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クレージーの怪盗ジバコ

1967年、渡辺プロ+東宝、北杜夫原作、田波靖男+市川喜一脚本、坪島孝監督作品。

「クレージー黄金作戦」に次ぐ、シリーズ10作目。

北杜夫の原作「怪盗ジバコ」は、ずいぶん昔に読んだはずですが、内容はもう霧の彼方…。

でも、観た感じでは、かなり大胆に脚色されているようです。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

ある日、警視総監(東野英次郎)の部屋に紙飛行機が飛び込み、それには「日本が誇る宝」を頂戴にうかがう…という、世界的怪盗ジバコからの予告文が書かれていました。

巷では「日本の宝」とは何なのか、喧々轟々の大騒ぎ。(ゴーゴーを踊る青山ミチ、理屈っぽい労働青年、立川談志、お調子者の代議士、藤田まことなどがゲストとして登場!)

ジバコ特捜班の班長に任命された明智少(しょう)五郎(ハナ肇)は、部下の鈴木二郎(谷啓)らと共に、早速、羽田空港に向かいます。

パンナムの旅客機から降り立った、いかにも浮かれた東洋人(植木等)を怪しいとにらんだ鈴木は、簡単にその男を捕縛しますが、ジバコはトイレでまんまと手錠に繋がれた状態の鈴木に変装し警察手帖もスリ取っていたため、本物の鈴木を捕まえさせ、自分は難なく逃げてしまうのでした。

ジバコは道行く日本の小学生たちに「おじさんはジバコだよ」と告白しますが、子供たちは「ウルトラマンや快獣ブースカに化けられないので」信じようとはしません。(懐かし〜)
「テレビ中毒だな。じゃあ、おじさんが、君たちが毎日外で遊べるように、その内きっと、このスモッグを消してみせよう!」と宣言するジバコ!(涙)

空港でジバコが一目惚れした東西観光のコンパニオン姫野ナナ(浜美枝)は、ジバコの恋人という立場を利用してスターになろうと野心を持ち、マスコミを利用し始めます。
ナナの名前を聞いたジバコが「ゼロゼロナナのゼロゼロ抜きね」といっているのは、同年公開された「007は二度死ぬ」を意識したセリフでしょう。(「0011ナポレオンソロ」ネタも登場!)

二人がデートする外国風キャバレーでは、小松の親分さん(政夫)が司会者、ステージでは木の実ナナが、ザ・ピーナッツの「恋のフーガ」を英語バージョンで歌っています。(音楽担当が宮川泰さんだからかな?ミリタリールックのバックバンドはジャガーズ?)

ひんぱんにジバコに化けられる為、紛らわしいからと明智に警察を辞めさせられた鈴木は、オンボロアパートの隣人で恋人の局田洋子(豊浦美子?)と共に、ジバコ追跡を続けるのでした…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

東京、奈良、京都、名古屋、横浜…とロケは、相変わらず広範囲に渡っていますが、クレージーものとしては小粒な印象で、出来はまずまず…といった所でしょうか。

お宝の管理人側の人間(石橋エータロー)に化けたジバコが、「ジバコが侵入した〜!!」と叫びながら、外の警官たちを建物内に誘いながら、自分はそのまま逃げる…とか、後半、紺色に白筋のヘルメットをかぶった明智たち警官部隊と、そっくりに化けたジバコのトラック群が、検問を化かし化かされ…する様は、完全に実写版「ルパン3世」(特に「カリ城」?)ですね。

お色気を武器に成り上がろうとするナナのキャラクターは、まんま峰不二子ですし…。

原点が両作品ともルブランの「ルパン」だからというよりも、主役を演じるのがあの植木等のキャラで、全体的にコミカルタッチですし、スパイブームの影響も多分に受けている…という所など、モンキー・パンチさん、ひょっとして、この映画観てヒントにしたのでは?…と勘ぐってしまう程です。

特撮としては、東西観光社長、長塚長衛門(犬塚弘)が、自分に化けたジバコと、部屋で鏡コントするシーン(一般的には、鏡の中に別人が入っていて、鏡の前に立つ人物の動作を、そのまままねするギャグですが、ここでは合成でやっています)や、鈴木が琵琶湖に逃げた国際盗難一味を追い掛けようと、桟橋からそのまま空中へ走り続け、途中で空中にいる事に気付いてからボチャンと水面に落ちる…といった、古典的アニメギャグを実写合成でやっていたり、渋い使い方をしています。