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おしゅん捕物帖
謎の尼御殿

1955年、日活、谷川早「都鳥」原作、小国英雄脚本、滝沢英輔監督作品。

この作品は捕物帳ですので、後半部分で謎解きがありますが、最後まで詳細にストーリーを書いていますので、御注意下さい。コメントはページ下です。

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弘化の頃 7月9日の浅草、浅草寺境内

賑わう客たちの中で元気に働く御茶屋「浪花屋」のお光(南寿美子)の髪型を誉めたのは、目明かし車坂の勘助(河野秋武)に付いて来ていた子分、五郎八(有島一郎)だった。

親分の方は、気を付けないと、最近巷で評判の「髷切り」にやられるぜと、お光に注意してその場を離れるが、その直後、今通り過ぎたばかりの御茶屋付近で人が騒ぎ出したので、慌てて戻りかけた勘助は、黒紋付に深編傘姿の浪人二人組とすれ違う。

御茶屋に戻ってみると、心配した通り、最前までのきれいな髷が切られ、無惨な髪型になったお光が泣いているではないか。

誰にやられたと問いただすと、浪人二人組だったと言う。

勘助は、さっきすれ違った二人組だと直感し、五郎八と共に、急いで追跡を開始する。

阿蘭陀渡りの、ジャガタラお蝶一座の手品小屋の前で見失ったので、裏に、五郎八を廻すと、勘助自身は小屋の中に入り、楽屋裏をあちこちを見回りはじめる。

深編傘に御小姓姿の男とすれ違うが、服装が違うので気に止めずに通す。

小屋の奥役(瀬川路三郎)がやって来たので、黒紋付の浪人を見かけなかったかと尋ねるが、知らないと言う。

そんな奥役が、そこを覗かれては手品の仕掛けがばれますので…と渋る部屋を覗いてみると、水芸の仕掛けを手伝っている黒紋付の浪人(三國連太郎)を独り見つける。

その素性を尋ねると、小屋の用心棒として雇っている人物で、時々、暇な時には、舞台裏の力仕事なども手伝ってもらっており、今日も、ずっとさっきからここで働いていたと言う。

そんな所へ、舞台で水芸を披露し終わったお蝶(広岡三栄子)が楽屋へ戻って来て、見慣れぬ勘助の姿を不審気に見やる。

その頃、お光の元には、浅草寺周辺を縄張りとする、目明かし、鳥越藤兵衛(菅井一郎)の子分、チョロ松(多々良純)が、何故、真先に自分に知らせなかったと悔しがりながら事情を聞きに来ていた。

藤兵衛は、もう年である上に、足の怪我の回復が思わしくなく、今でも動けない状態だったのだ。

そんな松の姿を見つけた勘助は、藤兵衛の一人娘、おしゅんと自分が夫婦になれば、親戚になる関係じゃないか、などとからかって来る。

その藤兵衛の元には、同心の平井平八郎(尾上菊太郎)が見舞いかたがらやって来て、おしゅんが、動けなくなった父親の跡目を自分に継がせてくれと相談に来た話をしていた。

それを聞いた藤兵衛は、驚いて、幼い頃、母親に死なれ、男手一つで育てたばかりに、男勝りの女に育ってしまったが、一日も早く、もっと女らしい女になってもらいたいので、そんな申し出は受けないでくれと頭を下げる。

当のおしゅん(月丘夢路)は、友達のお絹(掘恭子)と一緒に髪結いに来ていた。

二人ともそろいの美貌だったので、髪結い屋の女将はお世辞を言いながら、お絹の方は、近く上総屋の若旦那と祝言をあげるんだってねと尋ねる。

その事実を知らなかったおしゅんは、驚くと共に喜んで、お絹と一緒に帰る事にする。

一方、藤兵衛は、浅草観音の境内で起こった「髷切り」事件の事を松に聞いていたが、この話は絶対に、おしゅんには聞かせるなと釘を刺していた。

しかし、おっちょこちょいの松は、途中でお絹と別れ、髪結いから帰って来たおしゅんに外で出会うと、つい、お光が髷切りにあったと話してしまう。

さっそく、お光の元へ向ったおしゅんは、命が助かっただけでも良かったと言う母親に対し、この髪では、御茶屋勤めも出来ず、生活費はどうすれば良いのかと嘆くお光の言葉に同情してしまう。

