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吼えろ鉄拳

1981年、東映京都、井上真介、志村正浩脚本、鈴木則文脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

香港の町中を逃げる一人の青年(真田広之)、彼は路地に追い詰められると、追って来た地元のヤクザ風の男たちから、一斉に発砲され、蜂の巣のようになって死亡する。

アメリカ、テキサス州、カウボーイをしていた青年響譲次(真田広之-二役)は、鉄心先生が苦しそうだと知らせに来た少年の言葉に驚き、自宅に舞い戻ると、病床に伏していた父親鉄心(石橋雅史)の容態が悪い事に気付き、すぐにヒューストンから医者を呼んで来ると出かけようとするが、自らの寿命を悟った父は、それを止め、自分はお前の本当の父親ではない、お前は俺を憎むべき立場なのだと、驚くべき告白を聞かされる事になる。

自分は、18年前、沖縄から大志を抱いて日本本土に渡ったが成功せず、貧乏のどん底状態にあった時、週刊誌で姉と双子の弟がいる裕福な日野原家の事を知り、その弟の方を誘拐してしまった。それがお前なのだと言う。

その後、諍いの末、誘拐仲間を殺してしまい、そのままお前を連れてアメリカに密航して来たのだと言い終わった鉄心は、その場で息絶えるのだった。

父親の遺体を、少年と共に埋葬し終わった譲次は、一路、日本に旅立つ。

息を引取る前父親は、一ヶ月前、ヒューストンの病院に行った時、日野原家の両親も、飛行機事故で亡くなっただけでなく、兄の透も失踪したらしいとの異常なニュースを聞いたとも言い残していたからだった。

タイトル

譲次は、小猿のピーターを連れて、日本の神戸にやって来る。

ポートピアを眺めていた彼のズボンのポケットから覗いている財布に目を付けて近づいて来たのは、地元のチンピラ三宮の三吉(大木こだま)だった。

しかし、逆に譲次から、北野町2丁目はどこかと尋ねられたので、自分が連れて行ってやると、バイクに乗せて行く事にする。

着いた番地に建っていた屋敷には、「日野原」ではなく、「王文元」と言う見知らぬ表札がかかっていた。

確かに自分の生家に違いないのにと、譲次が戸惑っていると、ピーターが勝手に中に入り込んでしまう。

慌てて、それを追って譲次も、屋敷の中に入り込んでしまうが、戻って来たピーターが持って来たものは、赤いブラジャーだった。

プールで遊んでいた女の子の一人のものだったのだ。

譲次の元に駆け寄って来た女の子たちは、彼の事を痴漢呼ばわりし始める。

小猿を使って、わざといたずらをしたと思っているのだ。

懸命に否定する譲次だったが、責めよって来る女の子たちと揉み合っている内に、又、別の女の子のブラジャーが取れてしまう。

ますます、状況が不利になった譲次に、女の子たちは「スパルタカス!」と誰かを呼ぶ。

その声に応じて、プールの中から現れたのは、巨大な身体の外国人ボディガード(アブドーラ・ザ・ブッチャー)だった。

そのスパルタカスから投げ飛ばされた譲次だったが、身軽にビーチパラソルの上に飛び乗って、次々と、牛若丸のように、パラソルを飛び移って移動して行く。

しかし、スパルタカスは、パラソルを揺り動かして譲次をプールに落とす。

すると、スパルタカスの周囲にいた女の子たちも面白がって、スパルタカスをプールに突き落としてしまう。

そんなプールサイドの騒ぎに気付いて、二階のベランダから様子を見ていたその家の主人王文元(中村錦司)は、譲次の顔を見て驚愕する。

プールの中で、追いかけっこをしていた譲次だったが、何とかプールサイドに上がると、スパルタカスと握手をするが、又、両名とも、女の子たちによってプールに突き落とされてしまうのだった。

