2007年、「バブルへGO!!!製作委員会」、君塚良一脚本、馬場康夫監督作品。
この作品は新作ですが、最後まで詳細にストーリーを書いていますので、御注意下さい。コメントはページ下です。
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1990年、3月、大蔵省では、芹沢良道(伊武雅刀)金融局長が「不動産取引融資規制」を発表する。
2007年、海で自殺したと伝えられる田中真理子の葬式に現れたのは、田島圭一(劇団ひとり)と言うサラ金業者だった。
彼は、喪主を勤める真理子の一人娘、真弓(広末涼子)に詰め寄ると、借金の200万円を早く返せ、香典は全部持って行くと言うと、受付の方に向う。
それを観ていた焼香客たちは、真理子の分かれた男が作った借金を押し付けられたので、それをいまだに、娘の真弓が背負わされているらしいと噂をする。
そんな葬儀場に現れた一人の中年男は、若い真弓が喪主を勤めているのを見ると、娘がいたのか…と呟くと、どこかに電話を入れ、「計画を終わらせるな」と命じるのだった。
その男の名は、下川路功(阿部寛)と言うらしい。
真弓は、葬儀が終わった後、仕事先であるギャバクラに出かけるが、つい葬儀の帰りだと本当の事を言ってしまい、乗っていた客を暗くしてしまったので、ママ玉枝(森口博子)に呼ばれて注意されてしまう。
このママも、バブルの頃は、芸者をやっていたのだと言う。
そんなママに、給料の前借りを頼む真弓は、早々に帰って良いと言われてしまう。
店から出た真弓を待っていたのは、又しても芹沢、香典は全部で23万円しかなかったので、三日以内に、残りの177万円帰せと言う。
そんな芹沢から、何も食べてないので500円借りた真弓は、それでハンバーグを買うと、釣り銭でもらった100円玉が、平成16年の新品である事に気付き、ちょっぴり嬉しくなってジーンズのポケットにしまう。
その後もしつこく突いて来る芹沢が問わず語りに言うには、彼は元々、銀行員で、長銀の融資課に勤めていたのだと言う。
よもや、銀行が潰れるとは考えもしなかったらしい。
自宅に戻って来た真弓は、アパートの前で待っている不振な男を発見、又、借金取りかと疑うが、その下川路功なる男が言うには、真理子の古くからの友達で、大蔵省の人間だそうだ。
一応、自宅に上げてもらった下川路は、いきなり君の母親は死んでいないのだと言い出す。
海で死んだと言うのは、自分が部下に流させたデマなのだと。
そして、真弓に見せた新聞には、満開の桜の木の下に写っている母親の姿があった。
下川路に促されて新聞の日付けを確認すると、1990年と書いてある。
しかし、そこに写っていた母親は眼鏡をかけており、母親が眼鏡をかけたのは、一週間前がはじめてだった事を知っている真弓は、訳が分からなくなってしまう。
写真に写っているのは、まさしく一週間前の母親だったからだ。
下川路は、名刺を残して、その夜は帰って行く。
翌日、大蔵省を訪れた真弓は、マスコミ人に取り囲まれて大蔵省を出る芹沢に出くわす。
今や、芹沢ファンドを設立し、投資の神様として大儲けしている人物だった。
その辺を追求しようとしていた女性キャスターの宮崎薫(吹石一恵)は、もみくちゃにされながら、差し出したマイクを自分のおでこにぶつけてしまっていた。
そんな騒動が去った後、真弓は、夕べ出会った下川路に再会する。
下川路は、彼女を地下に連れて行くと、一つの部屋に案内する。
そこでは、菅井拓朗(小木茂光)と言う同僚に紹介される。
そこには大きなタイマーが設置してあり「713日13時間」と刻んでいる。
下川路が言うには、日本経済が崩壊するまで、残された時間なのだそうだ。
彼は、今の日本には814兆もの借金があり、1年間で利子だけでも900億づつ増えているのだと言う。
