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瀬戸はよいとこ 花嫁観光船

1976年、松竹大船、大川久男脚本、瀬川昌治脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

尾道-今治ルート、児島-坂出ルート、明石-鳴門ルートを結ぶ本四連絡架橋計画は、オイルショックで一時凍結されていたが、ここへ来て又、計画が復活する事になった。

そんな明石の海を、船長高松二郎(財津一郎)、機関長平山平吉(人見きよし)、ガイドが平吉の娘ナオミ(田坂都)と言うメンバーが乗っている花嫁観光船「はつひ号」が、今日も新婚カップルを何組も乗せて運行していた。

そんな中、美しい風景に説明をしていたナオミが、いつものように公害反対のメッセージをしゃべり出したので、二郎は苦りきって、警笛を鳴らしてごまかすのだった。

その頃、明石市立天文科学館では、ガイド役の青木光子(村地弘美)が、同じように環境破壊について、観客たちに一席ぶっていたが、その話に拍手する一人の青年がいた。

学校では、国語教師の山村新一(山城新伍)が、地元の空気や海が汚れている現状を生徒たちに嘆いていたが、同じ話を毎日のように聞かされている生徒たちの方が迷惑顔。

21万6000人の住民が住む明石市。
連絡橋工事は、その住民たちにも、様々な形で問題を投げかけていた。

光子の父親、42才の青木大作(フランキー堺)は、もともと、妻の波江(朝丘雪路)と「明石鯛吉、鳴門わかめ」という芸名で漫才をやっていたが、今は二人でパチンコ店「うずしお」を経営していた。

出先から店に帰って来た二郎は、店に、波江の妹浜子(日色ともゑ)がいつものように遊びに来ていて、少ない玉数で、あれこれ景品をもらって行こうとするので呆れていた。

そんな二郎、波江に、いよいよ橋が架かりそうだと伝えると、淡路島の岩屋にある防人荘を買収する計画を楽しそうに話しはじめる。

客が増える事を見込んだ新しい事業の夢に、二人は、いつものように漫才口調になり、息もピッタリの所を見せる。

一方、港に着いた「はつひ号」を迎えに来た浜子は、夫の二郎に家事の事を頼むと、ナオミを連れて出かける。

実は、ナオミも浜子も光子も、播磨進学塾で山村先生を中心に行われている「公害反対運動」のメンバーだったのだ。

このメンバーは女性ばかりで、30過ぎてもまだ独身でいる山村先生目当てに来ている者も多かった。

どうして、結婚しないのかとしなだれかかって来る女性陣に対し、山村先生は、自分には万葉集と言う恋人がいるからだなどと、ロマンチックな答えではぐらかしていた。

そんなデレデレした雰囲気を嫌った光子は、率先して、真面目な議題に話を戻そうとするが、そこに顔を覗かせたのが、昼間天文科学館で拍手してくれたハンサムな青年。

彼は、何と、山村先生の弟で、東京の工科系大学に通って、今は夏休みで帰って来ていた健二(夏夕介)だったのだ。

光子は、そんな雄二の顔をうっとり眺めていた。

その頃、淡路島の岩屋にある防人荘にやって来て、女中頭(ミヤコ蝶々)に、買収の話を持ちかけていた大作だったが、ここを連れ込み宿のような所にする等もってのほかと、けんもほろろに追い返され、オーナーの名前さえ聞き出す事が出来ずに帰宅したので、波江から呆れられていた。

そんな大作、今から旅館組合の会合に言ってくれという波江に対し、自分は全熱研(全国熱帯魚研究会)の支部長に選ばれてしまったので、これからそちらの会合に出なくてはならないからと断わる。

ナオミと一緒に、 下宿人である山村先生と健二が揃って帰って来ると、夕食の準備をしていた平吉が、山村に来客があると言う。

二階に上がった山村兄弟を待っていたのは、防人荘の女中頭だった。

実は、山村新一こそ、防人荘のオーナーだったのである。

女中頭から、今日、買収話を持って来た男が来たが断わったと教えられた山村先生は、今まで通り、自分の事は伏せておくようにと念を押した後、7時半から古典文学の研究会があるからと出かけてしまう。

