TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

007/カジノ・ロワイヤル('06)

2006年、ニール・パービス+ロバート・ウェイド+ポール・ハギス脚本、マーティン・キャンベル監督作品。

この作品は新作であり、なおかつ、最後にはどんでん返しがありますが、最後まで詳細にストーリーを書いていますので御注意下さい。コメントはページ下です。

************************************************************

チェコ共和国、プラハ。

局長がエレベーターで4階にある自室に入ると、「Mの目を盗んでバイトか?」の声。

振り向くと、ボンド(ダニエル・クレイグ)が座っている。

二重スパイをやっていた局長は、秘かにデスクの引き出しを開け、その中の拳銃を取り出すタイミングを計りながら、ボンドがまだ、00(ダブルオー)ナンバーを取得していない事を指摘する。

00ナンバーを取得するには2人殺さねばならない。

どうやって、相棒を殺したと聞く局長に、ボンドは、洗面所で倒した相手の事を回想していた。

その時、局長が拳銃を取り出し引き金を引くが、弾は発射しない。

すでに、ボンドが弾倉を引き抜いていたのだ。

人を殺した気分はどうだった?と聞く局長を、素早く射殺したボンドは、二人目はずっと楽だと答える。

タイトル。

ウガンダ、ムババーレ。

少年が、客にコーラを持って来る。

現地の戦士に、後から来た武器商人ル・シッフル(マッツ・ミケルセン)が、先着していたホワイトから聞いた通り、武器の代金はその内全部戻るし、自分達は自由の闘士の為に武器を提供すると説明していた。

その後、本社に電話したル・シッフルは、スカイフリード株を売れと指令を出す。

電話を受けたものは、今後値上がり必至の銘柄だと、その指令に戸惑いを見せるが、ル・シッフルは売った方が儲かると言い切る。

マダガスカル。

マングースとコブラの戦いを見物している群集の中から、これからテロリストと取り引きすると思われる顔に傷のある男を見つけた諜報員は、近くにいるボンドに連絡する。

しかし、そのケイタイをかけている諜報員が、追っていたテロリスト本人に見られてしまい、不振を感じたその男は逃走し出す。

ボンドは、その男を追跡し出すが、相手は身軽で、どんどん逃げて行く。

ボンドは、近くの建築作業用に置いてあったブルドーザーを運転して、フェンスをなぎ倒しながら、男を追い掛けて行く。

その男は、建設中のビルの中に逃げ込む。

ボンドは、その建設現場に監視用ビデオが設置してあるのを確認しながら、男の後を追う。

男は、組立中の鉄骨部分を登って行くので、ボンドも登って行く。

ガスボンベを背負った作業員が、逃げる男に突き落とされ、地上で大爆発。

最上階の橋梁部分で追い付き、二人の壮絶な殴り合いが始まる。

男は、別の橋梁部分に飛び下り、そこからさらに、下の段へと飛び下りて逃げて行くので、ボンドも、同じようにその後を追う。

男は、ナムブツ大使館に逃げ込むが、ボンドもその中に入り込み、亡命希望しようとするテロリストを捕まえ外に連れ出そうとする。

大使館の警備員たちが、一斉に機銃掃射をはじめ、人質のテロリストは足を撃たれてしまう。

ボンドは、テロリストを建物の外に放り投げ、自分も後に続くが、ここで、警備員たちに取り囲まれてしまう。

ボンドは、人質のテロリストを解放し、銃を持っていた手を、一旦上に上げ、降参して銃を渡すように見せ掛けた次の瞬間、テロリストを射殺し、同時に近くにあったガスボンベを撃ち、大爆発を起こす。