銀行は軒並み2年以内に全て倒産すると言うので、慌てた真弓は、取引銀行カードを出してみせるが、それもダメだと言うではないか。
しかし、このまま日本が破滅に向うのを防ぐ方法が一つだけあると言って、真弓は、菅井、下川路と共に、車で財務省管理と書かれた工場内に向う。
そこは、真弓の母親、真理子が勤めていた日立製作所だった。
下川路は、真理子とは東大の同期なのだと言う。
真理子の研究室にやって来た真弓が、そこに置いてあった扇風機のスイッチを入れると、扇風機自体が飛行機のように飛び立ち、壁に激突してしまう。
驚きながらも、同じように掃除機のスイッチを押すと、部屋中の空気が吸い込まれそうになる。
みんな、真理子が研究中、偶然に出来てしまったものだそうだ。
エジソンは、単に、自分の遺言を構成し残そうと言う動機だけで蓄音機を発明したのだが、その事が、その後の音楽産業に革命を起こしたように、エジソン以上の才能があった真理子も、時々、とんでもない発明品を偶然に作り出していたのだと。
半年前、その真理子が、洗濯機を改良しようとしていた時、中に入れていた「Yahoo japan」のロゴ入りTシャツが、光と共に消えてしまった事があったのだと言う。
そのTシャツは、実は1990年に飛ばされていた事がやがて明らかになる。
実は、この研究所に当時から勤めていた研究員の一人が、当時、突然洗濯機の中に現れたTシャツを見つけ、そのロゴが珍しかったので、今まで取っておいたと、真理子の前に原物を持って来たからだった。
それは、まさしく、消えたTシャツが古びたものだった。
その後、真理子は、自らが実験台になって、1990年の10月に飛んで行ったまま戻らなくなったらしい。
バブル崩壊のきっかけになった「不動産取引融資規制」の発表を中止させる為だった。
桜の下で写っていた写真は、出発前からあらかじめ決めておいた合図だったと言う。
この計画は、国も財務省も、正式にはこの計画を認めておらず、結局、計画は失敗と言う事になり、終わらせる寸前だったのだとも。
話を聞いていた真弓は、何故、母親を救出に誰か他の人が過去へ行ってくれなかったのかと聞く。
下川路は、やったと答える。
しかし、タイムスリップするには、中に入る物体の質量に制限があり、体長160cm以下、円周80cm以下、体積50l以下のものしか不可能だと分かったらしい。
その条件に君がピッタリだと分かったので呼んだと言う。
そんな話を聞かされても、真弓が承知するはずがなかった。
帰りかけた真弓に、借金待っているんだろう?と、下川路が話し掛ける。
この計画が巧く行けば、君の借金もなくなっているはずだと言うのだ。
だが、真弓は、やっぱり帰る事にする。
菅井は、このまま返しても良いのかと、不安そうだった。
帰宅してみると、田島が待っており、二日後までに200万返してくれと言う。
その夜、真弓が母親の銀行通帳を取り出そうとした時、二人で写った懐かしいアルバムが見つかったので、それを改めて観ている内に、母親を救出しなければと言う気持ちが強くなる。
真弓は、考え事をする時、右耳の上を掻くクセがあった。
翌日、真弓は、研究所にやって来ていた。
洗濯機の中に入る為、水着着用である。私物と昔の地図が入った防水袋を持たされると、母親真理子は、芹沢金融局長を説得に行ったはずだから、取りあえず、大蔵省に行ってみろと下川路からアドバイスを受ける。
洗濯機の中に入る時、その頃には、若い頃の下川路に会えるねと真弓が訪ねると、下川路は会うな、17年前の俺は危険だと謎めいた言葉を残す。
下川路、菅井ら、研究員一同が、サングラスをかけると、廻りはじめた洗濯機の中が光だし、真弓の姿は消えていた。
実験は成功したのだ。
