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忍者武芸帖 百地三太夫

1980年、東映京都、石川孝人+神波史男+大津一郎脚本、鈴木則文監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

百地砦が落ちぬ、何とかならんか…と相談しているのは羽柴秀吉(小池朝雄)、それを部屋の中で聞いているのは、闇の仕掛人、不知火将監(千葉真一)、その後ろには彼の影のように付き添う、唖のチヌ(古賀弘文)と聾のバリコ(酒井努)と言う二人の忍者が控えていた。

織田信長は、かねてより戦場で苦しめられていた伊賀忍者を壊滅する為、伊賀の里を襲撃した。

その直前、その情報を持って百地三太夫(石橋雅史)と面会した将監は、自分達甲賀も伊賀と組んで戦うと申し入れていた。

喜んだ三太夫は、共に作戦を練ろうと屋敷の中に将監を招き入れるが、突然、部屋の両側に座っていた伊賀忍者たちが、背後から突き出された槍に貫かれ、一斉に絶命してしまう。

将監に計られたと気付いた三太夫は、両壁から突き出された槍の上に飛び乗って難を逃れるが、次々に槍が突き出されて来る。

さすがの三太夫も、それらを徐々に飛び登って行き、最後には天井近くまで追い詰められてしまう。

将監の肩は、背後に控えていた二人の忍者が飛び乗り、三段重ねになると、次の瞬間、全員が一斉に三太夫に襲いかかり、さしもの三太夫も、将監の刃に胸を貫かれてしまう。

異変に気付いて、部屋に入って来た伊賀忍者たちも、天井に隠れていた甲賀忍者にたちどころに全滅させられてしまう。

三太夫は、今際の際、「鷹丸〜…!」と叫んで息絶えるのだった。

その死体を抱き上げ、懐を確認した忍者が、短刀がないと、将監に報告する。

伊賀の隠し金山の在り処が印された短刀がないはずがない、捜せ!と将監は部下たちに命ずるのだった。

その頃、百地家では、奥方の千代(野際陽子)が横笛を吹いていたが、そこに、三太夫討たれるの知らせが舞い込み、それを聞いた千代は、一子鷹丸に、狼の紋章の入った短刀を授け、平六(岩尾正隆)に託した後、自らその場で自害するのだった。

一旦は、平六に連れられ、屋敷を離れかけていた鷹丸だったが、母親との別れが忍びがたく、舞い戻って来て、倒れた母親の血潮の中に落ちていた横笛を拾った所を、平六に抱きかかえられ逃げる。

その直後、屋敷に踏み込んで来た将監一党は、家来たちに、女子供と言えども、伊賀衆は皆殺しにするように命じた後、血潮に塗れた千代に近づくと、怨まば怨め、これも戦国時代の定め…と呟く。

鷹丸を連れ、森に逃げ込んだ平六を待っていたのは、弥藤次(佐藤允)以下、伊賀の女子供たち。

鷹丸は、同じ年頃の仲間である五助、石目、門太、そして、泣き虫のおつうらと出会うが、そこに手裏剣が飛んで来たかと思うと、たちまち現れた甲賀衆によって殺りくされて行く。

泣いていたおつうも襲われかかるが、それを間一髪救ったのは、鷹丸が敵に投付けた横笛の妨害だった。

崖っぷちまで逃げて来た平六は、鷹丸を抱えたまま海に飛び込む。

天正10年10月、明智光秀は謀反を起こし、天王寺で織田信長を襲撃するが、その光秀も、摂津の山の中で、待ち伏せていた甲賀衆に倒され、三日天下に終わる。

やがて、日本は文禄の世を迎えていた。

海の上を行く一隻の小舟に乗った明国の服装をした青年は、日本らしき海岸線を見つけ喜ぶ。

タイトル

京都の町中では、この頃世間を騒がせる盗賊石川五衛門を見つけたものには、大判5枚、捕まえたものには大判10枚出すと書かれた、京都所司代の触れ書きを民衆が観ていた。

しかし、彼らにとって、石川五右衛門は、庶民に味方する義賊だと言うもっぱらの噂だった。

そこへやって来た明国服姿の青年は、客寄せに招かれるまま「歌舞伎小屋」に入ってみる。

そこでは、女性たちが艶やかな着物をまとって踊りを披露していたが、最前列に陣取って眺めていた役人たち(汐路章)が、もっとどぎついものを見せろと喚き出し、あろう事か、舞台に上がり込んで役者たちに抱きつきはじめ、大騒ぎが始まる。