王から電話で連絡を受けた熊沢青厳(田中浩)は、香港で殺したはずの日野原透が戻って来たと聞き、こちらも驚いていた。

誤解が解け、喫茶「カサブランカ」に女の子たちとやって来た譲次は、王の娘麗花(山下美樹)から、お詫びの印として、スパゲティをごちそうになっていた。

何皿ものスパゲティを食べ終る譲次の喰いっぷりに、マスターのボギー(南利明)も驚く。

譲次は、食後になって始めて、ズボンのポケットから財布がなくなっている事に気付く。

そこにふらりと入って来たのが、あのバイクに乗せてくれた三吉で、自慢げに譲次の財布を見せびらかしはじめたので、彼から掏られた事を知る。

三吉の方も、掏った本人と又再会するとは思いもかけなかったようで、譲次の顔を見て固まってしまう。

空手初段だと言うその仲間が、譲次と戦おうとするが、そこに現れた召し使い風の男から、譲次は王の屋敷に連れ戻される。

屋敷の中には、ピアノの音が響いていた。

その音が止んで、廊下に出て来て譲次の前に現れたのは、目の不自由な姉の日野原千尋(志穂美悦子)だった。

彼女は、譲次の事をロンドンから行方不明になった透だと勘違いしていたようだったが、そこに現れた伯父の日野原一輝(成田三樹夫)が「譲次くん!」と呼び掛けたのを聞き、さらに驚く。

譲次は、二人に、自分は響譲次だと自己紹介する。

その後、姉と二人きりになった譲次は、姉が19才の誕生日に父親からプレゼントされたと言うオルゴールを聞かせながら、自分は、小さい頃は目が見えていたのだが、網膜剥離と言う病気になって失明した事。双子の弟の一人、透は、自分の目を直そうと、医学の道に進んだ事などを教える。

それを聞いた譲次は、これからは自分が姉さんの杖になると誓うのだった。

譲次は、その日から、日野原家の一員として加わり、姉と共に、護衛を勤めている剣術使いの技のデモンストレーションを見物する事になるが、その時、折れた木刀の一部が、姉の千尋にぶつかりそうになるが、まるで目が見えているかのように、その木片を持っていたステッキで払い落とすのだった。

譲次が事情を聞くと、一輝は、5年前から武術を習わせているのだそうで、千尋は風や空気の動きで、物の動きが分かるようになったのだと言う。

そこにやって来たスパルタカスは、完全に譲次と意気投合し、がっちり握手するのだった。

夜は夜で、帝王学を学ぶ為、元町で一輝の経営するキャバレー「フェニックス」にやって来た譲次は、フラメンコショーなど観ていたが、やがて、ミスター・マジックなる手品師(千葉真一)が登場し、手品を披露した後、腹話術の人形を操りだし、譲次のテーブルに近づくと、「君の近くには殺人犯がいる。自家用セスナの操縦士に、睡眠薬入りのコーヒーを勧めて、セスナ機を墜落させ、奥さんも死亡した…」などと、人形の口を借りて奇妙な事を言いはじめる。

その手品師が引っ込んだ後、すぐさま、一輝の子分たちが楽屋に様子を見に行くが、そこにはもう人形だけしか残されていなかった。

その後、トイレに立つふりをして、店の奥に忍び込んだ譲次は、壁にかかった仁王像を動かすと、秘密の扉が開く仕掛けを発見する。

秘密の部屋の扉の前に立った譲次は、「ブツはシバの女王と交換だと?!」と問いただす一輝の声を聞く。

一輝に答えているのは王文元であった。

どうやら、香港にいる取り引き相手楊玄徳なる人物が、欲しがっているのは、「シバの女王」と呼ばれる、時価200億に相当する、130カラットもあるブルーダイヤであるらしい。

