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妖怪百物語

1968年、大映京都、吉田哲郎脚本、安田公義監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

三日月に照らされた山の中、一人の旅人が道を見失ってしまい困っている。

やがて、樹木の間に、大きな光る一つ目が出現したかと思うと、その毛むくじゃらのダルマのような妖怪に引き寄せられ、旅人は妖怪の手に抱き締められてしまう。

それは、3年前、美濃の山の中で自分が本当に経験した事だ…と伍平(浜村純)は、大家甚兵衛(花布辰男)の部屋に集まった長家の全員に話し終える。

最後のロウソクが消え、暗闇になったので、明かりを付け直した一同は、今の話が、この夜行われた百物語の最後の話だったので、憑きもの落としの呪いを執り行なう事にする。

百物語とは、一話づつ怪談を話し終えるごとに、用意したロウソクを消して行き、最後の話が終え、ロウソクが全部消えた時、妖怪が出現すると言われる座興の一種で、最後におまじないするのは、本当に妖怪が現れるのを防ぐためだった。

タイトル。

翌朝、大工の太吉(平泉征)らが出かけて行く。

子供らは、日干し中の傘の間で鬼ごっこを始めたので、傘張りをしている伍平は、傘を破かないでくれよと注意する。

伍平は、長家と裏にある社の宮守だった。

お参りに来た大家の娘おきく(高田美和)が伍平と挨拶した時、本町にある但馬屋の番頭藤兵衛(水原浩一)と重助(吉田義夫)らがやって来て、近々、この社を壊して岡場所にすると言い出す。

何も聞いていない伍平は、そんな事は、寺社奉行の許可がなければ出来ないはずだと抵抗するが、すでに許可は降りていると言うし、こんな場所に岡場所などできたんでは、近所迷惑…と、伍平が食い下がると、その長家も一緒に取り壊す事になっており、すでに大家の甚兵衛も承知の上と言うではないか。

