TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

神州天馬侠

1958年、東映京都、吉川英治原作、結束信二脚本、大西秀明監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

第一部

天正10年、徳川家康、織田信長軍に天目山へと追い詰められた武田勝頼(立松晃)は、穴山梅雪の裏切りにあって、最後の時を迎えようとしていた。

自分の運命を覚悟した勝頼は、一子、伊那丸(沢村精四郎)に、武田家の家宝、御旗楯無しの鎧と武田菱の御旗を持って、山を降りるように命じる。

逃げる事を潔しとせず、最後まで戦いたいと抵抗した伊那丸だったが、何時の日にか、竹だけ再興を果たし、戦のない平和な世の中を作る事こそ大切との父の言葉を聞き、父親は守ると言う忠臣小畑民部(小柴幹治)の言葉にも後押しされ、金棒の使い手、加賀見忍剣(五味勝之助)と共に、山を降りる事にするが、その途中、伊那丸は、燃え落ちる本陣の姿を見る事になる。

タイトル

この戦の様子を、大鷲クロに乗って空の上から監視していた少年竹童(植木基晴)は、鞍馬山の師匠、果心居士(薄田研二)の元に戻り、武田軍が天目山で敗れた事を報告する。

それを聞いた果心居士は、武田信玄が生きていたら、この事をどう思うかと呟く。

信玄と果心居士は昔、友達だったのだと言う。

勝頼は自害し、家康が伊那丸を探していると竹童は伝える。

その頃、恵林寺の残党たちが、やがて御旗楯無しの鎧と武田菱の御旗の元に駆け付けるだろうと心配した家康は、伊那丸を匿えば、例え、北条家であろうと容赦しないと、北条家ゆかりで、伊那丸の伯父に当る穴山梅雪にも申し付けていた。

伊那丸が逃げるとしたら、北条氏の領内か、富士のふもとしか考えられなかったからだ。

こうした噂を聞いた富士の人穴城に居る山賊の一人轟伝内(小田部麿)は、家康の言う事を聞けば、一国一城の主になれるかも知れないと、伊那丸を探しはじめる。

一方、北条氏政は、家康の逆鱗に触れる事を恐れ、伊那丸を見かけたら通告するようにとの下知札を城下に立てる。

それを見ていた行者姿の男がいた。

富士人穴城の居る山賊の一人、和田呂宋兵衛(吉田義夫)は、軍師玄武と伝内に見張りに出てみようと言い出す。

その頃、鏡を覗いていた果心居士は、伊那丸は、湖の側に祠のある白幡の宮と言う所にいる。すでに兄弟子の竜太郎も向っているので、すぐにここ鞍馬山へ連れて来いと、竹堂に言い付けていた。

クロに乗って富士の近くまで飛んで来た竹童は、湖と言っても五つもあるので、間違えないように気を付けながら伊那丸の姿を探し求めていた。

その頃、家宝を背負った忍剣を従えた伊那丸は、湖の畔にある白幡宮にやって来るが、誰にも家宝を発見されないように、湖の底に沈めようと提案する。

それは妙案と、家宝を積んで、忍剣が独り船で湖に漕ぎだして行く。

独り水辺で待っていた伊那丸を、呂宋兵衛と伝内が発見する。

そうとは気づかない伊那丸は、どこからともなく聞こえて来る笛の音を聞く。

その直後、襲いかかって来た呂宋兵衛と伝内一味と、伊那丸は戦う事になる。

横笛を吹いていたのは、人穴城の咲耶子(丸山栄子)だった。

木の上で、見張りをしていた猿太が、咲耶子にこの戦いを報告する。

多勢に無勢、玄武の投げる短剣や、家来たちが放つ矢に苦戦しながら、林の中に追い詰められた伊那丸は、呂宋兵衛の南蛮幻術の催眠術によって、眠らせられる。

その次第も、猿太から聞いた咲耶子は、すぐに城に戻る事にする。

そんな事は知らず、家宝を湖に沈め終わり、水辺に戻って来た忍剣は、伊那丸の姿がない事に気づき、周囲を探す内に、林の中に、矢が刺さった跡を見つけ、伊那丸が襲撃された事に気づき悔しがる。

