TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

月光仮面('58)

1958年、東映東京、川内康範原作+脚本、小林恒夫監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

第一部

「立入現金」の立て札のある野外実験場では、今正に、空気中を一瞬の内に真空状態にして、植物も動物も皆、窒息させてしまうと言う世紀の大発明「HOジョー発爆弾」の実験が秘密裏に行われようとしていた。

監視所には、発明者の中山博士(宇佐美淳也)、赤星博士(佐々木孝丸)、田坂(永田靖)ら「宇宙科学研究所」のメンバーをはじめとする関係者たちが、爆発の時を待っていた。

その時、研究所に侵入しようとして、警備員たちに発見された一人のスパイが、ジープを奪って実験場の方へ逃走しはじめる。

警備員たちもジープで追尾するが、危険地域ギリギリの境界線の所までしか追えなかった。

やがて、爆破時刻になり実験は成功するが、喜びに沸く監視所の中山に第二監視所から電話が入り、スパイらしき人物が実験場の危険地域内に侵入し、死亡したらしいとの連絡を受ける。

それを聞いた中山博士は、平和利用のために発明したつもりだった爆弾で、ついに犠牲者が出てしまったか…と嘆くのだった。

しかし、赤星博士らがそれを勇気づけ、共に防護服を身に付け、爆心地の調査に向ったのだが、そこで彼らは、髑髏の面を被り、黒マントをした奇妙な怪人4名が立っているのに気付く。

研究所に戻った彼らは、「HOジョー発爆弾」の機密の入った鞄を盗まれたと、建物から飛び出して来た助手に迎えられる。

部屋に向うと、そこには、「HOジョー発爆弾を頂いた どくろ仮面」と書かれた置き手紙が残されていた。

彼らは、すぐに祝探偵に連絡するよう手配する。

電話を受けたのは、探偵事務所で留守番をしながらバーベルを持ち上げ美容体操をしていたカボ子(若水ヤエ子)だった。

カボ子は、どくろ仮面出現の知らせに驚くが、祝先生はインドに旅立つ為、羽田に向った所だと伝える。

その頃、羽田空港では、探偵の祝十郎(大村文武)が、ニューデリー警察からの依頼者、インド人アダラ・カーン(沢彰謙)、助手の五郎八(柳谷寛)、中山博士の娘で、祝の留守中、少年助手の繁君(原国雄)、木の実ちゃん(藤井珠美)の世話を請け負ったあや子(峰博子)らに見送られて、インドに飛び立つ所だった。

祝がゲートを出て飛行機に向ったところで、彼の名前を呼出す空港案内のアナウンスが流れたので、五郎八は慌てて祝の後を追うが、カーンの方は、何故か余裕があるかのように葉巻を吸い始める。

その頃、どくろ仮面の隠れ家では、宇宙科学研究所から部下のタイガー(長谷部健)が盗み出して来た鞄を切り裂いて中を確認していた所だったが、肝心の機密書類が入ってない事に気付き、どくろ仮面は激怒していた。

どくろ仮面は、失敗したタイガーに向い、お前の妹ユリには、もう一働きしてもらうと告げる。

そこに、部下のカーンが戻って来て、祝はインドへ旅立ったと報告する。

祝のインド旅行も、どくろ仮面が仕組んでいた罠だったのだ。

その頃、中山博士は自宅に戻り、繁少年と木の実ちゃんを預かって来たあや子に会った後、一人応接室に向う。

様子がおかしい事に気付いたあや子が、博士の元に来て訳を聞くと、今日の実験で、人が一人死んでしまった。

自分は、真空状態を作る事で飛行機の発達に役立つのではないかと考えて作ったが、田坂などは、殺人目的の為にしか認めていないのが辛い。今日も、機密書類が危うくスパイに盗まれかけたが、幸い書類は無事だったと話しはじめるが、そこへ茶を運んで来た女中のユリは、その話の最後の部分に聞き耳を立てていた。

部屋を出たユリは、別の部屋に向うと、そこに隠されていた盗聴器で、応接室の会話を聞きはじめる。

中山博士が、実は書類は自分が身に付けていた。この保管はあや子なら大丈夫だろう…と言っている途中で、盗聴器の調子がおかしくなり会話が聞き取れなくなってしまう。

応接室の中山博士は、ロケットの中に機密書類を入れ、それをあや子の首にかけてやっていた。

廊下に出たユリは、繁と木の実が廊下を這っていた盗聴器のコードに気付き、これは何?と聞きながら、コードを切ってしまった事に気付く。

慌てて、応接室の前に行き、何とか中の会話を聞こうとしたユリだったが、電話がかかって来たので、やむなくそれに出る事になる。

電話は、赤星博士からのもので、今夜伺うと言う内容だったので、中山博士にそう伝えに行く。

その夜、中山邸にやって来た赤星は、自分が研究中の大気圏円盤の設計図も「HOジョー発爆弾」のようにスパイに狙われるかも知れないので、あなたの書類の保管場所と同じ所に納めてもらえないかとの依頼をする。