下川路は、頼んだぞと呟いていた。
気がつくと、真弓は、無人の研究所の洗濯機の中に出現していた。
泡だらけの状態で外に出た真弓は、施設のすぐ側にあったブリッジが、まだ建設途中である様子を観て、過去にやって来た事を知る。
しかし、その直後、警備員に見つかり、侵入者と間違われて、施設の外に放り出されてしまう。
警備員に今日の日付けを聞くと、1990年3月26日だと教えられる。
着替え終わって、所持品のケイタイを確認するが圏外の表示しか出ない。
まだ、ケイタイが普及する前の時代だからだ。
母親が泊まっているはずのホテルのフロントに向うが、確かに8日前から宿泊しているが、この五日間戻って来ないと言う。
その足で、大蔵省の芹沢金融局長に、母親が会いに来なかったかと真理子の写真を見せに行くが、芹沢は全く知らないと、真弓を追い返してしまう。
真弓が部屋を出たのを確認すると、芹沢は誰かに英語で電話を入れる。その机の上には何故か、17年後の自分が表紙を飾った2007年の雑誌が隠し置かれていた。
玄関に戻ろうと階段の所に来た真弓は、一階の物陰で堂々と女性にキスをしている男を上から発見、良く見ると、その男とは、若い頃の下川路だと分かる。
嬉しくなって挨拶するが、勿論、下川路の方は真弓を知っているはずもない。
ところが、下川路は、未来から来たなどと意味不明な事を言っている真弓から、場所を変えて詳しい話を聞こうと親切に言ってくれる。
下川路に誘われて出かけた六本木の街は、見るもの聞くもの珍しいものばかり。
さらに驚いたのは、連れて行かれたビルが、真弓が働いているギャバクラの場所だった事だ。
そこは、当時、ディスコだった。
真弓は、そこで踊っているラモスや飯島愛に遭遇し興奮状態。
ドーハのロスタイムに気を付けてと忠告すると、意味が分からないと首を捻りながらも、ラモスは、ティファニーのネックレスを真弓にいきなりくれる。
席についた真弓が、今後、日本の経済が数年で悪くなると説明しようとしても、下川路はいきなりホテルの行かないかと誘ってくる始末で、最初から話を聞く気などない様子。
そこに、宮崎薫がやって来て、真弓を連れている下川路に絡んで来たから、話はさらにややこしくなる。
どうやら、彼女も又、下川路と付き合っている女の一人らしい。
真弓と薫が、互いのファッションやメイクの相違に唖然としている間に、当の下川路は、何時の間にか、八木亜希子と言う新人女子アナと踊っているのだから始末におけない。
呆れて外に出た真弓は、一人の学生らしき青年に声をかけられる。
良く見ると、その青年、何と、若い頃の田島ではないか。
金を払うから、今夜付き合ってくれないかと言う。
タクシーで、パーティ会場へ向う途中、田島はちょっと自慢げに、今度、長銀に入る事になったと真弓に教える。
田島と共に船上パーティに参加した真弓は、入口でいきなり大量のタクシー券をもらうし、ビンゴゲームでは当り、賞金として現金200万円もらったので、その金銭感覚の違いに唖然としてしまう。
みんなが古いステップを踊っているのを見て気後れした真弓だったが、田島に勧められ、嫌々踊り始めると、誰も見た事のないステップを始めた為、周りは凍り付いてしまう。
独り浮いている自分に気付いて、ちょっと恥ずかしくなった真弓だったが、その夜の出来事だけでも、バブルの魅力に取り付かれるには十分だった。
翌朝、パーティが終わって無人になった船上で独り目覚めた真弓。
一方、大蔵省に出勤した下川路は、芹沢の秘書高橋裕子(伊藤裕子)に、昨日、局長を訪ねて来た娘に会いたいと申し出、その浮気心を見透かされ、殴られていた。
その直後、当の真弓が芹沢局長の部屋に無断で入り、警備員に捕まりかけている所に遭遇した下川路は、とっさの判断で、真弓を、芹沢局長に借金を催促に来た飲み屋のホステスとごまかして外に連れ出す。
