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1963年、東宝、田波靖男脚本、坪島孝監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

鶴亀製菓の総務課に勤める田中太郎(植木等)は、独り住まいのすみれケ丘団地の一室で朝起きると、顔を洗うのもそこそこに、バスに乗り遅れまいと棟を出るが、ちょうど自転車で通りかかったクリーニング屋とぶつかりそうになり、倒れたはずみに、気をつけろと怒鳴られてしまう。

バスの停留所で列の後ろに並ぶと、人相の悪そうな男が割り込んで前に入るが、何も言えないままだったので、結局、やって来た八重洲口行きのバスに乗り遅れ遅刻してしまう。

エレベーターに乗り込むと、ちょうど後から来た石黒専務(山茶花究)と小谷秘書(谷啓)と乗り合わせてしまい、後で大沢課長を呼んでくれと伝言される。

その石黒専務は、エレベーターを降りる時、エレベーター係りの久保田美奈子(藤山陽子)の尻を触って行くのだった。

総務課に到着した太郎は、さっそく大沢課長(ハナ肇)から、遅刻の事を叱りつけられるが、一旦席に戻りかけて、石黒専務から大沢課長が呼ばれていた事を思い出し、伝える。

ようやく自分の席についた太郎だったが、隣の席の河野玲子(北あけみ)から声をかけられても、上の空。

その頃、会議室では、石黒専務が、新しく開発した「ハッスルコーラ」を重役陣に発表していた。

実は、軽い興奮材が入っていると言うのである。

その効果はあるのかと大江山社長(清水元)が尋ねたので、呼ばれて立っていた大沢課長に飲ませかけるが、もっと効果がはっきり分かるように、会社で一番無気力な男を呼んで来いと言う事になり、すぐさま田中太郎が呼ばれて、訳も分からずコーラを飲ませられる。

しかし、重役たちから感想を聞かれても、美味しいですと言うだけで、特に変化はなさそうだったので、業を煮やした石黒専務は、小谷に一カ月分、彼の元にコーラを届けておけと命ずる。

一旦、部屋を出て帰りかけていた太郎だったが、急に立ち止まると、何か急激な変化が起こったのか、しゃきっとすると、会議室に取って返し、一言申し上げたいと言い出すと、今の状況のままでは会社はダメなので、自分達も頑張るが、重役の皆さんももっと頑張って欲しいと激を飛ばしはじめる。

さらに、石黒専務には、エレベータガールの尻を触るなどと言うような行為は慎んでもらいたいとまで言い出したので、側で聞いていた大沢課長は真っ青になる。

指摘された石黒専務の方も顔色をなくすが、明らかに太郎の体調に変化があった事は疑いようもなかった。

タイトル

総務課では、評判の悪い木塚(犬塚弘)と言う社員が、馴れ馴れしく玲子をボウリングに誘っていた。

しかし、そこへ戻って来た太郎は、ぴしゃりと木塚を追い返すのだった。

その態度の変化に驚いた玲子は、急に太郎に魅力を感じたらしく、その夜プールに行かないかと誘って来る。

その会話を聞き、仕事中のおしゃべりを注意しようとした大沢課長までもが、それが太郎と分かると、仕方なさそうに諦めるのだった。

プールでも、太郎は颯爽と泳ぎ、玲子をうっとりさせるが、ちょっと小用に立った太郎は、見る間に元気がなくなっている自分に気付き、首を傾げるのだった。

その頃、太郎を待ってプールに入っていた玲子は、不良らしき男たち(岩本弘司、小川安三、西條康彦、鈴木孝次、当銀長太郎)に取り囲まれ、体を触られる嫌がらせを受ける。

そこに戻って来た太郎は、不良たちの姿を見ると、急に怖じ気付き、助けてと頼って来た玲子の体の影に隠れる始末。

結局、近づいて来た不良たちから引きづりだされ、頭を殴られてしまう。

いつの間にか、太郎は剣豪宮本武蔵になって、五人の敵と戦っていたが、あっさり二刀流で打ち負かすと、倒れていた姫君(北あけみ)を助け起こし、気付け用の水を飲ませるのだった。

