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おトラさん

1957年、東京映画、西川辰美原作、有崎勉+新井一脚本、小田基義監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

夜中、日野江家の門の前で周囲をうかがう怪しい男(田中志幸)一人。

道に誰もいないと見て取ると、日野江家の門を開いて中に侵入しようとするが、急に飛び出して来る。

家の中からおトラさん(柳家金語楼)が帚でたたき出したのだ。

さらに、おトラさんが周囲に声をかけると、近所中から女中仲間が飛び出して来て、道に転がり出た泥棒を帚で一斉に袋叩きにして捕まえてしまう。

翌朝、その様子を、あたかも自分一人で捕まえたかのように、玄関前で身ぶり手ぶり宜しく警察の事情聴取に答えていたのは、この家の主人日野江牛三(有島一郎)だった。

聞いていた警察所長や新聞記者たちが感心していると、本当はおトラという、20年前家内に付いて家に来た女中がやった事だと牛三は訂正する。

すると、光が丘署の署長(藤山龍一)が、今、泥棒を捕まえた功績に対し、警視総監賞を申請中だが、取りあえず、署長として感謝状を持って来たので、おトラさんに合わせて欲しいと言うので、牛三が家の中に招き入れると、ちょうど、おトラさんを中心に、向いの家の女中お八重(若水ヤエ子)、宇佐木家の女中マメ(小桜京子)、はる(水町千代子ら)女中仲間たちが慰労会を開いていた。

署長が、ちょうど茶を運んで来た女性に、おトラさんかと聞いたので、牛三は、それは家内の馬子(水の也清美)、さらに、長女のトリ江(川田孝子)、さらに長男タツオ(日吉としやす)を紹介する。

ようやく、おトラさんに対面した署長は、夕べ捕まえてくれた泥棒は、前科19犯で、10人も人殺しをした凶悪犯だったのだと説明しながら、新聞記者たちも居並ぶ中、感謝状を渡すのだった。

ある朝の朝食の準備中、 放送局に入社が決まったトリ江への祝いの魚を注文していた魚金がまだ来ないので催促に行くと言うおトラさんは、トリ江が納豆もない事を指摘すると、一緒に買って来ると出かけようとする。

すると、外は寒いから、大切なおトラさんに風邪でもひかれたら困るからと、牛三のコートを着て行けとトリ江が勧めてくれる。

そのコートを着込んで、まずは中居食料店で納豆を二つ購入したおトラさんは、ついでにと言いながら、自宅から持って来た小壺にたっぷりのからしをサービスして入れてくれとずうずうしくも申込む。

次いで、魚金(大辻三郎)の所に行って遅いと文句を言うと、河岸から届いた新鮮な魚を持っていこうとしていたので‥と恐縮する魚屋に、おトラさんは、遅れた分50円まけろと言い出す。

その頃、すでに朝食をすませ、玄関を出ようとしていた牛三は、コートがないので不機嫌になる。

一緒に学校に出ようとしていたタツオが、ゴミみたいなものを何かを渡して来たので、何気なく地面に投げ捨てるとそれは癇癪玉で、破裂したので驚いてしまう。

そこへ帰って来たのがおトラさんで、恐縮してコートを牛三に渡すのだった。

牛三からいたずらを叱られたタツオは、先に玄関を飛び出して、門までの間にある踏み石に癇癪玉を数個ばらまいて行く。

それに気付かず、続いて家を出た牛三は、落ちていた癇癪玉を踏み付けたので、又破裂しびっくり。

その後、台所で、鯛を焼いていたおトラさんは、からしを入れた小壺を観て、忘れていた事を思い出す。

その頃、駅に着いた牛三は、改札係から切符を要求され、何気なくコートのポケットに手を入れると、納豆がへばりついて来たので、びっくり、もう一方の手を反対のポケットに入れると、そちらも納豆だらけになってしまったので、本人も改札係もびっくり!

