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スーパーマンリターンズ
2006年、マイケル・ドアティ+ダン・ハリス脚本、ブライアン・シンガー監督作品。
※新作ですが、物語の最後まで詳細にストーリーを説明してありますので、御注意下さい。コメントはページ下です。
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スーパーマンは、故郷の星クリプトンを探しに宇宙へ旅立って5年が過ぎた。
大富豪 バンダーワース家の老婆が、今、正に息を引取ろうとしていた。
彼女は、刑務所から出してくれたら、最後まで尽くし抜くと言った男に看取られていた。
そして、部屋の外に集まった親族たちが、「その男は財産目当てだ!」と叫ぶ中、ペンを持った老婆の手を、その男が支えながら、自分の全財産をその男、レックス・ルーサー(ケビン・スペイシー)に譲ると遺言書にサインして息耐えるのだった。
その遺言書を手にしたルーサーは、部屋を出ると、手近にいた少女に、自分のカツラを脱いで渡す。
少女は、その奇妙なものを持たされ、悲鳴をあげる。
足早に屋敷を引取るルーサーは、小間使いの女性キティに声をかけると、そのキティも、帽子をかなぐり捨てると、すぐさまルーサーの後を追うのだった。
ルーサーは、手にした財産で、豪華客船ガートルード号を手にする事になる。
その頃、スーパーマンの実家の農家で、犬と一緒に夕食の後片づけをしていたマーサは、突然、鳴っていたラジオの調子がおかしくなったと思うと、地響きがし始め、窓の向こうに夜空を焦がして、大きな火の玉が落下するのを目撃する。
心当たりがあったその火の玉の落下痕に向ったマーサは、突然、裸の男に方を触られる。
5年振りに戻った、息子のクラーク・ケント(ブランドン・ラウス)だった。
ガートルード号の中、ルーサーは、プロメテウスが太陽の火を欲しがったように、自分も神のような力が欲しいと、愛人の女に説明していた。
ガートルード号が到達したのは、北極にあるスーパーマンの秘密の住まい「孤独の砦」だった。
ルーサーは、クリスタルが盛り上がって出来たコントロール装置の前に立つと、ジョー・エル(マーロン・ブランド)の姿がクリスタルに映り、ルーサーを息子カル・エルと間違えて、語りはじめる。
カル・エルに成り済ましたルーサーは、クリプトンの知識を、ジョー・エルの口から全て得てしまう。
その頃ケントは、自宅で、幼い頃、この農場で過ごした楽しい日々を思い出していた。
やがて、欠員が出来、再入社したデイリー・プラネット社に出向いたケントは、懐かしい旧友ジミー・オルセンから声をかけられる。
気になるロイス・レイン(ケイト・ボスワース)の姿はなかったが、彼女が「何故、スーパーマンは必要ないか」という論文で、ピューリッツァ賞を受賞した事を知り、複雑な気持ちになる。
さらに、彼女のデスクの上に、見知らぬ男と小さな子供とロイスが一緒に映った写真立てが置いてあるのに気づきショックを受ける。
ジミーの説明によると、彼女は詳しく話したがらないが、近々、その男と結婚するらしいと言う。
その事実を知り、思わず力を込めたケントは、写真立てのガラスを割ってしまうのだった。
その頃、レックス・ルーサーは、クリプトンの知識を全て身に付け、北極から持ち帰って来たクリスタルがクリプトンの力の源泉である事を、愛人キティに説明していた。
一方、ロイス・レインは、飛行中のボーイング777の背中から離脱する方式の新型スペース・シャトル「ジェネシス」の発射実験取材の為、その777に乗り込んでいた。
巨大な町の模型が設置された秘密の倉庫にやって来たルーサーは、部下の一人に、クリスタルのほんの一部を慎重に削り取らせていた。
すると、どうした訳か、メトロポリスが一斉に電気が消えてしまっていた。