大使館員や警備員が起き上がった時には、塀が破れており、すでにボンドが逃走した後だった事が分かる。

ボンドは、テロリストから奪ったケイタイに「エリプシス」と書かれたメールを確認していた。

豪華クルーザーの中で、ル・シッフルは、仲間同士でカードゲームをやっており、あっさり勝利をおさめていた。

シッフルは、涙に血が混じると言う特殊体質の持主だった。

そのシッフルは、丸腰の囚人が諜報部員によって射殺されたと言うニュースをパソコン画面で観る。

同じ頃、MI6本部のM(ジュディ・リンチ)も、そのニュースを新聞報道で読んでおり、かんかんだった。

00ナンバーを取った途端、ボンドが暴走してしまったからだ。

その頃、当のボンドは、Mの自宅に侵入し、そこのパソコンから陸軍情報部記録にアクセスすると、「エリプシス」というコードナンバーから、バハマ、ナッソー、パラダイスアイランドにあるオーシャン・クラブを言う建物を探り当てていた。

そこへ帰宅したMと鉢合わせになってしまう。

ボンドは、ビデオを破壊しなかったため、ニュース映像に写されてしまった事を謝罪する。

Mは、爆弾犯の下っ端一人殺しても、テロリストの全貌は分からないと、きつくボンドの今回の行動を注意しながらも、ボンドが、何故、自分の自宅を知っていたのか不振に思い問いただすが、彼が、その説明をし始めると、途中で止めさせる。

ボンドが、Mの過去も、良く調べ上げている事に気づいたからである。

部屋を出て行くボンドに、ここへは二度と来ないでくれと釘を刺したMだったが、自分のノートパソコンが、きちんとオフになっていないのに気づく。

バハマ、ナッソー。

ボンドは、沖に浮かぶ豪華クルーザーを見ていた。

その後、ケイタイのGPS機能を使い、オーシャン・ホテルに車で乗り付けると、前回犯したミスを繰り返さないためにも、駐車場前で、一旦車から下りて、靴紐を結ぶ真似をしながら、ホテルのビデオの位置をしっかり確認していた。

後から来た車の運転手から、早く車を移動させろと文句を言われたので、詫びを言いながら、車を駐車させたボンドは、わざと、他の車にぶつけて警報を鳴らし、何事かと警備員が駐車場に出て来た隙を見計らって、無人となった警備室に侵入、過去のビデオ記録をケイタイから操作し、探し出すと、そこに写っていた人物の顔を記憶する。

そして、そのホテルに泊まると言いながら、さり気なく、受付で、64年型のアストンマーチンに傷を付けてしまったので、謝罪に行きたいのでその所有者の名前と住所を知りたいと言い、ディミトリウス (サイモン・アブカリアン)という名前と、ビーチにある家の場所を聞き出すのだった。

その後、ビーチで泳いでいたボンドは、白馬に乗った美女を発見する。

美女の方も、ボンドに気づいたようだった。

ホテル内のカジノで、カードゲームに興じていたディミトリウスに近づいたボンドは、先ほどの美女がドレスに着替えてやってくると、ディミトリウスにキスをするのを見る。

どうやら、彼女は、ディミトリウスの妻のようだった。

しかし、その日は、ディミトリウスのツキがないらしく、幸運の帰すなら遅過ぎたと妻には冷淡であった。

ボンドは、ディミトリウスにカードを挑み、賭け金がなくなった相手が車のキーを賭けると言い出すが、その勝負に勝ってしまったので、まんまと、アストンマーチンを奪い取る事ができる。

ホテルの外で待っていた妻は、アストンマーチンが近づいて来たので、夫が来たと思い近づくが、出て来たのが見知らぬボンドだったので、ちょっと驚く。

さらに、そのボンドが、家まで送って行くと言い出したので、警戒した妻は断わるが、自分の住まいは近くなので一緒に飲まないかと言うボンドの誘いには乗る事にする。

アストンマーチンは、ホテルの前を一周して、又、元の場所に戻って来る。

ボンドは「ほら、近いだろ?」と言い、これには妻も思わず微笑むのだった。

その頃、クルーザー上に戻ったディミトリウスは、ル・シッフルから色々注意を受けていた。

一方、自室に妻を連れ込んだボンドは、早速熱い抱擁をかわしながら、それとなく、夫ディミトリウスの事を聞き出していた。

その内、妻のケイタイに夫から連絡が入り、これからマイアミに飛ぶと言う声を聞いたボンドは、今夜はもっと楽しもうと、彼女の為に、シャンパンとキャビアをルームサービスで取り寄せると、彼女がシャワールームに消えた隙に、自分はさっさと空港に向い、ディミトリウスを追ってマイアミに飛んでいた。

