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コータローまかりとおる!

1984年、東映京都、蛭田達也原作、志村正浩脚本、鈴木則文脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

学校の外の街頭に、蝙蝠のように逆さにぶら下がり、女子更衣室で水着に着替えている女学生たちの様子を観察しているのは、長い髪が特長の新堂功太郎(黒崎輝)。

その長い髪を切ってしまおうとハサミを持って近づいて来た男子風紀委員たちに気付いたコータローは、女子更衣室の部屋に飛び移り逃げる。

そこにやって来たのは、風紀委員の渡瀬麻由美(千原麻里)。

コータローは、プールに逃げ込んで大騒ぎになる。

飛び込み台に登ったコータローを追って来た麻由美は、身体をかわされ、危うくプールに落ちかけた所をコータローからスカートを引っ張られ、何とか墜落を免れるが、おかげでパンツ丸見え。

コータローは、白いパンツを観れて大満足の様子。

そんな現場を写真に納めたのは新聞部の女子取材班。

私立鶴ヶ峰学園の風紀を乱す張本人の動かぬ証拠を押さえたのだ。

タイトル

学園最高責任者である生徒会長タラコ(山口良一)は、風紀委員会の席に、風紀委員長の一人吉岡達也(真田広之)の姿がいないのでどうしたのかと聞くと、日舞の発表会に行ったと他のメンバーが答える。

タラコは、コータローの髪を切った者には100万円出すし、同好会はクラブに昇格させると言う思いきった提案をする。

私立鶴ヶ峰学園は、生徒数55000人、総面積380万�と言う、一つの街程の規模を誇る巨大学園だった。

さっそく、その知らせは構内に貼られ、全校生徒がハサミを持って、コータローの長い髪を切ろうと付け狙いはじめる。

タラコも、そうした大勢の先頭に立ってコータローを追い詰めるが、コータローから渡された果物が大爆発して、逃げられてしまう。

その後、学園床屋に入ったコータローは、シャンプーと、もみあげを揃えてもらうだけと店主(由利徹)に注文。

そのコータローの隣の席に座っていたのが、スキンヘッドの風紀委員会特別機動隊々長、天光寺輝彦(大葉健二)だった。

いわば犬猿の仲であるこの二人を見た店長は、思わず「手長猿と禿鷹の決闘」と口走ってしまう。

それを聞いた天光寺は、自分は禿ではなく、剃っているのだと怒る。

しかし、コータローは、コペン「ハーゲ」ンなどとからかって、剣を抜いた天光寺の前から逃げ出す。

その後を追って行った天光寺は、コータローをかばいに来た風紀委員第七班長渡瀬真弓に遭遇する。

彼女は、コータローの幼馴染みだったのだ。

その後、学園喫茶でお茶していたコータローに、ナイフを持って近づいて来たウェイトレスが髪を切ろうとする。

包帯だらけの姿となったタラコら一同が接近して来たので、コータローは彼らの面前で、賞金は極端流空手部のものだと叫ぶと、いきなり自分の髪をハサミで切ってしまう。

その頃、私立鶴ヶ峰学園の玉三郎と称されている吉岡は、女学生が憧れの眼差しで見つめる中、日舞クラブの練習場で見事な日舞を披露していた。

そこに、渡瀬麻由美が、コータローが自分で髪を切ったと報告に来る。

三島由紀夫著「仮面の告白」の本を携えた吉岡に会いに来たコータローに、クラブへの昇格は自分の許可がなければ認められないが、部員一人では空手部として認められないと言いながらも、その代わり、僕の友達になってくれたら考えないでもない…と意外な申し出をして来る。

しかし、コータローはきっぱり断わる。

その夜、自宅で日記を書いていた麻由美は、子供時代から女の子の彼女より髪が長かったコータローと一緒に写った想い出の写真を見ながら、どうせなら、自分があの髪を切りたかったと呟いていた。

そこへ、警視庁に35年も勤めている父親(山城新伍)が入って来て、両親が一年間も世界旅行していると言うコータローの事を心配しががらも、部屋に貼ってあった武田鉄矢主演「刑事物語」のポスターを見ながら、旦那そろそろ参りましょうか…などと、下らない冗談をかます。