ところが、山村先生が向った先は、神戸三ノ宮のストリップ小屋だった。

かねてより、金髪美女エンゼル淡路(エリザベス・クイーン)と同じ舞台で、白塗り、古代衣装姿で踊っている浦島千鳥(春川ますみ)のファンだったのである。

マスクとサングラスをして、しっかりかぶりつき席に陣取った山村先生だったが、そんな彼の肩を叩く者がいる。

同じく、同劇場の常連で、日本に観光旅行できている留学生エンゼルのファン、大作だった。

大作に誘われ、その後、渋々飲み屋に同行させられた山村先生だったが、積極的にエンゼルにアタックをかけ聞き出した所、明日、彼女らは鷲羽山へ移動するので、あなたも来れば浦島千鳥に会えると誘われるが、奥手の山村先生にとっては羞恥心が先に立ち、大作の馴れ馴れしさにも呆れてその場を立ち去ってしまうのだった。

翌朝、仕事に出かけようとしていた二郎は、浜子が弁当も作らず、何やら謄写版でプリントしている姿を見て力を落とす。

最近はずっとこんな調子で、家事等全くしなくなってしまったからだ。

そこに、和服にカンカン帽姿の義兄大作がにこやかにやって来る。

外に出て話を聞く所によると、自分が買収しようとしている防人荘と言う旅館のオーナーの名前が、淡路島高校でピンポン部だった山村新一なる人物だと分かったので、同じ高校のピンポン部先輩に当る二郎に、仲介をしてくれと言うのであった。

しかし、本四連絡橋ができれば、真先に失業する自分が、そんな橋の開通を見込んだ儲け話のお先棒を担ぐのは気が進まないと二郎が言うと、すかさず、ホテルが出来たあかつきには、お前を支配人にしようと思っているし、ホテル専用の遊覧船の船長にしてやってもよいなどと好条件をちらつかせはじめる。

そんな二人の話を近くで盗み聞いていたのがナオミだった。

翌日、鷲羽山ハイランド、ジェットコースターには健二と光子が仲良く乗っていた。

娘が来ている事は知らないでやってきた大作は、やっぱり来ていた山村先生に声をかける、ベンチで待っていたエンゼルと千鳥の元に連れて行く。

しかし、白塗りの化粧を落とした素顔の千鳥を見た山村先生は愕然とする。

そしてその場を取り繕う為に、いつものように万葉集の唄などそらんじていた山村先生だったが、その言葉に敏感に反応したのは、意外な事にエンゼルだった。

彼女は、カリフォルニア大学で日本文学を専攻しているのだと言う。

一方、観覧車に乗っていた光子から、本四連絡橋反対の立場の自分と、本四連絡橋の事を卒論に書いているあなたがこうしておつき合いをするのは変ねと言われた健二だったが、そんな事はない。君たちの考え方も良く理解できると爽やかに答えるのだった。

その後、下電ホテルの一室に泊まった山村先生、大作、エンゼル、千鳥の四人だったが、すっかり意気投合した山村先生とエンゼルに嫉妬した千鳥は、怒って早々に帰ってしまう。

面白くないままエンゼルの写真等撮って帰宅した大作は、待っていた二郎から、実は、機関士の平吉の家の下宿人が山村新一だと分かったと報告を受ける。

帰り際の二郎から、近所に安い現像所があるから持って行ってやろうかと言われた大作だったが、中身が中身だけに、断わって、そっと仏壇の中にフィルムを置いておく大作だった。

その頃、「公害反対運動」を開いていた進学塾では、集まったメンバーたちに山村先生が、女中頭から聞いた所によると、防人荘を買収しようとしている相手は、青木と言うパチンコ屋の主人だと分かったと聞かされた浜子は、それは、自分の義兄の事だと赤面する。