デイリー・プラネットの社内も、ケネディ宇宙基地のモニター類も、離脱実験直前だった777とジェネシスの操作盤も全て消えてしまう。
しばらくして電気は回復し、町の人々は一安心するが…。
町の玩具が並んだ倉庫の中では、削り取った破片を掴もうとした部下が、手を滑らせ、その破片を模型の海に当る水の中に落としてしまう。
すると、模型を動かしていた電気が一斉に消えてしまい、やがて水の部分が不気味に発光し始めると、列車など乗物の模型は暴走をはじめ、ビルの模型は壊れはじめる。
離脱実験間近だったジェネシス操縦室では、装置が全く反応しなくなった事に気づく。
当然、離脱装置も外れない。
やがて、突然、777の背中に乗った状態のまま噴射装置が発火、777の尾翼部分は破損してしまう。
ワシントンから、緊急事態のニュースが、デイリープラネットにも届き、先ほど、テレビに映っていたロイスが乗った777がピンチである事をケントは知る。
ただちに、外に走り出たケントは、胸のシャツを広げ、S字マークを見せる。
さらに、第二次ブースターに点火したジェネシスを乗せた777は、宇宙空間目指して上昇を始める。
機内は大パニック状態になり、ロイスも投げ出される。
もはやこれまで…と思われた時、ロイスは、窓の外を飛び過ぎる影を見つける。
777とシャトルの空き間には、スーパーマンの姿があった。
スーパーマンは、シャトルを持ち上げ777と分離すると、そのままシャトルは宇宙へ向けて飛び立って行く。
尾翼を失った777の方は、そのまま墜落して行く。
スーパーマンは、その777を救おうと、主翼を引っ張るが、その主翼もはがれてしまい、777は回転しながらさらに落下して行く。
その頃、下の野球場では、ベースボールの試合が行われていたが、ヒットを放ったバッターの弾を見上げていたピッチャーは、頭上に落下して来る777の姿を見る事になる。
観客も騒然となる中、機首部分を支えながら、スーパーマンは、野球場のグラウンド内に、見事、777を着地させる事に成功する。
場内は、やんやの喝采が起こる。
扉をこじ開けたスーパーマンは、唖然とする乗客、特に、ロイスに向って「大丈夫か?」と尋ね、「これで飛行機を嫌いにならないでくれ、統計上最も安全な乗物だから」と告げて、飛び去って行く。
入口まで、その姿を追ったロイスは、その場で気絶してしまうのだった。
ルーサーの秘密倉庫内では、玩具の町が完全に崩壊していた。
デイリープラネットでは、ただちに、「スーパーマン帰還」のニュースを、全社あげて取材するよう、編集長(ジェイムズ・マーズデン)がハッパをかける。
特にロイスは編集長直々に呼ばれ、スーパーマンを良く知る者として、彼の特集記事を書くように命ぜられるが、 当のロイス自身はその仕事に乗り気でなく、今回のパニックを引き起こした謎の電磁パルスの発生源に付いての取材を申し出るが、大衆が好む記事と言えば、惨事とセックスとスーパーマンだと考える編集長は許さなかった。
一方、ケントの側に独りの子供が姿を見せる。
吸入器を吸っている体の虚弱そうなその子こそ、ロイスの息子でジェイソンだった。
その後、ケントは、ロイスから、一緒に生活している、国際部の編集者で、編集長の甥だと言うリチャードを紹介される。
そのリチャードが、ロイスと子供と共に写真立ての写真に映っていた男だったのだ。
ルーサーはと言えば、隕石と宝石の展示会を開催している自然史博物館の新聞記事を読んでいた。
デイリープラネットの入口付近で、出かける様子のロイスに、何とか話し掛けようとするケントだったが、ロイスは、5年前、自分に何も告げずに去ってしまったスーパーマンの事をいまだに恨んでいる様子だった。
ケントは、スーパーマンに変身すると、夕暮れの中、ロイスがタクシーの運転手に告げた自宅の住所リバーサイド312に飛んで行く。
そして、スーパーアイで、ロイスの自宅の中の様子を覗いた彼は、ジェイソンから「スーパーマンを好きだったのか?」と聞かれたロイスが「いいえ」と答えるのを観てしまうのだった。
