TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

赤い荒野

1961年、日活、山崎巌+安東穂夫脚本、野口博志監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

花束を携えたジョ−(宍戸錠)が馬に乗って駆けて行く。

滝の所で馬を降り、自らの口を湿らすと同時に、花束にも水を吹き掛けた瞬間、銃声と共に、その花束の一部が飛び散る。

誰から狙撃して来たのだ。

ジョーは、馬で逃げる狙撃犯を追い掛けて行き、馬から落ちた相手のライフルを奪い取ると、相手を川の中に追い込み、何故、俺を撃ったと迫る。

すると、相手は、人違いだったと謝って来たので、ライフルを投げ返すと、相手は一目散に逃げ帰ってしまう。

男が落ちた馬を連れて矢崎牧場に着いたジョーは、庭先に、自分が持って来たのと同じバラがたくさん生えているのに気付き、苦笑して馬を降りるが、その時、家の横から銃口が覗く。

ジョーが緊張すると、出て来たのは、玩具の鉄砲を向けて来た子供だった。

鉄砲の撃ち方は父親から教わったのだと言う。

家の中にいた矢崎咲江(南田洋子)は、ジョ−の姿を見ると懐かしがる。

父親の仏壇が飾ってあり、今日が七回忌だと言う。

先程、銃を向けて来た修(新沢光一)は、ジョ−がこの牧場を去った翌年に生まれた子で、今年6才になるのだと言う。

夫の矢崎は?とジョ−が聞くと、東京に種牛を仕入れに行っており、今日帰って来る予定だと言う。

ジョ−は、二人と共に父親の墓参りに出かける事にするが、出発前、外に繋いでおいたジョ−が連れて来た馬に押された烙印を見た咲江は、これをどこで見つけたのか、これは。山向こうの山本牧場の馬で、最近、馬泥棒にやられたものだと言う。

最近、その馬泥棒のせいで、二つも、牧場が潰れたと言う。

墓参りを終え、牧場に戻って来てみると、三瓶乳業と書かれた車が停まっており、それを見て顔色を変えた咲江が家の中に入ると、数人の男たちが、家財道具などを運び出そうとしていた。