日野江家の自宅前でもちょっとした騒動が持ち上がっていた。

放送局に初出社するトリ江に、子供の頃から何かと言えば付き添って来たおトラさんが、一緒に付いて行くと言って聞かないからだった。

会社に付き添いが来るなんて恥ずかしいので止めてくれと、必死に説得して一人で行ったトリ江に、おいてけぼりにされた形のおトラさんは寂しそう。

そこに集まって来たお八重やマメは、遠慮しないで付いて行った方が良いんじゃないかと忠告するし、そこへやって来た焼き芋屋の長さん(柳沢真一)も、上役には贈り物として焼き芋でも持っていった方が良いと言い出す始末。

さらに、家から出て来た馬子が、トリ江が弁当を忘れて行ったと持って来たので、これ幸いとばかりに、自分が届けに行くと弁当を受取ったおトラさんは、長さんから渡された焼き芋も持ち、放送局へ向うのだった。

放送局ラジオ東京テレビに着いたおトラさんは、廊下ですれ違った見知らぬ人にまで、いちいち丁寧に挨拶をする始末。

ようやく、給湯室でお茶を入れていたトリ江に会うと弁当を渡し、トリ江打が重役室に持っていこうとしていたお茶を奪い取ると、自ら勝手に重役室に持っていってしまう。

重役室では、ちょうど重役(木田三千雄)が、部下の上月(太刀川洋一)が持って来た企画にダメ出しをしている所だったが、おトラさんは、持って来た焼き芋を重役の机の上に広げ、日野江トリ江を宜しくと挨拶をはじめたので、重役は唖然としてしまう。

その夜、帰宅して来たトリ江は、その事を恥ずかしがり、母親の馬子に文句を言っていたが、その夜も、近所のひつじさん(如月寛太)が牛三相手に碁を打ちに来ていて徹夜になりそうだと知ると、露骨に迷惑顔をするのだった。

二人が碁をしている部屋で、タバコの始末をしていたおトラは、もっと迷惑だった。

何せ、碁に夢中の二人は、吸っているタバコの後始末など上の空。

つい、吸いかけのタバコを灰皿に押し付けているつもりで、畳を焦がしたりしているのだ。

気が気ではないおトラさんは、灰皿代わりの大きな柄杓を持って、碁盤の横で、互いのタバコの灰が落ちぬように受け皿役をやっていたが、さすがに疲れて、馬子の待つ居間に戻って来る。

すると、タツオが目ぼけて起きて来て、タンス目掛けて小用を足そうとしているのを見かけ、慌ててトイレに連れて行くが、おトラは、そんな時でもタツオが癇癪玉を持っている事に気付き取り上げると、名案を思い付く。

灰皿代わりの柄杓の中に癇癪玉を入れておけば、碁をさしている二人の内のどちらかのタバコの火が入ると、破裂して、さすがに二人の注意をひくだろうと考えたのである。

ところが、再び碁の場所に戻って、柄杓を差し出してはみるが、二人とも一向に柄杓に火のついたタバコを入れないばかりか、とうとう湯飲みの茶を牛三が無意識に入れてしまったから、計画は大失敗。

翌朝、タバコの吸い殻が詰まった灰皿の山と一緒に柄杓を台所に持って置いていたおトラさんは、その中の癇癪玉がいきなり破裂したので、自分が一番びっくりしてしまうのだった。

そんなある日、放送局のトリ江に声をかけて来たのは、先日、重役から企画をダメだしされていた上月だった。

先日のおトラさんの事で恥ずかしがるトリ江を慰めるつもりか、むしろ、女中さんたちの街灯歌合戦の企画を思い付いたので感謝していると言い出す。

一方、自宅にいたおトラの方は、その日も、出社したトリ江の事であれこれ心配していたため、馬子から頼まれていた銀行に持っていく通帳と葉書を出す依頼をきちんと聞かないまま外出してしまう。

ぼんやりしながら、ポストの前に来たおトラさんは、うっかり通帳の方を投函してしまうが気付かない。

それを脇で観ていた子供達は、いたずらを思い付く。

銀行に到着し、葉書の方を渡そうとして、銀行員から注意されたおトラさんは、そこではじめて、通帳を投函してしまった事に気付き、慌てて、ポストの所に舞い戻ると、ちょうど、集配係が来た所だったので、訳を話して、ポストを開けてもらう事にする。