落ち込んだスーパーマンだったが、宇宙空間に向って飛び立った彼は、スーパーイヤーで、世界中の情報に聞き耳を立てはじめ、ニューハート銀行で発生した強盗事件現場に駆け付ける。
銀行屋上に、強力ガトリング銃を設置していた強盗犯は、地上のパトカーに銃弾を浴びせていたが、背後に迫った警官二名から射撃される。
しかし、その強奪犯は防弾チョッキを着込んでいた為、かすり傷一つ負わず、その警官たちに、ガトリング銃を発射する。
その弾が、警官たちに届く瞬間、スーパーマンが立ちはだかり、全ての弾を跳ね返してしまう。
さらに、犯人自ら抜いた拳銃から発射された弾も、スーパーマンの眼球で跳ね返されてしまう。
その頃、ルーサーと仲間たちは、閉館間際の自然史博物館に入り込んでいた。
一方、町中では、キティが運転する自動車がブレーキが効かず、暴走をはじめていた。
カフェテラスに突っ込む寸前だったキティの車は、間一髪、スーパーマンに持ち上げられ、ケティは、車内からスーパーマンに抱かれて脱出できる。
その姿をケイタイ付きカメラを持っていた野次馬の少年に撮られる。
博物館に乗り込んでいたルーサーは、目的の展示物「1978年 アディス・アベバに落下した隕石」を強奪する。
病院まで連れて行ってもらったキティは、すっかり、スーパーマンの魅力に負け、キャサリンと名乗ってしまう。
その後も、スーパーマンの活躍は目覚ましく、世界中の事故や事件現場に彼の姿が目撃される事になる。
ロイスは、相変わらず、電磁パルスによる停電事件の取材を申し出るが、編集長から、どうしてもスーパーマンの取材をするように厳命される。
一方、ルーサーの船に戻って来たキティは、スーパーマンをおびき出す為、単に、暴走する「芝居」をするはずだったのに、本当に車のブレーキに細工がしてあって死にかけたと激怒していた。
しかし、女の嘘はばれやすいからとあっさり切り返したルーサーは、奪って来た隕石から抽出したクリプトナイトを見せるのだった。
その頃、デイリープラネットの社内では、残業していたロイスから、スーパーマンの身長や体重、唯一の弱点であるクリプトナイトの事などを聞いていたリチャードが、部屋の奥にいるケントが、そのスーパーマンと体格的にピッタリなのではないかと冗談を言っていた。
一緒に夜食を取ろうとジェイソンが席を外した後、ケントとぶつかり、バッグの中身をこぼしたロイスは、ケントに手伝ってもらい中身を拾い終わると、エレベーターで屋上に登って行く。
その姿を、スーパーアイで透視するケント。
屋上に登ったロイスは、そこで煙草を吸おうとするが、つけようとしたライターの火が消えてしまう。
気が付くと、側にスーパーマンは立っていた。
ロイスは、スーパーマンが、自ら自分のインタビューに答えるべくやって来た事を知り、いくつかの質問をするが、どうして自分に黙って去ってしまったのかと尋ねる。
スーパーマンは、以前、ケントが推測したように、さよならを言うのが辛かったのだろうと答えると、明日、授賞式だと言うピューリッツァ賞の記事が、どうして「スーパーマンは必要ないか」なのかと問いかける。
確かに、ヒーローは必要ないかも知れないが、助けを求める人々が呼ぶ声はすると続けたスーパーマンは、ロイスを誘って、上空に飛び上がる。
夜の都会を眺めた後、屋上に降りて来た二人はキスをしようとするが、途中で止めてしまう。
ジェイソン、ジミー、リチャードが集まって夜食を取っていた席の戻って来たロイスは、そこにケントも混じっているのに気づく。
翌朝、ロイスは、夕べのインタビューを元に、スーパーマンの記事をまとめ、編集長に提出する。
安心した編集長は、明日は、ピューリッツァ賞の授賞式だと、ロイスに念を押すのだった。
その頃、久々に北極の「孤独の砦」に来てみたスーパーマンは、クリスタルが全てなくなっている事に気づき愕然とする。