その直後、彼らは部屋の壁に、どくろの面をいくつも発見し驚くが、二階から繁、木の実と共にかけ降りて来たあや子も、今、二階の窓にどくろ仮面の姿が現れたと怯えた様子で報告する。

警備のため、庭で待機していた警官も、その報告を受け、慌てて庭内を巡回しはじめる。

その知らせを、繁から電話で受けたカボ子は、居眠りしていた五郎八を、花瓶の水をかけて起こすと、彼のスクーターで中山邸に向うのだった。

中山邸に到着し、庭先で繁らと合流した五郎八だったが、どくろ仮面なんて恐怖心が生み出した幻覚ではないのかと自分なりの推理をしてみせる。

しかし、その時、数人のどくろの面を被った怪人たちが6人出現し、さすがに幻覚ではなかった事を悟る。

応接室にいた中山博士とあや子の前に現れたタイガーは、機密書類を出すまであや子を預かると、彼女を拉致してしまうが、その時、首につけていたロケットが外れて落ちてしまう。

そのロケットを拾った中山博士が、娘を追って庭に出てみると、そこに月よりの使者月光仮面が出現し、怪人たちを蹴散らしてあや子を救出する。

月光仮面は、唖然とするあや子や中山博士に向い、私は貴女達の味方、正義の味方だと告げて、逃げたタイガーたちを追って行く。

車で逃走していたタイガーやどくろ怪人たちの車をバイクで追走していた月光仮面は、拳銃でタイヤをパンクさせる。

車を捨てたタイガーは、ボスのどくろ仮面が待ち受けていた墓場に報告に向うが、そこにも月光仮面は出現し、正義が勝つか、悪魔が勝つかと挑みかかる。

手下のどくろ怪人を捕まえた月光仮面であったが、敵からその人質を撃たれた一瞬の隙を突かれ、どくろ仮面一味に逃げられてしまう。

翌日、宇宙科学研究所の会議に出席した中山博士は、実は「HOジョー発爆弾」には、実験用に作っておいた予備がもう一つ残っている事を、他のメンバーたちに報告していた。

それは危険だと言うので、警察に警護を頼み、安全な場所へ移すよう他のメンバーは勧める。

一方、カボ子と二人で、インド料理のレストラン「オリオン」にやって来た五郎八は、メニューに書かれたインド文字が読めず、カボ子に任せると、彼女も読めなかったので、適当な所を指差し、「インドカレー」を頼んだとごまかしていた。

ステージでは、子供たちによるトロンボーン、ドラム、ベース、アコーディオンと言う四重奏ミュージカル・ピーナッツの演奏が披露されていた。

偶然、別のテーブルには、アダラ・カーンらどくろ仮面の配下たちが来ており、そこにやって来た同じく仲間のバテレンお由(原泉)から、ボスの手はずの指示を受けはじめる。

そのカーンの姿を発見した五郎八が、名にも知らずに近づいて来て、インドに行った祝先生から、その後、何の便りもないのだと伝える。

テーブルに戻った五郎八は、インドカレーとは全く違う料理が運ばれて来たので、カボ子と二人で唖然としていた。

その頃、宇宙科学研究所に向っていた警察のパトカーとサイドカーが、待ち伏せていたどくろ仮面の一味に襲撃される。

大金庫から予備の「HOジョー発爆弾」を取り出し、田坂らと共に車に乗り込むと、迎えに来たパトカーと共に出発した中山博士は、向う道順が違う事に気付く。

実は、その後を、スクーターに乗った五郎八が追跡していたのだが、肝心な所でエンストを起こしてしまい、止まってしまう。

中山らが乗っていた車が人気のない場所で止まると、追走していたパトカーから、どくろ仮面の一味が現れ、中山に降りるように命ずる。

そこには、どくろ仮面が待ち受けていたのだ。

ところが、中山らの車に乗っていた見知らぬ男も一緒に降りると、その顔を見たどくろ仮面は驚愕する。

何と、その男こそ、インドに行っているはずの祝十郎探偵のその人だったからである。

気がつくと、背後には、松田警部(須藤健)をはじめとする警察隊が迫っているではないか。

罠にかけたつもりが、逆に罠にはめられていた事に気付いたどくろ仮面一味が狼狽していた時、猛スピードで迫って来たスクーターに乗った五郎八が、敵に奪われた鞄をひったくって逃げて行く。