そして、干してあった傘も蹴散らしながら、人夫たちは、社を壊そうとし始め、それに抵抗しようとした伍平は袋叩きにあってしまう。

これを見ていた長家住まいのお仙(坪内ミキ子)は、昼寝中の浪人、安太郎(藤巻潤)を起こしに行くが、俺が出て行ってもどうしようもないと取りつく島もない。

但馬屋(神田隆)は、地鎮祭なのだろうか、身内を集めてお祭り騒ぎの最中だったが、そこへ寺社奉行堀田豊前守(五味龍太郎)がやって来る。

座敷に通された豊前守は、巧い所に目を付けたなと冷やかすが、但馬屋は、祠一つで空き地になっている場所が江戸中にはたくさんあるとほくそ笑む。

江戸では、土一升が金一升と言われているくらい、土地が高かったのだ。

二人が話している部屋に駆け込んで来て、屏風の陰に隠れたのが、但馬屋の息子で、ちょっと頭が弱い新吉(ルーキー新一)だった。

但馬屋は、豊前守に挨拶させようとするが、新吉は、奉行という身分と豊前という名前の区別さえつかない様子。

但馬は、平身低頭して、息子の無礼を詫びるのだった。

その頃、長家では、甚兵衛が、長家の連中に事情を話していた。

実は、亡くなった妻が寝込んだ時、南蛮渡りの薬を買わされ、但馬屋には30両の借りがあると言うのだ。

今考えると、最初から罠だったのだろうが、とにかく、この長家も抵当に入っているのだと言う。

そこへ、おきくがやって来て「伍平さんが…」と泣きはじめる。

怪我をしていた伍平が亡くなったのだった。

その場に集まっていた長家の連中の一人、太吉は憤って但馬屋に殴り込みに行こうと立ち上がるが、ふらり入口にやって来た安太郎に止められてしまう。

出ばなを挫かれた太吉は、帰って行った安太郎の正体を怪んでいた。

その夜、但馬屋は、とある料亭で豊前守を囲んで宴席を設けていた。

今日は、ちょっと変わった趣向をと言い、但馬屋は部屋に屏風を多数運び込ませる。

広げた屏風には、無気味な妖怪図が描かれていた。

やがて、噺家(林家正蔵)が入って来て、百物語を始めると言って、最初の話を始める。

利根川縁の栗橋の宿、季節は春で、戌の刻…と、続く。

その頃、長家の方では、甚兵衛が、伍平が乱暴された件で、番所に訴えでてはみたが、但馬屋の手が廻っていたらしく、取り上げてもらえなかったと、住民たちに説明していた。

一方、百物語の席では、妖怪どもにくい殺されて、バラバラにされた侍の話を終えた噺家が、一本だけ灯ったロウソクの前で、最後の話を始めていた。

江戸、夏の蒸し暑い宵、 本町の池で、二人の浪人(伊達三郎、山本一郎)が、酒を飲みながら釣りをしていた。

すると、いつの間に立っていたのか、彼らの背後に痩せた老僧(荒木忍)が「そこで釣りをしてはならぬ。殺生禁断の池だ、殺生すれば祟りがある」と声をかける。

しかし、酔った二人の浪人ものはそんな言葉には耳を貸さず、祟られてみたいものだと一笑にふしてしまう。

やがて、一人の竿に鯉がかかり、もう一人が池の中に入り込んで、その鯉をつかみ取る。

早速帰って、飲み直すかと帰りかけると、一天にわかに書き曇り、「置いてけ…」と誰かの声がする。

その声の出所を探していた二人は、池の中からだと言う事に気づくが、次の瞬間、雷が落ちる。

土砂降りの雨の中、自宅に帰りついた二人の浪人は、さっそく、捕まえて来た鯉を妻(毛利郁子)にさばかせ、すぐに酌を始めるが、刺身を持って来た妻が、この鯉はどこから捕って来たのかと尋ねる。

手についた血が取れないというのだ。

その言葉に、一人の方が怖じ気付くが、この家の主人の方はそんな相手を諌めながら、平気で刺身に手を伸ばすのだった。

やがて、酒のお代りを台所にもらいに行った客の方が、まだ妻が手を洗っている所を目撃する。

酒を注ぎながら、それとなく妻の様子をうかがっていると、その妻の首が急に伸びるではないか。

ろくろっ首に迫られ、驚いた浪人は、座敷に戻ると、そのまま倒れてしまう。

その様子に驚いた主人の方も、障子に映るろくろっ首を発見、彼も又、その場に倒れてしまうのだった。

翌日、河原でたき火をしていた僧侶の元に、浪人の妻がやって来て、昨日から亭主と友達が戻らないのだが、ここらで見かけなかったと問いかけるので、僧侶は「お気の毒に…」と呟くと、彼女を連れて池の側まで向う。

すると、そこには落雷で昨日死んだ二人の遺体が転がっていた…。

最後のロウソクが消え、百物語を終えた噺家は、憑き物落としのおまじないを始めて下さいと願い出るが、但馬屋はそんなものをしなくても良いと断わる。

でも…と食い下がる噺家に対し、私なりのまじないをするから大丈夫だと言って、部屋を追い出した但馬屋は、主賓席に座る豊前守の前だけではなく、その日集まった来客全員の前に小判の山を置いてみせる。

その宴席に手伝いとして出ていたお仙は、小判を渡した客の一人が、安太郎である事を知って驚く。

その頃、新吉は、屏風に描かれた傘お化けの絵を見て、そのポーズの真似をしていた。

一方、但馬屋も、料理が一人分足りないとの報告を重助から受け、安太郎が混じっていた事に気づくのだった。

豊前守ら来客が帰る中、席を立とうとした安太郎は、重助から短筒を突き付けられ、その場に残される事になるが、彼も又、拳銃を持っており、取り押えようとする但馬屋の配下たちを振り切って逃げるのだった。

別室に居残っていた豊前守は、何か目的があって忍んで来たに違いない。もし大目付差し回しの密偵だったら大変だと但馬屋に相談していたが、あの浪人者は、確か長家で見かけたとの重助が報告する。