すると、その中に入っていたのは、先程、子供達が遊んでいたカエルが入っていたではないか。

カエルを見ると気絶する癖のあるおトラさんを脅かそうと子供達が入れておいたものらしいが、案の定、それを観たおトラさんは思わず卒倒してしまうのだった。

その夜、台所で豆腐を切っていたおトラの元に、タツオが来て勉強が分からないと言うので、何でも教えてあげるから持って来なさいとおトラさんが言うと、タツオが、この解剖の仕方が分からないと背後に隠し持っていたカエルを差し出したので、又気絶してしまう。

すっかり寝込んでしまったおトラさんを心配しトリ江も枕元にやって来ると、上月さんが、おトラさんのお陰で新しい企画を思い付き、それが通ったと喜んでいたと報告し慰める。

噂を聞いたおマメやお八重、長さんも勝手口に見舞いに来て、応対に出た馬子にあれこれひきつけの薬を渡す。

それを渡されたおトラさんは、感激して、ひきつけに効く薬なるものを開いてみると、それはカエル神を描いたお守りだったので、又、ひっくり返ってしまう。

その後、上月とトリ江の放送局で第一回録音が行われると言う日の朝、又、出社する牛三は、タツオが癇癪玉を飛び石の所に撒いて行ったのではないかと、おっかなびっくり玄関を出ようとしていたが、突然破裂音が響き驚いてしまうが、それは、家の前でパンクした車の音だった。

その日、トリ江と上月は、番組収録が終わった後、部長(丘寵児)から、全然、女中たちが盛り上がっていないと叱られていた。

上月は、その日、トリ江に付き合ってくれと頼む。

その夜、おトラさんは、近所のお八重、おマメ、おはる、長さんらを全員空き地に呼び集め、トリ江の番組がピンチであると打ち明けると、事情を聞いた仲間たちは、何とかみんなで盛り上げてやろうと、協力を約束するのだった。

二回目の「女中さん御用聞きのど自慢対抗コンクール」の実況放送の日。

まずお八重が、酷いズーズー弁で唄い出したので、審査員席の西川辰美、柳家金語楼、小西得郎は大笑い。

鐘は一つしかならなかった。

続いて舞台に登場した焼き芋屋の長さんが、美声を披露して鐘を鳴らしたので、9階表の段階で5対4、御用聞きチームが優勢になる。

このままでは女中チームが劣勢のまま負けてしまうと言うので、いよいよおトラさんが登場する番になるが、本番を前にすると、舞台に出るのを急に怖がってしまい、袖で出ようとしない。

客席はざわめきだし、司会者(一竜斎貞鳳)も、おトラさんを心配して舞台袖に駆け付けて来たトリ江も慌て出す。

みんなからムリヤリ舞台中央へ押し出された形のおトラさん。

9回裏の演奏が始まり出すと、急に肝が座ったのか、いつものように元気に唄いはじめる。

結局、鐘がたくさんなり、3点獲得したので、女中チームの逆転優勝となる。

後日、日野江家に訪れて来たのは、審査員の一人だった野球解説者の小西得郎氏。

牛三と馬子に応接室で打ち明ける所によると、あの放送を観ていたある男性から、おトラさんをお嫁に欲しいと申込があったのだと言う。

それを、お茶を持って来て、ドアの外で聞いてしまったおトラさんは嬉しくなる。

しかし、その話を持ちかけられたおトラさんから、トリ江も嫁に行かない内に、自分の方が先に結婚などできないと断わられた牛三と馬子は、いつものように碁をしにやって来たひつじさんに相談するが、誘いの手と言うのもあるので、廻りでそれとなく、結婚とは良いものだと言う雰囲気を作り上げてみたらどうかと提案する。

