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ドカベン

1977年、東映東京、水島新司原作、掛札昌祐脚本、鈴木則文監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

町の朝日奈書店の看板娘朝日奈麗子(山本由香利)が、「いらっしゃいませ!、今、人気絶頂のドカベンですね!」と明るく応対しながら「ドカベン」のコミックをまとめて差し出す。

外に置かれているドカベンが描かれた大きな看板を観ていた小学生たちは、道の向こうから走って来るドカベンそっくりの高校生の姿を観てビックリ!

その後ろ姿を眺めながら、頑張れ!ドカベンと応援する子供達だったが、いつの間にか、彼らの背後にあった看板の中の、ドカベンの絵の部分だけが消えていた。

明訓高校の校門前では、大勢の運動部員たちから、大飯食らいのバカモンと嘲られた傍若無人の岩鬼が、たった一人で立ち向かっていた。

そこに走って来たのが新入生のドカベン。

前をちゃんと観ていなかったため、岩鬼の胸にまともに正面衝突してしまう。

その際、落としたドカベンの鞄を、うっかり岩鬼が踏み付けると、あ!弁当…とドカベンは叫ぶ。

謝れ!と岩鬼が言うと、ドカベンは素直に土下座し、おはようございますと、バカ丁寧な挨拶をするのだった。

バカにされたと思った岩鬼は、ドカベンに殴りかかるが、相手がさっと立ち上がり学校に入ってしまったので、拳骨が宙を切り、地面にめり込んでしまう。

教室では、担任野川(佐藤蛾次郎)が、転校生のドカベンこと山田太郎を全員に紹介する。

クラスには、ガリ勉型の生徒会長大河内(小松陽太郎)や、副会長でマドンナ的存在の朝日奈麗子がいた。

ドカベンの席に遅れてやって来て座ったのが、岩鬼だった。

岩鬼は、授業中にもかかわらず、すぐに特大の弁当箱をあけると、上に置かれた大きな鯛をおかずに早弁を始める。

岩鬼が弁当を全部食べ終わり、本当の昼食時間が始まると、ドカベンが鞄から、あだ名通りに巨大な弁当箱を取り出す。

蓋を開くと、焼きさんまが一匹とタクアンが一本丸ごと入っているだけ。

それを横で観ていた岩鬼は、その弁当箱の大きさが、自分の弁当箱より遥かに大きな事に気付く。

大飯食らいでは誰にも負けないと自負していた岩鬼は、プライドをいたく傷つけられ、ドカベンに帰りにグラウンドに来いと命ずるのだった。

野球グラウンドのプレート上に仁王立ちになっていた岩鬼は、練習の邪魔だと野球部の連中から文句を言われていたが、それには構わず、野球部のアイドル長島(永島敏行)を見に来ていた応援部の夏子(マッハ文朱)に声をかけた所で、その長島から殴られる。

そこに駆け付けて来たドカベンは、自分の学生服を脱いで、汚れたプレートを拭くと、長島に、冗談だと思ったので遅れてしまった自分が悪いんだと謝罪する。

長島は、岩鬼とドカベンに、野球で勝負しろと提案する。

軽く応じた岩鬼だったが、長島の投げる球にあえなく三振。

続いてバッターボックスに入ったドカベンも、同じく三振を喫するが、おかしな事に、ストレートを投げた長島の球が、ドカベンのスウィングを受けると、直角に落ちドロップに変化してしまった。

二人が帰った後、キャッチャーが、ドカベンが使っていたバットを確認すると、中に鉛が入ったマスコットバットだった。

それを知った長島は、ドカベンのバットを振る凄まじい風圧で球が影響を受けた事を知り、愕然とする。

その頃、高校の裏手では、雨の降る中、片目の元柔道部員丹下豪(藤本勇二)が、柔道部部長わびすけ(中村俊男)から痛めつけられていた。

黙って絶えていた丹下が、これで話しついたなと言いながら立ち去ろうとするのを、まだ勝負はついていないとわびすけは止めようとする。

その様子を目撃したドカベンが見かねて二人の間に入り、わびすけから訳を聞くと、有力な部員だった丹下がレスリング部にトレードされてしまったのだと言う。

わびすけは、最低部員が5人いないと地区大会にも出られなくなるので、丹下に辞められると廃部になってしまう。今でも、部室は、他の運動部たちの物置き状態になっており、練習も満足に出来ないのだと説明した上で、ドカベンに柔道部に入ってくれないかと言い出す。

