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人生は六十一から

1941年、東宝映画+吉本興業、山名義郎+志村敏夫脚本、斎藤寅次郎監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

「仕立物します 横山かね」と書かれた看板が下がる家の奥では、かねの亭主、横山金助(横山エンタツ)が、固形ガソリンの燃焼実験をやっており、ついに24時間燃えた、実験成功だ!と喜ぶが、それを聞いていたかねは泣き出す。

嬉し泣きではなく、全く正業につかず、発明にばかりに時間を費やし、家計を苦しめるばかりの夫に対する悔し泣きだった。

しかし、金助は、発明した固形ガソリンを「危険」と書かれたトランクに積めると、これから会社に売り込みに行く、帰りには肉をたくさん買って来るから、ネギでも切って待っておけと言い残し、勇んで家を出る。

それを無邪気に見送ったのは、まだ幼い長男義雄と妹の春子だった。

一方、五輪マークと「民族の祭典」と書かれたオリンピックの会場に花火を持ち込んで来たのは、藤木瓶三(花菱アチャコ)。

自分が発明した「パラシュート花火」なるもののデモンストレーションをしようと、持参した、表に「危険」と書かれたトランクから取り出した花火を竹筒に入れて導火線に火をつけた後、慌てて逃げて様子を観ていた瓶三だったが、その竹筒が焼け落ちただけで、花火は打ち上がる事すらなく燃えつきてしまった。

一方、原料がジャガイモの皮で作った固形燃料の売り込みにバス会社に到着した金助は、トランクから取り出した固形燃料を木炭バスの後ろに二三個投入するが、その直後、バスは大爆発を起こし、金八の姿が消えてしまう。

バス会社の社員が空を見上げると、そこにはぼろぼろになった金八がパラシュートに乗って降りて来る所だった。

その夜、横山家では、言い付け通りネギを大量に切って夫の帰りを待っている、かねと食事を楽しみにしている子供二人の姿があった。

そうした様子を窓から覗いた金八は、又、失敗してしまった。もう、金輪際発明はやめ、今後は地道に働いて金をためるまで帰って来ないから…と小さくつぶやきくと、泣きながら家を後にするのだった。

そして、10幾年が夢の間に過ぎて行った。

その間、かねと二人の子供は、流れ流れて片田舎に住むようになっていたが、父親の血筋のせいか、成長した長男義雄は、発明に熱中するようになっており、今も不思議な機械を作っていたが、かねはそんな義雄に、父さんの真似はしないでくれ。明日の会社に遅れてはいけないから、早く寝るようにときつく言い聞かせていた。

しかし義雄は、言われるまま簡易ベッドに横になりながらも、どこかからか聞こえて来る女の歌声にイライラしていた。

一方、父親金助は、無料宿泊所に寝泊まりしていた。

ある晩、一人布団の上に起きあげると、それまで働いて溜めて来た金と国債を勘定しながら独り喜んでいた。

もう少しで一万円溜るので、そうしたら家に戻ろうと決意していたからだ。

ところが、次の瞬間、窓から突然吹き込んで来た突風で、金助が勘定していた札束や国債が室内に飛び散ってしまう。

その騒ぎに目が醒めた宿泊者たちは、目の前を飛び回っている金を拾おうと大騒ぎになる。

その後、金助は、管理人(榊田敬二)から、ここはあんたのような金を持っている人が泊まるような施設ではないとこんこんと説教され、すごすごと出て行かざるを得なくなる。

そんな金助が見つけたのが、とある洗濯屋の前に貼ってあった「外交員募集」の貼り紙。

さっそく、中に入って声をかけると、出て来たのが店員の瓶三。

彼も又、花火の失敗で、転職した口らしい。

外交員になりたいと申し出た金助の汚い身なりを観てバカにする瓶三を他所に、出て来た社長の荒井増三(鳥羽陽之助)は一応、採用してくれる事になる。

だが、金助は、わが社にある3分間で仕上がる新しい洗濯機械を宣伝してくれと言う社長の指令とは裏腹に、丁度出会ったたけと言う19才の娘に、自分の娘春子を思い出し、洗濯屋なんかに出すのは無駄で、自分で洗えば、運動にもなると言いながら、自分がその場で彼女の洗濯を全部やってしまう。

