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カムイの剣

1985年、角川春樹事務所、矢野徹原作、真崎守脚本、りんたろう監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

幕末、下北、佐伊ノ村。

忍者がやって来て、一軒家に住んでいた老いた母親つゆ(声-朝井良江)と娘さゆり(声-鈴木富子)を斬殺して消える。

その直後、帰宅して来た弟の次郎(声-真田広之)は、二人の死体を発見し立ち尽くすが、傍らに落ちていた見覚えのある刀をつい拾ってしまう。

タイトル

それを観ていた村の老婆が、「次郎が、殺したぞ〜!」と叫ぶ。

村人たちが家の入口に集まって来て、次郎を冷たく見つめる。

捨て子だった次郎が、育ての母と姉と殺したと思い込んでいるようだった。

いくら、次郎が否定しても、血染めの刃を手に持っているので言い逃れが出来ない。

次郎は、無我夢中で山に逃げ込む。

その次郎に近づいて来た一人の僧がいた。

僧は、怯える次郎に、母と姉を殺したのがお前ではないのは良く知っていると語りかける。

犯人は忍びで、今、仏ヶ浦に追い込まれているとと言う。

その追い込まれた忍びと言うのは、右足と左目がなくなった太郎佐(声-羽佐間道夫)と言う人物だった。

彼を取り囲んだ十勝半蔵(声-外山高士)ら、松前衆と名乗る忍者軍団は、結界を破れなかったばかりに、12年間この地に近付けなかったと言いながら、太郎佐に迫って行く。

太郎佐は、彼らから、自分とシノピリカ・コタンに住んでいたアイヌの娘との間に生まれた子供がいると教えられ驚愕するが、すでに、身体は傷だらけになっていた。

その太郎佐に近づき、家から拾って来た刃を太郎佐に突き刺したのは次郎だった。

太郎佐は、その刃の柄の紋様を観て、目の前にいる男の子が次郎だと気づくが、そのまま力つき、崖から墜落死してしまう。

僧は、村人たちを生かしてはおけんと、村を焼き払う事を部下の忍者たちに命令。

次郎に対しては、そなたの父親は忍びかも知れないから、自分で謎を解き明かしてはみないかと誘い掛けて来る。

その後、船に乗って、火に包まれた村を脱出した次郎は、蝦夷、松前にある天源寺と言う寺に到着し、そこで働いていた三平(声-青野武)と言う老人から、先日出会った、この寺に住む僧の名が天海(声-石田弦太郎)と教えられる。

寺には、三平が「若」と呼ぶ若者がおり、天海から指示され、次郎に忍びを教えてやる事にする。

天海は、忍者として成長した次郎に、そなたの父親の名は太郎佐と言い、シノピリカ・コタンという場所に向って消息を断ったので、その消息にたどり着くまで帰るには及ばんと、寺から送りだすのだった。

寺を出る時、三平に太郎佐について尋ねた次郎だったが、三平は知らんと答えるのみ。

さらに天海は、次郎に忍術を教えた「若」こと真吾(声-塩沢兼人)に、追い詰められた次郎が、太郎佐と同じ行動を取るかどうか突き止めて来いと命ずる。

二人を送りだした後、天海は、午前と呼ばれる幕府の大物に会いに行く。

旅に出た次郎は、捨て子だった自分が、佐伊ノ村の姉と母親に拾われ、今日まで育てられて来た日々を思い出していた。

捨てられていた次郎には、「じろう、この子 たのみまい」と血文字で書かれた布切れと、自分が持ち出して来たあの小刀が添えられてあったと言う。

その二つだけが、次郎の出生の秘密に繋がる手がかりだった。

とある漁村にたどり着いた次郎は、老いた漁師が、三人の男たちからなぶられている姿を目撃する。

側には、その漁師の息子と思われる男の子が必死に止めてくれと叫んでいる。

見かねた次郎が、その三人の男たちを倒すと、アイヌの子らしきウラカ(声-杉元直樹)と言う男の子は感謝して、次郎をシノピリカコタンへ連れて行ってやる。

しかし、次郎に倒された男は、秘かに笑っていた。

実は彼らは、天海が放った忍者で、次郎を目的の場所、シノピリカ・コタンに向わせる芝居をしていたのだった。

次郎と洞窟の中で休息を取っていたウラカは、自分の母親はコタンに住んでいると教える。

ウラカに案内され、シノピリカ・コタンに到着した次郎は、アイヌの村の長(声-天草四郎)に、自らが持っていた小刀を見せると、それは代々、アイヌの村長の家宝とされて来た「カムイの剣」だと教えられる。