料亭からの帰り道、但馬屋は「置いてけ〜…」との言葉を聞き、思わず身を竦めるが、それは後ろから着いて来ていた新吉がいたずらで言った言葉だった。

しかし、但馬屋から大枚の小判をもらい、川べりの別の道を帰っていた客たちも、同じ言葉を聞いていた。

持っていた提灯がいきなり燃え上がると、それが空中に浮かび上がり、その中から人魂が飛び出すのを見て、腰を抜かした客たちは、置いてけ〜…の言葉に従い、持っていた小判を全部投げ出して逃げ出すのだった。

地面に落ちた小判は、吸い込まれるように川に落ちて行く。

後日、長家の取り壊しの中止を頼みに来た尋兵衛を但馬屋は冷たく断わっていた。

ただし、おきくを自分の娘として豊前守に奉公させれば、考えても良いと但馬屋は言う。

その頃、新吉は、自分の部屋の壁や襖に、傘お化けの落書きをしていた。

すると、落書きの一つが浮かび上がり、動き出すと、傘お化けが出現し、新吉の顔を舐めはじめる。

新吉は、喜んで、その事を母親に報告に行くが、その場に来た但馬屋はあきれ顔、新吉の部屋に行ってみると、落書きだらけだったので、襖の取り替えと、壁の塗り直しを命ずる。

その頃、安太郎は、長家の近くで、堀田豊前守の家来たちに見つかり捕えられそうになるが、藤巻は峰打ちで侍たちを蹴散らすと、その場から逃げ去ってしまう。

その後、安太郎の部屋にも乗り込んで来た家来たちだったが、安太郎を発見できなかったので、帰って来たら番所に届けるようにと、長家の連中に言い残して帰って行く。

お仙が自分の部屋に戻ってみると、そこに安太郎がいるではないか。

三日間もどこにいたのだと尋ねるお仙に対し、皆に迷惑がかかるので…と、言葉を濁した安太郎は、料亭でもらった但馬屋の小判を取り出すと、30両あるから、これを甚兵衛に渡してくれと託して、その場を立ち去るのだった。

約束の期限の日、その金を持って但馬屋を訪ねた甚兵衛は、但馬屋から強引に酒を勧められる。

帰りが遅いのを心配したおきくと太吉は、迎えに出かける。

その帰り道、甚兵衛は、待ち伏せしていた重助に襲われ、刺し殺されてしまう。

先ほど、但馬屋から返してもらった証文も、懐から重助が抜き取ってしまい、近くの小屋にひとまず死体を隠した所に、おきくと太助が通りかかりそのまま但馬屋まで行くが、先方では甚兵衛など来なかったと相手にもしてくれない。

その帰り、おきくの下駄の鼻緒が切れたので、ちょっと立ち止まった二人だったが、太吉が鼻緒を修繕している間、おきくは川に浮かび上がった父親の死体を発見する。

死体を長家に持ち帰った太吉は、改めて但馬屋の仕業と確信し、その卑劣さに憤るが、おきくは逆に、但馬屋の言いなりになって出向く覚悟を決める。

翌日、但馬屋の使いと言う者が来て、約束通り、社と長家を潰す事になったと来るが、太吉は、覚悟は出来ていると立ち向かおうとするが、それを制したおきくは、但馬屋の所に行くからと、使いの番頭に伝えるのだった。

