TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

ロボコン

2003年、「ロボコン」製作委員会、古厩智之脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

徳山工業専門学校、葉沢里美(長澤まさみ)は、保健室のベッドから、ぼんやり校庭を眺めていた。

保健室の佐々木先生(須藤理彩)は、単にサボる為、ここに来ている里美を帰らせる。

図師先生(鈴木一真)の所に課題の小型ロボットを提出に行った里美は、市販のロボットに顔を書いただけでは受け取れないと言われ、一ヶ月の居残りを命じられる。

居残りは何とか許してくれと甘えてみせる里美に、図師先生は、居残りをしなくて良い方法が一つあり、それは、ロボット部に入って、ロボコンに出場する事だと言う。

訳も分からず、第一ロボット部に来た里美は、整然と謎のアルファベット文字の入った黒いTシャツを着た部員たちが、必死に作業している部屋を、「C」文字入りのTシャツを着た部長の豪原(荒川良々)が説明して行く。

「P」の文字が入ったTシャツを来ているものたちは「プログラミング担当」、「M」は「メカニック担当」、「S」は「シミュレーション担当」、君はどれが志望なんだと聞かれるが、何も答えられない里美を見た部員が、そいつは落ちこぼれだと指摘する。

呆れた業原が追い返そうとした時、別室に座っていた顧問(平泉成)が、自分で考えられない落ちこぼれを見捨てるのはキャプテンではない。無印があるだろうと、マイクで指摘する。

無印とは、雑用係の事らしい。

その時、図師先生がやって来て、間違えましたと顧問に詫びると、里美を連れて、校庭脇のバラック小屋に連れて行く。

そこで紹介されたのは、部長の四谷四郎(伊藤淳史)、奇妙な行動をとっている設計担当の相田航一の二人だけと言う「第二ロボット部」だった。

部屋の真ん中に置いてあったロボットは、部員たちの頭文字をとった「YAT-11号」だと言う。

実は、ロボコンの出場者は3人が規定なのだが、もう一人いるドライバーが担当の部員がサボり屋で、ほとんど来ないのだが、試合は明後日に迫っているのだと聞いた里美は、さすがに尻込みをする。

帰宅した里美は、又してもぐったりだれ、当番だった夕食作りを父親(うじきつよし)にさせてしまう。

母親(水野真紀)は亡くした里美は、自転車レースに出る事が趣味の父親と二人暮しだったのだ。

ロボコンの中国地区大会が徳山工専で行われるので、その前日、練習試合が同校で行われる。

開催校の特権として、同校から特別に2チームの出場が許されている為、今回、第二ロボット部も出場が出来たのであった。

競技内容は、三つの台に、より高く箱を積み上げた方の勝ちと言うもの。

相手が積み上げた箱の横に置く事も可能だし、相手の箱を浮かせたり、取り上げる事も許されている。

操縦係としては、ほとんどぶっつけ本番の状態で試合に望んだ里美は、操縦のコツも良く飲み込めないまま動かすしかなく、きちんと作戦を教えてもらうでもなかったので、相手のロボットにYAT-11号をぶつけて妨害すると言う反則を犯してしまい、その場で失格になってしまう。

しかし、四谷は、他校のロボットの情報集めばかりに夢中だし、相田は、YAT-11号は60%の出来でしかないと冷めた様子。 里美は独り悔しがり、何故100%にしないのかと相田に問いつめるのだった。

その夜、第一ロボット部の方は、夜食の準備等も万端で遅くまで調整に余念がなかった。

翌日の中国大会本番の日。

相田たちのテントにふらりとやって来た、もう一人の部員、竹内(塚本高史)は、ロボットが100%の力を発揮できないのは、自分達が、相田の設計通りに、うまく部品を作れないからだと説明する。

相田と竹内は、元々馬が合わないらしく、その場でも、互いのからかい合いから喧嘩が始まりそうだった。

しかし竹内のケイタイが鳴り、待ち合わせていたらしき友達の方に駆け寄って行く彼は、そもそも最初からロボット部なんかに興味を持っていない様子。

その日の対戦相手となるロボットを観察して来た厨子先生は、敵は3つ以上の箱は積めないようなので、うちは、4つ以上積み上げれば勝ちだと作戦を授ける。

YAT-11号は、ベルトコンベア式に一気に4つの箱を運び、それを縦に積み上げるカタパルト装置が付いていたのだった。

ところが、実際に試合を始めてみると、敵ロボットヒウチノダイバーには伸びるアームが付いており、4つ以上も積める事が判明する。

それを観た相田は、うちも答えが間違っていたと素直に負けを認めるし、会場で観ていた竹内はやっぱり負けたかと、仲間らと喜んでいた。

四谷部長は、敵の仕掛けには何となく気づいていたが、自信がなくて言い出せなかったと呟くと、そそくさと他校のロボットの調査に出かけてしまう。

独り、テントで後片づけを始めた相田は、里美にも帰って良いと突き放す。

何とも後腐れが悪い里美は、佐々木先生がいる救護テントの所に行くと、みんな気迫がないよ、負け犬だよ、あれで楽しいのかな?などと、他の部員たちへの不満を口にするのだった。