そんな所に、当の大作と二郎が連れ立って、山村先生に会いに来たと言うので、女性メンバーたちは隣の部屋に隠れる事にする。

先に部屋に入って来た二郎は、自分は同じ高校のピンポン部の先輩だと自己紹介をするが、山村先生はそんな話には動じようとしなかった。

ところが、続いて入って来た大作は、山村先生の顔を見て驚き破顔する。

山村先生の方も驚くが、こちらは冷や汗を書く事になる。

そんな彼らの会話を盗み聞きしていたナオミは、山村先生と大作が、ストリップ愛好仲間だったという事実を知り、ショックのあまり泣き出してしまう。

彼女は、前から、山村先生にほのかな思いを寄せていたからだった。

他のメンバーたちも事情を知り抗議運動を起こそうかと激怒するが、浜子は、あんな小者たちは放っといて、黒幕を落とす事の方が先決だと言い出す。

その後、女性陣の前に姿を見せた山村先生だったが、もうすっかり彼の人気と信用は地に堕ちていた。

店にやって来た妹の浜子から、大作のよからぬ行状の事を洗いざらい教えられた波江は激怒していた。

そこへ帰って来た大作は、その原因が分からず、又いつものように、漫才のリズムに波江を乗せてごまかそうとするが、そこは浜子がきっちり遮ってしまうので、正気に戻った波江の怒りはおさまらず、大作と本格的な夫婦喧嘩になってしまう。

そこに帰って来た光子は、帰りかける浜子に、自分のフィルムを写真屋に持って行ってくれと探すが見つからない。

仏壇の所にあったはずと母親から言われたので、そこを探していると確かに見つけたので、それを浜子に託すが、それは実は、大作が隠し置いていた方のフィルムだった。

翌日、大作は、二郎と落ち合うが、相手は頭にたんこぶを作っている。

山村先生との間に立った事がバレ、浜子にどやされたのだそうだ。

結局、山村先生は意地を通して、買収の話に乗って来ないと聞かされた大作は、それなら最後の手段に訴えようと、フィルムを取り出す。

山村先生とエンゼルがいちゃいちゃしている現場を撮ったフィルムのつもりだったが、実はそれは、娘の光子のフィルムで、現像が上がって、写っているのが光子と健二のデートだった事が分かった大作は、それを持って、けしからんと妻の元に帰るが、そこでは、浜子と一緒にエンゼルの写真を見て呆れている波江が待ち構えていた。

光子と健二とのデートは、事前にちゃんと許可していたのだと言う。

もう、どうにも言い逃れが出来ない状態になった大作は、浜子からけしかけられた波江に、家を出て行くように言われる。

その後自宅に帰って来た浜子は、二郎に対し、防人荘買収の話はご破算になったと上機嫌で報告した上で、そのお先棒を担いでいたあなたも悪いと責めはじめる。

黙って聞いていた二郎だったが、日頃の鬱憤が爆発し、浜子と口喧嘩が始まる。

いつもは、浜子に頭が上がらない二郎だったが、橋は断固として引き下がらず、浜子に家を出て行けと命ずる。

青木家では、まだ、波江に甘えて大作がぐずぐずしていたが、そこに荷物を持った浜子が世話になると押し掛けて来たので、そのあおりを食う形で、大作も家を出るはめになってしまう。

浜子がいなくなった家の中で、独り落ち込んでいた二郎は、表に停まった車の音を聞いて、浜子が帰って来たと喜び出てみるが、そこにあったのは、大作と彼の荷物を乗せたトラックだった。

驚いた事に、その後すぐ、同じように荷物を積んだトラックが乗り付け、運転席から降りて来たのは、ナオミにいびり出されたと言う山村先生だった。

かくして、二郎、大作、山村先生のおかしな共同生活が始まる。

夕食時、料理の味付けの話から、つい、出て行った大作の好みの事を懐かしがる波江の言葉を制し、相変わらず戦闘的な言動ばかり口にしている浜子に対し、光子は呆れたように「中ピ連みたい」と言い放つのだった。

その後、父親の元に電話をかけてみた光子だったが、話し相手が波江に変わると大作は低姿勢に謝り出し、又いつもの漫才口調でに乗せ、波江の気持ちをうまく掴みかけるが、受話器を奪った浜子に又邪魔をされたので、頭に来た大作は、浜子としゃべろうと受話器を取った二郎に話させようとせず、受話器を無理矢理置くと、電話線ごと引っこ抜いてしまう。