しかし、現実に、玲子からハッスルコーラを飲まされていたのは気絶した太郎の方だった。

その夜、太郎の団地を訪ねて来たのは、石黒専務の秘書の小谷と、エレベーターガールの美奈子だった。

何でも、石黒専務は美奈子に秘書にならないかと誘って来たのだと言う。

結構な事じゃないかと応じた太郎だったが、そうなると、自分が職を失い、どこかに飛ばされてしまうと小谷は渋い顔。

すると、太郎は、自分の経験で、このハッスルコーラにはポパイのホウレン草みたいな効果があると分かったので、君もこれを飲んで元気を出せと励ますのだった。

翌朝、朝起きた太郎は、さっそくハッスルコーラを飲んで出勤する。

その日も、クリーニング屋の自転車とぶつかりそうになるが、さっと避けると、バスの停留所の列に並ぶ。

すると、昨日と同じ男が割り込んで先頭に立ったので、太郎は自らその男に公衆道徳を守れと怒鳴り付けると、先頭に立ち、いつも一緒の美女と自分だけが先にバスに乗り、他の連中を置いてきぼりにして発車させてしまう。

バスの中で礼を言って来た美女は、大東京商事の前川恵子(浜美枝)と名乗る。

出社した太郎は、独り、催眠術の本など読んでいる小谷を発見する。

それを覚えて、専務の気を変えようと思っていると言うのだ。

しかし、呆れた太郎は、ハッスルコーラでも飲んでいる方が効果があると一笑する。

その日も、エレベーターに乗った石黒専務は、美奈子の尻を触りかけるが、それを避けた美奈子からビンタをされてしまう。

社長に呼ばれ、あのハッスルコーラは衛生局の許可が下りなかったそうじゃないかと追求された石黒は、確かに、興奮材が引っ掛かって販売できなくなったと言う。

こうなったら、興奮材を抜いて、普通の清涼飲料として売るしかないと判断した石黒は、大沢課長を呼出すと、個室に連れて聞き、あのコーラを販売するため別会社を作るから、そこの営業部長になる気はないかと持ちかける。

別会社に移ると言う事は、今の会社を辞めろと言う事で、さすがに大沢は躊躇するが、そろそろ君も、事業家としての修行を始めても良いのではないか、今後は自分がしっかり面倒見るからとまで専務に言われると、受けて立つしかなかった。

その夜、妻の好物のショートケーキを手みやげに帰宅して、今度部長になったと伝えた大沢だったが、妻の百合子(北川町子)は、子会社と聞いて暗い顔になる。

それでも、大沢は、自分のバックには専務がついているから大丈夫と、百合子と甘いムードになりかけるが、いつの間にか、田中太郎が庭先に立っていた事には気付かなかった。

その時になって、ようやく太郎の存在に気付いた大沢は、気恥ずかしさをごまかす意味もあって田中を家に上げ、ビールを振舞うと、別会社の事を打ち明けるのだった。

あのコーラは絶対売れると太鼓判を押す太郎のヨイショもあって、すっかり有頂天になった大沢は、ビールを何本も持って来させ、すっかり不機嫌になった百合子から向こう脛を蹴られてしまうのだった。

やがて、鶴亀製菓の社内に、「ハッスルコーラ販売株式会社」と言う子会社の部屋が作られる。

さっそく、石黒専務の元に出向いた大沢は、希望の人事案を提出するが、石黒は、人事はすでに決めていると名簿を見せて来る。

それを見た大沢は驚愕してしまう。

皆、会社内で評判の悪い連中ばかりだったからだ。

人事もやった経験のある大沢は、その連中の事を良く熟知しており抗議をするが、すでに決定済みの事として、聞き届けられなかった。

子会社にあてがわれていた部屋は、ノミがいるような元倉庫だった。

集められた6人、桜田(桜井センリ)、木塚(犬塚弘)、石井(石橋エータロー)、安川(安田伸)、小谷(谷啓)、田中太郎(植木等)は、どれも一癖ありそうな連中ばかりだった。

しかし、やる気の全くなさそうな部下たちに叱咤激励した大沢は、自らを戦争中の小隊長に重ねて、突撃するシーンを妄想する。

何とか、やる気を出した部下たちだったが、現実は厳しく、弱小企業に過ぎない彼らの売り込みはどこに行っても全く相手にもされなかった。

石田と太郎は、宣伝を描いた小型トラックで走っていたが、その横を大手の飲料メーカーの大型運搬車が次々に追い抜いて行く。

大沢と桜田が売り込みに行った日本橋の老舗の二代目よろずや伝兵衛(鈴木和夫)は、二人に振舞った飲み物が、日本飲料のペプシコーラと教えて、二人をずっこけさせる。

木塚と小谷は、品物を置いてくれたマーケットに視察に行ったものの、部屋の片隅に隠れるように置いてあっただけなので、怒った小谷は、店長に催眠術をかけようとし始め、松沢病院の救急車が駆け付ける騒ぎとなる。

