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黒の死球

1963年、大映東京、高原弘吉「あるスカウトの死」原作、田中耕三脚本、瑞穂春海監督作品。

この作品はミステリですので、後半部分で謎解きがありますが、最後まで詳細にストーリーを書いていますので、御注意下さい。コメントはページ下です。

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交通事故の検分が行われている。

女連れで事故を起こしたのは、ルビースのピッチャー坂口だったので、病院に駆け付けて来た新聞記者たちは、一斉に、球団代表の西尾(大山健二)に、その容態を案じて聞いて来る。

しかし、西尾は、堀口は一ヶ月の静養で十分だし、うちには西沢や黒木もいるから大丈夫と答えて車に乗り込むが、同乗した末松(北原義郎)には、坂口はもうダメだ、後3年は使えると思っていたのに…と本音を打ち明けて、早急に話をすすめるように命ずる。

新人投手として交渉を進めていた長野の菊川浩(倉石攻)との事だった。

末松は、夕べ、面白くない事があって飲み過ぎたと言っているスカウトの柏木(宇津井健)に、相手側が吹き掛けて来た500万に、プラス100万用意して、絶対捕って来いと伝える。

菊川には、柏木がかつて投手だった頃世話になったイーグルス側も、メンツにかけて食い下がって来る事が予想されたからだ。

イーグルスのスカウト浜田は、ノンプロだった柏木を認めて、プロに誘ってくれた恩人でもあっただけに、争わねばならぬ辛さを柏木は感じていた。

その後、柏木は、その浜田の娘しず枝(藤由起子)の勤める画廊に向う。

しず枝とはもう長い付き合いだったのだが、最近、何となく、互いの仲がギクシャクしている事に不安を感じていたしず枝の方から、浜田に読んでくれと手紙を渡す。

別れ話だろうとは察したが、柏木はあえてそれを読まずにポケットにしまうと、場所は教えずに、これから出張すると告げて去ろうとするが、しず枝は、実は父もきのう出かけたと言う。