300万円の約手が不渡りになったので、即刻、この牧場から出て行けと言う。

咲江が言うには、協同組合から借りた約手が、いつの間にか、この人たちの手に渡っていたのだと言う。

ジョーは、その男たちの一人佐東(三木正三)の胸ぐらを掴むと、今日中に矢崎が戻って来るはずだから、明日まで一日だけ待ってやれと追い返す。

咲江は、実は、矢崎は無理して牧場の拡張を計ったのだと、ジョ−に告白する。

矢崎の人柄を信用しているジョーは、深夜、独り馬を走らせると、吊り橋のところで待つが、その夜、とうとう矢崎は戻らなかった。

牧場を出る決意をした咲江は、牧場の牛を連れて、自分と修も荷物を積んだ馬車で出発をする。

一緒に着いて行く事になったジョーは、自分が矢崎牧場を出る時、矢崎は咲江を幸せにする事、そして、自分は堅気になる事を、互いに約束しあったのだ、と咲江に告白する。

ジョーは、約束通り、堅気になったと言い、咲江も幸せだと答える。

その頃、三瓶乳業の会社では、社長の小池(加藤武)が、集めた馬は、全部、矢崎の所に集めると佐東ら部下たちに命じていた。

後は、工場を作るだけとほくそ笑む小池。

何かと噂のある奥井牧場に到着したジョーが、働いていた者に声をかけると、それは若い娘だった。

そこに、お嬢さんに何をする言いながら、男の従業員隆吉(杉山俊夫)が近づいて来る。

お嬢さんと言うのは、和子(笹森礼子)と言う奥井の娘らしい。

雨が降り出して来たので、奥井(東野英太郎)に会い、一日か二日、ここで牛を預かってもらえないかと、ジョーが談判するが、奥井は、きっぱり拒否して来る。

数日でも、人の牛に喰わせるエサなどないと言うのだった。

金は払うと言っても、その態度は変らず、とうとう、壁に飾っていたライフルを取って脅される始末。

仕方なく、牧場を出る事にしたジョーと咲江だったが、そこに和子が、父親を許して欲しいと謝りに来る。

咲江親子に雨宿りさせてくれと、ジョーが頼んでいる時、一台のジープが乗り付けて来て、そこから降りて来た数名の男たちが奥井牧場の事務所に入って行く。

昨日、矢沢牧場に来ていた三瓶乳業の佐東と仲間連たちだった。

ジョーが覗いてみると、奥井に後300万出せと迫っている。

それに対し、もう500万も出させておいて、いまだにろくな施設一つできないではないか、渡した500万を返せと奥井が抵抗している。

どうやら、ここでも何か三瓶乳業の被害に会っているらしい。

ジョーは、昨日会ったチンピラたちを殴りつけて追い返すのだった。

和子は礼を言うが、奥井は、こいつのせいで、500万の回収も難しくなったと逆恨みの言葉をはく。

しかし、ジョ−が、奴らは又仕返しに来るぜと脅して帰ろうとすると、奥井もようやく、ジョ−を用心棒として雇う事をしぶしぶ承知する。

雨が上がり、虹がかかった奥井農場で働きはじめた咲江たちの前で、奥井はケチな男で、いわばここは収容所みたいな所だと半分冗談に言いながら、隆吉が得意の歌を披露しはじめる。

矢崎牧場で張込んでいた佐東が、矢崎が帰って来たと小池に報告し、馬で近づいて来た男をライフルが狙い撃ちするが、近づくと、馬の影に身を潜めていた相手からライフルを奪われてしまう。

又しても、人違いだったのだ。

その男からライフルを突き付けられながら牧場に戻って来た佐東を殴りつけた上、謝罪する小池。

瀬川と名乗ったその男(内田良平)は、自分は矢崎ともう一人の男のために、臭い飯を食わされたと小池に打ち明ける。

「奥井牧場におります」と書かれた小さな看板を見つけたが、矢崎はどこにいると聞く瀬川に対し、小池は、東京にいると答えながら、自分達は話が合いそうだなとほくそ笑むのだった。

奥井牧場では、ジョ−が歌を唄いながら寝っ転がっていたが、近づいて来た礼子が、何故、矢崎の奥さんを世話しているのかと聞いて来る。

ジョーは、刑事だった咲江の父親に昔世話になったが、しばらく牧場を離れていたからだと教える。

そんなジョーに、本当は、咲江と矢崎の為を思って、身を引いたのだろうと言い当ててみせる。

そこにやって来た奥井が、サボっている隆吉に、遊んでいるんなら、小池の所へ一人で行って、500万取り替えして来いと命ずる。

ぶらぶらしているジョーにもイヤミを言って来たので、ジョーも馬に乗って出かける事にする。

そんなジョーを、あなたをこんな目に合わせたくなかったと言いながらも、咲江は、本当は今まで何をやっていたのか?、乗り込んで取って来るなんてヤクザのする事だと引き止めようとする。

しかし、ジョーはそのまま出発してしまう。

その頃、吊り橋を渡って矢崎(小高雄二)が馬に跨がり帰って来る。

反対側から馬でやって来たのは、瀬川だった。

馬を降り銃を取り出した瀬川に、こちらも馬を降りた矢崎は、お前の独りよがりで、危うく人を殺してしまう所だったと抵抗する。

しかし、次の瞬間、瀬川の銃が火を吹き、揉み合っている内に、矢崎は橋から落ちて川に転落してしまう。

その銃声を聞き付け、吊り橋の所にやって来たジョーは、無人の橋の上に落ちていた、見覚えのあるペンダントを拾い上げるのだった。

矢崎牧場にやって来たジョーは小屋の中にいる多数の馬を発見、潜んでいるとチンピラたちが出て来たので馬泥棒たちはお前だな!矢崎はどうしたと詰め寄り、ボスの命令で殺ろうとした事実を聞かされる。