王文元は、娘の麗花は何も知らないので、この際、組織を抜けさせてくれと一輝に頼み込んでいたが、一輝はただ、楊と連絡を取れとだけ命じる。

その時、監視カメラに写った譲次の姿に気付いた一輝は、帰る王文元が扉を開けた時、外に立っていた譲次を部屋に招き入れ、俺に協力するかと聞く。

一輝の背後には、巨大なヒトラーの絵が飾られている。

譲次は、即座にノーと答えるが、その途端、一輝から麻酔銃を撃たれてしまう。

一輝は、部屋の飾られた油絵に描かれていた女性の胸に輝くダイヤを見つめていた。

それは、日野原家に伝わる家宝「シバの女王」だったのだが、その在り処は、彼も知らなかったのだ。

気がついた譲次は、目の前にボクサー姿の大男が立っている事に気付く。

その男と戦って倒した譲次の前には、今度は、なぎなたを持った武道家が入って来る。

その男も倒した譲次は、部屋の隅に取り付けられていたビデオカメラを破壊して、部屋を脱出する。

キャバレーの外に逃げようとした譲次だったが、その前に、6人の中国服の男たちが立ちふさがる。

さらに、剣術使いの用心棒も一輝と共にやって来るが、その時突然、積んであったビールの空きケースが倒れて来る。

みんなが、ケースの山の上を見ると、そこに立っていたのはスパルタカスだった。

スパルタカスは、譲次の身体を塀の外に投げると6人の中国人たちと戦いはじめるが、最後は、中国人たちが操る棍棒で袋叩きにされてしまう。

「カサブランカ」に逃げ込んだ譲次は、そこにいたミスター・マジックと出会う。

ミスター・マジックは、自分は鳩を二羽飼っていたが、一羽は目が見えないのだと謎めいた言葉をかけて来る。

何の事を言っているのかピンと来た譲次は、麗花に電話をかけると、千尋をここへ連れて来てくれと頼む。

その頃、屋敷にいた千尋は、小猿のピーターが愛用のオルゴールを倒したので、それを拾おうとして、オルゴールの金具の部分に触れた際、メロディを奏でる回転突起が点字になっている事に気付く。

「カサブランカ」に麗花と共にやって来た千尋は、その意味が「シバの女王は、京都の墓地の、日野原家の紋章の中にある」と譲次に伝える。

たまたま、その時、店にいた常連客の一人テツ(黒崎輝)が、自分がついて行ってやると言い出す。

二人で向った日野原家の墓に着いた家紋部分を触ってみると、それはネジ式になっており、引っこ抜いてみると、中に確かにダイヤが納めてあった。

それを観て喜んだ二人だった、気がつくと、墓の周囲には、怪しげな僧侶の一団が迫っていた。

テツと墓を逃げ出した譲次だったが、執拗に僧侶姿の男たちが追跡して来る。

途中、通りかかった修道女の一団とぶつかったり、大騒動を起こしながら二人は逃げるが、やがて、二人乗り用の自転車を見つけたので、それに乗って走り出すが、あろう事か、僧侶たちも、自転車に乗って追跡して来るではないか。

とある町工場の前を通過した時、二人は急ブレーキを踏むが、止まり切れなかった僧侶たちは、踏切前で止まっていたトラックの後部に、全員追突してしまう。

その後、自転車を降り、走って逃げる二人だったが、自分は空手五段だから、後は任せろと言うテツを陸橋上に残し、譲次は走り去る。

しかし、追って来た僧侶たちに、テツはあっという間に、陸橋から突き落とされてしまう。

僧侶たちは、それまで来ていた服を脱ぎ捨てるが、たまたま下を通りかかっていた女子高生たちが僧侶姿になってしまう。

譲次は、隣接したビルの狭間をよじ登り、屋上に逃げるが、追って来た男たちも同じように屋上まで登って来る。

非常用のロープを取り出し、下に投げた譲次はそれを伝って、ビルを降りるが、追っ手の男たちも全く同じようにロープを伝って降りて来る。

箸を渡って逃げていた譲次は、下の川で遊ぶ子供達の姿を観て、一計を案じ、川に飛び込んでみせると、同じように、追って来た男たちもダイブするが、そこが浅い川だと言う事に気付かなかったので、全員、頭が川底に突き刺さってしまう。

宝石奪還を熊沢から電話で知らされた一輝は、焦るなと相手を制しながら、まだとっておきの手があると薄笑みを浮かべるのだった。

「カサブランカ」に戻ってみると、王文元が、譲次が怪我をしたと、姉の千尋を病院に連れて行ったと言うではないか。

敵の策略に気付いた譲次だったが、そこに一輝から電話が入り、千尋は預かっているから、シバの女王を持って、越前海岸にある別荘まで来いと命じられる。

別荘では、ハーケンクロイツの旗の前で、千尋の前に座った一輝が、ベートーベンの「英雄」を聞いて陶然としていた。

千尋は、同じ血族に、あなたのような人間がいた事を知り、哀しいと泣いていた。

しかし、一輝は、自分の母親は新開地の芸者であり、父親に捨てられた後、貧民窟で息を引取る哀れな末路だったので、その時以来、自分は、日野原家の大邸宅の主人になる決意をしたのだと告白する。