襲った浪人者の紋などを覚えていないかと聞くと、丸に二引きだったと言う。

その頃、神社でおみくじを引いていたお絹は、思い事叶う、縁談良しと言う内容に喜びながら帰りかけるが、表で待ち受けていた浪人ものから口を塞がれ、近づいて来たもう一人のお小姓姿の侍から髷を切られてしまう。

お絹の家に向ったおしゅんは、父親の飾り職人、多兵衛(河上信夫)から、まだ帰って来ない斗聞かされ心配する。

翌朝、三味線掘にお絹の水死体が上がり、その検死をしていた勘助は、野次馬の中に、お蝶一座の芝居小屋で見かけた黒紋付の侍もいる事に気付き、五郎松に番所へ連れて行くよう命ずる。

同じ現場には、松から知らされて駆け付けて来たおしゅんの姿もあった。

やがて雨が降って来た中、番所に連れて来られた黒紋付の侍は、勘助から求められるまま、刀を見せるが、その刃には血のりが付いていなかった。

一応、疑いが晴れ、表に出た侍に傘を差し出したのは、おしゅんだった。

彼女に勧められるまま、相合い傘で帰りかけた侍は、おしゅんの下駄の鼻緒が切れたのを観て、その場で応急処置をしてやった後、これで貸し借りなしだと言って、一人で近くのドジョウ屋に入って行く。

もちろん、おしゅんも後に続くが、それを目撃していたのは、番所から付けて来ていた五郎八だった。

侍と同席し、自ら名乗ったおしゅんは、相手の侍が元久留米藩の前田重四郎である事を調べ上げた事を伝える。

重四郎は慌てず、側にあった吸物を、入口で盗み聞きしていた五郎八の顔に浴びせかける。

捨て台詞を残し、五郎八が帰ったのを確かめたおしゅんは、重四郎に、浪花屋のお光の髷を切った犯人は、丸に二引の紋だった事を打ち明ける。

その頃、お蝶の楽屋には、長崎屋の新七(市川男女之助)が、言問の寮で、主人が待っていると伝言に来ていた。

寮を訪ねたお蝶は、彼女のパトロンである長崎屋の主人、市右衛門(清水将夫)から、羊とラクダの毛を縦横に編んだと言う唐から渡来したゴロと言う帯を見せられる。

これをやるので、舞台で着て、大いに宣伝して欲しいと言うのであった。

お蝶は、その話を聞いて、もう牧野の琴姫様には献上したのかと逆に尋ねる、忘れていたと聞くと、自分が持って行ってやると申し出る。

その後、日頃から外出もせず、牧野邸内で念仏三昧の尼のような生活を送っている琴姫(北原三枝)に会いに行ったお蝶は、持参したゴロの帯の唐織り透かし模様を披露し、大層喜ばれるのだった。

お盆の供養をしていたおしゅんは、髪を切られた女たちが皆、2、3日後には姿を消してしまったと言う噂を松から聞く。

しかし、それが表沙汰にならないのは、皆、無事だから安心しろと言う手紙と、生活費をきちんと送って来ているので、届出がないからだそうだ。

お蝶は、いつものように、水芸を舞台で披露していた。

そんな中、外出したおしゅんは、謎の浪人たちから襲撃されるが、得意の毛利流含み針で撃退する。

おしゅんはドジョウ屋に、前田重四郎を呼出していたのだが、やって来た重四郎は新調の黒紋付を着て現れる。

その姿を観たおしゅんは、実は先ほど賊に襲われたので、含み針を、黒紋付の男の袂に吹き付けておいたのだがと言いながら重四郎の袂を確認すると、果たして、そこに針が刺さっていた。