今までそんなやる気を見せた事がない里美の意外な言葉に、佐々木先生はちょっと注目する。

試合結果が発表され、優勝した第一ロボット部だけではなく、審査員推薦として2チームが本戦に参加する事ができる事になり、畳み掛ける面白さも持った松江工専のサイドバードフェミックスと、何と、一気に立てる面白さを持ったYAT-11号が選出される事になり、それを聞いた里美ら第二ロボット部の部員たちは呆然となるのだった。

翌朝、ロボット型目覚ましで起きた厨子先生のアパートに、里美が挨拶に来る。

部室にいた相田は、本戦目指して、正しい答えを出すんだと、8つの箱を同時に立てる方式を採用した新しい設計図を引きはじめる。

しかし、その部品を作る役目を負わされた四谷と里美は、その要求が過酷なものである事を知る。

設計図の数値通りに削ったつもりでも、実際に噛み合わせてみようとすると、部品ははまらない事に気づいたのだ。

設計図の精度は0.05mm、それ以下の精度で部品を削り出せと言うのが相田の要求だったのだ。

その高飛車な相田にむかつきながらも、里美は又作業室に戻って作業を続ける。

そんな里美に対し、四谷は、夢中になるとちょっと廻りが見えなくなるだけと、相田の事をかばう。

そこにやって来た竹内は、目盛りを合わせてもダメだと言い、ちょっとした機械のコツを教えてくれながらも、相田がうざくて辞めるぞと、里美に忠告するのだった。

その夜帰宅した里美は、父親に、しばらく夕食作りを任せても良いかと尋ねるのだった。

翌日、部品を一緒に削りながら、里美は、四谷部長がどうして、第二ロボット部等にいるのか尋ねてみると、彼は元々、第一ロボット部にいたのだが、サロンで芸術等できるはずがないと思っていた所に、小さなロボットを作る第ニロボット部を作らないかと言う厨子先生の誘いもあって、こちらに来たが、結局、ロボ来ん向けの大きなロボットを作る事になったと聞かされる。

後3時間頑張ろうと、自ら目標を決めた里美は、ようやく完成した部品を相田の元に持って行くが、相田は、それを確認しようともせず、設計が変更になったと平然と言い放ったので、きちんと伝言をこちらに伝えてくれず、ムダな作業をさせられた事に腹を立てた里美は、思わず、相手の頬をビンタしたので、相田の眼鏡が吹き飛んでしまう。

自ら作った小さなロボットの操作をしていた厨子先生は、再び作業室に戻る里美を見かけ、無理するなと声をかけるが、里美は無理する!と意地で答える。

翌日、里美が持って来た部品は、ようやく相田から合格をもらえる。

その相田は、夕べ、眼鏡が壊れたのでコンタクトに変えたと言う。しかし、里美を責めるような口調ではなかった。

むしろ、里美の方が、ありがとうと、相田に礼を言っていた。あなたのお陰で、進歩したから…だと言う。

そんな嫌味とも取れる言葉を聞いた相田は、ちょっと困惑したような表情をするが、里美の言葉に裏はなさそうだった。

ようやく完成したYAT-11号改良型の実験をする為、学校の屋上に集まった部員たちだったが、8つの箱を乗せたコンベア部分を起こそうとすると、ロボットがバランスを崩してしまい、倒れてしまう事が分かる。

コンベア部分のゴムが重過ぎたのだ。

相田は、自らの着想のミスに気づく。

意気消沈した部員たちに、厨子先生は合宿に行く事を伝える。

初めての合宿に浮かれてトラックの荷台で歌う里美に、ナーバスになっていた相田はうるさい!と怒鳴り付ける。

やがて、湯野温泉紫水園と言う旅館にやって来た部員たちは、7〜3時までは労働、3時以降は自由時間と言うきついスケジュールを、厨子先生から命ぜられ、竹内のバイクのキーや、全員の財布を没収されてしまう。

