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1968年、東京映画、生島治郎原作、池田一朗脚本平山晃生脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

ホットドッグ屋「三平」の主人、並木三平(三木のり平)は、大のクイズファン。

東京タワーの中のスタジオで収録された「ドリームクイズ」に出場した三平は、ここまで19問連続正解で、次の20問目を正解すると、景品として日産サニーとバンコック1週間旅行が当る大事な勝負に挑んでいた。

最後の問題は「ウィンナソーセージはどこの食べ物?」、三平は「フランクフルト」と正解し、見事、景品を射止める。

その後、店の常連は、「男の天国」と噂されるバンコックに行ける事になった三平をうらやましがるが、三平の妻(塩沢とき)は、戦争中、シンガポールにいた事があるので、多少は現地の言葉が分かる等と浮かれている亭主に、あちらで変な事したらこうするからねと、まな板の上でウィンナソーセージを包丁で真っ二つに切断してみせる。

羽田空港からの出発当日、スポンサーから祝福されている三平に付いて来た妻は、帰って来たら検査するからねと釘を刺すのを忘れなかった。

日本航空の旅客機の中、通路側の席に座っていた三平は、鹿児島上空だと知り、窓から外を観ようと身を乗り出すが、その窓際の席に座っていたサングラス姿の男が席を譲ってくれる。

三平は、慣れぬ機内食の食べ方も、そのサングラス男の食べ方を盗み見しながら真似るのだった。

その頃、バンコックのボロフ機関の女スパイ芳蘭(應蘭芳)は、味方をすでに10人も殺されたギャノン機関の山地章と言う凄腕の男がやって来ると言う連絡を本部から受けていた。

バンコック、ドン・ムアン空港。

到着した旅客機から降りて来る乗客の中の山地の姿をカメラに捕えようと待機していた男は、山地と一緒に降りて来る三平の姿も一緒に撮影する。三平が機内で隣り合ったサングラスの男こそ、山地章だったのだ。

空港の前で三平を迎えたのは、日産から依頼された現地のガイド役明子・パリントン(松岡きっこ)と言う美女だった。

二人は、現地人青年スラット(パトリック・ノパクーン)の運転する車に乗り、市内の王宮等をざっと観ながら宿泊するホテルに向うが、その入口で、ちょうどタクシーで到着した山地と出会う。彼も又、同じホテルに泊まるようだった。

部屋に入った三平に、しばらく休憩を勧める明子だったが、時間がもったいないとそわそわ気分の三平を観た明子は、部屋のシャワールームを借りて汗を流すが、その様子をガラス戸越しに観てしまった三平は、浮き浮きしながら旅行鞄を開けようとするが、その蓋の内側には、大きな妻の写真が貼付けてあり、帰国後、検査するからね!と言う彼女の言葉が頭に甦ってしまう。

一方、山地の部屋には果物の差し入れがあり、その中に潜ませてあった拳銃を取り出す。

早くも、夜のガイドの事を気にする三平だったが、明子によると、夜のガイドは別だと言う。

山地は、トランプの文字面に貼られたボロフ機関のメンバーたちの顔を頭に刻み込んでいた。

その頃、芳蘭は、現像が上がった空港での写真を確認していたが、山地と一緒に写っていた三平の姿も気にしながら、ライフルによる山地狙撃の指令を出していた。

その頃、とある実験室では、ガストン所長(ハンス・ホルネフ)と助手のペラン(ユセフ・ホフマン)が、蛇を使って、それに触れた有機物は、全て溶解すると言う恐ろしいビールスの実験を行っていた。