野武士の根城であった富士人穴城の城主は、咲耶子の兄で、温厚な性格の根室小角(中村歌之介)だった。

小角は、捕まえた伊那丸に、再び、南蛮幻術の毒煙を浴びせようとしていた呂宋兵衛を制すると、自ら、その捕縛を解いてやり、賓客として丁重に迎えるのだった。

小角は、武田の旗揚げをする日まで、自分が伊那丸を守る、明日にでも、隠し砦に案内するので、今夜は、妹、咲耶子の笛でも聞いて休んでくれとねぎらう。

そうした城主の行為に反感を持ったのが、呂宋兵衛や伝内たち、常々、城主の生温い采配に不満を抱いていた事もあり、その日の内に謀反を起こし、城を乗っ取る事を決める。

そうした企みも知らず、伊那丸は咲耶子の吹く笛に合わせて、舞いを舞っていたが、その時、木を打ち鳴らす音が聞こえて来る。

その頃、空を飛んで、伊那丸の行方を探していた竹童は、暗くなってしまったので、一旦、鞍馬山に帰還する事にする。

人穴城では、呂宋兵衛らによる謀反が勃発し、部屋にいた小角は、いきなり乱入して来た呂宋兵衛の剣に倒れてしまう。

そこへ駆け付けた伊那丸は、すでに城主の御印の兜を被った呂宋兵衛の右手に小刀を投付け、毒煙の術を封じるが、玄武の投げる手裏剣に阻まれ、それ以上戦う術がない。

やむなく、二人を逃そうと猿太が用意した馬で、城を逃げるのが精一杯であった。

その頃、伊那丸を探して街道を歩いていた忍剣は、行者姿の若者に出会ったので、前髪姿の少年を見かけなかったかと聞くが、相手は知らないと言いながら、しつこく付きまとう、忍剣のヒゲを片方そり落としてしまう。

これに怒った忍剣は、相手を敵方と思い込み、その後を追い、行者が休んでいた社まで来るが、又そこで、もう片方のヒゲもそり落とされてしまったので、堪忍袋の緒を切ってしまう。

その行者姿の男は、そんな忍剣の相手はせず、街道をひた走る二頭の馬を発見し、慌ててその後を追って行く。

馬に乗っている若者が、伊那丸である事に気づいたからだ。

忍剣はと言えば、その行者が落として行った武田菱の印を観て、相手が自分の仲間だった事を知り、これも又後を追う事になる。

途中で馬を降りた伊那丸は、武田家再興の時、必ず迎えに行くと約束して、独り咲耶子を隠し砦に向わせると、自分は追っ手たちをこの場で食い止める事にする。

やがて、追って来た山賊たちと伊那丸は戦うが、そこに駆け付けたのが、行者姿の男。

彼こそが、鞍馬山の果心居士の一番弟子、木隠竜太郎(尾上鯉之助)だったのだ。

さらに、忍剣も駆け付け、竜太郎の落とした印を戻すと共に、自分の武田菱も見せ、互いに味方同士だった事を明かしった後、協力して山賊たちを蹴散らすのだった。

伊那丸と忍剣を先に、賊が乗って来た馬に乗って逃げるように指示した竜太郎自身も、空中を飛んで、馬に跨がると、あっという間に山賊たちから逃げ去ってしまう。

その頃、鞍馬山では、果心居士が、今日中に伊那丸をここに連れて来なければ、大変な事になると言い出し、浜松にいる伊那丸を連れて来るよう竹童に言い付けていた。

竹童は、あらゆる術を身につけながら、未だかつて、一度もそれを使った事がない兄弟子の竜太郎を羨むが、心に正しい勇気さえ持っていれば術等いらないと、果心居士から諭されて出発するのだった。