その騒ぎに巻き込まれる形で、役人の暴挙をなだめようとした青年は、表に出ると、見た事もない武術で、役人たちをきりきり舞いさせはじめる。

それを面白そうに眺めていた猿回しの芸人たちは、青年が腰に刺した小刀の柄部分に、見覚えのある狼の紋章がついているのを発見し緊張する。

そこに馬で駆け付けて来たのが役人の不知火幻之介(内田勝正)で、将監の実弟であったが、彼も又、青年がさしたその刀の紋様を発見し驚く。

同じく、軍集の中から青年の様子を見ていた網傘の男は、伊賀忍者服部半蔵(夏木勲)であった。

その後、寺の前で、明国服の男に追い付いた猿回し一団の男たちの顔を、良く眺めていた青年は、彼らが、幼い頃仲間だった、門太(粟津號)五助(火野正平)右衛吉(崎津均)川次郎(徳満信央)だと気付く。

明国服の青年は、成長した鷹丸(真田広之)だったのだ。

その後、門田たちが塒としている荒寺に腰を落ち着けたかつての中馬たちは、その後の互いの暮らし振りを打ち明けあっていた。

鷹丸は、平六と一緒に海に飛び込んだ所を、沖合いにいた明国の船に助けられ、向こうに渡った事、平六は七年前に他界した事などを教える。

そして、一番気になっていたおつうの消息を聞くと、他の者は皆知らないと言う。

五助は、伊賀再興の軍資金は任せろと胸を張る。

実は、今、世間を騒がせている石川右五衛門と言うのは、自分達の事だと言うのだ。

独り一人の特技を組み合わせれば、合体人間として大盗賊になれると打ち明け、今まで溜めていた財産を披露する。

そこに、もう独り、かつての仲間だった石目が戻って来る。

しかし、彼は、他の者と同じように、鷹丸との再会を無邪気に喜んだりはしなかった。

力がなければ、若とは呼べないと言うのだった。

それならばと、外に出た鷹丸は医師めと一騎討ちの戦いを始めるが、明国で習い覚えた拳法で、見事、石目を破り、渋々、彼も鷹丸を若として認めるのだった。

すっかり打ち解けあい、みんなで一緒に昼飯を食べていると、庭先の木々に、不思議な集団が蠢いているのが見える。

弥藤次と、彼が鍛え抜いた「蜘蛛一族」の連中だった。

弥藤次も、鷹丸との再会を喜び、これで期は熟したと感じた鷹丸は、今こそ、宿敵不知火将監の首を取るぞと、全員に呼び掛けるのだった。

伏見城。

全国を制覇しつつあった秀吉は、破竹の勢いに任せ、挑戦をも支配下に置こうと企み、その戦を成功させる為には大量の軍資金が必要であり、何とか、伊賀の隠し金山を手に入れる事が出来ぬかと、将監に相談していた。

そんな秀吉の元にやって来たのが、幼子の捨丸(後の秀頼)であった。

秀吉は、その捨丸をだっこして、頬ずりするが、そこにやって来た淀君(春川ますみ)から、そんな汚い事はしてくれるなと、さっさと捨丸を奪い去ってしまう。

その様子をあっけに取られながら見送る将監と秀吉。

一方、鷹丸は、明国から持ち帰った平六の遺髪を葬るよう、弥藤次に渡していた。

その遺髪は、無縁仏に埋める事にしようと受取った弥藤次に対し、鷹丸は、明国で色んな所をさすらった、平六に死に別れてからの苦労時代の事を話しはじめる。

あまりの空腹のあまり、つい露天で饅頭を盗んだのがばれた鷹丸は、明国の人間たちに捕まり、袋叩きにあう所だったが、そこに通りかかった愛蓮(志穂美悦子)と言う、武術家の娘に助けてもらったのだと言う。