そのペランに、かねてより、そのビールスを盗み出すよう依頼していた芳蘭から催促の電話があるが、ペランは、まだビールスを入れる容器が出来ていないと報告する。

その電話を切った直後、又、ペランと取引がしたいと言う山地からの電話がかかって来るが、ペランは居留守を使って切ってしまう。

しかし、そのペラン本人が電話を切る様子を、山地は外から双眼鏡で確認していた。

その頃、三平は明子、スラットと共に、ワットポー、黄金の塔など観光名所に出かけていた。

そんな三平、木の陰に立っていた山地の後ろ姿を発見、脅かすつもりで、そっと後ろから方を叩くと、あっという間に背負い投げを食らわせられる。

三平だと気づいて謝った山地だったが、近くに見張りの男がいる事に気づき、暇つぶし用にどうぞと言って、自分が持っていたトランプを三平に渡す。

その後、山地は研究所に接近する為、見張りを独り倒す。

研究所の中では、ペランが指輪の中にビールスが入った液体を封じ込めていた。

その様子を覗いていた山地が、玄関に近づいた時、非常警報が鳴りだし、侵入者に向って銃弾が浴びせかけられたので、山地は逃走する。

その夜、クラブで、現地の美女たちの踊りを写真撮影していた三平は、テーブルの上に何気なく山地からもらったトランプケースを置いていたが、それを奪おうと、何人もの現地人が近づいて来て手を伸ばしていた事には気づかなかった。

翌朝、ホテルのベッドで明子からの電話を受け、目覚めた三平のベッドの上には、ケースから出されたトランプが散らばっていたが、それは普通のトランプだった。

明子と船に乗り、水上生活者たちの様子を見学する三平はすっかり観光気分に浮かれ、明子にあれこれ土産を買ってやるのだった。

その頃、研究所に忍び込んだ山地から銃を突き付けられたガストン所長は、ビールスはペランに盗まれたと告白するのだった。

そのペランは芳蘭とベッドの中にいた。

事が終わると、ペランは、ビールスの入った指輪を芳蘭に渡し、その代金として、バッグにつまった札束を見せられるが、部屋にこっそり侵入して来た芳蘭の配下、大男のモンゴル(マンモス鈴木)に殴り倒される。

倒れたペランは、騙された事に気づき、「空け方も知らないで…」と呟いて息絶える。

それが指輪の事だと気づいた芳蘭だったが、気にせず、そのまま秘密の館の金庫の中に保管する。

一方、町中に出た山地を狙う狙撃者のライフルが、彼の頭を狙っていたが、そこへ乗り付けて来たのが、明子と三平が乗った車で、車から降りて、山地に話し掛けた三平は、狙撃者の放った銃声と共に倒れる。

しかし、それは、ライフルの弾が当ったのではなく、道にいたトットゥと言うトカゲを観て腰を抜かしただけだった。

しかし、その三平が転んだのを助けようと、一瞬腰をかがめた山地が、銃弾から逃れていた事には誰も気づかなかった。

その夜、三平と連れ立ってクラブに出かけた山地は、トイレに入り、そこで襲って来た敵を二人倒す。

そんな事は知らない三平の方は、近くに座って三平の事を笑っていた女二人連れのテーブルに勝手に同席すると、面白がって女たちが勧めるがまま深酒をして、トイレに入る。

大便所に入ろうとした三平だったが、三つある個室は何故か全て鍵がかかっておらず、うっかり開けた二つは山地が倒した敵が入っており、三つ目には見知らぬ男が入っていたので、酔った三平はその度に謝る。

その三つ目の個室に入っていた男(谷村昌彦)が、すぐに出て来て三平に日本語で話し掛けて来る。

その神林と名乗った相手も日本人のようで、良い所に案内すると、半ば強引に酔った三平を、外国女性が揃った女の館に連れて来る。

その娼婦館こそ、芳蘭が経営する表向きは、商事会社と言う事になっている秘密の館だった。

三平が、無理矢理、外国人女性にベッドに連れ込まれていた頃、その館の金庫室に侵入していた山地は、金庫がすでに何者かの手によって開けられ、中に入っていた指輪がなくなっている事を発見していた。

三平は、外国人美女とベッドに入ったところで上林に頭を殴られ、翌朝、寺の前で気が付いた時には、有金全てが抜き取られている事に気づく。

夕べの事は何も覚えていない三平は、寺で彼を起こした住職も、道で出会った警官にも、全く言葉が通じないので、どうする事も出来ずホテルに帰る事になる。

一方、芳蘭も、金庫から指輪が盗まれている事に気づき、見せしめのため、見張りを担当していた子分をその場で射殺させる。

ホテルの部屋でぼんやりしていた三平の元に、花村(細川俊夫)と名乗る見知らぬ日本人がやって来て、いきなり、お困りのようだからと金を渡して去るが、三平はその男の顔をどこかで観たような気がしていた。

