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クレージーだよ・奇想天外

1966年、渡辺プロ&東宝作品。

クレージーシリーズの中でも、谷啓が主演する異色作。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

平和な遊星αで、のんびり暮らしていたミステイクセブン(谷啓)は、地球から飛来して星に激突したロケットに驚く。

怒った長官(植木等)からの命を受け、地球の様子を伺うために、平和憲法を持つという日本へ送られたセブン。彼には、何でもできる超能力が与えられていた。

場所は変わって銀座らしき路上。
流星に見とれ、車道にさまよい出たため、アベックの乗った自動車に追突された酔っぱらい鈴木太郎(桜井センリ)、気がつくとミステイクセブンと入れ代わっている。

それを慌てて介抱した車の運転手は、大聖化学の社長秘書で、その愛人でもあった城山和子(星由里子)、車に同乗していたのは、磯村社長(ハナ肇)その人であった。

セブンは地球上の価値観、愛や女性という生き物も全く知らないため、鈴木の住むアパートの隣人で、彼に好意を持って何かと世話をするゆかり(野川由美子)の存在に戸惑う。
また後日、和子の弟、アキラ少年とも知り合い、超能力で、明が食べたがっていた綿菓子を空間に出現させる。
アキラはそれを手品だと思いこむ。

さらに鈴木は、後日、自分が入社する会社がその大聖化学であった事を知る。
しかし、戦争放棄したはずの日本で、大聖化学が、自衛隊に納入するミサイルを製造している事を知った鈴木、善かれと思って、ミサイルの火薬を花火に変化させてしまう。

彼は自ら、その行為を大聖コンツェルン会長(進藤英太郎)の前で告白するが、無軌道に超能力を使用する鈴木(セブン)の行動に怒った遊星の監視員、零八(ゼロハチ=藤田まこと)に、その能力を消滅させられており、彼はキチ○イ扱いされ、会社を首になってしまう。

失望のある日、鈴木は、以前パチンコ屋で知り合ったチンピラで今は売れっ子歌手になっていたジミ−・ケン(内田祐也)に再会、その付き人になる。
しかし、栄養剤と間違えて下剤を飲んだケンの為に、思わずステージに登り、ひょんな事から、自分自身が人気歌手になる事になる鈴木。

さらに、政界に躍り出たいと、鈴木に応援を依頼した磯村が、宣伝車の上で急死。
その身替わりとして、鈴木本人が国会議員として、大聖コンツェルンの力で当選させられる。

大聖会長の息のかかった議員らの力で議会に提出された平和法案、余りの分厚さのため、いちいちの検討を省略、そのまま通過しそうになる所で、一人の紳士が待ったをかける。

その紳士こそは、自分自身を総理と思い込んでいる精神異常者(植木等)だったが、皮肉な事に、彼の演説は正論であるばかりではなく、平和法案の本質が、自衛隊の放棄と同時に核保有であったカラクリを見抜いてしまう。鈴木は、騙されていた自分に気付き、法案反対側の急先鋒となる。
議会は大混乱!

そんな中、鈴木は、和子に呼び出され、アキラ少年が白血病で余命幾許もない事を知らされるのだった。
鈴木に残された超能力の使用能力は後一度だけ…。
病床のアキラ少年を目の前にした鈴木は、ついに最後の能力で、病気を治す願いを込めた綿菓子を出現させるのだった…。

しかし、その後、国会の混乱の責任は、全て、鈴木一人にかぶせられ、彼は国会議員の職も失ったばかりではなく、遊星αへの帰還をも余儀無くされる。

だが意外な事に、ミステイクセブンの取った行動は、後日、欺瞞平和法案の廃案運動に繋がったのだった。

もう一度、和子とアキラに再開したいセブンは、長官に懇願し、地球へ戻してもらう。

しかし、遊園地の綿菓子売りの姿になっていたセブンの目の前に現れたのは、めでたく結婚して仲良く暮らす鈴木(桜井センリ)と和子、アキラの姿だった。

和子らには、もう、セブンの姿は見知らぬ他人としか写っていなかったのだ…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

今、このストーリーを、予算をかけて、それなりにきちんと作れば、かなりの名作になりそうなファンタジーストーリーなのだが、いかんせん、これが作られた当時は、プログラム・ピクチャーの一本に過ぎず、安っぽい作りのためか、いつしか忘れられた存在になっているのが哀しい。