里美は、炊事場で皿洗い、四谷は浴室掃除、竹内は布団干し、相田はバス客の送迎を、女将(吉田日出子)の厳しい指導の元、やらされる事になる。

全員、慣れない作業でくたくたになり、3時になると休憩室で倒れ込んでしまう。

そんな中、浜辺に向った相田と里美。

相田は、本戦まで後10日に迫ったのに、軽いコンベアのアイデアが全く思い付かないと、珍しく弱気の発言をする。

里美は、私も赤点ばかりだけど、今でも理科系が好きだと打ち明ける。

休憩室に戻って来た里美に、竹内が、相田にビシッと言ってやれと言って来たので、むかついた里美は、彼の尻を蹴飛ばし、言いたい事は自分で言えと言い返すのだった。

バス客の送迎が巧く行かない様子の相田を見た竹内は、俺の家は家具屋だけど、自分が笑ってみせるだけではダメだ、客を喜ばすにはどうすれば良いか考えろ、お前は想像力が足りないと注意し、それがきっかけで、二人は又しても掴みあいの喧嘩になる。

それを見つけた女将は、二人を捕まえ叱りつける。

その後、少し、旅館の仕事を減らしてもらおうかと言う厨子先生の言葉を聞いた相田は、少し考えながら、このまま続けたいと言い出す。

そんなある日、部員たちが浜辺で休んでいると、何故か、第一ロボット部の連中がバキーとトラックでやって来て、キャプテン業原が、俺は相田の目が嫌いだとからかいはじめる。

それに怒った相田が向って行く姿を見た他の部員たちも、一斉に、第一ロボット部員たちの乗ったトラックに向って行くと、喧嘩が始まる。もちろん、里美も一緒だ。

結局、厨子先生が止めに来て、その場はおさまるが、旅館の休憩室に戻った相田は、挑発に乗った行為を謝ると、俺には新しいアイデアが出ないと言い出す。

その代わり、四谷部長のアイデアがあると言うのだ。

その言葉を聞いた四谷は、自分のノートを何時の間にか読まれていた事を知り唖然とするが、それは、一方方向に傾いた密集した針上のものに震動を与えると、その上に乗せたものが一方方向に動くと言う「震動推進」のアイデアだった。

これだと、ベルトコンベア式に比べて、格段に軽量になるのだ。

素直に、その着想のすごさを認めた相田は、どうやって思い付いたのかと四谷に聞くが、四谷はただ笑っているだけだった。

実は、浴室掃除の時、掃除用のブラシに石鹸を置いて遊んでいる時に思い付いたのだが、恥ずかしくて言い出せないのだ。

やがて、相田は、積極的にバス客の送迎や、竹内の布団干しまで手伝うようになる。

そうした相田の変化を見ていた里美は、思わず笑ってしまうのだった。

その後、ロボットの側面につける犬の顔の飾りを里美が塗り終え、改良型の新しいロボットは完成する。

実験してみると、8個の箱を巧くたてる事に成功する。

かくして、試合会場に向う事になった船上で、操縦練習に余念がない里美は、相田が見ていてくれる事に気づく。

知らない子供も物珍しそうに見ているので、里美が勝手に考えたBOXフンドと言うロボット名を教えてやるのだった。

本試合会場に付いた第二ロボット部は、軽量チャックを受けるが、何とそこで、規定の2kgオーバーである事が分かる。

規定内にしないと、出場辞退できなくなるので、考え倦ねた相田は、アルミ板の部分にすべて穴を開け、極力軽量化しようと言い出す。

夜を徹しての、作業が始まるが、ドリルで開けていたのではさっぱり作業がはかどらなかった。

そこに、どこから持って来たのか、竹内が電源を運んで来て、これでホール盤が使えると言う。

それで、ようやく作業がはかどり、抜き取った円盤部をまとめて計量してみると、2.4kgあり、これで規定内におさまった事が分かる。

そこに、厨子先生が、岡持をさげてラーメンの出前を自ら持って来てくれる。

部員たちみんなでラーメンをすすりながら、ちょっと感傷的になった里美は、こういうの夢だったんだ、文化祭って、こういうんだ…と呟くのを聞いた相田は、俺はいつも一生懸命だったと思っていたが、みんなと一緒にやったのは初めてだと告白する。