精神病院に連れて行かれそうになった小谷を助けようと、木塚は救急隊員たちを殴りはじめたので、パトカーが駆け付け、最後には消防車までやって来る大混乱になる。

その後、社長から、別会社はどうなっているのかと聞かれた石黒専務は、あんな会社は赤字になっても、責任は大沢以下の厄介者たちにおっかぶせれば良く、自分はコーラ会社の役員を辞めれば済む事だし、どのみち辞めさせようと思っていた連中ばかりなので問題ないと嘯く。

それをしっかり聞いていたのは、秘書になっていた側に控えていた美奈子だった。

ある日、太郎と恵子は、公園のボートに乗ってデートしていた。

漕いでいる恵子に向い、寝そべっていた太郎は、確か君は、大東京商事の電話交換手をやっていたと言っていたが、あそこの会社には食品部門もあったはずだ。何とか社長に紹介してくれないかと頼むが、声は聞いた事があるが、その姿さえ見た事がない畑中社長を紹介するなど、自分にはとても出来ないと断わられる。

社長には、時々愛人などから電話がかかって来るのではないかと探りを入れても、あの方は、奥様しか愛しておられず、そんな不潔な人物ではないと言い切る恵子に、何かを思い付いたらしい太郎は、急にハリキリだし、漕ぐのを交代しようと立ち上がったため、バランスを崩して池に落ちてしまう。

大東京商事の社長室に座っていた畑中社長(上原謙)は、机上の電話が鳴ったので出てみると「ハッスルコーラ」と一言女の声が告げて切れてしまう。

不思議に思い、電話を切ると、又かかって来て、出ると、同じように「ハッスルコーラ」と女が一言言って切ってしまう。

これが何度も繰り替えされたので、さすがに神経的に参った畑中は、電話交換手全員を社長室に集合させると、一人づつ「ハッスルコーラ」と言わせてみて、犯人探しをしようとするが、一番右にいた恵子のような気もするし…と言いながらも、正直良く分からなかった様子。

結局、交換手は全員引き上げて良い事になるが、恵子があまりじっと社長の顔を見ていたので、畑中が訳を尋ねると、いつも社長を尊敬しているからだと答える。

その後、一人になった畑中は、机上の写真立てに入れてある妻(中北千枝子)の写真を見て、何事かを考えるのだった。

そこへ又電話がかかって来て、ハッスルコーラからだと言う。

電話に相手は、今度は男の声だった。

今まで嫌がらせをして来たのは君かと、畑中が尋ねると、相手の男は今はじめてかけたと言う。

一度折り入って話があるとかけて来た相手は、田中太郎だった。

畑中は興味を持ち、バー「ハッスル」で会おうと返事をする。

大沢と太郎が指定された店にやって来ると、ホステスの明子(淡路恵子)がやって来て、常連である畑中社長とは二度ばかりお茶漬けを食べに行った事があると聞かされる。

その後、その畑中が来たので、明子は別の客の席に移る。

疑心暗鬼の畑中は、ハッスルコーラを名乗る二人の男から明子との仲をカマをかけられると、妻が差し向けた連中ではないかと疑っているようで、明子とは何でもないんだから、あいつには何も言わないでくれと釘を刺して来る。

太郎たちは、畑中社長は大事なお得意さんなので、そんな事は絶対にしないと約束する。

そして、明子を呼びに行った太郎だったが、明子を独占していたのは、金丸と言うこの店の出生者だと知る。

すると、太郎は、出資者と言う事はこの店の主人も同様だろう、その主人が客の邪魔をしてどうすると文句を言い、怒った金丸を外におびき出すと、外で待っていたタクシーに乗せ、そのまま家まで送り帰してしまうのだった。

ちょうど、その店の前を、石黒専務と玲子が連れ立って歩いていた。

その頃、美奈子とブランコに乗っていた小谷は、美奈子から石黒専務の悪だくみの話を聞かされるが、懲りずに催眠術を彼女にかけてキスしようとして、簡単に突き飛ばされてしまう。

その後、大沢の家に出向いた小谷は、同席していた太郎と大沢に、先ほど美奈子から聞いた話を言い出そうとするが、二人は、畑中社長と関係を持つ事が出来た事に有頂天になっており、小谷もその雰囲気に飲まれ、切り出せないまま又酒になる。