その頃、ホテルを外出した山地の方は、芳蘭が車で尾行していた。

三平は、その日、スラットの誕生会に呼ばれているのでガイドが出来なくなった明子から、お詫びにと彼女の家に招待される事になる。

彼女が接待の準備をしている間、奥様へのお土産に、この国の名産であるスターサファイアの指輪等はどうかと言いながら、自分がコレクションしている指輪を見せてくれる。

その指輪コレクションを観ていた三平は、布に包まれたひときわ大きな指輪を見つけ、好奇心から自分の指にはめてみるが、輪が大き過ぎて、どの指もぶかぶか。

最後に親指にはめてみるとピッタリはまったのだが、今度は抜けなくなってしまう。

そこへ戻って来た明子が、その指輪を観て、見覚えがないので不審がるが、三平の親指にはまったその指輪はどうやっても抜けない。

その後、今度は、山地が明子の家にやって来て、壁にかかったアロハに山地が注目すると、それは父親のものだと言う。

指輪を見かけなかったと山地が尋ねると、明子は知らないと言う。

そこへ、芳蘭の子分二人が乱入して来て、山地と格闘になるが、遅れて入って来たモンゴルと芳蘭に銃を突き付けられ、山地は殴られた末、明子と共に捕えられてしまう。

女の館に連れて来られた山地は、地下室で水責めの拷問を受け、指輪の在り処を尋ねられるが答えない。

芳蘭は、明子に聞いた方が早いと判断、彼女に聞き出そうとするが、それを守ろうとした山地は、モンゴルから手酷く痛めつけられてしまう。

その様子を観ていた明子は、思わず「並木さんに…」と口走ってしまう。

さっそく、その三平のホテルを訪ね明子にガイドを頼まれたと自己紹介した芳蘭は、彼を宝石店に連れて行き、親指にはまった指輪を何とか抜いてもらおうとするが、おこでも抜けない事が分かる。

その頃、女の館の地下室では、三平の親指に問題の指輪がはまったままである事を明子から聞いた山地が、その中に、恐ろしい細菌が入っているのだと教え、自分の靴の裏に隠している小型ナイフを明子に取り出させると、それを使って自分達が縛られているロープを切らせる事にする。

一方、三平の方は、芳蘭にベッドに誘い込まれ、少しでも痩せれば指輪が抜けるのではないかと攻められていたが、訳が分からぬ三平の方は、思わぬ幸運に喜びながらも、すっかり精力を使い果たしただけだった。

山地と明子は、見張りと格闘の末、地下室を脱出する。

三平は、さらに痩せさせようとした芳蘭から、トルコ風呂に押し込められ、さらに下剤を飲ませられようとしていたが、隣室で、もう殺してしまおうと言う芳蘭とモンゴルの会話を聞き、思わず下剤を投げ捨てると、トルコ風呂から脱出しかけるが、そこに青龍刀を持ったモンゴルが乗り込んで来る。

そのモンゴルから逃げ回り、窓から部屋を飛び出した三平は、ちょうど下に停まっていたトラックの荷台に落ち気絶するが、トラックはそれに気づかず動き出す。

モンゴルらは、そのトラックを車で追い掛けはじめるが、途中、気が付いた三平は追っ手に気づき、トラックから降りると市場の群集の中に逃げ込む。

さらに、追跡して来るモンゴルたちを振り切ろうと、ちょうど、停まっていた路面電車に乗り込み、モンゴルたちも一緒に乗り込んで来たところで、自ら発射の合図を鳴らすと同時に飛び下りる。