そこへ、松が、浅草寺で又、髷切りが起こったと知らせに来たので、おしゅんはそのまま、被害者の待つ番所へ出かけて行く。

独り取り残された重四郎の方は、何事かを考えながら、酒を飲みはじめる。

番所にいた被害者を観たおしゅんは、その娘が変った帯をしている事に気付く。

ゴロと言う唐渡りの帯だとは知っていたが、そこに描かれている都鳥の絵柄に不審を抱いたのだった。

だが、あれこれ事情を聞こうとすると、そこにいた五郎八から、十手持ちでもないお前には、まだ調べは出来ないはずだと追い出されてしまう。

その足で、呉服屋に向ったおしゅんは、ゴロの帯を見せてもらいながら、都鳥の模様の品はないかと聞くと、番頭は、唐渡りの品だけに、描かれている鳥は全てあちらの金鶏鳥しかないと言う。

しかも噂では、この透かし模様を折る為に、女の髪の毛が使われていると言う話も聞かせられる。

その頃、芝居小屋の楽屋に戻って来ていた重四郎は、紋付をもらったお蝶に、この着物には女の移り香が残っていたが、自分がもらう前は誰が着ていたのかと尋ねていたが、お蝶は、寸法を確かめる為に、自分が二三度羽織ってしまったのだと謝罪する。

この着物は髷切り犯人が着ていたもので、被害者の中には自殺したものもいるのだと言いながら、重四郎が、これまで恩を受けて来た手前、自分が罪を被ってやっても良いが…と、伝えると、お蝶は、今宵五つ時まで待ってくれないか、その時、おしゅんという娘も連れて来たら、何もかも話すと答えるのだった。

その時、外で物音が聞こえたので、重四郎が出てみると、何者から小屋の中を逃げて行った。

その夜、おしゅんは自宅の湯舟で、自慢の歌を唄っていた。

それを聞きながら、父親の藤兵衛は、都鳥の模様と言うのは光琳派のものらしいから、それが付いていた帯と言うのは、日本で織られたに違いないと推理を松に聞かせてしていた。

つまり、行方知れずになった髷切り被害者の娘たちの中に絵描きの娘がいて、何事かを外に伝えようと、わざと都鳥の図案を織り込んだのではないかと言うのだった。

その後、外に出た松は、おしゅんの風呂を覗こうとしている出歯亀を見つけ追い払った後、今度は自分がむらむらとして覗こうとするが、気付いたおしゅんに含み針を吹かれ追い返されてしまう。