しかし、浮かれる男たちを尻目に、妻の百合子は、毎晩毎晩、大沢がただ寝るためだけに帰宅するようになった最近の生活に耐えられなくなったので、実家に帰ると言い出す。

そんなもめ事はあったが、大東京商事の後ろ楯を得たハッスルコーラは飛ぶように売れはじめる。

ところが、ある日、工場がストップしてしまい、製品の出荷がなくなってしまう。

専務命令で製造がストップされたのだと聞き、訳が分からない大沢は呆然とするが、その時になってようやく、小谷が美奈子から聞いた専務の裏工作の話をする。

その頃、電話交換の仕事中だった恵子は、畑中社長に電話をして来た明子が、箱根に連れて行ってとねだっている会話を盗み聞いて、社長に抱いていた清廉潔白なイメージを崩してしまう。

屋上に出向いた彼女に会いに上がって来たのは、ちょうど、営業でこちらに来ていたと言う太郎だった。

その太郎が、社長とバーの女の仲を取り持ってやったら巧くいったと嬉しそうに話だしたので、幻滅した恵子は、自分の目的の為に手段を選ばないような人は嫌いと言い放ち、その場を去ってしまう。

ハッスルコーラの会社に戻って来た太郎は、仲間たちが全員、昼日中から、麻雀や将棋をして遊んでいる姿を見て愕然とする。

訳を聞くと、専務から、この会社の元が取れたところで解散すると言われたというのだ。

続けたければ、自分達で資金を作って来いと言われたと言うので、何とかやってみようじゃないかと太郎は励ますが、5000万もの大金をどうやって調達したら良いのか、皆目見当もつかなかった。

それでも、太郎は、可能性がある限り、諦めずに試してみようと全員を鼓舞するのだった。

さっそく、ホステスの恵子の取り引き相手だと言う安全銀行城南支店に出向いた大沢と太郎は、そこの支店長と名刺交換をするが、会釈していた頭を上げ、その支店長の顔を間近に見た二人は、先日、バー「ハッスル」で喧嘩した金丸だった事を知り、即座に消えるのだった。

会社に戻り、又悩んでいた太郎だったが、銀行ギャングになって、安全銀行を襲う妄想に耽る。

その妄想の中では、時計仕掛けになっているため、支店長でも開く事が出来ないと言われた大金庫の前で困惑した太郎や大沢を尻目に、進みでた小谷が、いつもの催眠術を大金庫に向ってかけてみると、驚いた事に効いて、金庫が開くと言うバカバカしいものだった。

現実に戻り、その小谷が、この際、今夜盛大に解散式をやろうと言い出す中、太郎は諦めずに、支店長がダメなら、銀行の社長に直に接触してみようと言うではないか。

呆れた大沢が、銀行には社長はいない。「頭取(あたまどり)」だととんちんかんな事を教えると、何も知らない太郎は感心するのだった。

安全銀行の頭取岩下金兵衛(東野英次郎)は、秘書の八田(堺左千夫)を連れて、息抜きにトルコ風呂に出かける。

糖尿病を患っている岩下には、もう何もする事は出来ず、青春を取り戻してくれる者がいたら、どんな事でも叶えてやるのに…と、マッサージ嬢に体を揉まれながら呟くが、その瞬間、隣の部屋から「叶えましょう」と言う声が聞こえて来る。

見ると、隣との間仕切りの上に、見知らぬ二人の男が覗いているではないか。

それは、銀行から岩下をつけて来た大沢と太郎であった。

無礼じゃないかと憤る岩下の部屋に入り込んで来た二人は、青春を取り戻せたら、何でも叶えてやると言われましたが、私たちは、ばっちり効く方法を知っていると伝える。

そんな事を言った覚えはないととぼける岩下だったが、側にいたマッサージ嬢が証人になってくれた。

そのまま、岩下を箱根のホテルに連れて来た二人だったが、思わぬ冒険旅行に、当の岩下の方がウキウキとし出す。

一方、岩下の自宅に車で乗り付けて来ていた小谷は、岩下の奥さんらしき老婦人を車に乗せようとしていたが、実は、それを見ていた若い女性の方が本当の後妻、雪子(瓜生登代子)で、老いた方は女中のおたね(千石規子)だったと知る。