翌日、学園の中央駅に降り立った麻由美が元気がない事に気付いた友達たちは、何とか彼女を元気づけようとする。

そんな中、学園ニューミュージックコンテストが開催され、天光寺も、警備を任されていた。

舞台に登場したヘビメタ研究会なる学生は、舞台脇に陣取っていた天光寺のはげ頭をからかう歌を唄いはじめる。

実は、その学生、コータローが変装したものだったのだ。

気付いた天光寺は、刀を抜いて、舞台上に出て行くが、コータローは客席に飛び込んで逃げ回る。

追って行ってコータローが被っていた帽子を斬ると、その下から長い髪の毛があらわれる。髪を自分で切ったのは、かつらだったのだ。

その後も、天光寺をからかう歌を止めようとしないコータローに斬り掛かった天光寺は、電気に感電してしまう。

そんなドタバタ劇を、吉岡と隻眼の砂土屋峻平(伊原剛志)が群集の中から見つめていた。

その後、風紀委員室で、頭にレモンパックしている天光寺の元に、レモンパックはしみになりやすいと言いながら、顔にきゅうりパックをした吉岡がやって来る。

天光寺が、レモンパックは使い終わった後、紅茶に入れられると負け惜しみを言うと、吉岡も、きゅうりは使い終わるとサラダとして食べられると言いながら、マヨネーズをつけて食べはじめる。

その時、頭に来た天光寺が頭から放電を始める。

感電をきっかけに、こういう体質になってしまったのだと言う。

ある日、帰宅していた新聞部の早苗(加藤由美)たちが、暴走族血桜会に襲われる。

その時、茂みの中から覆面姿の別の一団が現れ、暴走族と戦いはじめる。

そして、暴走族を叩きのめした覆面男たちは、どくろに蛇が絡まった紋章が書かれた紙を現場に残して行く。

学園マフィア「蛇骨会」の秘密部屋では、砂土屋峻平が、血桜会なんて子供だまし、天光寺とコータローは自分が血祭りに挙げてやると、鞭を振り回して息巻いていた。

そこへ、扉が開き、「蛇骨会」会長紅バラ(志穂美悦子)が入って来て、荒れる砂土屋を制すると、剛武流空手部の部長鬼島一誠(関根大学)に、空手でコータローの抹殺をするように命じる。

その頃、相変わらず、コータローを付け狙っていた天光寺は、麻由美から頭を叩かれ、思わず彼女のセーラー服を斬ってしまう。

剛武流空手部の本部剛武館に呼出されたコータローは、鬼島から百人組手をやってみるかと挑戦を受け、次々に襲いかかって来る剛武流の空手部員たち相手に挑みはじめる。

さすがに、まともに戦っていたのでは潰されると悟ったコータローは、床を踏み抜いてその下に逃げ込んだり、時には部員の一人(蛭田達也)とキスする事になったりしながら戦い続ける。

コータローは、大豆をぶつけたりしながら、まだ戦っていた。

剛武館の外では、砂土屋が見張っていた。

下着姿になって外に出られなくなったマユミは、ロッカー室でさらしを見つけると、それを体に巻き付けてランニングのような振りをしながら、コータローの元に駆け付けて来て百人を倒し終わったコータローは、彼女に抱き締められる。