目的地を聞くと、自分と同じ長野だと言うではないか。

しず枝は、最後の親切心として、本来秘密であれうはずの父親の訪問先を教えてくれたのだった。

長野に向う列車の食堂車で、柏木は、後輩で新聞記者になっていた芦沢(杉田康)から、これからスカウトにでも行くのかと声をかけられる。

柏木は、次の土田で降りるとごまかすと、タクシーで長野に向う事にする。

しかし、芦沢の方もおかしいと思い、一応、駅から社の方に連絡を入れると、目的と思われる菊川は一家揃って行方不明なのだと教えられる。

長野に着き、菊川の実家に出向いた柏木は、専務である浩の叔父もいないと店員から聞かされ呆然とする。

先に来ていた浜田も、困っていたと言うではないか。

その店員に金を掴ませて、浜田の行き先を知らないかと聞くと、奥山田温泉の栄荘と言う旅館だと言う。

その足で向った浩の高校でも、担任の教員羽田野(神山繁)が、風邪で休んだとしか聞いていないと答えるが、本人も風邪でもひいているのか、しきりに咳き込んでいる。

さらに羽田は、PTAが問題にし始めて来たので、そろそろ、この仕事からも手を引きたいと言い出す。

それを聞いた柏木は、まさか、他の球団と…と疑問を口にするが、羽田は否定し、良く野球部長を説得してみたと答える。

それでも柏木は、今夜は一つ旧交を暖めましょうと誘ってみるが、羽田は宿直だからといって断わって来る。

宿泊する花見ホテルに戻ってみると、仲居から、さっき、菊川の父親から電話があったばかりだが、夕方6時に、もう一度かけ直すと言っていたと聞かされる。

その頃、奥山田温泉の栄荘には、サングラス姿の男が疲れた様子で到着していた。

イーグルスのスカウト浜田(河野秋武)だった。

部屋に落ち着いた浜田は、長野から電話があったら廻してくれと女将お芳(村田扶実子)に頼む。

一方、柏木のホテルには、菊川浩と、その父親浩三(春本富士夫)と叔父浩助(遠藤哲平)が直接訪ねて来る。

浩三考えた末、一番高く金額を提示してくれたルビースに決めたのだと言う。

その席で、叔父は、契約金の500万に、高利貸しから借りた金があるので、その利子を含めた借金81万3000円もプラスして欲しいと言う。

予測していた範囲内だった事もあり、柏木は即金で渡す。

部屋の外で浩が、父親の欲深さを謝って来るが、柏木は慰め、それよりも、浩の左へに巻かれた包帯の心配をする。

しかし、浩は、家のスピッツに咬まれただけだから大した事はないと答えた後、浜田さんの方には、どう断われば良いのかと聞いて来る。

それは、自分の方からすると答えた柏木だったが、栄荘に電話を入れると、あいにく浜田は、夕食後、裏山に散歩に出かけた所だと言う。

その夜、とうとう浜田は捕まらなかった。

翌朝、狩猟に山に登ったハンターが、崖から墜落して死亡している浜田の死体を発見する。

警察から事情を聞かれた栄荘の女将お芳は、浜田は前夜、夕食後の酒を飲んでいる時、自分から散歩にでも行ってみようと言い出したが、そんな寒い季節におかしな事を言い出すものだと思ったと証言する。

柏木の元にも刑事がやって来て、他殺の可能性も臭わせて帰る。

その知らせを受けた浩は、自分のせいで浜田が死んだと思い込み取り乱すが、それを必死に父親がなだめていた。

浩は、始めて、浜田に声をかけられた時の事を思い出していた。

予選で外野に廻されて気落ちしていた時期、いきなり声をかけて来た浜田から握手を求められた彼は、その握力から将来エース級のピッチャーになれる可能性があるとを認められる。

しかし、イーグルスは金に渋い球団だけに他に捕られるかも知れないが、君を信じようと言ってくれていたのだった。

その頃、柏木は東京からやって来たしず枝と共に捜査係長(村上不二夫)を訪ね、事件の詳しい話を聞いていた。

死亡時刻は夜の7時半、その時刻、他の宿泊客で外出していたものはいないし、事件性は薄いと聞かされる。

事故ではないのかと問いかける柏木に、係長は、浜田が登った裏山の頂上にある展望台と崖との間は5mも幅があり、謝って落ちるような事は考えにくく、やはり、自殺の可能性が一番高い事を示唆する。

イーグルスからやって来た会社の人間滝井(花布辰男)も、このところ浜やんはついてなかったと自殺説を裏付けるような事を言う。

柏木は、ノンプロ時代、プロテストを受けた自分に、遠投をさせてみて、108mものい距離を出すのをプロたちに見せつけて、プロ入りが決定した頃の事を思い出していた。

その後、スランプに陥った柏木を、ルビースにトレードさせたのも浜田の意見だったと言う。

イーグルスに残って冷遇されるよりは、他球団で新しい可能性に賭けた方が、柏木の為になると考えての親心だった。

追憶から醒めた柏木に、そろそろ帰京しようと、列車の時刻表を確認していた滝井が声をかけるが、しず枝だけは、寄る所があるので一人だけ残りたいと言い出す。

それではと、一旦、滝井と共に駅まで来た柏木だったが、やはり、彼女一人だけおいて行くのはまずいので自分も残ると言い出し、ホテルへ電話して、しず枝が出かけた先を聞くと、権藤町の一宮時計店と言う所らしいと言う。

早速そこへ向うと、時計屋の主人は、初対面のしず枝から、浜田がうちで買った時計の事を聞かれたと言う。

それは、6万5000円もする女物のナルダンだったらしい。

若い頃、妻に死なれて、しず枝と二人暮しの浜田がそんなものを買うとすれば、愛人がいる可能性が考えられる。

浜田が死んでいた奥山田の現場にやって来た柏木は、案の定、そこでぼんやりしているしず枝を見つける。

しず枝は、父親の財布の仲に入っていたと言う、一宮時計店の領収書を見せて、父の秘密を知られたくなかったと呟く。

実は、夏の始め頃から、一ヶ月半も家を開けた事があり、家に入れてくれていた生活費も、その頃から、それまでのは半分になってしまったのだと打ち明けるしず枝。

父親との最後になってしまった朝も、渡された給料袋の中身が半分である事を問いつめると、うちの球団が渋い事は知っているだろうといいながら、父さんの面倒を見るのは大変だとこぼすしず枝に、早く嫁に行ってくれれば、自分も再婚してのんびりできるなどと言い残して出て行ったそうだ。