マイアミに着いたディミトリウスは、「人体の世界展」と言う展覧会の会場に入ると、持っていたバッグを手荷物預けに預けて、55番というキーを受取る。

その後、そのキーを、カードをする人体模型が座ったテーブルの上のコインの上に置いたのを確認したボンドだったが、つけていたのがばれていたらしく、気がつくと、群集の中、ディミトリウスからナイフを突き付けられていた。

しかし、ボンドはそれを押さえ付け、逆に、そのナイフで相手を尽き殺すと、さり気なく、死体をイスに座らせてごまかす。

しかし、先ほどのテーブルに目をやると、もうキーがなくなっているではないか。

誰かが受取ったのだ。

すぐさま、手荷物置き場に向ったボンドだったが、ディミトリウスのバッグはなくなっていた。

表に飛び出したボンドだったが、表を歩く人の数が多過ぎて、バッグの持主を見つける事が出来ない。

とっさの判断で、先ほど殺したディミトリウスから奪っておいたケイタイの最終着信相手にリダイヤルすると、その着信音が聞こえたので、その方向に目をやると、今しも、タクシーに乗ろうとしていた男が、ディミトリウスのバッグを下げているのを発見する。

そのタクシーを追い、マイアミ国際空港にやって来たボンドは、さり気なく相手の行動を監視していたが、一瞬の隙を突かれ、見失った相手は、その内、警備員の制服を着た格好であらわれると、暗証番号を押さねば入れない関係者ルームに入り込んでしまう。

さっそく、Mに連絡を取ったボンドは、マイエミ空港でテロ行為が発生中と通報。

関係者ルームの前に来たボンドは、試しに「エリプシス」に当てはまる番号を入力してみると、ドアが開いたので中に侵入する。

その頃、MI-6では、今日、マイアミ空港で、スカイフリートの最新機が顔目見えすると言う情報をキャッチ、テロリストの標的がその機体であると確信していた。

テロリストは、緊急スプリンクラーのスイッチを作動させ、空港内がパニックになったのに乗じ、隠していた拳銃を手にすると空港内に侵入し、警備パトカーに乗り込む。

そして、燃料トラックに近づくと、それに運転手を首の骨を追って殺害、運転席に乗り込む。

その際、テロリストは、車の下部に、キーホルダー状の爆破装置をつける。

それを走って追跡していたボンドは、走り出した燃料トラックの後尾に飛びつく。

ボンドに気づいたテロリストは、ボンドを振り落とそうとし、別のトラックにぶつかりそうになる。

その際、一旦、振り落とされたボンドだったが、走ってさらに追跡、燃料トラックは連絡バスの側面に衝突。

追い付いたボンドは、運転席に乗り込み、テロリストと格闘になるが、追跡して来た警備パトカーも、タイヤに発砲してトラックを止めようとする。

その際、タンクに穴が空き、燃料が外にこぼれ出し始める。

運転席から外に放り出されたかに見えたボンドだったが、しぶとく車にしがみついており、その際、爆破装置を発見する。

再び、運転席に這い上がったボンドはテロリストと再度取っ組み合いになるが、スカイフリートの機体が間近に迫る中、相手は車を飛び下りてしまう。

ハンドルを握ったボンドは、必死に車を止めようとするが、ブレーキが利かない。

旅客機の機体にぶつかる寸前、とっさの判断で、車をターンさせ、何とか停止させることに成功したボンドは、駆け付けて来た警備員たちによって、テロリストと間違えられ取り押さえられてしまう。