その時、真弓は、芹沢の机に置いてあった雑誌「月刊ダイヤモンド」を、未来から母親が持って来た証拠品として下川路に見せるが、又、女からのポケベルが鳴った下川路は公衆電話をかけようとして、小銭がないのに気付き、真弓から100円玉を借りる。
電話が呼び出し音を鳴らしている時、何事かを思い出したような真弓が、いきなりその電話のフックを押すと、今、下川路が投入したばかりの100円玉を回収して下川路の目の前に差し出して来る。
その100円玉硬貨には、平成19年発行と刻印が入っていた。
その年号を見た下川路は、ようやく事の次第が理解できはじめたのか、真弓を地下の研究所に連れて行く。
100円玉を金属成分分析器にかけた菅井は、本物に間違いないと不思議がる。
その日、真弓を自宅に招いた下川路だったが、まだ心から真弓の言葉を信じた風ではなく、あくまでも、真弓を抱くチャンスをうかがっているだけのようだった。
それでも、豪華な下川路のマンションに驚いた真弓は、無邪気に当時のテレビ番組を面白がっりながらも、あれこれ未来の自分の事を知りたがる下川路に、出世もしていないし、暗く重いキャラクターに変貌していると教えてやった後、ちゃっかり寝室を独占するのだった。
取り残された形になった下川路は、真弓が未来から持って来た「月刊ダイヤモンド」を読み、その間に挟んであった真理子の写真を見つけると、右耳の上を掻きながら何事かを考え始める。
翌日、大蔵省に出勤した下川路は、芹沢金融局長から呼ばれろと、何故、昨日、自分に会いに来た娘を助けたのかと聞かれる。
二日後に規制案を発表する重要な時期であり、ああいう妙な人物にうろちょろされては困ると言うのだ。
念のため、本当にあの娘の母親には会っていないのかと聞いた下川路だったが、芹沢は知らないと答える。
その後、下川路は薫に電話し、これまでの真弓から聞いた話を伝えると、俄然、相手はジャーナリストとして興味を示して来て、真弓に会いたいと言う。
さっそく真弓と都営新宿線曙橋駅で落ち合う連絡をすると、真弓は、駅についたら電話すると言って切ってしまったので、一体どこへ電話すると言うのか、呆然としてしまう下川路だった。
曙橋駅に到着した真弓の方も、ケイタイを取り出した途端、この時代にはケイタイが繋がらない事実に気付く。
しかし、運良く彼女を見つけてくれた下川路から、呆れられながら、この時代の待合せの仕方などを教えられた真弓はハチテレビへと向う。
そこでは、ディレクターから叱られている新人時代の飯島直子に遭遇、その内、缶コーヒーのCFで人気が出るから頑張って!と応援する真弓。
そこで落ち合った薫が、1999年のノストラダムスの予言はどうなったのかなど低レベルの話を持ち出して来るので、真弓は、自分が持っているケイタイを出してみせる。
カメラやマッサージ機能付きのケイタイを見た薫は、少し、興味を持ったようで、さっそく、少女予言者現れると言う企画書を書くと言い出す。
その夜、芹沢局長は謎の外国人と落ち合っていた。
一方、下川路から、珍しい菓子だと言われ、ティラミスをごちそうになっていた真弓の元に、いきなり真理子がやって来る。
驚いた真弓が「ママ!」と叫ぶと、当の真理子は機嫌が悪くなる。
その真理子は1990年の真理子で、成長した自分の娘の顔など知っているはずがなかったのだ。
下川路を店の外に連れ出した真理子は、最近、変な男に付けられているが、あなたの差し金じゃないのかと聞いて来た後、実は自分はあなたの娘を産み、その真弓と名付けた娘が今年5才になり、一人で育てているので付きまとわないでくれとしゃべった後、さっさと帰ってしまう。