一肌脱ぐ気になったひつじさんは、おマメ、お八重、長さん、魚金の四人を呼び寄せると、おトラさんのために一芝居打ってくれと頼む。

その夜、恋人役を依頼された長さんとおマメ、魚金とお八重コンビが各々庭先で待つ中、台所仕事をしていたおトラさんをひつじさんが外に出てみないかと誘う。

しかし、案に相違して、おトラさんは庭に出ようとしない。

四人が庭先で待ちくたびれはじめた頃、洗濯物を干したままだとのひつじさんの苦し紛れの言葉で、ようやく庭に出て観る事にしたおトラさん。

さっそく、あらかじめ、ひつじさんから教えられたように、甘い恋人同士の会話を始める四人だったが、思うように行かない。

ひつじさんも、そばに身を潜め、四人にあれこれ指図しようとするが、結局、芝居作戦は巧く行かず、魚金がおトラさんから水をかけられるだけで終わる。

翌日、話を聞いたトリ江は、私が結婚しないとおトラさんも結婚しないつもりなのかと心配するが、おトラさんは気にするなと言う。

そもそも、今まで、好きだった人はいなかったのかとトリ江が聞くと、こう見えても、若い頃は村一番の美人だと言われていたものだとおトラさんの想い出話が始まる。

中でも、村一番の良い男(天津敏)からしつこく迫られたが、相手にせず、川に放り込んでやったと話すおトラだったが、実際は、全く逆で、その男には恋人(中村はる江)がおり、しつこく迫って、川に突き落とされたのはおトラの方だった。

それ以来、男と言うものは下らないものだと思って一人身で過ごして来たと、嘘の話を打ち明けたおトラさんだったが、お嬢さんに心配をかけるのも何だから、もうどんな所へでも嫁に行くと言い出し、感激したトリ江と共に泣き出すのだった。

晴れて、文金高島田姿になったおトラさんは、家族や近所の仲間たちから見送られ、荷物片手に車に乗リ込むと、嫁入り先へと出発して行く。

それを見送っていたお八重は、売れ残りは私だけになったねと寂しそうだった。

あの芝居の夜以来、おマメと長さんが仲良くなった事を知っていたからだ。

その日から、トリ江が夕食の準備をするようになるが、おトラさんと同じように、豆腐料理だったので、タツオはぶ然とする。

そんな所に訪ねて来たのが、先日結婚話を持って来た小西得郎。

彼が恐縮そうに、応対に出た牛三や馬子に言うには、実は局に連絡して来た相手の男性と言うのは21才で、彼が結婚希望者として指名していたのは、一週前に出た別のおトラさんで、とんだ人違いだったと言うのだ。

その頃、おトラさんは花嫁衣装に荷物を下げた姿のまま、町を放浪していた。

お八重やおマメは、長さんの焼き芋を買いながら、バツが悪くなり、その後、行方不明になったおトラさんんの噂をしていた。

何でも、国元にも戻っていないと言うのだ。

そこに割烹着姿の見慣れぬ女性が近づいて来て、長さんから焼き芋を三つ買うと、それを三人に配りながら、実は自分は、おトラさんの妹で小トラと言うもので、姉から後をよろしく頼むと託されてやって来たのだと挨拶する。

日野江に入った小トラは、その日から、しゃにむに働くようになる。

あんまり仕事熱心で、ある日、買い物に出かけようとしていたお八重の買い物袋を奪い取ると、自分が代わりに行ってやると、買い物の内容も聞かずに出かけてしまう始末。

お八重は、そんな小トラを、慌てて追い掛けて行くのだった。

そんな所に帰って来たのがおトラさん。

日野江家の家族から暖かく迎えられ、小トラも良くやってくれたと聞かされたおトラさんはきょとんとする。

そんな人物は知らないと言うのだ。

そこに、お八重と一緒に仲良く帰って来たのが小トラ。

その姿を観たおトラさんは、偽者!と叫びながら、庭先を追い掛け廻しはじめる。

事情が分からないお八重は、そんな二人を止めようとするが、小トラの頭をヘッドロックしていたおトラさんは、はずみで相手のかつらを取ってしまう。

小トラは、実は男だったのだ。

男は、申し訳なさそうに、実は、自分は、三丁目のクリーニング屋(平凡太郎)なのだが、お八重の事が前から好きだったので、彼女に接近するためにこんな事をしたのだと打ち明ける。