その事を告げ口に来た瓶三から教えられた社長は、その場に出向いて自分の目で確認すると、即座に金助を首にするのだった。

その後、店に戻り、自慢の機械で洗濯をしていた瓶三の元に、「3分で仕上がる」と言う宣伝につられて店に入って来たのが、とある屋敷の侍従三太夫(高勢実乗)。

御主人様が、明日、某重大会議に来て行かなければいけないフロックコートを至急洗って欲しいと言う。

主人も出て来て、さっそく、そのコートを瓶三に渡すと、三太夫が着ていた、先代から頂戴したと言う羽織も、サービスでアイロンをかけておきましょうと言い受取る。

瓶三は、科学薬品を機械に投入し、コートを洗いはじめるが、すぐに紙包装されて出て来たコートを見た三太夫はびっくり!

何と、黒かったコートが真っ白いコートに変化しているではないか。

激怒した三太夫は、奥でアイロンがけをしていた主人を呼びつけるとクレームを言いはじめるが、慌てていた主人は、アイロンを三太夫の羽織の上に乗せたままだったので、三太夫に頭を下げている間に、三太夫の大切な羽織にも焼いて穴を開けてしまったことに気付き、主人に申し訳が立たないと、その場で切腹しかけていた三太夫は二重のショックで気絶してしまう。

その後、金助は鉱山の穴堀をしていた。

親方(山田長正)から、もっと力を入れて働けと命じられた金助が必死に穴を掘っていると、反対側からも掘っていた者とかち合ってしまい、トンネルのように穴が開いてしまう。

見ると、その反対側から掘っていたのは、あの瓶八ではないか!

金助はかつての仕打ちを思い出し、その場で殴り合いの喧嘩になるが、それを親方が止めに来る。

その後、再び作業を始め、ツルハシを持ち上げた金助だったが、たまたますぐ後ろに立っていた親方の頭をツルハシが直撃してしまう。

自分がやったとも気付かず、倒れていた親方を介抱してやった金助だったが、又しても、その場で首を言い渡されてしまう。

穴から外に出て来た金助は、思わず、そこにあった横棒に腰掛けるが、それは、爆破装置のスイッチだったので、奥で爆発が起こり、ぼろぼろになった親方以下、作業員たちが飛び出して来る。

そこに至って、ようやく、自分が座っていたのが爆破スイッチだと気付いた金助だったが、その場をごまかすために、何度もスイッチを押してみせ、その度に穴の奥の方から爆発の音が響いて来るので笑ってみせるしかなかった。

ある日、自由会社に勤める夏子(立花潤子)に、取り引き会社の一人義雄から電話が入るが、言われた商品が品切れだったのでそう伝えると、義雄は、先日電話した時たくさんあると言うから今日まで注文しなかっただけはないかと怒り出す。

その後、昼食時間になったので、弁当を開けてみた義雄は、確か、鳥肉が入っているはずのおかずが卵に変っている事に気付き頭をかしげる。

一方、同じく、夏子の方も弁当を開けていたが、確か、おかずは卵だったはずなのに、何故か鳥肉に変っている事に驚くのだった。

その頃、鉱山の現場では、同じく卵焼きのおかずで弁当を食べていた瓶三が、一緒に横で弁当を開いていた親方から、その卵焼きを全部取られてしまいしょげ返っていた。

さらに親方からお茶を持って来るように言われた瓶三は、事務所にお湯と茶葉をもらいに行く。

そこで小使いになっていたのが金助で、二人は最初は、顔を確認せずに話しはじめたので、和気あいあいの状態だったが、ふと互いの顔を見ると憎たらしい相手と知り、又喧嘩を始めてしまうのだった。

