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女番長ブルース
牝蜂の逆襲

1971年、東映京都、小山裕久脚本、鈴木則文脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

横浜の歩道橋の上でたむろする女番長玲子(池玲子)ら、不良少女グループアテネ団。

そこへやって来た一人の中年男を見つけた玲子は、カモが来たと喜ぶ。

百円恵んでくれと言いながら近づき、林佐和子と言う女学生と2000円でどうかと持ちかけると、案の定カモ(由利徹)は引っ掛かる。

そのカモと一緒に車に乗り込んだおさせのサセ子(一の瀬レナ)は、出発前に、後ろのトランクを閉めて来ると言い、一旦助手席からおりると、後ろで待っていた仲間たちを、トランクに乗せる。

かくして、ホテルに向ったカモとサセ子は、ベッドに入る直前、栄養ドリンクを飲ませるが、その中には睡眠薬が入れてあったため、女に挑みかかったカモはあっという間に眠り込んでしまう。

するとサセ子は、素早く仲間たちを部屋の中に入れ、カモの金品を物色するのだが、しけたカモの財布には3200円しか入っていなかった。

犯行を終えた彼女らは、カモの車に乗り込んで逃走しようとするが、途中でエンストを起こしてしまう。

仕方ないので、次の車を盗もうと物色していた所に、バイクのグループが接近して来る。

それは、をリーダーとする遊び人の大学生グループだった。

これ幸いとばかりに、全員、後ろに跨がらせてもらいぶっ飛ばす事にするが、空き地に連れ込まれると乱暴されそうになる。

そこに現れたのが、北神会の巽次郎(流健二郎)、彼は大学生たちを蹴散らすと、借りを作りたくないから、自分を抱いても良いと言う玲子に、その内秋本組の幹部になるつもりだから、俺の専属にならないかと言い寄る。

しかし、自分は誰にも束縛されたくないし、貸し借りも作りたくないと言う玲子はきっぱり断わる。

ある日、玲子の前に、アテネ団に入りたいと言う女子高生糸川宥子(渡辺やよい)が連れて来られる。

玲子は、宥子が処女である事を知ると、そんなものは邪魔だから、自分で破れと命ずる。

指にワセリンを塗り、トイレで破ったと報告する宥子に、玲子は、自分も13の時、おふくろのSEXを目撃してしまったし、その後、男たちに輪姦されたんだと告白する。

新入りとなった宥子を連れて、商店街の洋品店に出向いたアテネ団は、役割分担を決めて、宥子のための服を万引きしはじめる。

しかし、途中で店員(青空はるお)に気付かれ、店長室に連れて行かれた万引きの真弓(杉本美樹)は、店長(青空あきお)の目の前で裸になり、何も持ってないと証明する。

品物はとっくに仲間たちに渡していたのだ。

そこにやって来た玲子は真弓を連れ帰るが、真弓は見料1万円寄越せと、店長と店員を脅迫して巻き上げる。

共同生活をしているアパートに戻って来たアテネ団。

玲子に促され、真弓はアテネ憲法と言うものを新入りの宥子に聞かせる。

そこにやって来たのが、2度目の少年院帰りのスケ番ジュンコ(賀川雪絵)だった。

ガードの宏美 (山田みどり)、弁天モコ(河崎いち子)、サセ子らメンバーたちは、かつてとの顔なじみとの久々の再会を喜ぶが、初対面の玲子は意外に冷たい。

玲子と、恐喝のジュンことジュンコはその場で仁義を切り合う。

ジュンは、自分は金とゴロ巻きには不自由させないつもりだが、もともと束縛される事が嫌いで不良になった人間が、アテネ憲法などと言う奇妙な決めごとに縛られている事自体がおかしくないかと、それとなく玲子のやり方に挑戦するような嫌味を言う。