やがて、但馬屋に連れられて堀田豊前守の所に出向いたおきくは、その但馬屋が、取り壊しは止めないと堀田に言う言葉を聞き、愕然とするのだった。

約束が違うと帰りかけるおきくだったが、但馬屋は、何も約束等した覚えはないと嘯く。

その頃、かつて伍平のものだった破れ傘で遊んでいた子供達の元に、但馬屋の人夫たちが集まって来る。

太吉たち若者三人がそれに飛びかかって行くが、あっさりのされてしまい、それを見ていて怒ったお仙は、こうなったら、家から一歩も外に出ないと啖呵をきる。

一方、堀田の屋敷では、泣いているおきくに堀田が抱きつこうとしていたが、その時、安太郎がやって来る。

刀を突き付けた安太郎は、声を出しても誰も来ない、人払いしたのはあなたなのだからと、落ち着いておきくを連れて帰る。

その頃、社を壊した人夫たちは、一天にわかに描き曇り、空に青い光の球が浮かび上がるのを目撃する。

それに向い、一人の人夫が槍を投げると、その槍は光の中でクルクル廻って、逆に、投げた男の方へ飛び出して来て、逃げようとしたその男の背中を突き刺してしまう。

人夫たちは、祟りだとすっかり怖じ気付き、作業を止めてしまうが、それに怒った重助は、人夫の一人に作業を続けるよう声をかける。

すると、振り向いたその男の顔は、のっぺらぼうと化していた。

他の人夫たちも全員のっぺらぼうになっているのを見た重助は、落ちていた破れ傘に躓くと、傘お化けに遭遇する。

長家の住人たちは、急に静かになった外の様子を不思議に思い出てみるが、そこには、人夫たちの姿はいなくなっており、代わりに、おきくを連れた安太郎が帰って来るのを見つける。

おきくを、住人たちに預けた安太郎は、まだ油断は出来ない、まだやらなければいけない事があると、言い残し、再び又出かけて行ってしまう。

夜、新吉の部屋の前を通った但馬屋は、新吉の騒ぎ声が聞こえるので障子越しに叱りつけるが、実はその時、部屋の中では、再び現れた傘お化けと新吉が楽しそうに遊んでいたのを知らないでいた。

そんな但馬屋の裏口に怯えながら戻って来た重助は、新吉が一人で遊んでいる姿を見かける。

どうしたの?と聞かれたので、お化けに会ったと言うと、お化けならそこにいるというので、ビックリして振り向いても何もいない。

又、担がれたと思った重助は、新吉の事を嘲るが、振り向いた新吉の顔はのっぺらぼうになっていた。

驚いて、主人の部屋に駆け込んだ重助は、百物語のまじないをしなかったから化物に会ったと報告するが、そんな話は頭から信用しない但馬屋は、藤兵衛はどうなったと聞き、自分の目で確かめて来ると、重助を連れて出かける事にする。

その夜道、二人は、大きな破れ傘を被った無気味な老婆とすれ違う。

そして、重助が、この場所は甚兵衛を殺した場所だと気づいた時、いきなり川から大きな顔のようなものが浮かび上がったかと思うと、空中に巨大な女の顔が浮かび上がる。

驚いた二人は、互いに匕首を抜いて、その大女に立ち向かおうとするが、但馬屋が突いた相手は重助だった。

そして、その事に気づいて、逃げ出そうとした但馬屋は、倒れた重助の死体に躓き倒れると、重助が握りしめていた匕首に胸を刺されて、苦しみながら這いずって行くと、川の中に顔を沈めて絶命してしまう。

その頃、堀田家の屋敷の扉が音もなく開く。

忍び込んで部屋の中の様子をうかがっていた安太郎は、堀田豊前守が、誰かに文句を言っている言葉を耳にする。

日光東照宮の建立費として、金は某に渡したと言っている、その見返りとして、若年寄りを約束されているのだと。

安太郎は、話している相手を確認しようと、襖を少し開けてみるが、そこには誰もいなかった。

しかし、豊前守は、目の前にいる但馬屋と重助の二人に話しているつもりだったのである。

やがて、その二人は、妖怪の姿に変身する。

驚いた豊前守は、白髪老婆の首を跳ねると、畳に転がったのは、二つに切れたロウソクだった。

やがて、部屋中に何人もの妖怪が出現する。

逃げ出そうとして豊前守が襖を開けると、外には大女の顔が!