その竹童が乗る大鷲の姿は、浜松の町民たちに発見され、大騒ぎになっていた。

浜松の家康の居城では、堺からやって来た穴山梅雪から南蛮渡来の鉄砲を献上された家康が、折から、飛んで来た大鷲に目をつけ、今や自分の家臣となった小幡民部に撃ってみろと命じるが、あれは雄々しい殿のお姿の象徴かも知れないと言う民部の言葉で、撃つ事を思いとどまる。

そんな浜松城の前にやって来たのが、伊那丸、忍剣、竜太郎の三人。

憎っくき家康の居城と知って観察していたのだが、家康配下の見回り組が近づいて来たので、一旦立ち去る事にするが、目ざとく、見回り団は、この三人の姿を見つけており、それが伊那丸一行だと気づくと、上に報告する。

その夜、浜町の町に、美しい歌を歌う芸人兄妹の姿があった。

歌っている美貌の兄は、武田の残党、巽小文治(里見浩太朗)と、その妹は美登里(高島淳子)は、折から、すぐ近くにあった宿に、侍たちが流れ込んでいるのを目撃する。

伊那丸探索の為、宿改めに来た家康の配下たちだった。

伊那丸の部屋に入って来た探索隊は、伊那丸を見るや否や、その卑しからぬ姿から、すぐにその正体に気づくが、気づかれた伊那丸の方も、慌てず、礼を持って迎えられるのなら、こちらも素直に従おうと、忍剣、竜b彼らに伴われ、家康の元に向う事にする。