その日の夜、帰宅した義雄は、自分が発明した洗濯機械のせいでフロックコートが白くなったと、洗濯屋の社長荒井増三、そして屋敷に帰れなくなった三太夫の二人から猛攻撃を受けていた。

実際は、薬品の投入ミスをした瓶三のせいなのだが、そんな事情は知らない義雄は黙って聞いているしかなかった。

損害賠償を請求してやると言い残し、洗濯屋の社長が帰った後、近所の八百寅(若宮金太郎)が、かねと春子に土産として肉を持って来た所だったが、それを見た三太夫は、損害賠償の一部だと言って、自分が持って帰ろうとする。

さらに、側にあった電気スタンドまでも持って行こうとするが、それは漏電していたので、感電してしまう。

すっかり気落ちした義雄だったが、その時、又近所から、女の歌声が聞こえて来たので、癇癪を起こしてしまう。

しかし、賠償金を払わなければならなくなった義雄は、母親のかねから、金輪際、発明を止めるちょうに釘を刺されるのだった。

そんな義雄は、勤めている会社の小使が金貸もやっている事を聞き金を借りに来る。

その小使とは、金助の事だったのだが、互いに顔を見ても親子とは気付かない。

それでも、義雄の面影と年頃に、自分の息子を重ね合わせた金助は、名前を尋ねるが、義雄が答えようとする度に、お茶を要求する社員たちの邪魔が入ってしまい、なかなか聞きだせない。

そうしている内に、義雄の側に来た瓶三が、金貸に本当の名前なんか教えたら後々大変な事になるから、偽名を使えとアドバイスしたものだから、戻って来た金助に、義雄は思わず「横川」と答えてしまう。

それでも、一応、義雄の人柄を気に入ったからか、素直に金を貸してやった金助は、近くで背中を向けている男が、子供が三人いるのにミルク代も買えないと言う話を聞くと、こちらも同情してつい金を出そうとするが、顔を見ると敏三ではないか!

怨み重なる相手と分かり、金助は出しかけた金を鞄に戻してしまうのだった。

ある日、電車で帰宅して来た義雄は、雨に降られ困っていると、傘を持った美女が一緒に入れと誘ってくれる。

それは夏子だったのだが、もちろん義雄が知るはずもない。

相合い傘になって送ってもらう途中、何気なく義雄が、自分が最近経験した、弁当箱のおかずが変ってしまう話をすると、相手の夏子も自分も同じ経験があると言い出す。

その後、傘に入れてもらった礼を言って別れた義雄だったが、一目で相手の事が気に入ってしまう。

帰宅した義雄は、母親のかねから、お前もそろそろ身を固めてくれと言われる。

その時、又、どこからともなく、女の歌声が聞こえて来たので、とうとう堪忍袋の緒が切れた義雄は、その歌声の主を探して近所を探し回り、とうとう目的の家を探し当てたので、玄関の外から苦情を言う。

玄関に降りて来て、ガラス戸越しに、応対をしたのは夏子だった。

自分は勉強の為に唄っているのだと反論するが、義雄があんまり理不尽な抗議をするので、さすがに怒った夏子が戸を開けてみると、目の前にいたのは、先ほど送ってやった青年ではないか!