女がいたとなると、父親の名前に傷がつくと悩むしず枝に、柏木は、自分は今回の菊川の件で浜田に迷惑をかけてしまった事もあり、後始末したいので、全て自分に任せてくれないかと申し出ると、君との話は白紙に戻したいので、これからは、あくまでも浜田さんの遺族として自分と接してくれれば良いと伝え、一緒に帰京する事にする。

その日から急に、柏木は仕事にやる気を見せるようになる。

全国の高校の体力検査の結果を調べて、今、野球をしていないものでも、体力的な素質がある若者がいたら、積極的に会ってみようではないかと、球団の会議で発言して、末松を感心させたりする。

そんな球団事務所に、長野の菊川浩三から電話が入り、昨日出かけたきり、浩の姿が見えなくなったと言って来る。

さらに、柏木本人にも、しず枝から電話があり、とある病院に向うと、そこで誰かのレントゲン写真を見せられる。

生前の浜田から送って来たものだと説明した医師は、そのレントゲンの主は180cmを越す長身だと思われるが、肘の関節に複雑骨折していると診断を下す。

柏木は、手に包帯を巻いていた浩の事を思い出し、すぐさま長野に向う。

浩の実家に到着すると、たった今、羽田野先生に連れられて、浩が帰って来た所だと聞かされる。

部屋に飛び込んで、浩の姿を観た柏木は、その場で投球フォームをしてみてくれと言い出し、周りの人間たちを面食らわせる。

あまりの柏木の迫力に、黙って従った浩だったが、腕は普通に振れているようだった。

ひょっとすると、レントゲンの主は浩ではないのかと言う柏木の想像は、幸いにも外れていたのだ。

すっかり安心して、羽田野から詳しい話を聞くと、学校に新しい英語野先生が赴任して来たので、その歓迎会を開こうと、一緒に車で会場に向っていたところで、炉端を一人で歩いて来る浩を見つけたと言うのだ。

降りて訳を尋ねると、やはり、浜田の事が忘れられなくて、彼が最後に泊まった栄荘に自腹で泊まりに行ったのだと言う。

しかし、それで、自分の気持ちは吹っ切れた。

ただ、宿代で小遣い全て使い果たしてしまったので、帰りの電車賃がなく、それで歩いて帰って来る途中だったと言うので、自分も歓迎会をすっぽかして一緒に連れて帰って来たのだそうだ。


つい嬉しさのあまり、酒を勧めても、下戸なのでと断わる羽田野に、柏木は、ひょっとして、浜田は菊川以外の選手をマークしていなかったかと聞くが、羽田野は心当たりがないと答える。

柏木は、自分がスカウトに転校して新人だった時代、浜田と一緒に飲んだ時の事を思い出してみる。

浜田は、しきりに、自分が108mの遠投を披露した時の驚きを愉快そうに話していた。

108m?…、柏木が何かを思い付く。

その足で出かけた県の体育保険局で、体力検査で108m投げた高校生の記録が残っていないかと聞いてみると、記録は膨大なので、自分で調べてもらえるのならと資料を出してくれる。

しかし、該当者は見つからなかった。

その帰り道、偶然、ブルーソックスを取材に来ていたと言う芦沢に出会い、半ば強引に飲みに連れて行かれる。

何件かはしごした後、もう帰ると言う柏木が無理矢理連れ込まれたのは「銀馬車」と言うキャバレーだった。

その入口で、ばったり羽田野と出会う。

PTAの招待できたのだが、つまらないので帰る所だと言う。

やはり、取材目的だったと見え、テーブルにつくなり、芦沢は柏木に、ひょっとしたら浜田には女がいたのではないかと聞いて来る。

柏木が黙っていると、座っていたホステスたちも面白くないと言い出したので、芦沢は店内を見回し、楚々とした和服姿のホステス(近藤美恵子)を見つけると、その子を呼んで来てくれと頼む。