はじめて対面した家康は、元は勝頼と刃を交えた事もあるが、織田側にはお前を渡したくなかった。しばらくこの城の部屋で安めと、温厚な態度で伊那丸を迎える。

伊那丸、忍剣、竜太郎を部屋に案内した坂兵衛は、部屋に入る前に腰の物を預かりたいと言う。

刀を抜きかけた伊那丸に、竜太郎が、刀は伝家の宝刀なので、みだりに預けてはいけないと諌め、自ら背負っていた箱の中には山村の仏が入っているだけだと開けてみせる。

案内された部屋には、もてなしの用意がしてあったが、喜んで食べはじめようとした忍剣を制した竜太郎は、吸物椀の中身を襖に浴びせると、襖は焼けただれて行く。

毒が入っているのだ。

何時の間にか入口も二重扉で閉ざされ、怪力の忍剣も持ってしても、びくともしなかった。

周囲の襖の外側も、壁になっており、伊那丸ら三人は、完全に密室に閉じ込められた事になる。

家康は、人穴城の呂宋兵衛に、伊那丸は自分が滅ぼしたと伝えるよう命じる。

やがて、伊那丸たちが閉じ込められた部屋の天井がジリジリと落ちて来る。

吊り天井の仕掛けだった。

竜太郎は、背負っていた箱の中に安置してあった小さな仏の一つを手に取ると、果心居士についに術を使う許しを乞うなり、入口の二重扉に投げ付けると爆発を起こす。

仏は爆薬だったのだ。

入口に穴が開き、外に飛び出した三人は、駆け付けた家康軍と、大立ち回りが始まる。

そうした居城の外では、小文治を駆け付けて来て、城から出て来た家臣たちを槍で蹴散らしはじめる。

空には、クロに乗った竹童が近づいていた。

逃げ出そうとする伊那丸らを阻止せんと、弓部隊が一斉に矢を放ちはじめる。

竜太郎が又仏をその場に投付け爆発を起こすと、次の瞬間、矢が刺さった三人の姿は人形に変化していた。

伊那丸たち三人は、塀伝いに逃げようとしていたが、そこに小文治が合流し、自分も武田の味方だと明かて、共に戦いはじめる。

クロが城に接近して来る。

家康は天守閣に逃げ込んでいたが、それを追って、伊那丸が城の階段を登りはじめる。

家康軍の鉄砲隊が駆け付けて来るが、竜太郎の仏爆弾で、銃身が全てまがってしまう。

階段を登って来た伊那丸を、天守閣から鉄砲で待ち受けていた家臣を見つけた小文治は、槍を投付け倒す。

天守閣で家康と対峙した伊那丸だったが、護衛に阻まれ、逆に欄干に追い詰められてしまう。

危機一髪の伊那丸だったが、そこに飛来して来た大鷲クロが、さっと伊那丸を掴み、空に舞い上がる。

それを下から目撃した竜太郎は、助かったと安心する。

しかし、飛び去って行くクロを撃てと、家康から命じられた黒木が銃を撃つと、その弾がクロの足に当り、思わず開いたそのつま先から伊那丸が海に向って落ちてしまう。



完結篇

クロが伊那丸を落としてしまった事に気づいた竹童は、急いで下に降りるが、そこは海の真ん中、何も発見できなかった。

一方、家康の浜松城に駆け付けた美登里が、塀に投げた縄を伝い、小文治、竜太郎、忍剣は、無事、城外に脱出する。

竜太郎は、伊那丸がクロに捕まれ、向ったに違いない鞍馬山に一人で向うと言い、他の三人にここで待っているように命ずる。

忍剣も一緒に行くと言い出すが、一日50里走ると言う竜太郎に付いていけるはずもなかったので諦める。

その頃、鞍馬山の果心居士の館では、戻って来た竹童が、自らの失態を恥じ泣いていた。

果心居士は、そんな竹童を慰めると、ケガをしたクロをいたわってやるように諭すのだった。

そのクロのねぐらで、一緒に寝起きをして、クロの看病をしようとしていた竹童の元に帰って来たのが竜太郎だった。

竜太郎は、伊那丸はどうしたと尋ねるが、竹童の態度から見失った事を知る。

祈祷をしていた果心居士は、戻って来た竜太郎に、伊那丸は海の上にいる。つまり船に乗っていると言う事だ。船はやがて港に付く…と伝え、ただちに堺に向い、特に裏切者、穴山梅雪から目を離すな…と命じるのだった。

その頃、海に落ちた伊那丸は、海賊船に捕えられていた。

海賊の頭領竜巻九郎右衛門(青柳竜太郎)は、縛られたまま何も答えようとしない青年の持っていた刀に、武田菱の印があるのに気づき、目の前にいるのが、武田の遺児伊那丸だと察する。

堺の港に到着して、町の様子を監視していた竜太郎は、小幡民部が竜巻九郎右衛門と接触している姿を発見する。

竜巻九郎右衛門は、取引は直接穴山梅雪とすると言い伊那丸から奪った刀を証拠として見せる。

本陣で、竜巻九郎右衛門と対面した穴山梅雪は、伊那丸を買うと言い値段を聞く。

九郎右衛門が望んだ金額は黄金300枚と言うもので、明神岬で、今夜取り引きするが、人質として梅雪の妻を連れて行くとも言う。

その申し出におとなしく従う梅雪。

その夜、九郎右衛門に連れて来られ、明神岬にやって来た穴山梅雪の姿を見た伊那丸は、武田を裏切った仇を目の前にして犬侍!と罵るが、逆に、梅雪から、お前を家康に売って、忠誠を表してやると笑われる。

約束通り、人質になっていた妻を取り戻し、金を渡した梅雪だったが、伊那丸を連れて帰る時、供をしていた民部が、油断していた九郎右衛門をその場で斬り殺してしまう。

そうした一部始終を竜太郎は隠れて見ていた。

翌日、浜松城の家康に面会し、伊那丸を捕まえた事を報告した梅雪だったが、家康は、伊那丸の首だけでは満足せず、御旗楯無しの鎧と武田菱の御旗も見つけて差し出すよう命ずる。