慌てたどくろ仮面たちは、車に乗り込み、その後を追跡しはじめる。

追い付かれそうになった五郎八は、前方から、祝探偵の車が接近しているのを確認、スクーターを降りると、鞄を持って走りはじめる。

それを追って来るどくろ仮面の一味。

祝も又、車を降りると、五郎八に近くに駆け寄り、かくしてフットボールのような鞄の争奪戦が開始される。

やがて、鞄を奪い取ったどくろ仮面の一味が車で逃走すると、いつの間にか、月光仮面が追尾している。

どくろ仮面の一味は、爆弾を投げて、自分達が渡り終えた橋を爆破するが、月光仮面のバイクは、その川を飛び越えてしまう。

そして、どくろ仮面の車に接近すると、その中に飛び移って格闘を始める。

その時鞄が落ちたので、それを拾って逃走した月光仮面だったが、逃げ込んだ陸橋の上で、反対方面に立ちふさがっているどくろ仮面に気付く。

追って来た一味の連中と格闘をしている時、ちょうど、下の線路を通過していた列車の屋根に、奪い合っていた鞄が落ちてしまう。

どくろ仮面一味は、車で、その機関車を追跡始める。

同じく、上空には、列車を追うヘリコプターが現れ、それを操縦していたのは月光仮面であった。

どくろ仮面は、走っている列車に飛び移り、その屋根を伝って、落ちた鞄の場所まで到達するが、それを手にしようとした瞬間、上から降りて来た鈎付きのロープで鞄を吊り上げられてしまう。

その直後、「HOジョー発爆弾を一個頂戴した 月光仮面」と書かれた紙をつけた小型パラシュートがヘリから投下される。

しかし、中山博士を捉えていたどくろ仮面は、隠れ家に戻ると、新たな指示を部下たちに出す。

中山邸では、中山博士が事故で入院したと言う知らせを受けたあや子が、警備の警官から、一応、確認を取った方が良いのではないかと言われながらも、焦る気持ちで、女中のユリと一緒に、迎えの車に乗り込もうとしていた。

そこにやって来たのが、祝十郎。

彼は、女中のユリこそ、どくろ仮面の手下の一人、ジプシーの百合子である事を指摘し、彼女が抜きかけた拳銃を押さえ付けるが、そのはずみで発射した銃弾が、迎えに来ていた敵の運転手の腕に当ったので、慌てて、車を発射させて逃げてしまう。

ユリを警官に渡した祝は、中山博士は、今、敵に捕まっているが大丈夫だと、ロケットを首に下げたあや子を慰めるのだった。

その後、一人二階の自室に戻ったあや子は、ベランダの手すりの上に何かが置いてあるのに気付き見に行くと、それはオルゴールで、開くと中に「危険迫らば、この箱を開けよ 月光仮面」と書かれてあった。

一方、警察に連行されて来たユリは、松田警部の尋問を受けていたが、全く口を割る気配はなかった。

その頃、どくろ仮面のアジトでは、捕えられた以上、殺すしかないと判断したどくろ仮面が、妹は、兄のお前の手で殺してやれとタイガーに命じていた。

さすがに躊躇するタイガーだったが、我々スパイには個人の感情は許されんとボスから言われると、抵抗は出来なかった。

ユリの身柄は、警察から検事局に移送される事になる。

その車を別の車に乗って追走していたタイガーは、銃で、相手の車の運転手を撃ち停車させると、自らも車を降り近寄って行くが、その姿に気付き、走りよって来た妹ユリはさすがに撃てなかった。

その様子を車の中から監視していたカーンは、裏切者!と叫んで、タイガー目掛けてナイフを投げ付ける。

ユリの車に乗っていた祝は、倒れたタイガーを抱き起こした後、車で逃走するカーンを追跡する。

カーンは、慌てていたため、通りかかったスクールバスの側面に車をぶつけてしまい、徒歩で逃げだすが、その様子を見ていたのは、バスに乗っていた繁と木の葉。

彼らもカーンを追い掛けはじめるが、逆に、待ち伏せしていたカーンから追われる事になってしまう。

レストラン「オリオン」の裏口に逃げ込んだ繁と木の葉は、出演の準備をしていたフォア・コインズの控え室に入り込む。

追って来たカーンは、店の中を二人の子供の姿を求めて探し出すが、とうとう、ステージ上で演奏をはじめたフォア・コインズの中に二人が混じって演奏している姿を発見、客たちが観ている中、強引にステージ上に上がり込むと、クラリネットを吹いていた木の葉をさらって逃げ出すのだった。