20年前、娘オヤルル(声-池田昌子)の夫と成る和人の男にやったが、二人は村を出て行き、その後、娘のオヤルルは、川上で一人で暮していると言う。

そのオヤルルに会いに行った次郎は、実の母親と再会を果たす。

次郎の鼻に残っていた刀傷から、自分の子供と気づいた母親オヤルルは、再会を喜び、さっそく、すでに生きていないと思われる父親の形見の着物を着せる。

亡き父親の遺品の類いは、全て墓の下に埋めたのだと言う。

母親は、この地に父親が来たのは、天海と言う人物の命令によるものであり、自分達二人を不幸にした悪魔のような人物だと教える。

天海から逃れる為、夫と自分が、やむなく、赤ん坊だった次郎を川に流そうとしていた時、その鼻に刀傷を付けたのも天海だったのだと言う。

夫に、宝の秘密を解いたかと迫り、その右足と左目を傷つけたのも天海だった。

その話を聞いた次郎は、カムイの剣で、自分が突き刺したあの忍者こそ、自分の本当の父親、太郎佐だった事に気づき苦悩する。

そんな昔話に二人が夢中だった中、台所の鍋の中に薬を投げ込んだのは、次郎の後を尾行していた真吾だった。

父親の太郎佐は、強くてしなやかな心の人だったと語りながら、食事をしていたオヤルルは、突然倒れる。

一緒に鍋を食べていた次郎も又、身体のしびれを感じ、倒れてしまうのだった。

身動きできなくなった二人の元にやって来た真吾は、次郎の目の前で、オヤルルを刺し殺してしまう。

又しても、親殺し、母殺しの汚名を着せられた次郎は、発見したアイヌたちによって、牢に入れられる。

しかし、カムイの剣を持って来たウラカが牢を開けてやり、次郎を逃してやるのだった。

ウラカに教えられ、母親が埋められた墓にやって来た次郎は、同じ場所にあった石の墓が和人の墓であると言うウラカと別れた後、そこに父の遺品を埋めたと言うオヤルルの言葉を思い出し、その場を掘り起こしてみる。

埋めてあった父親の遺品とは、手裏剣と見慣れぬ文字が書かれた皮だけだった。

次郎は、聳え断つカムイ・ヌプリと言う山の頂きを仰ぎ観ながら、「この子 じろう たのみまい」と書かれた布を鉢巻きにすると、これからはカムイの剣だけが頼りで、すでに退路がないと、自ら心に誓うのだった、