譲次と共に、別荘にやって来た麗花は、そこで待ち受けていた父親王文元に、これはどう言う事なのかと問いつめるが、二階から出て来た一輝は、譲次にダイヤを見せろと言う。

女用心棒二人に掴まれながら一緒に部屋を出て来た千尋は、そのダイヤを出しなさい。その代わり、叔父には、家を出て行ってもらうと言う。

譲次は、姉の言うままに、一輝にダイヤを投げ与えるが、次の瞬間、一輝は、別荘を辞去しようとしていた王文元を射殺してしまう。

さらに、譲次と麗花が立っていた床が開き、二人は落し穴に落ちてしまうのだった。

下に落ちた二人に、一輝は、お前の両親を殺したのは自分だし、兄は、香港のシンジケートに殺させたと告白した後、自分はこれから香港に向うと言い、床を閉じてしまう。

その途端、女用心棒に掴まれていた千尋は暴れだし、次々に、一輝の子分たちを倒しはじめる。

慌てた一輝は、音だ!音で、聴覚を封じるのだ!と叫び、それに応じて、子分が、レコードのボリュームを上げたので、千尋は孤立してしまう。

さらに、御亜用心棒からムチを打たれ、怯んだ所を、空手家白月狼(安岡力也)が突いて来て、千尋は倒れてしまう。

一輝は、俺に逆らうやつは、死よりも苦しい世界に突き落としてやるとつぶやきながら、捕まえた千尋に麻薬を致死量ギリギリまで打たせるのだった。

落し穴に落ちた譲次、麗花、ピーターは、すでに、数日間、時間が経過した事に気付いたいた。

その時、床が開き、女用心棒が姿を見せると、アウシュビッツへ行けと叫ぶと、落し穴の中にガスが噴出しはじめる。

女用心棒は、10分後には、二人とも毒ガスで発狂するだろうと笑いはじめるが、その時、小猿のピーターが、壁をかけ登り、その女に飛びかかると、バランスを崩した女用心棒は自ら穴の中に落ちて来てしまう。

その女が持っていたムチを奪った譲次は、それを使い、麗花と共に落し穴を脱出する。

別荘を出た譲次は、ピーターを麗花に預けるが、代わりに麗花は赤いスカーフを譲次の首に巻いて、別れを告げるのだった。

海岸に向った譲次は、そこで倒れていた千尋を発見するが、抱き上げると、弱々しい声で、この世の中には、例え命と引き換えにしても、許してはいけない事がある。戦ってね、私と透の分までと伝える。

その時、隠れていた一輝の子分たちが姿を現したので、気配を感じた千尋は、最後の力を振り絞って、譲次の前に立ちふさがると、撃たれて海に落ちてしまう。

譲次も、一緒に飛び込み、姉の身体を支えようとするが、海面に漂う千尋は、もうすでに息絶えていた。

数日後、香港では、一輝が、麻薬の取り引き相手である楊玄徳(遠藤太津朗)と対面していた。

30年間、追い求めて来たダイヤだと言いながら、一輝が「シバの女王」を手渡すと、楊は大量のバナナを運び込ませる。

怪訝そうな一輝の顔を観ながら、楊は愉快そうに、その一本をむしり皮を抜いてみせると、その中には、ビニールに包まれた麻薬が仕込まれていた。

その頃、譲次は、亡き姉千尋の遺髪を握りしめながら、香港に向う飛行機の中にいた。

香港に着くと、町中で、譲次の姿を監視する男たちの姿があった。

華通公司のあるビルに入って行った譲次だったが、その部屋はもぬけの殻だった。

廊下で床磨きをしていた二人の男に訳を聞こうとするが、いきなり二人は、隠し盛っていた機関銃を乱射しはじめる。

何とか、外に逃げ出した譲次だったが、外でも待ち伏せされていた事に気付く。

譲次は、通りかかった二階建てバスに飛び乗ると、男たちも乗り込んで来たので、中で格闘が始まる。

譲次が素早く窓からバスの上に這い登ると、男たちも登って来る。

譲次は、近づいて来た大きな看板に飛びつくと、バスが通し過ぎるのを待ち、次に近づいて来た二階建てバスの上に降り立って、その場を脱出するのだった。

しかし、敵をまいたと思っていた矢先、又、見つかってしまい、路地に逃げ込む内に、目の前に立ちふさがったミスター・マジックに銃を突き付けられてしまう。

気がつくと、何時の間にか、追っ手たちは全員倒されていた。

ミスター・マジックは、戸惑う譲次に、自分は国際麻薬警察の調査官、立川修助だと名乗る。

そして、ここからは、自分達、公的機関に任せろと迫り、相手が言う事を聞きそうにもないのを見ると、安全の為、逮捕すると言いながら、譲次に手錠をかけようとするではないか。