それを校舎の陰から観ていたのは岩鬼だった。

事情を知った岩鬼は、いきなり丹下の前にやって来ると、みんながこう言っているのだ、俺に免じて柔道部に戻ってくれ、俺はどんな事でも辛抱するからと土下座してみせるが、丹下が無視しようとしたので、いきなり辛抱できなくなった岩鬼は丹下を壁に突き飛ばしてしまう。

その後、近づいて来た岩鬼から、ぬかるんだ地面に蹴り飛ばしたドカベンは、顔が泥まみれになるが、怒るどころか、全く岩鬼を無視して、近くの噴水の水で顔を洗うだけだった。

そんなドカベンの態度に苛立った岩鬼は、お前は男のプライドを持っていないのかと挑発する。

しかし、ドカベンは、黙って壁に叩き付けられた丹下を背負うと医務室に向う。

丹下の容態を診察した校医(南利明)は、複雑怪奇骨折だと診断する。

レントゲンを見ると、折れて砕けた骨が「イワキ」の形になっていた。

柔道部の部屋にやって来たドカベンは、他の運動部の物置き同然になり、中に詰め込まれていた用具類を、独り黙々と外に運びはじめる。

用具を取り除いて見えてきた柔道部の畳は、ぼろぼろの状態で、とても練習ができるような状態ではなかった。

ある日、両手にバケツを下げて廊下を歩いていたドカベンの前に立ちふさがった長島が、俺の球を受けろといきなり投付けて来るが、驚いた事に、ドカベンは、バケツを下げたまま空中回転をし、球をやり過ごしてしまう。

今、取り込んでいるのでと謝りながら去って行くドカベンの後ろ姿を観ながら、長島は何かを確信したかのようだった。

山田畳店にいたドカベンの妹サチ子(渡辺麻由美)は、屋根の上に登って、ドカベンの帰りを待ち受けていた岩鬼を見つけ、追い掛ける。

その後、幸子の仲間の子供達から追いかけ廻された岩鬼は、パンキを被ってしまう。

岩鬼が帰って来た自宅は、ものすごい大邸宅だった。

ちょうど庭先では、ドカベンのじっちゃん(吉田義夫)が屋敷中の畳を入れ替えるため、何枚も畳を作っていた。

そんな事は知らず、風呂から上がって来た岩鬼は、部屋に敷き詰められていたまっさらな畳を観て何かを思い付くのだった。

翌朝、自分の家から、自分が作った畳を持って柔道部の部室に来たドカベンは、すでにまっさらな畳が敷いてあるのを観て驚く。

自分の畳も敷き終えたドカベンだったが、そこに、用具を外に出されていた他の運動部員たちが、又用具を柔道部の部屋に投げ入れて来る。

運動部員たちに取り囲まれてしまった 山田は、黙って柔道着に着替えるが、そこにやって来た長島が、他の運動部員たちに、用具を各々、自分達の部室に持って帰れと説得する。

それを聞いた剣道部たちは、俺たちが手を組めば、野球部くらいつぶせるんだぞと息巻きながらも、その場は黙って用具を持って引き下がって行く。

その日、自宅に帰って来たじっちゃんは、60枚納入した作ったばかりの畳の内八畳分が、そっくり盗まれてしまったと不思議そうに話し出す。

そのお屋敷は、岩鬼と言う家だったと言う言葉を聞いていたドカベンは、朝、柔道部の部屋に敷かれていた畳の送り主が誰なのか気付くのだった。

その後、柔道部員が医務室に運び込まれる事件が起こる。

それを知った岩鬼が、屋上に行ってみると、柔道部員たちが他の部員たちに取り囲まれているではないか。

一人黙って立ちはだかったドカベンに、ボクシング部員がパンチを浴びせたので、岩鬼は、そのボクシング部員を投げ飛ばして、自分も柔道部に入ると言い出す。

しかし、ドカベンは、他の運動部員たちに「一人で勝負しろ」と言い出す。

それではと進みでた剣道部員に対し、ドカベンは、何発でも竹刀で叩いて良いから、それで自分が倒れたらこちらの負け、疲れて叩くのを休んでしまったらそちらの負けにしようと言う。