ロイスの方は、翌日から、独自に停電事件の調査を進めていた。
ジェイソンを学校に迎えに行った帰り、停電の中心地区にあると思われる川べりの屋敷に出向いてみるが、そこに停泊していた豪華客船に気づき、勝手に侵入してみる事にするが、その中で、各種のカツラが飾ってある部屋を発見し、ピンと来たロイスはすぐさま、ジェイソンを連れて帰ろうとするが、そこで、バスローブに着替え、歯磨きをしていたルーサーと再会する。
その頃、ケントは、連絡が取れなくなったロイスの行方を知る為、彼女のパソコンを開いて手がかりを見つけだそうとしていたリチャードの手伝いを、編集長から命じられていた。
ルーサーに捕まったロイスとジェイスンは、ルーサーから、クリスタルを海に投じて、新しい大陸を出現させる計画を聞かされていた。
人工的に創りだせる金や宝石と違い、誰にも作る事が出来ない土地こそ、無限の価値を生み出すものだと言う。
クリスタルが繁殖して出来た新大陸は、現在のアメリカを沈没させてしまうとも。
ルーサーは、クリプトナイトで作った中空の円筒をジェイスンに近づけ、この子は本当にリチャードの子供なのかと尋ねる。ロイスはそうだと答え、リチャードはクリプトナイトに反応しない。
デイリープラネット社内では、リチャードがあれこれパソコンのデータを開くパスワードを試していたが、言葉の見当が付かない。
ケントが「スーパーマンは?」と言うので、試しに入力してみると、何と開くではないか!
その頃、ピアノのある部屋で見張りがつけられ軟禁状態にあったロイスは、ジェイソンにピアノを弾くように勧める。
すると、見張りのブルータスと言う男もジェイソンの横に座って、見事に伴奏しはじめるのだった。
その隙を見計らい、ロイスは「40N 73W HELP」と急いで書きなぐった紙を、横に置いてあったファックス機に入れて、デイリープラネット宛に送信する。
その船上では、ルーサーが部下たちに、クリプトナイトの円柱内にクリスタルを挿入したものを、海に向って発射させていた。
ファックスの送信をイライラしながら注視していたロイスだったが、突如、電源用コンセントをブルータスに抜かれた事に気づく。
ブルータスは、ロイスを襲おうと、手近にあった置き物を手に取る。
ピアノの前に座って、母親のピンチを目の当たりにしていたジェイスンは、段々呼吸が早くなっていく。
やがて、ロイスに殴り掛かる寸前だったジェイスンは、何かが飛んで来て壁に押しつぶされてしまう。
その轟音に驚いて、部屋に戻って来た部下たちは、ルーサーに、グルータスがピアノに押しつぶされて死んだと報告する。
海の中では、巨大なクリスタルが成長をはじめていた。
メトロポリスは、又しても大停電に襲われる。
その直後、電源は元に戻るが、そんな中、社内の様子を写真に撮っていたジミーは、同僚が持っていた紙に「40N 73W HELP」という不思議な文言が書いてあるのを発見、それを知らされたリチャードとケントは、ロイスが発信した座標だと気づく。
すぐさま、ケントは、無人のエレベータに飛び乗り、変身すると屋上からロイ救出に飛び立つが、飛んで行く海面下にメトロポリスに向って伸びる巨大なクリスタルの影を発見してしまう。
町は、大地震の襲われ、大パニックが起きる。
ロイス救出を一時断念したスーパーマンは、町に飛んで戻ると、あちこちで起こった惨事を未然に解決して行く。
デイリー・プラネット社の屋上回転広告塔が落下し、地上にいた編集長の頭上に落ち掛かるが、それもスーパーマンが間一髪受け止める。
「なんて、すごい男だ!」と感嘆する編集長。
その頃、食料室に閉じ込められていたロイスは、脱出しようとあれこれ手を尽くしていたが、ドアは開かない。
最初に、ロイスから力を貸してと言われた時は尻込みしていたジェイスンが、自らドラを開こうとノブに手を掛けた瞬間、ドアが開き、セスナで救出の為飛んで来たリチャードが立っていた。