思わず、相手を倒した譲次だったが、立川は倒れながらも発砲する。

しかし、その銃弾が狙っていたのは譲次ではなく、建物の上から狙っていた敵だった。

その後二人は、共にロープを使って、とあるマンションンの上から、一輝のいる階に侵入する。

敵を倒しながら部屋に入り込むが、中にいた楊玄徳が抵抗したので、やむなく撃った立川は、一輝の居場所を聞き出そうとする。

楊は、ランタオにある自分の別荘だと答える。

譲次は直ちにモーターボートでそこへ向う。

その頃、一輝は、子分たちに向い、大量の麻薬を手に入れた今、自分は、政治家になり、将来は内閣総理大臣になる事だってできると笑っていた。

すると、その時突然、天井を突き破って、見張りがテーブルの上に墜落して来る。

他の見張りたちも、次々に、部屋に倒れ込んで来て、さらに、爆竹がなりはじめたので、何事が起こったのかと驚いた一輝は、提灯の上に乗っている譲次を発見する。

床に降りた譲次を、熊沢が襲撃して来るが、簡単に倒される。

さらに、空手使いの白月狼も、譲次に倒されてしまう。

そこへ6人の中国人たちは、棍棒で攻撃して来る。

その相手をしている時、ドアを破って、プロレスラー風の大男が部屋に入って来て、譲次の首を絞めはじめる。

その大男と譲次が戦っている間に、一輝は、麻薬の入ったバナナ駕篭を持って、外へ逃走する。

大男を倒した譲次は、その後を追うが、一輝がジープで逃げ出したのを見ると、近くに繋がれていた馬に跨がって追跡を始める。

やがて、どこからともなくヘリコプターが飛んで来て、馬を走らせる譲次に向い爆弾を落としはじめただけではなく、機銃掃射も浴びせて来る。

譲次は、そのヘリ目掛け、持っていた斧を投げ付けると、斧は、ヘリの燃料部分に突き刺さり、燃料が漏れはじめるのだが、それに気付かず、まだ機銃を撃っていた敵は、その火が漏れた燃料に引火した事に気付くのが遅れ、ヘリはそのまま崖に追突して大破してしまう。

やがて、ジープに追い付いた譲次は、飛び移るが、中に同乗していた剣術使いから斬り付けられてしまう。

それをかわしている内に、剣は過って運転手を斬ってしまい、ジープはそのまま、池の中に突っ込んでしまう。

一輝は、間一髪、その前に外に転がり落ちていた。

池の中に立ち上がった譲次は、まだ生き残っていた剣術使いを倒し、一輝を追って、海岸に駆け付ける。

それを出迎えた一輝は、さすがに俺の甥だけの事はあると、銃を突き付けて来る。

それでも、近づいて行った譲次は、右肩を打ち抜かれるが、服を脱いで、接近しながら、相手にムダ弾を撃ち尽くさせると、一輝を倒し、ダイヤを奪うと、それを相手の右目に押し込んでしまう。

一輝はそのまま、崖から海に落ちてしまう。

そこへ別のヘリが近づいて来て、降りて来たのは立川だった。

おとなしく、立川に連行されヘリに乗り込む譲次。

しかし、飛び立って二人きりになると、日野原家の決算は終わったんだから、今こそ、一人だけ、自由な空に飛び出したくはないかと、立川は謎めいた言葉をかけて来る。

その意味を悟った譲次は、ヘリから外に飛び出すのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

真田広之主演のアイドルアクション映画。

真田は、前編に渡り良く動いているし、当時の身体のきれは見事だが、アクション映画として見ごたえがあるかと言うと、それほどでもないような気がする。

やはり、敵として登場して来る人物たちが、皆素人に見えてしまうのが、アクションとして緊迫感を弱めている原因だろう。

ストーリーも、単純と言えば単純だが、それなりにアイデアも詰め込まれており、娯楽映画としては気楽に楽しめる内容になっている。

ユーモア要素も強調されており、あくまでも女の子向けのアクションのように見えなくもない。

今観て意外だったのは、「チッチキー」でお馴染みの大木こだまがピンで出ている事。

声が今とほとんど同じなので気付いたが、当時は、コンビを組んでいない時だったのかも知れない。

千葉真一、志穂美悦子、黒崎輝など、JACのメンバーも揃っているし、何より、敵役を演じている成田三樹夫の存在感は大きい。

それら主要人物が「宇宙からのメッセージ」(1977)と、ほぼ同じキャスティングであるのも興味深い。