小池がやっているキャバレーでは、踊子が踊っていたが、そこのホールに引っ張り出されたのは、捕まった隆吉だった。

そこへ、ライフルを奪ったジョーが乗り込んで来る。

小池が二階に姿を現したので、牧場でこいつらを見つけたとチンピラを突き出すと、隆吉を介抱させ、先に牧場へ帰るように言ったジョーは小池の部屋に向う。

ライフルを突き付けられた小池は、腹を決め、矢島牧場に集めた馬たちは密殺して、奥井牧場に作る予定の缶詰め工場で製品化するはずだったと計画を打ち明ける。

そして、十万円差し出した小池は、これで矢島牧場から手を引けと命ずる。

すんなり、その金を受取ったジョーだったが、俺を黙らせるにはこれだけではダメだと言う。

それを聞いた小池は、もう百万出すと、お前に免じて矢崎牧場は返すが、その代わり奥井牧場を乗っ取ってくれと依頼する。成功したら、もう百万出すと言う。

百万を黙って受取ったジョーは、ライフルの弾倉を抜いて小池に放ると帰って行く。

その頃、奥井牧場に帰り着いていた隆吉は、助けられたジョーの武勇伝をみんなに聞かせてやっていた。

その頃、もらった金を元手に、店でポーカーゲームをしていたジョーは、相手のイカサマを見破ると、掛け金全てもって帰る事にする。

そのジョーに、トランプのスペードエースを投げて来た男がいた。

久しぶりだなエースのジョー、と呼びかけたのは瀬川だった。

シャバに出て来て間がないと挨拶する瀬川に対し、ジョーは、橋で拾ったペンダントを見せ、これは俺が、矢崎の結婚祝で送ったものだと凄んだ上で、今は、奥井牧場にいるので、いつでも相手になるぜと言い残し、その場を去る。

その様子を見ていた小池が、何者だと聞くと、昔、ボスの命令に背いて、人殺しを断わったやつだと、瀬川は教える。その罪を一身に受け、ムショに入れられたのが自分だと。

そして、矢沢の首尾を聞かれた瀬川は、奪い取った鞄を差し出してみせる。

中には、矢沢が東京で交わして来た、種牛の権利書が入っていた。

さらに、300万の金も入っていたので、それをそっくり礼金として渡そうとした小池だったが、瀬川は、金目的でやっているんじゃないから、いらないと断わるの。

牧場に戻って来たジョーは、ペンダントを、鞍のポケットに入れ、中に入ろうとすると、中から出て来た咲江と出会う。

咲江は、事務所の中では、すっかりあなたは英雄扱いになっている、結局あなたは昔の生活のままだったのね…と、皮肉まじりに言う。

そこに、隆吉たちが現れ、ジョーを担いで、大喜びで事務所に入って行く。

独り、馬の側に残った咲江は、馬の鞍をさすっている内に、中に隠してあったペンダントを見つけてしまう。

ジョーは、博打で稼いだ金だと言って70万を奥井に渡すと、戻って来た500万の一部だと思って喜ぶ相手に、それで土地を少し貸してくれないかと切り出す。

自分達の牛を入れておく為、しばらくの間だけだと聞かされた奥井は、200坪の牧場を貸す事に承知し、ジョーに言われるまま、契約書も書く事にする。

その様子を見ていた咲江は、いたたまれなくなって事務所を飛び出すと、馬の鞍に、又、ペンダントを戻しておくのだった。

翌日、ジョーはさっそく、借り受けた土地の周りに柵を作り、「ジョウ牧場の立て看板を打ち込むと、咲江の連れて来た牛を入れてやっていた。

そこに、又、佐東たちがジープでやって来て、ボスが呼んでいる。巧く土地を巻き上げたなとジョーに話し掛けて来たので、それを聞いていた奥井と和子は驚愕する。

そいつらと組んで騙したのかと詰め寄る奥井に、昨日書かせた契約書を見せながら、ジョーは、そのジープに乗って小池の元へ出かけて行く。

小池とグルになって最初からここを乗っ取るつもりだったのね、と和子が迫って来たので、咲江は、自分達にも知らせないで、ジョーが独断で何か計画を勧めているようだと説得すると、冷静になった和子も素直に、疑った事を謝罪するのだった。

そんな和子の様子を見た咲江は、あなたは、ジョーさんの事が好きなのねと聞くが、和子は、ジョーさんが好きなのは別にいる…と寂しげに言い残して去って行く。

ジョーを店で待ち受けていたのは、森村会長(松本染升)と言う影のボスだった。

森村は、一見、自分達の言いなりになって、ジョーが奥井牧場の一部を占領したように見せ掛けて、実は、そのジョーの牧場が出来てしまった為、うかつに、奥井牧場に手が出せなくなったと、皮肉まじりでジョーに伝える。

その頃、修を連れて、石見の町にやって来た咲江は、馴染みの床屋の主人(峰三平)に、矢崎を見かけなかったかと聞くが、昨日ここに立ち寄って行ったが、帰ってないのか?と言うではないか。