その頃、北神会を集めて演説をしていた二郎の所にやって来た秋本組が、アテネ団に自分達の所へ挨拶させろと命じていた。

秋本興業では、社長の秋本剛(安部徹)が、ムショ帰りの土居(天知茂)を迎えていた。

土居が、ライバルの関本組長を殺してくれたため、秋本組は阪神連合会に入る事ができたと感謝して、取りあえずの小遣として10万手渡す。

そして、土居がかつて付き合っていた梨恵(弓恵子)は、今、クラブ「リエ」を出していると教える。

「リエ」では、ピーターが唄っていた。

土居に近づいて来た二郎は、あんたを尊敬していると熱い眼差しで話し掛けるが、土居は、今は、金を集める奴が力がある奴なんだと冷静に答える。

そこに客の吉岡康平(小松方正)に抱きつかれながらママの梨恵がやって来る。

久々に顔を合わせた土居は、今、子供はいくつなんだと尋ねるが、梨恵は、あなたの子ではないと否定する。

ある日、モトクロスの練習をしている所を観ていた玲子は、近づいて来たバイクの男が、先日の学生グループのリーダー杉岡英二(滝俊介)と知るが、気に入ったので、そのモトクロス用のバイクに乗せて、一緒に町を走ってくれと頼む。

モトクロス用のバイクでの市街走行は禁止されていたので、当然ながら、白バイが追って来る。

その後、吉岡製薬の社長で市会議員でもある父親吉岡康平を訪ねて来た英二は、5台バイクを買ってチームを作りたいので100万出してくれないかと頼む。

その後、遊園地で土居と再会した梨恵は、カズヨと言う幼い娘を連れて来ていた。

謝る梨恵に対し、良いんだ、女の5年は長いからと許した土居は、メリーゴーランドに乗りたがるカズヨを、自ら乗せてやるのだった。

そんな土居の姿を観ていた梨恵は、物陰で涙する。

一方、篠原由紀(潤まり子)と言うアイドル歌手が町のホテルに来る事を知った艶歌のひろみ(西来路ひろみ)は、実は自分も昔は由紀と一緒に歌手を目指して同じ学校に通っていたが、自分は金が続かず挫折したのだと言う過去を、仲間たちに打ち明ける。

そこへ、篠原由紀がやって来たので、懐かしさで話し掛けたひろみだったが、由紀は全く知らん顔をしたばかりか、マネージャー(左とん平)に近付けさせないように指示する。

それをひろみから聞かされた次郎は、仕返しをするために、芸能界の裏側に精通しているトップ屋の牛島一六(山城新伍)なる人物を紹介してくれる。

一六が、玲子以外のアテネ団に話した所によると、篠原由紀は国会議員のパトロンとネンゴロの仲であるらしい。

由紀と国会議員志水泰一郎(名和宏)がベッドインしている部屋を突き止めたジュンらは、テープでその声を録音すると、次郎と共にそのテープを持って、由紀と一緒の志水の部屋に強請りに行く。

しかし、そこにやって来たのは秋本組の紺野(林彰太郎)で、志水先生には親父が世話になっていると、自分の失態に気付き凍り付いた次郎に、由紀はつばを吐きかけるのだった。

さらに、由紀は、今度出すレコードも、パパが2万枚買ってくれる事になっていると嘯く。

その後、エレベーターに乗り込んだ由紀を待ち構えていたのが、恥をかかされた次郎とその仲間。

外で、ジュンが見張っている間、次郎たちは由紀をエレベーター内で輪姦してしまうのだった。

そのネタをアンネ日報「ユニバーサル」と言う赤新聞に載せた一六は、それを脅しの材料にしようとする。

その事を知った玲子は、ジュンの勝手な行動を批判すると共に、北神会にやって来て、かつあげ料30万渡すと、こんな事をして秋本組に借りを作ったらどうするつもりなのかと、次郎に問いつめる。