それ以来、鷹丸は、その武術家の下で武術を学んだのだと言う。

同じ頃、鈴鹿山の家に戻って来たのが、服部半蔵であった。

彼は、妹として育てていたおつう(蜷川有紀)に、土産の着物を渡し喜ばれる。

半蔵は、そんな彼女に、お前の幼馴染みの鷹丸に出会ったので、会いに行って短刀を盗み出して来いと命ずる。

おつうは、思わず、昔、自分を救ってくれた横笛を見つめるのだった。

荒寺に戻っていた鷹丸の方はと言えば、短刀に刻み付けている金山の地図が、半分しかない事に気付いていた。

そこに、横笛の音がどこからともなく響いて来て、林の中に行ってみると、そこにいたのは、紛れもなく、幼い頃に分かれたままだったおつうであった。

おつうは、この笛が二人を合わせてくれたと涙しながら、あの後自分は、親切な方に助けられて、今は大阪の方に住んでいるのだと打ち明ける。

喜んだ鷹丸は、他の仲間もいるから会いに行こうと誘うが、京は会わないで帰ると言い、おつうは横笛を持ったまま姿を消す。

その頃、一人別に暮していた五助の住まいに戻って来た女が、今、所司代に、鷹丸と石川五右衛門の正体を教えて来たと言いながら、その褒美としてもらって来た小判を落としてみせる。

驚いた五助が、慌てて、仲間たちに知らせに行こうとすると、それを食い止めようと、女は彼に必死にすがりつく。

お前さんの名前だけは言わなかった。私にててなし子を産ませるつもりなのかと迫る。

彼女は五助の子供を妊っており、将来の生活費の為に友人たちを売ったのだった。

彼女の気持ちを分かる五助は、そのままどうすれば良いのか判断が付きかね、固まってしまう。

翌朝、鷹丸が、練習の為、寺を出て林の中に向った直後、まだ、寝ていた門太や石目の部屋に、一匹の蜘蛛が、糸を使って天井から降りて来る。

その時、寺の周囲の木の上で見張っていた蜘蛛一族の死体があった。

不知火幻之介が率いた役人たちは、荒寺の中に踏み込むが、そこはもぬけの殻だった。

しかし、まだ遠くには逃げていないと判断した幻之介が、気配を感じた壁を槍で突くと、確かな手ごたえがあり、壁に血のりが滲んで来る。

しかし、どんでん返しのその壁の後ろで、槍に刺さっていたのは、一羽の鶏だった。

その瞬間、別の隠し戸の中に隠れていた弥藤次が、煙玉を投付け、役人たちが怯んだ隙に、全員外に逃げ出す。

外にも、弓矢隊が待ち受けており、外に逃げ出した門太たちに矢を射かけて来る。

木の上では、蜘蛛一族と甲賀忍者たちが戦っていた。

追い詰められた石目を、木の上に引き上げて救い出す弥藤次。

一方、一人、練習をしていた鷹丸は、目の前に出現した侍が、宿敵不知火将監だと直感する。

将監は、次々に、蜘蛛一族を倒して行く。

そんな戦いの様子を、林の中から監視しているおつうは、鷹丸の名前を呼び掛け、その声に応じた鷹丸は、持っていた小刀をおつうに投げ与える。

それを受取ったおつうはその場を逃げ出し、そのおつうの身体を掴んで森の中に飛び去っていったのは服部半蔵だった。

その後、捕まった鷹丸や門太らは、伏見城の拷問室に連れて行かれ、不知火幻之介から、隠し金山の在り処を吐けと、拷問を受けていた。

しかし、頑として、鷹丸が口を開かないと分かると、唖のチヌと聾のバリコが、鷹丸の身体の痛点を攻める技をかけはじめるが、それにも耐えぬく姿を観た将監は、自ら進みでて、鷹丸の急所を握りつぶそうとするのだった。

その頃、鷹丸の短刀を奪って来た服部半蔵は、そこに描かれている金山への地図が、半分しかない事に気付き、おつうが幼い頃から、片時も離さず持っていた笛を捨てろと命ずる。