燃料トラックからは、大量の燃料が、旅客機の横にこぼれ出している。

それを遠目で見ていたテロリストは、笑いながらケイタイから爆破の暗号を送る。

しかし、その着信音は、意外に身近な所から聞こえて来る。

テロリストが、自分のベルトを見ると、いつの間にか、腰の部分にあのキーホルダーがかかっているではないか。

その爆発音を聞きながら、ボンドは微笑んでいた。

ナッソーのオーシャン・ホテルに戻って来たボンドは、海岸の木に吊られたハンモックにくるまれた、砂塗れの女の死体を警察が収容しているのを発見する。

ディミトリウスの妻だった。

その場に現れたMは、あなたが夫を殺したので、犯人は、妻を拷問してル・シッフルの居所を聞き出したに違いないと推理を聞かせる。

そのシッフルとは、チャスとポーカーの名人だと教えられる。

ボンドは、やってきたRから、腕に小さな発進装置を埋め込まれる。

自分の居場所確認の為だそうだ。

Mはさらに、CIAが、エアフリートの株を空売りした人物がいると突き止めたと教える。

今回の事件で、エアフリートの株が暴落すると見込んでいたその人物は、1億ドル以上の損害を被ったに違いないとも。

おそらく、その人物であるル・シッフルは、武器売買で得た金を投資で増やしていたのだが、今回、思わず失敗をしてしまったので、その穴埋めをするために、モンテネグロにあるカジノ・ロワイヤルと言うカジノで、カードをやると言う情報があるので、その相手となって、勝負に勝てと言う指令だった。

その話を聞いていたボンドは、最初から、自分がこの話に飛びつくと思って、Mがあらかじめ仕込んでいた計画だった事を知る。

モンテネグロへ向う列車の食堂車にいたボンドに、美女が近づいて来る。

今回の賭けに使う資金を用意し協力するヴェスパ・リンド(エヴァ・グリーン)と名乗る。

口座には、1500万ドル用意してあると言う。

ボンドは、いかにも頭が良さそうな相手の分析をはじめ、あなたは孤児だったのではないかと推理してみせる。

すると、ヴェスパの方も同じようにボンドの分析をしてみせ、あなたこそ実は孤児だったのではないかと逆襲する。

モンテネグロに到着した二人は、ホテルに向う車の中で、Mからの指令を読む。

そこには、二人が当地で名乗る偽名が記されてあり、夫婦であると装うように指示されていた。

しかし、ホテルに到着したボンドは、受付で、いきなりジェームズ・ボンドと名乗り、預かっている封筒を受取る。

いきなり自ら正体をさらけだしてしまったボンドに、一緒にエレベータに乗り込んだヴェスパは不機嫌そうだったが、すでに、シッフルは、こちらの正体等見抜いているに違いないとボンドは断定した。

そのボンド、受取った封筒を開けてみると、中に車のキーが入っており、さっそく、駐車場に行くと、自分用の車が用意されていた。

そのダッシュボードの中から、サイレンサー付きの拳銃を取り出したボンドは、Mに感謝しながら部屋に戻って行く。

後にボンドとベスパは庭で、ルネ・マティス(ジャンカルロ・ジャンニーニ)と言う連絡係と会う。

彼によると、シッフルは、昨日来て、近くのテーブルに座っているヒゲの警察署長と旧交を暖めたと言う。

その面倒な警察署長をこの場から遠ざける為、マティスは、署長が汚職をしていると言う偽の投書を副所長宛に送ったと言う。

その効果のかいあって、ボンドたちが見ている前に到着したパトカーに、ヒゲの署長は連行されて行った。

部屋に戻ったボンドは、化粧中のヴェスパに、カジノに着て行くドレスを差し出してみて、勝負が始まったら、自分にキスして、皆の注目を集めろと命ずる。

そのボンドも、自分の部屋に戻ると、タキシードが用意されている事に気づく。

ヴェスパが寸法を目見当であつらえ用意したもので、それはボンドにピッタリだった。

やがて、向ったカジノ・ロワイヤルには、目指すル・シッフルをはじめ、各国から客が集まっていた。

試合開始の前に、皆の金を管理するスイス銀行のメンデル氏なる人物が現れ、預かった金は電子マネーとして登録し、それは、世界中どこの銀行でも引き落とされると説明した後、最後にやって来たボンドに、暗証番号を決めてその場で、スーツケース型の登録機に入力させる。

