たタクシーを無理矢理止めるが、そこに客として乗っていたのは、偶然にも鈴子だった。

小川と共に、そのタクシーに乗せてもらった庄司は、先行するペケロのスポーツカーを追ってもらうが、やがて、道路を歩いていた牛に足留めされたペケロの車を発見する。

ペケロの暴走行為に恐怖を覚えたはる美が、庄司たちが乗って来たタクシーに逃げ込むように乗り込んで来たので、ペケロの車には小川が乗り込む事にする。

今度は、庄司や鈴子、はる美が乗るタクシーの方が先行する事にし、その後を付いて来る事になったペケロは、助手席に座った小川に、実は自分は、ホテルを作る事よりも先に、九州で良いお嫁さんを見つけるために来日したのだと打ち明ける。

聞けば、今年36になるペケロは、カトリックであるために、一度結婚すると、再婚は出来ないので、今まで相手選びに慎重だったのだと言う。

それを聞いた小川は、思いきって自分からプロポーズしてみろとアドバイスする。

一方、タクシーに乗っていた庄司の方は、もうペケロとの同行はお断りだと言うはる美をなだめすかせて、何とか五橋見物に付いて来て欲しい。その代わり、あんたには、この鈴子に付いていてもらう事にするからと説得していた。

その後、熊本城に着いた一行だったが、何とか、はる美に近づこうとするペケロは、鈴子の邪魔が入り、巧くいかない。

九州商船の船で天草に向った一行は、現地の観光協会の人たちに出迎えられる。

その人たちの案内で、千人塚殉教公園に向ったペケロは、カトリックと言う事もあって、墓の前で思わずひざまづいて祈りを捧げるのだった。

天草国際ホテルに到着した一行は、その後、ホテルの候補地を観に出かけるが、ペケロは、一目でその場所が気に入ったと言う。

その後、一行は島原観光ホテルに泊まる事にする。

その夜の宴会の席、又しても、ペケロが陽気な踊りを披露し終わると、その隙にこっそり席を抜け出した庄司が扮装し、踊りを披露するのだった。

席に戻ってそれを観ていたペケロに、小川が、はる美の部屋は3階の「雲仙」の間だと教えて、今がチャンスだと耳打ちして来る。

その行為に感謝し、はる美の部屋に向ったペケロは、ノックして、中に入れてもらうと、はる美の前で座り込み、涙を流しながら「結婚して下さい」と告白するのだった。

一方、自室に戻っていた庄司は、布団の上で小川に肩を揉まれていたが、男にそんな事をされると気持ちが悪いからと嫌がり、早く部屋で安めと言い聞かせる。

その小川が去った後、ノックが聞こえたので、鈴子が来たと思い込み、ドアを開けるなり、入って来た人物の頬に接吻した庄司だったが、その相手が、又小川だった事を知るとがっかりする。

小川は、靴下が臭いので洗っておけと言われたが、今夜洗うと、明日朝までには乾かないので、明日の朝、交換しても良いかと確認しに来ただけだった。

又しても、不機嫌になった庄司だったが、その直後、又ノックが聞こえたので、誰だと誰何すると「うち」と言う鈴子の声。

ようやく二人きりになり、いよいよムードが高まって来た所に、又してもノックの音。

誰かと出てみると、大阪にいるはずの飛田が戻って来ているではないか。

取りあえず、鈴子に隠れているように合図をし、飛田を部屋に入れた庄司だったが、彼が帰って来た理由と言うのは、秘密にしておいたはずのペケロのホテル建設計画が新聞に出てしまい、それを読んだ大阪府警の方から連絡があり、最近、その手の詐欺が多いので注意するよう言われたので、それを報告に来たのだと言う。