彼女が、鷹丸に思いを寄せている事を知っていた半蔵は、忍者にとって、恋も術の内だと言い聞かせるが、射たたまれなくなったおつうは、思わず、外に飛び出して行ってしまう。

石牢の中で、一人逆さ吊りされていた鷹丸は、振り子の要領で身体を動かし、近くにあった照明用のろうそくをくわえると、それで、縛られた綱を焼き切り、牢を脱出する事に成功する。

見張りを次々に倒し、場内に入り込んだ鷹丸が、とある部屋を開けてみると、そこにいたのは秀吉、捨丸、淀君らで、誰何された鷹丸は、自ら、百地三太夫の遺児、鷹丸と名乗って、再び逃げ出す。

腰元たちの攻撃をかわし、天守閣に登った鷹丸は、その屋根の上から、お堀に向って、決死のダイビングをする。

京都の町中には、「来る23日、三条河原で石川五右衛門を釜ゆでの刑に処す」との触れ書きが立つ。

その日、三条河原には、大勢の見物客が詰め掛けており、その中には、逃げていた石目や、明国からやって来ていた愛蓮も混じっていた。

不知火幻之介の指揮の元、釜ゆでの刑を受ける為、壇上に引きづりあげられた門太らの姿を見かねた五助は、見物客たちの中から、処刑場の中に走り出て来て、自分が本当の石川五右衛門だと叫びながら、自ら、釜の中に飛び込んでしまう。

それを追って刑場に入って来た女も、又、役人たちに斬り殺されてしまう。

その場にいた将監は、幻之介に目で合図し、見物客たちの顔改めを始める。

次の瞬間、近くの川に潜んでいた鷹丸が飛び出して来る。

見物客の中に潜んでいた石目も、処刑場の中に走り込んで来る。

それらの動きを待ち受けていた将監は、用意していた弓矢隊や鉄砲隊を前に出す。

地面の中からは、蜘蛛一族も出現する。

将監は、それら鷹丸の仲間たちに矢を射ると同時に、投石をはじめた民衆たちにも、躊躇なく発砲させるのだった。

鷹丸が合流した門太たちにも、弓矢や銃撃を浴びせ、弥藤次と石目がその犠牲となる。

さらに、馬で駆け付けて来た服部半蔵とおつうは、竹格子を倒し、民衆を刑場になだれ込ませ、その隙に乗じて、民衆たちの間に紛れ込んだ鷹丸、門太、川次郎たちは、川に飛び込み脱出を計るのだった。

その夜、無人となった刑場にさらし首となった石目や弥藤次らを、独り戻って来た鷹丸は目撃し、将監への復讐心をさらに募らせるのだった。

亡き仲間たちの名前を書いた札を焚き火にくべ、魂の供養をしながら、鷹丸はその夜、一人で踊っていた。

そこにやって来た愛蓮は、ひた向きな鷹丸の姿を目に焼きつけるのだった。

その後、鷹丸、門太、川次郎、おつうらは、伊賀百地砦跡に戻って来ていた。

鷹丸は、自分の力のなさを痛感し、不知火将監にかんぷなきまでに敗北した事を認めていた。

その時、遠くの崖の上の人影が現れ、そこから大ジャンプして、鷹丸たちの側にやって来たのは、伝説の伊賀忍者戸沢白雲斎(丹波哲郎)だった。

彼は、鷹丸たちに、自分が、お前たちのなまくらを叩き直してやると言い出す。

その後、木曾の山中で、鷹丸らの猛特訓が始まる。

ある時、木の上で、鷹丸と共に、空中ブランコ風の練習をしていた川次郎が、過って、崖下に落下してしまう事故が発生する。

鷹丸と門太は、すぐに助けに下りようとするが、白雲斎は、自力で上がって来れないようでは使い物にならぬ。獅子は百獣の王にさせる為、わが子を千尋の谷に落とすと言うぞと、二人を制止するのだった。