やがて、試合が始まるが、シッフルが血の涙を流す事をボンドは発見する。

その時、ドレスに着替えたヴェスパが到着し、ボンドの横に来ると、妻のようにキスをするのだった。

計画通り、彼女の美貌に、参加者や見物者たちが一斉に視線を向ける。

もちろん、シッフルも彼女を見ていた。

一旦、バーに行き、そこで待機しているヴェスパとマティスにさり気なく合流したボンドは、シッフルがブラフをかける時、顔が引きつる癖がある事を指摘する。

そしてテーブルに戻ったボンドは、シッフルの勝負をブラフと判断、自らも勝負に出るが、結果は見事にボンドの負けだった。

シッフルは、ブラフだと思ったのかと嘲る。

ドライ・マテーニを注文したボンドは、カウンターに戻り、ヴェスパとキスしながら、奴の手を知りたいと、超小型盗聴器をマティスから受取る。

それから、4時間が経過し、休憩に入る。

ボンドは、シッフルが席を立った隙に、テーブルに置いてあった彼がいつも使っている吸引器に近づくと、その中に盗聴器を仕掛ける。

部屋に戻ったシッフルは、ベランダに恋人が来ているのに気づくが、その彼女は囮で、シッフルは、ウガンダから来た闘士二人に襲撃される。

約束通り、金を返せとやって来たのだ。

その頃、ボンドは、受付で新しい荷物を受取っていたが、シッフルは、カジノで必ず勝って、金は明日必ず返すと、闘士二人に命乞いしていた。

しかし、その言葉を信用しない二人は、恋人の腕をその場で切り落とそうとする。

ヴェスパと二人で、シッフルの部屋の近くまで様子を見に来貞たボンドは、かすかな女の悲鳴を聞き、ヴェスパにエレベーターで先に逃げておけと命ずるが、なかなかエレベーターが下りて来ない。

階段を使えと言っている時に、シッフルの部屋から二人の黒人が出て来たので、思わず、廊下の隅で、互いにキスをする恋人同士を演じていたが、怪しいと見破られ、二人にボンドは襲いかかられる。

階段から、まず一人を墜落させるが、もう一人は手強く、ボンドと階段を下りながら、決死の格闘が続く。

1階まで来たところで二人倒れたままもみ合いとなり、敵は近くに落ちた銃を取ろうとしている。

階段口から外への扉は鍵がかかっており、閉じ込められた状態で二人の格闘を見ていたヴェスパは、勇を決したかのように、銃を手にした黒人の手を掴むと、それを何度も床に叩き付け、銃を取り落とさせる。

その間、ボンドは相手の首を閉め続け、とうとう、相手を絞め殺してしまう。

そして、取りあえず、階段下の用具入れに死体を隠しながら、マティスに二人分の死体を始末させるようにヴェスパに命ずるのだった。

部屋に戻ったボンドは、血まみれの顔や身体を洗い、服も着替えて、何喰わぬ顔でカジノに戻るが、シャツを変えた事を、鋭くシッフルに指摘されるのだった。

その後、再び自室に戻って来たボンドは、グラスが倒れており、ヴェスパの姿が見えない事に気づき、シャワー室に入ってみると、彼女がシャワーの下でお湯を浴びながら震えている姿を見つける。

手に付いた血が消えないのだと言う。

ボンドは、彼女の横に座るとその手を取って、優しくしゃぶってやると、少し彼女も落ち着いたようで、寒いのかと言うの頷くので、ボンドは、シャワーの栓をさらに捻って、自分もお湯を一緒に被るのだった。