女房どもの尻に弾かれるのはもう真っ平だと怒鳴る大作だったが、三人ともまだ、何も食べていない事に気づき、店屋物でも取ろうとするが、肝心の電話線は切れていた。

仕方がないのでカレーでも食おうかと意見がまとまるが、結局、料理をするのは、家事に慣れているし、この家の主人でもある二郎に押し付けられてしまう。

寂しく買い物に出かけた二郎の姿をマーケットで見つけたのがナオミ。

二郎が作ったカレーは、死にたい死にたいとこぼしている割に大食漢の山村先生に大半を食べられてしまう。

翌日、こうした困った大人の喧嘩騒ぎを、光子は健二に相談していた。

その後も、相変わらず、自宅に居座ったまま、呑気に将棋等さして、家事等一切手伝おうとしない大作と山村先生のお気軽な態度に切れた二郎は、ヤケを起こしてふて寝を始めてしまう。

そこにやって来たのが、一升瓶を下げた健二だった。

ストリップの事なんか気にするなと言うのだ。

一方、防人荘断念祝いと称して、やって来たナオミも加えて、姉と祝杯をあげていた浜子だったが、結果的に山村先生との仲を裂かれた形のナオミと、いつまでも大作と別れている事に違和感がある波江は、どうにも釈然としなかった。

そんな二人から詰め寄られた浜子自身も、この先の事に不安を感じはじめ、光子に仲裁に入ってもらおうと言い出すが、たまたま帰って来て、その言葉を隣で聞いていた光子は、大作がいないと寂しいでしょう等と懐柔しようとする三人の言葉を聞いても、わざと、自分は父親がいなくても何も気にならない、断固として戦うべきだと突っぱねるのだった。

雄二の方も、酒を振舞いながら、女なんかに負けるな!と、三人男に檄を飛ばした後、この際、気分転換に、鳴門の阿波踊りにでも行きませんかと誘っていた。

会場にやって来た三人が、阿波踊りの行列を楽しみ出したのを見た雄二は、こっそり席を立ち、同じように、女三人を連れて来た光子と落ち合い、打ち合わせていた通りの作戦続行を確認しあう。

席に戻って来た雄二から、一緒に踊りましょうと誘われた三人男は、渡されたお面を被って踊りの列に参加するが、やがて、向側からやって来た女踊りの一行の中に、妻やナオミの姿を発見し、最初は照れくさがりながらも、やがてそれとなく、三組の男女は踊りながら寄り添うのだった。

作戦成功と見た雄二と光子も踊りの中に加わる。

ところが、その後、雄二があらかじめ予約しておいたホテルのロビーで談笑しあっていた三人のカップルの元にやって来たのが、同じホテルに泊まっていたエンゼルと千鳥だったから、さあ大変。

事情を知らない二人は、久々の再会に舞い上がり、大作と山村先生に抱きついて離さない。

それを見た妻とナオミたちは、又しても逆上し、荷物を持ってホテルを飛び出すと、連絡船で帰ろうとするが、あいにく、その日の運行は全て終了したという札が出ている。

かといって、このままあのホテルの帰る気にもならず、さりとて、祭りの最中、今から探しても、もう他のホテルの空き等あるはずもなく、思案にくれていると、浜子が自分の船があると言い出す。

港に、「はつひ号」が係留してあったのだ。

雲行きが怪しくなり、雷雨が降り始めた中、妻たちの行方を探していた大作、二郎、山村先生たちは、港までやって来て、見えなくなった「はつひ号」、切れている係留綱と、落ちていた浜子のネッカチーフを発見し、何が起こったかを悟る。

