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女優と名探偵

1950年、松竹大船、瑞穂春海原作、中山隆三脚本、川島雄三監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

ちょび髭をはやした探偵(日守新一)が、銀座の街を歩いていて、女性(西條鮎子)とぶつかったので詫びを言った後、近くの新聞売り場で、新聞を全紙買おうとするが、20円を要求されてポケットを探すと財布がない事に気付く。

がっかりして覗き込んだ新聞紙上には、美貌の女スリ銀座に現るとの大きな文字が踊っている。

丸顔に右頬にホクロ、とその特長を読んだ探偵は、さっきの女だと気付く。

新聞には、捕まえたら賞金10万円と書いてあるではないか!

その頃、女スリの方は、探偵の懐からすった財布の中味を確認して、小銭しか入っていないので、川に捨ててしまう。

探偵社が入っているビルに戻って来た探偵は、半年も家賃を払っていないので、入口にある管理人室の窓の下を体をかがめて通り抜け、管理人に見つからないように部屋にたどり着くが、そこには、学生金貸(河村黎吉)が待っていた。

貸している1万円を返せと言う学生と押し問答していた探偵の所に、管理人まで来てしまったので、やむなく二人を部屋の中に招き入れた探偵だったが、金がないのだったら、この部屋にある家財道具一切頂いて帰ると言う学生に、これは全部m自分が貸しているものだと管理人が待ったをかける。

学生は、利子がついて今や2万円になったと無茶な事を言い出し、取りあえず、今持っているだけの金額を、管理人と半分づつもらおうと言う事で話し合いがつくが、所持金を聞かれた探偵は、5円しか持っていなかったのだが、それも先ほどスリにすられてしまったと言うしかなかった。

すると、呆れた管理人は、探偵に新聞を見せ、この女スリを捕まえれば、賞金10万円もらえるではないかと言う。

その時、隣の部屋で目覚まし時計が鳴り出すが、それを電話の呼び出し音と間違えた管理人と学生から、電話だと言われた探偵は、一瞬、いやあれは…と言いかけるが、急に閃くと、隣の部屋に入り、目覚ましの音を止めると、あたかも依頼人からの電話を受けているように見せ掛け、事件の報酬として10万円頂戴すると返事をしているように独り言を言う。

それを聞いていた管理人と学生は感心し、10万円入るのなら、取りあえず、今必要な分は貸そうと言う事になる。

結局1000円づつ、二人から借り受けた探偵は、すぐに外出してしまうが、その直後、管理人が、この部屋の電話は切ってある事に気付き、廊下から隣の部屋の窓を開けて中を覗くと、そこには目覚まし時計しかない事に気付くが、もう後の祭り。

外出した探偵は、例の女スリを追っている被害者を偶然発見し、自分も一緒に追い掛けはじめる。

途中、町中で撮影していた映画スタッフたちとぶつかりそうになったりした探偵は、女スリが来ていたのと同じチェックの上着を着た女を捕まえるが、それは全くの別人だった。

同じように、その後も、チェックの上着を着た女に何人も遭遇するが、全て別人。

何とか、本物を見つけ、新橋駅の構内まで追い詰めた探偵だったが、女は、発射寸前だった電車に飛び乗り逃走してしまう。

探偵は、動き始めた電車を追い掛けると、開いた窓から中に飛び込むのだった。

列車内を探し、ようやく例の女スリらしき女を見つけた探偵は、その隣に座り、その女が、映画雑誌「スター」を読んでいる事を知ると、映画がお好きなのですか?と声をかける。

しかし、その女は席を立つと、隣の車両にいた車掌を捕まえ、何事かを話しているではないか。

それを追おうとした探偵は、やって来たその車掌に腕を捕まれ、切符を見せろと迫られる。

探偵が差し出したのは外食券だった。

それを指摘され、慌てて、切符を買おうと、懐を探した探偵だったが、又しても、スリにすられて一文もない事に気付く。

困った探偵は、車掌に、自分は女スリを追っている探偵だと告げ、恐縮されるのだった。

大船で降りた女は、松竹の撮影所に入って行くではないか。

探偵もその後をついて中に入ろうとするが、三人の守衛たちから追い出されてしまう。

その騒動の最中、右頬にほくろがある女スリが撮影所に紛れ込んでしまう。

彼女は、先に入った女優とそっくりだったのだ。

撮影所に入れないと知った探偵は一計を案ずる。

その直後、撮影所に一台の車が入って行く。

そこから降りて来たのは佐野周二(本人)だった。

その車のトランクが開くと、その中に隠れていた探偵が出て来て、佐野に挨拶をしたので、佐野はぽかんとしてしまう。

こうして、まんまと撮影所内に入った探偵は、「ニューフェイス」ならぬ「オールドフェイス審査会場」に入り込んでしまう。

そこでは、老人たちが水着姿で踊っているのを、審査員の小暮実千代や堺駿二が見ている最中だったのだが、その後ろを通って出口に向おうとする探偵を不審に思った堺が声をかけるが、三人の守衛が追って来たのに気付いた探偵は適当にごまかして逃げる。