義雄の方も、目の前に現れたのが、先ほど傘を貸してくれた美女だと気付き言葉を失ってしまう。

しかし、互いに意識し合う二人だったから、その後仲直りすると、義雄の自宅に挨拶に来る。

一目で彼女の事を気に入った母親かねが勤め先を聞くと、夏子は自由会社の販売課にいると言う。

かねは、息子の義雄は鉱山の機械の油差しをしていると教えると、二人は、いつも仕事の用で電話で話していた相手だった事にはじめて気付くのだった。

鉱山会社の給料日、社員たちは小使の金助に朝から盛んにベンチャラを言っていた。

全員、彼から金を借りており、今日、返済しなければならない身だったからである。

やがて、給料の配付が始まり、給料袋をもらって中身を確認しながら喜ぶ社員たちであったが、その場で、金助から、全額巻き上げられてしまう。

瓶三も、金助から金を借りていた一人だったが、一人娘が今晩嫁に行くので、何とか金の返済は待って欲しいと言い出し、それを聞いた金助が同情すると、舌を出して逃げ出してしまうのだった。

義雄からも、金を取ろうとした金助だったが、何故か、彼には返済を伸ばしてやると言い出す。

すると、感激した義雄が、実は自分の本名は横山義雄と言うのであり、先日はつい偽名を使ってしまいすまなかったと謝罪する。

それを聞いた金助は、相手が、想像通り自分の息子だったので感激するが、落ちぶれ果てた今の立場上、自分が父親だと名乗り出る事は出来ない。

それでも、その日、義雄の自宅をこっそり訪ねた金助は、家から出て来た年頃の娘とすれ違い、それが成長した春子(御舟京子)だと直感する。

見れば、軒先きには、昔と同じ「仕立物します 横山かね」の看板が下がっているではないか。

玄関口から中の様子を覗こうとした金助だったが、たまたまやって来た警官から疑いの眼差しで見られたので、ごまかしてやり過ごすと、今度は、家の横の窓から、中の様子を覗きはじめる。

すると、何やら今晩は、義雄の結婚式があるらしい様子。

母親かねは、こんな時にお父さんがいてくれたら…と嘆いていた。

思わず、自分のふがいなさに泣き出した金助だったが、表に出たところで、又、春子とすれ違ったので、思わず名前を呼び掛けてしまう。

しかし、見覚えのないおじさんに声をかけられた春子は気味悪がり家に入ると、母親の兄にその事を告げる。

何かを感じた義雄が玄関口にやって来ると、そこには、現金と国債と、結婚式に使ってくれと言う父親の署名がある置き手紙が置いてある事に気付き、すぐさま、それを母親に見せると、春子に、出会ったのはどんな人だったかと聞く。

春子が、何だか小使さんみたいな人だったと言う言葉を聞いた義雄は、ピンと感じ、すぐさま会社に飛んで行く。

その頃、金助は荷物をまとめて、事務所を後にする所だった。

一足違いで、事務所に駆け付けて来た義雄だったが、小使の姿がない事に気付くと、近くを探し回り、とぼとぼと遠ざかっていた金助の姿を発見すると追い掛けて捕まえる。

何とか、家に帰ってくれと頼む義雄に対し、今まで散々お前たちに苦労をかけた自分が今さら家に帰れる身分でもないし、せめてもう一花咲かせるまで待ってくれと金助は去ろうとする。

今まで自分達が苦労して来たのは、お父さんを迎えるためじゃないかと、強引に金助をおぶって帰ろうとした義雄だったが、おぶった相手は、たまたま通りかかった別の鉱夫だった。

それでも、結局、義雄は金助を自宅まで連れて来る。

金助は、久しぶりに会ったかねや春子の前では、何も言い出せなかった。

その頃、義雄の花嫁になった夏子は、文金高島田姿ながらも、いつものように陽気に歌を唄いながら、人力車に乗って義雄の家に向っていた。

その後ろから同じく人力車でついて着ていたのは、夏子の父親、瓶三だった。

ようやく、横山家に到着した二人は、出迎えた義雄から、目出たい事に今日、長年行方知れずだった父親が戻って来たと聞かされ、喜んでお会いしたいと申し出る。

そこに、羽織袴で登場したのは金助だった。

最初は、顔を見ずに挨拶しあった金助と瓶三だったが、ようやく互いの顔を確認すると、またもや喧嘩が始まり、この縁談はすぐに破談だと言い出す。

それからどうなったか…

すっかり年をとった二人は、その後も喧嘩を続けていた。

そんな二人の廻りに大勢の子供達が「蝶々」の歌を唄いながら、手を繋いで回っている。

その幼い子供達は、全員、金助と瓶三の孫たちだったのである。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