二人で外に出たところで、待ち受けていた砂土屋から鞭で襲われる。

それを見た天光寺は、武士の情けもあるだろうと砂土屋を諭すつ、もし止めないなら自分が相手だと言う。

風紀委員会特別機動隊も駆け付けたのを見た砂土屋は、仕方なく去って行く。

後日、学園に、ムーア公国のプリンセス・クララが留学して来る事が決まる。

新聞部では、売れる記事を目指して、編集長の檄が飛ぶ。

売れれば一流、売れなければ三流、それが大衆社会だと言うのだ。

そんな中、極端流の新堂功太郎が、プリンセスの留学中に、そのパンツを脱がすと宣言したポスターが学内に貼られる。

それを知った学園長(ハナ肇)は、生徒会長のタラコを呼び、コータローが実行したりすると、国際問題になると相談する。

やがてムーア公国プリンセス、クララ・G・ムーアが到着し、学園挙げての歓迎会になる。

MHKの放送車も来ており、そのインタビュアーとしてクララに近づいた青年は、いきなりクララのスカートをたくしあげると、パンツに「予約あり」とのシールを貼る。

又しても、コータローの変装だった。

しかし、クララは恥ずかしがったり怒るどころか、カラテボーイかっこいい!と、すっかりコータローに夢中になる。

その夜、学園内の迎賓館に招かれたクララは、すっかりパンティ泥棒が来るのを待っている様子で、学園長にスカートをまくらせては、コータローと出会った時の感激を反復していた。

翌朝8時、学園内の時計塔の中に砂土屋がやって来る。

その中こそ、蛇骨会の秘密の隠れ部屋があったのだ。

出迎えた紅バラは、クララ在学中は騒ぎを起こさないよう、学園と協定を結んだと伝える。

彼女も又、「仮面の告白」を持っており、お前は後継者の一人に過ぎないと言いながら、砂土屋の腕にナイフを投げ付ける。

一方、クララの身辺警護の為、麻由美を含む女子親衛隊が結成されるが、コータローは、大型扇風機を持ち出し、彼女たち全員のスカートを風でまくり上げたり、彼自身が女子親衛隊の一員に化け、クララのテニスを観戦していたりする度胸の良さ。

クララが新体操をしている体育館には、掃除のおばさんに化けて侵入するし、生け花を習うクララの側には、部員に化けたコータローがちゃっかり座っていた。

親衛隊と一緒にプールで遊んでいたクララは、麻由美がコータローの事を嫌っている事を察し、自分は嫌いではないと言い出す。

すると、プールの中から、アクアラングを背負って潜っていたコータローが現れたので、クララは大喜び。

その後、クララは極端流空手部に入りたいと言い出す。

たった一人の部員コータローと、道場で二人きりになったクララは、コータローに言われるまま、訳も分からず寝技の体勢になると、あっさりコータローにパンツを脱がされそうになるが、そこにやって来たのが、麻由美と30名の親衛隊で、自分達も今から空手部に入ると言い出す。