そこにやって来たのが、おしゅんを迎えに来た重四郎であった。

芝居小屋へ向う途中、おしゅんは、髷切りがお蝶の仕業とは思えないと伝える。

重四郎は、自分は仇討ちの大望を持って江戸に出て来たのだが、病を得てしまい、それを助けてくれたのが、お蝶だったのだと打ち明ける。

一座のみんなの伸び伸びしている生活を観ている内に、仇討ちの馬鹿らしさに目覚めたとも。

だったら、お蝶をかばってやる立場ではないのかと問いつめるおしゅんに、重四郎は、だから、苦しいのだと胸の内をさらけだすのだった。

楽屋口に近づいた二人は、中から聞こえるうめき声に気付き、急いで入ると、お蝶が胸を刺されて死にかけているではないか。

抱き起こした重四郎の手の中で、お蝶は、髷切りの犯人は自分だとはっきり言って事切れてしまう。

そこへ、異変に気付いた一座の仲間たちや長崎屋まで駆け付けて来るが、そんな小屋の隅を、お小姓姿の侍が逃げてしまう。

おしゅんは、お蝶の最後の告白は信じられない、誰かをかばっているのではないかと疑問を持つ。

そのおしゅんと重四郎は、舞台裏で死んでいた奥役も発見する。

次の瞬間、おしゅんは、芝居小屋の中を逃げて行く人影を目撃するのだった。

すっかり目明かし稼業を継いだつもりのおしゅんに、藤兵衛は不機嫌、一方、チョロ松は感心していた。

後刻、おしゅんは、奉行所の安井を訪ね、怪しい人影を重四郎と共に追って行った所、元長崎奉行の牧野大和守の屋敷の隣の寺に逃げ込んだと報告していた。

深編傘にお小姓姿の侍に襲われたので、おしゅんは含み針で対抗した所、相手が逃げ込んだ土塀が、牧野大和守の屋敷のものだったと言うのだった。

屋敷を調べるには、お目付役の書状がなければならないので、安井に相談に来たのだった。


書状を携えて、屋敷に向ったおしゅんは、琴姫に対面したので、お蝶と言う人物を知っているかと聞くと、父親が長崎時代に贔屓にしていたと言う。

そのお蝶が殺され、今世間を騒がせている髷切り犯と思われるお小姓姿の曲者が、芝居小屋からこの屋敷内に逃げ込んだので、引き渡してもらいたいと申し出ると、琴姫は、それは弟の縫之助ではないかと答える。

子供の頃から異常な性格で、侍女たちの髷を切っていたので、止めなければ自分が死ぬと諌めると、ようやく止んでいたのだが…と言う。

琴姫は、もう一度諌めてみて、聞かないようだった、自分の手で縛ってでも差し出すと約束する。

部屋を出た琴姫に近づいた森隼人(明智三郎)は、自らの刀を叩いて、 屋敷から帰るおしゅんの方に目配せするが、琴姫は斬ってはならぬと止める。

駕篭に乗って、屋敷を出発したおしゅんは、間もなく、お小姓姿の侍から斬り付けられて来る。

境内に追い詰められたおしゅんだったが、陰で見張ってくれていた重四郎が、足を狙えとアドバイスすると、おしゅんは含み針で、相手の右腕と右足のくるぶし付近を傷つけて追い払うのだった。

その後、再び、寺に戻り、対応に出て来た尼に、今又賊に襲われたが、足を痛めつけたので、当分は外出できないだろうと、琴姫様に伝えてくれと言い残して帰る。

その後、長崎屋とも出会って帰宅したおしゅんに、藤兵衛は、お蝶は下手人じゃないと推理を伝える。

そこへ、琴姫が約束はたしたいので来てもらいたいと言っているので迎えに来たと隼人がやって来る。

おしゅんを乗せて牧野家へ向う駕篭を見かけた重四郎は秘かに付けて行く。

おしゅんを招き入れた屋敷内では、琴姫が、どうしてもおしゅんを斬らねばならぬかと、隼人の父親、森帯刀(天草四郎)と相談していた。

帯刀は、お家の名誉を守る為、致し方ないと進言し、息子の隼人は、もう藤兵衛らに顔を見られてしまっているので、明日、国元に帰るよう命ずる。

おしゅんの前に出て来たのは、お小姓姿の縫之助だった。

彼は、おしゅんおの含み針の為、右手と右足を怪我していたが、その姿で刀を振り上げて来る。

しかし、おしゅんは怯まず、毅然として、琴姫様にお会いしたいと申し出る。

すると、尼が一旦、縫之助を奥に引き上げさせる。

一方、自宅にいた藤兵衛は、着替えの用意と、駕篭を呼べと松に言い付けていた。

目明かしは、ホシを指した時が一番危ないんだ、こいつは一筋縄では済まないとつぶやきながら。

おしゅんの前に現れた琴姫は、刀をおしゅんに差出しながら、許してくれ、約束を守れぬ事になった。家中の者は、あなたを生かして帰さぬと言っているので、人に斬られるより、せめてもこの刀で自害してくれないかと、手前勝手な事を言い出す。

おしゅんは、まっぴらごめんと席を立ちかけるが、それを追って来た琴姫の右足は引きずられていた。

それを観たおしゅんは、右手を見せてくれないかと申し出る。

琴姫が縫之助と同一人物である事を見抜いたのだ。

その時、隼人が部屋に乱入して来るが、琴姫は、斬ってはならぬと制止しながら、部屋を出て行く。

庭先に潜んで様子をうかがっていた重四郎が出て来て、隼人らを牽制してくれたので、琴姫の後を追ったおしゅんは、とある部屋の襖に挟まっていた、琴姫の袖を見つけ、声をかけると、中で隠れていた琴姫は、慌てて奥へ逃げようとして、その時、頭からかつらが取れて倒れてしまう。