テーブルにやって来た女に、別のホステスが、この前はありがとうと、時計を返して来る。

どうやら、質草として借りていた様子。

その時計を観た柏木は、愕然とする。

浜田が購入したナルダンだったからだ。

その女をさり気なく踊りに誘い、その時計はひょっとして浜田からもらったものではないかとさり気なく聞いてみると、女は驚いて店の奥に逃げ込んだので、柏木も追い掛けて問いつめると、詳しい話は、明日したいから、宝アパートと言う自宅に来てくれと言う。

花見ホテルに戻ってみると、客が待っていると言う。

部屋で待っていたのは、小諸に住んでいる画家に会って、金を渡して来た帰りだと言うしず枝だった。

柏木は、ついさっき、権藤町のキャバレーで、女を見つけた話をする。

それを聞いたしづ枝は、やっぱりいたのね、いないで欲しかったと、表情を曇らせる。

柏木は、久々の再会に、彼女からもらった手紙の事を思い出し、それどうしようと聞くが、彼女は答えないで、明日、自分も一緒に宝アパートへ行くと言い出す。

ところが、翌日、二人で宝アパートへ行くと、今朝早く引っ越したと大家が言う。

しず枝が、この部屋に、45、6の男が訪ねて来た事はないかと聞くと、サングラスをかけた男なら観た事があると言う。

仕方なく駅に向っていた二人は、又、芦沢に出くわすが、女の居場所を突き止めたと思い込んでいる相手に、勝手に宝アパートへ行かせる。

しず枝は、もう、あの女をそっとしてあげたらどうかとと言うが、柏木は諦め切れなかった。

引っ越し業者を探し歩き、とうとう、しず枝が荷物を送った先を突き止めるが、そこは、別のホステスのアパートだった。

勝手に荷物だけ送って来られて迷惑していると言う。

花見ホテルに戻った柏木を待っていたのは、意外な事に、県の体育保険局の人間だった。

柏木があれほど探していた、108mの遠投記録を作った高校生が判明したと言うのだった。

さっそく、その竹村健太郎(風間圭二郎)と言う高校生の家を訪ねると、ふて腐れた様子で出て来た健太郎は、左腕を包帯で吊っていた。

トラックにぶつかったのだと言う。

浜田と言う人物がこなかったかと聞いても、返事をしない。

祖母(浦辺粂子)が言うには、健太郎には信子と言う姉が独り長野にいると言う。

その腕は、どこで治療したのかと聞くと、本人は教えなかったが、祖母が犬塚外科だったと教えてしまったので、健太郎は起こって表に飛び出して行く。

祖母は、最近、健太郎はすっかり人嫌いになってしまたといこぼす。

ひょっとしたらと感じた柏木が、姉の写真を見せてくれないかと祖母に頼むと、側にあった写真立てを目で知らせる。

そこに入っていた写真は、紛れもなく「銀馬車」で会った和服の女であった。

やはり、浜田は、健太郎をスカウトする目的で、姉に近づいていたのだった。

急いで、飛び出して行った健太郎を追った柏木は、俺の先輩を裏切った姉とは縁を斬ったとふて腐れている健太郎に対し、実は、自分も君と同じ108mの遠投記録を持った男なのだと打ち明ける。

一応、健太郎にも、浜田が死んだ時のアリバイを聞くが、病院にいたと言う。

その犬塚外科に向った柏木は、仮病を装い、院長犬塚(菅井一郎)の診察を受けながら、自分は実は、医療機械のセールスマンなのだが、最近ここで撮ったと言う腕のレントゲン写真を観たが、実に鮮明に撮れていたので、どこの製品か教えて欲しいとカマをかけてみると、犬塚は最近、うちで腕のレントゲンなど撮った事はないと答える。