伊那丸を、とある寺に連れて来て、二つの家宝の在り処を聞き出そうとした梅雪だったが、それを制した民部は、拷問をして万一死なれでもしたらそれまで。むしろ、伊那丸を囮にして、家宝を隠してあると思われる富士の裾野の白幡宮近辺を進んで行けば、恩賞目当てに、家宝の在り処を知っているものが名乗り出て来る可能性があると進言する。

そうした密談を二人が交わしている横を、大きな太鼓の音を響かせながら、僧の行列が通り過ぎて行くが、その中の一人が、縛られていた伊那丸を観てにっこり微笑む。

伊那丸も又、その顔を観て微笑む。

僧の姿に身をやつしていたのは、竜太郎だと分かったからだ。

その夜、伊那丸を救い出そうと、民部の本陣に乗り込んだ忍び装束の竜太郎は、部屋で待ち受けていた小幡民部と対峙する。

相手を裏切者と思い、斬り掛かろうとした竜太郎だったが、それを制した民部は、懐から武田菱の御印を出してみせ、わざと、梅雪の下部になっているのだと打ち明ける。

事情を察した竜太郎は、民部と打合せをし、その直後、部屋にいた梅雪を襲撃する。

すぐに駆け付けて来た家来たちに取り囲まれた竜太郎の前に出て来たのは民部。

彼は鉄砲を取り出して、竜太郎目掛けて撃つが、その弾は足元を掠めただけだったので、竜太郎は、打合せ通り、難なく逃げおおせる事が出来た。

その頃、山の中で、竜太郎からの知らせを待っていた小文治、美登里、忍剣の三人は、あまりに知らせが遅いのでやきもきしていたが、動くに動けない。

その三人への手紙を、果心居士から預かって、クロに跨がり、空を飛んでいた竹童は、地上から放たれる矢に驚き、逃げ回る内に手紙を落としてしまう。

その手紙を拾ったのが、大鷲目掛けて矢を放っていた男だった。

男は、やがて、武田の同士たちも集まるであろう小太郎山に来いとの内容を読んで驚く。

そこへやって来たのが、手紙を奪われた竹童。

男は、懐から武田の御印を取り出して見せると、自分は、山形源左衛門の息子、山県蔦之助(南郷京之助)だと名乗り、事情を知らずに矢を射た詫びを言い、手紙を竹童に返す。

竹童が、これから天竜川の上流にいる小文治たちに手紙を持って行くと言うと、では、自分は先に小太郎山に向うと言って、その場で別れる事にする。

その蔦之助に付いて来たのは、従者の弥吉だった。

その頃、富士の裾野を、伊那丸を引き連れた梅雪、民部らの一行が、馬を列ねて進行していた。

それを、見張りの猿吉が見つけ、すぐさま小太郎山の隠し砦にいた咲耶子に知らせに走る。

一方、人穴城の和田呂宋兵衛も、その行列の事を聞き付け、軍師から、おそらく、家宝を探す手立てだろうと教えられる。

それなら、家宝が出て来た所を見計らって、伊那丸諸共奪い去り、家康に売り飛ばしてしまおうと作戦を立てる。

竹童から手渡された果心居士からの手紙を読んだ小文治たちも、隠し砦目指して馬を走らせていた。

その三人の姿も見つけた猿太は、すぐさま隠し砦に走る。

そこへ、梅雪一行が近づいて来る。

咲耶子は、梅雪一行を白幡宮に連れ込むので、そこで仕留めようと作戦を立てる。

そこに、ようやく小文治ら三人が隠し砦に駆け付けて来て、咲耶子らと手を取り合って戦う事を誓いあう。

その頃、鞍馬山で鏡を覗いていた果心居士は、これから恐ろしい戦いが始まると予言する。

側でそれを聞いた竹童は、自分も行って戦いたいと言う。

果心居士は、そんな竹童に、爆発弾を持たせ、敵が有利になったら、これを空から投げ付けろと言い聞かす。