その次郎は、追って来た忍者と戦う。

その忍者の一人が、放った真吾の元に戻って来ると、若、次郎を捕まえたと報告しながら、水を渡す。

その水を飲みながら、日高峠に孫七が呼んだ仲間が集まっているはずだと教えていた真吾は、自分のからだが痺れて来るのに気づく。

戻って来た忍者は、実は死んでおり、その身体を背後で操っていたのは次郎だった。

自分にやられたのと同じしびれ薬を水に仕込んで真吾に飲ませたのだ。

日高峠に集まっていた松前衆の忍者たちは、突如出現した次郎を倒したつもりが、それは真吾だった事を知る。

離れた所に出現した本物の次郎は、自分は今後、抜け忍になると宣言し、その場を立ち去る。

その後を追って来たくノ一は、父親の遺品が入った袋を落とした次郎の一瞬の隙を突き、腹に斬り付けて来る。

取りあえず、その場を逃れ、温泉場の硫黄を傷口に塗っていた次郎だったが、そこに再び、あのくノ一が出現し、あやかしの術を浸かって襲って来る。

次郎は、そのくノ一の胸を傷つけて、かろうじて逃げ去るのだった。

その後、気づいた次郎は、安藤昌山(永井一郎)と名乗る奇妙な老人の住まいに寝かされている事に気づく。

昌山は、傍らにあった地球儀を示しながら、昔こういう研究をしていたら、侍共がたかって来て、煩わしかったので、この地に逃げて来たと言う。

人間、生まれて後にする事は働いて、喰って、クソして死ぬだけ。

働かずして食べている御上と言うのは、いわば泥棒と同じ事だと、豪快な事を言う。

そんな侍たちが必死に守っている日本とは、こんな鼻くそみたいな土地であり、世界には、もっと大きな国があるのだと、地球儀を見せながら説明してくれる。

今、この蝦夷の地は、異国の船の目抜き通りになっているとも。

そんな昌山の世話をしているらしきアイヌの少女チオマップ(声-堀江美都子)が、倒れていた次郎をここへ連れて来たのだと言う。

次郎は、その昌山に、父親が持っていた謎の異国文字が書かれた皮を見せ、その意味を問うのだった。

その頃、公儀お庭番天海は、三平とお雪を蝦夷に残し、松前三人衆を従えると江戸に戻っていた。

そのお雪は、次郎の事を思い出していた。

江戸では、御前に会っていた天海が、薩摩の渥美半島の黄金伝説の話をしていた。

一方、次郎から渡された英語で書かれた文章を翻案していた昌山は、その文中にある「日も昇り、月も昇る」と言う言葉から、カムイの剣の柄にあった「月と日の紋様」に目を付け、その螺鈿を外してみろと教える。

その下から出て来たものは、三枚の折り畳まれた紙だった。

その一枚には、アメリカの地図が印してあった。

それを観た昌山は興奮し、アメリカには、氷が張った冬場なら歩いても行けるし、カムサッカの港には、春になれば船が寄るので、それに乗って渡る事が出来ると教えると共に、その旅費の足しにしろと、自分が長年溜めていた砂金の入った袋を三つ渡す。

天海は、太郎佐と言うのは、薩摩の西郷吉之助が放った忍びだったと話を続けていた。

そこに、松前三人衆が到着する。

身体が元に戻って来た次郎は、助けてもらったお礼にと、狩りに出かけようとするが、チオマップは、次郎の手裏剣が欲しいと言う。

一枚手裏剣を渡し、山に登った次郎は、近づいて来る三平とお雪、さらに松前三人衆の姿を発見、すぐに昌山の家に戻ると、追っ手が迫っているのですぐに出発すると伝える。

チオマップが用意していた小舟の所に昌山と共に向った次郎だったが、そこで別れを惜しんでいた昌山が、三人衆から放たれた手裏剣に倒れてしまう。

吹き矢を使う忍者、帯を刃物のように操る忍者、そして、鈴の音で幻覚を見せる忍者が、次郎の真絵に立ちはだかる。

二人は仕留めたものの、さすがに催眠術には抵抗できず、倒れた次郎に最後の忍者は迫る。

しかし、その忍者が、次郎にとどめを刺そうとした瞬間、何者かが放った小柄が次郎の腕に刺さり、正気に戻った次郎は目の前の忍者を倒してしまう。

その場に現われた天海は、近くにいたチオマップを捕まえ、次郎が持っていた地図の秘密を聞き出そうとするが、覚悟を決めたかのように、次郎からもらった手裏剣で咽を突き、チオマップはその場で自害してしまう。

とある港町にたどり着いた次郎は、何かもめ事を起こし、船に帰ろうとする途中、地元民に捕まった黒人を発見、助けてやる。

サム(声-曽我部和行)と名乗ったその黒人に、自分はメリケン(アメリカ)に行きたいので、船に乗せてくれと頼んだ次郎は、簡単に承知してもらえる。

その船に小舟で戻る途中、いきなりお雪が襲って来る。

しかし、船に登ったところで、お雪は気絶してしまう。

昌山からもらった砂金を渡し、乗船を願い出た次郎に、カリフォルニア号のドラスニック船長(声-江幡高志)は、船でもめ事を起こしたら下船する事、そして、病気らしいお雪を介抱してやる事を条件に乗船を許可してくれる。