訓練はその後も続けられ、季節は冬になっていたが、鷹丸たちの元に川次郎が自力で戻って来る。

白雲斎は、これで伊賀忍法の秘術は全て伝授したと三人に宣言する。

その夜、小屋の中で、白雲斎は、亡き百地三太夫から預かっていたものだが、今、お前に返すと言いながら、鷹丸が持っていたのと同じ形のもう一本の小刀を差し出す。

この二本が揃えば、隠し金山の地図が完成するのだと鷹丸は喜ぶ。

しかし、その夜、鷹丸の枕元に置いていた二本の小刀を持ち去って行く姿があった。

おつうであった。

その気配に気付いた鷹丸は瞬時に目を覚まし、森に逃げ込もうとするおつうの前に先回りして立ちふさがる。

おつうは、百地の掟を破った自分をこの場で斬ってくれと願い出る。

百地の掟と育ててくれた服部半蔵の掟の狭間で苦しむのはもうたくさんだと言う。

しかし、鷹丸は、小刀が欲しければ、自分で取りに来いと半蔵に伝えろと言い、おつうを逃そうとするが、そこに現れた白雲斎が、何故、斬らぬ?お前が斬らぬのなら、俺が斬ると、おつうに刃を抜く。

雨が振り出した中、鷹丸は、持っていた二本の小刀で、白雲斎を止めようとし、結果的に、二刀流で相手の腹を突き刺してしまう。

白雲斎は、身じろぎもせず、見事!その呼吸忘れるな。お前に欠けているのが何であったか、分かったな。情けでは人は斬れぬぞ…と鷹丸に諭すと、今宵からお前は、二代目百地三太夫鷹丸じゃ、さらば…と告げた後、その傷付いた身体のまま、折から落雷で裂けた木の下をくぐり、森の奥に静かに独り去っていくのだった。

半蔵の元に戻って来たおつうは、もう一度、鷹丸から、刀を奪って来いと命じる半蔵から徹底的に殴りつけられていた。

おつうは、鷹丸を好きなので、もう鷹丸を助けて欲しいと必死に頼む。

逃げ回るおつうに、命が惜しいかと問いながら刀を抜いた半蔵だったが、おつうは、惜しい!死にたくないと叫ぶのだった。

その頃、豊臣秀吉は病の床についていた。

その秀吉は、越前北ノ庄のいる徳川家康に親書を持って行き、その返書をもらって来て欲しいと自らの首を斬る素振りを見せて、将監に頼む。

この期を逃せば末代まで禍根を残すとまで言う秀吉の言葉を聞いた将監は、この仕事をやり遂げた暁には、捨丸の後見人の役目を自分にやらせてくれないかと、一世一代の交換条件を出す。

今の所、後見人の役目は、前田利家にさせると言うのがもっぱらの噂だった。

驚いた秀吉だったが、最後には承諾する。

意気揚々と帰る将監に、近づいて来た捨丸が、自らの首を斬る真似をしてみせる。

その将監を見送っていた腰元の一人が、後刻、城の外で待っていた服部半蔵に手紙を渡す。

半蔵の動きを知った半蔵は、それをおつうに話し、鷹丸に伝えてやれと言う。

おつうは、直ちに馬を走らせる。

一方、鷹丸の方は、唐順棋(季一生)と共に明国からやって来た愛蓮に再会していた。

愛蓮は、女に国はない。愛する人が住む国が自分の国だと言い、自分も戦うと伝える。

そこに駆け付けて来たおつうが、8月17日、将監が伏見城を出発して、越前に向うと知らせるが、半蔵の身内となっている事を知る門太や川次郎は、容易に信じようとはしなかった。

鷹丸もおつうを信じきれなかったが、彼女の目を観ていた愛蓮は、自分はこの人を信じると言い出す。

鷹丸も、その愛蓮の言葉に動かされ、今こそ、将監を倒す絶好のチャンス到来と感じる。

おつうがもたらした情報を元に将監の動きを予測し、鷹丸たちは、折又村の梟森で待ち伏せる事にする。

慶長3年8月、将監、幻之介ら一行は、予定通り、越後に向う道を馬で走っていたが、梟の森に差し掛かったところで、樹上に蠢く人影を見い出し、百地の残党の可能性もあると直感し、とっさの判断で道を帰ると言い出す。

