杉江敏男監督による、シリーズ第一作（1961）。
京南大学法学部政治学科、若大将こと田沼雄一（加山雄三）、同じく法律学科、青大将こと石山新次郎（田中邦衛）とその悪友（西條康彦ら）、明治屋ストアで働く中里澄子（星由利子）との出合い、水泳部と軽音楽部とをかけもちしている若大将が衆目の中で唄うシーンがある事（この作品ではドドンパ曲「夜の太陽」！）、若大将が絶えず複数の女性にもてまくっている事、済ちゃんが若大将の行動を誤解する事、実父、上原謙が特別出演している事（本作では、芦ノ湖でアルバイト中の若大将に、転覆したボートから救出される会社社長役）、最後の水泳大会で一旦ピンチになるものの、若大将の活躍で京南大学が試合に勝つ事…など、あらゆるパターンが全て揃っています。
本作で一番印象深いのは、水泳大会に応援に出かけた祖母、りき（飯田蝶子）が、路上で石山の車（澄子同乗）にはねられて、生死の境を彷徨うサスペンスが用意されている事でしょう。
愛する祖母の為に、手術用の献血をした後で若大将が試合に参加する…という演出は、その後、ほとんどパターン化してしまう、クライマックスの逆転劇ではあまり例がないものだと思います。
赤ん坊時代からの若大将を知る植木屋のおじさん（藤原鎌足）が登場しているのも珍しいですね。
彼の亡くなった女房が、若大将の乳母代わりを勤めた…らしいです。
植木屋の新しい女房を演じているのは、菅井きん。
劇中、部員達が食べる焼肉の鉄板用に、マネージャーの多古（後の江口）が、便所の浄化槽の蓋を拝借して来るシーン、後年の草刈正雄版若大将でも、そっくり同じ事やっています。
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