四谷も竹内に、はじめて最後までやったんじゃないかと尋ねる。

そんなみんなの達成感を感じ取った里美は、ずっと今日が続くと良いのにねと言うが、明日1回戦で負けたら、午前中で終りだけど、勝ったら夜まで続くよと相田が答える。

ジーンと来た里美は、恥ずかしそうにテッィシュで涙を拭くのだった。

翌日、いよいよ本戦が始まる会場に、自転車に乗ってやって来た父親の姿があった。

厨子先生は、四谷に作戦指令を出すように命ずる。

第一回戦の相手は、北九州代表のニョロと言う蛇型ロボット。

四谷は、4個を2箇所に積もうと作戦を立てる。

厨子先生の横には、応援に駆け付けた佐々木先生の姿もあった。

試合開始。

里美は、5つの箱を一挙に立てようとするが、台上でバランスを崩して壊してしまう。

ところが、相手ロボットが開始早々動かなくなり、リトライとなった所で時間オーバー。

結局、里美たちは、台に2個だけ残っていたので勝ちになるが、竹内らは、自分達の答えが間違っていたと気づく。

練習の時のように、多くの箱を一挙に立てるのは至難の技だったのだ。

予想通り、2回戦でも一挙立ては倒れてしまい、結局、一つの台の上に2個しか残らなかったが、かろうじてここでも辛勝する。

何より、部員たち5人の気持ちがバラバラで、あろう事か、試合中に竹内のケイタイが鳴りだしたため、観客が見守る試合会場内で、スイッチを切っておかなかった竹内のルーズさに切れた相田と喧嘩になってしまったのだ。

逆に、相手チームのロボットは、象型のロボットから人形型の小型ロボットがムーンウォークしながら出て来る仕掛けで、箱を置く事は出来ず試合には負けたが、そのアイデアと愛嬌で、審査員や観客に大受けしてしまう。

里美たちはその様子をただ呆然と見守るしかなかった。

自分達は、何か大切なものを忘れてしまっていた事に気づいたのだ。

昼休みになった里美は、相田たちに頼みがあると言い、BOXフンドを外に運び出してもらうと、3戦目の相手の応援吹奏楽部が練習しているまで、独り黙々と練習を続ける事にする。

昼食に立ち去りかけた相田も、途中でそんな里美のひたむきさを見ると、その場を立ち去り難くなり、結局、最後まで、里美の練習を見守る事になる。

いよいよ3回戦。

敵のロボット、スパイダーは、いきなり、里美たちのBOXフンドと台の前に網を伸ばし、バリアを張る奇襲に出て来る。

その網に、BOXフンドの一部が引っ掛かってしまい、身動きが出来なくなってしまう。

先に、スパイダーは、3つの箱を積む事に成功する。

何とか網を脱出したBOXフンドは、4つの箱を積む事に成功し、しかも、相手の箱を吸盤で浮かせる事に成功。

箱を置いた台の数では1対1だったが、積んだ箱の高さ勝負で何とか勝利する。

負けた相手校の吹奏楽部は、先ほど里美の練習を見ていた連中だったが、試合後、きちんと演奏してくれたので、里美は頭を下げるのだった。

戻って来た里美に、相田は、お前、スッゴク良かったと始めて誉めてくれる。

4回戦の相手は、宿命の第一ロボット部だった。

全力を尽くせば、絶対勝てると、珍しく暑く語る相田を見ていた竹内は、思わず「スポコンだね」とからかうと、相田はクールに「ロボコンだよ」と答える。

ところが、第4回戦の直前、ロボットの吸盤を固定している部分の蝶番が乞われている事に気づき、このままでは、出場も出来ない自体になる。

しかし、替えの蝶番等用意していない。

その様子を見ていたアナウンス室の司会者は、心配そうにその様子を伝えていたが、その時、竹内は、自分のケイタイを取り出すと、それに穴を開けはじめ、急場凌ぎの蝶番代わりにネジで固定しはじめる。

その様子を、放送をしているハンディカメラが映し出し、場内は騒然となる。

それでも、何とか、動くようになったBOXフンドは、第一ロボット部のフレックスと対戦を始める。

フレックスは、いきなり、台の上に、微妙なバランスをとって2個の箱を八の字型に置く「八の字組み」と言う高度な技で仕掛けて来る。

これでは、その上に箱を重ねる事も出来なければ、どかそうとしても、バランスを崩して、下に落としてしまう。落としてしまうと負けなのだ。

フレックスは、素早く2個の台で、先に同じように「八の字組み」を置いてしまう。

この作戦を見た四谷はパニック状態になってしまい、ただ空しく自分特製のマニュアルのページをめくっているだけ。

その様子を見かねた竹内は、マニュアルを取り上げると、自分の頭で考えろと渇を入れる。

ようやく我に帰った四谷は里美に、BOXフンドが持っている箱を捨てろと命じ、後ろ向きの状態で台にぶつかれと命ずる。

訳が分からないまま、一つの「八の字組み」が仕掛けられた台にBOXフンドを後ろからぶつけると、八の字のバランスが崩れ、一つの箱が台に残ると、外にこぼれた方の箱は、何と、そのままBOXフンドの上にひっかかりながらも乗っかったではないか。