一方、呂宋兵衛たち山賊一行も、人穴城を出発していた。

梅雪一行の前に、咲耶子が近づいて来て跪く。

自分は、武田の家宝の隠し場所を知っており、褒賞が欲しいので、まかりでたと言う。

思惑通りに密告者が現れ出たので、梅雪は喜んで、その娘、実は咲耶子の後を付いて行き、やがて想像通り、白幡宮の場所に到達する。

祠に、梅雪が近づいた所、中に潜んでいた竜太郎が飛び出して来る。

伊那丸を連れて側にいた民部は、縛っていた綱を断ち切り、自分は今まで、この機械の訪れるのを待っていて、裏切者の姿を装っていたと詫びるのだった。

祠の後ろからは、小文治、忍剣らも飛び出して来る。

山県蔦之助も、駆け付けて来る。

にわかに、白幡宮の前では、梅雪軍と武田勇士たちの壮絶な戦いが始まる。

そこへ、揃いの黒マント姿の山賊一行も駆け付けて来る。

伊那丸は、裏切者、穴山梅雪を自らの剣で斬り捨てる。

念願を果たしてほっとした所へ、呂宋兵衛一行が近づいて来て、毒煙を浴びせかけて来たので、武田一行は抵抗できず、林の中に追い詰められて行く。

そこに近づいて来たのが、クロに乗った竹童だった。

竹童は、伊那丸ピンチを観て取ると、すぐに爆発弾を山賊たちに向って投下しはじめる。

突然の空からの爆弾攻撃で逃げまどう山賊たちだったが、爆発で倒れた大木の下敷きになり、次々に死んで行く。

さすがの呂宋兵衛も、これには狼狽し、毒煙の幻術も止まってしまう。

そこを伊那丸に斬られ、咲耶子にも「兄の仇」と、とどめを刺される。

戦いが終わり、忍剣が湖に沈めていた二つの家宝を取り戻して来ると、御旗楯無しの鎧の中に入っていた父親の書いた巻物を読んだ伊那丸は、剣によって争うものは、やがて、剣によって滅ぶ。京に向って、信州の楽土を作るようにと言う遺言を知る。

それを聞かされた仲間たちは、皆その教えに賛同し、これから自分達は「神州天馬侠党」と名乗ろうと誓いあうのだった。

やがて、その「神州天馬侠党」が、自分達の歌を歌いながら、京に向って進む姿があった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

戦前から、何度も映画化されている吉川英治原作の少年向け娯楽小説を原作とした映画。

第一部と解決篇の二部構成になっている。

基本的には子供向けのストーリーなので、荒唐無稽、御都合主義の連続であるが、テンポ良く構成されているので、大人が観ても飽きる事なく楽しめる作品になっている。

かつて、大鷲に乗って空を飛び回る竹童少年に、自分の夢を重ねた子供も多かったと思われる。

大鷲クロは作り物であり、今観ると、さすがに稚拙なものだが、合成処理等も使われており、当時としては、それなりに工夫した結果だったのだろう。

本作では脇役的な扱いだが、タイトルで一番最初に名前が出て来る里見浩太朗は、さすがに細面の美剣士と言うしかない。

劇中では、歌を披露したりして、アイドル的扱いになっている。

さすがに全盛期の東映作品だけに、チャンバラシーンは、エキストラの数も多く、見ごたえ十分。

定番ながら、南蛮幻術を操る怪しげな山賊を演じている吉田義夫の悪役振りも印象的。


 ★【送料無料】 DVD/邦画/神州天馬侠/DSTD-2805

 ★【送料無料】 DVD/邦画/神州天馬侠/DSTD-2805
価格:4,860円(税込、送料込)

里見浩太朗/神州天馬侠

里見浩太朗/神州天馬侠
価格:4,860円(税込、送料別)