すでに、ルーサーたちは、ヘリで船を後にしていたのだった。
リチャードが二人を、船上に連れ出そうとしていた瞬間、海面下から伸びて来た巨大結晶が、ガートルード号の船底にぶつかり、そのまま空中に押し上げて行く。
空中に串刺しのように突き刺された巨大豪華客船は、真っ二つにへし折れると、ロイス、リチャード、ジェイソンを中に閉じ込めたまま、海面に落下、そのまま沈没をし始める。
しかし、ロイスたちが閉じ込められた船窓に、何者かの足の裏が着地する。
そして、海面に向って引き上げられたガートルード号は、スーパーマンによって扉を開けられ、救出された3人は、海面に浮かんでいた水上セスナ機の元まで連れて来られると、さらにスーパーマンの力を借りて飛び立つ事に成功するのだった。
セスナ機を見送ったスーパーマンは、巨大水晶大陸の中心部に降り立ち、そこで待っていたレックス・ルーサーと対面する。
しかし、意外な事に、接近したルーサーが軽く彼の体を押すと、スーパーマンはあっさり後ろに突き落とされてしまう。
大陸は、クリプトナイトの力を封じ込めていた為、その場に降り立ったスーパーマンは無力化していたのだ。
一方、陸地に向っていたセスナ機の中で気づいたロイスは、すぐさま引き返すようにリチャードに訴える。
スーパーマンが危ないと言うのだ。
力を失ったスーパーマンは、ルーサーの部下たちによってボコボコにされ、ルーサーはとどめを刺すように、彼の背中に、尖ったクリプトナイトの結晶を突き立てると、スーパーマンは死んだようにそのまま海に落ちて行ってしまう。
その姿を発見したのは、セスナに乗っていたジェイスンだった。
その言葉を確認したロイスは、すぐさま、着水したセスナから身を投じ、海中に没しようとするスーパーマンのマントを掴むと、必死に持ち上げはじめる。
海面に浮かび上がったロイスとスーパーマンの姿を発見したリチャードも飛び込み、何とかスーパーマンの体をセスナ機に乗せる事に成功する。
海上に突き出た巨大結晶の間をくぐり抜け、何とか飛び立ったセスナの中で、ロイスは、スーパーマンの背中に突き刺さっていたクリプトナイトの破片を抜いてやる。
ようやく眼を開いたスーパーマンは、三人に礼を言うと、止めるロイスの言葉も聞かず、「さようなら」の言葉を残して、そのままセスナ機から飛び立って行く。
一旦宇宙空間まで飛び上がり、太陽光線を浴び力を取り戻したスーパーマンは、再び海中に飛び込み、結晶大陸の中心部目掛けて掘り進んで行く。
大陸の鳴動を察知したルーサーは、危険を感じ、部下たちにヘリで脱出するよう命ずるが、金を持ち出そうと逃げ遅れた三人の部下たちは崩れて来たクリスタルの山に押しつぶされてしまう。
さらに、ヘリでルーサーと一緒に脱出しかけてケティは、こっそり扉の隙間から、北極から奪って来たクリスタルを捨ててしまう。
すぐさま、それに気づき激怒したルーサーだったが、もはや大陸は崩壊しはじめており、ヘリで飛び立つのが精一杯だった。
スーパーマンは、成長を続ける結晶大陸全体を持ち上げると宇宙へ投げ捨てるが、長い時間、クリプトナイトと接触していた為、気絶して、そのまま地球のメトロポリスに落下してしてしまう。
すぐさま、病院の救急医療班に運ばれ、治療を施されたスーパーマンだったが、いかなる治療も効果はなく、心電図は停止してしまう。
その頃、デイリープラネット社では、編集長が「スーパーマン死す」「スーパーマン復活」と両パターン用意された新聞見出し見本を前に、苦悩していた。
ロイスは、スーパーマンとの特別な付き合いを知っている廻りのみんなに勧められ、リチャードの運転する車で、ジェイソンと共に病院に行く事にする。
病院の前には、スーパーマンの復帰を待つ大勢の群集で溢れていた。
そんな中、警官に護衛されながら病院に入って行くロイスを見守る母親マーサの姿もあった。
ロイスとジェイソンは、ベッドに寝かされたスーパーマンに接見するが、心電図はフラットのままだった。