その騒ぎを観ていた牛三も馬子も、別に家に迷惑をかけた訳でもなく、むしろ良く働いてくれたのだからと、おトラさんの興奮を鎮めるのだった。

かくして、みんな家に上がるよう勧められるが、すっかり互いを意識したお八重とクリーニング屋の平さんは、もじもじして庭先で甘いムード。

それをうらやましそうに観ていたトリ江の目を、おトラさんが観ないように隠そうとするし、タツオも早すぎると、牛三が観ないように目隠ししようとするが、しっかりはねのけられてしまう。

後日、再び、日野江家に戻り、部屋の掃除をしているおトラさんを称える歌を唄いながら、近所の仲間たちが庭先にやって来てくれたので、おトラさんも、すっかり上機嫌になり、張り切って仕事をするのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

1954年から読売新聞に掲載された西川辰美原作の人気新聞マンガを元にした、ラジオ東京テレビ(現:TBS)のテレビドラマ(1956)を映画化したもの。

全6作作られたシリーズの第一作。

脚本の有崎勉と言うのは、主演の金語楼のペンネームである。

テレビドラマの方も良く観ていたが、実際視聴率も良かったようで、その人気に便乗するような形で映画化が企画されたものと思われる。

主役の金語楼だけではなく、若水ヤエ子、小桜京子ら主要なメンバー陣もテレビ版と同じである。

金語楼主演の映画はいくつか観て来たが、このシリーズが一番彼の魅力を引き出しており、又、作品としても、明るく庶民的で、かつ伸びやかにできているように感じる。

いわば、金語楼の当たり役とも言うべきキャラクターだと思える。

ホームコメディなので、子供から大人まで各年代層のキャラが登場するので、どの世代が観ても、それなりに楽しめる作りになっている所がミソ。

さすがに、その日常生活は現在のそれとはだいぶん趣が違っているが、その辺は、レトロ趣味で楽しむ事ができる。

今思えば、自分が観ていたテレビシリーズは、かなり後期のものだったらしく、おトラさんの基本設定など良く知らない事が多かったのだが、この映画版第一作を観る事によって、色んな疑問が解決出来たように思う。

一番の発見は、おトラさんと言うのは、日野江家に妻が嫁いで来たのと一緒に実家からついて来た女中であり、今まで結婚経験がなかったと言う点。

年令からして、てっきり既婚者だと思い込んでいた事が間違いだった事が分かった。

後半のテレビ番組の収録の際、審査員として、原作者西川辰美、「何と〜、申しましょうか…」の名調子でお馴染みだった人気野球解説者の小西得郎と共に、金語楼本人が自分の役で登場している所も見所。

当然、おトラさんが舞台に出ている所では、二人の金語楼が画面に写る事になる。

通常、合成などの処理が考えられるが、ここで使用されているのは巧みなスタント。

画面中央には、おトラさんに扮した本物の金語楼が写っており、その右側に位置する審査員席の真ん中に、審査員としての金語楼が座っている事になっているのだが、その姿を隠すように、司会者役の一竜斎貞鳳が、その前に立っている。

つまり貞鳳の背後に座っているのは、はげ頭の別人なのだ。

かなり巧みに貞鳳の身体で顔だけが隠されているのだが、一瞬、椅子に背をくっつけた別人の顔が映し出されるので、注意して観ていると楽しい。

おトラさんの回想シーンで、彼女が若い頃憧れた村一番の美男子を演じているのが、「隠密剣士」「仮面の忍者 赤影」の天津敏と言う所も興味深い。

「あんみつ姫」にも出ていた彼は、この頃からマンガの実写版に良く出ていた事になる。

テレビ版のスポンサーだった「ノーシン」が、この劇場版の方にもそっくりそのまま登場している所も懐かしい。

ちなみに、放送局の重役を演じている木田三千雄と言う人は、「ウルトラセブン」23話「明日を捜せ!」で、宇宙人から追いかけれていた運勢見、安井を演じていた人である。