その頃、頭取失踪を八田から聞かされた金丸は、その妻もどこかに連れて行かれたと、自宅の方から聞かされ、犯人探しに躍起になっていた。

電話の向こうのおたねが言うには、犯人はお土産を置いて行き、それは「ハッスルコーラ」だと言うではないか。

すぐにピンと来た金丸は、名乗らず、ハッスルコーラの会社に電話を入れ、大沢と太郎がどこにいるか尋ねると、電話に出た木塚が、ついうっかりと、二人なら箱根に行っているとばらしてしまう。

箱根のホテルでは、大沢と太郎に接待された岩下が、ハッスルコーラを飲みながら、「充たされた夜」と言うブルーフィルムを見せられた後、半裸の女性のダンスを間近で見せられていた。

一方、同じホテルの別室に連れて来られていた妻の雪子は、会わせてくれると言う岩下を、なかなか連れて来ない小谷に業を煮やし、自分で探しに行くと部屋を出そうになる。

困った小谷は、又いつものように、三面鏡の前に座った雪子に催眠術をかけて静かにさせようとするが、鏡に写った自分自身が術にかかってしまう。

岩下の方は、すっかり青春を取り戻したようで、女房に会いたくなったので、車を呼んでくれと言い出していた。

待ってましたとばかりに、大沢と太郎が、実は奥様をここに呼んでありますからと伝えると、岩下はその気配りにすっかり感心するのだった。

ところが、その最中、大沢は窓の外に意外な人影を発見する。

何と、実家に帰っていたはずの百合子が、泊まっているではないか!

ちょっと用事があると、大沢が席を外して閉ったので、独り、小谷の待つ部屋に出向いた太郎は、そこで怯えている雪子と、すっかり催眠術にかかって、奇妙な行動を取っている小谷を発見する。

百合子の部屋を探していた大沢は、明子と二人連れの畑中社長とばったり出くわしてしまう。

畑中の方も驚いたようだが、さらに驚いた事に、妻の静子が目の前に来ているではないか。

電話交換手の前川恵子が連れて来たのだった。

慌てた畑中は、連れていた明子を、こちらは、この大沢の妻だと押し付けてしまう。

そんな畑中を連れて、静子は部屋に戻って行く。

取り残された恵子はぶ然とし、自分にはもう戻る部屋がなくなったので、あなたの部屋に泊まらせてくれと大沢に迫る。

そんな小谷は放っておいて、取りあえず、雪子を岩下の元に送り届けようと連れ出した太郎だったが、そこでばったり恵子に出会ってしまう。

その頃、雪子を連れて廊下を急いでいた太郎は、恵子と出会ってしまう。

太郎は、何の後ろめたい事もないので、気軽に声をかけるが、若い雪子を連れた太郎を見た恵子の方は、女と遊びに来ていると勘違いし、その場を逃げ出してしまう。

畑中夫婦は、戻った部屋で大げんかを始めていた。

恵子を追っていた太郎は、岩下を探しにやって来ていた金丸と、廊下でぶつかる。

頭取をどうしたと息巻く金丸に気付いた太郎は必死に逃げ回り、何と、逃げ込んだ部屋は百合子が泊まっている部屋だった。

追って来た金丸の目をごまかすため、思わず、百合子の布団の中に潜り込む太郎。

その隣の部屋では、欲求不満になった明子から襲われそうになっていた大沢が、必死に窓から隣に逃げようとしていた。

その姿を発見したのは百合子で、夫が目の前に現れたので、驚いて自分の部屋の中に招き入れるのだった。

大沢も事の展開に驚くが、見ると、布団の中から這い出て来たのは太郎ではないか。

一体これはどう言う事なのかと、二人に詰め寄る大沢。

一方、その太郎を追っていた金丸は、ひょんな事から、明子のいる部屋に入って来てしまう。

思わぬ闖入者の姿を見た明子は、この際、相手は誰でも良いわと言いながら、金丸に抱きついて行くのだった。

その隣では、誤解だと力説した太郎が、岩下の奥さんと途中ではぐれてしまったので探しに行かなければと大沢に告げ、二人が部屋を後にしようとしていた所だったが、そこに、明子との一戦を終えたばかりの金丸が出て来て見つけてしまう。

その頃、独り待たされていた岩下は、もう我慢の限界と焦っていた。

そこに入って来たのが、支店長の金丸だったので、今晩だけはそっとしておいてくれと怒鳴り付けると、恐縮した金丸も、今夜は私にとっても貴重な晩となったのでと、意味不明な事を言って引き下がるのだった。