船の中では、波江、浜子、ナオミの三人が、必死に岸を離れた船を操縦しようとするが、誰もエンジンのかけ方さえも知らないので、波に翻弄されるまま。

やがて、「はつひ号」は、渦潮の方に近づいて行く。

男たち三人組は、モーターボートで嵐の中、「はつひ号」救出に向う。

やがて、接近した「はつひ号」に真先に乗り込もうとした大作だったが、船の縁にへばりつくのがやっと。

その大作の頭に渡し板をかけた二郎と山村先生が先に渡り、赤ふん姿の大作は、気がついて近づいて来た波江に引っ張られてようやく船の中に転がり込む始末。

蛇輪を握った二郎は、長年培った操縦で、見事、渦潮の中から船を脱出させる事に成功する。

傍らで、その姿を頼もしそうに眺める浜子。

数日後、花嫁観光船「はつひ号」上で、三組の結婚式が同時に行われていた。

それは、山村先生とナオミ、大作と波江、そして、操縦している二郎と、その横にしっかり寄り添う浜子の三組であった。

そんな「はつひ号」を、丘の上から嬉しそうに眺めている雄二と光子の姿があった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

この作品、「よいとこシリーズ」第一弾と言う位置付けらしいが、この作品以降のシリーズ作品は知らない。

瀬戸内海を舞台にした地方観光映画と言う感じで、地元の観光名所が随所で紹介されている。

瀬戸内海を舞台にした松竹作品は、いくつか思い付くくらいだから、当時、何本も同じようロケーションで作られていたのだろう。

当時の松竹が、こうした地方映画を企画の中核の一つにしていた証だと思う。

劇中に登場する言葉だけを拾い上げても、公害、中ピ連、ウーマンリブ…、まさしく70年代そのものの内容である。

山城新伍がカレーの話をしながら「ひできカンゲキ!」などとおちゃらけて言っている所からみて、この頃、バーモンドカレーのCFに西城秀樹が出ていた事も分かる。

本四連絡橋が架かる前の地元話であり、オイルショックで、しばらく橋の計画が凍結されていた事は初めて知った。

ドラマで描かれているように、環境破壊に繋がると地元民による建設反対運動があったのも、おそらく事実だろう。

ウーマンリブに感化されたような女傑女房が登場するのも時代を感じさせるが、それを演じているのが、見た目、おとなしそうなイメージがあった日色ともゑと言うのが、ちょっと見所と言える。

劇中、堂々と黒の下着姿を披露したりと、日頃の彼女のイメージとはかけ離れたような事をしてみせているのが興味深い。

田坂都は、クリクリ眼が印象的な、今で言えばベッキーのようなタイプの女優だったが、この作品では彼女の魅力がたっぷり見られる。

東映出身の山城新伍がゲスト出演しているのも珍しい。

すでに、デビュー当時の目元涼しい痩せた二枚目像は跡形もなくなっており、すっかり中年太りして、せんだみつおと区別がつかなくなってしまったような外見だが、一応、最初は女にもてると言う設定になっている所がおかしい。

芸の力でおかしさを醸し出そうとしているフランキーや財津一郎よりも、一番自然体で滑稽味を出しているのは山城かも知れない。

フランキーの娘、光子役を演じているのは、当時、テレビ等を中心に活躍していた村地弘美。

その後、姿を見せなくなった人だけに、久々の再会が懐かしい。

クライマックスは、かなり本格的な特撮で、船はミニチュアだが、渦潮はちゃんとプールで再現している。

タイトルで、特撮関係者の名前はなかったと思うが、劇中、鷲羽山ハイランドという場所で、巨大なウルトラマン人形が映し出された所をみると、タイアップで円谷プロが関わっているのかも知れない。

何だか、一見、恐妻家を笑い飛ばしているように見えながら、実は、女性は理屈等言わず、おとなしく男に従っているのが一番幸せなんだと言うように結論付けているようにも思え、そうした保守的で男性中心的なパターンでまとめてしまっている所に、当時の松竹が、どういうターゲットを想定して映画を作っていたかが透けて見えるように思える。

女性客が増えた今の目で観ると、反発もあるのではないか。

阿波踊りのロケ等、かなり本格的に行われており、面白おかしく描いた観光映画と解釈して気軽に観れば、それなりに楽しめるはずである。

瀬川監督お馴染みの、ストリップ描写がしっかり登場するのも御愛嬌。