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女王蜂

1978年度、石坂浩二金田一シリーズの最終作です。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼


金田一は横溝正史宅を訪れ、間もなく訪米する事を知らせます。
パスポート用の写真を撮らなければ…と告げると、横溝夫妻(本人たち)が、近所の本条写真館を紹介します。
一方、その本条写真館では、美しい娘(桜田淳子)からの依頼で、空き屋敷と思われていた家で、深夜、婚礼写真を撮る事になります。
その不思議な話を偶然聞かされた金田一は、再び写真館にかかってきた電話で、写真屋と共にその屋敷を訪れ、そこで、風鈴のように釣り下げられた人間の生首(あおい輝彦)を発見するのです。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼
秋の京都を原色豊かに描いた前作「女王蜂」とは一転し、本作では、冬を舞台に渋い色調でまとめられています。
興味深いのは、本作に、杢太郎(草刈正雄)と名乗る不思議なキャラクターが登場している事です。
写真館の助手という設定なのですが、登場場面からドタバタを演じ、かなりユニークな人物として紹介されています。
やがて、金田一と同じような境遇である事が分かり、金田一の助手として最後まで探偵役補佐を演じます。
横溝正史の姪役で登場している中井貴恵(佐田…と名乗っている!)が、「探偵になりたいの?」と杢太郎に尋ねると、「金田一さんと僕とでは、すこ〜し違う」と返事をしますし、最後のシーンでは、冒頭と同じ横溝宅で、金田一が座っていたのと同じ椅子に座り、「なんか、仕事ないっすかね〜」と横溝正史本人相手に言わせています。
これは、どう考えても「草刈正雄版金田一」の伏線としか思えません。
角川事務所は、当時、そういうシリーズ続行作を考えていたのではないでしょうか?
実際はこの後、草刈正雄は角川映画「復活の日」(1980)や「汚れた英雄」(1982)に主演し、金田一ものは篠田正浩監督、鹿賀丈史主演で「悪霊島」(1981)が作られます。