脱がされて椅子の上に置かれたスーパーマンのコスチュームに、そっと触ってみるジェイスン。
ロイスは、スーパーマンの耳元に、どうしても伝えたかった何事かを呟き、優しく接吻するが、心電図は元に戻らなかった。
帰り際、ジェイスンもスーパーマンにキスして帰る。
その夜、自宅に帰ったロイスは「何故、スーパーマンは必要か?」という新しい記事を書きはじめる。
二階で寝ていたジェイスンの側に近づいて来たスーパーマンは、その傍らにひざまずくと、優しく、語りはじめる。
「これから、お前は私の人生を見る事になる。そして、私も又、お前の人生を見守り続ける…」と。
目覚めたジェイスンは、何時の間に開いたのか窓のカーテンがそよいでいるのに気づく。
庭に出て、煙草を吸いかけたロイスは、「おやすみ」と言うジェイソンの言葉に気づき、上を見ると、空中にスーパーマンの姿があるではないか!
「又会える?」と問いかけるロイスに対し、スーパーマンは「いつでも」と答えて、空中高く舞い上がって行く。
宇宙空間、登りかけた太陽を背に、周囲を監視するように眺めた後、スクリーンを見やったスーパーマンは、そのまま画面の外に飛び去って行く。
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▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼
ジョージ・リーブス主演で好評を博した「スーパーマン」(1978)「スーパーマン2 冒険篇」(1981)「スーパーマン3 電子の要塞」(1983)「スーパーマン4 最強の敵」(1987)に継ぐ、主役を代えての「スーパーマン」シリーズの最新作である。
懐かしいクリプトン星の情景から始まり、その崩壊の姿、そして、お馴染みのジョン・ウィリアムズのテーマ曲が高らかに鳴り響き、「ストリーク文字」が宇宙空間に伸びるタイトルが始まっただけで、涙腺が熱くなるような世代向けに作られた、ジョージ・リーブス版へのオマージュ的内容になっている。
スペクタクル部分に関しては、全く予備知識がない観客にも楽しめると思うが、物語の中核になっている、スーパーマン(クラーク・ケント)とロイス・レインとの微妙な気持ちのすれ違い、さらに、ロイスの息子ジェイスンに関しては、同時進行で作られた最初の二本「スーパーマン」「スーパーマン2 冒険篇」を知っていないと、ピンと来ないのでないだろうか。
無敵のスーパーヒーローが大活躍し、民衆が無邪気に喝采していた、マンガチックでカラッとした印象の初期作品とは違い、ヒーローと言う者の意味そのものが問い直されている現在に舞い戻って来た元祖ヒーローが、自己証明の為に黙々と民衆を救い続ける姿が描かれている本作は、 全体のトーンも、ちょっと渋いというか、大人向けのものになっている。
新たなスーパーマン役のブランドン・ラウスは、ジョージ・リーブスの面影を受け継ぎながらも、初々しく、又別の魅力がある。
ロイス役のケイト・ボスワースは、明らかにミスキャストの印象が強かった、前シリーズのマーゴット・キダーよりは合っているように思える。
全体的に、良く考え抜かれた脚本には感心するが、欲を言えば、ちょっとラストの痛快感に乏しかったかも知れない。
前作を踏襲した、ラストのスーパーマンがスクリーンに視線を向けるシーンも、笑顔がなかったのが寂しかったし…。
大人になるって、こう言う事なんだな…と、考えさせられる物語かも知れない。
余談だが、病院に運び込まれたスーパーマン、あっさり医者からコスチュームを引きちぎられ裸体になっていたが、その後、復活したスーパーマンがきれいになったコスチュームを着ていたのは、故郷から駆け付けた母親マーサが繕ってやっていたと解釈すべきだろうか?
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