翌朝、部屋にやって来たマティスに、死体の始末はどうしたと尋ねると、簡単だったと言いながら、ケイタイをかけると、ホテルの下に置いてあったシッフルの部下の車のトランクの中から、すでにやって来ていた警官たちによって二人の死体が発見される。

その場にいたシッフルの部下も一緒に捕まってしまい、その様子は、シッフルも部屋からこっそり眺めていた。

やがて、その日の勝負が始まり、シッフルは、持ち金全てを賭けて勝負に出て来たので、ボンドも自分の手持ち全てを賭けて1対1の勝負に出てみるが、又しても、シッフルが勝ち、ボンドは用意されていた全財産をすってしまう。

ヴェスパの元に行き、さらに金を用意して欲しいと願い出るが、彼女はそれは出来ないと拒絶する。

やむなく、ボンドは、テーブルから、食事用ナイフを取ると、シッフルを殺そうとつけはじめる。

しかし、そのボンドを止めたのは、試合に参加していた黒人で、彼は、自分はCIAのフリックス・ライター(ジェフリー・ライト)だと名乗る。

彼が言うには、自分ももうすぐ有金全て失いそうだが、その自分の金を使って勝負してくれとボンドに頼む。

その代わり、シッフルの身柄はこちらが預かると言う交換条件だった。

渡りに船の申し出だったので、ボンドは承知する事にする。

次の勝負が始まり、何喰わぬ顔でテーブルに着いたボンドを、ちょっと意外そうに見つめるシッフル。

その頃、カウンター席では、ボンド用に用意されたマティーニに、シッフルの恋人が薬を混入していた。

テーブルに運ばれて来たそのマテーィ二を口にしたボンドは、シッフルの表情を見ながら、自分が毒を盛られた事に気づくと、すぐさま席を立ち、洗面所で吐けるだけ吐くと、フラフラになりながらも、駐車場の車まで向い、ケイタイと車に付いた医療器具を繋ぎ、一方の先端を自らの腕の血管に差し込むと、本部に連絡を入れる。

連絡を受けたMI-6では、ただちに、送られて来たボンドの血液データから、毒の種類をジキタリス系と判断、直ちに、車備え付けの除細動装置をボンド自ら胸に装着させると、青い注射を首に打たせ、その直後、除細動装置のスイッチを入れろと指令を出す。

しかし、その通りにスイッチを入れたボンドだったが、電流は流れない。

薄れ行く気づくと、スイッチから出た線の一本が外れていたが、もうボンドの心臓はそこまでで限界だった。

しかし、心臓が止まったボンドの元に駆け付けて来たヴェスパは、素早く線を繋ぎ、スイッチを入れると、心臓に電流が走り、ボンドはかろうじて蘇生する。

すぐに、病院に行くように勧めたヴェスパだったが、ボンドはそのまま、又カジノに戻って行く。

そして、ちょっと驚いた表情のシッフルの前に座ると、又勝負を始めるのだった。

シッフルは、又全持ち金を総べて賭けて大勝負に出て来た。

勝てば、1億1500万の儲けとなる。

ボンドも、それに、全持ち金を賭けて応じる。

参加者たちのカードが次々に開かれて行き、どの手も素晴らしいものだったが、最後に開けたボンドの手札は、上のフルハウスと言う最強のカードだった。

ボンドはとうとう、シッフルの全財産を巻き上げたのだ。

勝負が終わり、レストランで食事をしていたボンドとヴェスパにマティスから連絡が入り、シッフルの身柄はCIAが確保したと言う。

ボンドは、飲んでいたマティーニに「ヴェスパ」と名付ける。

その後、もう一度、マティスからケイタイに連絡が会ったと言うので席を立つヴェスパ。

しかし、独り残されたボンドは、今の電話は怪しいと気づき、彼女の後を追うが、ヴェスパは、ホテルの前で、何者かに車に無理矢理乗せられ拉致されかけている所だった。

ボンドは、ただちに車に戻り追跡を開始する。

間もなく、闇の道路の中央に、縛られたまま転がされているヴェスパを発見、思わずハンドルを斬ったボンドの車は、何度も回転して大破してしまう。

そこに近づいたものたちは、気絶しているボンドを車から引きづり出すと、腕に仕込まれた発信機をナイフで取り出ししながら、その場にいたシッフルは、実はマティスが友達だったのだと打ち明ける。