次郎は、用心して、砂金をひと袋だけ渡し、残りは到着してから渡す事にする。

熱を出し、寝込んだまま、食事もとる事が出来ないお雪の体力消耗を案じた次郎は、仕方なく、スープを口移しに飲ませてやる事にする。

そんなある日、次郎はサムに、「ロスアンゼルス沖にあると言うサンタカナリア島」について聞く。

昌山に翻訳してもらった文章に書いてあった宝の隠し場所だった。

そんな話を、目覚めたお雪は、寝床の中から秘かに聞いていた。

その後、次郎から介抱されている事に気づいたお雪は、何故敵である自分を助けた?と聞く。

次の瞬間、お雪の投げた手裏剣は、次郎の背後から迫っていた船員二人の内、一人の目に当る。

二人の船員は、お雪が船に乗り込んで来た時から、襲おうと狙っていたのだた。

この騒ぎを聞いた船長は、もめ事を起こしたとして、何の落ち度もない次郎に下船を命じる。

サムも一緒に降りたいと願い出るが、彼はドラスニック船長のドレイであり、勝手な行動は許されないと聞いた次郎は、砂金を渡して、サムを買取る事にする。

次郎を主人とする事になったサムは、次郎、お雪と共に、ベドロパブロフスクから別の船に乗るようドラスニック船長に言われ、カムチャッカで船を降ろされてしまう。

お雪と次郎は、何時しか、互いに惹かれるものを感じていた。

次郎は、どこからかやって来た白い子犬を拾って可愛がるようになっていたお雪の優しい姿が好きだと伝える。

ベドロパブロフスクの町に着いた次郎は、そこに天海の姿を発見し驚く。

次郎は、サムに別れを告げ、お雪を気絶させて、一人で船に乗る事にする。

次郎に気絶させられる瞬間、お雪の口から「好き」と言う言葉が漏れた。

気絶していたお雪が目覚めると、目の前にいた天海から銃を渡され、次郎暗殺を命じられる。

雪山の中を逃げる次郎の後を追ったお雪は、空に向って拳銃を発射した為、雪崩が起きてしまう。

その後、雪崩に埋もれたと思われる次郎の行方を必死に探したサムとお雪だったが、とうとう次郎の姿を発見する事は出来なかった。

サムは、一緒にサンタカナリア島に行こうと誘うが、お雪は、もう動けないと告白していた。

時が過ぎ、アメリカのネバダ州に次郎が現われる。

彼は生きていたのだ。

近くの川で水浴びをしていたインディアンの娘が川岸に上がって来た所に、ジャッカル(声-田中亮一)とゴールドガン(声-岡和男)と言う札付きのガンマンが近づいて来る。

怯えるインディアン娘が目をつぶっていると、襲って来たはずの二人のガンマンは倒されていた。

代わりに立っていたのは、次郎だった。

次郎は、彼女に水を求める。

インディアン娘は、次郎を自分の育ての親の所に連れて行く。

チコ(声-山本百合子)と呼ばれるその娘は、フランス人の娘だったが、幼い頃、母親と死に別れ、ここのインディアンの酋長(声-村松康雄)に拾われ育てられたのだと言う。

酋長は、この部族の掟で、娘は、その命を助けた男の物になると言い、次郎に身を預けると言い出す。

休息後、元気を取り戻した次郎は、チコに、サンタカナリア島と言う場所を知らないかと尋ねるが、チコはその名前の酒場を知っているので、そこの店の人間が知っているかも知れないと教える。

二人で、その店に出向くが、有色人種である二人は、偶然店にいたジャッカルとゴールドマンから露骨な差別を受け、あげくの果て、表で決闘と言う事になる。

しかし、相手から渡された銃には手を付けなかった次郎は、ちょうど、相手のガンマンたちとの間を馬車が通り過ぎた瞬間、飛びかかり、カムイの剣で斬り殺してしまう。

町を出た次郎とチコを馬で追って来た独りの男がいた。

彼は、新聞記者で、マーク・トウェイン(声-家弓家正)だと名乗り、先ほどの決闘を観て、文明に慣らされた人間とは違う、プリミティブな人間の魅力を次郎に見い出し、血が騒いだのだと言う。

彼は次郎に、サンタカナリアはロスアンゼルスの沖にある島であり、17世紀の海賊キャプテンキッドの財宝の隠し場所ではないかと噂がある島がある…と話しはじめる。

テームズ川の側で絞首刑にされた時、キャプテンキッドは子孫に手紙を遺し、それには、2500万ポンド、約1億ドルにも及ぶ財宝の在り処が印してあると言われていると言う。