往年の人気漫才コンビ「エンタツ、アチャコ」主演の喜劇である。

彼らが所属していた吉本興業と東宝との提携作品で、監督は喜劇の名手斎藤寅次郎監督(もちろん、フーテンの寅次郎の名前の由来になった人)

ストーリーは、出会った時から相性が悪く、その後も互いに転職を繰り返しながらも再会を繰り返し、会う度ごとに喧嘩をしてしまう二人のドタバタ半生を核に、彼らの家族の奇縁を絡めた人情話になっている。

古い作品だけに、明らかにフィルムの欠落がある事を予想させるような辻褄の合わない箇所がいくつがある。

まず奇妙なのが、最初の二人の発明品が失敗してしまうシチュエーション。

これは明らかに、同じ「危険」と書かれた同じようなトランクを持った二人が、互いのトランクを取り違えたエピソードがあるはずである。

そうしないと、互いの失敗と言うオチに繋がらないのだ。

瓶三が竹筒に入れた花火は、実はすり変った「固形燃料」だったからこそ、筒ごと燃えつきてしまったのだし、一方、金助が木炭バスの燃料箱に入れたのは、瓶八が発明した「パラシュート花火」だった事は明らかだからだ。

次に奇妙なのは、義雄と夏子の弁当が入れ替わっていた事件の謎ときがない事。

これも、そのきっかけとなったエピソードが描かれていなければおかしい。

後半、人力車に乗った夏子の後ろから瓶三がついて来た段階で、ようやくこの二人が親子であり、あの日の二人の弁当が同じ卵焼きだったと言う事は納得ができるのだが、夏子の弁当と義雄の弁当がスリ変った事情はさっぱり分からない。

しかし、実は、意図的な省略で、客の考えオチ(少し考えて、オチを理解させる)にしている可能性もないではない。

最後の、時間の経過後のシュールな展開などは、決してフィルムが欠落しているのではなく、意図的に、間のエピソードを省略して、その後、義雄と夏子が目出たく結婚したのだと言う事を客が考えて理解する手法になっていると思われるからだ。

又、洗濯屋が使っていた新製品の洗濯機械が、実は義雄の発明品だったと言うのは、損害賠償の抗議をしに行く所で始めて、観客にも分かるように仕掛けられているのではないか…。

だから、その他の部分の唐突な展開も、ひょっとすると、そうした「考えオチ」を仕掛けた、かなり高度なテクニックなのかも知れないと考えたりもする。

ただ、トランクと弁当の間違いだけは、どう考えても意味が分からないのだが…。

実は、タイトルの意味も、分かるようでよく分からなかったりする。

夏子が、勉強の為唄っていると言うのも、単なる売り言葉に買い言葉としての言い訳だったのか、本当に歌手を目指していると言う背景があったのかも分からないまま。

ちゃちながら、明らかに「オリンピック」会場を連想させるセットが登場するのも興味深い。

これは、戦争で中止になった幻の東京オリンピック(1940)の事に違いないからだ。

この映画が作られた時期を考えると、明らかに皮肉を込めてあるのだろう。

エンタツ、アチャコは、元々しゃべくり漫才の人だけに、今、映画として観て、さほど面白いとも思えないのだが、とぼけたキャラの高勢実乗の存在は今観てもやはり面白い。

全体的に動けないベテランぞろいの中、若い義雄役を演ずる月田一郎が、真面目な役ながらも、走ったり転んだりと身体を使ったギャグを一生懸命演じているのには感心する。

エンタツの女房を演じている英百合子は、戦前はエノケンの映画にも出ているし、戦後は、社長シリーズで小林桂樹の母親を演じていたりで、結構、息の長い女優さんである。