さらに、天光寺までやって来て、自分にも空手を教えてくれと言うではないか。

そんな中、クララはみんなに、いきなりコータローから教えられた寝技をやるよう言い出したので、全員、そんな事をクララに教えたコータローを睨み付けるのだった。

そんな所にやって来たのが学園長。

何と、クララの父親が父親が急病の心臓発作で倒れたので、すぐに帰国されるようにと言うのだ。

全員で、学内にある空港にクララを見送りに行くと、そこには、国際空港まで飛ぶ二人乗り用小型飛行機と、それを操縦するパイロット(千葉真一)が待ち受けていた。

コータローと見つめあったクララは、別れを惜しみ涙を流すが、コータローはキスする形で、その涙を吸い取ってやるのだった。

やがて、クララを乗せた小型飛行機が飛び立ち、天光寺ら生徒たちなどが見送っていたの上に何かが落ちて来る。

それは、コータローに捧げたクララのパンティだった。

飛行機の上では、パイロットがコータローを称して、「ヒーイズ アンバランスボーイ」とクララに伝えていた。

後日、麻由美は砂土屋に捕まってしまう。

風紀委員会室にいた吉岡に電話が入る。

砂土屋は秘密部屋にいた紅バラに、蛇骨会の二代目会長にはコータローを選ぶつもりなのだろうと息巻く。

時計台には、麻由美を助けるため、コータローがやって来るが、待ち受けていた覆面軍団が立ちふさがる。

しかし、そこに、天光寺も駆け付けて来て、雑魚は任せろと、コータローを掩護し始める。

天光寺が、次々と、覆面軍団の覆面を剥ぎ取ってみると、彼らは剣道部の荒木やボクシング部の東海林と言った、錚々たる運動部の猛者連中だった。

時計塔の機械室に登ったコータローは、砂土屋や蛇骨会のメンバーたちを戦いはじめる。

大きな歯車に長い髪を挟まれるたコータローのピンチは続くが、砂土屋はコータローの腹をナイフで刺す。

その直後、紅バラはそんな砂土屋にナイフを投げ付けると、お前は単なる牙を剥く野良犬であり、会長の器ではないと断言する。

麻由美を見つけたコータローだったが、彼女から殴られてしまう。

紅バラはコータローにキスすると、麻由美と共に会長室に連れて行く。

そして、蛇骨会を継いで欲しいと説得されるが、コータローははっきりノーと返事する。

自分は、誰からも命令されないし、命令もしない。自由だと言うのだった。

その答えを聞いた紅バラは、このまま帰れると思うなど脅して来る。

つけあがるな!と、紅バラの股間を思わずつかんだコータローは、相手が男である事を知り驚く。

紅バラはバラをコータローに投げ付けると、いつの間にか姿が変身する。

その正体は、吉岡だったのだ。

その頃、怪我をした砂土屋は、時計塔にガソリンを撒いていた。

その時計塔には危険物が保管してあり、塔諸共吹っ飛ばすつもりなのだ。

正体を現した吉岡は、自分は風紀委員長と蛇骨会の会長としての二つの顔を使い分け、互いに競い合わせる事で均衡が保てるのだと説明しながら、自分は今学期一杯でアメリカに留学する事になっていると告白する。

自分としては、風紀委員長には天光寺に、そして、蛇骨会会長にはコータローになって欲しかったのだと言いながら、フェンシングの剣で突いて来る。

コータローの方は、ヌンチャクで対抗する。

そんな会長室のドアの下から、煙が流れ込んで来る。

砂土屋が火を放ったのだ。

そんな時計塔の下に集まって来たタラコや新聞部員たちは、学園の恥部なので、こんな建物は燃えてしまえと叫んでいた。

火は会長室にも燃え移り、掲げてあった巨大な紅バラの写真も燃えはじめる。

そんな中、麻由美を抱えて時計塔の屋上に登ったコータローは、風向きや彼女の体重を素早く計算すると、空中に飛び下りる。

二人の体は、計算通り下のプールに落ちる。

その瞬間、時計塔は大爆発を起こしてしまう。

気がついて慌てる麻由美のパンツを、水中からしっかり見上げて喜ぶコータローだった。

後日、吉岡は何事もなかったかのように、日舞クラブで踊っていた。

そこにやって来たコータローは、こいつは紅バラだとみんなに訴えるが、誰も信じるはずもなかった。

コータローの長い髪には、その後200万の賞金がかけられていた。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

千葉真一を中心とするJAC(ジャパン・アクション・クラブ)のメンバーが、人気コミックのナンセンスキャラクターを演じる実写版映画。

全編動き回る主役黒崎輝のパワーと、ファンクラブを動員しての大掛かりなモッブシーンなどが、このコミック独特の元気よさを巧く表現している。

それを、天光寺を演じている大葉健二や志穂美悦子と言った黒崎の先輩たちがしっかりバックアップしているのもたくましい。

中でも、ギャグ表現も含め、特殊なキャラクターに挑戦した真田広之の活躍は見物。

特に、ラストの黒崎との決闘シーンは、両者共、動きにキレがあり、なかなか見ごたえがある。

ややもすると、JAC主体のアクション映画は、大味なストーリーとスピーディーさに欠けて見えるアクション演出などで、退屈なものが多いように感じるのだが、そんな中にあって、この作品は、全編動き回るパワフルさが、観る者にも伝わって来る快作になっていると思う。

やたらと女の子たちのパンツが画面に登場するのも、いかにも当時のコミックの風潮を感じさせるが、当然ながら子供向けの演出なので、バカバカしいだけで嫌らしさなどは全くない。

劇中に映画のポスターが良く登場するこの監督の作品らしく、ここではライバル東宝の人気シリーズ、武田鉄矢主演の「刑事物語」が出て来る所も懐かしい。

ベテランハナ肇や山城新伍が、嬉々とした感じで、こうしたナンセンス映画に出ているのも嬉しい限り。