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密輸船

1954年、東宝作品。
監督、杉江敏男。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

横浜、大黒橋に係留中の福神丸船底で、一人の男がヒロポンを注射後、煙草に火を付け、そのマッチを床に捨てた途端、室内に充満していたエーテルに引火、たちまち、船は木っ端みじんになってしまいます。

海上保安庁の保安官、津田(三船敏郎)は、麻薬中毒の弟が原因で、母親共々亡くした過去を持つだけに、麻薬を憎む気持ちは人一倍、周囲の仲間達が危惧する程、その捜査方法は強引です。

今日も、麻薬の運び屋をしていた老婆を引き立ててき、何とか仲買人の名前を聞き出そうと事情聴取を粘ります。

そこへ、老婆の娘、松尾多美恵が訪れてきます。
多美恵は、自分達どん底の生活を説明し、何とか母親を弁護しようとしますが、津田は聞き入れません。

多美恵の証言から、南京町の学生売人(藤木悠)、さらに日の出町の斉藤薬局の主人まで、捜査の網は狭まりますが、肝心の主人が殺されており、手がかりはそこでぷっつり…。(薬局の女房役は菅井きん)

ようやく捕まえた重要参考人、九龍丸の船長大西にも、取調中の津田は油断して自殺されてしまいます。

津田は、この件をきっかけに、保安庁に辞職願いを出し、自ら麻薬中毒者になり、敵の中心部へと入り込むのでした。

さらに、津田を気づかう女性保安官は、囮として、かねてより黒幕と見込まれていたベルグランという外国人の秘書になり、貧しい多美恵もまた、ベルグランの仲間の中国人の妾に身を落としていていきます。
そして、3人は敵の組織の中で再会し…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「第三の男」(1949)の有名なチタ−の音色にも似た、どこかのどかなギター音楽が、全体のサスペンスに全く馴染んでいないのが残念。

ストーリー自体は、シリアスな捜査ものとして、じっくり描いているものの、全体的に冗漫な演出で、展開が間延びしている感じです。

きれいごとで終わらないラストが、いつまでも心に残る事は確かなのですが…。