庭に逃げた探偵を追い掛けていた三人の守衛は、高い台の上に立って銅像の真似をしている探偵を発見する。

さらに逃げた探偵は「自動車泥棒」と言う作品が撮影本番中のスタジオでに入り込んでしまったので、守衛たちは入るに入れない。

スタジオ内で撮影していた芝居に「手入れよ!」と入って来た女優(西條鮎子-二役)を見た探偵は、思わず進みでて、その手を掴み「御用だ!」と言ってしまったから、撮影はNGになってしまう。

探偵はあっさりスタジオの外に追い出されるが、探偵にスリと間違えられた女優は、スタジオの中で自分そっくりの女を発見し、首をかしげていた。

別のスタジオに入り込んだ探偵は、ライトなどを置く中二階に逃げ込むが、雪降らし用に作られていた紙吹雪の駕篭をひっくり返してしまい、下で探していた守衛たちに気付かれてしまう。

スタジオの屋上で追いかけっこする三人の守衛たちと探偵。

何とか下に降りた探偵は、ゴミ箱の中に逃げ込む。

その直後、近くのスタジオから鼻をかみながら出て来た笠智衆(本人)に、守衛たちが怪しい人物を見かけなかったかと聞くが、知らないと言う。

守衛が立ち去るった後、鼻紙をゴミ箱に捨てようと蓋を開けた笠智衆は、中から探偵が出て来て挨拶したので、きょとんとしてしまう。

続いて探偵が入り込んだスタジオでは「奥様に御用心」と言う作品が撮影されていたが、そこでも又、女スリそっくりの女優を見つけたので、近づいてよくよくその顔を見ると、右頬のホクロがないではないか!

それを指摘すると、先ほどつけていたのは付けボクロだったのだと女優は言う。

ようやく人違いをしていた事に気付いた探偵は詫びを言うが、その直後、スタジオ内のあちこちから、私物を取られたと言う声が上がる。

田中絹代、堀雄二、佐田啓二、淡島千景、高峰三枝子らも盗まれたと慌て出す。

その時、女優は、前のスタジオで出会った、時分そっくりの女の事を思い出し、探偵に教える。

子犬がスタジオの外に何かを追い掛けて出て行ったのを見た探偵も後を追うが、女スリはパンを置いて、子犬の気を引いて逃げのびる。

三人の守衛が又、探偵を追って来たので、畳が立て掛けてあるスタジオ内で、スリと探偵と守衛の追いかけっこが始まる。

その後、女スリを追い詰めた探偵だったが、女スリは、盗んで来た品物を次々と探偵に投付けて来て、山のような盗品の中に探偵は埋もれてしまう。

そこに、件の女優が助けに来たので、品物は戻ったけど、スリは逃してしまったと探偵は悔しがる。

すると、女優は、あっちに行った人がそうじゃないかしらと教える。

オープンセットでは、インド風の衣装を身につけた女優たちが踊っていた。

アジアを舞台にした映画の撮影のようなのだが、その中にちゃっかり女スリが衣装を着て紛れ込んでいる。

そんな所にやって来た探偵は、立っていたセットの棒にぶつかり、気絶した拍子に。すぐ横に置いてあった棺桶の中に倒れ込んでしまう。

いたずら好きな女スリは、その探偵の額に三角巾をつけて死人に見せ掛ける。

やがて、火葬のシーンが始まり、俳優たちに担がれて薪の上に置かれた棺桶には、まだ、気絶したままの探偵が入っていた。

ついに薪に火がはなたれ、棺桶は本当に焼けそうになるが、その時、探偵は気がつき、近くのセット建物の二階から嬉しそうにこちらを見ていた女スリを発見したので、そのまま棺桶から逃げ出すと、再び、女スリをおいかけはじめる。

次のスタジオでは、集団結婚式のシーンが撮られている所だった。

いつの間にか新郎役に扮してそのシーンに紛れ込んでいた探偵が手を繋いでいたのは、何と新婦に扮した女スリだった。

次々と他の男女がキスをかわすシーンになるが、探偵は目の前の女スリを捕まえると、驚く監督たちの前にやって来て、自分を追って来ていた三人の守衛たちに女スリを渡すのだった。

女優に送られ、撮影所の玄関までやって来た探偵は、女優から、あなたは、俳優の日守新一さんそっくりだわと指摘される。

そんな言葉に照れていた探偵だったが、そこに本物の日守新一がやって来て、探偵の姿を不思議そうに眺めて撮影所に入って行く。

探偵は、そんな松竹大船撮影所を出て行くのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

上映時間31分の中編作品。

たあいないドタバタ喜劇だが、当時の銀座や新橋近辺、さらに、大船撮影所の中の様子を見る事ができる所が貴重。

ゲストとして少しづつ登場している、当時の人気俳優たちの姿も見物。

言葉で笑わそうとしているのではなく、全編動き回っている面白さで見せているので、意外と、今観ても楽しめる。

学生を演じている河村黎吉と言うのもすごい。