やがて、安太郎が部屋の中に入って来ると、足元に落ちていた「覚え書き」に気づき、読んでみると、豊前守と江戸城内の某との間に取り交わされた密約が全て記してあった。

部屋に近づいて来た明かりに気づき、安太郎が隠れると、入って来た家臣が、部屋の隅で怯えてうずくまっている豊前守の姿を発見する。

近づいて訳を聞こうとしたその家臣を、錯乱状態にあった豊前守は刺し殺してしまう。

それを見て、我欲が高じて、逆上したかと姿を現した安太郎を見た豊前守は、一瞬我に帰るが、大目付配下の菅井彦久郎と正体を明かした安太郎が、寺社奉行の職権を悪用した企みは全て掴んだと言い帰りかけた所で、自ら胸を刺して事切れるのだった。

やがて、屋敷の門が又静かに開き、三つの棺桶を背負った妖怪たちが、踊りながら出て行くが、世が空けて来た中に、その姿もいつしか消えて行った。

翌朝、川べりで、但馬屋と重助の死体を確認する役人の側で、泣いている妻を、息子の新吉が慰めていた。

その検死の様子を見ていたお仙とおきくの側にやって来た安太郎は、やっぱり死んでいたか、この世には人知の計り知れない事があるものだと呟くが、その側を、二人の死体を戸板に乗せて運ぶ役人たちが通り過ぎて行く。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

いわゆる「大映妖怪三部作」の1作目で、「ガメラ対宇宙怪獣バイラス」の併映作。

「大魔神三部作」同様、どちらかと言うとファミリー路線の内容だが、併映のガメラほど幼児向けにはなっていない。

ガメラ人気や、当時の妖怪ブームに吊られ、それなりに評判になった記憶はあるが、映画として、特に、この作品が面白かったと言う記憶はない。

今見返してみて、記憶と重なったのは、ルーキー新一扮する、ちょっと頭の弱い大人が、傘お化けと戯れる所くらい。

そこが、一番、子供にとって分かりやすいシーンだったからだと思う。

他のドラマは、全くと言って良いほど忘れてしまっていた。

まず、設定が分りにくい。

主役と言えるのは、藤巻潤扮する安太郎だと思うが、彼は何か隠密裏に捜査していると言う雰囲気がある以外に、特に活躍している感じがない。

特に、胸の空くようなチャンバラシーンがあるでもなし、クライマックスでも、単なる傍観者の域を出ていない。

普通、主役と仲が良い女性キャラは、ヒロイン役のはずだが、この作品での坪内ミキ子は、どう観ても、ヒロインと言う雰囲気ではない。

ヒロインは、おきくを演じている高田美和の方だと思われるが、こちらは、太助という目立たない青年と付き合っている。

この辺が、子供にも大人にもしっくり来ない。

今観て、驚くのは、この太吉という青年に扮しているのが、何と、平泉征である事!

平泉征と言えば、今や、その独特のシャガレ声も印象的で、あちこちから引っ張りだこの売れっ子俳優。

この作品の頃は、シャガレ声でも何でもなく、ごく普通の若々しい声だが、いわゆる二枚目キャラという感じでもなく、いかにも脇役風で影が薄い。

悪人の設定も、地上げで儲けようとする商人と、それに加担する寺社奉行という、子供にはちょっと分りにくい関係。

妖怪も、全体的にユーモラスなものは少なく、かなりリアル系と言うか無気味系が多く、幼児には怖いかも知れないが、大人には、メイクや着ぐるみと分かるので、さほど怖くもなく、中途半端な感じが残る。

むしろ、強面の吉田義夫の方が怖いくらいだ。

子供向けにしては、ラストも陰気な感じで、あまり爽快感がないのも厳しい。

ただし、特撮はなかなか見事で、ろくろっ首のシーンは、作り物との合成とは分かっていても、その合成や編集の巧みさに驚かされる。

傘お化けの落書きが、アニメになって飛び出して来るシーンも、二次元の絵が、三次元的な動きをしたりして秀逸。

成功作とは言いにくいし、新東宝「怪談本所七不思議」(1957)など、似たような前例もあるが、怪獣ものに次ぎ、独自の新しいジャンルに挑んだ功績は買いたい。


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