やがて、カタパルトを持ち上げると、それまで積んでいた一つの箱と、引っ掛かっていた一つが巧く合わさり、台に2個積み上げる事が出来た。

かくして、台の数は1対1となり、高さ勝負で、普通に積み上げた里美たちの方が上回り勝ってしまう。

その試合後、BOXフンドを試合会場の外に運び出す際、相田は吸盤用のボンベがからっぽである事に気づく。

替えは用意していなかった。

困っている彼らの姿を見た第一ロボット部キャプテン業原は、同じ学校のよしみだと、自分達用に用意していたボンベを渡そうとするが、水に流すのは良くないと、四谷部長は返してしまう。

業原は、俺はあの目が嫌いだ、俺はあいつには勝てないと相田を見ながら呟く。

四谷部長から、君が何とかするんだと言われた相原は、考えぬいた末、飲みかけのペットボトルの中身を飲み干すと、これを使おうと言い出す。

失敗したら終りだと言いながらも、その中に空気を注入しはじめる相田を見ていた厨子先生は、お前が、人の言う事を聞くなんて初めてだと感心する。

相田は、素直にありがとうとみんなに言っていた。

最終決戦の相手ファイヤーウォールは、いきなり箱を15個積み上げようとして崩し2個になるが、もう一つの台には8個積んでいる。

一方、BOXフンドは、6個置いているだけである。

ここままでは負けである。

BOXフンドは、尻尾の先端に着いている吸盤で、一つの箱を持ち上げると、それを伸ばして、終了時間ギリギリ一杯で、敵の8個の箱の天辺にその一つを巧く乗せることに成功する。

かくして、第二ロボット部は、初出場初優勝を成し遂げてしまう。

第一ロボット部は、全員、駆けながら会場を後にする。

里美たちは、父親や先生たちも含め、記念撮影をしようとするが、そのカメラを受取って、全員を一緒に撮ってくれたのは、ホンダのASIMOだった。

船で帰還途中の部員たちは、近づいて来た岸で並んで待っていた第一ロボット部の連中が、いきなり人文字で「チクショー」「クヤシイ」「オカエリ」と出してくれたのを嬉しそうに眺めていた。

その後、四谷は、厨子先生から、大学への転入願いをもらいながら、将来は、厨子先生みたいな、工専の先生になると胸を張っていた。

一方、竹内はボウリング場で、遊び仲間たちに、ロボコン会場で、自分のケイタイに穴を開けて蝶番代わりに使って、会場を沸せた事を自慢げに話していた。

いつものように目覚まし様のロボットと寝ているかに見えた厨子先生の横には、佐々木先生が寝ていた。

二人はどうやら結婚したようだ。

そんな厨子先生のアパートに、里美が朝早くやって来て、正式に第二ロボット部への入部を希望すると言いに来る。

そして、里美が向ったグラウンドの隅にあるバラック部室には、新たに部長になった相田がいつものように設計台の前に座っており、里美が、入部を希望しますと声をかけると、振り向いて、優しげに「歓迎します」と答えるのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

長澤まさみ主演のアイドル映画であり、内容的には、ダメな生徒たちが、ひょんな事から大会に出場する事になり、試合を重ねる事に少しづつ人間的に成長して行き、チームワークも学んで行く…と言う、良くあるスポーツ根性ドラマ、通称「スポコン」の体育会系パターンを、ロボコンと言うちょっと捻った理系テーマに置き換えたところがミソ。

パターン通りの展開なので、この手のものを良く見て来た世代にとってはさほど新味は感じられないのだが、そこはロボコンと言う競技の新鮮さでカバーしているとも言える。

逆に、全くこの種のパターンに馴染みがない世代には、何もかもが新鮮で、素直に感動できるのではないだろうか。

基本的には、そういった十代くらいをターゲットにした内容だと思う。

試合のルールが、一見シンプルに見えて、実は意外と複雑で、途中からあれこれ、サブルールのようなものが御都合主義的に出て来たりするので、今一つ、乗りにくい恨みはあるが、逆に、CGなどを使わず、いかにも本物の試合を撮っているようなハプニング的な臨場感が、ハラハラ感を高めている部分もある。

全体的に、少し間延びしているようなテンポの悪さも感じられるが、誰が観てもそれなりに楽しめる、平均的な青春学園ではないだろうか。

ヒロインの亡くなった母親役として、写真だけで登場している水野真紀の、いかにも人畜無害そうな笑顔が、東宝映画特有の「ぬるさ」を象徴しているようで、脱力感を覚えたりもするのも御愛嬌だろう。