剣道部員は、承知したとばかりに、竹刀でドカベンを叩きはじめる。

じっと絶え続けるドカベン。

顔をかばって、前で組んでいた腕は、やがて、血まみれになって行く。

それでも、何も言わず、立ち続けていたドカベンに対し、必死に倒そうと叩き続けていた剣道部員は、最後にはとうとう口から泡を拭いて倒れてしまう。

ある日、喫茶店「HAKURAIYA」に集まっていた応援部員たちは、夏子は憧れの長島の写真を観ながらうっとりキスしていたのだが、そこに乗り込んで来たのが、神奈川を代表する柔道の名門校、影丸主将率いる花岡高校の柔道部員たちだった。

そこにやって来た岩鬼は、明訓の柔道部の事をバカにしている花岡柔道部員たちの話を聞き、影丸に個人的な勝負を申込むが、影丸は相手にせず、あっさり断わる。

怒った岩鬼は、外で影丸をつかむと投げ飛ばすが、笑って立った相手は、得意技バックドロップで、あっさり岩鬼を頭から地面にたたき落としてしまう。

それを観ていた夏子たちは、呆れてさっさと帰ってしまうのだった。

夕方まで、そのまま外で気絶していた岩鬼は、自分が木枯し紋次郎になった夢を観ていた。

フト気がつくと、目の前の塀に、菅原文太主演の「木枯し紋次郎」の映画ポスターが貼ってあるではないか。

ある日、ドカベンは、長島に「柔道部員たちに野球を使って反射神経を耐えさせたいので、手伝ってくれないか」と頼んでいた。

それを聞いた長島は、その代わり、ドカベンに俺の変化球を受けてみてくれと交換条件を出す。

自分の変化球を受け取れるのは、君しかいないのだと言う。

野球グラウンドで、キャッチャーをやる事になったドカベンは、長島の投げる変化球を受取ると、すぐさま、内野を守っていた柔道部員たち目掛けて送球する。

野球に慣れない柔道部員たちは、その球を避けきれず身体に当ててしまう。

全員に、たっぷり球を投付けた所で、長島もドカベンに、自分も良い勉強になったと礼を言うのだった。

ある日、道路を渡りかけていたミチ子が転んで、危うく車に轢かれそうになった所を、見知らぬ学生が飛び出して救ってくれたのを、近くにいたドカベンは目撃するが、礼を言う前に、学生は立ち去ってしまっていた。

一方、夏子の誕生日祝いを渡そうと教室にやって来た岩鬼は、音楽室にいると教えられそちらに出向くと、「白鳥の湖」を弾くピアノの音が聞こえて来るではないか。

さすが、夏子はん…と、うっとり聞き惚れながら、ピアノに近づいた岩鬼が観たものは、足の指でピアノを弾いている殿馬一人(川谷拓三)の姿だった。

その殿馬からバカにされた岩鬼は、逃げ出した殿馬を追い掛けて捕まえると、投げ飛ばすのだった。

空中を飛んで行った殿馬は、サチ子が観ていた野球部のグラウンドに突き刺さってしまう。

ある日、橋を通りかかったドカベンは、下を流れる川の中で工事仕事を手伝っている学生の姿を見かける。

いつか、サチ子を助けてくれたあの学生であった。

上に上がって来たその学生に、先日、妹を助けてもらった礼を言ったドカベンだったが、何故、学生であるはずの彼が、こんな肉体労働をしているのか不思議だったので、こっそり、その学生の家を探しに行くが、そこで観たものは、自分の妹と同じ、幸子(小貫十枝子)と言う名前の妹を看病している学生の貧しい暮らしだった。