その頃、ジュンはひろみに、自分のペンダントを渡していた。

ひろみは、もうすぐ沖縄が日本に還って来ると話題にするが、ジュンは、もう沖縄へは帰らないと答える。

その夏、海水浴場では、北神会とアテネ団が、あれこれしのぎの仕事をしていた。

ヨットに乗っていた玲子を追って英二がモーターボートで近づくと、からかいはじめる。

一方、家族で海水浴に来ていたカモ男は、帰ろうとして車の所に来ると、タイヤが盗まれている事に気付き呆然とする。

そこにやって来た男に、タイヤを2本8000円で売り付けられるが、実は、その男こそ、タイヤ泥棒だったのだが、カモ男が気付くはずもない。

しかし、その直後、警察が駆け付けて来て、その北神会の男は連行されてしまう。

その男がサセ子から、タイヤ10本盗んだら寝てやると誘われてやった事を知った次郎は、玲子に、これは貸しにしておいてやると言う。

その後、次郎は、彼の事に夢中になったと言う宥子を、テントの中で抱いていた。

それを目撃した玲子は、次郎を殴りつける。

宥子の方も呼出すと、アテネ憲法を破り、勝手に特定の男の支配を受けたとして、懲罰を加えようとするが、何故一人でリンチをするのか?あんたも次郎の事が好きなので憎いのではないかと宥子に指摘されてしまう。

痛い所を突かれた玲子は、自分は大人の世界が信じられないのだと告白する。

それを聞いた宥子の方も、自分は、義理の父親に身体を触られて来たと辛い過去を話す。

玲子は、自由だけが頼りなんだと呟く。

ある日、秋本組から呼出された次郎は、うちの組に3000万必要なので、高利貸しを接待しなければ行けないのだが、アテネ団の玲子を高利貸しと寝させるため、連れて来いと命じられる。