一旦、部族の酋長の元に戻ったチコに、フランス人だった実母の遺品が手渡される。

その頃、ロスアンゼルス港には、サムとお雪が船で到着していた。

さらに、天海も…。

サンタカナリア島に到着した次郎は、暗号に印されていた三日月の光が、ある日山頂に登る時、岩の間を通過し十字架形になった時、その光が指し示す場所に進めと言う文言に従い、洞窟の中に進んで行くと、そこに小さな箱があり、蓋をあけると、わずかばかりの金貨が出て来る。

そんな次郎の背後には、天海、半蔵、三平、お雪らが揃っていた。

半蔵が次郎を、羽交い締めにする一方、天海は、ここにいる三平が、喜平次が次郎に催眠術をかけて眠らせた際、次郎に小柄を投付け、正気に戻させたり、過去二度も助けた人物である薩摩の忍者だと見破る。

さらにお雪は、つゆと太郎佐の間に生まれた子供であり、赤ん坊の頃、別人の子であったさゆりと入れ換えておいたのだと言い出す。

つまり、お雪は、次郎の腹違いの姉だったと言うのだ。

そんなお雪に次郎を倒せと、天海は命ずる。

お雪は、そんな冷酷な天海に襲われそうになるが、お雪が可愛がっていた白犬が天海に襲いかかって来た時、刺し違える。

次郎も又、一瞬の隙を見て半蔵を斬ると、倒れたお雪に駆け寄るが、斬られた天海は、ふらつきながら、側にあった椅子に腰を降ろす形で事切れる。

すると、人の重みでその椅子が回転し、壁が開くと、莫大な財宝が現れる。

小さな宝箱は、見せ掛け用の罠だったのだ。

お雪は、弟と知った次郎の腕の中で息耐える。

そこにサムが駆け付けて来る。

白犬と一緒に、お雪の墓を作って祈っていた次郎の前に現れたのは、ジュリ−・ルシェルと名乗る美しいフランス人少女、それは、母親の遺品の衣装に着替えてやって来たチコだった。

ジュリ−は母親、マリア・ルシェルの日記に、イギリスの諜報部員だった父親フランチャスカ・ルシェフが、かつて、日本の長崎に行った事があり、その時、天海と言う忍びと相討ちになって死んだと書かれていたと言う。