どうやら、両親がいないらしく、兄が一人で稼いで、病身の妹の世話を観ているようだった。

その家の表札には賀間と書かれてあった。

その頃、岩鬼の家では、親戚付き合いをしている影丸の姉亜希子が遊びに来ていた。

岩鬼家の兄弟たちは、皆、東大出の優秀な家系だったが、一人、地区大会の開始間近だった岩鬼だけは、二階で一人柔道の仕上げをしていた。

その騒ぎに顔をしかめた父親虎之助(小松方正)は、岩鬼が下に降りて来ると、もう柔道は許さんと叱りつける。

逆上した岩鬼はいきなり、亜希子の顔をケーキに押し付けてしまうのだった。

強剛花岡高校相手の地区大会の仕合まで後5分に迫ったと言うのに、岩鬼の姿は仕合会場になかった。

なんと、岩鬼は、自宅の部屋に軟禁されてしまったのだ。

その外では、女中たちが、なぎなたを持ってガードしていた。

部屋の中では、ベッドのクッションを利用し、天井と屋根を突き破って、岩鬼は外に脱出していた。

その岩鬼が来るまで時間稼ぎをしようと考えたドカベンは対戦相手の身体を持ち上げ、びくりとも動かなくなる。

もし、時間までに岩鬼が来なければ、不戦敗になってしまうからだ。

制限時間ギリギリまで、相手を持ち上げ続けた結果、持ち上げ一本で、ドカベンが勝ち、その時、ようやく岩鬼が駆け付けて来る。

岩鬼の相手は、影丸主将だった。

夏子たちが応援席で見守る中、岩鬼は、影丸がかけて来た必殺バックドロップを見事に打負かしてしまう。

かくて、強剛を第一回戦で破った岩鬼は、上機嫌になり、その夜は、自分を待ち続けてくれたドカベンに礼をしたいと、ドカベンの自宅にやって来ると、自分で米を研いで、夕食の準備をしてやる。

その姿を観ていたじっちゃんは、義理堅い男だと、すっかり感心するのだった。

夕食を誘われたので、食卓についた岩鬼だったが、目の前に出されたサンマを観てビックリする。

金持ちの坊っちゃんである彼は、今まで、鯛以外の魚を観た事がなかったからだ。

しかし、食べてみると旨かったらしく、骨まで食べ尽くしてしまう。

泊まっていけばと言われた岩鬼だったが、さすがにそこまでは出来ないと帰るが、学生服を脱ぎ忘れている事に気付いたサチ子とドカベンが後を追うと、近所の空き地の土管の中にいる岩鬼を発見する。

岩鬼は、今、家に帰れる状態ではなかったのだ。

それを知ったドカベンとサチ子は、彼の姿に気付かないフリをして、泊まって行けば良かったのにと口に出しながら家に帰る。

その言葉を聞いていた岩鬼は嬉しくなり、先回りして、畳屋の玄関先で帰って来る二人を待ち受けるのだった。

山田はその姿を見ると、嬉しそうに、今夜は柔道の話をしようと、岩鬼を家に上げるのだった。

一方、長島率いる野球部の方も、順調に地区大会を勝ち続けていた。

明訓野球部の次なる対戦相手は大江高校。

ドカベンたち柔道部の次なる対戦相手は武蔵高校で、その主将は、あの賀間(無双大介)だった。

妹の幸子は、看病の甲斐もなく亡くなってしまったようで、遺影が飾られているではないか。

そんな賀間と闘う事になってしまったドカベンの胸中は複雑だった。

試合中、二人で組合ったまま場外に倒れ込んだ時、賀間は左手を骨折してしまう。

仕合が続行された際、だらりと下がったまま、使えなくなった相手に左手に気付いたドカベンは、自分も左手を使わず、右手一本だけで賀間と闘いはじめる。

その結果、ドカベンは、賀間の背負い投げに破れ去ってしまう。

その頃、最終回相手ランナー三塁で、大江の四番バッター田淵を迎えた明訓野球部監督河村(中田久博)は、一打サヨナラを防ぐために、ピッチャーの長島に敬遠の合図を送る。

しかし、勝負にこだわった長島は独断で勝負し、2球目はファールされたので、3球目は自慢の変化球で勝負に出るが、キャッチャーが捕りそこね、パスボールとなってしまったため、あっさり三塁ランナーが生還して負けてしまう。