彼らの隠れ家に連れて来られたボンドは、シッフルの部下が座席の部分を切り取ったイスに座らせられると、着ていたものを全て脱がされ、全裸にさせられる。

後ろ手に縛られたボンドの尻は、すっぽりイスの中にはまった形となる。

鉄の分銅が付いた太い紐を持ったシッフルは、そのボンドに近づくと、イスの下の急所部分に分銅を打ち付ける拷問をはじめ、電子マネー口座の暗証番号を教えろと迫る。

別の部屋に連れて行かれたヴェスパからは、口座番号を聞き出しているのだと言う。

苦痛に身をよじりながらも、ボンドは口を割ろうとはしなかった。

すると突然、何者かがその部屋に侵入して着て、気絶寸前だったボンドの目の前で、シッフルを射殺してしまう。

気が付いたボンドは、病因で治療を受け、その後、療養所に収容されていた。

そこにやって来たマティスは、ヴェスパとボンドの二人だけ助かったと言いながらボンドに薬だと言ってコップを渡すが、そのマティスの背後から近づいて来た二人の男が、マティスに麻酔銃でも撃ったのか、そのまま力が抜けた彼の身体を連行していく。

ボンドは、マティスから受取ったコップの中身を結局飲まなかった。

そこへヴェスパが近づいて来て、二人は抱擁しあう。

さらに、スイス銀行のメンデル氏が来たので、ヴェスパが口座番号を入力した後、ボンドはアルファベットの「ヴェスパ」に相当する数字を暗証番号として入力する。

彼が、拷問でも口を割らなかった愛の証の数字だった。

雨が降り出したので部屋に戻った二人は、思いきり抱き合い愛を確認しあう。

二人でベニスに旅行に来たボンドは、ヨットの上からパソコンでMに辞表を提出する。

ホテルに落ち着いた二人だったが、ケイタイがかかって来たヴェスパは、銀行に行かなくてはならないと言うので、落ち合う時間を決めてボンドは部屋で待つ事にする。

しかし、その直後、ボンドにMから電話が入り、辞表の事はともかく、今財務省の人がこちらに来ており、シッフルから勝ち取った資金が、まだ送金されていないと言う。

取りあえずその場は、入金手続きが遅れただけと言い訳して電話を切ったボンドだったが、急速に事の真相が飲み込めて来る。

急いで、メンデル氏に連絡を取ると、今、誰かが口座からおろしている最中だと言う。

おろしている場所を聞くと、サンマルコ広場にあるベニス支店だと言うではないか。

急いで、ヴェスパを探しにホテルを飛び出したボンドは、銀行に駆け付けるが、もう彼女の姿はない。

いそぎ、観光客で溢れる広場をあちこち捜しまわった末、彼女が着ていた赤いドレスを見つける。

急いで彼女の後をつけると、彼女はとある建物の陰で待っていた、片側だけサングラスになっている眼鏡の男に、トランクを渡している所だった。

ボンドが近づこうとすると、見張りの一人が発砲して来る。

その音に気づいた片サングラスの男は、ヴェスパに銃を突き付け人質にすると逃亡を始める。

追い掛けるボンドに、周囲で待ち伏せしていたものたちから、一斉射撃を受ける。

ボンドは、ヴェスパが連れ込まれた建物に侵入すると、その建物を水没から守る為に一階に設置されていた浮き袋代わりにタンクを撃ち抜く。

すると、ガスが漏れはじめ。

浮力を失ったその建物は、急激に水没しはじめる。

ヴェスパは、そのエレベーターの中にいるのだ。

ボンドは、沈み行く建物中で、敵と戦いはじめる。

片サングラス男から、背中に、鋲打銃を打ち込まれたボンドだったが、逆に、その銃を奪い取り、その片サングラスの目に鋲を打ち込んで倒す。

そして、エレベーター内にいたヴェスパを救出しようと近寄るが、彼女は謝罪しながら、内側から鍵をかけてしまう。

そして、そのエレベターは墜落して行き水中に沈没してしまう。