その直後、犬塚に電話があり、その後診療室に戻って来た彼は、急に柏木の事を疑うように、名刺をくれないかと言い出す。

レントゲンの主は、竹村健太郎と言うのだが…と言い残し、病院を出た柏木は、しばらく近くの喫茶店で病院を観察してみる事にする。

すると間もなく、犬塚が車で出かけたので、犬塚病院に電話を入れ、のんきそうな看護婦から、言葉巧みに、犬塚が高校の羽田野先生に会いに行ったのだと聞き出す事に成功する。

柏木も高校に出向き、教務主任(此木透)に会うと、何と、羽田野は胸を患ったので、三日前に退職届を出し、国に帰ったと言うではないか。

国はどこかと訪ねると、奥山田だと言う。

柏木の頭の中で、事件の裏側が全て見えたような気がした。

その頃、奥山田温泉の栄荘には、羽田野と犬塚が出会っていた。

そこへ、柏木がやって来たので、犬塚は身を隠してしまう。

柏木は、浜田の死について話そうと言い、事件当日、何故、浜田はこの旅館までわざわざ足を運んだのか…と素朴な疑問を羽田野にぶつける。

それは、誰かと合う為だったのだと柏木は一人で語り続ける。

そして、お芳が浜田を楓の間に連れて来て、羽田野が夕食後、外に連れ出したんだと。

お芳は羽田野の母親だったから、共謀して出来た事だと。

面白そうに聞いていた羽田野は、何故、私が?と問いかける。

それは、羽田野が、浜田を憎んでいたからだと、柏木は続ける。

竹村健太郎の姉、信子を高校生時分から羽田野は好きだったが、その信子が浜田を愛してしまった。

酒も飲めない羽田野が、銀馬車にいたのは、その信子に会う為。

羽田野は、健太郎を育てて個人的に金を儲けるには、自分達で他球団に売り付けるしかないと判断、偽のレントゲンを浜田に渡したのも、彼を遠ざける為だったのだろうと柏木は指摘する。

そこへ、健太郎が乱入して来て、自分の左腕は何でもないんだと羽田野につかみ掛かり、跳ね飛ばされた羽田野は、喀血しながら、金が欲しかったが、もう間に合わない…と呻く。

その頃、浜田の事件現場の崖には、信子が立っており、花束を投げ落としていた。

後日、イーグルス対ルビースの試合、ピッチャーマウンドに立っていたのは菊川弘だったが、9回の土壇場で、1塁、3塁のピンチを迎えていた。

リリーフとして登場したのは、背番号19を付けた竹村健太郎だったが、見事、後続を断ち、試合を終了させる。

それをスタンドから観ていた柏木は、浜田は、本当の宝石を見つけていたんだと感心する。

それは、竹村の左腕の事だった。

スカウトは縁の下の力持ちに過ぎないけど、それでも付いて来てくれるかと、一緒に観戦していたしず枝に問いかけると、いず枝は静かに頷く。

その返事を知った柏木は、今まで読まずに持っておいた、しず枝からの手紙を取り出すと、菊川と竹村を連れて、一緒に、浜田の墓参りに行こうと言いながら、その場で破り捨ててしまうのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

1962年「黒の試走車」に始まる「黒の〜」シリーズ第4弾。

どう観ても、自殺としか思われなかった恩人の死を、一人のスカウトが追う内に、意外な真相にぶつかると言う展開だが、素材の面白さもあって、最後まで興味深く観る事が出来た。

トリックなどに主体をおいた本格ミステリと言うよりも、社会問題の方に主眼をおいた社会派ミステリの一種だろう。

今回は、野球のスカウト合戦が舞台なのだが、最近になっても度々マスコミを騒がせている野球事情と、ほとんど何も変っていないんだなとの印象を受ける。

子供をだしにして、金銭欲をむき出しにする家族。

大人の事情の狭間で悩む、純情な野球青年。

一本気な主役に、宇津井健のキャラクターは良く合っている。

タイトル部分で、今、服飾研究家で. ドラマ・CMで活躍している市田ひろみが出演している事は確認したが、残念ながら、画面上でその姿をはっきり確認する事は出来なかった。