その話を聞いた下川路は、店の中にいる真弓にある疑念を持ち、テーブルに戻って来た所で、彼女が右耳の上を掻いている癖を発見し、愕然とするのだった。
店を出た後、自分達が何者かに付けられているのに気付いた下川路と真弓は、その尾行者が薫とテレビクルーである事を知る。
薫が言うには、あっさり企画書が通ったと言うのだが、下川路は二度と自分達に付きまとうなと釘をさして帰る。
マンションに戻って来た真弓は、自分を守ってくれた下川路に礼を言うと、キスくらいなら許すと言い出すが、何故か急に真面目になった下川路は、真弓の軽い態度を説教しはじめるのだった。
そんな下川路に、真理子が今、麹町南署に留置されていると言う連絡がある。
何でも、首相の車の前に飛び出して止めようとしたのだと言う。
翌日、真弓と共に麹町南署に向うが、1時間前に釈放されたばかりだと言う。
裕子に電話を入れた下川路は、芹沢に電話がかかって来たら教えろと伝える。
大蔵省に戻った下川路は、菅井に、雑誌「月刊ダイヤモンド」を見せて、ひょっとすると「不動産取引融資規制」は大変な読み違いをしているのではないかと疑問を口にする。
そこへ、裕子から、今、田中真理子から電話が入り、芹沢と会話中だとの連絡が入る。
芹沢は、規制案は白紙に戻すつもりだが、一応、他のメンバーたちに、君の口から直に説明して欲しいので、今夜6時、「豊川」と言う料亭に来てくれと伝えていた。
そんな芹沢の元に来た下川路は、規制をもう一度見直して欲しいと願い出るが、芹沢は、足踏みしている時ではないと頑として拒否する姿勢を貫き、自分はタイムマシンなんて信じないと言い切る。
その後、「豊川」に向う為、真弓と落ち合った下川路は、本当に未来の日本は不幸になっているのかと確認するが、真弓は、少なくとも未来のあなたはそう思っていると答える。
「豊川」は外国人のボディガードたちにがっちり警護されており、下川路たちが入り込む隙は全くなかった。
そこに、芸者たちが通りかかったので、その顔を何気なく見た真弓は、その一人玉奴が、若い頃のママである事に気付き声をかける。
その時、真弓は同時に、豊川の中に侵入する手段を思い付く。
「スターどっきりマル秘報告」であった。
玉奴に頼み、急遽、芸者の一人に扮装させてもらった真弓は、芹沢たちが集まっている座敷にいきなり乗り込むと、見よう見まねで踊り始める。
一方、調理場の表で待ち受けていた下川路は、魚を持って来た魚屋に、金を弾んで衣装を交換してもらい、そ知らぬ顔をして店の中に侵入してしまう。
芹沢たちの待つ座敷にやって来た真理子は、その場にいる外国人達相手に、とうとうと、いかに、今後、日本経済が悪化するかを説明するが、聞き終わった外国人たちは、ブラボー!と喜びはじめる。
芹沢などは、「不動産取引融資規制」を発表すれば、日本経済が破綻する事は百も承知と言い出す。
彼らは、そうなる事を見越した上で、自分達だけが富を得るように、わざと規制を発表するつもりだった事が分かる。
そうした芹沢の告白を、庭先から盗み聞いていた下川路は、ビデオを用意しておけば良かったと悔やむが、ちゃっかり真弓の方はケイタイで動画録画していた。
しかし、ボディガードが、そんな二人を発見してしまう。
芹沢は、二人を真理子と一緒に秘かに始末するよう命ずる。
しかし、開き直った真弓は、簪を抜いて立ち向かって行く。
真理子に出会った下川路は、老けたな…と口走った後。これ又、ボディがードに殴られると、「効くね〜」と、いつもの調子で受けた後、立ち向かって行く。
しかし、乱闘騒ぎの最中、録画したケイタイが真弓の手から離れ、庭の池に落ちて死んでしまい、二人とも、ボディガードに捕まってしまう。
結局、芹沢たちの勝ちに見えたが、その時、襖が開き、全部撮ったと言う宮崎薫とカメラを廻していたテレビクルーが姿を現す。