ボンドは水中に飛び込み、何とか、エレベーターの檻を破って、彼女を救出しようとするが、彼女はボンドの目の前で溺れ死んでしまう。

その直後、何とか、檻の一部を引きちぎり、彼女の身体を水面に運び上げて、人工呼吸をしたボンドだったが、ヴェスパの目は二度と開かなかった。

別の建物の上から、その様子を見ながら、ヴェスパが持ち出したトランクを持ち去る男がいた。

ホワイトだった。

その後、ヨットに乗ったボンドは、ヴェスパにはフランス人の恋人がおり、シッフルからその恋人が殺されたくなかったら協力するように脅迫されていたらしいとのMからの調査報告を聞いていた。

しばらく、急用が必要かとの問いには、必要ない、裏切り女が死んだだけと答えるボンド。

マティスの方は白だと分かったと聞いたボンドは、否、マティスも灰色だと思うと返事すると、もう誰も信じなくなったのねとMは答えるのだった。

しかし、シッフルにボンドが拷問を受けていた時、ヴェスパは、ボンドを救うよう交渉していたらしいと教えるMだった。

ヴェスパのボンドに対する愛は本物だったのだ。

しかし、金も失い、関係者全員死亡した今、テロリストをたどる手がかりは全て途絶えてしまった。

その直後、ボンドは、ヴェスパからのメールを受取る。

時間設定していたらしい。

そこには、ホワイトの電話番号が記されていた。

とある風光明美な場所に車でやって来たホワイトが湖の畔で佇んでいるとケイタイに着信音がなる。

それを耳に宛てた瞬間、ホワイトは何者かに足を撃たれ倒れ込む。

必死に逃れようと、建物に這いずって行く彼の前に、スーツ姿に狙撃銃を持った男が近づいて名乗る。

「マイ ネーム イズ ボンド。ジェームズ・ボンド」と。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

ピアーズ・ブロスナンに代わり、金髪のダニエル・クレイグが新ボンド役になったシリーズ21作目。

かねがね、このシリーズを作りたがっていたソニーが、映画会社の親会社となる事で、ついに成し遂げた因縁付きの作品でもある。

1967年の異色作「007/カジノ・ロワイヤル」に次ぎ、2度目の映画化とも言える。

モノクロで描かれるアーバンタイトルから既に異色。

タイトルも、3Dを使った2D的手法で、ちょっと60年代風のサイケデリックを思わせるような凝った作りになっている所から見ても、ひょっとすると、パロディ風だった67年版を意識しているのかも知れない。

その前作と、全く違ったテイストにしようとする余り、ユーモアや子供っぽい荒唐無稽さを極力排除した、かなりハードな演出になっているからだ。

男性には、好まれる作風かも知れないが、女性客にはどうだろうか?

CG演出が多用されていたブロスナンの頃の作風とも差別する為に、本作では、おそらく、安全用のワイヤーなどを後で画面上消去する等以外の、CG処理はほとんど使われていない。

どちらかと言うと、全編、身体を張った泥臭い「ダイハード」風になっているのだ。

たえず、血みどろになって戦うボンドと言うのもちょっと珍しい。

どんなにハードなアクションをやっても、見た目的にはスマートを崩さなかった、これまでのスタイルとはだいぶん趣を異にしている。

アクション的にも、ストーリーのひねり的にも申し分仕上がりになっており、シリーズ中でも、屈指の傑作だと感じる。

派手なアクションしーんとは違い、ちょっとダレそうなカジノシーンも、個人的には、結構楽しめた。

新ボンドの印象は、観る人の好みによって、好き嫌いが別れるかも知れないが。

ヴェスパを演じるエヴァ・グリーンも、気品があって魅力的。