次郎は、先日、海水浴上で貸しがあったはずだからと言い、玲子に、今夜7時、高利貸しが泊まっている須磨ホテルに行けと伝える。

その夕方、英二の所へ向った玲子らアテネ団は、次郎の仲間たちと、オートバイファックをしながらレースをすると言う無軌道な行動に走る。

バイクの上に仰向けに寝た玲子に跨がった英二は、自分達が誰よりも長もちして走り切ったトップだと喜ぶ。

その頃、須磨ホテルでは、高利貸しがやって来ない女にいらついていた。

一方、英二と別れがたく感じていた玲子は、そのまま抱いてもらう。

その不始末を次郎から聞いたジュンは、玲子をリンチする事にする。

モーターボートから紐で繋いだ玲子を、海の中で引きづり廻させるのだ。

その後、空き地に連れて来た玲子に対し、英二に惚れているのなら、自らアテネ憲法を破ったのであり、団長の資格はない。

自分が新しい団長になるつもりだから、ここでさしのゴロマキで決めようと言い出す。

かくして、メンバーたちが見守る中、ジュンと玲子の一騎討ちが始まるが、形勢不利に見えた玲子が最後にはジュンを打ち負かしてしまう。

勝負に破れたジュンは、潔くアテネ団を辞めさせてもらう、負けても気持ちはさっぱりしていると言い出す。

ひろみたちは、ここを出ると一人になっちゃうよと止めるが、みんなと一緒でも寂しい人間もいるんだ…と言い残すと、ジュンは立ち去って行く。

その後ろ姿を見送りながら、ひろみはジュンがリクエストした「波止場」を唄い出すのだった。

彼女らの下に落ちていた新聞には、「沖縄返還協定に調印」という見出しが踊っていた。

その頃、秋本興業に呼出されていた次郎は、秋本本人から、北神会を解散して、兵隊だけこちらに寄越せと命じられていた。

アテネ団との猿芝居にも飽きた。あいつらは単なる野良犬だと言う。

あまりに理不尽な申し出に次郎が反論すると、その場で子分たちから袋叩きにあわされる。

そこにやって来た土居は、こんなチンピラなんかを半殺しにしたんでは、組に傷が付くと止めさせる。

そして、秋本の前に来ると、俺はこんな薄汚い組のためにムショに行ったんじゃないと言い残し、次郎を連れて組を出て行く。

ぼろぼろにされた次郎は、自分は何としてもゴミ箱から這い出したかったんだと呟く。

そんな次郎を待ち受けていた玲子は、自分のヤサに連れて帰る。

土居の方は、港で出会った梨恵から、実はあのカズヨは土居の子供だと打ち明けられていた。

土居も、カズヨを観た瞬間から、薄々、そうじゃないかと悟っていたのだった。

一方、秋本は、純度の高い麻薬を手に入れるには、塩酸フェニールを精製するのが一番良いらしいが、それはどこにあると、紺野に尋ねる。

紺野は、それなら大きな製薬会社だろうと答えるのだった。

その後、その秋本らを乗せた車を取り囲んでからかっていたのが、英二ら不良学生バイクグループ。

彼らのリーダーが、吉岡製薬の社長の極道息子だと、同乗していた紺野が教える。

その後、英二は、飲んでいた所を秋本組から拉致されてしまう。

さらに、その事を種に秋本から呼び出しを受けた吉岡は、息子を返して欲しければ塩酸フェニールを500g用意しろと要求され、目の前で英二を袋叩きにしてみせられると、明日の午後1時までは息子を預かると言われて、すごすごと帰る事になる。

そんな秋本組にやって来た土居は、盃を帰したいと秋本に申し出る。

かつては、人斬りマサとまで呼ばれた土居なんだから、最後に一つ、500万で一仕事やってくれ。これができたら、自分は阪神連合会を握る事ができるんだと秋本から懇願された土居は、不承不承、本当にこれが最後だと言って引き受ける事になる。

その情報を握った一六は、アテネ団の所に来ると、50万で買わないかと言い出す。

それを聞いた玲子は、一週間で秋本組を潰す事ができると判断する。

翌日、取り引き場所に自動車でやって来た吉岡から、薬の入ったトランクを受取った土居は、薬に詳しい高野(梅津栄)のチェックを受けさせ、本物だと確認すると、英二を連れている秋本の所に戻る。

その頃、その近くで監視していた玲子に、次郎が合流する。

薬の入ったトランクを秋本の待つ場所に持って行った土居は約束の金を受取るが、同時に銃を突き付けられ、山の中に連れて行かれる。

一瞬の隙を観て、薬の入ったトランクを持ったまま逃げ出そうとした高野だったが、秋本から撃たれ、薬の入ったトランクは崖下に落ちてしまう。

土居は、その瞬間、一人で秋本に立ち向かって行くが、そこに次郎が助けに来る。

息子の英二を助けようと吉岡もやって来るが、撃たれてしまう。

その騒ぎに乗じて、玲子は英二を助け出すと、金と車を奪って逃走する。

秋本から一緒に逃げていた土居と次郎だったが、追って来た秋本から二人とも撃たれてしまう。

玲子と英二の乗った車を、秋本らが乗った車が必死に追って来る。

英二は、何とか相手の車をかわし、相手の車は崖下に墜落して行く。

しかし、喜んだのもつかの間、自分も近づいて来たカーブを曲り切れずガードレールを突き破ると落下して行く。

助手席に乗っていた玲子は、一瞬早く、車から飛び下りていた。

落ちて行く車から、大量の札束が空中に舞う。

その後、玲子たちアテネ団が、又、町を闊歩する姿が観られた。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

不良少女たちの無軌道な暮らし振りを描く作品。

ちょうど沖縄返還の時期だっただけに、そうした時事ネタなどを絡ませた部分が時代を感じさせる。

アテナ団の一人がシリアスなシーンで急に演歌を唄い出したり、バイクファックのシーンなどは、今観ると、冗談にしか見えないが、池玲子や賀川雪絵のズベ公振りは、なかなか板に付いているし、安部徹や天知茂のワル芝居や、由利徹、山城新伍と言ったお馴染みの狂言廻し演技は安心して観ていられる。

ゲスト出演しているピーターの若い姿などが貴重。

見るからに低予算作品なので、特にすごい見せ場があるとか、話の展開が面白いと誉める程の出来ではないが、下品は下品なりに楽しめなくはない青春ドラマ…と、言った所だろうか。