それを聞いた次郎は、訳が分からなくなる。

昔、ジュディの父親が銃で殺したのが天海なら、さっき、洞窟の中で、姉のお雪が刺し違えた天海は誰なのか。

しかし、その話を一緒に聞いていた三平は、両方とも、天海の影武者だったのだろうと見抜く。

本物の天海は、まだ生きているのだ。

そんな所にやって来たサムは、日本へ向う船を見つけて来たと次郎に告げる。

その船の船長とは、あのドラスニック船長だった。

日本に戻った三平は、薩摩に戻り、西郷隆盛に会って、キャプテンキッドの財宝を見つけた話をしていた。

三平が、それを探し求めていたのは、その財宝を幕府転覆の軍資金とする為であった。

1868年、戊辰戦争が勃発する。

江戸では、本物の天海が、午前こと勘定奉行小栗上野介(声-柴田秀勝)と佐渡守と、江戸をフランスに600万ドルで売る話を進めていた。

つまり、江戸は、フランスの領土になってしまうのだ。

さらに、蝦夷は、生贄の地にすると言う。

そうした話を、次郎は、天井裏から全て聞いていた。

その後、伊賀の地に向った次郎は、藤林源十郎に会うと、天海を倒す為に忍者を借りたいと申し出る。

官軍に加担するつもりかと聞かれると、侍同士の戦争など、しょせんは首の挿げ替えに過ぎないので加担するつもりはないと次郎は答える。

それを聞いて、姿を現したのは、伊賀の頭領(声-北村弘一)であった。

天海は、自分の弟子であり、それを倒す為には八万両そろえられるかと切り出して来る。

八人の忍者を伴い大阪に戻った次郎は、小栗上野介が、首をはねられたと言う噂を耳にする。

船から、財宝入りの箱を陸揚げした次郎は、忍者たちに荷車を押させて、奈良から伊賀へと運ばせる。

伊賀の頭領に、約束の八万両を持って来た次郎だったが、その頭領は、死んだはずの半蔵が化けた偽者だった。

同行して来た伊賀忍者八人も、全て、道中で、敵の忍者とすり変わっていた。

罠にはまったと気づいた次郎だったが、その時、本物の伊賀の頭領が現れ、約束通り、後、八人の忍びを渡すと次郎に告げる。

出現した八人の伊賀忍者たちは、敵の忍者八人と半蔵を瞬時に倒す。

頭領は次郎に、実は、太郎佐は、自分の息子であり、お前は自分の孫なのだと打ち明ける。

次郎は、源十郎と新しい八人の伊賀忍者を従えると、蝦夷にひた走る。

10月25日、蝦夷独立宣言が行われる。

天源寺や白神屋敷は焼き払われ、天海は逃げ出していた。

そんな天海の前に出現した次郎は、すでに松前衆も全滅していると告げる。

箱館五稜郭が失せる時が、お前の後ろ楯がなくなる時だとも。

その時、又会おうと言った次郎は、天海の前から姿を一旦消す。

サムに再会した次郎は、ジュリーの事を頼むと言い残して別れる。

連れて来た伊賀忍者も、今や、軒猿と源十郎の二人だけになっていた。

故郷である佐伊ノ村に、白犬と戻って来た次郎は、そこで育ての母つゆと姉さゆりと一緒に楽しく過ごした幼少時代を思い出し涙する。

しかし、そうした感傷を振り捨てるかのように、姉、お雪がいつも髪に飾っていた椿の花を一輪、雪の上に置いて、立ち去って行くのだった。

翌年、函館の戦争が始まり、次郎は天海と再び出会う。

法衣を脱ぎ捨てた天海は、特殊な甲冑に身を固めていた。

次郎は、そんな天海が唯一肉体をさらけだしている頭に、真上から剣を貫くのだった。

とうとう宿敵天海も死に、雨が降って来る。

1869年、箱館五稜郭陥落。戊辰戦争も終了する。

次郎は、三平が馬を引いていた西郷隆盛と出会うが、その姿に、倒した天海の姿がダブって見えたので、ただ、静かに会釈だけして、立ち去って行く。

この年、蝦夷は、北海道と改称された。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

構想7年、製作3年!と謳って公開された劇場用角川アニメ。

全体的な印象は、アニメを良く知らない大人が作ったアニメと言う感じ。

知らない人と言うのは、現場の人の事じゃなくて、角川春樹氏の事。

確かに、矢野徹氏の原作は、伝奇小説として抜群に面白い。

だけど、これを実写で撮るには、あまりにもスケールが大き過ぎて不可能…、だからアニメで…と言う発想だったんだろうが、やはり、当時のアニメ技術で実写並みの時代劇スペクタクルを作り上げるのは、さすがに無理があった…。

アニメなのに上映時間が132分!2時間以上のこの長いアニメに、さらに公開時は、44分の「ボビーに首ったけ」 が併映で付いていたと言うんだからすごい!

まず気になるのが、キャラクターデザイン。

村野守美氏の絵柄と言うのは、確かに一部漫画ファンには人気のある個性的なタッチだが、当時誰からも親しまれていたと言うには、かなりクセのある独特のもの。

流行りものをあえて避けると言うのは、大人の判断としては分かるが、興行的には見誤ったと言うしかない。何故なら、今も昔も、アニメを支えているのは、一握りの通じゃなくて、あくまでも、その時代を代表するような流行アニメ絵ファンの人たちなのだから。

ストーリー自体の奇想天外、波乱万丈さを観ているだけでも、それなりに時間は経過するが、たびたび登場する忍者対決アクションが、デフォルメされたキャラクターの動きと抽象的な透過光処理の連発だけと言った印象で、意外と単調なので、途中で飽きて来る所がある。

今と違って、背景の動きとか群集シーンなんかもほとんどないので、大作としての見ごたえ感も今一つ。

「幻魔大戦」(1983)もそうだったが、話を追い掛けるだけに精一杯で、場面ごとのアイデアが不足しているため、アクションにサスペンスや迫力が生まれない。

話のメリハリがなく、何となくダラダラとアクションが続いている感じで、2時間超はちょっと辛い。

それでも、当時としては、それなりの力作だったと思うし、全体的に酷いと言うほどでもないが、長篇小説をコンパクトに映画化する事、アニメで人気を得る事の難しさを感じた。


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