店を出て行く咲江を追って行ったのは、偶然、その店でヒゲをあたってもらっていた瀬川だった。

彼は、公園にいた咲江親子にさり気なく声をかけると、自分は御主人の昔からの友達だが、旦那はもう戻らない。ジョ−の奴が殺った。あいつが、東京でどんな仕事をしていたかあんたは知らないはずだ。昨日、あいつが牧場に持って帰った大金は、矢崎の金だし、矢崎のペンダントも持っているはず。自分はいつでも小池の店にいると言い残すと去って行く。

店でジョーが森村や小池と飲んでいると、そのグラスに、近づいて来る瀬川の姿が写ったので、振り向いたジョーは、トランプを投付けて、相手の気勢を制する。

スケが待ってるぜと言って来た瀬川を殴りつけたジョーは、そのまま牧場に帰って行く。

その後、森村は相談があると瀬川を側に呼ぶのだった。

戻って来たジョーに、奥井は、金を返すから契約書は無効になった、すぐさま出て行ってくれと言い出す。

咲江親子はもう出て行ったと言う。

すぐさま馬で後を追ったジョーだったが、その後を馬で追って来た和子が、咲江が向った方向を教え、父も昔はあんなではなかった。色々仕事に手を出しては、人に騙されてばかりだったので、ああいう性格になってしまったので許して欲しい。あの牧場は、そんな父親の最後の拠り所なのだと謝罪する。

和子に教えられた方向に向っていたジョーは、野宿をしている咲江と修を発見する。

咲江は、瀬川と言う男から、あなたが主人を殺したと言われたが、そんな事は嘘で、あの人が殺した事は分かっていると告げながらも、矢崎の死を知りながら自分に教えてくれなかったジョーをなじる。

ジョーは、牧場を取り戻す事が先だと思っていたので…と謝罪し、もう一度、奥井牧場へ戻ってくれと説得するが、咲江は、自分があの牧場にいたら、あなたの命がないと断わる。

俺はどうなっても良いと説得を続けるジョーに、独りにしてくれないか、自分にはもう、どうしたら良いのか分からないと咲江も迷う。

そこへ、和子がやって来て、小池からの手紙をジョーに渡す。

それを読んだジョーが出かけようとするので、咲江は、あなたを誘き寄せる罠だから行かないでくれと止めようとするが、ジョーは、和子に二人の事を頼み、馬を走らせる。

その後ろ姿を見ながら、和子は、あの人は、あなた達の為に、死ぬ気で行くんだわと呟くのだった。

早朝、馬を走らせていたジョーが、大きな木の下を通過しようとした時、上に潜んでいた男が突然襲いかかって来る。

見ると、矢崎ではないか。

襲った矢崎の方も、相手が、旧友のジョーだと知ると驚く。てっきり、小池の子分だと思っていたのだ。

川に落ちた後、通りかかった農民に救ってもらったが、種牛の事が心配で咲江の元に戻れなかったと打ち明けた矢崎は、降り掛かった火の粉は自分で払うと、馬を持つと、自分が出かけようとしたので、殴って気絶させたジョーは、一人で小池が待つ矢崎牧場に急ぐ。

その頃、和子は、牧場から、太田警察署に電話していた。

矢崎牧場では、小池とその子分たち、そして、瀬川がてぐすねひいて待ち受けていた。

しかし、ジョーもそんな事は承知していたので、ライフルの射程範囲内には近づかなかった。

そして、まず、自分の方からライフルを撃ってみると、窓の内側に潜んでいた子分たちが、一斉に反撃してくれたので、その隠れ場所を全部知る事が出来た。

そのジョ−の頭脳プレイを見抜いた瀬川は、あんたらにはあいつは倒せないと、小池に伝える。

ジョーは、馬に乗ったまま、牧場内を駆け抜けながら、射撃をする。

相手が一斉に反撃して来たので、外に積んであった藁の上に身を投じ、そこから又撃ち返すが、途中で、ライフルを取り落としてしまい、それを取ろうと手を伸ばしても、相手の一斉射撃の餌食になり膠着状態になる。