今撮った映像を、生放送にそのまま流していたと言う。
菅井が座敷にやって来て、警察にも自分が知らせたと下川路に教える。
助かった真理子と下川路が自分の事を話しているのを聞いた真弓は、今まで何気なく付き合って来た下川路が自分の本当の父親である事を知り、絶叫する。
その時、芹沢は、どこかに古い型のケイタイで電話を入れていた。
その様子を見ていた菅井は、真理子をこの世に存在させなくする方法がもう一つあるのではないかと言い出す。
それは、この時代の真理子を殺してしまう事だった。
下川路も、最近誰かに付けられていると言う真理子の言葉を思い出していた。
下川路は魚屋のスクーターに飛び乗ると、後ろに真弓を乗せ、真理子の研究所へ向う。
研究所に独り残っていた真理子は、外国人殺し屋に捕まっていたが、その部屋の窓を破って、下川路と真弓が乗ったスクーターが飛び込んで来る。
銃を持っている外殺し屋たちを見た真弓は、その場にあった扇風機のスイッチを入れると、それが飛行機のように飛び出し、一人を倒してしまう。
さらに、掃除機のスイッチを入れると、残った殺し屋の体を吸い付けてしまい、服が吸い込まれてしまった相手は股間を強烈に吸い込まれたあげく気絶してしまう。
小さな子供がいるのに、こんなに遅くまで働いていてはいけないと注意した下川路を連れ、真理子は、託児所に預けた5才の真弓を迎えに行く。
翌日、大蔵省の会見場に出席した下川路は、今日発表する予定だった「不動産取引融資規制」は、廃案にすると記者発表する。
仕事が終わったら、家族の元に戻ると答えた下川路の言葉に驚いたのは、記者に混じっていた薫だった。
彼に、家族がいたなんて初耳だったからだ。
真弓は、真理子の口座に、ここで手にした200万を入金してくれと下川路に頼んだ後、研究所の洗濯機の中に、母親と共に入る。
ラモスからもらったネックレスも、自分には似つかわしくないからと、立て看板にかけて置いて行く事にする。
元の世界に戻った真弓は、田島から肩を叩かれたので、まだ借金が残っていたのかと逃げ出そうとするが、田島は、御主人様からの命令で呼びに来ただけだとおかしな事を言う。
表に出ると、菅井も迎えに来ており、やがて、高級そうな自動車がやって来る。
何と、経済通として知られるようになった下川路が総理大臣になったと言うのだ。
車から降りて来た下川路には、公設秘書として裕子が付き添っているではないか。
しかし、総理になっても、下川路の浮気癖は変わってないようで、そんな裕子に誘いを入れ、又殴られている。
そんな下川路の車に乗って帰る真弓は、外に言える三つもの架橋を見て、こんな事で日本は大丈夫なのだろうかと、又新たな心配をするのだった。
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日本版「バック・トゥ・ザ・フューチャ−」とでも言うべきコメディ。
バブルの時代を知っている者には懐かしく、知らない世代には、全てが新鮮に見えるのではないか。
御都合主義の連続と言ってしまえばそれまでだが、肩の凝らない娯楽映画としては、なかなか巧くまとまっている。
劇中でも、未来から来た証拠としてケイタイを見せるシーンがあるが、当時と一番変わった事と言ったら、そのケイタイだろうか。
この手のタイムスリップもので、ファッションや風俗の変化を見せるのは割と常識的な手法だが、CMなどを懐かしさの材料にして見せたのははじめてかも知れない。
その辺は、テレビ局が作った映画としてのセンスが巧く生かされているように思える。
広末涼子や吹石一恵がコメディエンヌとして伸びやかに演技しているし、阿部寛のはりきり演技に至っては堂に行った感じ。
薬師丸ひろ子も楽しみながら演じている様子。
劇団ひとりの化けっぷりも楽しい。