電車は動き始め、モンゴルたちは、車内に残ったまま遠ざかって行く。

山地は明子の家に付いて来て、負傷した足の手当てをしてもらうが、明子は縞のシャツがなくなっているので、父親が帰って来たらしいと言う。

その時、スラットからの電話が入り、父親が明子を探していると伝えて来る。

思わず家を飛び出そうとした明子を山地は止める。

行き先は分かっているので、ホテルで待っていろと言う。

明子の父親花村は、芳蘭の事務所に侵入し、娘の居所を探し求めていたが、芳蘭に見つかって銃を突き付けられてしまう。

そこに戻って来たモンゴルが、三平を取り逃がしたと報告する。

明子は、戻って来た三平と合流し、ホテルに向う。

花村は、助けに来た山地がモンゴルと戦っている隙に、ライフルと手にすると、山路を狙って銃を構えている子分たちを次々に狙撃して行が、自らも、足を撃たれてしまう。

そんな花村を助け、隣の部屋に逃げ込んだ山地は、追って来るモンゴルが扉に差し掛かったところで、開閉ボタンを押す。

モンゴルは閉まる扉に挟まれ、圧死する直前、苦し紛れにナイフを投付けて来るが、そのナイフは芳蘭の胸に突き刺さってしまう。

ホテルの戻るタクシーの中、指輪を芳蘭から盗み出した花村は、平和のために取っただけだと説明する。

山地は、自分が機関にいようがいまいが、あの指輪を手に入れたら、世界を征服する事も可能になるのだがと冗談を言う。

ホテルでは、まだ、日本人観光客(庄司歌江、照江)らと共に、親指の指輪を抜こうと足掻いている三平がいた。

娘の明子と再会した花村は、山地から足の治療をしてもらいながら、彼女に日本に行きたくはないかと言い出す。

明子が、かねてより、日本の文化に興味を持っている事を知っていたからだった。

その言葉に、当の明子だけではなく、三平も喜ぶ。

滞在期間が終わり、空港にやって来た三平と山地、そして日本に一緒に行く事になった明子を迎えに来た花村は、娘をよろしくと敬礼するが、思わず、その敬礼に合わせた三平は、かねてよりどこかで観た事があると感じていた三平は、相手が、戦争中の隊長だった花島中尉ではないかと尋ねる。

しかし、花村は、それを否定する。

ホットドッグ屋「三平」と書かれたライトバンで羽田に夫を迎えに来ていた妻は、三平の後ろからやって来た明子と山地が、さも当然のように、一緒にライトバンに乗り込んで来るのを唖然と見つめる。

明子との関係を疑いながらも、仕方なく助手席に乗り込んだ妻は、運転している夫の指にはまった大きな指輪を発見、無理矢理それを抜こうとすると、何とあっさり抜けてしまう。

指輪の出所に疑念を抱いた妻は、あろう事か、それを窓から外に放り捨ててしまう。

その指輪は、ちょうど、工事中でミキサー車から流されていたコンクリートの中に落ちて埋もれてしまう。

それを唖然と見送っていた山地は、あれで良いんだ。あのまま地の底に眠ってもらおうと諦め、自分の人生もこれで変え時かなと呟く。

その後、営業中のホットドック屋「三平」に、晴れ着を着た明子が訪ねて来る。

久々に三平に会いに来たのだが、その姿がない。

一人で店を切り盛りしていた妻に聞くと…。

その頃、三平は、リコーカメラとブルーチップスタンプ提供「クイズ ヨーロッパへ行こう!」に出場している最中だった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

丹波哲郎や、ボンドガール松岡きっこが出演している事から分かるように、「007は二度死ぬ」(1967)を連想させる、荒唐無稽なスパイ活劇もどきの娯楽作品。

三木のり平が主役を演じているので、コメディのようにも思えるが、活劇としてもコメディとしても中途半端な感じで、軽いタッチのバンコックの観光映画と観るのが一番近いように思える。

敵の女ボスを演じている応蘭芳は、テレビ特撮「マグマ大使」で、マグマ大使の妻モルでも知られているが、「プレイガール」などでも活躍していた元ヴァンプ女優である。

この映画では、そのヴァンプ振りを如何なく発揮し、ベッドシーンや下着姿等お色気サービスも多いが、正直、この当時すでにおばさんにしか見えず、とても魅力的には感じられない。

セリフのない大男モンゴルの役を演じているマンモス鈴木は、「惑星大戦争」(1977)でチューバッカのパチモンのような着ぐるみに入っていた人だ。

細川俊夫は「光速エスパー」の父親役として有名だが、映画ではあまり作品に恵まれなかったような印象を受ける。

三木のり平の妻を演じている塩沢ときが愉快。

後半、ホテルのシーンで、かしまし娘の二人がセリフもなしに、顔見せ程度にほんの一瞬出演しているが、わざわざ、この映画のために現地まで行ったとも考えにくい。

何か他の仕事で現地にいたので、お遊び的にゲスト出演したのか、それとも、あのホテルのシーンは日本で撮ったかのどちらかではないか?

エキストラ的な出演でしかなく、特に彼女たちでなければ成立しないようなシーンでもなかったし、不思議に感じた。