敵の子分たちは、徐々に、ジョーに接近して行く。

ジョーは、胸ポケットに入っていたマッチに気付くと、それで藁に火をつける。

やがて、藁が白い煙を上げはじめ、煙幕変わりになって来たので、その間隙を縫って、ライフルを手にすると、一斉に、近づいていた敵を倒してしまう。

ライフルの玉が切れると、落ちていた敵の拳銃を拾い、納屋の中に逃げ込む。

そこに、小池が近づいて来て、中のジョーを狙い撃とうとした瞬間、ジョーの方が一瞬早く発砲し、相手の銃を叩き落としてしまう。

飛び出して行ったジョーは、手を撃たれ、怯んだ小池と殴り合いになる。

その際、拳銃が馬の水飲み桶に落ちてしまう。

その水桶に、小池の頭を沈め、気絶させたジョーだったが、自分の頭に銃が突き付けられている事に気付く。

こっそり近づいていた瀬川だった。

瀬川は、水中の銃を取り損なって手ぶらになったジョー目掛けて、銃を発射する。

しかし、それは、ことごとく、ジョーの体すれすれに掠めて飛ぶ。

瀬川はいたぶって楽しんでいたのだった。

そんな瀬川の背後から近づいていたのは、遅れて駆け付けて来た矢崎だった。

矢崎は、あたかみ、自分が拳銃を持っているかのごとく、脅しながら、瀬川の背後から近づいて行く。

しかし、その時、水桶の横で気絶していた小池が目を覚ましたのを、瀬川に対し手を上げたままのジョーは見ていた。

矢崎は、銃を捨てないと撃つぜと言いながら、さらに瀬川に近づき、数を数え出したので、根負けした瀬川が銃を放り投げようとした瞬間、小池が水桶の中から銃を拾い上げ、矢崎に向って発砲するが、それは不発だった。

次の瞬間、ジョーは瀬川に飛びつき、二人揃って倒れた後、一発銃声が響く。

折り重なって地面に倒れた二人の内、瀬川がゆっくり起き上がって、やがて、倒れる。

発射した銃を手にしていたのは、下になっていたジョ−の方だったのだ。

奥田牧場では、隆吉の奏でるバンジョーと歌に合わせ、ダンスパーティが開かれていた。

松村も警察に逮捕され、三瓶乳業は壊滅したのだ。

すっかり、改心した奥田は、ジョーに機嫌良くビールを注いでやりながら、これからは、矢崎を助けて何とかして行くと誓う。

ジョーに近づいて来た咲江も、一緒に手伝ってもらえるかと聞いて来るが、返事をせず、ジョーは和子と踊り出す。

踊りながら、ジョーは、親子揃って幸せそうな矢崎一家の姿を盗み見ていた。

やがて、ジョーが咽が乾いたと言い出したので、和子が水を取りに行って戻って来ると、もう室内にジョーの姿は見当たらなかった。

外で馬の鳴き声が聞こえたので、思わず、コップを床に落した和子は、急いで外に飛び出すが、そこには遠ざかって行くジョ−の馬が夜の闇の中に消えて行くだけだった。

部屋の中では、呆然とする咲江の肩に、矢崎が優しく手を添えてやる。

花瓶に刺されたバラの花束には、矢崎のペンダントがいつの間にかかけられていた。

ジョ−の名を呼ぶ和子の声に気付いたのか、一度振り返ったジョーは、軽く手を上げて、そのまま去って行くのだった。

やがて、夜明けが見えて来る。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

島根県三瓶高原を舞台に、エースのジョー事、宍戸錠が活躍する無国籍西部劇。

主題歌も含め、宍戸錠が、劇中で数曲、歌を披露しているのも見所だろう。

日本で撮られているのに、どう観ても、西部劇と言う設定が愉快。

完全に洋風化しているかと言うと、セットにさり気なく内輪が指してあったり、和傘が登場したりして、そのミスマッチ感も楽しめる。

主要メンバーが、皆、馬を乗りこなせる事もすごいが、馬上アクションなどは、今観ても迫力と爽快感がある。

クライマックスの、敵味方4人の駆け引き合戦と言う見せ場も、なかなか行き詰まる展開で見ごたえがある。

悪役として、宍戸嬢と殴り合いアクションを見せる加藤武も若々しいが、黒で決めた殺し屋ファッションの内田良平がカッコ良い。

全体の印象としては、正直、やや凡庸な感じだが、笹森礼子のはつらつとした美貌もあって、それなりに楽めるプログラムピクチャーにはなっていると思う。