襖を開けて中を覗いたおしゅんは、倒れている琴姫の頭の様子を目撃してしまう。

琴姫の頭には大きな火傷の痕があり、その為に、頭髪が一部生えていなかったのだ。

そこへ、帯刀が駆け付けて来るが、琴姫が自害しかけているのを観たおしゅんは、慌てて止めて、帯刀を部屋から出すと、黙って、かつらをかぶせてやる。

琴姫は、年頃になった時期から、侍女たちの髷を斬る性癖が出るようになり、侍女たちがいなくなると、今度は外に出て、町娘を襲うようになったと告白する。

勘助らに追われた時は、芝居小屋の、お蝶の部屋で着替えさせてもらって逃げおおせたとも。

ただし、お蝶を殺したのは自分ではないときっぱり言う。

子供の頃、次女の過ちで、煮え湯を浴びせられてしまい…と、頭の火傷の事を言いはじめた事姫を制すると、その侍女と言うのが、お蝶だったのですねと、おしゅんが答えてやる。

琴姫は、帯刀が犯人を知っているはずだから呼んでくれと言うので、おしゅんが部屋を出て戻って来ると、琴姫は再び自ら胸を突き、虫の息状態だった。

抱き起こしたおしゅんの腕の中で、私は、自分の罪の償いをしたまで。お蝶が可哀想です…と言い残し、琴姫は息耐える。

姫の最後を観た帯刀は、長崎屋市右衛門は、姫の秘密を知り、それをネタにこれまで脅迫していた事、又、そうした過去の悪事がばれる事を恐れて、お蝶を殺したのだと、おしゅんに教える。

重四郎と落ち合ったおしゅんは、言問橋にある長崎屋の寮に、髷を斬られた娘たちは連れて行かれ、そこで偽帯を織らされているのではないかと推理を話す。

いざ言問わん都鳥…と言う詩を、重四郎も思い付く。

その長崎屋の寮では、荷を運んで来た船の到着が遅かったので、市右衛門がいらついていた。

船頭は、今日はやけに役人の船が多かったので仕方なかったと言い訳する。

しかし、市右衛門は、役人たちに見つかっても、帯刀にでばってもらえば済む事だと軽く受け流していた。

そこへいきなり重四郎がやって来たので、驚きながらも、市右衛門は座敷に招く。

重四郎は、そんな市右衛門に、何故、お蝶を殺したと詰め寄る。

しかし、市右衛門は、お蝶は自分の囲い者、何故、殺す理由があるのか?と、逆に聞いて来る始末。

その頃、庭に潜んでいたおしゅんの方は、寮内に閉じ込められ機織りをさせられていた娘たちの姿を確認していた。

重四郎から、抜け荷をしている事や、奥役殺しもあなたがやった事だと指摘された市右衛門は、仮に自分が、お白州で全てを打ち明けてしまったら、牧野家はどうなると開き直っていた。

しかし、その琴姫が死んだと聞かされ、怯んだ市右衛門の元に、おしゅんもやって来て、父に替わって、お縄を打つと申し出る。

それでも、市右衛門は、もはや生き証人は誰もいないではないかとあざ笑うが、ここで働かせていた娘たちを、唐天竺に売り飛ばそうとしていたと言う証言は聞けると迫る。

そんな二人に、市右衛門は短筒を向けて来る。

おしゅんはとっさに含み針で相手の手を居抜き、銃を取り落としてどんでん返しの隠し扉から逃げようとした市右衛門を、重四郎が刃で貫く。

そこへ、駕篭に乗った藤兵衛を伴った捕り手たちが一斉になだれ込んで着て、一味を一網打尽にしてしまうのだった。

娘の手柄を誉める安井に対し、藤兵衛は照れながら、自分も耄碌したものだと笑い返していた。

その後、灯籠流しを橋の上から見送るおしゅんと、重四郎の姿があった。

おしゅんは、自分がもっとちゃんとした目明かしだったら、お蝶も、琴姫も死なずに済んだのかも知れないと、独り反省するのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

月丘夢路主演の捕物帳があったと言う事自体が珍しい。

話は通俗な展開ながら、若き日の三國連太郎などの姿も観れて、貴重な作品と言うべきかも知れない