その直後、岩下の部屋に、無事、妻の雪子が入って来て、喜んだ岩下はすぐさま彼女をベッドに運び込むのだった。

そのベッドの下には、いつの間にか、逃げていた大沢と太郎が隠れており、互いに見つめて作戦の成功を笑いあうのだった。

その後、安全銀行から融資を受ける事が決まり、ハッスルコーラの七人は、バー「ハッスル」で、祝賀会を開いていた。

ホステスの恵子が、箱根ですっかり世話になったので、今日は全部自分のおごりだと言いながら、太郎を呼ぶと、あちらに女の客が来ていると教える。

太郎が行ってみると、店の隅で待っていたのは河野玲子だった。

彼女は、石黒専務が、あなたを課長待遇で本社に戻らないかと言っていたから、今度、付き合ってみない?と誘って来る。

そんなドライなプレイガール振りを目の当たりにした太郎は、不潔だよ、君は!と拒絶するが、玲子の方も醒めたような目つきで、あんなコーラ、効く訳ゃしないわよ、エキスなんて抜いているんだからと言い出す。

驚いた太郎に、玲子は、当局がそんな興奮剤を入れた飲料なんて許可するはずがないじゃないのとバカにする。

その声に集まって来た他の仲間たちにも、玲子は、金づるを見つけたら、あんなコーラ会社、本社に吸収されて終りよ。専務はもう、あの会社を買取る金を用意しているのだ。あんたらも、首になるよりマシでしょう?と言い捨てると、嘲るように笑い出すのだった。

その夜、意気消沈して団地に戻った太郎は、部屋の灯がついており、中で恵子が待っていた事を知る。

怒っていたと思い込んでいた太郎は意外な顔をするが、それでも、もう僕はダメだと弱音を洩らす。

会社はもう解散だと言うし、今まで、何も入ってなかったコーラを飲んで暗示にかかり、張り切っていたなんてバカみたいだと自分を責めながら泣き出す始末。

しかし、それを聞いていた恵子は、コーラに何も入ってなかったのなら、あなた自身にファイトがあったのよと言い返す。

自身と勇気さえ持っていれば、太郎さんは太郎さんでしょう?と言われた太郎は、目を覚ます。

恵子は、立ち直った太郎の姿を見ると、男の人の部屋にいつまでもいるものじゃないからと言い残し帰って行く。

後日、岩下頭取、金丸支店長を招いて、鶴亀製菓との融資契約の調印式が執り行なわれていた。

石黒専務は、その部屋に居並ぶ七人の元ハッスルコーラの社員全員に、本社の部課長係長クラスの待遇として戻るよう辞令を手渡す。

その後、いよいよ、融資契約の調印を…と石黒が言いかけた時、ちょっと待ってくれと言い出したのは大沢だった。

大沢を始め、七人の男たちは、手にしていた辞令を全員その場で破り捨てる。

太郎は、今後は、自分達自身の力でやってみたいのだと言い残し、部屋を後にする。

呆然とする石黒や社長を前に、立ち上がった岩下は、どうやら、複雑な事情があるようじゃが、わしは、あの男たちが気にいって融資をしたのであって、あの連中がいなくなったのなら、この話は白紙にしてくれと言って帰ってしまう。

会社を出た七人は、早くもちょっと弱気の風に吹かれていた。

ちょっと早まり過ぎたのではないかと言い出したのだ。

しかし、太郎の、ハッスルしよう!と言うかけ声を聞くと、全員、意気も高らかに、歌を唄い出し、街を練り歩くのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

どちらかと言うと、主演の植木等個人の魅力で見せる「無責任」シリーズと平行する形で作られた、クレージー全員が登場するシリーズ第二弾。

一人一人のファイトと協力が大切なんだと言うメッセージ性は伝わって来るし、ストーリー展開もかなり複雑に作られているが、無責任シリーズほどの突き抜けたナンセンス性は感じられず、面白みと言う点では、やや地味な印象を受けないでもない。

歌のシーンが少ないのも、地味に感じる一因かも知れない。

この作品に関しては、山茶花究の悪役振りは相変わらず巧いし、浜美枝、藤山陽子を始め、女優陣もたくさん出て来るが、ちょっと多すぎて、一人一人の印象を弱めてしまっているような気もする。

見所としては、ズーズー弁を使い、コミカルな役を演じている上原謙の演技の珍しさくらいだろうか?

コーラという題材に、ちょうどコーラが流行りはじめていた頃の事を思い出したりする。