しかし、時すでに遅く、彼ら一行は、完全に、鷹丸らがあらかじめ用意していた数々の仕掛けに翻弄されはじめる。

将監の頭上高く、綱に捕まって現れたのは、二代目百地三太夫鷹丸だった。

弓矢隊が矢を射かけるが、鷹丸は身体を回転させ、それを防ぐ。

将監は、冷静に敵の数を6人と判断、幻之介に、家来たちを10人一組の小隊に分け、個別に敵をこの先の砂丘と沼の場所に誘導するよう命ずる。

おつうや門太らも懸命に敵と戦っていたが、そんな中、唐順棋がやられる。

湖に墜落した鷹丸は対岸に泳ぎついたところで、将監と出会う。

再び、木の枝に逃れた鷹丸は、足に蔦を絡めて、身体を回転させながら、迫りくる甲賀忍者を倒して行くが、そこに川次郎が空中ブランコの要領で助けに来ようとして、将監の投げた小刀にやられてしまう。

おつうも将監に追い込まれていたが、そこに現れたのが服部半蔵だった。

半蔵は将監に、偉くなり過ぎたな…と語りかける。

権力の近くにいると見えるものも見えなくなる…と皮肉を言うが、将監は、お前に取れるか天下が!と言い返す。

愛蓮は、足に綱を結び付け、逆さ吊りの状態で、振り子のように身体を移動させながら、ダブルヌンチャクで敵を倒していたが、鉄砲隊の銃弾に撃たれてしまう。

駆け寄って来た鷹丸の胸の中で、愛蓮は息絶えるのだった。

半蔵に対峙していた将監の肩にチヌとバリコが乗り三段に重なる。

しかし、そこからの攻撃も、半蔵は見事にかわす。

将監は、チヌとバリコを両脇に抱えた状態で馬で逃げる。

鷹丸も馬に乗り、その後を追う。

やがて、将監の予想通り、鷹丸は砂丘地帯に入って行く。

将監は槍を鷹丸の馬の足元に投付け、馬を転ばせる。

地面に落ちた鷹丸は、将監と対峙するが、その将監の後ろに隠れていたチヌとバリコが、肩ごしに飛びかかって来る。

しかし、それを見事に鷹丸は斬る。

その直後、将監は、飛びかかって来た鷹丸の小刀を跳ね飛ばすが、もう一本の小刀が首の後ろに突き刺さっていた。

倒れた将監の死体に、チヌとイバリが、最後の力を振り絞って近づいて来て、両名とも息絶えるのだった。

同年、豊臣秀吉も62才で他界し、歴史は新しい主人公徳川家康を迎えようとしていた。

生き残った鷹丸とおつうは海辺の崖にたどり着くが、そこに服部半蔵が近づいて来て、鷹丸が持つ二本の小刀を渡せと迫る。

しかし、その前に、おつうが立ちふさがり、鷹丸は、二本の小刀を海に投げ捨て、これが、俺の答えだと呟く。

半蔵は、ま、それも良いだろうさ…と諦めるのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

真田広之、千葉真一、志穂美悦子らJACの面々が活躍する忍者アクション。

見所も多く、それなりの大作風になっているが、いかんせん、音楽が安っぽく、せっかくのアクションを生かしていないのが惜しまれる。

それでも、千葉真一と野際陽子夫妻(当時)が共演シーンがあったり、真田広之の天守閣からのダイビングシーン、佐藤允率いる「蜘蛛一族」が、高い木々を自由自在に昇り降りしたり、途中で向きを変えている「スパイダーマン」シーンなど、見せ場には事欠かない。

ゲスト出演風の志穂美悦子も、アクションでズボンのお尻が裂け、パンツが見えるギャグシーンを演じてくれたりするサービス振り。

とにかく、森の高い木々を背景に使って、ワイヤーを目立たなくしたワイヤーアクションは見事と言うしかない。

ノリとしては、現在に繋がる戦隊ものアクションを観ている感覚に近い。

渋い夏木勲の服部半蔵も悪くない。

見かけはどう観ても爺さんなのに、やたら元気な丹波哲郎や、 刑事コロンボ声の秀吉(小池朝雄)と言うのも、ちょっと面白かったりする。