追って外に出た繁だったが、カーンは、ちょうど店の前に停まった車の運転手を引きずり出すと、木の葉を乗せて走り去ってしまう。

近くの公衆電話から、警察にいた祝探偵に、逃走車のナンバーを連絡する繁少年。

すぐに、乗り捨てられた手配車は見つかるが、中はもぬけの殻。

しかし、祝探偵は、その近くにある謎の建物に注目していた。

その建物の中では、中山博士が見ている中、連れて来られていた木の実が紐で天井から吊されていた。

さらに、その下の床が大きく開くと、油がためられている。

そこに向って、どくろ仮面が口から火を吹くと、たちまち炎の海が出来、そこに紐で吊された木の実が降ろされて行く。

木の実の泣叫ぶ姿を見た中山博士はさすがに絶え切れなくなり、機密書類の隠し場所は、あや子のロケットの中だと白状してしまう。

その時、銃声が響くと、開いていた床の仕掛けが破壊され閉まる。

二丁拳銃を構えて現れた月光仮面は、博士と木の実を縛っている紐を解かせる。

その時、バテレンお由の目の合図で、室内の電気を消す子分。

それを合図のように、どくろ仮面の一味と月光仮面の間に壮絶な銃撃戦が始まる。

屋敷には、警察隊も到着、逃げ出した一味を追って裏廊下に出た月光仮面だったが、待ち伏せていたカーンが壁のスイッチを押すと、廊下の一方が閉まり、逃げ場を失った月光仮面にマシンガンを浴びせはじめる。

しかし月光仮面は廊下の脇道に身を隠し、銃で応戦する。

裏口から車に乗り込み逃走するどくろ仮面一味を、月光仮面もバイクで追う。

車に乗っていたどくろ仮面は、追って来る月光仮面に向い口から火を吐いて妨害すると、高笑いするのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

二部構成になっている劇場版「月光仮面」の第一部。

国産初のテレビヒーローとして有名なこの作品だが、大瀬康一が主演したテレビ版とは別に、大村文武主演の東映娯楽映画版としてもシリーズが作られており、当時、まだテレビがなかった家庭の子供の中には、こちらの東映版で月光仮面に親しんだ人たちもかなりの数いるようだ。

主題歌はテレビ版と同じだが、テレビでは谷貫一が演じていた五郎八役が、映画版では柳谷寛、テレビ版でのカボ子役九里千春が映画版では若水ヤエ子になっていたりする。

又、テレビ用とはバイクも違っており、コスチュームも、映画版ではきちんと二丁拳銃を納めるサックが腰の両側についているなど微妙に違っている。

主役を演ずる大村文武は、当時の東映時代劇に良く出て来るタイプの、切れ長の目元も涼しい美剣士タイプと言った感じで、たくましさなどはないが、今観ても、なかなか好感が持てるお兄さんキャラクターである。

基本的に、子供向け映画なので、ストーリー的には御都合主義の連続と言った感じで、つながりが良く分からない箇所もいくつかあるし、そもそも、目立たず機密を盗む事が目的のはずのスパイが、怪盗団のようにどくろの仮面や黒覆面など、いかにも怪しげな扮装で出現しては、相手に警戒心を起こさせるばかりで全く逆効果しか与えないのではないかと思われるが、その辺の矛盾点には、当然ながら、当時の子供達は全く気付かなかったのだろう。

通常、この手のシリーズものの第一作には、ヒーロー誕生の秘密とか説明があるはずなのだが、月光仮面においては、その手の解説は全くない。

何故、月光仮面がインド人のようにターバン姿であり、この作品でも、やたらとインド人やインドと言ったキーワードが出て来るのか、結局、分からないまま。

映画版では、テレビ版のように、飛び上がって空中で消えたりと言った「意味不明の魔法?」は使わず、徹底して銃撃戦と格闘で戦っているので、テレビ版のような超人としての不可思議さは描かれていない分、さほど気にならないと言えばならないのだが…。


 【送料無料】 DVD/邦画/月光仮面/DSTD-2942

 【送料無料】 DVD/邦画/月光仮面/DSTD-2942
価格:4,116円(税込、送料込)

月光仮面 【DVD】

月光仮面 【DVD】
価格:3,888円(税込、送料別)