その頃、柔道部の応援に来ていた生徒会会長の大河内は、何故、左手を使わなかったのか、あれでは八百長だと、負けたドカベンを責めていた。

さすがの岩鬼も、これには参り、ドカベンをかばうため、左手をねん挫していたんだなと弁護してやるが、ドカベンは、自分はねんざなどしていない、相手に合わせたんだと言うだけだった。

それを聞いていた朝日奈麗子は、柔道部を辞めるようドカベンに忠告する。

ドカベンが自宅のある幸町三丁目に帰って来ると、そこで待っていた賀間は、俺に同情した時にすでに君は負けていたんだと言いながらも、今度、自分の腕が直ったら全力で勝負だと言い残し、亡くなった妹のために買っておいた洋服をドカベンにプレゼントするのだった。

柔道部を辞めたドカベンは、同じく監督命令に逆らった事が原因で野球部を辞めていた長島と、学校の屋上で再会する。

長島は、自分の最後の球を受取ってくれと言い、承知して腰をかがめたドカベン目掛けて、最後の変化球を投げるのだった。

しかし、その頃、長島がいなくては今後仕合は出来ないと、他の野球部員たちも一斉に退部届けを部長に提出していた。

それを知った大河内と朝日奈麗子は、長島に戻ってくれないかと説得に来る。

それに対し、長島は、自分が戻るには、ドカベンの野球部への入部を認めさせろと答える。

大河内は、ドカベンは一切の運動部に入れる事は出来んと一旦は突っぱねるが、他の手立てがないと悟ると、最後には、やむを得ん…と譲歩するのだった。

結局、ドカベンと他の柔道部員たちも全員野球部に転入する事になり、さらに何時の間にか殿馬も加わっていたが、そんな新生野球部に、元南海ホークスだったと言う飲んべえの徳川監督(水島新司)が赴任して来る。

徳川監督は、さっそくメンバーたちに、千本ノックを打ち始める。

それを岩鬼は必死に捕る。

殿馬も、秘打「白鳥の湖」を披露する。

そして、正捕手になったドカベンも、千本ノックを受けるのだった。

こうして、彼ら明訓野球部は、甲子園目指し、特訓を始めるのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

水島新司原作のコミックを実写化した作品。

原作を知らなければ、往年のスポコンテレビドラマ「柔道一直線」を連想するような、ごく普通の、子供向け学園柔道ドラマとして、何の抵抗もなく観る事ができる。

ただし、「柔道一直線」が60年代後半頃のテレビドラマレベルであったのに対し、70年代後半になってもそのセンスすら超えられなかった、当時の映画界の衰退振りが、哀れと言えば哀れでもあるが…。

どうやら、原作の冒頭部分をほぼ忠実に再現したものらしく、後に有名になる野球部としての活躍は描かれる前に終わってしまうので、野球ものを期待した原作ファンが観ると、噴飯もののとんでもない出来になっているようだ。

この強引な終り方を観ていると、ひょっとすると、あわよくば続編、さらにはシリーズ化すら念頭に置いて作られていたのかも知れないなどと推測したくなる程。

主人公のドカベンこと山田太郎は、原作の方も地味そのもののキャラなので、この映画の中の地味さを観ても、さほど気にならない。

むしろ、そっくり振りを見せてくれる岩鬼の奮闘振りを楽しむだけでも、観る価値が十分あると思える。

マッハ文朱の夏子はんや川谷拓三の殿馬などは、あくまでもシャレと言うか、お遊びと言ったレベルだろう。

お遊びと言えば、劇中で他の映画作品のポスターを登場させる事が多いこの監督、この作品中でも、しっかり「木枯し紋次郎」を出している所に注目。ただし、他社作品ではなく東映作品なのが、ちょっとシャレとしては弱いが。�

この作品での永島敏行の棒読み演技は、最近の役者にはあまり見かけない貴重な素朴さと言うか下手さだが、内容が内容だけにさほど気にならない。むしろ、シリアスな内容だった次の「サード」(1978)でも、同じような棒読み演技だったのにはさすがに参ったが…。

70年代も、マンガや劇画の実写化は多かったが、内容によっては、今観ると、マンガ原作と気付かない作品も多い中、さすがにこの作品は、今では珍品の部類に入る作品の一本だろう。


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