しかも、今夜はもう、このホテルは満席で空きがない上に、小川の部屋はシングルベッドで狭いので、この部屋に泊まらせてくれと言うではないか。

何とか断わろうとする庄司だったが、無神経な飛田にあっては言う事を聞くはずもなく、さっさとフロントに電話を入れ、布団の用意をさせはじめる。

隠れていた鈴子は、たまらなくなって出て来ると、おやすみの挨拶を言いに来ていただけだと言い残して、又帰ってしまう。

又しても、浮気の邪魔が入った庄司は「いつもこれだ…」と、ぼやくだけ。

翌朝、いつの間にか、飛田と抱き合うように寝ていた庄司は、ドアの外から大声で呼ぶ小川の声に叩き起こされてしまう。

寝ぼけていた庄司は、隣に寝ていた飛田を、一瞬、鈴子と勘違いして、布団をかぶせて隠そうとするが、毛脛を観て、ようやく夕べの顛末を思い出すのだった。

ドラを開けると、血相を変えた小川が飛び込んで来て、ペケロとはる美がいなくなったと言うではないか。

又か…と呆れた庄司だったが、小川が言うには、今度は本当に駆け落ちらしく、今朝方二人で船に乗って行ってしまったらしい。

やっぱりだまされたと気付いた庄司は、まだ呑気に寝ていた飛田を叩き落とし、みんなお前の責任だと説教する。

東京に戻って来た庄司は、事の顛末を木村と金井に聞かせるが、今回は、まださほどの被害がなかったから良かったと安心させるのだった。

そこに電話があり、庄司が出てみると、邦子が箱根のマンションで待っているとの伝言。

その頃、秘書室に戻っていた小川は、久々に会った大野由起子に何か言いかけて、又しても止めてしまう。

そこに電話が入り、小川が出てみると、相手は失踪したはずのペケロ本人からではないか。

今、長崎の教会で、はる美と結婚式を挙げて来たばかりなのだと言う。

もうすっかり熱々ムードのようで、電話口で二人のキスの音を聞かせ始める。

急いで、社長室に向った小川は、今、ペケロ本人から電話があり、ホテルの候補地は、天草本土に決めたと連絡して来たと伝える。

ペケロは逃げたのではなかった事を知った庄司は一安心する。

その夜、箱根のマンションに到着した庄司は、久しぶりに邦子と一緒に風呂に入った後、先にベッドに横たわると、後から来る邦子を待ちながら、「すきっ腹にまずいものなし…」と、自らの腹をさすりながら、独り言を呟くのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

社長シリーズ、第25弾。

今回から、長年社長秘書を勤めていた小林桂樹に替わって、新人の黒沢年男が登場し、リフレッシュを計っている。

とは言っても、基本路線は今まで通り。

地方に出向いた森繁社長が、浮気をしようとする度に邪魔が入り…と言うパターンは健在である。

今回は、熊本や大分のホテルとタイアップしているらしく、ふんだんに当地の風景やホテルが登場するだけではなく、ホテルや観光関係者本人自らが画面に登場している。

さすがに、久慈あさみなどは、孫が生まれてお婆さんになったと言う設定だけあって、画面上にアップされるその顔には、往年の若さはない。

もう、小林桂樹もすっかりおじさんで、初期の頃のような元気の良さを望むべくもないので、黒沢との交替もやむをえなかったとも思える。

さすがにこの時期になると、シリーズ自体のマンネリに、作っている本人たちも自覚があるようで、新珠三千代に、「どこかの社長ものみたいな展開は飽きたわ」と、楽屋落ちのセリフを言わせている。

正直な所、当時の九州の美しい風景を見る珍しさはあるものの、話としては目新しさはまるでなく、見せ場も、フランキーや森繁の宴会芸のシーンだけと言う印象では物足りない。

特につまらないというほどではないのだが、このシリーズを見慣れている人には、やや退屈な展開なのではないだろうか?

宴会席に呼ばれながら、独り、誰からも相手にされず、ふて腐れて、黙々と飲んだくれている芝居をしている塩沢ときは面白い。

時期的には、黒沢年男が自分のメモ帳に、加山雄三の歌の歌詞を書いていたり、フランキーが、ぼかあ幸せだな〜とか、お嫁においでと言ったセリフを言っているので、若大将人気が沸騰していた頃の作品だと分かる。

黒沢のマドンナ役になっている原恵子と言う女優さんは良く知らないが、調べてみたら、日活「愛と死をみつめて」で、吉永小百合の母親役だった人と言う事になっている。

ただ、年令的に考えると、同名異人なのではないかと思える。