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赤ひげ

1965年黒澤プロ作品。

すでに人気を得ていた「若大将」シリーズを1年間休止し、加山雄三が「椿三十郎」に続き本格的に黒澤組に参加した作品。


▼▼▼▼▼ストーリー描写とコメントが混在していますので、ご注意ください!▼▼▼▼▼

長崎帰りのエリートで、末は御典医を目指していた保本(やすもと)登(加山雄三)は、ちょっとした訪問のつもりで訪れた貧者対象の小石川療養所で、中を案内してくれる津川玄三(江原達怡=若大将シリーズでは江口役で加山とはお馴染みのコンビ)の話から、自分がここに勤める事に決まっているとの事実を知らされ愕然とします。

療養所の所長、通称「赤ひげ」と呼ばれている新出去定(三船敏郎)にも反発を感じた保本は、わざとサボタージュを決め込み、療養所から追い出されるよう計らいますが、徐々に、現実の悲惨さ、赤ひげの度量の大きさを知るにつけ、功名心ばかりに逸っていた自分を恥じるようになっていきます。

話は3時間を超える長尺で、いくつかのエピソードが語られているのですが、前半の見せ場は、病身にも関わらず最後まで仕事をし続け、回りの人間達に施しをして倒れた善良な車大工の佐八(山崎努)が、住み慣れたむじな長家に戻り、臨終の真際、保本と長家の連中に話して聞かせる「純愛物語」。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

何故、彼が身を粉にして、これまで周りの人間に尽くしてきたのか、その説明にもなっているのですが、その回想シーンは美術的にも素晴らしい出来で、実物大の二階家を倒壊させる地震のシーンなど迫力満点です。
幸せを望む男と、その幸せを恐れる女おなか(桑野みゆき)との哀しい末路が涙を誘います。

後半は、廓で子供時分から虐待の限りを受けてきた結果、身も心も病んでしまった少女おとよ(二木てるみ)を、赤ひげと保本が療養所へ連れて来る所から始まります。

おとよを虐待していた女は杉村春子、赤ひげに腕をへし折られるやくざの一人は常田富士男(まんが日本昔話)です。

おとよの異常さを表現するために、絶えず彼女の眼が無気味に光っているように演出されているのですが、そのために、小さなライトが彼女の眼に当たるようセッティングされています。
しかしライト自体は固定されていますから、当然、子役だった二木さんの方が、寸分違わず光が眼に入る位置に顔が来るように、何度も何度もやり直しをくり返して完成させたシーンだったそうです。

病気から回復してきたおとよが心を許す、貧しさから盗みを働く子供、長次役は、後に「どですかでん」で主役六ちゃんを演ずる事になる頭師佳孝。泣かせてくれます!

診療所の同僚、森半太夫に土屋嘉男、保本と結婚する事になるまさえに内藤洋子(喜多嶋舞の母)、保本の母は田中絹代、父親役は笠智衆、その他、黒澤組お馴染みの俳優さん達総登場。(内藤洋子&笠智衆は、この翌年、本多猪四郎監督、加山主演作「お嫁においで」にも妹&祖父役で再登場しています)

肺腑をえぐられる感動大作!
これを観ずして、日本映画を語るなかれ!


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